(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649166
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】電波センサおよびデータ伝送方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/08 20090101AFI20141211BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20141211BHJP
H04W 16/14 20090101ALI20141211BHJP
【FI】
H04W72/08 110
H04W24/10
H04W16/14
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-171477(P2010-171477)
(22)【出願日】2010年7月30日
(65)【公開番号】特開2012-34164(P2012-34164A)
(43)【公開日】2012年2月16日
【審査請求日】2013年6月24日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 平成22年2月24日 社団法人電子情報通信学会発行の電子情報通信学会技術研究報告、ソフトウェア無線、Vol.109、No.442、第81〜86頁に発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)総務省委託「電波資源拡大のための研究開発」の一環、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】独立行政法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デメシ ヨハネス アレムスグド
(72)【発明者】
【氏名】スン チェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ハグエン
(72)【発明者】
【氏名】原田 博司
【審査官】
青木 健
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−509380(JP,A)
【文献】
特開平03−046832(JP,A)
【文献】
特開2003−204298(JP,A)
【文献】
特表2006−505148(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/084465(WO,A1)
【文献】
国際公開第2007/111184(WO,A1)
【文献】
特開2007−329695(JP,A)
【文献】
特開2007−097206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/24 − 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの伝送に用いる搬送周波数を分割した複数のタイムスロットのうち、割り当てられたタイムスロットを用いてデータ伝送を行う電波センサにおいて、
所定の周波数帯の電波を受信する受信部と、
この電波センサ自身に割り当てられるタイムスロットによる報告期間までのスペクトル演算用の集積期間とこの電波センサよりも前にタイムスロットが割り当てられる他の電波センサの前記報告期間とを利用して前記電波のスペクトルを演算する演算部と、
前記演算部により演算されたスペクトルの演算結果を、割り当てられたタイムスロットに載せて前記データ集積装置へ報告する送信部と
を具備することを特徴とする電波センサ。
【請求項2】
前記演算部は、
電波の検知を開始後、自身に割り当てられたタイムスロットの時間に達するまでの無線活動休止期間に前記スペクトルを演算することを特徴とする請求項1記載の電波センサ。
【請求項3】
前記演算部は、
前記タイムスロットにデータを載せて報告した後に生じる無線活動休止期間に次のフレームに載せるデータの演算を行うことを特徴とする請求項1記載の電波センサ。
【請求項4】
データ集積装置へデータを伝送するのに用いる搬送周波数を分割した複数のタイムスロットのうち、自身に割り当てられたタイムスロットを用いて電波センサがデータ伝送を行うデータ伝送方法において、
所定の周波数帯の電波を前記電波センサが受信するステップと、
この電波センサ自身に割り当てられるタイムスロットによる報告期間までのスペクトル演算用の集積期間とこの電波センサよりも前にタイムスロットが割り当てられる他の電波センサの前記報告期間とを前記電波センサが利用して前記電波のスペクトルを演算するステップと、
前記電波センサが演算した結果のデータを、割り当てられたタイムスロットに載せて前記データ集積装置へ報告するステップと
を有することを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項5】
前記電波センサは、
前記電波の検知を開始後、自身に割り当てられたタイムスロットの時間に達するまでの無線活動休止期間に前記スペクトルを演算することを特徴とする請求項4記載のデータ伝送方法。
【請求項6】
前記電波センサは、
