(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649185
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】2−シアノアクリレート接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 4/04 20060101AFI20141211BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20141211BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20141211BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
C09J4/04
C09J11/08
C09J11/06
C09J5/00
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-287210(P2011-287210)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-136652(P2013-136652A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000216243
【氏名又は名称】田岡化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 洋明
(72)【発明者】
【氏名】冨永 晃司
【審査官】
松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−201436(JP,A)
【文献】
特開2006−188548(JP,A)
【文献】
特開2000−044892(JP,A)
【文献】
特開平10−147751(JP,A)
【文献】
特開2009−235115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2−シアノアクリレート100重量部に対して(B)重量平均分子量が30〜80万であるポリメタクリル酸エステルおよび/またはポリアクリル酸エステルの共重合体を1〜10重量部、(C)多価アルコール類、ポリアルキレンオキサイド誘導体、カリックスアレン化合物、クラウンエーテル類から選ばれる群のうち少なくとも1種を0.005〜1重量部、及び(D)以下式(1)
【化1】
(1)
(式中R1はメチル基またはエチル基、n=2〜3、m=0〜3の整数を表す。)
で表される化合物を0.005〜0.2重量部含むことを特徴とする2―シアノアクリレート系接着剤組成物であって、前記接着剤組成物の25℃における粘度が30〜300mPa・sであることを特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
【請求項2】
請求項1記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物を用いて、表面温度が100〜250℃の被着体を接着することを特徴とする高温被着体の接着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温状態の被着体を良好に接着する2−シアノアクリレート接着剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2−シアノアクリレートを主成分とするシアノアクリレート接着剤組成物は、その高いアニオン重合性により、被着体表面や空気中の水分等のアニオン種によって短時間で重合硬化し各種材料を接着させるため、瞬間接着剤として電子、電気、自動車などの各種産業界、レジャー分野及び一般家庭で広く用いられている。しかし、これらの2−シアノアクリレート接着剤組成物は通常室温で使われ、100℃を超えるような高温状態の被着体に対しては、塗布した際に接着剤が揮発するなどして接着するのには適していない。
【0003】
一方で、自動車部品工場等において、ゴム部材を成型直後にシアノアクリレート接着剤で接着することを試みようとした場合に、ゴム部材の表面温度が100℃を超える場合が有り、通常のシアノアクリレート接着剤では接着するのは困難であることが判明した。耐熱性を改善したシアノアクリレート組成物(例えば特許文献1)はこれまでにも知られていたものの、いずれも硬化反応後の耐熱性であり、接着時(硬化前)に被着材が高温になるケースにおいても満足な接着性能を発現するシアノアクリレート組成物に関しては知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2010−285562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来の2−シアノアクリレート系接着剤が有しているこれらの問題点、すなわち高温状態の被着体においても満足な接着性能を有する2−シアノアクリレート系接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に鑑み、2−シアノアクリレートに対して特定の添加剤を特定の割合で添加し、さらに接着剤組成物の粘度を一定の値に調製することで本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明は、下記(1)〜(2)を提供するものである。
(1)(A)2−シアノアクリレート100重量部に対して(B)重量平均分子量が30〜80万であるポリメタクリル酸エステルおよび/またはポリアクリル酸エステルの共重合体を1〜10重量部、(C)多価アルコール類、ポリアルキレンオキサイド誘導体、カリックスアレン化合物、クラウンエーテル類から選ばれる群のうち少なくとも1種を0.005〜1重量部、及び(D)以下式(1)
【0008】
【化1】
(式中R1はメチル基またはエチル基、n=2〜3、m=0〜3の整数を表す。)
