(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649238
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】ガス吸排気弁を操作するための内燃機関のための弁駆動装置
(51)【国際特許分類】
F01L 13/00 20060101AFI20141211BHJP
F01L 1/04 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
F01L13/00 301U
F01L1/04 E
F01L1/04 Z
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-524111(P2012-524111)
(86)(22)【出願日】2010年8月3日
(65)【公表番号】特表2013-501873(P2013-501873A)
(43)【公表日】2013年1月17日
(86)【国際出願番号】DE2010000931
(87)【国際公開番号】WO2011018074
(87)【国際公開日】20110217
【審査請求日】2013年6月6日
(31)【優先権主張番号】102009037270.9
(32)【優先日】2009年8月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594006954
【氏名又は名称】イー・アー・フアウ・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・インゲニオールゲゼルシヤフト・アウト・ウント・フエルケール
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100157440
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルラー・アンドレーアス
(72)【発明者】
【氏名】アルノルト・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ノイキルヒナー・ハイコ
(72)【発明者】
【氏名】ヴツラー・イェルク
【審査官】
橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−280930(JP,A)
【文献】
特開2004−019631(JP,A)
【文献】
特開2005−042717(JP,A)
【文献】
特開2002−004823(JP,A)
【文献】
特表2006−520869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L1/00−1/46
9/00−9/04
13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス吸排気弁を操作するための内燃機関のための弁駆動装置であって、この弁駆動装置が、
少なくとも1つの、内燃機関のクランクシャフトによって駆動されるカムシャフトを有し、このカムシャフトの上に、1つの、または多数のカム支持体(7)が、このカムシャフトに対して軸線方向に位置移動可能に、しかしながら回転不能に設けられており、
これらカム支持体(7)が、同じ基礎円部分(10)および多数の異なるカムプロフィル(9a、9b、9c)を有し、
このカムシャフトが、カムシャフト管体(8)として形成されており、このカムシャフト管体内において、切替軸(1)が設けられており、
カム支持体(7)が、軸線方向の位置移動のために、連行体(3)を介して、この切替軸(1)と作用結合状態にある、
様式の上記弁駆動装置において、
カムシャフト管体(8)の内側に設けられた切替軸(1)が、このカムシャフト管体(8)と共に回転する切替軸(1)として形成されており、
この切替軸(1)が、カムシャフト管体(8)の上で回転不能に、しかしながら軸線方向に位置移動可能に設けられた位置移動部材(5)と結合されており、
この切替軸(1)の上の切替輪郭部(2)内において滑動する連行体(3)によっての、それぞれのカム支持体(7)の位置移動のために、
上記位置移動部材(5)が、カムシャフト管体(8)およびカム支持体(7)に対する切替軸(1)の相対的な回転の発生のためのアクチュエータ(6)と作用結合状態になることが可能である、
ことを特徴とする弁駆動装置。
【請求項2】
