特許第5649197号(P5649197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649197
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】リース契約車両への燃料販売システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20141211BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20141211BHJP
【FI】
   G06Q50/10
   G06Q30/06 200
   G06Q30/06 210
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-207631(P2013-207631)
(22)【出願日】2013年10月2日
(62)【分割の表示】特願2010-268639(P2010-268639)の分割
【原出願日】2010年12月1日
(65)【公開番号】特開2014-38645(P2014-38645A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2013年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105567
【氏名又は名称】コスモ石油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長野 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】平塚 隆介
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 弘康
【審査官】 加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−338182(JP,A)
【文献】 特開2001−331734(JP,A)
【文献】 和田文明,アメリカの石油法人カード「フリートカード」,CardWave,株式会社シーメディア,1998年 7月10日,第11巻,第8号,p.44−47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の販売業務、保有する車両を貸し出すリース契約の締結業務及びメンテナンス業務を提供する燃料販売会社の複数のサービスステーションに設置され、通信網に接続された端末と、
前記通信網に接続され、複数の前記端末から前記通信網を介して、前記リース契約の契約条件を収集する前記燃料販売会社のホストコンピュータと、
前記ホストコンピュータによって収集した前記リース契約の契約条件を前記ホストコンピュータが取り出し可能に格納する前記燃料販売会社のデータサーバとを備え、
複数の前記端末の各々は、
燃料の販売時に、リース契約の対象であるユーザと関連付けられた顧客識別番号前記リース契約の契約条件を取得して、リース契約内容を確認するリース契約確認部と、
記リース契約の契約条件に応じて、前記燃料の販売料金の割引等級を決定する割引等級判定部と、
前記リース契約の契約条件に応じて、燃料の販売料金を算出する料金算出部と、を備え、
前記料金算出部は、前記割引等級判定部で決定された前記割引等級を基に前記燃料の販売料金を算出することを特徴とするリース契約車両への燃料販売システム。
【請求項2】
前記端末、リース契約の対象である前記車両と関連付けられた車両識別番号を取得し、
前記ース契約確認部は、取得した前記車両識別番号と記リース契約の契約条件を参照して、燃料の販売対象のリース契約内容を確認することを特徴とする請求項に記載のリース契約車両への燃料販売システム。
【請求項3】
前記リース契約の内容には前記車両のメンテナンス条件を含み、
前記割引等級判定部は前記メンテナンス条件に応じて割引等級を決定することを特徴とする請求項1または2に記載のリース契約車両への燃料販売システム。
【請求項4】
前記リース契約の締結時に、前記端末少なくとも前記顧客識別番号及びメンテナンス条件を含む前記リース契約の契約条件を前記ホストコンピュータに送信し、
前記データサーバは少なくとも前記顧客識別番号及び前記メンテナンス条件を前記リース契約内容として格納することを特徴とする請求項からの何れか一項に記載のリース契約車両への燃料販売システム。
【請求項5】
前記端末、前記サービスステーションでのメンテナンスの実施記録を前記ホストコンピュータに送信し、
前記ホストコンピュータは、前記メンテナンスの実施記録をメンテナンスの実施履歴として前記データサーバに格納するメンテナンス記録管理部を有し、
前記メンテナンス記録管理部は、燃料の販売時に前記メンテナンス実施履歴を前記端末の表示部に表示することを特徴とする請求項からの何れか一項に記載のリース契約車両への燃料販売システム。
