【実施例1】
【0028】
本発明による装着用便座は、大まかに分けて
図2に示す便座本体部10と、
図3に示す後カバー部11と、
図7に示す前蓋部12と、
図9に示す尻受け部13とからなる。
前記便座本体部10は、
図2に示すように、直径が略100mm程度の皿状の窪みを有する排便受け部14と、この排便受け部14から直角か直角よりわずかに後方に傾き、幅が略50mm、高さが略170mm、深さが略20mmの縦型溝状の排尿受け部15とからなる。
【0029】
前記排便受け部14は、前端から後端にやや傾斜しており、後端に連通して排便吸引孔19となる筒部26が一体に突出しており、この排便受け部14の前端部には、主に肛門85を洗浄するとともに、排便受け部14の上面の大便86を流すための温水を噴射する洗浄水ノズル17が設けられている。また、前記排便受け部14の左右の縁部91には、それぞれ弧状の導風長孔25が開口し、この導風長孔25の排便受け部14側に空気を流すための段差87が設けられている。前記導風長孔25の先端部から前記排尿受け部15の縁部92に連続する部分にかけて20〜30mm程度の幅の広い太股受け部16が両側にわずかに傾斜して設けられている。前記導風長孔25から前方に突出して2個の組立舌片21が設けられ、略中央に組立突起22が突出している。前記排便受け部14の背面には、
図1に示すように配線板84が設けられ、この配線板84に搭載した1個の大便センサ23が排便受け部14の上面の略中央に露出し、4個の小便センサ24が大便センサ23の周りに露出して設けられている。
【0030】
前記洗浄水ノズル17の上端部には、
図8(a)に示すように肛門と陰部を洗浄する上向き噴射ノズル43が水平に対し40〜50度の角度で設けられ、また、側面部には、
図8(b)に示すように排便受け部14の上面全体に噴射するように略180度の広角の水平噴射ノズル44が設けられている。この洗浄水ノズル17の下端部には、導水管45が連結されている。
前記排尿受け部15の略中間位置には、
図2に示すように肛門と陰部を洗浄する洗浄水ノズル18が設けられている。前記便座本体部10の排便受け部14と排尿受け部15の背面には、後カバー部11と連結するための組立突起22が数箇所に設けられている。
前記排便受け部14の表面は、テフロン(登録商標)などの低摩擦材が塗布され、糞尿の付着を防止するとともに、流れをよくしている。
【0031】
前記後カバー部11は、
図3に示すように、底面受け部27と背面受け部28と側壁部31とによって前記便座本体部10と似た形状となし、前記便座本体部10の排便受け部14と排尿受け部15の背面から取り付けたとき、
図1に示すように、排便受け部14と底面受け部27との間の底部と両側部に底面空隙部29が形成され、排尿受け部15と背面受け部28との間に背面空隙部30が形成される。この後カバー部11の背面受け部28には、
図1に示すように、下から順に、ホース差し込み孔32と送風管取り付け孔33と洗浄水管取り付け孔34とコネクタ取り付け孔35が開口している。また、底面受け部27と背面受け部28の前記便座本体部10の組立突起22に対応した位置に組立突起22が設けられ、前端部左右に組立突起37を有する組立舌片36が設けられている。
【0032】
前記便座本体部10の筒部26には、つぶれないが屈曲可能な排泄物吸引ホース52が嵌め込まれ、結合バンド83によって固定され、前記後カバー部11のホース差し込み孔32から突出し、装着用便座を装着したままで、腰をかがめて起き上がるのを容易にしている。
前記後カバー部11の送風管取り付け孔33には、送風管連結部材49が取り付けられ、外部からの空気供給管53に連結し、内部では、
図4に示すような2本の空気送り管56が取り付けられている。前記後カバー部11の洗浄水管取り付け孔34には、外部からの温水の送水管54に連結し、内部では、洗浄水ノズル18と導水管45に連結した送水管連結部材50が取り付けられている。前記洗浄水ノズル18は、排尿受け部15の略中央に露出して設けられ、排尿後の男性器や女性器を洗浄する。前記後カバー部11のコネクタ取り付け孔35には、電気コード55を有するコネクタ51が取り付けられ、電気信号の入出力、電源の供給等が行われる。
