特許第5649128号(P5649128)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649128
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】水道用空気弁及びそれを備えた消火栓
(51)【国際特許分類】
   F16K 24/00 20060101AFI20141211BHJP
   F16K 31/18 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   F16K24/00 P
   F16K31/18 C
   F16K31/18 D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-193511(P2011-193511)
(22)【出願日】2011年9月6日
(65)【公開番号】特開2013-36601(P2013-36601A)
(43)【公開日】2013年2月21日
【審査請求日】2013年5月22日
(31)【優先権主張番号】特願2011-152464(P2011-152464)
(32)【優先日】2011年7月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505271150
【氏名又は名称】千代田工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000155285
【氏名又は名称】株式会社明和製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】506076983
【氏名又は名称】和歌山市
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100110939
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100110940
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 高久
(74)【代理人】
【識別番号】100113262
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 祐二
(74)【代理人】
【識別番号】100117581
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 克也
(74)【代理人】
【識別番号】100117710
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智雄
(74)【代理人】
【識別番号】100124671
【弁理士】
【氏名又は名称】関 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100131060
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 靖也
(74)【代理人】
【識別番号】100141276
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 康二
(72)【発明者】
【氏名】西澤 昌志
(72)【発明者】
【氏名】明渡 和樹
(72)【発明者】
【氏名】大亦 理広
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−276836(JP,A)
【文献】 特開2002−146888(JP,A)
【文献】 実開昭61−142976(JP,U)
【文献】 特開昭59−006481(JP,A)
【文献】 特開平07−280118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 21/00−24/06,
F16K 31/18−31/34,
E03B 7/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中のマンホール内に配置され、水道管内部からの空気の排除と、該水道管内部への空気の吸引を行う水道用空気弁において、
上記水道管に接続される弁本体と、
上記弁本体内で浮沈するフロート弁体と、
上記弁本体の上部を覆い、上記フロート弁体で開閉される空気口を有する蓋体と、
上記マンホール内の空洞に汚染水が溜まったときに、上記空気口からの該汚染水の吸い込みを防止する汚染水吸込防止機構とを備え
上記汚染水防止機構は、
上記蓋体に接続された接続配管と、
