(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第一実施形態)
次に、本発明に係る回転角検出装置としてのレゾルバの第一実施形態について説明する。
図1は、第一実施形態のレゾルバ100の構成例の分解斜視図である。なお、
図1では、ステータ巻線等の配線の図示を省略するとともに、ステータとロータとを分解して示している。また、
図1では、レゾルバ100が、8個のステータティースを有し、1相励磁2相出力型のレゾルバを例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図2は、
図1のステータ200及び絶縁キャップ400の分解斜視図である。
図2において、
図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0023】
レゾルバ100は、ステータ(固定子)200と、ロータ(回転子)300とを含む。レゾルバ100は、いわゆるインナーロータ型の回転角検出装置である。すなわち、ステータ200の内側にロータ300が設けられ、ステータ200がロータ300の外周側(外径側)の側面と対向した状態で、ロータ300の回転角に応じて、ステータ200に設けられたステータ巻線を構成する出力巻線からの信号が変化するようになっている。
【0024】
ステータ200は、磁性材料からなる環状(リング状、輪状)の平板250を用いて構成され、この平板250に複数のステータティースが設けられている。これらのステータティースは、平板250の平板面に対して交差するように設けられている。
図1では、ステータ200は、折り曲げ加工(広義には曲げ加工)等により平板面に対して同一面側に略垂直に起こされた8個のステータティース(突極部)210a、210b、210c、210d、210e、210f、210g、210hを有する。ステータティース210a〜210hは、プレス加工により予め平板250に形成された後、折り曲げプレス加工(広義には曲げ加工)により、平板250の面に対して略垂直となるように起こされている。これらのステータティースは、環状の平板250の内側(内径側)の縁部に形成される。また、これらのステータティースは、各ステータティースの面のうち少なくともロータ300の側面と対向する面は平面ではなく、ロータ300の回転軸の方向に沿って見たときに、環状の平板250の内径側に位置する点を中心とする円弧の一部となるように形成されている。
【0025】
このような磁性材料からなるステータ200の平板250の材質は、電磁鋼板、普通鋼であるSPCC又は機械構造用炭素鋼であるS45CやS10Cであることが望ましい。SPCC(Steel Plate Cold Commercial)は、JIS G3141に規定される冷間圧延鋼板及び鋼帯である。S45Cは、JIS G4051で規定される機械構造用炭素鋼鋼材で、0.45%程度の炭素を含有している。S10Cは、JIS G4051で規定される機械構造用炭素鋼鋼材で、0.10%程度の炭素を含有している。
【0026】
以上のような構成を有するステータ200は、磁性材料として1枚の電磁鋼板により構成されるため、材料費として高価である上に折り曲げプレス加工による曲げに弱く、曲げによる加工精度や信頼性を維持できにくい積層電磁鋼板を採用する場合に比べて、低コストで、曲げによる加工精度や信頼性を維持できるようになる。しかも、曲げ加工による磁性材料の粒状破壊を防止し、曲げ加工前の磁気特性を確保することにより高精度な角度検出を可能とする。
【0027】
また、
図2に示すように、後述するコネクタユニット600の一部を構成する延設部260が、ステータ200に対して突出するように設けられる。その延設部260は、ステータ200を構成する平板250が延ばされて形成されたものである。また、延設部260は、内側がくり抜かれた四角の枠状とされている。
【0028】
また、ステータ200には、平板250に装着可能に構成された環状の絶縁キャップ400が装着される。絶縁キャップ400には、ステータ200のステータティース210a〜210hの位置に合わせて設けられた複数のボビン410a、410b、410c、410d、410e、410f、410g、410hが一体に形成されている。各ボビンは、挿入孔(ステータティース挿入孔)を有し、当該ボビンに対応するステータティースがその挿入孔に挿入されるとともに、その外側にステータ巻線が巻回される。複数のボビン410a〜410hを構成する各ボビンの挿入孔の向きは、ロータ300の回転軸の向きである。
【0029】
絶縁キャップ400では、複数のボビン410a〜410hが有する挿入孔の向きが、ロータ300の回転軸の向きと一致している。そのため、ステータ200に絶縁キャップ400を装着する際に、平板250の上方から装着することができる上に、ステータ200の内側の狭い空間で各ボビンにステータ巻線を巻回させる必要がなくなる。したがって、絶縁キャップ400の取り付け工程が簡素化される上に、別工程において、予め絶縁キャップ400を形成しておくことが可能となる。これにより、レゾルバ100の生産効率の向上やコストダウンを図ることが可能となる。
【0030】
また、絶縁キャップ400をステータ200の平板250に装着することにより、ステータ200とステータ巻線とが電気的に絶縁される。これにより、ステータ巻線により構成されるコイルの絶縁破壊を防止できる。
【0031】