で表される化合物を0.005〜0.2重量部含むことを特徴とする2―シアノアクリレート系接着剤組成物であって、前記接着剤組成物の25℃における粘度が30〜300mPa・sであることを特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
(2)上記の2−シアノアクリレート系接着剤組成物を用いて、表面温度が100〜250℃の被着体を接着することを特徴とする高温被着体の接着方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、2−シアノアクリレートに対して特定の添加剤を特定の割合で添加し、さらに接着剤組成物の粘度を一定の値に調製することにより、高温状態の被着体においても満足な接着性能を有する2−シアノアクリレート系接着剤組成物を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における(A)2−シアノアクリレートは、式(2)で示される2−シアノアクリレートが好適に用いられる。
【0011】
【化2】
(式中Rは炭素数1〜16の置換基を有していてもよい飽和または不飽和の脂肪族もしくは脂環族基又は芳香族基を示す。)
【0012】
本発明における(A)2−シアノアクリレ−トの具体例としては、例えば、2−シアノアクリル酸のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、オクチル、ネオペンチル、シクロヘキシル、エチルヘキシル、ドデシル、アリル、メトキシエチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、ベンジル、フェニル、クロロエチル、テトラヒドロフルフリル等のエステル類が挙げられる。また、これらの2−シアノアクリレートは1種又は2種以上を混合して使用することができる。これらのうち、最も好適なものは、エチル−2−シアノアクリレートである。
【0013】
本発明における(B)重量平均分子量が30〜80万であるポリメタクリル酸エステルおよび/またはポリアクリル酸エステルとしては、メタクリル酸エステルとしては、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−iso−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−iso−ブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸−n−ヘプチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸エトキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸テトラヒドロフリフリル等が挙げられ、アクリル酸エステルとしては、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−iso−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−iso−ブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸−n−ヘプチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチルアクリル酸アリル、アクリル酸テトラヒドロフリフリル等が挙げられ、前記モノマーからなる重合体としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル等の前記モノマーの単独重合体や前記モノマーの中の構造の異なる少なくとも2種からなるコポリマー、ターポリマー、テトラマー等の共重合体が挙げられる。また、これらのコポリマー、ターポリマー、テトラマー等の共重合体同士を2種以上混合したものでもよい。これらの中でも、本発明の効果を発現するためにはメタクリル酸メチル、アクリル酸メチルが好ましい。
【0014】
前記アクリル樹脂は本発明の接着剤組成物の粘度を調整するために添加され、添加量は添加するアクリル樹脂によって異なるが、通常1〜10重量部添加される。1重量部より少ない場合、十分な増粘効果が得られず、高温被着材に対して揮発しやすくなり、10重量部より多い場合、粘度が高くなりすぎて硬化速度が遅くなる。
前記アクリル樹脂の重量平均分子量は30〜80万のものを使用する。重量平均分子量が30万未満では配合量が増える為硬化速度が遅くなり、80万を超えると接着剤組成物が糸曳きしやすくなり、作業性が悪くなり好ましくない。
【0015】
本発明における2−シアノアクリレート系接着剤組成物は、25℃における粘度範囲が30〜300mPa・sであり、好ましくは50〜200mPa・sである。粘度が30mPa・s未満では高温被着体に塗布した際に接着剤組成物が揮発しやすくなり、300mPa・sを超えると接着剤組成物の硬化速度が遅くなり好ましくない。
【0016】
本発明における化合物群(C)としては、多価アルコール類、ポリアルキレンオキサイド誘導体、カリックスアレン化合物、クラウンエーテル類が挙げられる。
【0017】
化合物群(C)のうち、多価アルコール類として具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ポリブタジエンジオール、クロルプロピレングリコール、3−メチルペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、2,5−ヘキサンジオールなどが挙げられ、これらの誘導体としては、そのアルキル、アルケニル、アリール、及びアラルキルエーテル、又はエステル、具体的には例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、テトラメチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール酢酸エステル、エチレングリコールモノラウレート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、エチルセロソルブステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、セロソルブアクリレート、セロソルブメタクリレート、セロソルブクロトネートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
