(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配線電極は、前記表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、前記表面絶縁層の表面と交差している交差側面と、前記表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、前記表面絶縁層の表面に沿った天端面と、前記表面絶縁層の表面よりも内側に入り込んでいる埋込部とを有する請求項1記載の半導体基板。
前記延出端子部は、前記表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、前記表面絶縁層の表面と交差している交差側面と、前記表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、前記表面絶縁層の表面に沿った天端面とを有する請求項1または2記載の半導体基板。
前記配線電極は、前記複数の溝部のいずれか少なくとも1つに沿って複数並べられ、かつそれぞれの前記延出端子部が前記デバイス領域に接する前記溝部全体の一部分に偏って延出された偏在構造を備えた配線電極群を形成している請求項1〜5のいずれか一項記載の半導体基板。
前記配線電極は、前記表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、前記表面絶縁層の表面と交差している交差側面と、前記表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、前記表面絶縁層の表面に沿った天端面と、前記表面絶縁層の表面よりも内側に入り込んでいる埋込部とを有する請求項13または14記載の半導体プレート。
前記配線電極を形成するときに該配線電極を前記溝部に沿って複数並べ、かつそれぞれの前記延出端子部が前記デバイス領域に接する前記溝部全体の一部分に偏って延出された偏在構造を備えた配線電極群を形成する請求項17記載の半導体基板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、積層チップパッケージは、次のような手順で製造される。まず、ウェハプロセスを施すことにより、複数のデバイスが作り込まれたウェハ(デバイスウェハ)を作成する。そして、デバイスウェハにスクライブラインに沿った溝部を複数形成する。さらに、その溝部にエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂といった樹脂を埋め込むことによって絶縁層を形成し、それによって溝付きデバイスウェハを作成する。このような溝付きデバイスウェハを絶縁性の接着材で張り合わせて積層デバイスウェハを作成する。この積層デバイスウェハを溝部に沿って切断することによって積層チップパッケージを製造する。
【0011】
一方、積層チップパッケージは、複数のデバイスプレートが重なっている。積層デバイスウェハを溝部に沿って切断すると、溝付きデバイスウェハも溝部に沿って切断される。溝付きデバイスウェハが溝部に沿って切断されたことによって形成される板状の部材がデバイスプレートである。
【0012】
そして、積層チップパッケージを製造するためにはデバイスプレート同士を電気的に接続しなければならない。デバイスプレートはそれぞれ複数のデバイスが作り込まれており、その側面が絶縁層で覆われている。そのため、従来、積層チップパッケージの製造工程には、次の1)、2)の工程が必要とされていた。すなわち、1)デバイスプレートが縦方向に積み重なった構造物をデバイスブロックとしたときに、デバイスブロックの一つの側面に各デバイスプレートに形成されている配線の端面を出現させる。2)次に、その配線の端面同士を各デバイスプレートを跨ぐようにしてつなぐ2次配線(接続電極ともいう)をデバイスブロックの側面に形成する。
【0013】
ところが、各デバイスプレートに現れた配線の端面の大きさが微小であり、2次配線は、縦方向に並んだそのような端面がすべてつながるように形成しなければならない。そのため、従来、前述の2)の工程において、2次配線を形成するためのマスクパターンを形成する際、正確な位置合わせをしなければならず、アライメントを高精度で行わねばならなかった。したがって、積層チップパッケージの製造工程は簡略化することが難しく、製造時間を短縮化することが困難であった。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、積層チップパッケージの製造工程を簡略化することができて、製造時間を短縮化することができる構造を備えた半導体基板、その半導体基板を用いた積層チップパッケージおよび半導体プレート並びにこれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明はスクライブラインに沿って複数の溝部が形成されている半導体基板であって、複数の溝部のいずれか少なくとも1つに接し、かつ半導体装置が形成されているデバイス領域と、そのデバイス領域を覆うように形成され、半導体基板の表層を構成している表面絶縁層と、半導体装置に接続され、かつ表面絶縁層の表面よりも上に浮かび上がった凸状に形成されている配線電極とを
有し、表面絶縁層は、溝部の内側に形成されている溝部内絶縁部と一体となって構成され、配線電極は、デバイス領域から溝部の内側に延出され、かつ溝部内絶縁部の表面よりも上に浮かび上がった凸状に形成されている延出端子部を有し、その延出端子部は、溝部の内側に先端側の一部分が配置され、かつその溝部を横切らないようにデバイス領域から溝部内絶縁部上に延出されている半導体基板を特徴とする。
【0016】
この半導体基板では、配線電極の断面が表面絶縁層の表面よりも突出し、大きさが大きくなって形成される。
また、この半導体基板では、配線電極が延出端子部を有するため、溝部に沿って切断したときの切断面に配線電極の端面を出現させることができる。
【0019】
また、配線電極は、表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、表面絶縁層の表面と交差している交差側面と、表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、表面絶縁層の表面に沿った天端面と、表面絶縁層の表面よりも内側に入り込んでいる埋込部とを有するようにすることができる。