【請求項6】
前記メンテナンス記録管理部は、特定のメンテナンスについて、前回の前記メンテナンスの実施から所定期間前記メンテナンスの実施がない場合に、前記端末の前記表示部に前記メンテナンス実施の案内を表示することを特徴とする請求項に記載のリース契約車両への燃料販売システム。
【請求項7】
前記割引等級判定部は、多くのメンテナンス条件を付けたリース契約ほど大きな割引率となる割引等級を決定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のリース契約車両への燃料販売システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料販売会社が保有する車両を貸し出すリース契約車両への燃料販売システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料販売会社がサービスステーションにてガソリン等の燃料の販売の他に、オイル交換等のメンテナンスサービスを提供することが知られている。また、サービスステーションに来店する顧客の個人情報及び車両のメンテナンス情報を顧客の了解の上で収集してデータベースに登録し、これを活用してより充実した顧客車両へのサービスを提供することが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4423134号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者らは、従来のサービスステーションで新たなサービスを提供するために、サービスステーションにてリース契約の締結業務、及びリース契約に伴うメンテナンス条件に応じたサービスを提供することを検討した。
【0005】
従来は、リース契約を締結したユーザはリース契約のためにリース契約販売店へ出向いたり、燃料を購入するために燃料販売会社へ出向いたり、あるいは車両のメンテナンスのために車両修理店へ連絡したり、といったようにそれぞれのサービスを受けるために別々の店舗を利用する必要があり、必ずしもユーザの利便性が高いとは言えなかったためである。
【0006】
そこで本発明の目的は、リース契約を締結したユーザの利便性を高めたリース契約車両への燃料販売システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によれば以下が提供される。
(1) 燃料の販売業務、保有する車両を貸し出すリース契約の締結業務及びメンテナンス業務を提供する燃料販売会社の複数のサービスステーションに設置され、通信網に接続された端末と、
前記通信網に接続され、複数の前記端末から前記通信網を介して、前記リース契約の契約条件を収集する前記燃料販売会社のホストコンピュータと、
前記ホストコンピュータによって収集した前記リース契約の契約条件を前記ホストコンピュータが取り出し可能に格納する前記燃料販売会社のデータサーバとを備え、
複数の前記端末の各々は、燃料の販売時に、リース契約の対象であるユーザと関連付けられた顧客識別番号を前記ホストコンピュータに送信する送信部を備え、
前記ホストコンピュータは、
前記端末から送信された前記顧客識別番号と前記データサーバ中に格納された前記リース契約の契約条件を参照して、燃料販売対象のリース契約内容を確認するリース契約確認部と、
前記リース契約の契約条件に応じて燃料料金の割引等級を決定する割引等級判定部と、
前記割引等級判定部で決定された前記割引等級を前記端末に送信する送信部とを備え、
前記端末は更に、燃料供給量と燃料の定価と前記割引等級を基に燃料の料金を算出する料金算出部と、前記料金を表示する表示部を備えたことを特徴とするリース契約車両への燃料販売システム。
(2) 前記端末の送信部は、リース契約の対象である前記車両と関連付けられた車両識別番号を前記ホストコンピュータに送信し、
前記ホストコンピュータのリース契約確認部は、前記端末から送信された前記車両識別番号と前記データサーバ中に格納された前記リース契約の契約条件を参照して、燃料販売対象のリース契約内容を確認することを特徴とする(1)に記載のリース契約車両への燃料販売システム。
(3) 前記リース契約の内容には前記車両のメンテナンス条件を含み、
前記割引等級判定部は前記メンテナンス条件に応じて割引等級を決定することを特徴とする(1)または(2)に記載のリース契約車両への燃料販売システム。
(4) 前記リース契約の締結時に、前記端末の前記送信部は少なくとも顧客識別番号及びメンテナンス条件を含む前記リース契約の契約条件を前記ホストコンピュータに送信し、
前記データサーバは少なくとも前記顧客識別番号及び前記メンテナンス条件を前記リース契約内容として格納することを特徴とする(1)から(3)の何れか一項に記載のリース契約車両への燃料販売システム。
(5) 前記端末の前記送信部は、前記サービスステーションでのメンテナンスの実施記録を前記ホストコンピュータに送信し、