上記接続配管の先端に設けられ、上記マンホール内の水位の変化に伴って開閉する逆流防止弁とを備え、
上記逆流防止弁は、
上記接続配管の先端に接続される接続部と、
上記接続部に連通し、下側に逆流防止弁フロートに開閉される空気孔が開口された逆流防止弁本体とを備え、
上記逆流防止弁フロートは、基端側の円柱部と、該円柱部の上側の球状部とを備えている
ことを特徴とする水道用空気弁。
【請求項2】
請求項1に記載の水道用空気弁において、
上記空気孔の周縁と上記球状部とが接する部分には、汚染水の吸い込みを防止するOリングが設けられている
ことを特徴とする水道用空気弁。
【請求項3】
上記水道管に開閉弁を介して接続される弁箱と、
上記弁箱に設けられ、消火用ホースが接続される給水口と、
請求項1又は2に記載の水道用空気弁とを備えた
ことを特徴とする消火栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中のマンホール内に配置され、水道管内部からの空気の排除と、この水道管内部への空気の吸引を行う水道用空気弁及びそれを備えた消火栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1の水道用空気弁のように、下部開口部において配管に接続されるようになっており、上部が開口した弁箱と、この弁箱の上部開口に取り付けられ、大径の空気口を備えた蓋体と、この空気口に沿って設けられた大径空気口弁座と、弁箱内に固定配置され、周壁と、底壁と、この周壁の上部に形成された窓穴と、底壁に形成された小孔とを備えた上部が開口した有底籠体と、この籠体内において上下動自在に配置され、大径空気口弁座に離着座可能な上側面と、下側面と、これら上側面と下側面との間で貫通して伸びている小空気孔とを備えた遊動弁体と、小空気孔の下側面側に設けられた小空気孔弁座を構成する弁座部材と、籠体内において遊動弁体の下方に、上下動自在に配置され、小空気孔弁座に離着座可能な上側面を備えたフロート弁体とを備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−280118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水道用空気弁は、水道管内の水道水を抜くときに、排水作業の能率を高めると共に、水道管が負圧により破損するのを防止するために、大量の空気を空気口から吸い込む。
【0005】
しかしながら、従来の水道用空気弁では、降水、津波、洪水、鉄砲水等により、水道用空気弁を設けたマンホール内に汚染水が溜まっていると、空気口から汚染水を水道管内に吸い込んで水道水が汚染される可能性がある、という新たな課題が発生した。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マンホール内に汚染水が貯まった場合でも、吸気動作において汚染水を吸い込んで水道水が汚染されるのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、空気口からの汚染水の吸い込みを防止する汚染水吸込防止機構を設けた。
【0008】
具体的には、第1の発明では、
地中のマンホール内に配置され、水道管内部からの空気の排除と、該水道管内部への空気の吸引を行う水道用空気弁を前提とし、
上記水道用空気弁は、
上記水道管に接続される弁本体と、
上記弁本体内で浮沈するフロート弁体と、
上記弁本体の上部を覆い、上記フロート弁体で開閉される空気口を有する蓋体と、
上記マンホール内の空洞に汚染水が溜まったときに、上記空気口からの該汚染水の吸い込みを防止する汚染水吸込防止機構とを備えている。
【0009】
上記の構成によると、水道管内の水道水を抜くときに水道管内に発生する負圧を解消するために、水道用空気弁によって空気の吸引を行うとき、津波などでマンホール内の空洞に汚染水が溜まっていても、汚染水吸込防止機構が空気口からの汚染水の吸い込みを防止するので、水道管内部で汚染水が混じることはない。なお、この際の水道管内の負圧は、汚染水が貯まっていないマンホール内に配置された水道用空気弁から空気を吸い込むことで解消すればよい。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
上記汚染水防止機構は、
上記蓋体に接続された接続配管と、
上記接続配管の先端に設けられ、上記マンホール内の水位の変化に伴って開閉する逆流防止弁とを備えている。
【0011】
上記の構成によると、津波などでマンホール内の空洞に汚染水が溜まると、逆流防止弁が閉じるので、吸い込み動作において、空気口から水道管に汚染水が吸い込まれるのを防止する。