【0020】
さらに延出端子部は、表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、表面絶縁層の表面と交差している交差側面と、表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、表面絶縁層の表面に沿った天端面とを有するようにすることもできる。
【0021】
そして、上記半導体基板において、半導体装置と接続されている接続パッドと、その接続パッドの形成位置に接続用ホールが形成され、かつ表面絶縁層の下側に配置されて、デバイス領域を覆うように形成されている保護絶縁層とを更に有し、配線電極は、表面絶縁層の表面よりも外側から接続パッドに至るまでの拡張高を備えた電極パッドを有することが好ましい。
【0022】
また、複数の溝部のいずれか少なくとも1つに沿って切断したときの切断面に配線電極の端面が表面絶縁層の表面よりも外側に突出して出現するようにすることもできる。
【0023】
さらに、配線電極は、複数の溝部のいずれか少なくとも1つに沿って複数並べられ、かつそれぞれの延出端子部がデバイス領域に接する溝部全体の一部分に偏って延出された偏在構造を備えた配線電極群を形成していることが好ましい。
また、複数の溝部は、他の溝部と交差しないストライプ状に形成されているようにすることができる。さらに、延出端子部の全体が曲がることなく平坦に形成されていることが好ましい。
【0024】
そして、本発明は、第1の半導体装置が形成されている第1の半導体プレートおよび第2の半導体装置が形成されている第2の半導体プレートを含む複数の半導体プレートが積層されている積層チップパッケージであって、第1の半導体プレートは、第1の半導体装置を覆うように形成され、積層チップパッケージの表層を構成している第1の表面絶縁層と、第1の半導体装置に接続され、かつ第1の表面絶縁層の表面よりも上に浮かび上がった凸状に形成されている第1の配線電極とを有し、第1の配線電極の端面が第1の表面絶縁層の表面よりも外側に突出している第1の突出端面となって形成され、第2の半導体プレートは、第1の半導体プレートの下側に積層さ
れ、第1の配線電極は、第1の表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、第1の表面絶縁層の表面と交差している交差側面と、第1の表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、第1の表面絶縁層の表面に沿った天端面と、第1の表面絶縁層の表面よりも内側に入り込んでいる埋込部とを有し、第1の半導体プレートは、全体が矩形板状に形成され、その板状部分の2組の対向する側面のうち、いずれか1組の対向する側面だけが第1の表面絶縁層によって覆われ、かつその1組の対向する側面のいずれか少なくとも一方に第1の突出端面が出現している積層チップパッケージを提供する。
【0025】
また、本発明は、第1の半導体装置が形成されている第1の半導体プレートおよび第2の半導体装置が形成されている第2の半導体プレートを含む複数の半導体プレートが積層されている積層チップパッケージであって、第1の半導体プレートは、第1の半導体装置を覆うように形成され、積層チップパッケージの表層を構成している第1の表面絶縁層と、第1の半導体装置に接続され、かつ第1の表面絶縁層の表面よりも上に浮かび上がった凸状に形成されている第1の配線電極とを有し、第1の配線電極の端面が第1の表面絶縁層の表面よりも外側に突出している第1の突出端面となって形成され、第2の半導体プレートは、第1の半導体プレートの下側に積層され、第1の配線電極は、第1の表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、第1の表面絶縁層の表面と交差している交差側面と、第1の表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、第1の表面絶縁層の表面に沿った天端面と、第1の表面絶縁層の表面よりも内側に入り込んでいる埋込部とを有し、第1の半導体プレートは、全体が矩形板状に形成され、その板状部分の4つの側面のいずれか1つの側面だけが第1の表面絶縁層によって覆われ、かつ第1の突出端面が出現している積層チップパッケージを提供する。
【0026】
また、第2の半導体プレートは、第2の半導体装置を覆うように形成されている第2の表面絶縁層と、第2の半導体装置に接続され、かつ第2の表面絶縁層の表面よりも上に浮かび上がった凸状に形成されている第2の配線電極とを有し、第2の配線電極の端面が第2の表面絶縁層の表面よりも外側に突出している第2の突出端面となって第1の突出端面の下側に形成され、第2の表面絶縁層および第2の配線電極を覆う接着層を介して第1の半導体プレートの下側に積層されているようにすることもできる。
【0027】
上記積層チップパッケージは、第1の突出端面および第2の突出端面を接続する接続電極を更に有することが好ましい。
【0028】
さらに、本発明は半導体装置が形成されている半導体プレートであって、半導体装置を覆うように形成され、半導体プレートの表層を構成している表面絶縁層と、半導体装置に接続され、かつ表面絶縁層の表面よりも上に浮かび上がった凸状に形成されている配線電極とを有し、いずれか少なくとも一つの側面に、配線電極の端面が表面絶縁層の表面よりも外側に突出している突出端面となって出現し
、全体が矩形板状に形成され、その板状部分の2組の対向する側面のうち、いずれか1組の対向する側面だけが表面絶縁層によって覆われ、かつその1組の対向する側面のいずれか少なくとも一方に突出端面が出現している半導体プレートを提供する。
【0029】
また、本発明は、半導体装置が形成されている半導体プレートであって、半導体装置を覆うように形成され、半導体プレートの表層を構成している表面絶縁層と、半導体装置に接続され、かつ表面絶縁層の表面よりも上に浮かび上がった凸状に形成されている配線電極とを有し、いずれか少なくとも一つの側面に、配線電極の端面が表面絶縁層の表面よりも外側に突出している突出端面となって出現し、全体が矩形板状に形成され、その板状部分の4つの側面のいずれか1つの側面だけが表面絶縁層によって覆われ、かつ突出端面が出現している半導体プレートを提供する。