前記送風管連結部材49と送水管連結部材50とコネクタ51は、後カバー部11の背面受け部28に固定的に取り付けてもよいし、また、公知のコネクタ機構により、着脱自在に取り付けるようにしてもよい。
【0033】
前記送風管連結部材49には、
図4に示すように、二股の空気送り管56が連結され、これらの空気送り管56には、それぞれ導風溝部材47が結合され、この導風溝部材47には、上面に円弧状に導風溝部48が開口している。前記空気送り管56は、便座本体部10と後カバー部11との間に形成された背面空隙部30から両側の底面空隙部29を経て前記導風長孔25の下面に密着して取り付けられる。前記空気送り管56は、送風時に抵抗をなくし送風力を向上させるために、出来るだけ太いものが用いられる。
前記送水管連結部材50に連結された導水管45は、便座本体部10と後カバー部11との間に形成された背面空隙部30から底面空隙部29を経て
図1に示すように、前記洗浄水ノズル17の下端部に連結される。この洗浄水ノズル17は、
図8(a)に示すように、約40〜50度の角度で洗浄の温水を上方へ噴射して主に肛門85を洗浄する上向き噴射ノズル43と、
図8(b)に示すように、180の扇状に洗浄水をほぼ水平に噴射して排便受け部14を洗浄する水平噴射ノズル44が設けられている。
前記便座本体部10の排便受け部14の背面から大便センサ23と小便センサ24を取り付けた配線板84が固定され、前記大便センサ23は、排便受け部14の略中央部上面に露出させ、この大便センサ23の周りに前記4個の小便センサ24が正面に露出して設けられている。
【0034】
前記便座本体部10の導風長孔25の上に、前蓋部12の両側先端部のほぞ41を便座本体部10のほぞ孔20に差し込みつつ被せる。すると、この前蓋部12には、
図5及び
図7に示すように、背面中央にU字形の導風フィン40aが設けられ、また、このU字形の導風フィン40aの両側に3本ずつの導風フィン40b,40c,40dが設けられ、送風路46a、46b、46c、46dを構成し、
図6に示すように、前記導風溝部48と導風長孔25の段差87を経て連通し、排便受け部14の上面に空気を送る。
前記送風路46a、46b、46c、46dからの空気の流量は、導風フィン40a、40b,40c,40dの相互の間隔、角度によって異なるが、糞尿を押し流す処理能力は、仰臥状態のとき、中央の2個所の送風路46aの流量が約40%で、左右の送風路46b、46c、46dの流量をそれぞれ30%とすることが最も効率が良いことが確かめられた。
具体的には、導風フィン40bは、中心線Lに対して26.5度に広がり、導風フィン40cは、中心線Lに対して0度(平行)で,導風フィン40dは、中心線Lに対して−15度に傾くことにより初期の目的が達成された。
前蓋部の中央には、ノズル逃げ凹部38が形成されている。
【0035】
前記後カバー部11に、排泄物吸引ホース52と空気供給管53と送水管54と電気コード55を取り付け、また、便座本体部10の排便受け部14の背面に配線板84、導風溝部材47等を固定し、便座本体部10の下面から後カバー部11を嵌め込み、複数個所の組立突起22とねじにより便座本体部10と後カバー部11を固定する。この便座本体部10の組立舌片21と後カバー部11の組立舌片36は、それぞれの組立突起22に組立突起37を嵌合して重ねた状態で、
図9に示す弾性体からなる尻受け部13の差込み溝61に圧入し、
図6に示すように組立突起22をねじ孔64に嵌合して一体化する。このとき、尻受け部13の底部63が前記後カバー部11の底部に密着する。尻受け部13は、弾性体からなるので、組立舌片21と組立舌片36は、差込み溝61を広げて圧入すると、組立突起22がねじ孔64に嵌合して一体化する。このように便座本体部10と後カバー部11とを尻受け部13の差込み溝61に嵌合した後、便座本体部10の上のほぞ孔20に前蓋部12のほぞ41を差し込み導風長孔25の上に前蓋部12を被せ、前蓋部12の組み立て舌片90を載せ凹部62に載せる。前蓋部12を被せた後、前蓋部12のねじ孔64にねじ65をねじ込むと、便座本体部10と後カバー部11と前蓋部12が尻受け部13に一体に固定されて
図10に示すように組み立てが完了する。
【0036】
次いで、