さらに、絶縁キャップ400は、複数の渡りピン(突起部)480a、480b、480c、480d、480e、480f、480gを含み、複数のボビン410a〜410h及び複数の渡りピン480a〜480gが一体に形成されている。複数の渡りピン480a〜480gを構成する各渡りピンは、2つのボビンの間において、環状の絶縁キャップ400の所与の円周上に形成されている。なお、ボビン410a、410hの間には、渡りピンが形成されていない。各渡りピンは、2つのボビンの間に設けられた円柱状の形状を有し、一方のボビンの外側に巻回されるステータ巻線と電気的に接続される導線が、渡りピンにおいて張力を持たせた状態で掛けられて、他方のボビンの外側に巻回されるステータ巻線と電気的に接続される。これにより、2つのボビンの距離が長くなっても共振し難くなる上に、ステータ巻線の巻き数を半ターン単位で調整できるようになる。ここで、導線に張力を持たせ易くし、かつその状態をできるだけ長く維持させるために、渡りピンは、ロータ300の回転軸の向きと同じ向きの部分を有することが望ましい。
【0032】
また、絶縁キャップ400には、コネクタユニット600の一部を構成する樹脂部450が形成される。その、樹脂部450には、6個のコネクタピン挿入孔461〜466が一列に設けられている。コネクタピン挿入孔461〜466のそれぞれには、励磁信号の入力や検出信号の出力を行うために導電材からなる6個のコネクタピン471〜476がそれぞれ挿入される。そして、その樹脂部450が、延設部260の内側に形成されたくり抜き部分に嵌め込まれる形で設けられることで、延設部260及び樹脂部450とからコネクタユニット600が構成される(
図1参照)。このように、樹脂部450を、その周囲で延設部260と接続することで、コネクタユニット600を強固にすることができる。
【0033】
さらに、絶縁キャップ400には、ステータ200に装着した際に平板250の平板面に対して起立される7つの起立部490a〜490gが形成される。それら起立部490a〜490gは、絶縁キャップ400と同じ樹脂で絶縁キャップ400と一体的に形成されたものである。また、起立部490a〜490gのそれぞれは、隣り合う2つのボビンの間の、渡りピン480a〜480gよりも外周側において、環状の絶縁キャップ400の所与の円周上に形成されている。
【0034】
より詳細には、第一の起立部490aは、ボビン410a、410bとの間(ステータティース210a、210bとの間)において、第一の渡りピン480aの外側に形成される。第二の起立部490bは、ボビン410b、410cとの間(ステータティース210b、210cとの間)において、第二の渡りピン480bの外側に形成される。第三の起立部490cは、ボビン410c、410dとの間(ステータティース210c、210dとの間)において、第三の渡りピン480cの外側に形成される。第四の起立部490dは、ボビン410d、410eとの間(ステータティース210d、210eとの間)において、第四の渡りピン480dの外側に形成される。第五の起立部490eは、ボビン410e、410fとの間(ステータティース210e、210fとの間)において、第五の渡りピン480eの外側に形成される。第六の起立部490fは、ボビン410f、410gとの間(ステータティース210f、210gとの間)において、第六の渡りピン480fの外側に形成される。第七の起立部490gは、ボビン410g、410hとの間(ステータティース210g、210hとの間)において、第七の渡りピン480gの外側に形成される。なお、コネクタユニット600との接続口にあるボビン410h、410aとの間(ステータティース210h、210aとの間)には、起立部は形成されていない。
【0035】
また、各490a〜490gと各渡りピン480a〜480gとの間は、ユーザやロボット等の指が入ることができる程度の間隔を少なくとも有するのが好ましい。
【0036】
また、それら起立部490a〜490gは、それぞれ同じ形状で、一定の厚さの板状とされる。各起立部490a〜490gを構成する板の大きさは、ユーザやロボット等が把持しやすい大きさとするのが好ましく、例えば、板面の大きさが1cm四方とされる。そして、各起立部490a〜490gは、各起立部490a〜490gを構成する板が、絶縁キャップ400の面に対して垂直に起立され、かつ、その板の一方の面が絶縁キャップ400の中心(ロータ300の回転軸)に向くように、形成される。
【0037】
この起立部490a〜490gを含む絶縁キャップ400は、PBT(Poly−butylene−terephtalate:ポリブチレンテレフタレート)又はPPT(Polypropylene terephtalate:ポリプロピレンテレフタレート)等の絶縁性の樹脂(絶縁材)を用いた射出成形により形成される。
【0038】
ロータ300は、ステータ200と同じ材質の磁性材料からなり、ステータ200に対して回転自在に設けられている。より具体的には、ロータ300は、ロータ300の回転軸回りの回転によりステータ200の各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するようにステータ200に対して回転可能に設けられる。例えば、ロータ300の軸倍角が「3」であり、所与の半径の円周線を基準に、該円周線の1周につき、平面視において外径側の外径輪郭線を3周期で変化する形状を有している。そして、平板250に対して起こされたステータティースの内側(内径側、内周側)の面と対向するロータ300の外周側に形成された外側面320(
