(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御器は、前記センサモジュールにより生成された前記少なくとも1つの信号を受信し、前記第一の平均インピーダンスおよび前記引き続く平均インピーダンスのうちの少なくとも1つをフィルタリングし、該第一の平均インピーダンスおよび該引き続く平均インピーダンスに関連する少なくとも1つの信号を生成するようにさらに構成されている、請求項1に記載の発電機。
前記制御器と双方向通信するユーザインターフェースであって、該ユーザインターフェースは、ユーザが少なくとも1つの外科手術前パラメータを選択することを可能にし、該少なくとも1つの外科手術前パラメータは、前記第一のサンプル枠中の前記電気外科波形の電力の増加のレベル、前記第二のサンプル枠中の該電気外科波形の前記電力の第一の調節のレベル、および、該電気外科波形の電力の引き続く調節のレベルのうちの少なくとも1つを含む、ユーザインターフェース
をさらに備える、請求項1に記載の発電機。
前記センサモジュールは、第三のサンプル枠中にピークインピーダンスを連続的に測定し、該ピークインピーダンスに関連する少なくとも1つの信号を生成するように構成されており、前記制御器は、該センサモジュールから該ピークインピーダンスに関連する少なくとも1つの信号を受信して、該ピークインピーダンスの上昇とベースインピーダンスより高い所定の閾値とを比較することにより、インピーダンスの急激な上昇を決定するように構成されている、請求項1に記載の発電機。
前記センサモジュールは、前記第二のサンプル枠に引き続く第三のサンプル枠中に第三の平均インピーダンスを決定し、該第三のサンプル枠に引き続く第四のサンプル枠中に第四の平均インピーダンスを決定するようにさらに構成されており、前記制御器は、該第三の平均インピーダンスと該第四の平均インピーダンスとが実質的に等しい場合、前記電気外科波形を該第四のサンプル枠に引き続く第五のサンプル枠に適用する、請求項1に記載の発電機。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
本開示は、電気外科発電機により生成される電気外科波形を制御する方法に関する。この方法は、電気外科発電機を作動させて電気外科波形を生じる最初の工程、および第一のサンプル枠中にこの電気外科波形の電力を増加させる最初の工程を包含する。この方法はまた、この電気外科波形の電力の増加に応答するこの第一のサンプル枠中の第一の平均インピーダンスの変化の方向を決定する工程、および引き続くサンプル枠中に、この第一の平均インピーダンスの変化の方向に応答して、この電気外科波形の電力の最初の調節を実施する工程を包含する。この方法はまた、この電力の最初の調節に応答するこの引き続くサンプル枠中の引き続く平均インピーダンスの変化の方向を決定する工程、およびこの引き続く平均インピーダンスの変化の方向に応答して、この電気外科波形の電力の引き続く調節を実施する工程を包含する。第一の平均インピーダンスの変化の方向と引き続く平均インピーダンスの変化の方向とが同じである場合、この電力の引き続く調節は、この電力の最初の調節と逆である(すなわち、逆の方向に調節される)。
【0007】
本開示の別の実施形態によれば、電気外科発電機により生成される電気外科波形を制御する方法は、電気外科発電機を起動させて電気外科波形を生じる最初の工程、および通常優先タスクの第一のサンプル枠中に、この電気外科波形の電力を増加させる最初の工程を包含する。この方法はまた、この電気外科波形の電力の増加に応答するこの通常優先タスクの第一のサンプル枠中の第一の平均インピーダンスの変化の方向を決定する工程、およびこの通常優先タスクの引き続くサンプル枠中に、この第一の平均インピーダンスの変化の方向に応答して、この電気外科波形の電力の最初の調節を実施する工程を包含する。この方法はまた、この電力の最初の調節に応答するこの通常優先タスクの引き続くサンプル枠中の引き続く平均インピーダンスの変化の方向を決定する工程、およびこの引き続く平均インピーダンスの変化の方向に応答して、この電気外科波形の電力の引き続く調節を実施する工程を包含し、この第一の平均インピーダンスの変化の方向とこの引き続く平均インピーダンスの変化の方向とが同じである場合、この電力の引き続く調節は、この電力の最初の調節の逆である(すなわち、逆方向に調節される)。
【0008】
本開示の別の実施形態によれば、組織への適用のための電気外科波形を生成するように適用された電気外科発電機と共に使用するための制御システムは、電気外科発電機により生成される電気外科波形の電力を調節するように構成された制御器を備える。この制御器は、第一のサンプル枠中に、電気外科波形の電力を増加させる。センサモジュールは、この組織への電気外科波形の適用から生じる組織インピーダンスを連続的に感知し、そしてこの組織への電気外科波形の適用に関連する少なくとも1つの信号を生成するように、構成される。少なくとも1つのループ制御モジュールが、この制御器と作動的に通信しており、このループ制御モジュールは、センサモジュールから少なくとも1つの信号を受信して、制御器によりなされた電気外科波形の電力の増加に応答する第一のサンプル枠中の第一の平均インピーダンスの変化の方向を決定するためのものである。この制御器は、引き続くサンプル枠中の第一の平均インピーダンスの変化の方向に応答して、電気外科波形の電力の第一の調節を実施する。少なくとも1つのループ制御モジュールは、制御器によりなされた電力の第一の調節に応答する引き続くサンプル枠中の引き続く平均インピーダンスの変化の方向を決定するように、さらに構成される。この制御器は、引き続く平均インピーダンスの変化の方向に応答して、電気外科波形の電力の引き続く調節を実施するようにさらに構成される。この第一の平均インピーダンスの変化の方向とこの引き続く平均インピーダンスの変化の方向とが同じである場合、この電力の引き続く調節は、電力の第一の調節と逆である(すなわち、逆方向に調節される)。
【0009】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
組織に適用される電気外科波形を出力するように構成された無線周波数出力;
センサモジュールであって、該センサモジュールは、組織への該電気外科波形の適用から生じる組織インピーダンスを連続的に感知して、該組織インピーダンスに関連する少なくとも1つの信号を生成するように構成されている、センサモジュール;および
制御器、
を備え、該制御器は、
該無線周波数出力により生成された電気外科波形の電力を調節し、この制御器は、第一のサンプル枠中に、該電気外科波形の電力を増加させ;
該センサモジュールから該少なくとも1つの信号を受信して、該制御器によりなされる該電気外科波形の電力の増加に応答する該第一のサンプル枠中の第一の平均インピーダンスの変化の方向を決定し、該制御器は、引き続くサンプル枠中に、該第一の平均インピーダンスの変化の方向に応答して、該電気外科波形の電力の第一の調節を実施し;
該制御器によりなされる該電力の第一の調節に応答する該引き続くサンプル枠中の引き続く平均インピーダンスの変化の方向を決定し;そして
該引き続く平均インピーダンスの変化の方向に応答して、該電気外科波形の電力の引き続く調節を実施し、該第一の平均インピーダンスの変化の方向と該引き続く平均インピーダンスの変化の方向とが同じである場合、該電力の引き続く調節は、該電力の第一の調節と逆である、
ように構成されている、電気外科発電機。
【0010】
(項目2)
上記制御器が、上記センサモジュールにより生成された上記少なくとも1つの信号を受信し、そして上記第一の平均インピーダンスおよび上記引き続く平均インピーダンスのうちの少なくとも1つをフィルタリングし、そして該第一の平均インピーダンスおよび該引き続く平均インピーダンスに関連する少なくとも1つの信号を生成するようにさらに構成されている、上記項目に記載の発電機。
【0011】
(項目3)
上記制御器と双方向通信するユーザインターフェースであって、該ユーザインターフェースは、ユーザが少なくとも1つの外科手術前パラメータを選択することを可能にし、該少なくとも1つの外科手術前パラメータは、上記第一のサンプル枠中の上記電気外科波形の電力の増加のレベル、上記引き続くサンプル枠中の該電気外科波形の上記電力の第一の調節のレベル、および該電気外科波形の電力の引き続く調節のレベルのうちの少なくとも1つを含む、ユーザインターフェース、
をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の発電機。
【0012】
(項目4)
上記制御器が、上記第一の平均インピーダンスの減少に応答して上記電気外科波形の電力を増加させ、そして該第一の平均インピーダンスの増加に応答して該電気外科波形の電力を減少させるようにさらに構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の発電機。
【0013】
(項目5)
上記制御器が、上記第一の平均インピーダンスの減少に応答して上記電気外科波形の電力を減少させ、そして該第一の平均インピーダンスの増加に応答して該電気外科波形の電力を増加させるようにさらに構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の発電機。
【0014】
(項目6)
上記センサモジュールが、第三のサンプル枠中にピークインピーダンスを連続的に測定し、そして該ピークインピーダンスに関連する少なくとも1つの信号を生成するように構成されており、そして上記制御器が、該センサモジュールから該ピークインピーダンスに関連する少なくとも1つの信号を受信して、該ピークインピーダンスをインピーダンスの所定の閾値変化と比較し、インピーダンスの急激な上昇を決定するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の発電機。