図11に示すように、褥瘡防止用の第1褥瘡防止材57と第2褥瘡防止材58と第3褥瘡防止材59を装着時に皮膚が圧迫される部分に嵌め込む。前記第1褥瘡防止材57は、排尿受け部15の両側の縁部92に上から被せ、前記第2褥瘡防止材58は、太股受け部16の上に上から被せる。第1褥瘡防止材57と第2褥瘡防止材58は、一体のものでもよい。
これらの第1褥瘡防止材57と第2褥瘡防止材58と第3褥瘡防止材59は、おむつを介在して装着したとき、体圧が50mmHg以下、さらに好ましくは、32mmHg以下となるものが望ましいとされている。
この条件を満足させるため、前記第1褥瘡防止材57と第2褥瘡防止材58は、硬度がJISAで5〜15度のシリコーンゴムからなり、固定的に接着される。尻受け部13の上面に取り付けられる第3褥瘡防止材59は、硬度がアスカーCで4〜10度のゲル材からなり、尻受け部13と第3褥瘡防止材59の間に汚物等が侵入したとき剥がして清掃し易いように、粘着性を有するものであることが望ましい。また、前記第3褥瘡防止材59は、仙骨が接触するので、尻受け部13に仙骨逃げ凹部60を形成して第3褥瘡防止材59を乗せることが望ましい。
【0037】
以上のように構成された装着用便座は、
図12(a)(b)に示すおむつ66を用いて股間に装着する。
このおむつ66の一例を説明する。
図12(a)(b)において、おむつ本体67は、腰回り包み部67aと、腹回り包み部67bと、これらより幅の狭い股間回り包み部67cとが1枚の比較的薄い紙からなり、このおむつ本体67の内側には、長方形のクッション材76が貼着されている。前記股間回り包み部67cの両側と前記腰回り包み部67aの端部略中央には、伸縮するギャザー70が形成され、下面に漏れ防止ひだ73が形成されてている。
このクッション材76と股間回り包み部67cを貫通して瓢箪型の排泄孔74が切り抜かれ、この排泄孔74の円形孔と直線切り込みの内側部分の貼着代75は、裏面に剥離紙のついた接着層が形成され、
図11における前蓋部12の導風板部39と便座本体部10の内壁部88に接着固定される。
この排泄孔74の両側には、2本ずつギャザーテープ77が固着れ、内側のギャザーテープ77の取り付け位置に沿って筒状に膨出した2本の男性器保持部80が間隔を持って設けられている。
【0038】
前記おむつ66の外側面には、腰回り包み部67aの端部から排泄孔74を包み込む大きさの吸湿作用を有する便座被覆布78が設けられ、この便座被覆布78の排泄孔74を包み込む以外の部分の周囲は、腰回り包み部67aの下面に接着され、この便座被覆布78と腰回り包み部67aとの重なり合う部分が差込み隙間79を構成している。前記便座被覆布78の排泄孔74を包み込む部分の周縁部には、剥離紙のついた接着層が形成されている。また、前記排泄孔74の近くの腹回り包み部67b側に臨ませた内側に男性器保持部80が設けられ、外側に隙間保持テープ81の一端部が接着され、この隙間保持テープ81の他端部に剥離紙のついた接着層が形成されている。前記腰回り包み部67aの両側には、面ファスナー72を有する固着片71が設けられ、腹回り包み部67bの面ファスナー72に着脱自在に結合される。
【0039】
以上のように構成された装着用便座を装着する順序を説明する。
(1)
図11に示す装着用便座の尻受け部13を、
図12に示すおむつ66の差込み隙間79に先端が差込み隙間79の内部に突き当たるまで差し込む。すると、おむつ66の排泄孔74が排便受け部14と一致する。このとき、洗浄水ノズル17が排泄孔74の切り欠き89から露出する。この状態で、排泄孔74の円形孔周縁の貼着代75の剥離紙をはがして前蓋部12の導風板部39に貼り付け、また、排泄孔74の直線部の貼着代75の剥離紙をはがして排便受け部14の内壁部88と排尿受け部15の内壁部に貼り付ける。
【0040】
(2)おむつ66を取り付けた装着用便座を患者等の股間にあてがう。このとき、患者等の臀部が尻受け部13の第3褥瘡防止材59の上に載るようにすると、肛門85が排便受け部14の大便センサ23のほぼ真上に位置し、太股の根元部分が装着用便座の太股受け部16に密着する。
【0041】