図3参照)が、ロータ300の1回転につき3周期でギャップパーミアンスが変化するようになっている。
【0039】
ここで、
図3は、ロータ300の構造の説明図である。
図3(a)はロータ300の斜視図であり、
図3(b)は
図3(a)のB−B線に沿ったロータ300の断面構造を模式的に表した図である。
【0040】
このロータ300は、1枚の電磁鋼板で形成され、平板として構成されたロータ平板部310を有する。なお、ロータ300の材質は、電磁鋼板の他に、普通鋼であるSPCC又は機械構造用炭素鋼であるS45CやS10Cを採用することもできる。そのロータ平板部310は、回転角の検出対象物に取り付けられて、その検出対象物の回転にしたがって自らも回転軸回りに回転されるものである。具体的には、ロータ平板部310は、その表面が、ロータ300の回転軸と直角に交差する平面とされる。また、ロータ平板部310は、回転軸と交差する中心付近で穴が空けられた環状とされる。
【0041】
また、ロータ300は、ロータ平板部310の外周縁部からロータ平板部310に対して直角(回転軸と平行な方向)に曲がって形成された対向部320を有する。その対向部320は、その面(対向面)がステータティース210a〜210hの面と平行に対向されるように、ロータ平板部310を構成する電磁鋼板が曲げられて形成されたものである。
【0042】
また、ロータ平板部310の厚さをt1としたときに、ロータ300の対向部320の高さHが、5×t1≦H≦9×t1の範囲とされることが望ましい。対向部320の高さHを9×t1より高くしても、これ以上、検出信号のレベルを改善させることが期待できずに、却ってロータ300の大型化を招く。一方、対向部320の高さHを5×t1より低くすると、検出信号のレベルが低くなる。
【0043】
このように、ロータ平板部310の外周縁部に対向部320を形成することで、ステータティース210a〜210hの面と対向する面積を増加させ、電磁鋼板を多く積層させたときと同等の厚さを確保できる。よって、ロータ300の構造を簡素化しつつ、検出信号のレベルを向上することができる。
【0044】
なお、ロータ300は、ロータ平板部310の内周縁部も曲げられて、その曲げられた部分である内周側曲げ部分330が形成されている。その内周側曲げ部分330が形成されることで、ロータ300の取り付けが簡単になるとともに、ロータ300の体積を増加させて磁束のやり取りに寄与させることができる。
【0045】
次に、ロータ300の回転によって出力巻線から出力される検出信号を取り出すためのステータ巻線について説明する。ステータ巻線は、励磁巻線と出力巻線とから構成され、励磁巻線により励磁した状態で、ステータ200に対するロータ300の回転により、出力巻線の信号が変化する。
【0046】
ここで、
図4は、ステータ200のステータティース210a〜210hに巻回されるステータ巻線の説明図である。具体的には、
図4(a)は、ステータ巻線を構成する励磁巻線4の説明図を示しており、
図4(b)は、ステータ巻線を構成する出力巻線5の説明図を示している。
図4(a)、(b)は、
図1のロータ300の回転軸方向にレゾルバ100を見た平面図であり、
図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図4(a)では、励磁巻線4の巻き方向を模式的に示し、
図4(b)では、出力巻線5の巻き方向を模式的に示す。実際には、各ボビンのステータ巻線を電気的に接続する導線は、その間に形成された渡りピンを経由させる。
【0047】
励磁巻線4は、
図4(a)に示すように、隣り合うステータティースの巻回方向が互いに反対方向になるように巻回される。そして、励磁巻線4の両端線はそれぞれ、樹脂部450に設けられたコネクタピン471〜476のいずれかに接続される。ここで、励磁巻線4の端線と接続されたコネクタピン471〜476をコネクタピンR1、R2と称すと、コネクタピンR1、R2間に、励磁信号が与えられて、励磁巻線4に励磁信号が入力される。なお、各ステータティースに巻回される励磁巻線4は、例えばコイル巻線とすることができる。
【0048】
また、
図4(b)に示すように、2相の検出信号を得るために、出力巻線5は2組の巻線部材からなる。2相の検出信号のうちの第1相(例えばsin相)の検出信号を得るための出力巻線51は、例えばステータティース210aから反時計回りにステータティース210gまで、1つおきに各ステータティースに巻回される。そして、第1相の出力巻線51の両端線はそれぞれ、樹脂部450に設けられたコネクタピン471〜476のいずれかに接続される。ここで、第1相の出力巻線51の端線と接続されたコネクタピン471〜476をコネクタピンS1、S3と称すると、第1相の検出信号は、コネクタピンS1、S3間の信号として出力される。
【0049】
一方、2相の検出信号のうちの第2相(例えばcos相)の検出信号を得るための出力巻線52は、例えばステータティース210bから反時計回りにステータティース210hまで、1つおきに各ステータティースに巻回される。そして、第2相の出力巻線52の両端線はそれぞれ、樹脂部450に設けられたコネクタピン471〜476のいずれかに接続される。ここで、第2相の出力巻線52の端線と接続されたコネクタピン471〜476をコネクタピンS2、S4と称すると、第2相の検出信号は、コネクタピンS2、S4間の信号として出力される。なお、各ステータティースに巻回される出力巻線5は、例えばコイル巻線とすることができる。
【0050】
