(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649207
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】局所的な高速フレームレート化の可変位置制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/14 20060101AFI20141211BHJP
【FI】
A61B6/14 311
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2008-207595(P2008-207595)
(22)【出願日】2008年8月12日
(65)【公開番号】特開2010-42121(P2010-42121A)
(43)【公開日】2010年2月25日
【審査請求日】2011年8月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100069420
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 武
(72)【発明者】
【氏名】友江 剛
【審査官】
亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/046372(WO,A1)
【文献】
特開2000−175906(JP,A)
【文献】
特開平06−209926(JP,A)
【文献】
特開2006−204953(JP,A)
【文献】
特表2008−529659(JP,A)
【文献】
特開平11−128213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向および垂直方向に格子状に並べられた画素配列を有する受像面と、該受像面の側面に設けられた水平読出し制御部および垂直読出し制御部と、該水平読出し制御部および垂直読出し制御部に接続され、オシレータからクロック信号を受ける制御部およびタイミングジェネレータと、該制御部およびタイミングジェネレータに接続され、外部制御指令を送出するメイン制御部と、前記垂直読出し制御部に接続された増幅器と、該増幅器に接続されたA/D変換器と、該A/D変換器に接続され、外部に信号を送出するラインドライバと、を備えるコンピュータ断層撮影用の平面X線受像器を使用してパノラマ撮影を行うに当たり、外部制御による指令、若しくは外部からのトリガー信号を受けてあらかじめプログラミングされた命令によって、高速フレームレート化した局所エリアの位置および/またはエリアサイズを制御することを特徴とする局所的な高速フレームレート化の可変位置制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平面X線受像器の受像面の局所的な高速フレームレート化を行う際の可変位置制御方
法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CT用(コンピュータ断層撮影用)の平面X線受像器(以下、FPD(フラットパネルディテクタ)と称する)を使用してパノラマ撮影を行うに際し、より良い画質を得るためには、受像器の高速フレームレート化が必要となる。一般的は、CT(コンピュータトモグラフ)は30fps程度、パノラマ撮影に使用するCMOSセンサは100−300fpsのフレームレートが用いられている。
【0003】
従来、パノラマ撮影などの場合に読み出し範囲を局所的なエリアに限ることでフレームレートを高速化することが行われている。
しかし、この局所的なエリアはX線撮影中固定的なものであり、読み出し範囲を種々の箇所のエリアにX線撮影中に自由に移動設定し得るものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、同時出願の「X線断層撮影方法および装置」(特願2008−207589)において、X線ビームが入射する平面X線受像器の受像面のさらに局所的なエリアをX線撮影中に外部制御などにより、可変的に位置制御して高速フレームレート化した局所エリアの位置および/またはエリアサイズを自由に設定制御する方
法を提供せんとするものである。
【0005】
本発明の他の目的は、外部制御による指令、若しくは外部からのトリガー信号を受けて予めプログラミングされた命令によって、高速フレームレート化した局所エリアの位置および/またはエリアサイズを自由に設定制御する方
法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明局所的な高速フレームレート化の可変位置制御方法は、