(3)密着したら、腹回り包み部67bを患者等の腹の上まで折り返す。このとき、患者等が男性の場合、男性器保持部80の間に男性器を位置させて尿道が排尿受け部15に正しく向くように位置させる。患者等が女性の場合、女性器は排尿受け部15の洗浄水ノズル18に略対峙する。
【0042】
(4)患者等の腹の上から腹回り包み部67bを巻き込み、この腹回り包み部67bの両側からギャザー70を伸ばしながら腰回り包み部67aを被せて固着片71の面ファスナー72を腹回り包み部67bの面ファスナー72に係止する。
【0043】
(5)装着用便座の排便受け部14と排尿受け部15と患者等の泌尿器との間に適正な空間を形成して、糞尿が排泄孔74の周りのおむつ66に付着しないようにするため、隙間保持テープ81を引き込んで、おむつ66の外面を装着用便座の第1褥瘡防止材57に密着させ、この隙間保持テープ81を剥離紙を取り除いて後カバー部11に貼り付け、更に、隙間保持テープ81が剥がれないように、隙間保持テープ81に交差して隙間保持テープ82を接着する。おむつ66には、排泄孔74の両側に2本ずつの面ファスナー72が形成され、更に股間回り包み部67cの両側にギャザー70が形成されているので、糞尿や洗浄水がおむつ66から漏れることはほとんどない。
【0044】
(6)しかし、おむつ66と装着用便座のセットの仕方が不十分なため、排便受け部14と排尿受け部15の両側から漏れる恐れがあることを防止するため、おむつ66の外面の便座被覆布78で排便受け部14の外側を包み込み、排泄孔74の剥離紙を除いて便座本体部10と後カバー部11に隙間なく貼り付ける。便座被覆布78は、防水と吸水の機能を持たせることにより、装着用便座の外部に漏れることから確実に防止する。
【0045】
以上のようにした装着用便座をおむつと共に装着し、排便、排尿を大便センサ23や小便センサ24で感知すると、図示しない排泄物処理装置が駆動して装着用便器内の排便と排尿を吸引処理し、温水で洗浄し、温風で乾燥する。
【0046】
前記実施例では、
図7に示すように、装着用便座を股間に装着して仰臥状態で排便や排尿をすることを前提として、前蓋部12の導風フィン40a,40b,40c,40dの角度を、中央部の送風量が40%で左右部がそれぞれ30%となるように設定した。
しかし、
図14に示すように、中心線L1からθだけ傾いた線L2のように横臥状態で排便、排尿をする人もあるので、その場合には、
図15に示すように、前蓋部12の導風フィン40a,40b,40c,40dの角度を、中央部の送風量が30%で左右部がそれぞれ35%などのように、中央部よりも左右部の風量を大きくすることもできる。このように左右の風量を大きくすると、体位変換などの左右に横臥して使用する人に有効である。
また、横臥状態が片側だけ、例えば左側だけの人のためには、左側のフィンの角度だけを
図15のように形成し、右側のフィンは、
図7の仰臥時の角度とすることもできる。右側に横臥する人の場合は、その逆とする。
なお、横臥状態や体位変換がしやすいように、
図14に示すように、後カバー部11の底面部に丸みを持たせて寝具93に食い込み易くしてもよい。
【0047】
前記実施例では、
図11に示すように、第1褥瘡防止材57は、排尿受け部15の両側の縁部92に上から被せ、前記第2褥瘡防止材58は、太股受け部16の上に上から被せ、第3褥瘡防止材59は、尻受け部13の仙骨逃げ凹部60に被せた。
これらの第1、第2、第3褥瘡防止材57、58,59の他に、
図16,
図17及び
図18に示すように、第4褥瘡防止材93を、後カバー部11における下面に取り付けることが望ましい。
さらに詳しくは、この第4褥瘡防止材93は、前記第1褥瘡防止材57と第2褥瘡防止材58と同様、硬度がJISAで5〜15度のシリコーンゴムからなり、後カバー部11における下面と、この下面から続く両側面の一部とを包むように固定的に接着される。前記後カバー部11の下面における便座被覆布78を貼着する接着代96には、第4褥瘡防止材93が取り付けないようにする。そして、この第4褥瘡防止材93をおむつ66の差込み隙間79に差し込んだ後、剥離紙94を剥がして接着層95で後カバー部11の下面と両側面に接着して便座本体部10の側方からの尿や洗浄水の漏れを防止する。この第4褥瘡防止材93を取り付けることにより、
図14に示すように、寝返りなどの体位変換をした場合にも確実に褥瘡を防止できる。