このように、ステータティース210a、210c、210e、210gが挿入孔に挿入されるボビン410a、410c、410e、410gのそれぞれの外側には、励磁巻線4及び第1相(sin相)の出力巻線51が巻回される。ステータティース210b、210d、210f、210hが挿入孔に挿入されるボビン410b、410d、410f、410hのそれぞれの外側には、励磁巻線4及び第2相(cos相)の出力巻線52が巻回される。
【0051】
なお、励磁巻線4の巻き方向は、
図4(a)に示す方向に限定されるものではない。また、出力巻線5の巻き方向は、
図4(b)に示す方向に限定されるものではない。
【0052】
以上のような構成を有するレゾルバ100では、ステータ200に対するロータ300の回転によって、次のような磁気回路が形成される。ここで
図5は、
図1のロータ300の回転軸方向にレゾルバ100を見た平面図であり、
図1又は
図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、
図5では、説明の便宜上、絶縁キャップ400の図示を省略するとともに、ステータ200に対してロータ300が回転状態のときのある時刻における磁束の向きを模式的に示している。また、
図5において、巻線磁芯としての各ステータティースを通る磁束の向きを模式的に示している。
【0053】
ステータ200のステータティース210a〜210hにステータ巻線4、5が巻回されており、ロータ300が回転すると、ロータ300を介して隣り合うステータティース間で磁気回路が形成される。
図5に示すように、隣り合うステータティースを通る磁束の向きが反対方向となるようにステータ巻線4、5が巻回されているため、ロータ300の回転によって、各ステータティースに巻回されるステータ巻線4、5に発生する電流もまた変化し、例えば出力巻線5に発生する電流波形を正弦波状にすることができる。
【0054】
次に、本実施形態におけるレゾルバ100の製造方法について説明する。
図6は、レゾルバ100の製造方法の一例のフロー図である。レゾルバ100を製造するために、先ず、ステータ形状加工工程においてステータ200の形状を加工した(ステップS10)後に、折り曲げプレス加工工程(曲げ工程)において、平板状のステータ200のステータティースを折り曲げて、複数のステータティースが平板面に対して起こされる(ステップS12)。その結果、
図2に示すように、平板250に対してステータティース210a〜210hが起こされる。
【0055】
すなわち、ステップS10のステータ形状加工工程では、ステップS12の折り曲げプレス加工を行うために、1枚の電磁鋼板、普通鋼であるSPCC、機械構造用炭素鋼であるS45C又はS10Cを材質とする磁性材料からなる平板をプレス加工する。そして、内径側の縁部に折り曲げ加工前のステータティースを有した環状の平板250を形成する。またその際、その平板250と同じ磁性材料で、その平板250に対して突出した延設部260(
図2参照)も形成する。具体的には、例えば、平板をプレス加工して、四角状の平板に形成するとともに、その四角状の平板の内側をくり抜いて、延設部260を形成する。なお、延設部260の形成は、ステータティースの形成と同時又は別時のどちらでもよい。
【0056】
そして、ステップS12では、折り曲げプレス加工により、ステップS10において形成された複数のステータティースを、断面視において、その根本部分がR形状となるように加工される。この結果、ステータティース210a〜210hは、ステータ200の平板面に対して略垂直となるように起こされる。
【0057】
続いて、絶縁キャップ取り付け工程として、先ず、
図2に示す絶縁キャップ400を射出成形により形成する(ステップS14)。この際、起立部490a〜490g及び樹脂部450も絶縁キャップ400と一体的に形成する。その後、形成した絶縁キャップ400を、ステータ200の平板250に取り付ける(ステップS14)。具体的には、絶縁キャップ400のボビンに設けられた挿入孔に、ステップS12で起こされたステータティースを挿入する。そして、絶縁キャップ400に設けられた1又は複数の係止部(図示外)により、絶縁キャップ400を平板250に係止する。またこれと同時に、絶縁キャップ400と一体的に形成された樹脂部450が、延設部260に取り付けられる。すなわち、絶縁キャップ400のボビンをステータティースに挿入するにともなって、樹脂部450が、延設部260の上方側から、延設部260の内側に形成されたくり抜き部分に嵌め込まれる。なお、ステータ200に装着された状態の絶縁キャップ400を射出成形により形成してもよい。
【0058】
その後、巻線部材取り付け工程として、ステップS12で起こされたステータティース210a〜210hの各ステータティースを巻線磁芯として、各ステータティースの外側にステータ巻線が巻回される(ステップS16)。こうして起こされたステータティースのそれぞれの周囲に、励磁用の励磁巻線4及び検出用の出力巻線5が巻回される。なお、ボビンにステータ巻線を取り付けた絶縁キャップ400を、平板250に装着するようにしてもよい。
【0059】
次に、ロータ加工工程として、1枚の電磁鋼板がプレス加工されて、
図3に示すロータ300が形成される(ステップS18)。すなわち、平板が環状にされてロータ平板部310が形成されるとともに、その環状にされた平板の外周縁部及び内周縁部が折り曲げられて対向部320及び内周側曲げ部分330が形成される。
【0060】