【0015】
(項目7)
上記センサモジュールが、第三のサンプル枠中に第三の平均インピーダンスを決定し、そして第四のサンプル枠中に第四の平均インピーダンスを決定するようにさらに構成されており、そして該第三の平均インピーダンスと該第四の平均インピーダンスが実質的に等しい場合、上記制御器が、上記電気外科波形を第五のサンプル枠に適用する、上記項目のうちのいずれかに記載の発電機。
【0016】
(項目1A)
電気外科発電機により生成される電気外科波形を制御する方法であって、
電気外科発電機を起動させて電気外科波形を生じる工程;
第一のサンプル枠中に該電気外科波形の電力を増加させる工程;
該電気外科波形の電力の増加に応答する該第一のサンプル枠中の第一の平均インピーダンスの変化の方向を決定する工程;
引き続くサンプル枠中に、該第一の平均インピーダンスの変化の方向に応答して、該電気外科波形の電力の第一の調節を実施する工程;
該電力の第一の調節に応答する該引き続くサンプル枠中の引き続く平均インピーダンスの変化の方向を決定する工程;および
該引き続く平均インピーダンスの変化の方向に応答して、該電気外科波形の電力の引き続く調節を実施する工程であって、該第一の平均インピーダンスの変化の方向と該引き続く平均インピーダンスの変化の方向が同じである場合、該電力の引き続く調節は、該電力の第一の調節と逆である、工程、
を包含する、方法。
【0017】
(項目2A)
上記電力を調節する工程が、
第一の平均インピーダンス曲線の減少に応答して、上記電気外科波形の電力を増加させる工程;および
上記平均インピーダンスの増加に応答して、該電気外科波形の電力を減少させる工程、
をさらに包含する、上記項目に記載の方法。
【0018】
(項目3A)
上記電力の引き続く調節を実施する工程が、
上記第一の平均インピーダンスの減少に応答して、上記電気外科波形の電力を減少させる工程;および
上記平均インピーダンスの増加に応答して、該電気外科波形の電力を増加させる工程、
をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0019】
(項目4A)
上記電力の引き続く調節を実施する工程の後に、上記方法が、
第三のサンプル枠中にピークインピーダンスを連続的に測定する工程;および
該ピークインピーダンスを、インピーダンスの所定の閾値変化と比較して、インピーダンスの急激な上昇を決定する工程、
をさらに包含する。上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0020】
(項目5A)
上記電力の引き続く調節を実施する工程の後に、上記方法が、
第三のサンプル枠中に第三の平均インピーダンスを決定する工程;
第四のサンプル枠中に第四の平均インピーダンスを決定する工程;および
該第三の平均インピーダンスと該第四の平均インピーダンスとが実質的に等しい場合、第五のサンプル枠に上記電気外科波形を適用する工程、
をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0021】
(項目6A)
電気外科発電機により生成される電気外科波形を制御する方法であって、
電気外科発電機を起動させて電気外科波形を生じる工程;
通常優先タスクの第一のサンプル枠中に、該電気外科波形の電力を増加させる工程;
該電気外科波形の電力の増加に応答する該通常優先タスクの第一のサンプル枠中の第一の平均インピーダンスの変化の方向を決定する工程;
該通常優先タスクの引き続くサンプル枠中に、該第一の平均インピーダンスの変化の方向に応答して、該電気外科波形の電力の第一の調節を実施する工程;
該電力の第一の調節に応答する該通常優先タスクの引き続くサンプル枠中の引き続く平均インピーダンスの変化の方向を決定する工程;および
該引き続く平均インピーダンスの変化の方向に応答して、該電気外科波形の電力の引き続く調節を実施する工程であって、該第一の平均インピーダンスの変化の方向と該引き続く平均インピーダンスの変化の方向とが同じである場合、該電力の引き続く調節は、該電力の第一の調節と逆である、工程、
を包含する、方法。
【0022】
(項目7A)
上記電気外科発電機を起動させて電気外科波形を生じる工程の後に、上記方法が、
高優先タスクの第一のサンプル枠中にピークインピーダンスを連続的に測定する工程であって、該高優先タスクは、上記通常優先タスクの上に重ねられ、そして該通常優先タスクと同時に動作するように構成されている、工程;および
該ピークインピーダンスをインピーダンスの所定の閾値変化と比較して、インピーダンスの急激な上昇を決定する工程、
をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0023】
(項目8A)
上記電気外科発電機を起動させて電気外科波形を生じる工程の後に、上記方法が、
低優先タスクの第一のサンプル枠中に第一の平均インピーダンスを決定する工程であって、該低優先タスクは、上記通常優先タスクの上に重ねられ、そして該通常優先タスクと同時に動作するように構成されている、工程;
該低優先タスクの第二のサンプル枠中に第二の平均インピーダンスを決定する工程;および
第三の平均インピーダンスと第四の平均インピーダンスが実質的に等しい場合、該低優先タスクの第三のサンプルに該電気外科波形を適用する工程、
をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0024】
(項目9A)
組織への適用のための電気外科波形を生成するように適合された電気外科発電機と共に使用するための制御システムであって、
電気外科発電機により生成される電気外科波形の電力を調節するように構成された制御器であって、該制御器は、第一のサンプル枠中に、該電気外科波形の電力を増加させる、制御器;
センサモジュールであって、該組織への該電気外科波形の適用から生じる組織インピーダンスを連続的に感知し、そして該組織インピーダンスに関する少なくとも1つの信号を生成するように構成されている、センサモジュール;および
該制御器と作動可能に通信している少なくとも1つのループ制御モジュールであって、該ループ制御モジュールは、該センサモジュールから該少なくとも1つの信号を受信して、該制御器によりなされる該電気外科波形の電力の増加に応答する該第一のサンプル枠中の第一の平均インピーダンスの変化の方向を決定するためのものであり、該制御器は、引き続くサンプル枠中に、該第一の平均インピーダンスの変化の方向に応答して、該電気外科波形の電力の第一の調節を実施する、ループ制御モジュール、
を備え、
該少なくとも1つのループ制御モジュールは、該制御器によりなされる電力の第一の調節に応答する該引き続くサンプル枠中の引き続く平均インピーダンスの変化の方向を決定するようにさらに構成されており;そして
該制御器は、該引き続く平均インピーダンスの変化の方向に応答して、該電気外科波形の電力の引き続く調節を実施するようにさらに構成されており、該第一の平均インピーダンスの変化の方向と該引き続く平均インピーダンスの変化の方向とが同じである場合、該電力の引き続く調節は、該電力の第一の調節と逆である、
制御システム。
【0025】
(項目10A)
複数のインピーダンスフィルタであって、該インピーダンスフィルタは、上記センサモジュールにより生成された上記少なくとも1つの信号を受信し、そして上記第一の平均インピーダンスおよび上記引き続く平均インピーダンスのうちの少なくとも1つをフィルタリングし、そして上記制御器に伝達するための該第一の平均インピーダンスおよび該引き続く平均インピーダンスに関連する少なくとも1つの信号を生成するように構成されている、インピーダンスフィルタ、
をさらに備える、上記項目に記載の制御システム。
【0026】
(項目11A)
上記制御器と双方向通信するユーザインターフェースであって、該ユーザインターフェースは、ユーザが少なくとも1つの外科手術前パラメータを選択することを可能にし、該少なくとも1つの外科手術前パラメータは、上記第一のサンプル枠中の上記電気外科波形の電力の増加のレベル、上記引き続くサンプル枠中の該電気外科波形の電力の第一の調節のレベル、および該電気外科波形の電力の引き続く調節のレベルのうちの少なくとも1つを含む、ユーザインターフェース、
をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の制御システム。
【0027】
(項目12A)
上記制御器が、上記第一の平均インピーダンスの減少に応答して上記電気外科波形の電力を増加させ、そして該第一の平均インピーダンスの増加に応答して該電気外科波形の電力を減少させるようにさらに構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の制御システム。
【0028】
(項目13A)
上記制御器が、上記第一の平均インピーダンスの減少に応答して上記電気外科波形の電力を減少させ、そして該第一の平均インピーダンスの増加に応答して該電気外科波形の電力を増加させるようにさらに構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の制御システム。
【0029】
(項目14A)
上記センサモジュールが、第三のサンプル枠中にピークインピーダンスを連続的に測定し、そして該ピークインピーダンスに関連する少なくとも1つの信号を生成するように構成されており、そして上記少なくとも1つのループ制御モジュールが、該センサモジュールから、該ピークインピーダンスに関連する少なくとも1つの信号を受信して、該ピークインピーダンスをインピーダンスの所定の閾値変化と比較し、インピーダンスの急激な上昇を決定するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の制御システム。
【0030】
