【実施例】
【0016】
まず、本発明に用いる改質キサンタンガムの製造例について説明する。
【0017】
(製造例1)
粉末状のキサンタンガム(ケルトロール,CPケルコ社製)1000gについて、循風乾燥機(ISUZU社製:Hot Air Rapid Drying Oven, soyokaze)を使用して100℃,2時間の加熱処理を行い、改質キサンタンガム1を得た。1%水溶液の粘度を測定したところ5500mPa・sであった。なお、用いた原料キサンタンガムの粘度は、910mPa・sであった。粘度は、B型粘度計(ビスメトロン,芝浦システム社製,ローターNo.2,回転数6rpm,温度25℃)により測定した。
【0018】
(製造例2)
粉末状のキサンタンガム(ケルトロール,CPケルコ社製)1000gについて、循風乾燥機(ISUZU社製:Hot Air Rapid Drying Oven, soyokaze)を使用して80℃,24時間の加熱処理を行い、改質キサンタンガム2を得た。1%水溶液の粘度を測定したところ9700mPa・sであった。粘度は、B型粘度計(ビスメトロン,芝浦システム社製,ローターNo.2,回転数6rpm,温度25℃)により測定した。
【0019】
(製造例3)
精製された粉末状のキサンタンガム(ケルトロール,CPケルコ社製)1000gについて、循風乾燥機(ISUZU社製:Hot Air Rapid Drying Oven, soyokaze)を使用して120℃,4時間の加熱処理を行い、改質キサンタンガム3を得た。1%水溶液の粘度を測定したところ21400mPa・sであった。粘度は、B型粘度計(ビスメトロン,芝浦システム社製,ローターNo.1,回転数6rpm,温度25℃)により測定した。
【0020】
次に、本発明に係る増粘用組成物、液体含有食品、及びその製造方法について説明する。なお、実施例及び比較例においては、以下の原料を用いた。
キサンタンガム:ケルトロール(CPケルコ社製)
馬鈴薯澱粉:松谷とき(松谷化学工業社製)
タピオカ澱粉:MKK-100(松谷化学工業社製)
ワキシコーンスターチ:ワキシコーンスターチ(日本食品化工社製)
甘藷澱粉:(廣八堂社製)
化工タピオカ澱粉A:松谷ゆり8(松谷化学工業社製)
化工タピオカ澱粉B:ファリネックスVA−70T(松谷化学工業社製)
化工馬鈴薯澱粉:ファリネックスAG−600(松谷化学工業社製)
化工ワキシコーンスターチ:ピュリティーCSC(日本エヌエスシー社製)
餅米澱粉:モチールB(島田化学工業社製)
うるち米澱粉:ベターフレンド(島田化学工業社製)
小麦粉:薄力粉(日清製粉社製)
餅粉:餅粉紫(日の本穀粉社製)
うるち米粉:上新粉(日の本穀粉社製)
葛粉:廣八本葛粉末(廣八堂社製)
蕨粉:本蕨粉粉末(CN) (廣八堂社製)
蓮粉:蓮粉粉末(廣八堂社製)
【0021】
実験例1
(実施例1)
改質キサンタンガム1を1gと、馬鈴薯澱粉50gとを混合して、実施例1に係る増粘用組成物を得た。これを水1000gに分散させた。その後、実施例1に係る増粘用組成物を加熱撹拌機(KR−MINI:梶原工業社製)を用いて充分に加熱撹拌(90℃,5分)して水に溶解させた。溶解後、60℃にてB型粘度計(ビスメトロン,芝浦システム社製,ローターNo.2,回転数6rpm)を用いて粘度を測定した(粘度1)。これを300gに小分けしレトルトパウチに封入し、レトルト殺菌(121℃,20分間)を行い、粘度1と同様にして粘度を測定した(粘度2)。結果を表1に示す。
【0022】
(実施例2〜3,比較例1〜2)
表1に示した原料を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2〜3及び比較例1〜2に係る増粘用組成物を得た。また、実施例1と同様にして粘度1及び粘度2を測定した。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