【0030】
上記半導体プレートにおいて、配線電極は、表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、表面絶縁層の表面と交差している交差側面と、表面絶縁層の表面よりも外側に突出し、かつ、表面絶縁層の表面に沿った天端面と、表面絶縁層の表面よりも内側に入り込んでいる埋込部とを有するようにすることができる。
【0031】
また、半導体装置と接続されている接続パッドと、その接続パッドの形成位置に接続用ホールが形成され、かつ表面絶縁層の下側に配置されて、半導体装置を覆うように形成されている保護絶縁層とを更に有し、配線電極は、表面絶縁層の表面よりも外側から接続パッドに至るまでの拡張高を備えた電極パッドを有するようにすることができる。
【0033】
さらに本発明は、半導体装置が形成されている処理前基板について、
その処理前基板の半導体装置が形成されている領域をデバイス領域として、スクライブラインに沿って複数の溝部を形成し、複数の溝部が形成されている側の表面に絶縁材を塗布して表面絶縁層を形成し、半導体装置に接続され、かつ表面絶縁層の表面よりも上に浮かび上がった凸状の配線電極を表面絶縁層よりも後に形成することによって半導体基板を製造し、配線電極を形成するときに、溝部の内側に形成されている溝部内絶縁部の表面よりも上に浮かび上がった凸状の延出端子部を形成し、その延出端子部は、溝部の内側に先端側の一部分が配置され、かつその溝部を横切ることなくデバイス領域から溝部内絶縁部上に延出するように形成されている半導体基板の製造方法を提供する。
【0035】
また、配線電極を形成するときにその配線電極を溝部に沿って複数並べ、かつそれぞれの延出端子部がデバイス領域に接する溝部全体の一部分に偏って延出された偏在構造を備えた配線電極群を形成することが好ましい。
【0036】
さらに、本発明は、
半導体装置が形成されている処理前基板について、スクライブラインに沿って複数の溝部を形成し、複数の溝部が形成されている側の表面に絶縁材を塗布して表面絶縁層を形成し、半導体装置に接続され、かつ表面絶縁層の表面よりも上に浮かび上がった凸状の配線電極を表面絶縁層よりも後に形成することによって半導体基板を製造し、その製造された半導体基板を少なくとも2枚積層して積層デバイスウェハを形成し、その積層デバイスウェハを溝部に沿って切断したときの切断面に、各半導体基板に形成されている配線電極の端面を表面絶縁層の表面よりも外側に突出している突出端面として出現させてデバイスブロックを製造し、各突出端面を接続する接続電極をデバイスブロックの切断面に形成
し、積層デバイスウェハを形成するときに、半導体基板のうちの最も上段に配置される最上位基板を固定するために用いた台座および接着材を除去して、最上位基板の配線電極を、表面絶縁層の表面よりも上に浮かび上がった凸状に出現させる積層チップパッケージの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0038】
以上詳述したように、本発明によれば、積層チップパッケージの製造工程を簡略化することができて、製造時間を短縮化することができる構造を備えた半導体基板、その半導体基板を用いた積層チップパッケージおよび半導体プレート並びにこれらの製造方法が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
第1の実施の形態
(半導体ウェハの構造)
まず、
図1〜
図3を参照して、本発明の実施の形態に係る半導体基板の一例となる半導体ウェハ1の構造について説明する。
【0041】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る半導体ウェハ1の全体を示す斜視図である。
図2は半導体ウェハ1に形成されているデバイス領域10とその周辺の領域とを示す平面図、
図3は
図2の3−3線断面図である。
【0042】
半導体ウェハ1はシリコンウェハ2を用いて構成されている。半導体ウェハ1は
図1に示すように、シリコンウェハ2の第1の表面1a(第1の表面1aの裏面側が第2の表面1b)にスクライブライン3A,3Bが形成されている。スクライブライン3A,3Bは第1の表面1aにそれぞれ複数本ずつ形成され、一定の方向に沿って所定間隔で直線上に形成されている。スクライブライン3Aとスクライブライン3Bとは直交している。隣接するスクライブライン3A,3Aおよび3B,3Bで囲まれた領域に後述するデバイス領域10が形成されている。
【0043】
そして、半導体ウェハ1は第1の表面1aに溝部20,21が形成されている。溝部20,21はそれぞれスクライブライン3A,3Bに沿って形成されており、いずれも20〜60μm程度の深さおよび50〜120μm程度の幅を有している。
【0044】
半導体ウェハ1は
図3に詳しく示すように表面絶縁層22を有している。表面絶縁層22はデバイス領域10を覆うように形成され、半導体ウェハ1の第1の表面1aのほぼ全体をカバーして、半導体ウェハ1の表層を構成している。表面絶縁層22は後述する保護絶縁層31よりも厚さが厚く、しかも表面22cが平坦に形成されており、後述する配線電極15、配線電極16の形成されている部分を除いて半導体ウェハ1の最も外側に配置されている。
【0045】
また、表面絶縁層22は溝部20,21の内側に形成されている溝部内絶縁部22aと一体となって構成され、溝部内絶縁部22aとそれ以外の部分とのつなぎ目がなく一まとまりに形成されている。表面絶縁層22はコンタクトホール22bが複数形成されており、各コンタクトホール22bに配線電極15または配線電極16が一つずつ形成されている。
【0046】
表面絶縁層22は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂といった樹脂や、シリコンシリケートグラス(SOG)等からなる絶縁材を用いて形成することができる。本実施の形態では、樹脂を用いた場合を想定している。特に、表面絶縁層22は熱膨張係数の小さい樹脂を用いて形成することが好ましい。そうすることにより、溝部20,21に沿って半導体ウェハ1をダイシングソーで切断するときに、その切断を容易に行うことができる。