(項目15A)
上記センサモジュールが、第三のサンプル枠中に第三の平均インピーダンスを決定し、そして第四のサンプル枠中に第四の平均インピーダンスを決定するようにさらに構成されており、そして上記制御器が、該第三の平均インピーダンスと該第四の平均インピーダンスとが実質的に等しい場合に、上記電気外科波形を第五のサンプル枠に適用する、上記項目のうちのいずれかに記載の制御システム。
【0031】
(本開示の摘要)
(摘要)
電気外科波形を制御する方法は、電気外科発電機を起動させる最初の工程、および第一のサンプル枠中に電力を増加させる最初の工程、および第一のサンプル枠中に第一の平均インピーダンスの変化の方向を決定する最初の工程を包含する。この方法はまた、引き続くサンプル枠中に第一の平均インピーダンスの変化の方向に応答して電力の第一の調節を実施する工程、および電力の第一の調節に応答する引き続くサンプル枠中に引き続く平均インピーダンスの変化の方向を決定する工程を包含する。この方法はまた、引き続く平均インピーダンスの変化の方向に応答して電力の引き続く調節を実施する工程を包含する。この第一の平均インピーダンスの変化の方向とこの引き続く平均インピーダンスの変化の方向とが同じである場合、この電力の引き続く調節は、電力の第一の調節と逆である。
【0032】
本開示の種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(詳細な説明)
本開示の特定の実施形態が、添付の図面を参照しながら本明細書中以下に記載される。以下の説明において、周知の機能または構成は、本開示を不必要な細部においてあいまいにすることを回避するために、詳細には記載されない。当業者は、本開示が内視鏡器具または観血器具のいずれかと共に使用するために適合され得ることを理解する。
【0035】
本開示による発電機は、単極電気外科手順および双極電気外科手順(組織切除手順を含む)を実施し得る。この発電機は、種々の電気外科器具(例えば、単極活性電極、リターン電極、双極電気外科鉗子、フットスイッチなど)とインターフェースするための複数の出力を備え得る。さらに、この発電機は、種々の電気外科モード(例えば、切断、ブレンド、分割など)および手順(例えば、単極、双極、脈管シール)に特に適した無線周波数電力を発生させるように構成された電気回路を備える。
【0036】
図1Aは、本開示の1つの実施形態による単極電気外科システムの概略図である。このシステムは、1つ以上の活性電極3を備える単極電気外科器具2を備え、この活性電極は、電気外科切断プローブ、切除電極などであり得る。電気外科用RFエネルギーは、発電機20により、発電機20の活性端子30(
図2)に接続された供給ライン4を介して、器具2に供給され、器具2が組織を凝固させ、切除し、そして/または他の様式で処置することを可能にする。このエネルギーは、リターン電極6を通り、リターンライン8を通って、発電機20のリターン端子32(
図2)において発電機20に戻される。活性端子30およびリターン端子32は、それぞれ器具2のプラグ(明白には図示せず)およびリターン電極6とインターフェースするように構成される。これらの器具およびリターン電極は、それぞれ供給ライン4およびリターンライン8の端部に配置される。
【0037】
このシステムは、患者Pとの全体の接触面積を最小にすることによって組織の損傷の機会を最小にするように配置された、複数のリターン電極6を備え得る。さらに、発電機20およびリターン電極6は、いわゆる「組織と患者との」接触を監視するように構成されて、これらの間での充分な接触が存在することを保証し、組織損傷の機会をさらに最小にし得る。
【0038】
図1Bは、本開示による双極電気外科システムの概略図である。このシステムは、患者Pの組織を処置するための1つ以上の電極を有する、双極電気外科鉗子10を備える。電気外科鉗子10は、内部に配置される活性電極14およびリターン電極16を有する、対向する顎部材を備える。活性電極14およびリターン電極16は、ケーブル18を通して発電機20に接続され、このケーブルは、それぞれ活性端子30およびリターン端子32(
図2)に結合された供給ライン4およびリターンライン8を備える。電気外科鉗子10は、コネクタ21において発電機20に結合される。このコネクタは、ケーブル18の端部に配置されたプラグを介して活性端子30およびリターン端子32(例えば、ピン)への接続を有し、このプラグは、供給ライン4およびリターンライン8からの接点を備える。
【0039】
図1A〜
図1Bには明白には示されないが、発電機20は、発電機20を制御するために適切な入力制御器(例えば、ボタン、アクチベータ、スイッチ、タッチスクリーンなど)、および外科医に種々の出力情報(例えば、強度設定、処置完了指標など)を提供するための1つ以上の表示スクリーンを備える。これらの制御は、外科医がRFエネルギーの電力、波形およびパラメータを調節して、特定の作業(例えば、組織切除)のために適切な所望の波形を達成することを可能にする。さらに、器具2は、複数の入力制御を備え得、これらの入力制御は、発電機20の特定の入力制御と冗長であり得る。これらの入力制御を器具2に配置することによって、外科手術手順中に、発電機20との相互作用を必要とせずに、RFエネルギーパラメータのより容易かつより迅速な改変が可能になる。
【0040】
図2は、発電機20の概略ブロック図を示し、この発電機は、制御器24、電源27、RF出力ステージ28、およびセンサモジュール22を有する。電源27は、DC電力をRF出力ステージ28に提供し得、このRF出力ステージは次いで、このDC電力をRFエネルギーに変換し、そしてこのRFエネルギーを器具2に送達する。制御器24は、メモリ26を有するマイクロプロセッサ25を備え、このメモリは、揮発性タイプのメモリ(例えば、RAM)および/または不揮発性タイプのメモリ(例えば、フラッシュ媒体、ディスク媒体など)であり得る。マイクロプロセッサ25は、電源27および/またはRF出力ステージ28に接続された出力ポートを備え、この出力ポートは、マイクロプロセッサ25が開いた制御ループスキームおよび/または閉じた制御ループスキームのいずれかに従って、発電機20の出力を制御することを可能にする。
【0041】
閉じたループ制御スキームは一般に、フィードバック制御ループを備え、このフィードバック制御ループにおいて、センサモジュール22は、制御器24にフィードバック(すなわち、種々の組織パラメータ(例えば、組織インピーダンス、組織温度、出力電流および/または電圧など)を感知するための1つ以上の感知機構から得られた情報)を提供する。次いで、制御器24は、電源27および/またはRF出力ステージ28に信号を送り、次いで、この電源はDC電力供給を調節し、そして/またはこのRF出力ステージはRF電力供給を調節する。制御器24はまた、発電機20および/または器具2の入力制御からの入力信号を受信する。制御器24は、これらの入力信号を利用して、発電機20の電力出力を調節し、そして/または発電機20に、他の制御機能を実施するように指示する。
【0042】
マイクロプロセッサ25は、センサモジュール22により受信されたデータを処理するため、およびこれに従って、発電機20に制御信号を出力するための、ソフトウェア命令を実行し得る。制御器24により実行されるソフトウェア命令は、制御器24のメモリ26に格納される。
【0043】
制御器24は、マイクロプロセッサ25よりむしろ、またはマイクロプロセッサ25と組み合わせて、感知された値を処理するため、および発電機20に送信された制御信号を決定するための、アナログ回路および/または論理回路を備え得る。
【0044】
センサモジュール22は、種々の特性または状態(例えば、組織インピーダンス、組織部位における電圧、組織部位における電流など)を感知するために戦略的に配置された、複数のセンサ(明白には図示せず)を備え得る。これらのセンサは、制御器24に情報を伝達するためのリード線を備える(または無線である)。センサモジュール22は、制御回路構造を備え得、この制御回路構造は、複数のセンサから情報を受信し、そしてこの情報および情報源(例えば、その情報を提供する特定のセンサ)を制御器24に提供する。
【0045】
より具体的には、センサモジュール22は、外科手術部位に適用される電圧および電流に関するリアルタイムの値を感知するための、リアルタイム電圧感知システム(明白には図示せず)およびリアルタイム電流感知システム(明白には図示せず)を備え得る。さらに、RMS電圧感知システム(明白には図示せず)およびRMS電流感知システム(明白には図示せず)が、外科手術部位に適用される電圧および電流についてのRMS値を感知および送達するために、備えられ得る。
【0046】
測定または感知された値は、センサモジュール22の回路構造および/もしくはプロセッサ(明白には図示せず)ならびに/または制御器24のいずれかによってさらに処理されて、感知された値および組織インピーダンスの変化を決定する。組織インピーダンスおよびその変化は、組織を横切る電圧および/または電流を測定し、次いでその経時的な変化を計算することにより決定され得る。次いで、これらの測定および計算された値は、種々の組織型、手順、器具などに関連する既知または所望の電圧値および電流値と比較され得る。これは、電気外科出力を所望のインピーダンスおよび/またはインピーダンス値の変化に到達させるために使用され得る。外科手術手順が進行するにつれて、組織インピーダンスは、発電機出力の調節ならびに外科手術部位における組織からの液体(例えば、水蒸気泡)の除去および回復に応答して、変動する。制御器24は、組織インピーダンスおよび組織インピーダンス変化を監視し、そしてこれに応答して、所望の最適な電気外科効果を達成するように、発電機20の出力を調節する。
【0047】