次に、ロータ取り付け工程として、ロータ300が、ステータ200に対して回転自在となるように、ステータ200の内径側に設けられる(ステップS20)。より具体的には、ロータ取り付け工程において、ロータ300は、ロータ300の回転軸回りの回転によりロータ300の外側の対向部320の面とステータ200の各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するようにステータ200に対して回転可能に設けられる。なお、
図6では、ロータ加工工程が、巻線部材取り付け工程の後に行われるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、少なくともロータ取り付け工程に先立って行われていればよい。以上のように、本実施形態におけるレゾルバ100が製造される。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のレゾルバ100によれば、ステータ200が平板250で構成されているので、ステータの構造を簡素化できる。また、そのステータ200に形成されるステータティース210a〜210hが、ステータ200の平板250に対して起立しているので、絶縁キャップ400の装着が容易になるとともに、ステータ巻線を簡易に巻回することができる。
【0062】
また、ステータティース210a〜210hとは別に、ステータ200の平板250(絶縁キャップ400)の平板面に対して起立した起立部490a〜490gが設けられているので、ユーザやロボット等は、その起立部490a〜490gを把持することで、レゾルバ100を把持することができる。それら起立部490a〜490gは、板状とされ、その板の一方の面が絶縁キャップ400の中心に向いているとともに、周方向に複数形成されているので、把持されやすい。ここで、
図7は、ユーザが起立部490a〜490gを把持する際に、どのように把持するのかを例示した図である。
図7(a)に示すように、対向する位置にある2つの起立部(
図7(a)では起立部490c、490g)を、二本の指で外側から挟み込むようして把持する態様が考えられる。この際、対向する2つの起立部は、互いに面が対向しているので、把持しやすいと考えられる。
【0063】
また、
図7(b)に示すように、起立部490a〜490gのうちの五つを、五本の指全部で外側から挟み込むようにして把持する態様が考えられる。この際、起立部490a〜490gは、周方向に7つ形成されており、それぞれの面が中心に向いているので、五本の指全部で把持しやすいと考えられる。このように、五本の指全部を用いれば、確実にレゾルバ100を把持することができる。
【0064】
また、
図7(c)に示すように、起立部490a〜490gのうちの一つを、二本の指で摘むようにして把持する態様が考えられる。この際、各起立部490a〜490gが板状とされるので、二本の指で摘みやすいと考えられる。
【0065】
このように、起立部490a〜490gが把持されることで、起立したステータティース210a〜210hが把持されることを防止できる。その結果、ステータティース210a〜210hの平板250に対する傾きが変わってしまうのを防止でき、精度の良い検出信号を出力させることができる。
【0066】
また、各起立部490a〜490gは、ステータティース210a〜210hと対向しないように、隣り合うステータティースの間に設けられるので、ステータティース210a〜210hにステータ巻線を巻回する作業等、ステータティース210a〜210hに対する作業をしやすくできる。
【0067】
(第二実施形態)
次に、本発明に係る回転角検出装置としてのレゾルバの第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心にして説明する。
図8は、第二実施形態のレゾルバ101の構成例の分解斜視図である。なお、
図8では、ステータ巻線等の配線の図示を省略するとともに、ステータとロータとを分解して示している。
図9は、
図8のステータ200及び絶縁キャップ401の分解斜視図である。なお、
図8、
図9において、第一実施形態と同一部分には同一符号を付している。
【0068】
本実施形態のレゾルバ101は、絶縁キャップ401が第一実施形態のそれと異なっており、その他は同じとされる。その絶縁キャップ401は、渡りピン(
図1、
図2参照)が設けられておらず、第一実施形態の渡りピンの位置に、7つの起立部491a〜491gが設けられる。すなわち、各起立部491a〜491gは、2つのボビンの間において、環状の絶縁キャップ401の所与の円周上に形成されている。より詳細には、第一の起立部491aは、ボビン410a、410bとの間(ステータティース210a、210bとの間)において形成される。第二の起立部491bは、ボビン410b、410cとの間(ステータティース210b、210cとの間)において形成される。第三の起立部491cは、ボビン410c、410dとの間(ステータティース210c、210dとの間)において形成される。第四の起立部491dは、ボビン410d、410eとの間(ステータティース210d、210eとの間)において形成される。第五の起立部491eは、ボビン410e、410fとの間(ステータティース210e、210fとの間)において形成される。第六の起立部491fは、ボビン410f、410gとの間(ステータティース210f、210gとの間)において形成される。第七の起立部491gは、ボビン410g、410hとの間(ステータティース210g、210hとの間)において形成される。なお、コネクタユニット600との接続口にあるボビン410h、410aとの間(ステータティース210h、210aとの間)には、起立部は形成されていない。