【0047】
そして、半導体ウェハ1はシリコンウェハ2によって構成されるシリコン基板30を有し、その上側部分がデバイス領域10となっている。デバイス領域10は表面に複数の接続パッド32が形成されており、接続パッド32以外の部分が保護絶縁層31によって被覆されている。
【0048】
保護絶縁層31は、表面絶縁層22の下側に配置されていて、デバイス領域10を覆うように形成されている。保護絶縁層31は、二酸化シリコン(SiO
2)等からなり、各接続パッド32の形成位置に接続用ホール31aが形成されている。接続用ホール31aは接続パッド32を露出させて後述する配線電極15,16を接続パッド32に接続するために形成されている。接続パッド32はデバイス領域10の半導体装置に接続されている(詳しくは
図4参照)。
【0049】
デバイス領域10は、
図2に詳しく示すように、隣接する溝部20,20と、溝部21,21とによって囲まれた矩形状の領域である。デバイス領域10は、第1の表面1aに複数形成されており、そのそれぞれは溝部20,21によって隣接する領域と分けられている単位領域となっている。
【0050】
各デバイス領域10は、ウェハプロセスを施すことによって第1の表面1aに形成されたメモリ部を有し、配線電極15,16が複数形成されている。なお、ウェハプロセスとは、シリコンウェハ2等のウェハ上に半導体素子や集積回路を作り込む製造工程を意味している。
【0051】
デバイス領域10は半導体装置としてメモリ部の他、CPU,センサ、センサの駆動回路といった集積回路や半導体素子が形成されていてもよい。また、デバイス領域10はメモリ部と、このメモリ部を制御するコントローラを構成する集積回路が形成されていてもよい。
【0052】
配線電極15はCu等の導電性の材料からなっている。配線電極15は延出端子部15aと、矩形状の電極パッド15bとを有し、延出端子部15aと電極パッド15bの全体が表面絶縁層22の表面22cよりも上に浮かび上がり立体的になった凸状構造を有している。
【0053】
配線電極15は
図3のほか、
図15、
図25に詳しく示されている。配線電極15は延出端子部15aの端面15gが表面絶縁層22の表面22cよりも外側に突出している突出端面となっている。また、配線電極15は、交差側面15dと、天端面15eと、埋込部15fとを有している。
【0054】
交差側面15dは表面絶縁層22の表面22cよりも外側に突出し、しかも表面22cから起立するように(ほぼ直交状に)交差している側面部分である。天端面15eは、交差側面15dに接続され、表面22cよりも外側に突出し、しかも表面22cに沿った方向に配置された矩形状部分およびそこから溝部20に向かって表面22cに沿った方向に伸びる帯状部分を有している。埋込部15fは表面22cよりも内側に入り込み、接続パッド32に接続されている部分である。
【0055】
そして、電極パッド15bが交差側面15d、天端面15eおよび埋込部15fによって構成され、延出端子部15aが交差側面15dと天端面15eとによって構成されている。
【0056】
また、電極パッド15bは、上下に重なって配置されているコンタクトホール22bおよび接続用ホール31aを介して接続パッド32に接続されていて、接続パッド32にまで届く深さを有している。つまり、電極パッド15bは表面22cよりも外側の天端面15eからコンタクトホール22bおよび接続用ホール31aを介して接続パッド32に至るまでの拡張された高さ(拡張高)h15を有している。この拡張高h15は、接続パッド32の高さh32よりも大きくなっている(h15>h32)。例えば、h15は2〜6μm程度、h32は0.5〜1μm程度である。
【0057】
配線電極16もCu等の導電性の材料からなっている。配線電極16は延出端子部16aと、矩形状の電極パッド16bとを有し、延出端子部16aと電極パッド16bの全体が配線電極15と同様の凸状構造を有している。配線電極16は延出端子部16aの端面16gが表面22cよりも外側に突出している突出端面となっている。
【0058】
また、配線電極16は交差側面16dと、天端面16eと、埋込部16fとを有している。交差側面16dは交差側面15dと同様に表面22cと交差している側面部分である。天端面16eは天端面15eと同様に表面22cに沿った方向に配置された矩形状部分およびそこから溝部20に向かって表面22cに沿った方向に伸びる帯状部分を有している。埋込部16fは埋込部15fと同様に表面22cよりも内側に入り込み、接続パッド32に接続されている部分である。そして、電極パッド16bが交差側面16d、天端面16eおよび埋込部16fによって構成され、延出端子部16aが交差側面16dと天端面16eとによって構成されている。電極パッド16bも電極パッド15bと同様の拡張高を有している。
【0059】
そして、配線電極15は、延出端子部15aと電極パッド15bとがデバイス領域10の外周の一部分に沿って形成されているが、配線電極16はデバイス領域10を跨ぐようにして延出端子部16aが形成されている。また、電極パッド16bはデバイス領域10の外周の一部分に沿って電極パッド15bと対向するように配置されている。
【0060】
延出端子部15a、延出端子部16aはそれぞれの一部分がデバイス領域10から溝部20の内側に延出している。すなわち、延出端子部15a、延出端子部16aは、電極パッド15b、16bから離れた先端側の一部分が溝部20のエッジ部分から張り出し、溝部20の幅方向内側に収まるようにして形成されている。そして、延出端子部15a、延出端子部16aは、それぞれにおけるデバイス領域10から延出している部分が溝部内絶縁部22aの表面22cよりも上に浮かび上がった凸状に形成されている。
【0061】
半導体ウェハ1は、延出端子部15a、延出端子部16aを有している。そのため、半導体ウェハ1は、溝部20に沿って切断したときの切断面に、後述する端面15c、16cが表面22cよりも外側に突出して出現するようになっている。
【0062】