アクチュエータ(6)は、強固に、内燃機関のハウジングと結合されていることを特徴とする請求項1に記載の弁駆動装置。
【請求項3】
切替軸(1)の切替輪郭部(2)は、軸線方向の傾斜を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の弁駆動装置。
【請求項4】
それぞれに、カムシャフト管体(8)の上に位置移動可能に設けられたカム支持体(7)は、それぞれに、強固にこれらカム支持体(7)と結合された連行体(3)を介して、それぞれに、切替軸(1)の上に設けられた切替輪郭部(2)と作用結合状態にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の弁駆動装置。
【請求項5】
個別のカム支持体(7)の、順々に実施されるべき軸線方向の位置移動の場合、
それぞれのカム支持体(7)のために設けられた切替輪郭部(2)の、これら個別の軸線方向の傾斜は、
この切替軸(1)の周囲において、互いに位置ずれされて設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の弁駆動装置。
【請求項6】
個別のカム支持体(7)の、同時の軸線方向の位置移動の場合、
それぞれのカム支持体(7)のために設けられた切替輪郭部(2)の、これら個別の軸線方向の傾斜は、
この切替軸(1)の周囲において、互いに位置ずれされずに設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の弁駆動装置。
【請求項7】
切替軸(1)は、ねじ付きスピンドル(4)を介して、カムシャフト管体(8)の上に回転不能に、しかしながら、軸線方向に位置移動可能に設けられた位置移動部材(5)と結合されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の弁駆動装置。
【請求項8】
切替軸(1)と位置移動部材(5)との間の結合は、傾斜歯の噛み合わせとして形成されていることを特徴とする請求項7に記載の弁駆動装置。
【請求項9】
切替軸(1)は、カム伝動装置を介して、カムシャフト管体(8)の上に回転不能に、しかしながら、軸線方向に位置移動可能に設けられた位置移動部材(5)と結合されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の弁駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念内において記載された特徴を有する、ガス吸排気弁を操作するための内燃機関のための弁駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のガス吸排気弁を、可変に、異なる開放および閉鎖時点でもって、並びに異なる弁開放行程でもって作動することは公知である。この様式の弁制御装置は、特許文献1から公知である。
その際、カムシャフトの上に、回転不能に、しかしながら、軸線方向に位置移動可能に、2つの異なるカム輪郭を有するカム支持体が設けられている。このカム支持体の軸線方向の位置に相応して、1つのカム輪郭は、中間部材(伝達レバー)を介して、昇降弁と作用結合状態にある。弁パラメータの変化に対するこのカム支持体の軸線方向の位置移動は、押圧リングを用いて、基礎円位相の間じゅう、戻しばねの作用に抗して行われる。
【0003】
その際、このカム支持体の位置調節のために必要とされる高い構造空間必要量は、欠点である。これら解決策は、相応する構造部材を格納可能とするために、従って、比較的に大きなシリンダー間隔において単に使用可能なだけである。更なる欠点は、位置調節工程の際に生じる高い慣性力であり、これら慣性力がこのカム支持体または位置調節機構の位置移動のために必要とされる。1つの相応するカム輪郭の上への切り替えは、単にシリンダー選択的に行われるだけである。弁選択的な切り替えは可能ではない。
【0004】
特許文献2は、ガス吸排気弁を操作するために、カムシャフトの上のカム支持体の切り替えのための装置を記載しており、この装置の場合、このカム支持体が、軸線方向に位置移動可能に、このカムシャフトの上で案内されている。このカム支持体の位置に相応して、このガス吸排気弁は、異なるカム輪郭と作用結合状態にある。このカム支持体の位置調節は、位置調節要素を介して、スライディングブロックガイド軌道との協働作用において行われる。
この位置調節要素は、その際、半径方向に外方へと位置移動可能なピンであり、このピンが、少なくとも2つの、約180°だけこのカム支持体の周りに設けられた案内部材内に形成されたスライディングブロックガイド軌道と、繰り出された状態において協働作用する。