前記ホストコンピュータは、前記メンテナンスの実施記録をメンテナンスの実施履歴として前記データサーバに格納するメンテナンス記録管理部を有し、
前記メンテナンス記録管理部は、燃料の販売時に前記メンテナンス実施履歴を前記端末の前記表示部に表示することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載のリース契約車両への燃料販売システム。
(6) 前記メンテナンス記録管理部は、特定のメンテナンスについて、前回の前記メンテナンスの実施から所定期間前記メンテナンスの実施がない場合に、前記端末の前記表示部に前記メンテナンス実施の案内を表示することを特徴とする(5)に記載のリース契約車両への燃料販売システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明のリース契約車両への燃料販売システムによれば、リース契約の締結業務、メンテナンス業務、燃料供給業務を一括してサービスステーションがユーザに提供できる。したがって、ユーザはリース契約の締結業務、メンテナンス業務、燃料供給業務といった複数のサービスを一括してサービスステーションで受けることができるので、ユーザの利便性を高めることができる。
【0009】
また、燃料を販売する燃料販売会社がリース契約を提供するので、燃料の割引率を自在に設定することができユーザに低価格で燃料を提供することができる。更に、サービスステーションがメンテナンス業務を提供することで、燃料供給のためにサービスステーションに来店するユーザにとってメンテナンス実施の機会が増え、車両の安全性を高く保つことができるとともに車両の将来の残存価値を高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るリース契約車両への燃料販売システムを示す全体構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るリース契約車両への燃料販売システムを示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係るリース契約車両への燃料販売システムを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るリース契約車両への燃料販売システムを、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るリース契約車両への燃料販売システムを示す全体構成図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るリース契約車両への燃料販売システムの端末10は燃料販売店の複数のサービスステーション(図1中のSS)に設置され、リース契約車両への燃料販売システムを運営する燃料販売店のホストコンピュータ20及びデータサーバ30にインターネット等の通信網40を介して接続されている。なお、本発明において取り扱うユーザの個人情報に関しては、その取り扱いについて厳格な管理や十分な情報の保護機能を付加した上で取り扱うことはいうまでもない。
【0013】
燃料販売会社のサービスステーションでは、燃料の販売の他、リース契約の締結業務、メンテナンス業務を提供する。
【0014】
なお、燃料とはガソリンや軽油、CNG(圧縮天然ガス)、メタノール、電気といった車両の動力源となるものをいい、サービスステーションとはこれらの動力源をガソリン車、電気自動車、CNG自動車、メタノール自動車、電気自動車へ
供給する施設をいう。
【0015】
また、リース契約とは、燃料販売会社が保有する車両をユーザに貸し出す契約を言う。燃料販売会社は車両を借り受けるユーザとの間で、リース料金、車種、予定走行距離、貸出期間、各種保険契約、ロードサービスの有無、車両の延長保証の有無、メンテナンス条件、各種メンテナンスの管理等の貸し出し条件を設定してリース契約を締結する。なお、燃料販売会社自身が所有する車両をリース対象としてもよいし、燃料販売会社が指定するリース会社が所有する車両をリース対象として燃料販売会社がユーザとリース会社の仲介をする形態を取ってもよい。
【0016】
また、メンテナンス業務とは、上記車両に対する点検、整備、車検等の各種サービスのことをいう。例えば定期点検、オイルの交換、タイヤの交換、ブレーキパッドの交換、バッテリーの交換、ワイパーゴムの交換、エアコンフィルタの交換が例示できる。ユーザはリース契約の締結時に、どのようなメンテナンス項目をリース期間中に無料で実施できるかを、リース契約に含めることができる。例えばユーザは、表1のようなメンテナンス等級A〜Cの中から一つを選択してリース契約を締結できる。
【0017】