水平方向および垂直方向に格子状に並べられた画素配列を有する受像面と、該受像面の側面に設けられた水平読出し制御部および垂直読出し制御部と、該水平読出し制御部および垂直読出し制御部に接続され、オシレータからクロック信号を受ける制御部およびタイミングジェネレータと、該制御部およびタイミングジェネレータに接続され、外部制御指令を送出するメイン制御部と、前記垂直読出し制御部に接続された増幅器と、該増幅器に接続されたA/D変換器と、該A/D変換器に接続され、外部に信号を送出するラインドライバと、を備えるコンピュータ断層撮影用の平面X線受像器を使用してパノラマ撮影を行うに当たり、外部制御による指令、若しくは外部からのトリガー信号を受けてあらかじめプログラミングされた命令によって、高速フレームレート化した局所エリアの位置および/またはエリアサイズを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
フレームレートのボトルネックは、A/D変換器の変換速度と、A/D変換器1つあたりの読み出し画素数によって決まり、つまり、既存のA/D変換器の能力を最大に引き出すためには、読み出しエリアを局所に絞った際、その分フレームレートを高速化するのが好適である。即ち、A/D変換器は同じ速度で作動するが、1フレームあたりの読み出し画素数が減少するため、1フレームの読み出しに掛かる時間が減少する。これは30fps程度で大きな受像面が必要なCT撮影と、100fps以上必要ではあるが、小さい(細い)受像面で質の良いパノラマ撮影を、同一のA/D変換器を利用して撮影するのに好適である。
本発明によれば、パノラマX線撮影の画質を一層良好ならしめるものである。
【0010】
また、本発明によれば、CT撮影を行う場合には平面X線受像器(FPD)全体を使用し、パノラマ撮影を行う場合には平面X線受像器(FPD)一部の狭い領域を使用することによって高速フレームレート処理を行うようにする。従って、30fps程度で大きな受像面が必要なCT撮影と、100fps以上必要ではあるが小さい(細い)受像面で質の良いパノラマ撮影とを、同一のA/D変換器を利用して好適に撮影することができ、経費を削減することができる。さらに撮像系の回転アームの回転中心を固定した場合、パノラマ撮影の間、受像面を水平方向に移動させる必要があるが、本発明によれば上述した機能を充分達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明による局所的な高速フレームレート化の可変位置制御方
法は、同時出願の「X線断層撮影方法および装置」においてX線ビームが入射する平面X線受像器の受像面のさらに局所的なエリアを外部制御などにより、可変的に位置制御して高速フレームレート化した局所エリアの位置および/またはエリアサイズを制御する方法および装置を提供せんとするものであり、
図1に示すように、被写体1をほぼ中心としてX線源2および平面X線受像器3を対向配置し、回転アーム(図示せず)を介して固定し、回転可能な撮像系を構成すると共にX線源2の前方に第1スリット板4を設ける。この第1スリット板4は、ほぼ180度乃至240度程度の円弧状のX線遮蔽板で構成し、中央部に縦長のスリット孔が形成されたものであり、このスリット板によってX線源2をほぼ囲むように配置されている。また、このスリット板4はX線源2の前面でほぼ180度乃至240度程度X線源2を中心に回転または回動するように構成し、前記撮像系の回転に伴ってスリット孔を通過し、被写体1を透過したX線ビームが平面X線受像器3の平面内の所望局部箇所の縦および横の幅内に位置し、且つ撮像系の回転の開始時にスリット孔を通過し、被写体1を透過したX線ビームが平面X線受像器(FPD)3の平面内の左端側に投射され、撮像系の回転と共に平面X線受像器3の平面内を右側に移動し、撮像系の回転の終了時に平面X線受像器3の平面内の右端側に位置し得るように構成配置する。
【0012】
斯様にして、平面X線受像器3の平面に入射した局所位置のX線ビームを本発明による局所的な高速フレームレート化の可変位置制御方
法によって高速に読み出し得るようにするものである。
【0013】
この際、X線ビームが入射した局所位置は外部制御指令、若しくは外部からのトリガー信号を受けてあらかじめプログラミングされた命令によって、高速フレームレート化した局所エリアの位置および/またはエリアサイズを制御して迅速に読み出し得るようにする。
【0014】
外部制御指令としては、以下のようなものが考えられる。
・水平読み出し開始位置
・水平読み出し終了位置
・垂直読み出し開始位置
・垂直読み出し終了位置
・エリア変更指令
予め、読み出しエリアがプログラミングされている場合には、外部トリガーを入力するたびに読み出しエリアのパターンを変更していくようにする。