【0069】
また、それら起立部491a〜491gは、それぞれ同じ形状とされるが、第一実施形態のそれとは若干形状が異なっている。ここで、
図10は、起立部491a〜491gを示した図であり、
図10(a)は起立部の側面図、
図10(b)は起立部の正面図である。なお、
図10において、起立部491a〜491gの任意のいずれかという意味で、起立部には符号「491」を付している。
図10に示すように、起立部491は、板状とされ、その板面の大きさは、第一実施形態のそれと同じとされる。また、起立部491は、起立部491を構成する板の一方の面に段差が形成されている。具体的には、起立部491の一方の面4910の下部に、他の部分に対して凹んだ凹み部4911が形成されている。その凹み部4911は、起立部491の全幅に渡って形成される。
【0070】
このような起立部491は、絶縁キャップ401の面に対して垂直に起立され、かつ、凹み部4911が形成された面4910が、外側(絶縁キャップ401の中心と反対側)に向くように、設けられる。換言すれば、起立部491の平らなほうの面(面4910と反対の面)が、絶縁キャップ401の中心(ロータ300の回転軸)に向いている。
【0071】
これら起立部491a〜491gは、第一実施形態と同様にユーザやロボット等に把持される部分としての機能を備えるとともに、第一実施形態の渡りピンとしての機能も兼ね備える。すなわち、起立部491a〜491gは、2つのボビンの間において、一方のボビンの外側に巻回されるステータ巻線と電気的に接続される導線が、起立部491a〜491gにおいて張力を持たせた状態で掛けられて、他方のボビンの外側に巻回されるステータ巻線と電気的に接続される。ここで、
図11は、ステータティース210a〜210hに巻回された励磁巻線4を模式的に示すとともに、その励磁巻線4を構成する導線が、起立部491a〜491gに掛けられた状態を示している。
図11に示すように、隣り合うステータティースの間において、励磁巻線4を構成する導線が、起立部491a〜491gに掛けられる。この際、励磁巻線4を構成する導線は、各起立部491a〜491gの外側の面(
図10の面4910)に形成された凹み部4911に当てられて掛けられる。なお、出力巻線5を構成する導線も、励磁巻線4と同様に、起立部491a〜491gに適宜掛けられる。
【0072】
これによって、上記渡りピンに導線を掛けたときと同様の効果を得ることができるとともに、凹み部4911が形成されているので、導線を確実に起立部491a〜491gに掛けることができる。
【0073】
次に、本実施形態におけるレゾルバ101の製造方法について説明する。レゾルバ101は、例えば、第一実施形態と同じ
図6のフロー図の手順で製造することができる。この際、
図6のステップS10、S12、S18、S20の工程は、第一実施形態と同じであり、ステップS14とステップS16の工程が第一実施形態と異なる。具体的には、ステップS14の絶縁キャップ取り付け工程として、本実施形態の絶縁キャップ401(
図8、
図9参照)を射出成形により形成する。すなわち、渡りピンに代えて、凹み部4911が形成された起立部491a〜491gを、絶縁キャップ401と一体的に形成する。そして、その絶縁キャップ401を、第一実施形態と同様にステータ200の平板250に取り付ける(ステップS14)。なお、ステータ200に装着された状態の絶縁キャップ401を、射出成形により形成してもよい。
【0074】
その後、巻線部材取り付け工程として、例えば、コネクタユニット600の接続口にあるステータティース210aから順番に各ステータティース210a〜210hに対して、ステータ巻線としての励磁巻線4及び出力巻線5を巻回していく(ステップS16)。この際、次のステータティースに巻回する際には、そのステータティースの手前に設けられた起立部491a〜491gに導線を経由させる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態のレゾルバ101によれば、起立部491a〜491gが形成されているので第一実施形態と同様の効果を得ることができる。また、それら起立部491a〜491gは、隣り合うステータティースの間に設けられるので、渡りピンの代用として用いることができる。また、起立部491a〜491gは、凹み部4911が形成されているので、導線を確実に起立部491a〜491gに掛けることができる。
【0076】
(変形例1)
上記第一、第二実施形態では、起立部を絶縁キャップと一体的に形成していたが、起立部と絶縁キャップとを別々に形成してもよい。ここで、
図12は、この変形例1に係るレゾルバ102の示した図であり、起立部が形成された起立部ユニット403とステータ200及び絶縁キャップ402とを示している。なお、
図12において、第一、第二実施形態と同一部分には同一符号を付している。また、レゾルバ102のロータは、上記実施形態のロータ300と同じであるが、
図12では図示していない。
【0077】
