(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649222
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】PON接続工事方法及び光パルス試験装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/00 20060101AFI20141211BHJP
G01M 11/00 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
G02B6/00 336
G01M11/00 R
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-222520(P2011-222520)
(22)【出願日】2011年10月7日
(65)【公開番号】特開2013-83738(P2013-83738A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】牧 達幸
(72)【発明者】
【氏名】押味 孝志
【審査官】
▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−309958(JP,A)
【文献】
特開2007−068376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00
G02B 6/46 − 6/54
G01M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタ側の1本の光ファイバの一端と加入者側の複数の光ファイバの一端とが光スプリッタで接続されているPONにおいて前記センタ側から前記加入者側に向けてパルス光を出力したときの後方散乱光の波形(以降、基準波形取得手順で取得した波形を「基準波形」と称する。)を取得する基準波形取得手順(S101)と、
いずれかの加入者側の光ファイバを切断し、切断によって前記基準波形から消えたピークと切断された加入者側の光ファイバの識別番号とを対応させて記録する記録手順(S102〜S104)と、
切断した加入者側の光ファイバを新たな光スプリッタと接続し、接続後の後方散乱光の波形(以降、接続表示手順で取得した波形を「測定波形」と称する。)を取得し、前記測定波形と共に前記記録手順で記録した前記基準波形及び前記識別番号を表示する接続表示手順(S105〜S106)と、
を順に有するPON接続工事方法。
【請求項2】
前記接続表示手順において、切断した加入者側の光ファイバを新たな光スプリッタと接続することによって現れた測定波形のピークと、前記基準波形における前記接続した光ファイバの識別番号が表示されているピークとが重なるように、前記基準波形又は前記測定波形を時間軸方向に平行移動させることを特徴とする請求項1に記載のPON接続工事方法。
【請求項3】
前記識別番号の一致する前記基準波形のピークの信号強度と前記測定波形のピークの信号強度との差が一定範囲内の場合に接続完了と判定する接続完了判定手順(S107〜S108)を前記接続表示手順の後にさらに有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のPON接続工事方法。
【請求項4】
センタ側の1本の光ファイバの一端と加入者側の複数の光ファイバの一端とが光スプリッタで接続されているPONにおいてセンタ側から加入者側に向けてパルス光を出力したときの後方散乱光の波形(以降、光ファイバを切断前の波形を「基準波形」と称する。)を測定し、いずれかの加入者側の光ファイバを切断して切断した加入者側の光ファイバを新たな光スプリッタと接続してセンタ側から加入者側に向けてパルス光を出力したときの後方散乱光の波形(以降、光ファイバを新たな光スプリッタに接続後の波形を「測定波形」と称する。)を測定する測定部(11)と、
前記測定部の測定した前記基準波形のピークと加入者側の光ファイバの識別番号とを対応付ける入力部(12)と、
切断によって前記基準波形から消えたピークと切断された加入者側の光ファイバの識別番号とを対応させて記録する記録部(14)と、
前記測定波形と共に前記記録部の記録する前記基準波形及び前記識別番号を表示する表示部(13)と、
を備える光パルス試験装置。
【請求項5】
前記表示部は、切断した加入者側の光ファイバを新たな光スプリッタと接続することによって現れた測定波形のピークと、前記基準波形における前記接続した光ファイバの識別番号が表示されているピークとが重なるように、前記基準波形又は前記測定波形が時間軸方向に平行移動可能であることを特徴とする請求項4に記載の光パルス試験装置。
【請求項6】
前記識別番号の一致する前記基準波形のピークの信号強度と前記測定波形のピークの信号強度との差が一定範囲内の場合に接続完了と判定する接続完了判定部(15)をさらに備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の光パルス試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PON接続工事方法及び光パルス試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内での光アクセスネットワークは大部分がPON(Passive Optical Network)構成へと移行が進んでいる。近年、PONの敷設効率向上のため、光スプリッタ下部の張替え工事や、光スプリッタを敷設した電柱などの支障移転工事などのPON接続工事を実施している。PON接続工事の際には、光スプリッタ下部又は幹線の光ファイバを切断する必要があるため、接続されたONU(Optical Network Unit)すべてに対し、工事事情を通知し、一定期間ネットワークを停止する必要があるため、できるだけ迅速に、正確に工事を完了する必要がある。
