特許第5649218号(P5649218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5649218縫合糸および保持具アセンブリならびにSULU
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649218
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】縫合糸および保持具アセンブリならびにSULU
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20141211BHJP
【FI】
   A61B17/04
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-291313(P2010-291313)
(22)【出願日】2010年12月27日
(65)【公開番号】特開2011-147770(P2011-147770A)
(43)【公開日】2011年8月4日
【審査請求日】2013年10月22日
(31)【優先権主張番号】12/689,441
(32)【優先日】2010年1月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507362281
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】スタニスラウ コストルツェウスキー
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05843126(US,A)
【文献】 特開2012−030083(JP,A)
【文献】 米国特許第06066160(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0093670(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸;
少なくとも1つの針であって、該針は、テーパ状の端部、および該テーパ状の端部を横切る溝を有し、該溝は、該縫合糸の一部分を受容して取り外し可能に保持する、少なくとも1つの針;ならびに
開口部分を規定する本体を有する少なくとも1つの保持具であって、該開口部分の形状は、中心通路と、該中心通路から半径方向外向きに延びる直径方向に対向する1対のスロットとにより規定され、該中心通路は、該中心通路を通る該針の通過を可能にするようなサイズにされ、各スロットは、締め付け路セクションを規定し、該締め付け路セクションは、第一の方向への該縫合糸の通過を可能にし、そして第二の方向への該縫合糸の通過を妨げる、保持具、
を備える、縫合糸を受容して保持するための縫合システム。
【請求項2】
前記開口部分が、実質的に円形の中心と、該実質的に円形の中心から半径方向外向きに延びる2つの対向する矩形とにより規定される、断面がФ字型の穴を、前記本体に形成する、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項3】
各保持具が吸収性である生体適合性材料から構築されている、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項4】
前記締め付け路セクションが、前記スロットの側壁から延びる少なくとも1つの突出部により規定される、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの突出部が、遠位表面、近位表面、および頂点を有し、該遠位表面が、該近位表面の面積より大きい面積を有する、請求項4に記載の縫合システム。
【請求項6】
前記締め付け路セクションが2つの突出部により規定されており、各突出部が頂点を有し、該頂点が互いに隣接して位置している、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項7】
前記隣接する頂点がすぐ近くに近接している、請求項6に記載の縫合システム。
【請求項8】
前記締め付け路セクションが2つの突出部により規定されており、各突出部が頂点を有し、該頂点が互いからずれている、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項9】