一般に、本開示によるシステムは、組織の特性(例えば、電気的特性および/または物理的特性)に基づいて、所望の組織処置を達成するための、エネルギーの適用を調節する。ある実施形態において、組織へのエネルギーの適用は、その組織の電気伝導率に基づいて、組織温度の関数として調節される。組織温度の関数としての組織伝導率は、伝導率対温度の曲線として表され得る。組織コンダクタンスは、物質的な組織特性(例えば、組織の長さ、組織の面積など)が一定のままである場合、組織インピーダンスに反比例する。具体的には、組織コンダクタンスと組織インピーダンスは、以下の式により関連付けられる:
Z=L/(σ×A);
ここでZは、処置を受けている組織のインピーダンスであり;
Lは、処置を受けている組織の長さであり;
σは、処置を受けている組織の電気コンダクタンスであり;そして
Aは、処置を受けている組織の表面積である。
【0048】
図3は、切除を(例えば、電気外科器具2を利用して)受けている組織についての、代表的な伝導率対温度曲線と対応する(すなわち、同じ温度範囲にわたる)インピーダンス対温度曲線との間の関係を図示する。図示される曲線は、切除を受けている組織について、インピーダンス対温度曲線の最も低いインピーダンス値は、コンダクタンス対温度曲線の最も高いコンダクタンス値に対応することを示す。
【0049】
切除を受けている組織についてのコンダクタンス対温度曲線は、種々の要因(例えば、組織に適用されるエネルギーの変化)に起因して、動的に変化しているかもしれない。本開示は、この曲線を能動的に追跡して、エネルギーの適用が曲線の動的性質にかかわらず、この曲線上の最適な位置(例えば、ピーク組織コンダクタンス)を維持することを可能にする、制御アルゴリズムを提供する。
【0050】
図4は、本開示の1つの実施形態による、組織へのエネルギーの適用を調節するための制御アルゴリズム200を図示する流れ図を示す。ある実施形態において、アルゴリズム200は、メモリ26に入っている、制御器24により(例えば、マイクロプロセッサ25を介して)実行可能なソフトウェアアプリケーションであり得る。
【0051】
この制御アルゴリズムは、状態変数(SV)が、切除を受けている組織の1つ以上の物理的特性(例えば、組織インピーダンス、組織を横切る電圧、組織を通る電流)および/または適用されるエネルギーに関連する1つ以上の電気的特性(例えば、組織に適用される電力の振幅および/または位相など)のリアルタイムの値を表すように定義する。ある実施形態において、SVは、任意の1つ以上のいわゆる「状態」において定義され得る。例えば、SVは、組織抵抗のリアルタイムの状態を、「低下している」または「上昇している」のいずれかとして表し得る。
【0052】
図4Aに図示される実施形態において、アルゴリズム200は最初に、SVを低下していると定義し、そして組織へのエネルギーの適用を増加させる(例えば、制御器24は、発電機20の出力を増加させる)。引き続いて、制御アルゴリズム200は、スイッチループ210に入り、このループにおいて、アルゴリズム200は、SVが2つの状態(例えば、低下または上昇)のうちのいずれか一方であることを連続的に監視する。SVの検出された状態に基づいて、アルゴリズム200は、2つの制御ループの間を切り替えて、組織へのエネルギーの適用を制御する。
【0053】
図示される実施形態において、アルゴリズム200は、2つの制御ループ220および230のうちの一方に入る。制御ループ220と制御ループ230は、スイッチループ210を介してアルゴリズム200により検出されるSVの低下状態およびSVの上昇状態にそれぞれ対応する。より具体的には、アルゴリズム200は、スイッチループ210がSVの状態を低下していると検出する場合に、低下している場合の制御ループ220に入る。制御ループ220に入ると、アルゴリズム200は、(例えば、センサモジュール22を介して)制御曲線(例えば、
図3のインピーダンス対温度曲線)の傾斜を連続的に検出する。制御曲線の検出された傾斜が負である場合、アルゴリズム200は、組織へのエネルギーの適用を上昇させ(例えば、制御器24が発電機20の出力を増加させる)、そして引き続いて、SVを低下していると定義する。この様式で、低下している場合の制御ループ220は、SVが低下していると定義され、そして制御曲線の傾斜が負である限り、繰り返される。
【0054】
逆に、制御曲線の検出された傾斜が負ではない(例えば、傾斜=0または傾斜>0)場合、アルゴリズム200は、組織へのエネルギーの適用を低下させ、そして引き続いて、SVを上昇していると定義する。この様式で、スイッチループ210は、SVを上昇していると検出し、従って、アルゴリズム200を上昇している場合の制御ループ230に入る。
【0055】
上昇している場合の制御ループ230に入ると、アルゴリズム200は、制御曲線の傾斜を連続的に検出する。上昇している場合の制御ループ230は、制御曲線の検出された傾斜に対する応答が低下している場合の制御ループ220の応答と正反対になるように構成される。より具体的には、制御曲線の検出された傾斜が、上昇している場合の制御ループ230の間に負である場合、アルゴリズム200は、組織へのエネルギーの適用を低下さ
せ(例えば、制御器24が発電機20の出力をさらに低下させる)、そして引き続いて、SVを低下していると定義する。この方法で組織へのエネルギーの適用を増加させ続けることにより、アルゴリズム200は、制御曲線の最適な点(例えば、温度の関数として最低の可能な組織インピーダンス)を効果的に追跡する。逆に、制御曲線の検出された傾斜が負ではない(例えば、傾斜=0または傾斜>0)場合、アルゴリズム200は、組織へのエネルギーの適用を増加させ、そして引き続いて、SVを低下していると定義する。この方法で組織へのエネルギーの適用を増加させることによって、アルゴリズム200は、組織に最大のエネルギーを効果的に送達することが可能である。いずれの方法においても(すなわち、傾斜<0;および傾斜≧0)、上昇している場合の制御ループ230に関して、SVは低下するようにリセットされ、その結果、アルゴリズム200は、低下している場合の制御ループ220に入るか、または再び入る。この様式で、アルゴリズム200は積極的に、組織にエネルギーを適用して、最大の組織加熱を達成し、同時に制御曲線の最適な点(例えば、可能な限り低い組織インピーダンス)を追跡する。
【0056】
組織インピーダンス対温度曲線(例えば、
図3)が制御曲線として利用される実施形態において、低下している場合の制御ループ220は、負であると検出された傾斜が、低下している場合の組織インピーダンスに対応することを認識し、従って、アルゴリズム200は、これに従って組織へのエネルギーの適用を増加させ、そして低下している場合の制御ループ220に再び入る。逆に、低下している場合の制御ループ220は、負ではないと検出された傾斜が、上昇している場合の組織インピーダンスに対応することを認識し、従って、アルゴリズム200は、これに従って組織へのエネルギーの適用を減少させ、そして上昇している場合の制御ループ230に入る。上昇している場合の制御ループ230は、負であると検出された傾斜が、低下している場合の組織インピーダンスに対応することを認識し、従って、アルゴリズム220は、組織へのエネルギーの適用をさらに減少させて、アルゴリズム200が可能な限り低い組織インピーダンスを見出すことを確実にする。逆に、上昇している場合の制御ループ230は、正またはゼロである(例えば、負ではない)と検出された傾斜が、変化しない場合または上昇し続ける場合の組織インピーダンスに対応することを認識し、従って、アルゴリズム200は、組織へのエネルギーの適用を増加させて、最大のエネルギーが組織に送達されることを確実にする。
【0057】
ある実施形態において、SVが上昇している場合、制御曲線の傾斜が負である場合、組織に適用されるエネルギーは低下され、そしてSVは、低下しているではなく上昇しているにリセットされる。これは、
図4Aに図示される実施形態の場合と同様である。
図4Bは、本開示の実施形態による代替のアルゴリズム300を図示する流れ図を示す。アルゴリズム300は、
図4Aに図示されるアルゴリズム200と同様に動作するので、これらの実施形態の間の違いを説明するために必要な程度までのみが記載される。アルゴリズム300は、
図4Aに図示されるアルゴリズム200と同一の初期設定を利用する。さらに、アルゴリズム300は、2つの制御ループ(すなわち、低下していると定義されるSVに対応する低下している場合の制御ループ320、および上昇していると定義されるSVに対応する上昇している場合の制御ループ330)の間を切り替えるように構成されたスイッチループ310を備える。
【0058】
図4Aおよび
図4Bに図示されるように、アルゴリズム200とアルゴリズム300との間の違いは、それぞれの上昇している場合の制御ループ230および330にある。アルゴリズム300のスイッチループ310において、SVが上昇していると定義される場合、制御曲線の傾斜が負であれば、アルゴリズム300は、組織に適用されるエネルギーを減少させ、そしてSVを、
図4Aにおいて実施されるアルゴリズム200の場合のように低下しているにリセットするのではなく、上昇しているに維持する。この様式で、上昇している場合の制御ループ330は、制御曲線の傾斜が負で
なくなる(例えば、傾斜=0または傾斜>0である)
まで、ループし続ける。組織インピーダンス対温度曲線(例えば、
図3)が制御曲線として利用される実施形態において、組織インピーダンスが低下している(例えば、制御曲線の傾斜が0未満である)場合、上昇している場合の制御ループ330は、組織インピーダンスが負ではない(すなわち、制御曲線の傾斜が0より大きい)ことをアルゴリズム300が検出するまで、続く。組織インピーダンスが負ではないことを検出すると、アルゴリズム300は、組織へのエネルギーの適用を増加させ、そしてSVを低下するようにリセットする。