メンテナンス等級をA等級でリース契約を締結したユーザは、表1中に記載された全てのメンテナンス項目を、リース契約のリース料金の支払いのみ(つまり追加の費用なし)で受けることができる。他方、メンテナンス条件をC等級でリース契約を締結したユーザは、タイヤ交換に係るメンテナンスをリース契約のリース料金の支払いのみでは受けることができず、タイヤ交換メンテナンスを受ける場合には別途料金を支払う必要がある。なお、このメンテナンス等級に応じてリース契約のリース料金が増減する。
【0018】
なお、メンテナンス項目を全てリース契約中に含めたメンテナンス等級がA等級のユーザには、リース料金の割引をしてもよい。ユーザが全てのメンテナンスを実施することによりリース契約終了時の車両残存価値が高いことが見込まれるため、リース契約の初期にこの分をユーザに還元することができるためである。
【0019】
【表1】
【0020】
ユーザがサービスステーションにてリース契約を締結すると、ユーザの承諾を得た後、サービスステーションに設置された端末10からリース契約の内容が通信網40を介してホストコンピュータ20に送信される。ホストコンピュータ20は、これらのリース契約内容を収集し、このリース契約内容をデータサーバ30のデータベース31として取出可能に格納する。端末10から送信されるリース契約の内容には、通常のリース契約の内容の外に少なくとも顧客識別番号、車両識別番号、メンテナンス等級が含まれる。なお、顧客識別番号及び車両識別番号とは、必ずしも番号だけを言うのではなく、記号、文字、またはこれらの組合せによってリース対象車両を識別できるものを言う。
【0021】
またリース契約の締結時に燃料販売会社は、リース契約を締結したユーザと関連付けられた顧客識別番号をユーザに交付する。例えば、ユーザのクレジットカード番号を顧客識別番号としてデータサーバ30内のデータベース31に登録して、顧客識別番号から顧客を識別可能としておく。また、クレジットカード番号を用いる他に、顧客番号を埋め込んだ専用ICカードをユーザに発券したり、顧客番号を埋め込んだ専用ICタグをリース対象車両に貼付したりしてもよい。また、顧客識別番号の他に、リース対象車両と関連付けられた車両識別番号をクレジットカード番号と対応付けたり、顧客識別番号と共に車両識別番号を専用ICカードや専用ICタグに埋め込んだりしてもよい。
【0022】
リース契約の締結時には、顧客識別番号と車両識別番号の少なくとも一方と関連づけられたクレジットカード番号あるいは、専用ICカード,専用ICタグを燃料供給時に燃料販売会社に提示すれば、燃料の割引サービスを受けられることを燃料販売会社はユーザに通知しておく。
【0023】
なお、上記のリース契約の締結業務はサービスステーションにて提供してもよいし、サービスステーション以外の場所でリース契約を締結し、ユーザの承諾を得た後、燃料販売会社の担当者がホストコンピュータ20に直接リース契約情報を入力してもよい。
【0024】
次に、図2,3を参照して、燃料販売会社がリース対象車両へ燃料を販売する時の燃料料金の割引方法を説明する。図2は本実施形態に係るリース契約車両への燃料販売システムを示すブロック図であり、図3は本実施形態に係るリース契約車両への燃料販売システムを示すフローチャートである。
【0025】
燃料販売会社とリース契約を締結したユーザがリース対象車両へ燃料を供給するためにサービスステーションに来店した時に、まずサービスステーションにて燃料の供給前または燃料料金の精算前に、ユーザが端末10の識別番号読み取り部11にクレジットカードをかざすことにより、顧客識別番号としてのクレジットカード番号が端末10に入力される。端末10は顧客識別番号が入力されたと判断すると(ステップS01 Yes)、ステップS02に移行する。
【0026】
なお、燃料の供給時あるいは燃料料金の精算時までに顧客識別番号が端末10に入力されない場合(ステップS01 No)、例えばリース契約を締結していない顧客が現金で燃料を購入しようとする場合は、端末10は燃料の販売対象はリース契約を締結していない顧客であると判断し、販売料金算出部15で燃料料金の割引を行わずに燃料料金を算出する(ステップS05)。
【0027】
図2に示す如く、端末10の識別番号読み取り部11から読み取られたクレジットカード番号は、端末10の送信部12により通信網40を介してホストコンピュータ20に送信される。ホストコンピュータ20の受信部21は通信網40を介して送信されたクレジットカード番号を受信する。
【0028】
次に、ホストコンピュータ20のリース契約確認部22は、上記顧客識別番号と関連付けられたクレジットカード番号とデータサーバ30中のリース契約内容が登録されたデータベース31を参照して、当該燃料の販売対象であるユーザのリース契約の内容を確認する(ステップS02)。
【0029】