図12に示すように、変形例1のレゾルバ102は、絶縁キャップ402に起立部が形成されておらず、絶縁キャップ402とは別部材の起立部ユニット403に7つの起立部492a〜492gが形成されている。その起立部ユニット403は、射出成形により、絶縁キャップ402の外側にはまるように環状に形成される。また、起立部ユニット403は、7つの起立部492a〜492gが起立されて形成されている。各起立部492a〜492gの形状は、第一実施形態における起立部490a〜490gと同じとされる。また、起立部ユニット403がステータ200に装着された際に、各起立部492a〜492gが第一実施形態における起立部490a〜490gと同じ位置とされるように、各起立部492a〜492gは、起立部ユニット403に形成される。すなわち、起立部ユニット403がステータ200に装着された状態では、レゾルバ102は、第一実施形態のレゾルバ100と同じとされる。
【0078】
このように、起立部492a〜492gを絶縁キャップ402と別部材にすることにより、例えば、絶縁キャップ402のボビン410a〜410gにステータ巻線を巻回する作業をしやすくできる。また、絶縁キャップ402についてはステータ200に装着された状態で形成する一方で、起立部ユニット403については、予め形成したものを後からステータ200に装着するようにできる。
【0079】
(変形例2)
上記実施形態では、複数の起立部が設けられるとともに、各起立部が隣り合うステータティースの間に設けられていたが、環状のステータ(絶縁キャップ)の周方向の全周に渡って起立部が設けられたとしてもよい。ここで、
図13は、この変形例2に係る絶縁キャップ404の斜視図である。なお。
図13において、上記実施形態と同一部品に同一符号を付している。
【0080】
図13に示すように、絶縁キャップ404は、渡りピン480a〜480gの外側において、周方向の全周に渡って、起立した起立部493が一体的に形成されている。これによって、より一層、起立部493を把持しやすくできる。
【0081】
なお、上記変形例1のように、絶縁キャップと起立部とを別部材にしてもよい。この場合、絶縁キャップのボビンにステータ巻線を巻回した後に、起立部をステータに装着することで、そのステータ巻線の巻回作業を容易にできる。
【0082】
(変形例3)
上記実施形態では、絶縁キャップに起立部を形成していたが、ステータを構成する平板を加工して、その平板面に直接起立された起立部を形成してもよい。ここで、
図14は、この変形例3に係るステータ201の斜視図である。なお、
図14において、上記実施形態と同一部品に同一符号を付している。
【0083】
図14に示すように、ステータ201は、その平板251の内周縁部にステータティース210a〜210gが形成されるとともに、平板251の外周縁部には、平板面に対して起立した7つの起立部270a〜270gが形成される。より詳細には、第一の起立部270aは、ステータティース210a、210bとの間に形成される。第二の起立部270bは、ステータティース210b、210cとの間に形成される。第三の起立部270cは、ステータティース210c、210dとの間に形成される。第四の起立部270dは、ステータティース210d、210eとの間に形成される。第五の起立部270eは、ステータティース210e、210fとの間に形成される。第六の起立部270fは、ステータティース210f、210gとの間に形成される。第七の起立部270gは、ステータティース210g、210hとの間に形成される。なお、コネクタユニットとの接続口にあるステータティース210h、210aとの間には、起立部は形成されていない。
【0084】
また、各起立部270a〜270gの形状は、例えば、第一実施形態の起立部490a〜490gと同じとされる。すなわち、各起立部270a〜270gは、板状とされ、その板の一方の面がステータ201の中心(ロータの回転軸)に向いている。
【0085】
これら起立部270a〜270gは、ステータ201の平板251を折り曲げ加工することで形成される。すなわち、ステータ201を構成する平板の外周縁部において、外側に突出した複数の突出部を形成するとともに、それら突出部を折り曲げ加工して平板面に対して起立させることで、起立部270a〜270gが形成される。
【0086】
これによれば、ステータティース210a〜210gとは別に、起立した起立部270a〜270gが形成されることになるので、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
なお、起立部270a〜270gの周囲を樹脂で覆うようにしてもよい。ここで、
図15は、起立部270の周囲を樹脂494で覆った状態を示した図である。なお、
図15では、起立部270a〜270gの任意のいずれかという意味で、起立部には符号「270」を付している。これによれば、電磁鋼板の起立部270が露出されなくなるので、その起立部270によって検出信号の精度が低下するのを防止できる。起立部270を樹脂494で覆うことにより、その起立部270及び樹脂494からなる構成を、上記の渡りピンの代用として機能させることもできる。これによって、別に渡りピンを設ける必要がないので、構成を簡素化できる。
【0088】
(変形例4)
上記変形例3では、複数の起立部が設けられるとともに、各起立部が隣り合うステータティースの間に設けられていたが、環状のステータの周方向の全周に渡って起立部が設けられたとしてもよい。ここで、
図16は、この変形例4に係るステータ202の斜視図である。なお。
図16において、上記実施形態と同一部品に同一符号を付している。
【0089】