【0059】
ある実施形態において、高優先制御ループが、アルゴリズム200および300の上に重ねられて、これらと一緒に実行され得る。組織の切除中に、連続的なエネルギー上昇をもたらす状態が存在し得る。このようなエネルギー上昇は、組織特性(例えば、インピーダンス)を上昇させ得、そして/またはピークコンダクタンス範囲外もしくはいわゆる「ランナウェイ状態」にさせ得る。高優先制御ループは、ランナウェイ状態について制御曲線を監視し、そしてこれに従って、エネルギーの適用を調節する(例えば、制御器24が発電機20の出力を低下させる)。より具体的には、高優先ループは、アルゴリズム(例えば、アルゴリズム200および300)を途切れさせて、ランナウェイ状態について確認し、そしてこのような状態が検出される場合に、エネルギーの適用を低下させる。インピーダンス対温度曲線(
図3)が制御曲線として利用される実施形態において、高優先ループは、組織インピーダンスが予め決定された閾値より高く上昇しているか否かを問い合わせ続ける。予め決定された閾値は、発電機20の入力制御を介して外科医により予め決定され得、そして/またはマイクロプロセッサ25による実行のためにメモリ26中に存在し得る。
【0060】
図5を参照すると、本開示の別の実施形態が示されている。図示される実施形態において、エネルギーの適用は、メモリ26に格納された閉ループ制御システム400に従って、制御器24により調節される。システム400は、組織インピーダンスを組織コンダクタンスの指標として連続的に監視し、そして可能な限り低い組織インピーダンスおよび/または可能な限り高い組織コンダクタンスを生じるように、出力を自動的に調節する。所定の手順の開始の際、またはその後の何らかの所定の時間の遅延の際に、システム400は、センサ24により決定されたベースラインインピーダンスZ
BASEを処理し、そして格納する。システム400は、平均組織インピーダンスの、ベースラインインピーダンスZ
BASEからの偏差を、時間の関数として決定し、そしてこのような偏差に応答して、発電機20の出力を調節する。これにより、ピーク組織コンダクタンスが、組織の変化、発電機20の変動、およびデバイスアクセサリの選択とは無関係に維持されることが可能になる。
【0061】
さらに、システム400は、検出されたインピーダンスが閾値より上に上昇したか否かを絶えず問合せ、そしてこのようなあらゆる閾値の違反に応答して、発電機の出力を低下させる。最後に、システム400は、完了した処置を示す特定の組織状態の検出の際に、処置終結シーケンスを開始し得る。処置の完了は、組織に(例えば、鉗子10を介して)適用されたエネルギーのレベルと、この組織から消失したエネルギーのレベルとの間の平衡により示され得る。この平衡に基づいて、システム400は、検出された組織インピーダンスがその最低の維持可能なレベルに達したこと、およびかなりの時間量にわたって変化せずにそのレベルを維持したことを決定する。
【0062】
従って、本開示の閉ループ制御システム400は、外科手術部位および/または出力ステージ28の近くのいわゆる「感知された」物理的特性または電気的特性に応答して、電源27および/または出力ステージ28(
図2)の連続的な制御を提供する。本開示の実施形態において、特に
図5を参照すると、制御器24は、内側ループ制御モジュール402および外側ループ制御モジュール404を備え得、そして/またはこれらの制御モジュールと通信して作動し得る。これらの制御モジュールを介して、種々の優先作業(例えば、ループ)が実行され得る。内側ループ制御モジュール402および外側ループ制御モジュール404は、制御器24(
図2)のマイクロプロセッサ25により実行可能なソフトウェアモジュールであり得、そして両方が、センサモジュール22による生成される信号を受信し得る。
【0063】
内側ループ制御モジュール402および外側ループ制御モジュール404は、センサモジュール22からリアルタイムで感知される値(例えば、電流Iおよび電圧V)、ならびに時刻tを連続的に受信する。モジュール402、404は、感知された値に対する計算を実施して、さらなるリアルタイムの値(例えば、電力PおよびインピーダンスZ)を導出する。例えば、インピーダンスの変化についての値(dz/dt)は、
dz/dt=(Z−Z_OLD)/(t−t_OLD);および
Z_OLD=Z
に従って得られる。これらの式において、Zは、時刻tに測定された値に従うインピーダンスであり;そして
Z_OLDは、時刻t_OLDにおいて前の時間間隔で測定された値に従う格納されたインピーダンスである。内側ループ制御モジュール402および外側ループ制御モジュール404は、リアルタイムの感知された値を処理し、そして所望の組織効果を達成するために必要とされる出力電力を制御する発電機20に、RF命令を出力する。
【0064】
図6Aは、ピークコンダクタンスを達成するための自動電力調節のための、内側ループ制御モジュール402により制御される通常優先タスク410を示す。通常優先タスク410は、組織の変化(例えば、厚さ、気泡形成、温度など)、発電機出力の変動(例えば、発電機出力電力の手動調節)、ならびにデバイスおよび/またはアクセサリの選択(例えば、単極デバイス、双極鉗子など)とは無関係に、ピーク組織コンダクタンス(すなわち、最低組織インピーダンス)を連続的に達成するように、発電機20により出力される電力を調節する。内側ループ制御モジュール402は、通常優先タスク410を利用して、平均組織インピーダンスをある期間にわたって(例えば、dZ
AVE/dt波形)、組織コンダクタンスの指標として連続的に監視する。なぜなら、組織コンダクタンスは組織インピーダンスに反比例するからである。次いで、モジュール402は、可能な限り低い組織インピーダンス、および従って、可能な限り高い組織コンダクタンスを提供するように、発電機20の出力電力を自動的に調節する。通常優先タスク410は、二重制御ループにより特徴付けられる。この二重制御ループは、平均インピーダンス波形の傾斜を、特定の時間枠にわたって(例えば、センサモジュール22を介して)連続的に問合せ、そしてその特定の時間枠の持続時間にわたり検出された傾斜の方向(例えば、m=0、m<0、またはm>0)に応答して、発電機20の出力電力を調節する。
【0065】
通常優先タスク410の作動中、発電機20の出力電力の初期の増加は、第一のサンプル時間枠(例えば、ユーザにより規定された時間遅延)の持続時間にわたってなされる。第一のサンプル時間枠中、センサモジュール22は、発電機20の出力電力の初期の増加に応答して、平均インピーダンス波形の第一の傾斜を決定する。第二のサンプル時間枠中、第二の調節が、発電機20により出力される電力に対してなされ、そして平均インピーダンス波形の第二の傾斜が決定される。平均インピーダンス波形の第二の傾斜が平均インピーダンス波形の第一の傾斜と実質的に同じである場合、発電機20の出力電力に対する第三の調節がなされる。この方法で、発電機20により出力される電力に対する第二の調節は、発電機20により出力される電力に対してなされる第一の調節の調節に対して、「逆の」調節である。
【0066】
第一のサンプリングされた時間遅延「t1」中、組織の切除手順が(例えば、フットペダルまたはハンドスイッチの押下により)達成され、そしてホストプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ5)が、通常優先タスク410を起動させて、平均インピーダンスの変化を時間の関数(例えば、dz/dt)として監視する。より具体的には、発電機20の出力電力の初期増加ΔP
iは、時間遅延t1中に行われ、一方で、センサモジュール22は、第一のサンプリングされた平均組織インピーダンスZ1
AVEを連続的に監視して、発電機20の出力電力の初期増加ΔP
iに応答するその変化を、時間遅延t1の関数として検出する。Z1
AVEの変化は、内側ループ制御モジュール402により問い合わせられる関数として実現し得、この波形は、第一の平均インピーダンスZ1
AVEを時間遅延t1の関数として表す(例えば、dZ1
AVE/dt1)。この様式で、通常優先タスク410は、インピーダンス波形の傾斜を、サンプル時間枠にわたる平均組織インピーダンスの変化の指標として監視し得る。
【0067】
ある実施形態において、時間遅延t1は、4秒間までであり得、この時間中に、発電機20の出力電力の初期増加ΔP
iが、1秒間あたり20ワットの割合で行われる。この構成において、発電機20の出力電力は、時間遅延t1の持続時間にわたって、80ワットまで次第に増加し得る。
【0068】
第一の時間遅延t1の持続時間にわたって、第一の平均インピーダンスZ1
AVEが、電力出力の初期増加ΔP
iに応答して減少する(例えば、dZ1
AVE/dt1の傾斜が0未満である)場合、制御器24は、第一の調節ΔP
1を行ない、第二の時間遅延「t2」にわたって出力される電力を増加させる。特定の実施形態において、第二の時間遅延t2は、センサモジュール22が組織インピーダンスの変化に関連するデータの充分なサンプルを記録することを可能にするために、4秒間までであり得る。
【0069】
逆に、第一の時間遅延t1の持続時間にわたって、第一の平均組織インピーダンスZ1
AVEが、電力出力の初期増加ΔP
iに応答して、増加するかまたは変化しないかのいずれかである(例えば、dZ1
AVE/dt1が0以上である)場合、制御器24は、第二の調節ΔP
2を行って、第二の時間遅延t2の持続時間にわたり出力される電力を低下させる。
【0070】
制御器24が第二の調節ΔP
2を行って、第二の時間遅延t2の持続時間にわたり出力される電力を低下させるにつれて、センサモジュール22は、第二のサンプリングされた平均組織インピーダンスZ2
AVEの変化を連続的に監視する。ある実施形態において、第二の調節ΔP