【0003】
実際のPON接続工事では、センタ側に一名、現場に一名の工事担当者を派遣し、両名で工事状況を確認しながら進めることになっている。具体的には、現場の担当者は光スプリッタ下部の何番線の光ファイバを切断する旨をセンタ側の担当者に伝え、センタ側の担当者はOTDR(Optical Time−Domain Reflectometer)により接続されたONUからのフレネル反射を確認して、切断した際に観測できなくなったフレネル反射位置を記録しておく。すべての光スプリッタ下部の光ファイバを切断する際に、同様な手順でフレネル反射位置とその位置が光スプリッタの何番線なのかの対応を把握する。
【0004】
この対応関係をもとに、次に光ファイバを接続する段階において、例えば1番線を接続する工事をした際に、センタ側にてそのフレネル反射位置とレベルを切断前のものと比較することにより、接続工事が正常に完了しているか否かの判断をしている。この作業を光スプリッタの分岐数分実施することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−68376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のOTDRを使用する際には、波形を記録し、どの位置のフレネル反射が光スプリッタの何番線に接続されたものなのかを作業者が記録する必要があり、作業の効率が上がらないうえ、間違いの生じる可能性が残されている。
【0007】
特許文献1の設備情報登録装置は、PON伝送線路における設備情報と、光パルス試験装置により得られる測定データの対応関係を記録する。しかし、PON伝送線路における設備情報として、OLTから光スプリッタまでの距離やONUまでの距離を予め装置に記録させておかなければならない問題がある。
【0008】
このような背景を鑑み、本発明は、光スプリッタ下部の光ファイバを切断する際にOTDR波形のフレネル反射の位置に光ファイバ番号を明記し、その波形を基準波形として背景に残しながら、接続工事時に基準波形と比較することにより番号などの間違いなく工事を正確に実施することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明のPON接続工事方法は、センタ側の1本の光ファイバの一端と加入者側の複数の光ファイバの一端とが光スプリッタで接続されているPONにおいて前記センタ側から前記加入者側に向けてパルス光を出力したときの後方散乱光の波形(以降、基準波形取得手順で取得した波形を「基準波形」と称する。)を取得する基準波形取得手順(S101)と、いずれかの加入者側の光ファイバを切断し、
切断によって前記基準波形
から消えたピークと切断された加入者側の光ファイバの識別番号とを対応させて記録する記録手順(S102〜S104)と、切断した加入者側の光ファイバを新たな光スプリッタと接続し、接続後の後方散乱光の波形(以降、接続表示手順で取得した波形を「測定波形」と称する。)を取得し、前記測定波形と共に前記記録手順で記録した前記基準波形及び前記識別番号を表示する接続表示手順(S105〜S106)と、を順に有する。
【0010】
本願発明のPON接続工事方法は、基準波形取得手順(S101)及び記録手順(S102〜S104)を有するため、光スプリッタ下部の光ファイバを切断する際にOTDR波形のフレネル反射の位置に光ファイバ番号を明記することができる。また、本願発明のPON接続工事方法は、接続表示手順(S105〜S106)を有するため、接続工事時に基準波形と比較することができる。これにより、本願発明のPON接続工事方法は、光スプリッタ下部の光ファイバを切断する際にOTDR波形のフレネル反射の位置に光ファイバ番号を明記し、その波形を基準波形として背景に残しながら、接続工事時に基準波形と比較することにより番号などの間違いなく工事を正確に実施することができる。
【0011】
本願発明のPON接続工事方法では、前記接続表示手順において、
切断した加入者側の光ファイバを新たな光スプリッタと接続することによって現れた測定波形のピークと、前記基準波形における前記接続した光ファイバの識別番号が表示されているピークとが重なるように、前記基準波形又は前記測定波形を時間軸方向に平行移動させてもよい。
本発明により、光スプリッタから切断する前と新たな光スプリッタに接続した後のOTDR波形を重ねて表示することができる。これにより、新たな光スプリッタに接続したときに接続損失が大きくなったか否かを識別しやすくなる。
【0012】
本願発明のPON接続工事方法では、前記識別番号の一致する前記基準波形のピークの信号強度と前記測定波形のピークの信号強度と
の差が一定範囲内の場合に接続完了と判定する接続完了判定手順(S107〜S108)を前記接続表示手順の後にさらに有してもよい。
接続完了判定手順をさらに有するため、新たな光スプリッタへの接続が正常にできているか否かの判定を自動化することができる。
【0014】