さらに、配線電極15、16は溝部20に沿って交互に多数並べられている。これらの配線電極15、16はひとつにまとまった配線電極群17を形成している。また、配線電極15、16は、デバイス領域10を取り囲み、デバイス領域10に接している溝部の全体、すなわち隣接している2本の溝部20,20および2本の溝部21,21のうち、これら4本の溝部の一部分である左側または右側の溝部20にだけ延出端子部15a、16aが延出している。配線電極群17は、延出端子部15a、16aのこのような偏った配置による偏在構造を有している。
【0063】
デバイス領域10のメモリ部には半導体装置としてのメモリセル41が多数形成されている。メモリセル41は
図4に示すような構造を有している。
図4は、2枚の半導体ウェハ1を用いた後述する積層チップパッケージ100の、メモリセル41を中心に示した断面図である。
【0064】
メモリセル41は、接続パッド32を介して配線電極15、16が接続されている。メモリセル41は半導体ウェハ1を構成しているN型基板71の表面上に形成されている。
図4では、接着層33を介して2つのメモリセル41が積層されている。接着層33は、半導体ウェハ1を接着するときに用いた接着材で構成されている。
【0065】
各メモリセル41は、フラッシュメモリを構成していて、N型基板71の表面上に形成されたP型ウェル72上に形成されている。メモリセル41は、ソース73Aおよびドレイン73Bと、絶縁層77と、絶縁膜81、浮遊ゲート82、絶縁膜83および制御ゲート84とを有している。さらに、メモリセル41はソース電極74と、ドレイン電極76と、ゲート電極75とを有している。
【0066】
ソース73Aおよびドレイン73BはいずれもN型領域であり、それぞれソース電極74と、ドレイン電極76が接続されている。絶縁層77は、接続パッド32をそれぞれソース電極74、ドレイン電極76に接続するためのコンタクトホールが形成されている。ソース電極74、ゲート電極75、ドレイン電極76はそれぞれ対応するコンタクトホールを介してソース73A、制御ゲート84、ドレイン73Bに接続されている。
【0067】
(半導体ウェハの製造方法)
続いて以上のような構成を有する半導体ウェハ1の製造方法について、
図5〜
図10を参照して説明する。ここで、
図5は製造途中の半導体ウェハを示す
図2と同様の平面図、
図6は
図5の6−6線断面図である。
図7は
図5の後続の半導体ウェハを示す
図2と同様の平面図、
図8は
図7の8−8線断面図である。
図9は
図7の後続の半導体ウェハを示す
図2と同様の平面図、
図10は
図9の10−10線断面図である。なお、図示の都合上、
図7,9では、表面絶縁層22にハッチングを付している。
【0068】
半導体ウェハ1を製造するときは、まずウェハプロセスを施すことによって、デバイス領域10にメモリ部と複数の接続パッド32が形成されているウェハ(処理前ウェハ)を準備する。そして、処理前ウェハについて、
図6に示すように、第1の表面1a上に保護絶縁層31を形成し、その保護絶縁層31の各接続パッド32の形成箇所に接続用ホール31aを形成する。次に、スクライブライン3A,3Bに沿って、溝部20,21を形成する。溝部20,21はダイシングソーによって形成することができるが、反応性イオンエッチング等のエッチングによって形成してもよい。
【0069】
続いて、
図7,8に示すように、第1の表面1a全体に例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂を塗布する。すると、塗布した樹脂は処理前ウェハの表面全体に行き渡り、しかも溝部20,21の中に入り込む。続いて、処理前ウェハの表面を研磨して平坦化すると、
図8に示したように、処理前ウェハの表面全体を覆うようにして表面絶縁層22が形成される。塗布した樹脂のうちの溝部20,21の内側に入り込んだ部分が溝部内絶縁部22aとなるため、表面絶縁層22は溝部内絶縁部22aと一体となって形成される。
【0070】
次いで、
図9,10に示すように、表面絶縁層22にコンタクトホール22bを形成して接続パッド32を露出させる。その後、配線電極15、16を形成する。配線電極15、16は、前述した凸状構造を有し、しかも延出端子部15a、16aを備える形状で形成する。配線電極15、16は、例えば以下のような手順で形成することができる。
【0071】
まず、表面絶縁層22の上にめっき用の図示しないシード層を形成する。次に、そのシード層の上に溝部を備えたフレーム(図示せず)を形成する。フレームは例えばフォトリゾグラフィにより、フォトレジストをパターニングすることによって形成される。さらに、形成されているフレームの溝部内側であって、シード層の上に、配線電極15、16の一部となるめっき層を形成する。次に、フレームを除去し、さらにシード層のうち、めっき層の下に存在する部分以外の部分をエッチングによって除去する。以上のようにすることによって、めっき層およびその下のシード層によって配線電極15、16を形成することができる。
【0072】
配線電極15、16は表面絶縁層22よりも後に形成されるので、延出端子部15a、16aはその全体が表面絶縁層22の表面22cの上側に配置される格好で形成される。電極パッド15b、16bは、周辺部分が表面22cの上側に配置されるとともに、中央部分が表面22cよりも内側に入り込み、接続パッド32につながって形成される。
【0073】
(積層チップパッケージの製造方法、積層チップパッケージおよびデバイスプレートの構造)
以上のような構成を有する半導体ウェハ1は、同じもの複数枚を用いることによって積層チップパッケージ100を製造することができる。積層チップパッケージ100の製造方法を
図11〜
図14を用いて説明すれば次のとおりである。
【0074】
ここで、
図11は、積層チップパッケージ100を製造する途中の半導体ウェハ1および台座34を示す
図3と同様の断面図である。
図12は
図11の後続の工程を示す
図3と同様の断面図、
図13は
図12の後続の工程を示す
図3と同様の断面図、
図14は
図13の後続の工程を示す
図3と同様の断面図である。
【0075】
積層チップパッケージ100は次のようにして製造する。まず、前述した半導体ウェハ1の第1の表面1aに接着材を塗布して台座34に固定する。