前記タイムスロットにデータを載せて報告した後に生じる無線活動休止期間に次のフレームに載せるデータの演算を行うことを特徴とする請求項4記載のデータ伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばワイヤレスセンサネットワークなどに利用される電波センサおよびデータ伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレスセンサネットワークの一つに、コグニティブ無線システムがある。このコグニティブ無線システムは、所定周波数の電波を受信し、その受信した電波のスペクトルを測定および解析する複数の電波センサと、各電波センサにより測定および解析された電波のスペクトル情報を収集して利用すべき周波数を決定するデータ集積装置とを備えている。
【0003】
電波センサとデータ集積装置との間のメッセージ伝送を無線で行う場合、無線信号の競合や衝突が発生するとスループットが低下するため、無線信号の競合や衝突が発生し難いTDMA(Time Division Multiple Access)方式を用いることが考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】津村,檜垣“マルチホップ経路に基づくTDMAスロットの割り当て手法” 情報処理学会研究報告.EIP,[電子化知的財産・社会基盤]2007(91),73-78,2007-09-20
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、TDMA方式の場合、各電波センサはタイムスロットが割り当てられていない期間は無線アクセスをしない期間となり、その期間のうち電波の検知開始後一定の期間に測定および解析などの演算を行っているが、この演算期間が短いため、質の高いデータが得られないことがある。
【0006】
本発明はかかる課題を解決するためになされたもので、検知対象の電波の状況を判定するための高品質のデータを収集することができる電波センサおよびデータ伝送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態に係る電波センサは、データの伝送に用いる搬送周波数を分割した複数のタイムスロットのうち、割り当てられたタイムスロットを用いてデータ伝送を行う電波センサにおいて、所定の周波数帯の電波を受信する受信部と、
この電波センサ自身に割り当てられるタイムスロットによる報告期間までのスペクトル演算用の集積期間とこの電波センサよりも前にタイムスロットが割り当てられる他の電波センサの前記報告期間とを利用して前記電波のスペクトルを演算する演算部と、前記演算部により演算されたスペクトルの演算結果を、割り当てられたタイムスロットに載せて前記データ集積装置へ報告する送信部とを具備する。
本発明の実施形態に係るデータ伝送方法は、データ集積装置へデータを伝送するのに用いる搬送周波数を分割した複数のタイムスロットのうち、自身に割り当てられたタイムスロットを用いて電波センサがデータ伝送を行うデータ伝送方法において、所定の周波数帯の電波を前記電波センサが受信するステップと、
この電波センサ自身に割り当てられるタイムスロットによる報告期間までのスペクトル演算用の集積期間とこの電波センサよりも前にタイムスロットが割り当てられる他の電波センサの前記報告期間とを前記電波センサが
利用して前記電波のスペクトルを演算するステップと、前記電波センサが演算した結果のデータを、割り当てられたタイムスロットに載せて前記データ集積装置へ報告するステップとを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検知対象の電波の状況を判定するための高品質のデータを収集することができる電波センサおよびデータ伝送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態のコグニティブ無線システムの配置図である。
【
図2】コグニティブ無線システムの概要構成図である。
【
図5】TDMA方式のデータフレームの構成を示す図である。
【
図6】複数のセンサの第1動作例を示すタイミングチャートである。
【
図7】複数のセンサの第2動作例を示すタイミングチャートである。
【
図8】複数のセンサがTDMA方式により無線通信を行う際の一般的なタイミングチャート(比較例)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し実施形態のコグニティブ無線システムについて詳細に説明する。
図1,2に示すように、この実施形態のコグニティブ無線システムは、プライマリシステムの電波塔1から放送(送信)される電波(放送波)を受信するよう分散配置された複数の電波センサ2a〜2e(以下センサ2a〜2eと称す)と、各センサ2a〜2eにより検知および演算(測定および解析)された電波のスペクトルのデータを収集してプライマリシステムの電波の状況(品質など)を認識し、対象の周波数が利用可能か否か判定し、利用すべき周波数を決定するデータ集積装置3とを有している。コグニティブ無線システムは、ワイヤレスセンサネットワークの一つである。複数のセンサ2a〜2eは、例えばオフィスビル内や商用施設内に点在するように位置されている。また電波塔1は屋外に設置されている。センサ2a〜2eは無線センサなどともいう。
【0011】
図3に示すように、各センサ2a〜2eは、受信部22、演算部23、送信部26を有している。演算部23は、測定部24と解析部25を有している。
【0012】
受信部22はアンテナ21を通じて所定の周波数帯、例えばUHF周波数帯(300MHz〜3000MHz(3GHz))程度の電波(例えばテレビジョン放送などの電波)を受信する。この周波数帯域をセンシングチャネル(第1チャネル)という。すなわちセンシングチャネルは、認識対象の周波数帯をスキャンするチャネルである。