図16に示すように、ステータ202は、その外周縁部において、周方向の全周に渡って、起立した起立部271が形成されている。この起立部271は、ステータ202の平板252を折り曲げ加工することで形成される。すなわち、ステータ201を構成する平板を、起立部271の分も見越して大きめに形成するとともに、その外周縁部を折り曲げ加工して平板面に対して起立させることで、起立部271が形成される。これによって、より一層、起立部271を把持しやすくできる。なお、上記変形例3と同様に、起立部271の周囲を樹脂で覆うようにしてもよい。これにより、検出信号の精度が低下するのを防止できる。
【0090】
(第三実施形態)
上記実施形態ではレゾルバに本発明を適用した例について説明したが、回転同期装置としてのシンクロに本発明を適用してもよい。このシンクロは、ステータとロータとステータティースに巻回されたステータ巻線(励磁巻線、出力巻線)とコネクタピンが設けられたコネクタユニットとを備えており、その出力巻線から、ロータの回転に応じて変化する正弦波信号を出力する点で、レゾルバと同じである。また、シンクロは、3相分の出力巻線がステータティースに巻回され、各出力巻線から出力される出力信号が、互いに位相角が120度ずれている点で、レゾルバと異なっている。このように、シンクロは、ステータ巻線の巻線構造以外はレゾルバと同じと考えることができるので、上記実施形態はそのままシンクロにも適用することができる。すなわち、ステータティースとは別に、ステータを構成する平板の平板面に対して起立した起立部を設けることで、シンクロを容易に把持できる。
【0091】
ここで、
図17は、シンクロの用途例を示した図である。シンクロは、
図17に示すように、主に、複数の機器間でそれらの運転を同期させるために用いられ、一般的に、同じ構造のシンクロ発信機とシンクロ受信機のセットで用いられる。具体的には、
図17において、シンクロとしてのシンクロ発信機702は、その回転軸701が、一方の機器(発信側の機器、図示外)の運転にしたがって回転するように設けられる。そのシンクロ発信機702は、接続された機器の回転角に応じて変化する第1相〜第3相の信号(正弦波信号)を出力する。また、同様に、シンクロとしてのシンクロ受信機703は、その回転軸704が他方の機器(受信側の機器、図示外)の運転にしたがって回転するように設けられる。そのシンクロ受信機703は、接続された機器の回転角に応じて変化する第1相〜第3相の信号(正弦波信号)を出力する。そして、これらシンクロ発信機702とシンクロ受信機703の各相が接続される。これらの動作について、(1)シンクロ発信機702とシンクロ受信機703でロータの位置が異なると、それらの間で電位差が生じ、各相に電流が流れる。(2)その電流によって、シンクロ受信機703のロータが回転する。すなわち、トルクが発生する。(3)シンクロ受信機703のロータ(回転軸704)の回転にともなって、それに接続された受信側の機器が回転される。(4)シンクロ受信機703のロータの位置がシンクロ発信機702のロータの位置と同じになると、各相に電流が流れなくなる。(5)電流が流れなくなると、シンクロ受信機703のロータの回転が停止される。よって、シンクロ発信機702とシンクロ受信機703のロータの位置が同じ、つまり発信側の機器と受信側に機器の運転が同期される。このように、レゾルバと同様に、ロータの回転に応じて変化する正弦波信号を出力するシンクロ発信機及びシンクロ受信機に対して本発明を適用しても、それらシンクロ発信機、シンクロ受信機を容易に把持できるようになるので、好適である。
【0092】
なお、本発明に係るレゾルバ、シンクロは、上記実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0093】
上記実施形態では、全部で7つの起立部が形成された例について説明したが、起立部をいくつ設けてもよい。起立部を多く設ければ把持しやすくできる一方で、少なく設ければ構造を簡素化できる。また、上記実施形態では、板状の起立部の例について説明したが、起立部の形状はこれに限定されるものではなく、把持しやすくできるのであれば適宜変更してもよい。
【0094】
上記の各実施形態では、レゾルバが、1相励磁2相出力型であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記の各実施形態におけるレゾルバが、励磁信号が1相以外の相を有する信号であったり、検出信号が2相以外の相を有する信号であったりしてもよい。
【0095】
上記の各実施形態では、磁性材料からなるステータの材質が1枚の電磁鋼板、普通鋼又は機械構造用炭素鋼材であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0096】
上記の各実施形態では、いわゆるインナーロータ型の回転角検出又は回転同期装置としてのレゾルバ、シンクロを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明に係るレゾルバ、シンクロが、いわゆるアウターロータ型であってもよい。
【0097】
上記の各実施形態では、軸倍角「3」のロータを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば軸倍角「5」のロータであってもよい。
【0098】
上記の各実施形態では、絶縁キャップを介してステータ巻線をステータティースの外側に巻回する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、絶縁キャップが省略された構成であってもよい。この場合、起立部は、絶縁キャップとは別に形成されることになる。