化合物群(C)のうち、ポリアルキレンオキサイド誘導体としては、式(3)
【0019】
【化3】
(式中、X4 およびX5 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基を示す。pは1以上の整数、qは2以上の整数を示し、末端は環形成されていてもよい。)
なる繰り返し単位を有する化合物から選ばれた1種以上が挙げられる。
【0020】
ポリアルキレンオキサイド誘導体の具体的な例としては次の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
ホルムアルデヒド縮合体、アセトアルデヒド縮合体、トリオキサン重合体、ポリアルキレングリコール(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(400 、1000等 )、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキシド、ポリ3,3−ビス(クロロメチル)ブチレンオキシド、ポリ1,3−ジオキソラン、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックポリマーなど。)
【0022】
ポリアルキレングリコールモノエーテル(例えば、メチルカルビトール、カルビトール、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールベンジルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールプロピルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテルなど。)、ポリアルキレングリコールジエーテル(例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジステアリルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテルなど。)、
【0023】
ポリアルキレングリコールモノエステル(例えば、ジエチレングリコールモノプロピオネート、テトラエチレングリコールモノアセテート、トリプロピレングリコールモノ−n−
ブチレート、ポリエチレングリコールモノアセテート、ポリエチレングリコールモノプロピオネート、ポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールセバケート、ポリエチレングリコールステアレート、ポリエチレングリコールオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ジエチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ジエチレングリコールクロトネートなど。)、ポリアルキレングリコールジエステル(例えば、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジステアレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジクロトネート、ポリエチレングリコールジアセテート、ポリエチレングリコールジ−n−ブチレート、ポリエチレングリコールジウラレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジクロトネート、ポリエチレングリコールジ−2−シアノアクリレート、ポリエチレングリコールステアリル−メタクリレート、ポリエチレングリコールラウリル−アクリレートなど。)、
【0024】
ポリアルキレングリコールモノエーテルモノエステル(例えば、メチルカルビトール、カルビトール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラオキシエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル等のグリコールモノエーテル化合物のアクリレート、メタクリレート、クロトネート、又は2−シアノアクリレートなど。)、その他ビスフェノールA−ポリアルキレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−ポリアルキレンオキシド付加物、グリセリン−ポリアルキレンオキシド付加物、アジピン酸−ポリアルキレンオキシド付加物、トリメット酸−ポリアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。
【0025】
化合物群(C)のうち、クラウンエーテル類として具体的には、例えば、18−クラウン−6−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、ジチオ−15−クラウンエーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6−エーテル、 1,2−ナフト−15−クラウン−5−エーテル、 1,2−メチルベンゾ−18−クラウン−6−エーテルなども使用することができ、これらの添加剤は1種又は2種以上を使用してもよい。
【0026】
化合物群(C)のうち、カリックスアレン化合物としては、従来公知のカリックスアレン化合物を用いることができ、具体的には式(4)で示されるカリックスアレン化合物があげられる。
【0027】
【化4】