リース契約確認部22は、上記クレジットカード番号がデータベース31中に登録されていれば(ステップS02 Yes)、当該ユーザのメンテナンス条件の等級を確認し、そのメンテナンス条件の等級をホストコンピュータ20の割引等級判定部23に送信する。一方、リース契約を締結していない顧客がクレジットカードで燃料を購入しようとしている場合等、上記クレジットカード番号がデータベース31中に登録されていなければ(ステップS02 No)、リース契約確認部22は契約無しの旨を端末10の販売料金算出部15へ送信し、販売料金算出部15は燃料料金を割引せずに燃料料金を算出する(ステップS05)。
【0030】
次に、割引等級判定部23はメンテナンス条件の等級に応じて上記リース契約を締結したユーザに適用する割引等級を判定する(ステップS03)。すなわち、多くのメンテナンス条件を付けてリース契約を締結したユーザには、大きな割引率で燃料を販売するように設定する。ユーザが多くのメンテナンス条件をつけてリース契約を締結し頻繁にメンテナンスを実施すれば、長期に亘って車両を良好な状態に維持することができる。その結果、リース契約終了時の車両の残存価値を高く維持することができるので、燃料販売会社がメンテナンス条件に応じた燃料料金を割引くことができるためである。
【0031】
例えば割引等級判定部23は、表2に示すように割引等級決定テーブルを用い、メンテナンス条件がA等級であるユーザの割引等級を1等級と判定し、メンテナンス条件がB,C等級であるユーザの割引等級をそれぞれ2,3等級と判定する。判定された割引等級はホストコンピュータ20の送信部24に入力され、ホストコンピュータ20の送信部24は端末10の受信部13に送信網40を介して割引等級を送信する。
【0032】
なお、割引等級判定部23は、この割引等級は単にメンテナンス条件の多寡に応じて決定する手法の他に、車両の将来の残存価値を高く維持できる項目順にメンテナンス項目に重み付けをして割引等級を決定してもよい。車両の将来の残存価値が高ければユーザにその分の費用を還元できるからである。
【0033】
また、割引等級判定部23はデータベース31中の後述するメンテナンス実施履歴を参照し、各種のメンテナンスが所定の期間内に実施されていれば割引等級を上げたりしてもよい。メンテナンスが所定期間内に実施されていれば車両の将来の残存価値を高く維持することができるので、ユーザにその分の費用を還元できるからである。
【0034】
【表2】
【0035】
割引等級が入力されると端末10の割引料金設定部14は、表3のような割引料金テーブルと割引等級とを用いて燃料の割引料金を設定する(ステップS04)。例えば割引料金設定部14は、表3の如く、割引等級が1等級のユーザには燃料油1リットル当たり5円引きの割引額、2等級のユーザには燃料油1リットル当たり3円引きの割引額、3等級のユーザには燃料油1リットル当たり1円引きの割引額を設定する。なお、割引料金設定部14は、本実施形態の如く割引等級に応じて割引額を設定してもよいし、割引等級に応じて割引率(何割引)を設定して燃料料金を設定してもよい。
【0036】
【表3】
【0037】
割引料金設定部14で燃料の割引料金が設定されると、端末10の販売料金算出部15は設定された割引料金、燃料の定価及び供給数量を考慮して最終的な販売料金を算出する。算出された販売料金は販売料金算出部15から表示部16に入力されて、表示部16で販売料金が表示され(ステップS06)、リース契約車両への燃料販売システムは処理を終了する。
【0038】
このように本実施形態に係るリース契約車両への燃料販売システムによれば、ユーザはリース契約の締結、メンテナンスの実施及び燃料の供給等、リース車両に関する業務を一括して燃料販売会社のサービスステーションで受けることができるので、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0039】
特に、ユーザは燃料を購入するためにサービスステーションへ来店した時にメンテナンスを実施することができるのでメンテナンスの頻度が向上し、車両を常に良好な状態に維持できるので車両の安全性を高く保つことができる。また、車両のメンテナンスが必要な時には、メンテナンスの実施のためにメンテナンス業者がユーザの元へ車両の引き取りに行く必要がなく、引き取り作業に係る費用が軽減されるので、この費用の軽減を考慮に入れてリース契約のリース料金を割り引いてもよい。
【0040】
また、通信網40を介して複数の端末10と接続されているデータサーバ30にリース契約の内容が集約されているので、ユーザは通信網40を介して接続されている複数の端末10が設置されているどこのサービスステーションでも上記燃料料金の割引サービスを受けることができる。
【0041】
さらに、本実施形態に係るリース契約車両への燃料販売システムによれば、燃料を販売する燃料販売会社がメンテナンス等の条件を含めたリース契約を締結することで、自社が販売する製品である燃料の割引率を自由に設定できる。また、ユーザはメンテナンス条件に応じた燃料料金の割引サービスを受けることができる。
【0042】