各保持具が、楕円形、円形、三角形、および矩形からなる群より選択される形状の外周を有する、請求項1に記載の縫合システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの針は、一連の針を含み、該一連の針は、各針の溝が、隣接する位置に位置する少なくとも1つの他の針の溝と整列するように配置されている、請求項1に記載の縫合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、外科手術用縫合デバイスに関する。より特定すると、本開示は、縫合システム、この縫合システムを適用するための器具、およびこの器具を使用してこの縫合システムを適用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術用ファスナー適用デバイスは、周知であり、これらのデバイスにおいて、対向する顎構造体が選択された組織を把持およびクランプし、次いで、この組織が外科手術用ファスナーにより接合される。代表的に、これらの顎部材のうちの一方は、2つ以上の直線の列で配置された複数のステープルを収容するカートリッジを備え、そして他方の顎部材は、これらのステープルのレッグを受容して形成するための複数のステープル形成ポケットを有するアンビルを備える。例えば、直線ステープル留め器具は、2つの細長顎部材を備え、これらの顎部材は、組織を捕捉またはクランプするために互いに対して移動可能である。
【0003】
二部分ファスナーを利用する外科手術用ファスナー適用デバイスもまた公知である。二部分ファスナーは、棘付きファスナーを備え、この棘付きファスナーは、このファスナーを適所に保持するための保持具片と組み合わせて使用される。代表的に、二部分ファスナーは、1つのバックスパンおよび2つの棘付きプロングを備え、これらの棘付きプロングは、別の保持具片に係合されてロックされる。使用において、このファスナーは、身体組織内に押し込まれ、その結果、これらの棘が組織に貫入し、そして他方の側から出現し、次いでこの出現した側でこれらの棘が保持具片内にロックされる。これらの保持具は、このファスナーが組織から緩むことを防止する。これらの二片ファスナーは、ロック解除が不可能であり、容易に取り外し可能ではない。この理由により、これらの二片ファスナーは代表的に、生体吸収性材料から作製される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
縫合糸;
少なくとも1つの針であって、該針は、テーパ状の端部、および該テーパ状の端部を横切る溝を有し、該溝は、該縫合糸の一部分を受容して取り外し可能に保持する、少なくとも1つの針;ならびに
開口部分を規定する本体を有する少なくとも1つの保持具であって、該開口部分の形状は、中心通路と、該中心通路から半径方向外向きに延びる直径方向に対向する1対のスロットとにより規定され、該中心通路は、該中心通路を通る該針の通過を可能にするようなサイズにされ、各スロットは、締め付け路セクションを規定し、該締め付け路セクションは、第一の方向への該縫合糸の通過を可能にし、そして第二の方向への該縫合糸の通過を妨げる、保持具、
を備える、縫合糸を受容して保持するための縫合システム。
(項目2)
上記開口部分が、実質的に円形の中心と、該実質的に円形の中心から半径方向外向きに延びる2つの対向する矩形とにより規定される、断面がФ字型の穴を、上記本体に形成する、上記項目に記載の縫合システム。
(項目3)
各保持具が吸収性である生体適合性材料から構築されている、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合システム。
(項目4)
上記締め付け路セクションが、上記スロットの側壁から延びる少なくとも1つの突出部により規定される、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合システム。
(項目5)
上記少なくとも1つの突出部が、遠位表面、近位表面、および頂点を有し、該遠位表面が、該近位表面の面積より大きい面積を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合システム。
(項目6)
上記締め付け路セクションが2つの突出部により規定されており、各突出部が頂点を有し、該頂点が互いに隣接して位置している、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合システム。
(項目7)
上記隣接する頂点がすぐ近くに近接している、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合システム。