【0013】
演算部23はタイムスロットが割り当てられていない無線活動休止期間に、受信部22により受信された電波のスペクトルを演算(測定および解析)する。より詳細には、演算部23は無線活動休止期間のうちタイムスロットによる報告期間を除いた期間に、受信部22により受信された電波のスペクトルを演算(測定および解析)する。
【0014】
例えば電波の検知を開始後、自身に割り当てられたタイムスロットの時間に達するまでの期間に演算(測定および解析)する。またタイムスロットにデータを載せて報告した後に生じる無線活動休止期間に次のフレームに載せるデータの演算を行う。無線活動休止期間を遊休期間という。
【0015】
測定部24は、受信部22により受信された電波信号の強度を測定する。電波のスペクトルとは一定の周期の振幅を繰り返す信号の波長の順に並べた強度分布である。解析部25は、測定部24により測定された電波信号の強度を波長の順に並べた強度分布を解析することで、電波のスペクトルを得る。
【0016】
送信部26は演算部23により演算された演算結果のデータ(電波のスペクトルのデータ、センサ自身の識別子など)を、データ集積装置3から自身に割り当てられたタイムスロットに載せてアンテナ27を通じて送信することでデータ集積装置3へ報告する。送信部26は例えばPHSなどの無線システムの通信帯域を利用して無線送信を行う。
【0017】
各センサ2a〜2eとデータ集積装置3との間の無線アクセスはTDMA方式で行う。この無線アクセスに利用するチャネルをセンサチャネル(第2チャネル)という。TDMA方式では、各センサ2a〜2eは、データ集積装置3へデータを伝送するのに用いる搬送周波数を複数のタイムスロットに分割し、分割した複数のタイムスロットのうち、データ集積装置3により自身に割り当てられたタイムスロットを用いてデータ伝送を行う。
【0018】
図4に示すように、データ集積装置3は、受信部32、集積部33、メモリ34、判定部35などを有している。
【0019】
受信部32は、各センサ2a〜2eからTDMA方式で無線送信されたデータを受信する。集積部33は、受信部32により受信された各センサ2a〜2eからのデータを収集し、収集したデータを合成してメモリ34に記憶する。
【0020】
メモリ34には、集積部33により合成されたプライマリシステムの電波の状況(品質など)等のデータが記憶される。メモリ34には、プライマリシステムの電波の状況(品質など)を判定するための閾値データ7や各センサ2a〜2eの識別子と対応させた位置データなどが予め記憶されている。またメモリ34は、集積部33および判定部35によるデータ処理のための作業領域として機能する。
【0021】
判定部35は、集積部33によりメモリ34に記憶されたプライマリシステムの電波の状況(品質など)等のデータと閾値データとを比較することで、検知対象の電波の周波数が存在するか否かによって利用可能か否かを判定し、判定結果に応じて利用すべき周波数を決定する。
【0022】
例えば電波の状況(品質など)等のデータの値が閾値データよりも高い場合、検知対象の電波の周波数(プライマリシステムの電波の周波数)が利用されているものと判定し、その周波数帯を除いた周波数帯を利用すべき周波数を決定する。
【0023】
また電波の状況(品質など)等のデータの値が閾値データよりも低い場合、検知対象の電波の周波数(プライマリシステムの電波の周波数)が利用されていないものと判定し、その周波数帯を利用すべき周波数として決定する。
【0024】
ここで、
図5を用いてデータ集積装置3と各センサ2a〜2eとの間で送受されるデータフレームについて説明する。
【0025】
図5に示すように、TDMA方式で無線送信されるデータは、複数のビーコンフレーム51の時間間隔の中に、初期集積期間52と報告用の複数のタイムスロット53と設けられている。各ビーコンフレーム51には、特定のアクションを指示するコマンド、各センサのための集積期間の情報、その他、同期に必要な情報などが含まれる。
【0026】
以下、
図6乃至
図8を参照して、このコグニティブ無線システムの動作を説明する。以下説明を分かり易くするためにセンサ2a〜2eのうちの3つのセンサ2a〜2cの動作について説明する。まず第1の動作例を説明する。
【0027】
このシステムでは、データ集積装置3は、分散された複数のセンサ2a〜2cによる無線アクセスを制御するための制御ノードとして動作する。
【0028】
データ集積装置3は、各センサ2a〜2cが電波のスペクトルの検知を開始する前に各センサ2a〜2cに対してスロットを割り当てる情報を含むビーコンフレーム51を送信する。
【0029】
各センサ2a〜2cはタイムスロット割り当て情報を含むビーコンフレーム51を受信すると、ビーコンフレーム51からそれぞれ自身のタイムスロット割り当て情報を読み出し、割り当てられたタイムスロットに演算結果のデータを載せて報告するよう演算時間を決めて、電波の検知を開始する。
【0030】
つまり、各センサ2a〜2cは電波のセンシングを開始し、おのおのの集積期間(
図6のt1,t2,t3)を経過後、自身に割り当てられたタイムスロットを利用して報告を行う。
【0031】
通常、
図8の比較例のように、各センサ2a〜2cが電波の検知を開始してから演算を行い、演算結果を得るまでの集積期間tは全て同じ時間(一定)であり、電波の検知を開始してから演算結果を得るまでの時間に限りがあることから、個々のセンサの検知結果(演算結果)として、ある程度の品質が得られない場合がある。
【0032】
そこで、この第1動作例では、