図11では、このとき塗布した接着材からなる接着層33が示されている。半導体ウェハ1は後述する積層デバイスウェハ98の最も上位に配置される最上位基板として用いられる。台座34は半導体ウェハ1をサポートするための部材であって、
図11ではガラス板を用いている。続いて、半導体ウェハ1の第2の表面1bを溝部20,21が出現するまで研摩して
図11に示すように半導体ウェハ1の厚さを薄くする。
【0076】
次に、半導体ウェハ1と同じ構成を備えた別の半導体ウェハ1Aを用意し、それを
図12に示すように半導体ウェハ1の第2の表面1b側に接着材を用いて接着する。このとき、半導体ウェハ1と半導体ウェハ1Aについて、双方の溝部20,21の位置が揃うように位置合わせ行う。それから半導体ウェハ1Aの第2の表面1bを溝部20,21が出現するまで研摩する。この研磨によって半導体ウェハ1Aの厚さを薄くすると積層デバイスウェハが得られる。積層デバイスウェハは半導体ウェハ1が複数積層されている。
【0077】
さらに、
図13に示すように半導体ウェハ1と同じ構成を備えた別の半導体ウェハ1B,1Cを用意する。そして、半導体ウェハ1B,1Cのそれぞれについて、積層デバイスウェハの第2の表面1b側に接着してから研磨する工程(接着・研磨工程)を実行する。
【0078】
引き続いて接着・研磨工程を繰り返し実行し、その後、台座34および接着層33を除去すると、
図14に示すような積層デバイスウェハ98が製造される。積層デバイスウェハ98は半導体ウェハ1と半導体ウェハ1A、1B、1C、1D、1E、1F、1Gが重なり全部で8枚の半導体ウェハが積層されている。この積層デバイスウェハ98は、台座34および接着層33が除去されているため、半導体ウェハ1の配線電極15,16が凸状に出現している。
【0079】
続いて、積層デバイスウェハ98を溝部20,21に沿って切断する。すると、
図16に示すように、直方体状のデバイスブロック99が得られる。
図16は、デバイスブロック99を示す斜視図である。デバイスブロック99は、4つの側面のうちの一つが配線用側面99aとなっている。配線用側面99aには、延出端子部15a、16aの後述する端面15c、16cが表面絶縁層22の表面22cよりも外側に突出して出現している。そして、その配線用側面99aに
図17に示すように接続電極60を形成すると、積層チップパッケージ100が製造される。接続電極60は配線用側面99aにおいて、上下に並んだ複数の端面15c同士または複数の端面16c同士を接続するよう帯状に形成する。
【0080】
積層チップパッケージ100は
図17のほか
図18にも示すように、1つのデバイスプレート50と、7つのデバイスプレート51とが重なり、全部で8枚のデバイスプレートが積層された構造を有している。
【0081】
また、積層チップパッケージ100はデバイスプレート50、51の配線を接続電極60によって行っている。積層チップパッケージ100では、4つの側面の中の一つの配線用側面99aにすべての接続電極60が形成されている。このことにより、積層チップパッケージ100は片側配線構造を実現している。積層チップパッケージ100は端面15c、16cがそれぞれ複数形成されており、それらを縦方向につなぐ格好で接続電極60が形成されている。
【0082】
積層チップパッケージ100は、半導体ウェハ1のメモリ部を変更することにより、64GB(ギガバイト)、128GB、256GBといった種々の記憶容量を備えたメモリを実現することができる。なお、積層チップパッケージ100は、デバイスプレートが8枚積層されているが、複数のデバイスプレートが積層されていればよく、デバイスプレートの積層数は8枚には限定されない。
【0083】
積層チップパッケージ100は配線用側面99aに接続電極60を形成することによって製造されるが、接続電極60によって接続される端面15c、16cは表面22cよりも上方向に突出して形成されている。
【0084】
そして、接続電極60を形成するときは、接続電極60を形成するためのマスクパターンを正確に配置しなければならないが、そのマスクパターンの位置合わせが大まかでも積層チップパッケージ100を製造することができる。大まかな位置合わせでも、上下に並んだ端面15c同士、端面16c同士を接続する接続電極60を形成することができる。
【0085】
すなわち、積層チップパッケージ100では、接続電極60を形成する際、アライメントは高精度で行わなくてもよい。そのため、直方体状のデバイスブロック99を得た後の工程を簡易にすることができ、積層チップパッケージ100の製造工程全体を簡略化することができる。したがって、積層チップパッケージ100の製造時間を短縮することができる。これにより、単位時間あたりに製造できる積層チップパッケージ100の個数を増やすことができ、積層チップパッケージ100の製造単価を低減することができる。
【0086】
接続電極60を形成する際、アライメントを高精度で行わなくてもよいことの理由について述べれば次のとおりである。
【0087】
まず、デバイスブロック99は、4つの側面すべてが積層デバイスウェハ98を切断したときの切断面によって構成されている。この切断面の一つに端面15c、16cが端面15g、16g(詳しくは
図25参照)と同様に突出している端面となって出現している。これは次の理由による。なお、本実施の形態では、突出している端面を突出端面ともいう。
【0088】
各半導体ウェハ1(半導体ウェハ1A、1B、1C、1D、1E、1F、1Gも同様)の配線電極15,16は、延出端子部15a、延出端子部16aを有している。延出端子部15a、延出端子部16aは溝部20の内側に延出されている。そのため、積層デバイスウェハ98を溝部20,21に沿って切断したときに延出端子部15a、延出端子部16aも切断される。そして、延出端子部15a、延出端子部16aが切断されたときに形成される端面15c、16cが切断面の一つに出現する。
【0089】
一方、延出端子部15a、16aは、拡張高h15を有する電極パッド15b、16bと同様に凸状に形成されている。そのため、端面15c、16cは表面22cよりも上方向に突出した突出端面となって出現する。
【0090】
ここで、接続パッド32について、溝部20の内側にまで延出する端子部を形成した場合を考える(この端子部を仮想端子部という)。この場合、デバイスブロックの側面には、その仮想端子部の端面が出現することになる。