上記目的を達成するために、本願発明の光パルス試験装置は、センタ側の1本の光ファイバの一端と加入者側の複数の光ファイバの一端とが光スプリッタで接続されているPONにおいてセンタ側から加入者側に向けてパルス光を出力したときの後方散乱光の波形(以降、光ファイバを切断前の波形を「基準波形」と称する。)を測定し、いずれかの加入者側の光ファイバを切断して切断した加入者側の光ファイバを新たな光スプリッタと接続してセンタ側から加入者側に向けてパルス光を出力したときの後方散乱光の波形(以降、光ファイバを新たな光スプリッタに接続後の波形を「測定波形」と称する。)を測定する測定部(11)と、前記測定部の測定した前記基準波形のピークと加入者側の光ファイバの識別番号とを対応付ける入力部(12)と、
切断によって前記基準波形
から消えたピークと切断された加入者側の光ファイバの識別番号とを対応させて記録する記録部(14)と、前記測定波形を表示すると共に、前記記録部の記録する前記基準波形及び前記識別番号を表示する表示部(13)と、を備える。
【0015】
本願発明のPON接続工事
装置は、測定部(11)入力部(12)、表示部(13)及び記録部(14)を備えるため、光スプリッタ下部の光ファイバを切断する際にOTDR波形のフレネル反射の位置に光ファイバ番号を明記し、その波形を基準波形として背景に残しながら、接続工事時に基準波形と比較することにより番号などの間違いなく工事を正確に実施することができる。
【0016】
本願発明の光パルス試験装置では、前記表示部は、
切断した加入者側の光ファイバを新たな光スプリッタと接続することによって現れた測定波形のピークと、前記基準波形における前記接続した光ファイバの識別番号が表示されているピークとが重なるように、前記基準波形又は前記測定波形が時間軸方向に平行移動可能であってもよい。
本発明により、光スプリッタから切断する前と新たな光スプリッタに接続した後のOTDR波形を重ねて表示することができる。これにより、新たな光スプリッタに接続したときに接続損失が大きくなったか否かを識別しやすくなる。
【0017】
本願発明の光パルス試験装置では、前記識別番号の一致する前記基準波形のピークの信号強度と前記測定波形のピークの信号強度と
の差が一定範囲内の場合に接続完了と判定する接続完了判定部(15)をさらに備えてもよい。
接続完了判定部をさらに有するため、新たな光スプリッタへの接続が正常にできているか否かの判定を自動化することができる。
【0018】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光スプリッタ下部の光ファイバを切断する際にOTDR波形のフレネル反射の位置に光ファイバ番号を明記し、その波形を基準波形として背景に残しながら、接続工事時に基準波形と比較することにより番号などの間違いなく工事を正確に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本実施形態に係る光パルス試験装置の一例を示す。
【
図3】本実施形態に係るPON接続工事方法の一例を示す。
【
図5】光ファイバ切断後のOTDR波形の一例を示す。
【
図6】基準波形のピークと光ファイバの識別番号との対応付けの一例を示す。
【
図7】全ての光ファイバが切断されているときのOTDR波形の一例を示す。
【
図8】全ての光ファイバが切断されているときに記録部に記録されている基準波形の一例を示す。
【
図9】新たな光スプリッタに光ファイバを接続したときの測定波形の一例を示す。
【
図10】測定波形と基準波形とを重ねた表示の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0022】
図1に、PON接続工事の説明図を示す。センタ側のOLT91と加入者側の複数のONU92_1〜92_Nとが光スプリッタ93で接続されている。OLT91は光スプリッタ97にも接続されている。現場にいる工事担当者が、光スプリッタ93の下部すなわちONU92_1〜92_N側の光ファイバ95_1〜95_Nを切断し、光ファイバ95_1〜95_Nを光スプリッタ97に接続する。OLT91側の工事担当者は、OLT91と光スプリッタ93及び光スプリッタ97とを接続する光ファイバ94_0に、光パルス試験装置10を接続してOTDR測定を行う。
【0023】
図2に、本実施形態に係る光パルス試験装置の一例を示す。本実施形態に係る光パルス試験装置10は、測定部11と、入力部12と、表示部13と、記録部14と、接続完了判定部15と、を備える。
【0024】
図3に、本実施形態に係るPON接続工事方法の一例を示す。本実施形態に係るPON接続工事方法は、基準波形取得手順と、記録手順と、接続表示手順と、接続完了判定手順と、を順に有する。基準波形取得手順では、ステップS101を実行する。記録手順では、ステップS102〜ステップS104を実行する。接続表示手順では、ステップS105〜ステップS106を実行する。接続完了判定手順では、ステップS107〜ステップS108を実行する。
【0025】
ステップS101では、OLT91側の工事担当者が、光パルス試験装置10を用いてOTDR測定を行う。これにより、光パルス試験装置10が基準波形を取得する。基準波形は、光ファイバを切断前の基準波形取得手順で取得した波形であって、OLT91側からONU92_1〜92_N側に向けてパルス光を出力したときの後方散乱光の波形である。このとき、測定部11が基準波形を測定し、表示部13が基準波形を表示し、記録部14が基準波形を記録する。
【0026】