2は、第二の時間遅延t2の持続時間にわたって、5ワットまで大きい低下であり得る。第二の時間遅延t2の持続時間にわたって、第二の平均組織インピーダンスZ2
AVEが、出力される電力を低下させるための第二の調節ΔP
2に応答して、増加するかまたは変化しないかのいずれかである(例えば、dZ
2AVE/dt
2の傾斜が0以上である)場合、制御器24は、第三の調節ΔP
3を行って、第三の時間遅延「t3」にわたって発電機20により出力される電力を増加させる。その後、通常優先タスク410が繰り返される。第二の時間遅延t2の持続時間にわたって、第二の平均組織インピーダンスZ2
AVEが、出力される電力を低下させる第二の調節ΔP
2に応答して低下する(例えば、dZ
2AVE/dt
2の傾斜が0未満である)場合、制御器24は、第四の調節ΔP
4を行って、第三の時間遅延t3の持続時間にわたり出力される電力を低下させ、そして通常優先タスク410が繰り返される。
【0071】
この様式で、通常優先タスク410は、第一の時間遅延t1中に制御器24により検出された平均組織インピーダンスの同じ方向の変化(例えば、同じ傾斜方向)に応答して、第二の時間遅延t2の持続時間にわたり行われる調節に対して、第三の時間遅延t3の持続時間にわたり発電機20により出力される電力の、逆の調節を実施する。すなわち、第一の時間遅延t1の持続時間にわたって、第一の平均組織インピーダンスZ1
AVEが、出力される電力の初期増加ΔP
iに応答して増加するか、または変化しない場合、制御器24は、第二の調節ΔP
2を行って、第二の時間遅延t2の持続時間にわたり出力される電力を低下させる。逆に、第二の平均組織インピーダンスZ2
AVEが、出力される電力を低下させる第二の調節ΔP
2に応答して増加するかまたは変化しないかのいずれかである場合、制御器24は、第三の調節ΔP
3を行って、第三の時間遅延t3の持続時間にわたり出力される電力を増加させる。この様式で、通常優先タスク410が動作して、発電機20により出力される電力を制御し、可能な限り高い組織コンダクタンス、および従って、可能な限り低い組織インピーダンスを、所定の手順の持続時間にわたって達成する。
【0072】
ある実施形態において、時間遅延t1、t2、t3の持続時間、電力調節ΔP
i、ΔP
1、ΔP
2、ΔP
3、ΔP
4の量、電力調節ΔP
i、ΔP
1、ΔP
2、ΔP
3、ΔP
4が行われる割合、およびΔP
iにより増加させられ得る電力出力の最大レベルは、以下にさらに詳細に議論されるように、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して、ユーザにより予め決定され得る。
【0073】
外側ループ制御モジュール404は、内側ループ制御モジュール402の上に重ねられ、そして内側ループ制御モジュール402と同時に実行されて、発電機20のさらなる制御を提供し、所望の出力値または効果に達せさせる。外側ループ制御モジュール404は、高優先タスク420を利用して、組織特性(例えば、インピーダンス)が、ピークコンダクタンス範囲外またはいわゆる「ランナウェイ状態」まで上昇または低下することを防止する。起動の際に、センサモジュール22は、ベースラインインピーダンス値Z
BASEを記録し、そしてこの値を、メモリ26への格納のために、制御器24に伝達する。高優先タスク420は、メモリ26に格納されたベースインピーダンスZ
BASEを処理し、そしてベースインピーダンスZ
BASEからの平均組織インピーダンスZ
AVEの偏差を時間の関数(例えば、dz/dt波形)として連続的に監視する。高優先タスク420は、これらの偏差を閾値インピーダンス値Z
MAXと比較し、そして閾値Z
MAXに違反する平均インピーダンスZ
AVEの増加に反対に作用するように、発電機20の出力電力を自動的に調節する。すなわち、サンプル時間枠にわたる平均組織インピーダンスZ
AVEの上昇が閾値Z
MAXを超える場合、発電機20の出力電力は、制御器24により低下させられる。ある実施形態において、閾値インピーダンス値Z
MAXは、いくらかの時間にわたる平均インピーダンスZ
AVEの変化(例えば、7秒間にわたる20Ωの平均変化)を検出することにより決定され得、そしてこの平均インピーダンスZ
AVEの変化を、メモリ26に格納されたベースインピーダンス値Z
BASEと比較する。
【0074】
図6Bは、閾値インピーダンス値Z
MAXを超える平均組織インピーダンスZ
AVEの検出された上昇に基づく、自動的な電力調節のための、外側ループ制御モジュール404により制御される高優先タスク420を示す。高優先タスク420は、通常優先タスク410の上に重ねられ、そして通常優先タスク410と同時に実行される。具体的には、外側ループ制御モジュール404は、高優先タスク420を利用して、平均組織インピーダンスを時間の関数(例えば、dz/dt波形)として連続的に監視する。平均組織インピーダンスは、かなり短期間の時間(例えば、0.05秒間)にわたりサンプリングされる平均ピークインピーダンスZ
PEAKであり得る。ピークインピーダンスZ
PEAKの上昇が、ベースインピーダンスZ
BASEより高い所定のインピーダンス値ΔP(例えば、見かけ上20Ω)を超えるかまたは等しい場合、制御器24は、第五の調節ΔP
5を行って、出力される電力を低下させる。
【0075】
ある実施形態において、ベースインピーダンスZ
BASEが決定される発電機20の出力レベル、インピーダンス値ΔP、および第五の調節ΔP
5は、以下により詳細に議論されるように、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して、ユーザにより予め決定され得る。
【0076】
ある実施形態において、外側ループ制御モジュール404は、低優先タスク430を利用して、発電機20により出力される電力を停止させて所定の組織処置を終了する時点を決定し得る。低優先タスク430は、発電機20により(例えば、鉗子10を介して)適用されるエネルギーと、組織部位から消失するエネルギーとの間に平衡が存在するという決定に基づく。低優先タスク430は、平均組織インピーダンスがその維持可能な最低レベルに達したか否か、およびかなりの期間にわたって有意な変化なしでそのレベルを維持するか否かを決定し得る。
【0077】
図6Cを参照しながら、低優先タスク430が通常優先タスク410の上に重ねられ、そして通常優先タスク410と同時に実行されることが、以下に議論される。外側ループ制御モジュール404は、低優先タスク430を利用して、平均組織インピーダンスを時間の関数として(例えば、所定の手順の持続時間にわたって)連続的に監視する。具体的には、制御器24は、センサモジュール22から、現在の平均組織インピーダンス値Z
AVEnを連続的に受信する。現在の平均組織インピーダンス値Z
AVEnを処理する際に、低優先タスク430は、現在の組織インピーダンス値Z
AVEnを、低優先タスク430を介して前の反復からメモリ26に格納された履歴組織インピーダンス値Z
AVEn−1と比較する。その後、現在の平均組織インピーダンス値Z
AVEnは、メモリ26に、履歴組織インピーダンス値Z
AVEn−1として格納される。動作中に、発電機20の作動後の第四の遅延「t4」の終了の後に、低優先タスク430は、平均組織インピーダンスを特定の基準について監視する。この基準は、所定の処置が完了し、従って、電力出力が停止され得ることを示し得る。本開示の特定の実施形態において、この基準は、現在の組織インピーダンス値Z
AVEnが、発電機20が作動した後の第五の時間遅延「t5」の持続時間にわたって、メモリ26に格納された履歴組織インピーダンス値Z
AVEn−1と実質的に等しいことを決定することを包含し得る。これに応答して、発電機20は、第六の時間遅延「t6」の持続時間にわたって、電力を出力し続け得る。時間遅延t6の後に、発電機20は「オフ」にされ、そしてこの手順は停止される。低優先タスク430の特定の実施形態において、出力される電力は、第五の時間遅延t5の終了時に制御器24により即座に停止され得る。あるいは、出力は、ユーザにより(例えば、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して)、所定のレベルまで制御器24により調節され得る。
【0078】
ある実施形態において、時間遅延t4、t5、t6の持続時間は、以下により詳細に議論されるように、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して、ユーザにより予め決定され得る。
【0079】
本開示の実施形態によれば、インピーダンスの問合せは、単極反復フィルタリングを介して達成され得る。
図7Aは、ソフトウェアシステム500を図示する。このソフトウェアシステムは、メモリ26に埋め込まれており、そしてマイクロプロセッサ25により実行される。このマイクロプロセッサは、通常優先タスク510、高優先タスク520、および低優先タスク530を利用して、時間の関数としての平均組織インピーダンスの変化に基づいて、発電機20の出力を制御する。各タスク510、520、530は、複数の単極反復インピーダンスフィルタから受信された平均されたインピーダンスデータを処理する。これらのフィルタは、センサモジュール22により送信された組織インピーダンスデータを連続的にフィルタリングし、そして/または平均する。
【0080】
図示される実施形態において、8つのインピーダンスフィルタZf1〜Zf8が、ソフトウェアシステム500と組み合わせて使用される。インピーダンスフィルタZf1〜Zf8の各々は、以下のデータ平均式(1)と共に使用するためにフォーマットされ得る:
(1) ZfX
n=Zin×A+ZfX
n−1×B
AおよびBは、時定数に関係し、そして発電機20の入力制御を介して、各特定のインピーダンスフィルタZfXについてユーザにより特定され得る。AおよびBを計算する場合、以下の式が使用され得る:
B=e^(−1/サンプル数);
A=1−B。
【0081】
サンプルの割合もまた、ユーザによって、サンプルの数を計算するために特定され得る。式(1)において、Zinは、計算されたばかりの新しいインピーダンス値(例えば、Z
RMS)であり、そしてZfX
n−1は、Xにより特定されるフィルタ番号について、このループを通して前の反復からフィルタリングされたインピーダンスであり、そしてZfX
nは、Xにより特定されるフィルタ番号について、新たにフィルタリングされたインピーダンス値である。
【0082】
ここで
図7Bを参照すると、通常優先タスク510は、3つの状態(すなわち、初期設定状態550、実行状態560、およびピーク状態570)から構成される。初期設定状態550中に、切除手順が(例えば、フットペダルまたはハンドスイッチの押下により)作動され、そしてホストプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ5)が、複数のインピーダンスフィルタZf1〜Zf8を監視するために、ソフトウェア500を起動させる。状態550の起動の際に、第一のタイマー「T1」が、初期設定状態550と同時に実行されるように初期設定される。以下にさらに詳細に議論されるように、第一のタイマーT1は、ユーザにより(例えば、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して)、ソフトウェアシステム500が状態550の間を、最初の起動から複数のインピーダンスフィルタの問合せまで待つ時間量として、設定され得る。
【0083】
一旦オンにされると、発電機20は、電力のベースラインレベルP
BASEで動作する。この電力のベースラインレベルP
BASEにおいて、センサモジュール22は、ベースラインインピーダンスZ
BASEを記録し、そしてこの値をメモリ26への格納のために制御器24に伝達する。一旦、ベースラインインピーダンスZ
BASEが記録されると、発電機20により出力される電力は、制御器24により初期レベルP
INITまで変化させられる。ユーザは、発電機20により出力される電力が変化する割合、および発電機20が変化させられ得る電力の最大レベルP
MAXを(例えば、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して)特定することが可能であり得る。発電機20により出力される電力は、第一のタイマーT1が終了するまで、またはP
MAXに達するまでのいずれかで、制御器24により変化させられる。
【0084】
第一のタイマーT1の終了の際に、通常優先タスク510は、ベースラインインピーダンスZ
BASEをメモリ26に、インピーダンス値Zf1
n−1として格納し、そして実行状態560に入る。一旦、実行状態560が初期設定されると、通常優先タスク510は、第二のタイマー「T2」を始動させる。この第二のタイマーは、実行状態560と同時に実行される。第二のタイマーT2は、ユーザによって(例えば、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して)、通常優先タスク510が実行状態560において、インピーダンスデータを平均するために複数のインピーダンスフィルタを問い合わせる前の動作する時間量として、予め決定され得る。
【0085】
初期設定状態550から実行状態560に入る場合、ソフトウェアシステム500は、現在のフィルタリングされたインピーダンスZf2
nと前のフィルタリングされたインピーダンスZf1
n−1との間の差を即座に計算し、そしてこの差を第一のインピーダンス参照Zdelta1と比較する。第一のインピーダンス参照Zdelta1は、前のフィルタリングされたインピーダンスZf1
n−1から現在のフィルタリングされたインピーダンスZf2
nまでの変化の量であり、これは、発電機20により出力される電力の増加または減少を引き起こすための閾値である。インピーダンス参照Zdelta1は、ユーザにより(例えば、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して)予め決定され得る。
【0086】
現在のフィルタリングされたインピーダンスZf2
nと前のフィルタリングされたインピーダンスZf1
n−1との間の差がZdelta1以下である場合、制御器24は、第一の調節P1を行って、発電機20により出力される電力を増加させ、そして通常優先タスク510は、実行状態560に再び入る。実行状態560に再び入ると、ソフトウェアシステム500は、第二のタイマーT2を再開させ、そして第二のタイマーが終了するまで待ち、その後、フィルタリングされたインピーダンスデータについてインピーダンスフィルタZf1およびZf2を問い合わせる。
【0087】
現在のフィルタリングされたインピーダンスZf2
nと前のフィルタリングされたインピーダンスZf1
n−1との間の差がZdelta1より大きい場合、制御器24は、第一の調節P2を行って、発電機20により出力される電力を減少させ、そして通常優先タスク510は、ピーク状態570に入る。実行状態570に入ると、ソフトウェアシステム500は、以下により詳細に議論されるように、第三のタイマー「T3」を始動させる。
【0088】
ある実施形態において、第三のタイマーT3の持続時間、第一の電力調節P1および第二の電力調節P2の量は、以下により詳細に議論されるように、ユーザによって、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して、予め決定され得る。
【0089】
実行状態560を出る際に、ソフトウェアシステム500は、現在のフィルタリングされたインピーダンス値Zf1
nをメモリ26に、前のフィルタリングされたインピーダンスZf1
n−1として格納し、そしてフィルタリングされたインピーダンスZf3
nをメモリ26に、前のフィルタリングされたインピーダンスZf3
n−1として格納する。すなわち、実行状態560を出る前に、実行状態560を通しての現在の反復中に決定された、現在のフィルタリングされたインピーダンスZf1
nおよびZf3
nは、一旦、実行状態560に再び入ると(すなわち、一旦、実行状態560を通しての現在の反復がこの実行状態を通して前の反復になると)、それぞれ前のフィルタリングされたインピーダンスZf1
n−1およびZf3
n−1になる。
【0090】
第三のタイマーT3は、ピーク状態570の初期設定と同時になるように、ピーク状態570と同時に実行されるように、ソフトウェアシステム500により初期状態にされる。一旦、第三のタイマーT3が終了すると、ソフトウェアシステム500は、現在のフィルタリングされたインピーダンスZf4
nと前のフィルタリングされたインピーダンスZf3
n−1との間の差を計算し、そしてこの差を、第二のインピーダンス参照Zdelta2と比較する。第二のインピーダンス参照Zdelta2は、前のフィルタリングされたインピーダンスZf3
n−1から現在のフィルタリングされたインピーダンスZf4
nまでの変化の量であり、これは、出力される電力の増加または減少を引き起こすための閾値である。
【0091】
現在のフィルタリングされたインピーダンスZf4
nと前のフィルタリングされたインピーダンスZf3
n−1との間の差がZdelta2未満である場合、制御器24は、第三の調節P3を行って、電力出力を減少させ、そして通常優先タスク510は、実行状態560に再び入り、そしてソフトウェアシステム500は、第二のタイマーT2を再開させる。
【0092】
現在のフィルタリングされたインピーダンスZf4
nと前のフィルタリングされたインピーダンスZf3
n−1との間の差がZdelta2以下である場合、制御器24は、第四の調節P4を行って、電力出力を増加させ、そして通常優先タスク510は、実行状態560に再び入り、そしてソフトウェアシステム500は、第二のタイマーT2を再開させる。
【0093】
ある実施形態において、第二のインピーダンス参照Zdelta2、ならびに第三の電力調節P3および第四の電力調節P4は、以下により詳細に議論されるように、ユーザによって、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して、予め決定され得る。
【0094】
ピーク状態570を出る際に、ソフトウェアシステム500は、現在のフィルタリングされたインピーダンスZf1
nをメモリ26に、前のフィルタリングされたインピーダンスZf1
n−1として格納し、そして現在のフィルタリングされたインピーダンスZf3
nをメモリ26に、前のフィルタリングされたインピーダンスZf3
n−1として格納する。
【0095】
ある実施形態において、第一のタイマーT1、第二のタイマーT2、および第三のタイマーT3の持続時間、ならびに第一の電力調節P1および第二の電力調節P2の量は、以下により詳細に議論されるように、ユーザによって、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して、予め決定され得る。
【0096】
ここで
図7Cを参照すると、高優先タスク520は、通常優先タスク510の上に重ねられ、そして通常優先タスク510と同時に実行されて、所望の出力値または効果に達するために、発電機20のさらなる制御を提供する。第四のタイマー「T4」は、高優先タスク520の初期設定と一致し、そして高優先タスク520と同時に実行されるように、ソフトウェア500により初期設定される。一旦、第四のタイマーT4が終了すると、ソフトウェアシステム500は、現在のフィルタリングされたインピーダンスZf6
nと現在のフィルタリングされたインピーダンスZf5