【0005】
この解決策の欠点は、この案内部材のための付加的な構造空間と並んで、
他方のカム輪郭への切り替えのために、このピンが、カムシャフトから繰り出されねばならず、且つ、軸線方向に位置移動可能な切り替えスライディングブロックガイド内へと軌道進入(eingespurt)されねばならないことにある。切り替え工程の後、このピンは、再び引き込まれねばならない。この構造は、極めて部品点数が多く且つ製造の手間暇がかかり、および、このピンの切替ミスによる、カムシャフトにおける損傷の危険がある。更なる欠点は、このピンの必要な位置調節時間によって、エンジン回転数が制限されることにある。更に、この位置調節は、その都度存在する油圧に依存する。
【0006】
更に、特許文献3から内燃機関の弁駆動装置は公知であり、この弁駆動装置の場合、カムシャフトの上に、回転不能に、少なくとも2つの異なるカム軌道を有する、1つの軸線方向に位置移動可能なカム支持体が設けられている。
このカム支持体の位置調節は、位置調節機構を介して行われ、この位置調節機構が、このカムシャフトの内部において案内されている。このカムシャフトの端面側に設けられた、往復動式の液圧的または空気圧的なピストンシリンダーユニットによって、シャフト形状に形成された位置調節機構は、カムシャフトの内部において、ばねの圧力に抗して位置移動される。この位置調節機構は、連行部片と結合されており、この連行部片が、軸線方向に、このカムシャフト内において設けられた長手孔を貫通し、且つカム支持体の穿孔内へと入り込んでいる。
【0007】
この解決策の欠点は、位置調節機構の軸線方向の位置移動によって、単に、このカムシャフトの上に設けられた、多数のカム支持体が同時に位置移動され得るだけであることにある。1つのカムシャフト上での個別のカム支持体の異なる切り替えは、可能ではない。更なる欠点は、その切り替え位置において外側のカムがガス吸排気弁と係合状態にある、1つの該切り替え位置において、このばね要素が恒常的に緊張されていることにある。このことによって、高い側方の摩擦力が、連行部片と位置調節機構に設けられた案内軌道との間で生じる。この結果は、増大された摩耗、およびこれと関連した、場合によっては生じる切替ミスである。
更に、切替ミスを、特に3つの異なるカムプロフィルにおける中間のカムプロフィルへの戻し切替の際に回避するために、作用するばね力が精確に調節されねばならないことは欠点である。
【0008】
出願人の特許文献4によって、既に、内燃機関のガス吸排気弁を操作するための弁駆動装置が提案されている。この弁駆動装置の場合、カムシャフト管体の上での弁昇降行程切り替えのためのカム支持体の位置移動は、このカムシャフト管体の内側内において設けられた、回転可能な切替軸によって行われる。
この切替軸は、切替輪郭部を備えており、この切替輪郭部が、軸線方向の傾斜を有している。この切替輪郭部内において、1つの切替球体が案内されており、この切替球体が、
この切替輪を囲繞する、軸線方向に位置移動可能な切替スリーブの穿孔内において収納されている。この切替スリーブは、1つの連行体を介して、このカム支持体と作用結合状態にある。この切替軸の回転により、この切替球体を介してこの切替スリーブが、および、連行体を介してカム支持体が、軸線方向に位置移動される。
【0009】
この切替軸とカムシャフト管体との間の、1つの切替スリーブの配設によって、
付加的に、克服されるべき摩擦力が生じる。更に、この切替スリーブの配設による解決策は、極めて部品点数が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第42 30 877 A1号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第100 54 623 A1号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許第195 20 117 C2号明細書
【特許文献4】ドイツ連邦共和国特許第10 2009 017 242号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の根底をなす課題は、内燃機関のガス吸排気弁を操作するための弁駆動装置を提供することであり、この弁駆動装置が、生じる摩擦力の同時の低下のもとで簡単にされた構造によって特徴付けられている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に従い、この課題は、請求項1の特徴によって解決される。