図4に、基準波形の一例を示す。光スプリッタ93と各ONU92_1〜92_Nの位置に、フレネル反射のピークが現れている。この時点では、どのピークがどの各ONU92_1〜92_Nでのフレネル反射であるか不明である。
【0027】
ステップS102では、現場の工事担当者が、切断する光ファイバの識別番号を確認し、その識別番号の光ファイバを切断する。例えば、光ファイバ95_1の識別番号#1を確認し、光ファイバ95_1を切断する。
【0028】
ステップS103では、OLT91側の工事担当者が、光パルス試験装置10を用いてOTDR測定を行う。すると、表示部13には、
図5に示すように、光ファイバ95_1の切断によって基準波形からピークが1つ消える。OLT91側の工事担当者は、表示部13に基準波形を表示させ、消えたフレネル反射のピークを確認する。そして、OLT91側の工事担当者は、現場の工事担当者から、切断した光ファイバ95_1の識別番号が#1であることを確認し、入力部12を用いて基準波形のピークのうちの消えたピークを選択し、入力部12を用いて光ファイバ95_1の識別番号#1を入力する。例えば、
図6に示すように、入力部12は、基準波形のピークと光ファイバ95_1の識別番号#1とを対応付ける。基準波形に、ピークを指し示す符号▼と識別番号#1が追加される。記録部14は、選択したピークと光ファイバ95_1の識別番号#1とを対応させて記録する。
【0029】
ステップS104では、光スプリッタ93に接続されている光ファイバ95_1〜95_Nの全てについて、ステップS102及びステップS103を行ったか確認する。例えば、全ての光ファイバ95_1〜95_Nを切断したことを現場の工事担当者が確認する。まだ切断していない光ファイバがあれば、その光ファイバについてもステップS102及びステップS103を行う。
【0030】
全ての光ファイバ95_1〜95_Nが切断されている場合、ステップS105に移行する。このとき光パルス試験装置10を用いて得られるOTDR波形は、
図7のようになる。また、記録部14に記録されている基準波形は、
図8のようになる。
【0031】
ステップS105では、現場の工事担当者が、光ファイバの識別番号を確認し、切断したONU側の光ファイバ95_1〜95_Nのうちの確認した識別番号の光ファイバを新たな光スプリッタ97と接続する。そして、現場の工事担当者が、接続した光ファイバの識別番号をOLT91側の工事担当者に通知する。
【0032】
ステップS106では、OLT91側の工事担当者が、光パルス試験装置10を用いてOTDR測定を行う。これにより、測定波形が得られる。測定波形は、接続表示手順で取得した波形であって、光ファイバを新たな光スプリッタ97に接続後の後方散乱光の波形である。このとき、表示部13には
図9のような波形が現れる。そして、測定波形と共に基準波形及び識別番号を表示する。
【0033】
ここで、光ファイバの接続によって現れたピークと接続した光ファイバの識別番号を対応させて記録してもよい。この場合、入力部12は、測定波形のピークと光ファイバの識別番号とを対応付ける。測定波形に、ピークを指し示す符号▼と識別番号が追加される。記録部14は、選択したピークと光ファイバの識別番号とを対応させて記録する。
【0034】
また、表示部13は、基準波形又は測定波形が時間軸方向に平行移動可能であってもよい。この場合、OLT91側の工事担当者が、基準波形を表示部13に表示させ、現れたピークと接続した光ファイバの識別番号が表示されているピークとが重なるように、基準波形を時間軸方向に平行移動させることができる。これにより、
図10に示すように、OTDR測定で測定した光ファイバのフレネル位置とレベルを切断前のものと確認することができる。支障移転では工事前後でONUの位置が変わるため、OTDR波形を工事前後で時間軸方向に移動させることができれば、工事良否をより正確に把握することができる。
【0035】
時間軸の移動は、例えば、光ファイバの識別番号の一致するピークが同一時間になるように、基準波形又は測定波形を移動させる。また、時間軸の移動は、基準波形におけるONUからのフレネル反射のピーク形状と測定波形におけるONUからのフレネル反射のピーク形状とが一致するように、基準波形又は測定波形を移動させる。
【0036】
ステップS107では、測定波形のピークのレベルが所望のレベルであるか否かを判定する。そして、ピークが低すぎると、光ファイバを光スプリッタ97に接続しなおす。ここで所望のレベルは、例えば、あらかじめ設定された一定値以上である。また、所望のレベルは、識別番号の一致する基準波形のピークの信号強度と測定波形のピークの信号強度との差があらかじめ設定された一定範囲内であってもよい。この場合、当該一定範囲は、光ファイバを延長した場合や短くした場合に合わせて可変であることが好ましい。
【0037】
ステップS108では、光ファイバ95_1〜95_Nの全てについて、ステップS105〜ステップS107を行ったか確認する。例えば、OLT91側の工事担当者が、光パルス試験装置10を用いてOTDR測定を行う。そして、
図10に示すように、基準波形で現れていたONU側の全てのフレネル反射によるピークが測定した波形に現れているか否かを確認する。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10:光パルス試験装置
11:測定部
12:入力部
13:表示部
14:記録部
15:接続完了判定部
91:OLT
92_1〜92_N:ONU
93、97:光スプリッタ
94_0〜94_N、95_1〜95_N:光ファイバ