(項目8)
上記締め付け路セクションが2つの突出部により規定されており、各突出部が頂点を有し、該頂点が互いからずれている、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合システム。
(項目9)
各保持具が、楕円形、円形、三角形、および矩形からなる群より選択される形状の外周を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合システム。
(項目10)
上記中心通路が実質的に円錐の形状を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合システム。
(項目11)
上記縫合糸が、一連のテーパ状のセクションを有し、該テーパ状のセクションが、上記縫合糸保持具の上記締め付け路セクション内での該縫合糸の保持を補助するような構成にされている、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合システム。
(項目12)
本体;
縫合糸;ならびに
該本体から延びる一連の針であって、該針の各々が、テーパ状の近位端、および該テーパ状の近位端を横切る溝を有し、該溝は、該針の該テーパ状の近位端内に該縫合糸の一部分を取り外し可能に固定するようなサイズにされており、該一連の針は、該溝が、隣接する位置に位置する少なくとも1つの他の針の溝と整列するように配置されている、一連の針、
を備える、外科手術用ステープル留め型のデバイスと共に使用するための縫合糸カートリッジ。
(項目13)
上記縫合糸が一連のテーパ状セクションを有する、上記項目に記載の縫合糸カートリッジ。
(項目14)
上記縫合糸が吸収性である生体適合性材料から作製されている、上記項目のいずれかに記載の縫合糸カートリッジ。
(項目15)
カートリッジ本体;および
該カートリッジ本体内に取り外し可能に固定されるように構成された少なくとも1つの縫合糸保持具であって、該保持具は、開口部分を規定する本体を有し、該開口部分の形状は、長手方向軸を規定する中心通路、および該中心通路から半径方向外向きに延びる直径方向に対向する1対のスロットにより規定されており、該中心通路は、該中心通路を通る該針の通過を可能にするようなサイズにされており、各スロットは、締め付け路セクションを規定し、該締め付け路セクションは、第一の方向への該縫合糸の通過を可能にし、そして第二の方向への該縫合糸の通過を妨げる、少なくとも1つの縫合糸保持具、
を備える、外科手術用ステープル留め型のデバイスと共に使用するための縫合糸保持具カートリッジ。
(項目16)
上記縫合糸保持具が生体吸収性である生体適合性材料から構築されている、上記項目に記載の縫合糸保持具カートリッジ。
(項目17)
上記カートリッジ本体が、内部に複数の縫合糸保持具を取り外し可能に固定するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸保持具カートリッジ。
(項目18)
ハンドルアセンブリ;
該ハンドルアセンブリから遠位に延びる細長部材であって、長手方向軸および遠位端を規定する、細長部材;
該細長部材の該遠位端に取り付けられたエンドエフェクタであって、第一の顎および第二の顎を有する、エンドエフェクタ;
該細長部材を通して該エンドエフェクタに作動可能に接続された起動機構;
該エンドエフェクタの該第一の顎内に取り外し可能に固定された縫合糸;ならびに
該エンドエフェクタの該第二の顎内に取り外し可能に固定された縫合糸保持具であって、該縫合糸保持具は、少なくとも1つの開口部分を有し、該開口部分は、該縫合糸を第一の方向で受容し、そして第二の方向への該縫合糸の取り外しを妨げるように構成されている、縫合糸保持具、
を備える、外科手術用縫合器具。
(項目19)
上記第一の顎が、交換可能な縫合糸カートリッジをさらに備え、該縫合糸カートリッジは、該第一の顎内に上記縫合糸を取り外し可能に固定し、そして該縫合糸カートリッジは、一連の針を備え、該針の各々が、該縫合糸を受容して取り外し可能に保持するための溝を有する、上記項目に記載の外科手術用縫合器具。
(項目20)
上記第二の顎が、交換可能な縫合糸保持具カートリッジをさらに備え、該縫合糸保持具カートリッジは、上記縫合糸保持具を該第二の顎内に取り外し可能に固定する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用縫合器具。
【0005】
(摘要)