【0091】
しかし、延出端子部15a、16aは拡張高h15を備えた電極パッド15b、16bと共通の天端面15e、16eを有し、接続パッド32よりも厚さが厚く形成されている。そのため、端面15c、16cは前述の仮想端子部の端面よりも大きさが大きくなって出現する。デバイスブロック99では、このような大きさの大きい端面15c、16cが縦方向に並んで出現しているため、端面15c同士が接続しやすく、端面16c同士も接続しやすくなっている。接続電極60は端面15c同士、端面16c同士をつなぐことができればよいので、接続電極60を形成する際、マスクパターンの位置合わせを大まかにしてもよい。このような理由から、デバイスブロック99では、接続電極60を形成する際、アライメントを高精度で行わなくてもよくなっている。
【0092】
一方、端面15c、16cの大きさが大きくなっているということは、配線電極15,16の断面積が拡張されていることを意味している。したがって、配線電極15,16の抵抗値を低下させることができる。そうすると、配線電極15,16を通る電流が流れやすくなるため、積層チップパッケージ100の消費電力を低減することもできる。
【0093】
このように、半導体ウェハ1は以上のような配線電極15,16を有することによって、積層チップパッケージ100の製造工程を簡略化することができ、製造時間を短縮できるようになっている。
【0094】
さらに、デバイスブロック99は、その上面に凸状に浮かび上がった電極パッド15b、16bが出現している。絶縁層の表面よりも上に浮かび上がったパッド状端子が必要なときは、そのようなパッド状端子を備えた端子層(このような端子層は、半導体装置を有しないインターポーザである)を重ねて積層チップパッケージを製造しなければならない。
【0095】
しかし、デバイスブロック99は電極パッド15b、16bが凸状に浮かび上がったデバイスプレート50が最上位に積層されている。そのため、インターポーザを重ねる必要がなくなっている。したがって、積層チップパッケージ100は、端子層が不要であるため、その分、高さの低いコンパクトな構造になっている。
【0096】
また、半導体ウェハ1が溝部20の内側に延出している延出端子部15a、16aを有しているので、積層デバイスウェハを溝部20に沿って切断したときの切断面に端面15c、16cを出現させることができる。つまり、半導体ウェハ1を積層した積層デバイスウェハ98を溝部20に沿って切断すれば、端面15c、16cが得られるということである。
【0097】
したがって、半導体ウェハ1を用いるときはデバイス領域10につながる配線を切断面に出現させるためにわざわざ別の工程を設ける必要がない。仮に、配線電極15、16が延出端子部15a、16aを有していないとすると、溝部20に沿って切断しても配線電極15、16を切断することはできない。そのため、積層デバイスウェハを溝部に沿って切断しただけでは、その切断面にデバイス領域10につながる配線を出現させることができない。したがって、そのような配線を切断面に出現させるため、別の工程を行わねばならない。
【0098】
しかし、半導体ウェハ1を用いるときは、積層デバイスウェハを溝部に沿って切断したときの切断面に配線電極15、16の端面を出現させることができるから、配線を切断面に出現させるための工程をわざわざ行う必要がない。したがって、半導体ウェハ1を用いることによって積層チップパッケージの製造工程をいっそう簡略化することができる。
【0099】
また、配線電極15、16は表面絶縁層22の上に浮かび上がるようにして形成されている。そのため、切断面に端面15c、16cが出現した場合、上下に位置する端面15c、16c同士が表面絶縁層22を介在して配置されることになる。したがって、上下に位置するデバイスプレート同士がショートしてしまう事態を回避することができる。
【0100】
さらに、半導体ウェハ1における配線電極15、16は、配線電極群17を形成しているが、配線電極群17はデバイス領域10に接する溝部20,21の一部分に偏って配置された偏在構造を有している。そのため、半導体ウェハ1を用いて積層チップパッケージ100を製造したときに、デバイス領域10につながる配線を片側側面に寄せることができ、積層チップパッケージ100の片側側面配線を実現することができる。
【0101】
したがって、半導体ウェハ1は片側側面配線を実現し得る積層チップパッケージ100を製造するのに適したものである。また、半導体ウェハ1は一部の切断面についてだけ、不良のデバイスがあるかどうかの検査を行えば済む。したがって、半導体ウェハ1を用いることによって積層チップパッケージの製造工程をよりいっそう簡略にすることもできる。
【0102】
その上、延出端子部15a、16aが電極パッド15b、16bよりも幅の狭い幅狭構造を有するため、デバイス領域10の中に配線電極15、16を多数並べることができる。したがって、半導体ウェハ1は配線電極15、16による配線の密度を高めることができる。さらに、半導体ウェハ1では、各デバイス領域10のメモリ部が同じ平面上に形成されているため、アライメント誤差が0になっている。
【0103】
一方、デバイスブロック99は、
図15に示すデバイスプレート50の下側に
図16に示すデバイスプレート51が積層された構造を有している。
【0104】
デバイスブロック99は、その一つの配線用側面99aに端面15c、16cが出現している。配線用側面99aは積層デバイスウェハ98を溝部20,21によって切断したときの切断面である。
【0105】
デバイスプレート50は、本発明の実施の形態に係る第1の半導体プレートであって、
図15に示すように、全体が厚さの薄い矩形板状に形成され、その4つの側面が絶縁層によって覆われている。この絶縁層は、半導体ウェハ1を溝部20,21に沿って切断したことで形成されているため、溝部内絶縁部22aと同様の樹脂によって構成されている。
【0106】