【発明の効果】
【0013】
ガス吸排気弁を操作するための弁駆動装置は、管体形状に形成されたカムシャフトから成り、このカムシャフトが、内燃機関のクランクシャフトによって駆動される。
このカムシャフトの上に、1つの、または多数の、回転不能な、しかしながら軸線方向に位置移動可能なカム支持体が設けられており、これらカム支持体が、それぞれに、多数の異なるカムプロフィルを備える1つの同じ基礎円部分を有している。これらカム支持体の位置移動により、これらカムプロフィルは、ガス吸排気弁と作用結合状態になることは可能である。
カムシャフト管体の上での弁昇降行程切り替えのためのカム支持体の位置移動は、本発明により、このカムシャフト管体の内側に設けられ且つこのカムシャフト管体と共に回転する切替軸によって行われ、この切替軸が、切替軸の上の切替輪郭部内において滑動する連行体を介して、カムシャフト管体の上で軸線方向に位置移動可能なカム支持体と作用結合状態にある。
この切替軸は、伝動装置を介して、カムシャフト管体(Nockenhuelse)の上で回転不能に、しかしながら軸線方向に位置移動可能に設けられた位置移動部材と結合されており、この位置移動部材が、この切替軸の操作のために、カムシャフト管体に対する切替軸の相対的な回転の発生のためのアクチュエータと作用結合状態になることが可能である。
【0014】
本発明に従う解決策の利点は、カムシャフトの異なるカムプロフィルの間の、確実な弁昇降行程切り替えのための、操作装置の簡単な構造にあり、この弁駆動装置において、同時に、個別の構造部材の間で生じる摩擦力が低下される。
【0015】
更なる有利な実施形態が従属請求項内において記載されており、これら実施形態は、明細書内において、これら実施形態の作用効果との関連において説明されている。
【0016】
本発明に従う解決策の断面図を示した1つの図に基づいて、次に、本発明を、実施例に沿って詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明に従う解決策の1つの変形の実施形の半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1内において、内燃機関の弁駆動装置の1つの部分領域が、断面図で図示されている。図示されていないガス吸排気弁を操作するための弁駆動装置は、内燃機関のクランクシャフトによって駆動されるカムシャフトから成り、このカムシャフトが、カムシャフト管体8として形成されている。このカムシャフト管体8の上に、回転不能に、しかしながら、軸線方向に位置移動可能に、多数のカム支持体7が設けられている。
多気筒の内燃機関のそれぞれのシリンダーには、1つの軸線方向に位置移動可能なカム支持体7が設けられており、このカム支持体でもって、実施例に相応して、1つのシリンダーのそれぞれに2つのガス吸排気弁が、このカム支持体7に設けられた両方のカムプロフィル9によって操作され得る。このカム支持体7は、同じ基礎円部分10のもとで、多数の、異なるカムプロフィル9a、9bおよび9cを有し、これらカムプロフィルが、弁昇降行程切り替えのために、選択的に、カム支持体7の位置移動によって、それぞれに直接的に、または、図示されていない中間部材を介して、それぞれのガス吸排気弁との接触状態にある。
図示された実施例内において、このカム支持体7は、3つの異なるカムプロフィル9、即ち大きなカムプロフィル9c、中間のカムプロフィル9b、および小さなカムプロフィル9aを有している。このカム支持体7が、単に2つだけの、または3つ以上の異なる大きさのカムプロフィル9を有することは、全く可能である。異なるカムプロフィル9a、9bおよび9cの間の位相ずれを得るために、これらカムプロフィル9a、9bおよび9cの曲線が、互いに位置ずれされて設けられていることは可能である。
【0019】
カムシャフト管体8の内側に、切替軸1が設けられており、この切替軸は、切替プロセスの間を除いて、カムシャフト管体8と、および、このカムシャフト管体の上に設けられている軸線方向に位置移動可能なカム支持体7と同期して共に回転する。このカム支持体7の軸線方向の位置移動のために、および従って、個別のカムプロフィル9a、9bおよび9cの間の切り替えのために、このカム支持体7は、少なくとも1つの連行体3を介して、この切替軸1と作用結合状態にある。