縫合糸を受容して保持するための縫合システムが開示され、この縫合システムは、縫合糸、少なくとも1つの保持具、および少なくとも1つの針を備える。各針は、テーパ状の端部に位置する溝内に縫合糸を受容して取り外し可能に保持し得る。この保持具は、本体を有し、この本体は、この本体を通る開口部分を規定する。この開口部分の形状は、中心通路と、この中心通路から半径方向外向きに延びる、直径方向に対向する1対のスロットとにより形成される。この中心通路は、この中心通路を通る針の通過を可能にするようなサイズにされる。各スロットは、締め付け路セクションを規定し、この締め付け路セクションは、第一の方向への縫合糸の通過を可能にし、そして第二の方向への縫合糸の通過を妨げる。
【0006】
(要旨)
本開示は、縫合糸を受容して保持するための縫合システムに関し、この縫合システムは、ある量の縫合糸または縫合糸の一部、少なくとも1つの針、および少なくとも1つの保持具を備える。各針は、縫合糸を受容して取り外し可能に保持する能力を有する。縫合糸と保持具との両方が、患者の身体により吸収可能な生体適合性材料から作製され得る。各保持具は、本体を備え、この本体は、この本体を通る開口部分を規定する。
【0007】
この縫合糸の開口部分の形状は、長手方向軸を規定する中心通路、および直径方向に対向する1対のスロットにより形成される。これらのスロットは、この中心通路から半径方向外向きに延びる。この中心通路とこれらの直径方向に対向するスロットとは、実質的に円形の中心と、この実質的に円形の中心から半径方向外向きに延びる2つの対向する矩形とにより規定される、Ф字型の断面の穴を本体内に形成する。この中心通路は、この中心通路を通る針の通過を可能にするようなサイズにされる。
【0008】
これらの直径方向に対向するスロットは、この本体の長手軸方向の長さに延び、そして締め付け路セクションを規定する。この締め付け路セクションは、第一の方向への縫合糸の通過を可能にし、そして第二の方向への縫合糸の通過を妨げる。この締め付け路は、このスロットの側壁から延びる少なくとも1つの突出部により規定される。この少なくとも1つの突出部は、遠位表面、近位表面、および頂点を有する。この突出部の遠位表面は、この突出部の近位表面の面積より大きい面積を有する。
【0009】
本明細書中で議論されるように、この締め付け路セクションは、頂点が互いからずれている2つの突出部を有し、その結果、一方の頂点が、他方の頂点よりも長手軸方向に高い位置にある。これらの頂点は互いに隣接し、すぐ近くに近接していることもまた想定される。この締め付け路セクションはまた、1つの突出部、または2つより多くの突出部のいずれかを含み得る。
【0010】
本明細書中で議論されるように、この縫合糸は、従来の円筒形の形状であるが、この縫合糸が、縫合糸保持具の締め付け路セクション内でのこの縫合糸の保持を補助するように構成された、一連のテーパ状のセクションを備えることが想定される。
【0011】
本体の外周は、一般に、楕円形、円形、三角形または矩形の形状である。この本体は、これらの形状のうちの1つ以上を一緒に結びつける外周を有することもまた想定される。
【0012】
この中心通路が実質的に円錐の形状を有することもまた想定される。
【0013】
本明細書中にはまた、外科手術用縫合器具が開示され、この外科手術用縫合器具は、ハンドルアセンブリ、細長部材、エンドエフェクタ、および縫合システムを患者の組織内に適用するための起動機構を備える。この起動機構は、ハンドルアセンブリ内に位置し、そしてこの細長部材を介してこのエンドエフェクタに作動可能に接続される。この細長部材は、このハンドルアセンブリから遠位に延び、そして長手方向軸、近位端、および遠位端を規定する。このエンドエフェクタは、この細長部材の遠位端に取り付けられる。このエンドエフェクタは、第一の顎または縫合糸顎、および第二の顎または保持具顎を有する。この縫合糸顎は、取り外し可能に固定された少なくとも1つの縫合糸を有する縫合糸カートリッジを有し、そしてこの保持具顎は、取り外し可能に固定された少なくとも1つの保持具を有する保持具カートリッジを有する。この縫合糸カートリッジとこの保持具カートリッジとの両方は、交換可能であり、そしてそれぞれの顎内に取り外し可能に固定される。
【0014】
この縫合糸カートリッジは、本体および一連の針を備える。各針は、この本体から延び、そしてテーパ状の近位端および溝またはスロットを有する。この溝またはスロットは、このテーパ状の近位端を横切っており、縫合糸を受容して内部に取り外し可能に保持するためのものである。この一連の針は、各針の溝が、隣接する位置に位置する少なくとも1つの他の針の溝と整列するように、配置される。