【0012】
第3の発明の消火栓は、
上記水道管に開閉弁を介して接続される弁箱と、
上記弁箱に設けられ、消火用ホースが接続される給水口と、
第1又は第2の発明の水道用空気弁を備えたものとする。
【0013】
上記の構成によると、水道用空気弁を備えた消火栓でも、水道管内の水道水を抜くときに水道管内に発生する負圧を解消するために、水道用空気弁によって空気の吸引を行うとき、津波などでマンホール内の空洞に汚染水が溜まっていても、汚染水吸込防止機構が空気口からの汚染水の吸い込みを防止するので、水道管内部で汚染水が混じることはない。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、上記第1の発明によれば、水道用空気弁に汚染水吸込防止機構を設け、マンホール内の空洞に汚染水が溜まったときに空気口から汚染水が吸い込まれるのを防止するようにしたので、マンホール内に汚染水が貯まった場合でも、吸気動作において汚染水を吸い込んで水道水が汚染されるのを防止することができる。このため、災害時でも水道管を清潔に保つことができる。
【0015】
上記第2の発明によれば、蓋体に接続した接続配管の先端に逆流防止弁を設けたことにより、極めて簡単な構成で汚染水の吸い込みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】水道用空気弁を正面から見た断面図である。
図2】水道用空気弁の1つの設置例を示す断面図である。
図3】水道用空気弁を示す斜視図である。
図4】水道用空気弁を示す平面図である。
図5】急速排気工程を示す断面図である。
図6】充水完了工程を示す図1相当図である。
図7】少量排気工程を示す図1相当図である。
図8】急速吸気工程を示す図1相当図である。
図9】マンホール内に汚染水が貯まったときの逆流防止工程を示す図1相当図である。
図10】実施形態の変形例にかかる、水道用空気弁を備えた消火栓を図11のX−X線に沿って一部破断した正面図である。
図11】実施形態の変形例にかかる、水道用空気弁を備えた消火栓を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図2に示すように、地面1よりも下方に埋設された水道管2は、所定間隔で上方に延びる分岐管3を有し、その分岐管3の上側には、補修弁4を介して、本実施形態の水道用空気弁10が接続されている。分岐管3の分岐管フランジ3aよりも上方がマンホール5内の空洞に露出している。このマンホール5の蓋6を開くことで、水道用空気弁10の点検補修等が行えるようになっている。この水道用空気弁10は、水道管2内部の空気の排除と、水道管2内部への空気の吸引を行う役割を果たす。
【0019】
図1図3及び図4に拡大して示すように、水道用空気弁10の下端には、補修弁4等に接続するための空気弁フランジ11が設けられている。空気弁フランジ11の上側には、通常時開かれているボール弁12が接続されている。このボール弁12の上側には、断面円形の中空カップ状の弁本体13が接続されている。弁本体13の上端には弁本体フランジ13aが設けられている。この弁本体13の内部には、ポリプロピレン樹脂等で形成された断面円形有底カップ状のフロートガイド14が内蔵されている。このフロートガイド14の底の中心には、貫通孔14aが形成され、上端には、外形が広がった突起部14bが円周方向に間隔をあけて形成されている。フロートガイド14の内面14cは、上方に向かって徐々に内径が大きくなっている。内面14cは、円周方向に間隔をあけて上下に延びるガイドリブ14dが一体に設けられている。フロートガイド14の内部には、このフロートガイド14内(弁本体13内)で浮沈する(浮力により上下に移動する)フロート弁体15が設けられている。フロート弁体15は、例えば、ポリプロピレン樹脂の中実構造よりなり、正面から見たときにフロートガイド14の内面14cの傾斜角と同等の傾斜角となるように外径が上方に向かって徐々に大きくなっている。
【0020】
弁本体13の弁本体フランジ13aには、蓋体16が蓋体接続部材17により接続されている。蓋体接続部材17は、通常のボルトとナットよりなる。蓋体16は、弁本体フランジ13aに対応する外形を有する板状の蓋本体16aを有し、その中心には、円形の空気口18が開口されている。一方、フロート弁体15の上面には、この空気口18を閉じることができる突起15aが一体形成されている。フロート弁体15は、ガイドリブ14dに誘導されて真上に上昇し、突起15aが確実に空気口18を閉じるように構成されている。蓋本体16aの上側では、断面円形のカップ状のキャップ19により、空気口18が上方から塞ぐように閉じられている。蓋本体16aの形状は、必ずしも平面視で完全な円形である必要はなく、図4に示すように、一部切り欠かれていてもよい。蓋本体16aの下面には、2本のねじ込み式のストッパ16bと、1本のねじ込み式の小弁口16cとが平面視三角形に配置されている。そして、これらストッパ16b及び小弁口16cの下端に浮上したフロートガイド14の上面が当接するようになっている。小弁口16cの軸方向中心には、上下方向に延びる小空気口16dが貫通形成されている。