実験例1より、改質キサンタンガムと馬鈴薯澱粉を含む実施例1〜3においては、粘度を高くすることができ、かつレトルト殺菌しても粘度の低下を抑制することができるが、改質キサンタンガムを含まない比較例1〜2においては、粘度が低く、かつレトルト殺菌すると粘度が大幅に下がることが分かる。
【0025】
実験例2
(実施例4〜6,比較例3〜14)
表2及び表3に示す原料を表2及び3に示す配合比でキサンタンガム及びタピオカ澱粉を混合して実施例4〜6及び比較例3〜14に係る増粘用組成物を得た。これを水に添加し、加熱撹拌機(KR−MINI:梶原工業社製)を用いて充分に加熱撹拌(90℃,5分)して、溶解させた。得られた溶解液について、60℃にてB型粘度計(ビスメトロン,芝浦システム社製,ローターNo.2,回転数6rpm)を用いて粘度を測定した。結果を表2及び3に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
実験例2より、改質キサンタンガムと澱粉とを含む増粘用組成物は、粘度を著しく高くできることが分かる。
【0029】
実験例3
(実施例7)
改質キサンタンガム1を0.2gと、馬鈴薯澱粉49.8gとを混合して実施例7に係る増粘用組成物を得た。これを水1000gに分散させた。その後、実施例7に係る増粘用組成物を加熱撹拌機(KR−MINI:梶原工業社製)を用いて充分に加熱撹拌(90℃,5分)して、水に溶解させた。また、B型粘度計(ローターNo.1)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘度1及び粘度2を測定した。結果を表4に示す。
【0030】
(実施例8〜12)
表4に示した配合量とした以外は、実施例7と同様にして実施例8〜12に係る増粘用組成物を得た。また、実施例7と同様にして粘度1及び粘度2を測定した。結果を表4に示す。
【0031】
【表4】
【0032】
実験例3より、改質キサンタンガムと澱粉の配合比を変化させても、粘度を高くすることができ、かつレトルト殺菌しても粘度の低下を抑制することができることが分かる。
【0033】
実験例4
(実施例13)
改質キサンタンガム2を0.5gと、タピオカ澱粉50gを混合して実施例13に係る増粘用組成物を得た。これを水1000gに分散させた。その後、改質キサンタンガム2とタピオカ澱粉とを加熱撹拌機(KR−MINI:梶原工業社製)を用いて充分に加熱撹拌(90℃,5分)して、水に溶解させた。また、実施例1と同様にして粘度1及び粘度2を測定した。結果を表5に示す。
【0034】
(実施例14〜27,比較例15〜46)
表5乃至12に示した原料及び配合量とした以外は、実施例13と同様にして実施例14〜27及び比較例15〜46に係る増粘用組成物を得た。また、実施例13と同様にして粘度1及び粘度2を測定した。結果を表5乃至12に示す。
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
【表8】
【0039】
【表9】
【0040】
【表10】
【0041】
【表11】
【0042】
【表12】
【0043】
実験例4より、改質キサンタンガムと種々の澱粉とを用いても、粘度を高くすることができ、かつレトルト殺菌しても粘度の低下を抑制することができることが分かる。また、化工澱粉のレトルト殺菌後の粘度低下は、未化工の澱粉の粘度低下より少なかったが、改質キサンタンガムと澱粉とを用いた場合よりは、粘度の低下が大きいことが、例えば、実施例27と比較例2及び46との比較から、実施例13と比較例16及び22との比較から、実施例14と比較例18及び比較例28から分かる。
【0044】
実験例5
(実施例28)