図6に示すように、例えばセンサ2aは、電波の検知を開始した後、ただちに第1集積期間t1に演算を実行し、自身に割り当てられたタイムスロットs1に演算結果のデータを載せて報告し、遊休期間I1に入る。このセンサ2aの動作は
図8の比較例の動作と同じである。
【0033】
一方、センサ2bは、センサ2aと同時に電波の検知を開始し、演算についてはセンサ2aが報告を終了するまでの期間である第2集積期間t2に実行し、自身に割り当てられたタイムスロットs2に演算結果のデータを載せて報告し、遊休期間I2に入る。第2集積期間t2は第1集積期間t1とタイムスロットs1による報告の期間を足し併せた期間である。
【0034】
センサ2cは、センサ2a,2bと同時に電波の検知を開始し、演算についてはセンサ2bが報告を終了するまでの期間である第3集積期間t3に実行し、自身に割り当てられたタイムスロットs3に演算結果のデータを載せて報告する。
【0035】
図8の比較例では、遊休期間I1が2回と遊休期間I2、I3が生じているのに対して、この
図6の動作例では、センサ2bが、
図8の集積期間tと遊休期間I3の分を、第2集積期間t2として演算を実行するので、より質の高い演算結果が得られる。またセンサ2cは、
図8の集積期間tと遊休期間I4の連続する時間分を足し併せた第3集積期間t3に演算を実行するので、さらに高品質の演算結果が得られる。
【0036】
したがって、データ集積装置3において、各センサ2a〜2cから収集された演算結果のデータを合成すると、高品質のデータを得ることができ、放送されている電波の有無や強度などを判定する上で、より確かな判定を行うことができる。
次に、
図7を参照して第2の動作例を説明する。
この第2動作例の場合、
図7に示すように、センサ2aは、電波の検知を開始した後、ただちに第1集積期間t1に演算を実行し、自身に割り当てられたタイムスロットs1に演算結果のデータを載せて報告する。その後、第1動作例では遊休期間I1(
図6)であった期間に、次のフレームで送るデータを得るための演算を実行する集積期間t4とする。
【0037】
また、センサ2bは、センサ2aと同時に電波の検知を開始し、演算については第2集積期間t2に演算するだけでなく、報告後の遊休期間I2であった期間を集積期間t5として、次のフレームで送るデータの演算を実行する。
【0038】
センサ2cは、センサ2a,2bと同時に電波の検知を開始し、演算についてはセンサ2bが報告を終了するまでの期間(
図8の集積期間t1と遊休期間I4を足し併せた期間)である第3集積期間t3に実行し、自身に割り当てられたタイムスロットs3に演算結果のデータを載せて報告する。
【0039】
図8の比較例では、遊休期間I1が2回と遊休期間I2、I3が生じているのに対して、この
図7の動作例では、センサ2aについても第1集積期間t1にさらに次のフレーム用の集積期間t4が加えられ、より質の高い演算結果が得られる。またセンサ2bについては、
図8の集積期間tと遊休期間I3の分を、第2集積期間t2とし、さらに遊休期間I2の分を、次フレーム用の集積期間t5として演算を実行するので、第1動作例よりもさらに演算時間を長くとれ、より質の高い演算結果が得られる。またセンサ2cは、
図8の集積期間tと遊休期間I1の連続する時間分を足し併せた第3集積期間t3に演算を実行するので、さらに質の高い演算結果が得られる。この第2動作例では、演算結果のデータの質的向上に加えて、遊休期間I1〜I4がなくなることから、センサ2a〜2eの動作効率についても向上することができる。
【0040】
この実施形態によれば、通常、各センサ2a〜2cがデータ集積装置3と無線アクセスをしない遊休期間I1〜I4(
図8)に、検知された電波のスペクトルを演算(測定および解析)することで(
図6、
図7)、演算結果のデータの品質が向上し、データ集積装置3では、各センサ2a〜2eから必要な品質のデータを収集することができる。つまり、検知対象の放送波の存在の有無など、検知対象の電波の状況を判定するための高品質のデータを収集することができる電波センサおよびデータ伝送方法を提供することができる。
【0041】
ここで、遊休期間I1〜I4における演算について説明する。
この実施形態のように、各センサ2a〜2cに、より長い演算時間(センシング時間)を持たせることで、より高感度の結果が得られ、全体的なグローバルな検出確率Pgを最大化することができる。
【0042】
例えば演算の基本式である下記式
【数1】
を変形し、拡張されたセンシング時間を組み入れると、
【数2】
【数3】
を得ることができる。
ここで、Pgはグローバルな検出確率、Pdiはi次の検出確率、Pdはローカルな検出確率、T’
senは拡張されたセンシング時間を表す。
T’
senは、
【数4】
により与えられる。
上記式を変形して、拡張されたセンシング時間T’
senからセンシング時間T
senを求め、下記式
【数5】
を計算することにより、ローカルな検出確率Pdが求められる。但しγは閾値、
Qは標準正規分布の末端確率、T
samはハードウェアを要素とする時間、ζは放送波のS/N比を示す。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態およびその動作例のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…電波塔、2a〜2e…センサ、3…データ集積装置、31…アンテナ、32…受信部、33…集積部、34…メモリ、35…判定部、21…アンテナ、22…受信部、23…演算部、24…測定部、25…解析部、26…送信部、27…アンテナ。