【0015】
この保持具カートリッジは、一連の穴を有する本体を備える。これらの保持具は、針のうちの1つがこの保持具を通過してこの穴に入ることを可能にするように、これらの穴の周りに配置される。
【0016】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を図示し、そして上に与えられた本開示の一般的な説明および以下に与えられる実施形態の詳細な説明と一緒になって、本開示の原理を説明する役に立つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本開示の原理に従う縫合システムの斜視図であり、1本の縫合糸、複数の針、および複数の保持具を図示する。
図2図2は、針および縫合糸の斜視図である。
図3図3は、図1の保持具の上平面図である。
図4図4は、頂点が互いからずれている、図3の切断線4−4に沿って見た図1の保持具の側断面図である。
図4a図4aは、頂点が互いに隣接している、図4の保持具の別の実施形態の側断面図である。
図5図5は、縫合システムおよび組織の斜視図である。
図6図6は、針および縫合糸が組織に入っている、組織を通る縫合システムの側面図である。
図7図7は、針および縫合糸が保持具に入っている、縫合システムの側面図である。
図8図8は、針および縫合糸が保持具に挿入された、縫合システムの側面図である。
図9図9は、針が引き込まれた縫合システムの側面図である。
図10図10は、保持具内に配置された縫合糸の側断面図である。
図11図11は、本開示の別の実施形態の原理に従う外科手術用装置の斜視図である。
図12図12は、図11の外科手術用装置の保持具顎および保持具カートリッジの斜視図である。
図13図13は、保持具が保持具カートリッジから分離されている、保持具顎の一部分の斜視図である。
図14図14は、図11の外科手術用装置の縫合糸顎および縫合糸カートリッジの一部分の斜視図である。
図15図15は、針および縫合糸の貯蔵部分を図示する、縫合糸顎および縫合糸カートリッジの切り取り図である。
図16図16は、組織が顎の間に配置されている、エンドエフェクタの一部分の側面部分切り取り図である。
図17図17は、カムがエンドエフェクタを通って前進する場合の、図16のエンドエフェクタの側面部分切り取り図である。
図18図18は、カムのさらなる前進を示す、図16のエンドエフェクタの側面部分切り取り図である。
図19図19は、保持具内に固定された縫合糸および近接していない顎を示す、図16のエンドエフェクタの側面部分切り取り図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の他の特徴は、添付の図面と組み合わせられる以下の詳細な説明から明らかになる。図面は、例として、本開示の原理を図示する。
【0019】
(実施形態の詳細な説明)
本開示の縫合システムおよび外科手術用縫合器具の実施形態が、図面を参照しながら詳細に説明される。図面において、同じ参照番号は、数枚の図の各々における同一の要素または対応する要素を表す。本明細書中で使用される場合、用語「遠位」とは、外科手術用縫合器具またはその構成要素の、使用者から遠い方の部分をいい、一方で、用語「近位」とは、外科手術用縫合器具またはその構成要素の、使用者に近い方の部分をいう。
【0020】
本開示の使い捨て装填ユニットが一緒に議論される、縫合システムおよび外科手術用縫合器具は、従来の手順と内視鏡手順との両方の観点で議論されるべきである。本明細書中に記載される縫合システムおよび外科手術用縫合器具は、小さい切開にアクセスが制限される手順(関節鏡手順および/または腹腔鏡手順が挙げられるが、これらに限定されない)、ならびに他の非内視鏡(例えば、観血)手順において用途を見出し得ることが想定される。
【0021】
ここで図面を参照すると、図面において、同じ参照番号は、本発明のシステムおよび器具の類似の構造要素を確認する役に立つ。図1には、縫合システムが図示されており、一般に、参照番号5により表される。縫合システム5は、ある量の縫合糸10、少なくとも1つの針20、および少なくとも1つの保持具30を備える。縫合糸10の一部分と保持具30との両方は、生体適合性材料から作製される。この生体適合性材料は、患者の身体内で吸収可能であり得る。
【0022】