【0021】
キャップ19には、汚染水吸込防止機構20が接続されている。具体的に、この汚染水吸込防止機構20について説明すると、キャップ19の側面には、円形の貫通孔19aが形成されており、この貫通孔19aに垂直に折れ曲がった接続配管21の基端側が接続されている。接続配管21の下方に延びる先端には、マンホール5内の水位の変化に伴って開閉する逆流防止弁22が接続されている。
【0022】
逆流防止弁22は、接続配管21の先端に接続される中空の接続部22aと、この接続部22aに連通し、下側に逆流防止弁フロート23に開閉される空気孔22bが開口された逆流防止弁本体22cとを備えている。本実施形態では、例えば、接続部22aと逆流防止弁本体22cとは、ポリプロピレン樹脂で形成しているが、金属で構成してもよく、これらを一体に成形してもよい。逆流防止弁フロート23は、基端側の円柱部23aと、その上側の球状部23bとを備えている。空気孔22bと球状部23bとが接する部分には、汚染水30の吸い込み防止のためにOリング24が設けられている。逆流防止弁本体22cの下端には、図3に示すように、例えば6本のロッド25が締結されている。なお、図1図5図9においては、見やすくするために背面側のロッド25は省略している。このロッド25の下端には、円板状のフロート支持プレート26が締結されている。逆流防止弁フロート23は、通常時は、フロート支持プレート26の上に支持され、マンホール5内に汚染水30が貯まってくると、ロッド25に当接しながら浮上し、弁本体13の下部が汚染水30につかると、逆流防止弁フロート23が浮上して球状部23bの外周面がOリング24に密接するようになっている。このようにして、汚染水吸込防止機構20により、マンホール5内の空洞に汚染水30が溜まったときに、空気口18からの汚染水30の吸い込みを防止するようにしている。
【0023】
次に、本実施形態にかかる水道用空気弁10の作動について図5図9を用いて説明する。
【0024】
まず、図5に示す急速排気工程では、水道管2に水道水を大量に流し込むと、水道水に押された水道管2内の空気が分岐管3に流れ込んでくる。この場合、ボール弁12は開かれているので、空気が弁本体13内に流れ込んでくる。フロートガイド14及びフロート弁体15は、下方にあり、空気口18は開口しているので、大量の空気が矢印で示すように、空気口18からキャップ19及び接続配管21を通ってマンホール5内に排出される。
【0025】
次いで、図6に示す充水完了工程では、水道管2内が満水状態となると、分岐管3から水道水が流れ込んでくる。すると、弁本体13内に水道水が充填され、フロートガイド14が浮上して、その上面がストッパ16b及び小弁口16cの下端に当接すると共に、フロートガイド14の貫通孔14aから流入した水道水により、フロート弁体15が浮上し、その突起15aが空気口18を塞ぐ。このため、水道水は、空気口18から外部に流れ出ることはない。
【0026】
次いで、図7に示す少量排気工程では、水道管2内の空気が徐々に弁本体13内に溜まると弁本体13内の水位が下がる。すると、フロート弁体15は、水道管2内と外気との圧力差により、空気口18に貼り付いたままであるが、フロートガイド14が徐々に下降する。このとき、図7に示すように、フロートガイド14が小弁口16cの小空気口16dに吸い付くように傾き、小弁口16cの小空気口16dから空気が自動的に排出される。このため、水道管2内に空気が溜まらない。
【0027】
そして、図8に示す吸気工程(急速吸気工程)は、水道管2内の水道水を抜くときに行われる。水道水を抜く際には、水道管2内が急速に負圧となり、水道管2が損傷するのを防ぐと共に、排水作業の効率を高めるために、水道用空気弁10から大量の空気を急速に吸引する必要がある。この際には、逆流防止弁フロート23は、フロート支持プレート26の上に支持されているので、空気孔22bは開いており、この空気孔22bからマンホール5内の空気を大量に吸い込む。この空気が接続配管21、キャップ19、弁本体13及びボール弁12を通って分岐管3に流れ込む。
【0028】