なお、顧客識別番号が埋め込まれた専用ICカードをユーザが端末10の識別番号読み取り部11としてのカードリーダに読み込ませたり、車両に貼付された専用ICタグを端末10の識別番号読み取り部11としてのタグ読み取り部が読み取ることで、端末10に顧客識別番号を入力してもよい。
【0043】
また、上述の例ではリース契約確認部22が顧客識別番号のみをデータサーバ30中のデータベース31と参照する例を上げて説明したが、車両識別番号のみをデータベース31と参照して当該燃料の販売対象であるユーザのリース契約の内容を確認してもよい。また、顧客識別番号と車両識別番号の両方をデータベース31に格納されたリース契約内容と一致するかを確認し、当該燃料の販売対象であるユーザのリース契約の内容を確認してもよい。
【0044】
顧客識別番号と車両識別番号の少なくとも一方を専用ICタグに埋め込む場合は、例えばリース対象車両の燃料供給口近傍に貼付し、端末10の識別番号読み取り部11を燃料供給部(給油ノズル等)の近傍に設けることが好ましい。このような配置によれば、ユーザが専用ICカード等を識別番号読み取り部11にかざす等の特別な動作をすることなく、顧客識別番号と車両識別番号の少なくとも一方を端末10へ入力することができる。
【0045】
また、端末10の送信部11は、メンテナンスを実施したことを通信網40を介してホストコンピュータ20に送信し、ホストコンピュータ20がデータサーバ30のデータベース31にメンテナンス実施履歴として格納するメンテナンス記録管理部25を備えていてもよい。
【0046】
このメンテナンス記録管理部25は、燃料販売時に、顧客識別番号と車両識別番号の少なくとも一方がホストコンピュータ20に入力され、リース契約確認部22がデータベース31を参照するときに、メンテナンス記録管理部25もメンテナンス実施履歴を参照し、メンテナンスの実施状況を通信網40を介して端末10の表示部16に表示させる。このような構成によれば、ユーザが当該メンテナンスの実施間隔を覚えておかなくとも、燃料の供給時にメンテナンスの実施状況を端末10の表示部16が表示することで、ユーザに適切なメンテナンスを提供することができる。
【0047】
メンテナンス記録管理部25が表示部16にメンテナンスの実施状況を表示させる際は、メンテナンス管理部25が所定期間特定のメンテナンスが実施されていないと判断した場合に、通信網40を介して端末10の表示部16に当該メンテナンスの実施をユーザに促すように表示させてもよい。このような構成によれば、燃料販売会社にとっても、適切な時期にユーザにメンテナンスを実施してもらうことで、リース契約終了時の車両の残存価値を高く維持することができる。
【0048】
また、リース契約終了時の車両の残存価値を高く維持するために、燃料販売会社のサービスステーションにて実施する当該リース対象車両の洗車サービスを無料で提供してもよい。
【0049】
なお以上の実施形態では、割引等級判定部23がメンテナンス条件に応じて割引等級を決定したが、メンテナンス条件に加えて他のリース契約条件、例えばロードサービスの有無や各種メンテナンスの管理サービスの有無に応じて割引等級を決定してもよいことはもちろんである。
【0050】
以上の実施形態ではクレジットカードや専用ICカード、専用ICタグ等に埋め込まれた顧客識別番号と車両識別番号の少なくとも一方を端末10の識別番号読み取り部11が読み取り、顧客識別番号と車両識別番号の少なくとも一方が入力されたホストコンピュータ20がデータベース31から契約内容を参照する構成を説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0051】
例えば、専用ICカード及び専用ICタグに顧客識別番号と車両識別番号の少なくとも一方の他にメンテナンス条件を含むリース契約内容を書き込んでおき、燃料の販売時に端末10がホストコンピュータ20やデータサーバ30及び通信網40と接続できない場合に、臨時的に端末10が顧客識別番号と車両識別番号の少なくとも一方と同時にメンテナンス条件を読み取って、上記割引サービスを提供してもよい。
【0052】
この場合は、端末10がステップS03からS06の処理を実行する。すなわち、端末10がリース契約内容に応じて割引等級を判定し、割引料金を適用して販売料金を算出し、表示部16に割引料金を適用した販売料金を表示する。このような構成によれば、端末10のみで処理を完結させることにより、端末10がホストコンピュータ20やデータサーバ30及び通信網40と接続できない場合でも上記燃料の割引販売サービスを提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 端末、11 識別番号読み取り部、12 送信部、13 受信部、14 割引料金設定部、15 販売料金算出部、16 表示部、20 ホストコンピュータ、21 受信部、22 リース契約確認部、23 割引等級判定部、24 送信部、25 メンテナンス記録管理部、30 データサーバ、31 データベース、40 通信網
図1
図2
図3