ここで図2を参照すると、針20の各々は、テーパ状の近位端21、およびこのテーパ状の近位端21を横切る溝22を有し、この溝は、縫合糸10の一部分を内部に受容して取り外し可能に保持するためのものである。針20は、各針20の溝22が、隣接位置に位置する少なくとも1つの他の針20の溝22と整列するように、配置される。
【0023】
ここで図3および4を参照すると、保持具30は本体31を備え、この本体は、この本体を通る開口部分32を規定する。開口部分32の形状は、中心通路33(これは、長手方向軸「x」を規定する)と、直径方向に対向する1対のスロット34(中心通路33から半径方向外向きに延びる)とにより規定される。開口部分32は、実質的に円形の中心と、この実質的に円形の中心から半径方向外向きに延びる2つの対向する矩形とにより規定される、断面がФ字型の穴を、本体31に形成する。中心通路33は、この中心通路を通る針20の通過を可能にするためのサイズにされた、実質的に一定の円柱の形状を有する。
【0024】
締め付け路セクション35が、スロット34から延びる2つの突出部40a、40bにより規定される。各突出部40a、40bは、スロット34の側壁のうちの1つから延びる。2つの突出部40a、40bの各々は、近位表面42、遠位表面43、および頂点44を有する。近位表面42は、長手方向軸「x」に対して、長手方向軸「x」と交差する遠位表面43により形成される角度より大きい角度を形成する。その結果、遠位表面43の面積は、近位表面42の面積より大きい。締め付け路セクション35は、第一の方向「a」への縫合糸10の一部分の通過を可能にし、そして第二の方向「b」への縫合糸10の一部分の通過を妨げる。
【0025】
本体31の外周は、形状がほぼ円形であるように開示されるが、このことは限定であると解釈されるべきではない。この本体はまた、ほぼ楕円形、矩形、または三角形の形状であってもよい。この本体は、これらの形状のうちの1つ以上を一緒に連結する外周を有すること、および1本より多くの縫合糸が1つの本体内に保持されてもよいこともまた想定される。
【0026】
本明細書中で議論され、そして図4に図示されるように、締め付け路セクション35は、ずれた頂点44を有する2つの突出部40a、40bを有し、その結果、一方の頂点は、他方の頂点より長手軸方向に高い。図4aの保持具の別の実施形態に示されるように、これらの頂点は、互いに隣接することもまた想定される。隣接する頂点44は、すぐ近くに近接する。締め付け路セクション35はまた、1つの突出部、または2つより多くの突出部のいずれかを含んでもよい。
【0027】
本明細書中で議論されるように、縫合糸10の一部分は、従来の円柱形の形状であるが、縫合糸10の一部分が、縫合糸保持具30の締め付け路セクション35内への縫合糸10の一部分の保持を補助するような構成にされた、一連のテーパ状セクションを備えることが想定される。
【0028】
中心通路33が実質的に円錐の形状を有することもまた想定される。
【0029】
ここで図5〜10を参照すると、使用において、保持具30が組織の片側に配置され、そして針20が、この組織の他方の側に配置される。針20は、保持具30の長手方向軸「x」と整列する。力Fが針20に付与されると、針20および縫合糸10の一部分が強制的にこの組織に貫入させられ、針20を保持具30の中心通路32内に延ばす。
【0030】
力Fを続けて付与すると、針20のテーパ状の近位端21が移動して、溝22が保持具30を越える。その結果、縫合糸10の一部分が強制的に、保持具30の締め付け路セクション35に入って通る。近く近接している頂点44が、縫合糸10の一部分を挟むかまたは圧迫し、この縫合糸を保持具30内で適所に保持し、そして針20が取り除かれることを可能にする。
【0031】
図11に示される外科手術用縫合器具100もまた開示される。本開示の種々の実施形態が、添付の図面を参照しながら本明細書中以下に説明される。周知の機能または構造は、本開示を不必要な細部においてあいまいにすることを回避するために、詳細には記載されない。当業者は、本開示が内視鏡器具または観血器具のいずれと共に使用されるようにも適合され得ることを理解する。
【0032】
この外科手術用縫合器具は、装填ユニット(例えば、単回使用装填ユニット(「SULU」)または使い捨て装填ユニット (「DLU」)を備える。簡単にするために、本明細書中以下で、SULUおよびDLUは「SULU」と称されるが、DLUまたはSULUのうちのいずれかまたは両方を包含することが理解されるべきである。
【0033】