nとの間の差を計算し、そしてこの差を、第三のインピーダンス参照Zdelta3と比較する。第三のインピーダンス参照Zdelta3は、現在のフィルタリングされたインピーダンスZf5
nから現在のフィルタリングされたインピーダンスZf6
nまでの変化の量であり、これは、電力出力の減少を引き起こすための閾値である。この様式で、第三のインピーダンス参照Zdelta3は、閾値能力で動作して、起こり得る危険な状態(例えば、ランナウェイ状態)を防止し、そして連続した電力増加およびインピーダンス増加をもたらす。
【0097】
現在のフィルタリングされたインピーダンスZf6
nと現在のフィルタリングされたインピーダンスZf5
nとの間の差がZdelta3以上である場合、制御器24は、第五の調節P5を行って、電力出力を減少させ、そしてソフトウェアシステム500は、高優先タスク520に再び入り、そして第四のタイマーT2を再開させる。
【0098】
現在のフィルタリングされたインピーダンスZf6
nと現在のフィルタリングされたインピーダンスZf5
nとの間の差がZdelta3未満である場合、ソフトウェアシステム500は通常優先タスク510に入る。従って、通常優先タスク510は、第三の参照インピーダンスZdelta3の閾値と等しくないか、または超えない場合に、高優先タスク520から入られるのみである。
【0099】
ある実施形態において、第四のタイマーT4の持続時間、第三のインピーダンス参照Zdelta3、ならびに第五の電力調節P5の量は、以下により詳細に議論されるように、ユーザによって、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して、予め決定され得る。
【0100】
低優先タスク530は、通常優先タスク510の上に重ねられ、そして高優先タスク520と通常優先タスク510との両方と同時に実行されて、一旦、所望の出力値または効果が達成されると、その手順を終了させるように、発電機20のさらなる制御を提供する。第五のタイマー「T5」は、脈管封止手順の初期設定と一致するように(例えば、フットペダルまたはハンドスイッチの押下による)、そしてこの処置手順と同時に実行されるように、初期設定される。一旦、第五のタイマーT5が終了すると、ソフトウェアシステム500は、所望の組織効果を示す特定のインピーダンス状態が第六のタイマー「T6」の持続時間にわたって存在するか否かを連続的に問合せ、そしてこのような基準に適合する場合、これに従って、電力出力を停止するためのプロセスを開始させる。具体的には、ソフトウェアシステム500は、現在のフィルタリングされたインピーダンスZf8
nと現在のフィルタリングされたインピーダンスZf7
nとの間の差を計算し、そしてこの差を、第四のインピーダンス参照Zdelta4と比較する。第四のインピーダンス参照Zdelta4は、現在のフィルタリングされたインピーダンスZf7
nから現在のフィルタリングされたインピーダンスZf8
nまでの変化の量であり、これは、第七のタイマー「T7」を開始させ、この第七のタイマーの終了は、発電機20を遮断させ、そしてその手順を終結させる。
【0101】
現在のフィルタリングされたインピーダンスZf8
nと現在のフィルタリングされたインピーダンスZf7
nとの間の差の絶対値が、第六のタイマーT6の持続時間についてのインピーダンス参照Zdelta3以下である場合、第七のタイマーT7が開始される。さらに、低優先タスク530の終結状態535が誘発されて、一旦、上で議論された状態が第六のタイマーT6の持続時間にわたって満足されると、発電機20がどのように挙動するかをユーザが(例えば、発電機20のユーザ入力を介して)予め決定することを可能にする、複数の選択肢を提供する。終結状態535に関してユーザが利用可能な選択肢としては、発電機20が発電機20の現在の出力レベルで第七のタイマーT7の持続時間にわたって動作することを可能にすること、発電機20が第七のタイマーT7の持続時間にわたって動作する出力レベルを特定すること、および第七のタイマーT7が終了するまで低優先タスク530を続けることが挙げられる。
【0102】
現在のフィルタリングされたインピーダンスZf8
nと現在のフィルタリングされたインピーダンスZf7
nとの間の差の絶対値が、第六のタイマーT6の持続時間についてのインピーダンス参照Zdelta3以下である場合、ソフトウェアシステム500は、高優先タスク520および通常優先タスク530と同時に、低優先タスク530を実行し続ける。
【0103】
ある実施形態において、第五のタイマーT5、第六のタイマーT6および第七のタイマーT7の持続時間、ならびに第四のインピーダンス参照Zdelta4は、以下により詳細に議論されるように、ユーザによって、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して、予め決定され得る。
【0104】
本開示の実施形態において、第八のタイマーT8は、ユーザにより(例えば、発電機20のユーザ入力および/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを介して)、所定の手順における発電機20の動作のための「マスター」タイマー(すなわち、手順全体の時間)として特定され得る。この構成において、発電機20は、終結状態535に入ったか否かにかかわらず、手順タイマーT8の終了時に遮断される。
【0105】
ここで
図8を参照すると、本開示のソフトウェアシステム500の実施形態と共に使用するためのソフトウェアベースのグラフィカルユーザインターフェース600が示されている。インターフェース600は、ソフトウェアシステム500を介して発電機20により出力される電力を制御するために、ユーザが(例えば、発電機20のユーザ入力を介して)特定の値を提供することを可能にするための、複数の編集可能なパラメータを含み得る。インターフェース600は、ユーザが本開示のソフトウェアシステム500を試験および/または確認することを可能にする。具体的には、インターフェース600は、
図8に示されるように、通常優先インターフェース610、高優先インターフェース620、および低優先インターフェース630を含む、優先レベルおよび/またはタスクレベルにより組織化され得る。さらに、ユーザが種々の制御パラメータ(例えば、手順時間(例えば、第八のタイマーT8)、ならびにソフトウェアシステム500により実行されるべきファイルパスおよび/またはファイルの位置など)を特定することを可能にするために、制御インターフェース640が提供され得る。
【0106】
通常優先インターフェース610は、所定の手順中の通常優先タスク510の挙動を予め決定するための特定のパラメータを提供するために、ユーザにより編集されるように構成される。通常優先インターフェース610は、3つのサブインターフェース(すなわち、初期設定状態インターフェース650、実行状態インターフェース660、およびピーク状態インターフェース670)に分割され、それぞれ、通常優先タスク510の3つの状態550、560、および570と一致し得る。インターフェース650、660、および670は、所定の手順中の通常優先タスク510の挙動をさらに予め決定するための特定のパラメータを提供するように、ユーザにより編集され得る。
【0107】
ここでインターフェース650を参照すると、ユーザは、通常優先タスク510の初期設定状態550に関連するパラメータ(例えば、第一のタイマーT1の持続時間、ならびにP
BASE、P
INIT、P
RATE、およびP
MAXの電力レベル)を特定することが可能であり得る。インターフェース660を参照すると、ユーザは、通常優先タスク510の実行状態560に関連するパラメータ(例えば、第二のタイマーT2の持続時間、第一のインピーダンス参照Zdelta1、ならびに第一の電力調節P1および第二の電力調節P2の量)を特定することが可能であり得る。インターフェース670を参照すると、ユーザは、通常優先タスク510のピーク状態570に関連するパラメータ(例えば、第三のタイマーT3の持続時間、第二のインピーダンス参照Zdelta2、ならびに第三の電力調節P3および第四の電力調節P4の量)を特定することが可能であり得る。
【0108】
高優先インターフェース620は、所定の手順中の高優先タスク520の挙動を予め決定するための特定のパラメータを提供するために、ユーザにより編集されるように構成される。具体的には、ユーザは、第四のタイマーT4の持続時間、第三のインピーダンス参照Zdelta3、および第五の電力調節P5などのパラメータを特定することが可能であり得る。
【0109】
低優先インターフェース630は、所定の手順中の低優先タスク530の挙動を予め決定するための特定のパラメータを提供するために、ユーザにより編集されるように構成される。具体的には、ユーザは、第五のタイマーT5、第六のタイマーT6、および第七のタイマーT7の持続時間、ならびにインピーダンス参照Zdelta4などのパラメータを特定することが可能であり得る。さらに、低優先タスク530の終結状態535に関して、ユーザは、多数の選択肢(明白には図示せず)から選択して、一旦、終結状態535に入ると、第七のタイマーT7の持続時間にわたって発電機20がどのように挙動するか(例えば、第七のタイマーT7の終了の際に現在の出力レベルを通信する、所定の出力レベルに調節する、遮断される、など)を選択することが可能であり得る。
【0110】
本開示の数個の実施形態が、図面に示され、そして/または本明細書中で議論されたが、本開示は、当該分野が可能にする程度まで範囲が広いこと、および本明細書はそのように読まれることが意図されるので、本開示は、これらの実施形態に限定されることを意図されない。従って、上記説明は、限定と解釈されるべきではなく、単に、特定の実施形態の例示と解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を想定する。