改質キサンタンガム3を0.5gと、馬鈴薯澱粉45.5gとを混合して実施例28に係る増粘用組成物を得た。これを水1000gに分散させた。その後、実施例28に係る増粘用組成物を加熱撹拌機(KR−MINI:梶原工業社製)を用いて充分に加熱撹拌(90℃,5分)して、水に溶解させた。溶解後、食塩5gを混合し、60℃にてB型粘度計(ビスメトロン,芝浦システム社製,ローターNo.2,回転数6rpm)を用いて粘度を測定した(粘度1A)。これを300gに小分けしレトルトパウチに封入し、レトルト殺菌(121℃,20分間)を行い、粘度1Aと同様にして粘度を測定した(粘度2A)。結果を表13に示す。
【0045】
(実施例29,比較例47)
表13に示した配合量とした以外は、実施例28と同様にして実施例29及び比較例47に係る増粘用組成物を得た。また、食塩5gを混合する代わりに20gを混合した以外は粘度1A及び粘度2Aと同様にして、粘度1B及び粘度2Bを求めた。結果を表13に示す。
【0046】
【表13】
【0047】
実験例5から、塩分が高くても、粘度を高くすることができ、かつレトルト殺菌しても粘度の低下を抑制することができることが分かる。
【0048】
実験例6
(実施例30)
改質キサンタンガム1を1gと、馬鈴薯澱粉50gとを混合して実施例30に係る増粘用組成物を得た。これを水700gに分散させた。その後、実施例30に係る増粘用組成物を木べらを用いて充分に加熱撹拌(90℃,10分)して、水に溶解させた。これに砂糖300g、醤油100g、みりん10g、及びグルタミン酸ナトリウム0.5gを加え、加熱撹拌により混合して、たれを得た。たれついて、60℃にてB型粘度計(ビスメトロン,芝浦システム社製,ローターNo.2,6rpm)を用いて粘度を測定した(粘度1)。これを300gに小分けしレトルトパウチに封入し、レトルト殺菌(121℃,20分間)を行い、粘度1と同様にして粘度を測定した(粘度2)。結果を表14に示す。
【0049】
(比較例48)
改質キサンタンガム1の代わりにキサンタンガムを用いた以外は、実施例30と同様にして比較例48に係る増粘用組成物を得て、同様にたれを得た。また、実施例30と同様にして粘度1及び粘度2を測定した。結果を表14に示す。
【0050】
【表14】
【0051】
実験例6から、本発明に係る増粘用組成物を用いることにより、レトルト殺菌しても粘度の低下が少ないたれが作製できることが分かる。また粘度が高いため、垂れたり、浸みこんだりすることがなかった。
【0052】
実験例7
(実施例31)
改質キサンタンガム1を0.5gと、馬鈴薯澱粉10gとを混合して実施例31に係る増粘用組成物を得た。これを水500g、小麦粉20g、及び砂糖20gの混合物に分散させた。その後、実施例31に係る増粘用組成物を木べらを用いて充分に加熱撹拌(90℃,10分)して、前記混合物に溶解させた。溶解後、塩2g、グルタミン酸ナトリウム1g、及びカレー粉(エスビー社製)5gを入れ混ぜ合わせ、カレーを得た。カレーについて、60℃にてB型粘度計(ビスメトロン,芝浦システム社製,ローターNo.2,6rpm)を用いて粘度を測定した(粘度1)。これを300gに小分けしレトルトパウチに封入し、レトルト殺菌(121℃,20分間)を行い、粘度1と同様にして粘度を測定した(粘度2)。結果を表15に示す。
【0053】
(比較例49)
改質キサンタンガム1の代わりにキサンタンガムを用いた以外は、実施例31と同様にして比較例49に係る増粘用組成物を得て、同様にカレーを得た。また、実施例31と同様にして粘度1及び粘度2を測定した。結果を表15に示す。
【0054】
【表15】
【0055】
実験例7から、本発明に係る増粘用組成物を用いることにより、レトルト殺菌しても粘度の低下が少ないカレーが作製できることが分かる。このカレーは適度に粘度があり、ライスへの浸みこみが適度であり外観にも優れていた。