縫合糸210、針220、および保持具230は、それぞれ縫合糸10、針20、および保持具30と実質的に類似であるので、これらの間の違いに関してのみが説明される。
【0034】
外科手術用縫合器具100の多くの構成要素は、米国特許第6,032,849号に実質的に記載されてるとおりであり、この米国特許は、その全体が本明細書中に参考として援用される。本開示のエンドエフェクタ140の実施形態は、内視鏡構造と観血構造との両方の、他の公知のステープル留めデバイスに関連して使用され得ることが想定される。これらのデバイスとしては、関節運動デバイスおよび非関節運動デバイス、ならびに再使用可能デバイスおよび再使用不可能デバイスが挙げられる。
【0035】
外科手術用縫合器具100は、ハンドルアセンブリ110、細長部材120、およびエンドエフェクタ140を備える。ハンドルアセンブリ110は、静止グリップ部材111、旋回可能トリガ112、および回転ノブ113を備える。起動機構114は、ハンドルアセンブリ110内に位置し、そして旋回可能トリガ112に作動可能に接続される。起動機構114は、細長部材120を通って延び、そしてエンドエフェクタ140と作動可能に接続される。旋回可能トリガ112は、1回以上の起動行程により起動されて、起動機構114をエンドエフェクタ140内で前進させる。
【0036】
細長部材120は、ハンドルアセンブリ110から遠位に延び、そして長手方向軸「y」、近位端121、および遠位端122を規定する。道具130(例えば、SULU)が、細長部材120の遠位端122に取り付けられる。道具130は、細長部材120に解放可能に取り付けられるように適合され、そして近位本体部分131およびエンドエフェクタ140を備える。エンドエフェクタ140は、保持具顎150および縫合糸顎160を備え、これらは、間に組織を捕捉してクランプするためにそれぞれ使用される。縫合糸顎160および保持具顎150は、互いに対して、開位置とクランプ位置または近接位置との間で旋回可能である。
【0037】
起動機構114の前進により、縫合糸顎160が保持具顎150に対して、開位置とクランプ位置との間で動き、そして縫合糸210を縫合糸カートリッジ161から排出する。あるいは、この起動行程は、保持具顎150を静止している縫合糸顎160の方へと旋回させ得る。
【0038】
ここで図12〜15を参照すると、縫合糸顎160は、少なくとも1つの取り外し可能に固定された縫合糸210を収容する縫合糸カートリッジ161を備え、そして保持具顎150は、少なくとも1つの取り外し可能に固定された保持具230を収容する相補的な保持具カートリッジ151を備える。縫合糸カートリッジ161と保持具カートリッジ151との両方が交換可能であり、そしてそれぞれの顎内に取り外し可能に固定される。縫合糸カートリッジ161と保持具カートリッジ151との両方は、それぞれ、縫合糸210および保持具230の1つ以上の相補的な列を収容することが想定される。
【0039】
ここで図14〜15を参照すると、本開示の1つの実施形態に従うエンドエフェクタ140が図示されている。縫合糸カートリッジ161は、縫合糸顎160の縫合糸カートリッジチャネル166内に配置されている。縫合糸カートリッジチャネル166は、内部に縫合糸カートリッジ161を受容するような寸法および構成にされている。縫合糸カートリッジ161は、縫合糸カートリッジ161のいずれかの側に沿って形成されたタブ162を備え、これらのタブは、縫合糸カートリッジチャネル166のいずれかの側に沿って形成された、対応するタブ凹部168に固定されるような寸法および構成にされている。タブ凹部168は、内部に縫合糸カートリッジ161のタブ162を保持し、位置決めし、そして整列させるように構成される。他の任意の従来の方法を使用して、縫合糸カートリッジ161を縫合糸カートリッジチャネル166内で固定し得る。
【0040】
縫合糸カートリッジ161は、複数の針220の直線の列および相補的な針開口部164を備える。各針開口部164は、縫合糸通路165によって、別の針開口部164に連結される。ナイフスロット163が、針220の直線の列のうちの少なくとも2つを分離し、そして図17に見られるように、このナイフスロットを通るナイフ115の通過を可能にする。長手軸方向スロット169が、縫合糸カートリッジチャネル166の頂部に沿って長手軸方向に延びて、縫合糸カートリッジチャネル166に対するナイフ115の位置のさらなる固定点および視覚指標を提供し得る。
【0041】