一方、図9に示すように、この急速吸気工程が行われるような場合において、津波などでマンホール5内の空洞に汚染水30が溜まっていると、逆流防止弁フロート23が浮上して空気孔22bを塞ぐ。すると、弁本体13内は、負圧であるので、逆流防止弁フロート23が空気孔22bに密着する。このため、逆流防止弁22が確実に閉じられ、空気口18から水道管2に汚染水30が吸い込まれるのを防止する(逆流防止工程)。水道管2内の負圧は、汚染水30が溜まっていないマンホール5内に配置された他の水道用空気弁10から空気を水道管2内に吸い込むことで解消される。
【0029】
したがって、本実施形態にかかる水道用空気弁10によると、水道用空気弁10に汚染水吸込防止機構20を設け、マンホール5内の空洞に汚染水30が溜まったときに空気口18から汚染水30が吸い込まれるのを防止するようにしたので、急速吸気動作において、マンホール5内に汚染水30が貯まった場合に汚染水30を吸い込んで水道水が汚染されるのを防止することができる。このため、災害時でも水道管2を清潔に保つことができる。そして、蓋体16に接続した接続配管21の先端に逆流防止弁22を設けたことにより、極めて簡単な構成で汚染水30の吸い込みを防止することができる。
【0030】
−変形例−
図10及び図11は本発明の実施形態の変形例を示し、消火栓に水道用空気弁110が取り付けられている点で上記実施形態と異なる。なお、本変形例では、図1図9と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0031】
本変形例の水道用空気弁110を備えた消火栓100の下端には、補修弁4等に接続するための空気弁フランジ111が設けられている。空気弁フランジ111の上側の管路は、二股に分かれ、その水平に別れた方が弁本体113に連通している。
【0032】
空気弁フランジ111の真上には、消火用開閉弁112が配置されている。開閉弁112は、密閉状の弁箱112a内に設けられ、弁棒112bと、この弁棒112bの下端に設けられた止水弁112cを備えている。弁箱112aの上方に突出する弁棒112bの上端112dに図示しないハンドルを取り付け、このハンドルを回転させて開閉操作可能となっている。弁箱112aに設けた給水口112eには、消防用ホース(図示せず)が接続可能に構成され、開閉弁112を開くと、水道管2内の水道水が給水口112eを介して消防用ホースに流れるようになっている。
【0033】
一方、弁本体113の上端には、蓋体116が連結されている。弁本体113には、フロートガイド114が内蔵され、その下方に球形のフロート弁体115が配置されている。蓋体116の中心に空気口118が配置されている。フロートガイド114の中心には、小弁口116cが設けられ、小空気口116dが連通している。
【0034】
そして、本変形例においては、蓋体116の上端に上記実施形態と同様の汚染水吸込防止機構20が接続されている。マンホール5の内部空間が限られているので、汚染水吸込防止機構20の取付角度は、図11に示すように水道用空気弁110の最大幅の方向に対して90°程度ずらすのが望ましい。
【0035】
詳しい説明は省略するが、本変形例にかかる水道用空気弁110においても、上記実施形態の図5図9と同様に急速排気工程、充水完了工程、少量排気工程及び急速吸気工程が行われる。
【0036】
したがって、本変形例においても、マンホール5内の空洞に汚染水30が溜まったときに空気口18から汚染水30が吸い込まれるのを防止するようにしたので、急速吸気動作において、マンホール5内に汚染水30が貯まった場合に汚染水30を吸い込んで水道水が汚染されるのを防止することができる。
【0037】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0038】
すなわち、上記実施形態では、フロート弁体15は、円柱状としているが、その形状は特に限定されず、上記変形例と同様のフロート弁体115としてもよい
【0039】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0040】
2 水道管
5 マンホール
10 水道用空気弁
13 弁本体
15 フロート弁体
16 蓋体
18 空気口
20 汚染水吸込防止機構
21 接続配管
22 逆流防止弁
30 汚染水
100 消火栓
110 水道用空気弁
112 開閉弁
112a 弁箱
112e 給水口
113 弁本体
115 フロート弁体
116 蓋体
118 空気口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11