(式中、R4は水素原子、更に置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアルコキシ基であり、R5は水素原子又は置換されていてもよいアルキル基である。また、yは4,6又は8である。)
このようなカリックスアレン化合物としては、具体的には、5,11,17,23,29,35 −ヘキサ−tert−ブチル−37,38,39,40,41,42−ヘキサヒドロオキシカリックス〔6〕アレン、37,38,39,40,41,42−ヘキサヒドロオキシカリックス〔6〕アレン、或いは例えば特開昭60−179482号公報に記載されている 37,38,39,40,41,42−ヘキサ−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)−カリックス〔6〕アレン、 25,26,27,28−テトラ−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)−カリックス〔4〕アレン等が好ましく用いられる。
【0028】
以上列挙した化合物群(C)は、必要に応じ2種類以上混合して使用することが出来る、また、これらの中でも、本発明の効果を発現するためにはポリエチレングリコールメタクリレート、18−クラウン−6−エーテル、15−クラウン−5−エーテルが好ましい。
【0029】
本発明における化合物群(C)の使用量は2−シアノアクリレート100重量部に対して0.005〜1重量部であり、好ましくは0.01〜0.5重量部である。使用量が0.005重量部未満の場合、十分な硬化速度が得られず、1重量部より多く使用すると保存安定性が低下する傾向がある。
【0030】
本発明で用いられる(D)式(1)
【0031】
【化1】
(式中R1はメチル基またはエチル基、n=2〜3、m=0〜3の整数を表す。)
で表される化合物としては、具体的には、ピロガロール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,2,5−トリヒドロキシベンゼン、5−メチルピロガロール、5−エチルピロガロールが挙げられる。これらの中でもピロガロールが好ましい。これらは必要により1種または2種以上の混合物として用いられる。
【0032】
本発明における(D)化学式(1)で表される化合物の使用量は、2−シアノアクリレート100重量部に対して0.005〜0.2重量部であり、好ましくは0.01〜0.1である。添加量が0.005重量部より少ないと速硬化性および十分な接着強度が得られず、0.2重量部より多いとシアノアクリレート組成物の安定性が低下する傾向がある。
【0033】
また、本発明のエチル−2−シアノアクリレート接着剤組成物には、従来、エチル−2−シアノアクリレート接着剤に添加して用いられている安定剤(例えば、二酸化イオウ、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、三弗化ホウ素ジエチルエーテル、HBF
4 、トリアルキルボレート等のアニオン重合禁止剤や、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール等のラジカル重合禁止剤等)、可塑剤(フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソデシル、アセチルクエン酸トリブチル等)、着色剤、香料、溶剤、強度向上剤、脂肪族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸等、目的に応じ、2−シアノアクリレートモノマーの硬化速度及び安定性を阻害しない範囲で適宜、添加配合して使用することができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
【0035】
〔試験方法〕
〔ポリメタクリル酸エステルおよび/またはポリアクリル酸エステルの共重合体の重量平均分子量測定方法〕
ポリメタクリル酸エステルおよび/またはポリアクリル酸エステルの共重合体の重量平均分子量は以下の方法により測定した。
測定法:ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)
GPC装置:東ソー社製、型式「HLC−8220」
カラム:東ソー社製「TSKgel SuperHZ−4000」、「TSKgel SuperHZ−2500」、「TSKgel SuperHZ−1000」3本連結
移動相:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
なお、分子量の値は上記条件で分析したもののポリスチレン換算値である。
[粘度の測定法]
JIS K−6833−6.3「粘度測定法」に準ずる方法により測定した。
単位 (mPa・s)
[揮発の有無の確認方法]
200℃オーブン中でEPDM試験片(2×25×50mm)を1時間加熱し、取り出した直後の試験片上に接着剤を1滴塗布して揮発の有無を目視にて確認した。
接着剤が揮発しない・・・○、接着剤が揮発する・・・×
[セットタイムの測定方法]
200℃オーブン中でEPDM試験片(2×25×50mm)を1時間加熱し、取り出した直後の試験片同士を接着剤で貼り合わせた時に位置ずれしなくなるまでの時間を測定した。
セットタイム1秒以下○、セットタイム2秒以下△、セットタイム3秒以上×
[引張剪断接着強さの測定法]
200℃オーブン中でEPDM試験片(2×25×50mm)を1時間加熱し、取り出した直後の試験片同士を接着剤で貼り合わせ、常温で24時間養生した後に引張剪断接着強さを測定した。
引張速度:200mm/min
【0036】
[実施例1〜7、比較例1〜7]
(A)2―エチルシアノアクリレート100重量部に対して、表に示す(B)、(C)、(D)の成分を添加して2−シアノアクリレート接着剤組成物を調製し、粘度測定、揮発の有無の確認、セットタイム測定、引張剪断接着強さの測定を行った。
【0037】
【表1】
*:材料破断
【0038】
【表2】
*:材料破断
―:測定不可