【実施例1】
【0015】
図面を参照し、本発明局所的な高速フレームレート化の可変位置制御装置の構成を説明する。
図4において、11はパノラマX線撮影を行う際にX線源(図示せず)からのX線を受像する平面X線受像器(FPD)を示し、その受像面12には水平方向および垂直方向に格子状に並べられた画素が配置されているものとする。この受像面12には、その側面に垂直方向に、水平読出し制御部13および側面の水平方向に、垂直出し制御部14をそれぞれ設け、これら水平読出し制御部13および垂直出し制御部14をそれぞれ制御およびタイミングジェネレータ15に接続する。この制御およびタイミングジェネレータ15は、これにオシレータ16から発信信号を受けるとともにメイン制御部17に接続し、外部制御指令を供給し得るようにする。
【0016】
また、前記垂直出し制御部14は増幅器18およびA/D変換器19を経てラインドライバ20に接続し、このラインドライバ20から外部のコンピュータに接続し、所望の画像データを取出し得るようにする。
【0017】
作動に当たり、受像面の画素にX線が当たると電荷に変換され、各画素毎に電荷が蓄えられる。この電荷への変換方式としては直接変換方式および間接変換方式があるが、本発明では何れの変換方式を使用しても差し支えない。
蓄積された電荷は、水平読み出し制御部13および垂直読み出し制御部14による水平読み出し制御および垂直読み出し制御によって、電荷が読み出される。本発明ではこの電荷読み出し範囲の局所的なエリアの画素の座標を後述するように選択するものである。
【0018】
選択された画素の電荷は増幅器18によって増幅され、A/D変換器19によってデジタル値に変換される。
また、変換されたデジタル値はメモリに格納されたり、ラインドライバ20を通してコンピュータPCなどに送られる。
【0019】
水平読み出し制御および垂直読み出し制御によって、電荷が読み出される画素の座標を選択する場合には、通常の受像面を走査するように、水平読み出しと垂直読み出しを行っている。(
図2(a)参照)
【0020】
また、上記受像面の走査の際、あらかじめ設定された限定エリアに限って走査が行われている。(
図2(b)参照)
【0021】
しかし、本発明によれば、電荷の読み出し実行中でも、メイン制御部より入力される外部制御指令に従って、限定エリアを可変・移動させることができるものである。
本例では、外部制御指令として、
・水平読み出し開始位置 100
・水平読み出し終了位置 200
・垂直読み出し開始位置 50
・垂直読み出し終了位置 150を用いて
・エリア変更指令をON状態にし、
図3(a)に示すような限定された読み出しエリアを位置決めして電荷の走査を行うようにする。
【0022】
更に外部制御指令として、
・水平読み出し開始位置 150
・水平読み出し終了位置 300
・垂直読み出し開始位置 200
・垂直読み出し終了位置 250を用いて
・エリア変更指令をON状態にし、
図3(b)に示すような限定された読み出しエリアを可変的に移動させて位置決めし、電荷の走査を行うようにする。
【0023】
受像面の通常の電荷読み出しは、以下のように行われる。
1.外部制御指令を受けていない場合に通常の受像面の電荷読み出しを行うようデフォルトで設定されている。
2.外部制御指令にて通常の受像面の電荷読み出しを行うよう設定する。
3.あらかじめプログラミングされた命令のうちの1つが通常の受像面の電荷読み出しを行うよう設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は本発明局所的な高速フレームレート化の可変位置制御方法を適用するに好適な、同時出願の「X線断層撮影方法および装置」の概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図2(a)は受像面を水平読出しおよび垂直出し走査する状態を示す説明図である。
図2(b)はあらかじめ設定された限定エリアに限って水平読出しおよび垂直出し走査する状態を示す説明図である。
【
図3】
図3(a)は本発明方法により高速フレームレート化の可変位置制御を行ない外部指令により限定された読み出しエリアを示す説明図である。
図3(b)は本発明方法により高速フレームレート化の可変位置制御を行ない外部指令により限定された読み出しエリアを示す説明図である。
【
図4】
図4は本発明局所的な高速フレームレート化の可変位置制御
方法の構成を示すブロック図である。
【0025】
1 平面X線受像器
2 受像面
3 水平読出し制御部
4 垂直読出し制御部
5 タイミングジェネレータ
6 オシレータ
7 メイン制御部
8 増幅器
9 A/D変換器
10 ラインドライバ