そして、デバイスプレート50は、片側の平坦面が表面絶縁層22の表面22cとなり、その表面22cよりも上側に浮かび上がる立体的な配線電極15、配線電極16が複数形成されている。配線電極15、配線電極16の端面15c、16cは4つの側面のうちのひとつの側面50Aに突出端面となって出現している。端面15c、16cは第1の突出端面であって、接続電極60に接続し得るものとなっている。デバイスプレート50の表面絶縁層22は自らの表層を構成しているが、積層チップパッケージ100の中ではその表層を構成している。
【0107】
デバイスプレート51は、本発明の実施の形態に係る第2の半導体プレートであって、デバイスプレート50と比較して、表面22cおよび配線電極15、配線電極16を覆う接着層33を有する点で相違し、その他は同じ構成を有している。デバイスプレート51では、配線電極15、配線電極16の端面15c、16cが表面絶縁層22の表面22cよりも外側に突出している突出端面となって、デバイスプレート50の端面15c、16cの下側に形成されている。また、デバイスプレート51は、接着層33を介してデバイスプレート50の下側に積層されている。
【0108】
第2の実施の形態
(半導体ウェハの構造)
まず、
図19を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る半導体ウェハ91の構造について説明する。
【0109】
本実施の形態に係る半導体ウェハ91は、半導体ウェハ1と比較して、デバイス領域10の代わりにデバイス領域92を有する点、配線電極16の代わりに配線電極86を有する点で相違している。
【0110】
デバイス領域92は、デバイス領域10と比べて、配線電極15とともに、配線電極86が形成されている点で相違している。
【0111】
配線電極86は、Cu等の導電性の材料からなり、延出端子部86aと、矩形状の電極パッド86bとを有している。また、配線電極86は、配線電極15と同様に、延出端子部86aと電極パッド86bとがデバイス領域92の外周の一部分に沿って形成されている。こうして、デバイス領域92では、配線電極15、86がデバイス領域10と同様の配線電極群17を形成していることに加え、それらの電極パッド15b、86bのすべてをデバイス領域92の片側に寄せ集めている。こうして、デバイス領域92では、配線電極15、86が寄せ集めパッド群88を形成している。
【0112】
第1の実施の形態に係る半導体ウェハ1では、配線電極16の延出端子部16aがデバイス領域10を跨ぐようにして形成されていた。そのため、半導体ウェハ1では、延出端子部16aの長さをある程度の長さで確保しなければならなかった。
【0113】
一方、半導体ウェハ91では、延出端子部86aをデバイス領域92の外周の一部分に沿って形成しているので、延出端子部86aの長さを延出端子部16aよりも短縮することができる。半導体ウェハ91では、延出端子部86aの長さが短くなることにより、デバイス領域92へのアクセスを速く行えるようになる。また、配線電極16を形成する場合に比べて配線電極86を形成するのに要するめっき等が少量で済むようになり、コストを削減することもできる。
【0114】
そのほか、半導体ウェハ91は、半導体ウェハ1と同様に、片側側面配線を実現し得る積層チップパッケージの製造工程を簡略化することができる。
【0115】
また、半導体ウェハ91を用いてデバイスプレート50と同様のデバイスプレート151を製造し、そのデバイスプレート151を8枚積層することによって、
図23に示すような積層チップパッケージ102を製造することができる。
【0116】
(半導体ウェハの製造方法)
半導体ウェハ91を製造するときは、配線電極15、86を形成する前までは半導体ウェハ1を製造するときと同様にする。その後、前述した延出端子部15a、86aを備える形状にして配線電極15、86を形成する。配線電極15、86は半導体ウェハ1の場合と同様の手順で形成することができる。
【0117】
その他の実施の形態
図20、
図21を参照して、半導体ウェハ111について説明する。第1の実施の形態に係る半導体ウェハ1では、溝部20,21が形成されていた。半導体ウェハ111は、半導体ウェハ1と比較して、溝部21が形成されてなく、溝部20だけが形成されている点で相違している。したがって、半導体ウェハ111は、複数の溝部20が一定間隔で複数本並び、溝部が互いに他の溝部と交差しないストライプ状に形成されている。
【0118】
次に、
図22に示す半導体ウェハ112は溝部20だけが形成されている点で半導体ウェハ111と一致するが、溝部20はスクライブライン3Aの一つ置きに沿って形成されている。
【0119】
半導体ウェハ1では、デバイス領域10が4本の溝部20,21に接しているため、デバイス領域10の上下左右4方向が溝部20,21に接している。したがって、
図15に示したように、半導体ウェハ1から製造されるデバイスプレート50は4つの側面が溝部内絶縁部22aと同様の樹脂によって覆われている。
【0120】
これに対し、半導体ウェハ111では、デバイス領域10は左右2方向のみが溝部20に接している。したがって、半導体ウェハ111のような溝部がストライプ状に形成されている半導体ウェハを用いたデバイスプレート55は
図24のようになる。デバイスプレート55は、2組の対向する側面、すなわち、側面55Aおよびその向かい側と、側面55Bおよびその向かい側とを有するが、側面55Aおよびその向かい側だけが樹脂によって覆われ、側面55Bおよびその向かい側は樹脂によって覆われていない構造になっている。
【0121】
また、デバイスプレート55は対向する2つの側面55Aの双方に配線電極15,86の端面15c、86cが形成されている。図示はしないが、デバイスプレート55を積層した場合、対向する2つの側面に接続電極を形成することによって積層チップパッケージが得られる。この積層チップパッケージは対向している両面に接続電極が形成され、両面配線構造になる。
【0122】
半導体ウェハ112では、デバイス領域10は左右いずれか1方向のみが溝部20に接している。そのため、半導体ウェハ112のようなスクライブラインに沿って一つ置きに溝部が形成されている半導体ウェハを用いると、デバイスプレートはいずれか1つの側面だけに配線電極の端面が出現する。他の側面は樹脂で覆われていない。
【0123】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。