針220の各列は、縫合糸カートリッジ161内で長手方向軸「y」に対して平行であり、一方で、各個々の針220は、長手方向軸「y」に対して垂直である。針220の各列は、各針220の溝が隣接位置に位置する少なくとも1つの他の針220の溝と整列するように、配置される。各針220は、針ベース167に接続される。複数の針220が、1つの針ベース167に接続され得る。
【0042】
縫合糸カートリッジ161は、カム部材116を収容し、このカム部材は、針ベース167に作用し、針220を順番に、長手方向軸「y」に対して垂直に移動させて、針220を縫合糸カートリッジ161から延ばす。針220が縫合糸カートリッジ161から延びると、針220および縫合糸210は強制的に組織に通され、そして保持具に入る。
【0043】
ここで図12〜13を参照すると、保持具カートリッジ151は、一連の保持具凹部152内に取り外し可能に固定された一連の保持具230、および保持具230の開口部分と整列する一連の穴153を備える。一連の穴153は、縫合糸カートリッジ161の針220の列と相補的である。保持具230は、2つの開口部分を有し、そして穴153と整列して、針220のうちの少なくとも1つおよび縫合糸210の一部分が、保持具230を通過して穴153に入ることを可能にする。縫合糸210は、針220間にたるみを有するように針220に差し込まれて、様々な厚さの組織に適応する。
【0044】
針220および保持具230が湾曲した顎に沿って整列することもまた想定される。
【0045】
ここで図16および19を参照すると、本開示はまた、外科手術用縫合器具100を使用するための外科手術方法に関する。
【0046】
組織の解剖中に、エンドエフェクタ140は、当該分野において公知であるアクセスデバイスを通して、外科手術部位にアクセスするように適合される。このことを達成するために、細長部材120がカニューレ(図示せず)を通して挿入される際に、保持具顎150および縫合糸顎160を備えるエンドエフェクタ140は、クランプ位置または近接位置に維持される。その後、顎150、160が開かれ得、そして外科手術用縫合器具100をクランプして起動することによって、組織が接合および/または切断され得る。
【0047】
図16に示されるように、組織は、保持具顎150と縫合糸顎160との間に配置される。旋回可能トリガ112が起動されると、起動機構114は、図17に図示されるように、縫合糸顎160に沿って遠位に駆動され、同時に、カム116およびナイフ115を押して組織を切断する。カム116が長手方向軸「y」に沿って前進すると、カム116は、針ベース167に作用して、針220および縫合糸210を縫合糸カートリッジ161から垂直に移動させる。針220および縫合糸210の一部分は、組織を通って延び、そして保持具230に入り、そして保持具230を部分的に通る。
【0048】
針ベース167を横切るカム116の前進が完了すると、起動機構114が遠位に引き込まれる。起動機構114が引き込まれると、カム116およびナイフ115もまた遠位に引き込まれ、針220が垂直に引き込まれて縫合糸カートリッジ161に入ることを可能にする。針220が引き込まれると、縫合糸210が針220から解放され、そして保持具230内で適所にロックされる。
【0049】
エンドエフェクタ140が組織を解放する際に、保持具230は、保持具カートリッジ161から分離される。起動機構114が完全に引き込まれた後に、外科手術用縫合器具100は、外科手術部位から取り除かれ得る。保持具顎150と縫合糸顎160との間のギャップの幅を調節することによって、外科手術用縫合器具100を種々の組織の厚さに対して使用することが可能になる。
【0050】
種々の改変が、本明細書中に開示された実施形態に対してなされ得ることが理解される。例えば、カートリッジアセンブリの表面のサイズ、角度および/または湾曲が、特定の外科手術手順によりよく適合するために改変され得る。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、種々の実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を予測する。
【符号の説明】
【0051】
10 縫合糸
20 針
21 近位端
22 溝
30 保持具
31 本体
32 開口部分
33 中心通路
34 スロット
35 締め付け路セクション
34 スロット
40a、40b 突出部
図1
図2
図3
図4
図4a
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19