それぞれの切替工程を、このカム支持体7の軸線方向の位置移動によって実現するために、
このカムシャフト管体8内において、それぞれの連行体3のために、切欠き部16が設けられている。この切欠き部16の幅は、その際、少なくとも、このカム支持体7の、最大の軸線方向の位置移動に相応している。
【0020】
一方では、この連行体3は、強固にこのカム支持体7と結合されており、且つ、他方では、この連行体3が、滑動する状態で、切替軸1の表面に設けられた、周囲に延在する切替輪郭部2内において収納されている。
このカム支持体7との連行体3の強固な結合によって、および、カムシャフト管体8内の切欠き部16内における連行体3の側方の案内によって、回転不能な、しかしながら、軸線方向に位置移動可能な、カム支持体7の支承が、このカムシャフト管体8の上で行われる。同時に、この連行体3を介して、このカムシャフト管体8からカム支持体7への回転トルク伝達が行われる。
【0021】
それぞれのカム支持体7のために、切替軸1の表面に設けられた切替輪郭部2は、軸線方向の傾斜を有している。この軸線方向の傾斜によって、この切替軸1の表面上で、螺旋状に形成された切替輪郭部2が形成され、この切替輪郭部の、上記切替軸1の上でのそれぞれの始端が、個別のカム支持体7の行われ得る軸線方向の位置移動に相応して、同じに、または、周囲内において互いに位置ずれされて設けられている。
これら個別のカム支持体7の、順々に実施されるべき軸線方向の位置移動の場合、それぞれのカム支持体7のために設けられた切替輪郭部2の、これら個別の軸線方向の傾斜は、この切替軸1の周囲において、互いに位置ずれされて設けられている。
図1内において、この実施形態が図示されている。
これら個別のカム支持体7の、同時の軸線方向の位置移動の場合、それぞれのカム支持体7のために設けられた切替輪郭部2の、これら個別の軸線方向の傾斜は、この切替軸1の周囲において、同じ軸線方向の平面内において位置している。
【0022】
この切替軸1は、
図1に従い、ねじ付きスピンドル4を介して、カムシャフト管体8の上で回転不能に、しかしながら軸線方向に位置移動可能な位置移動部材5と、結合されている。このカムシャフト管体8と位置移動部材5との間の結合は、その際、互いの中へ係合している軸線方向有歯部13を介して行われる。この切替軸1のねじ付きスピンドル4は、傾斜歯有歯部(はすば歯車歯)として形成されており、且つ、相応して形成されている位置移動部材5の有歯部内へと係合している。
この位置移動部材5は、内燃機関のハウジングと強固に結合されたアクチュエータ6と作用結合状態にすることは可能である。このアクチュエータ6の制御に相応して、その際、このアクチュエータ6に設けられたピン11が、この位置移動部材5の周囲に設けられた輪郭部12内へと係合する。この位置移動部材5は、この図内において図示された二方向矢印に相応して、両方の方向に、軸線方向にカムシャフト管体8に対して位置移動可能である。
【0023】
図2内において、カムシャフト管体8の上で軸線方向に位置移動可能な位置移動部材5との、切替軸1の結合の1つの変形の実施形が図示されている。
この位置移動部材5との切替軸1の結合は、この場合、カム伝動装置を介して行われる。このカム伝動装置は、この切替軸1の周囲に設けられた切替輪郭部14から成り、この切替輪郭部内において、滑動する状態で切替球体15が収納されており、この切替球体が、他方また、位置移動部材5の内側周囲に設けられた半球体状の収容部内において収納されている。位置移動部材5の位置移動は、同様に、アクチュエータ6によって行われる。
【0024】
異なるカムプロフィル9a、9bおよび9cの間の切り替えを実現するための、可変の弁駆動装置の機能は、以下の通りである。
【0025】
ガス吸排気弁との、カム支持体7の例えば中間のカムプロフィル9bの係合の間じゅう、カムシャフト管体8、これらカム支持体7、切替軸1および位置移動部材5は、同期した回転数で回転する。アクチュエータ6は、この位置移動部材5との係合状態にない。他のカムプロフィルへの切り替えは、単に、基礎円部分10がガス吸排気弁もしくは中間部材との係合状態にある場合にだけ実施され得る。カムプロフィル9a、またはカムプロフィル9cへの、このガス吸排気弁に対するカムプロフィル9bの係合の切り替えのために、このアクチュエータ6は、適当な制御によって作動状態にされ、且つ、この位置移動部材5との係合状態にされる。
記載された実施例において、このことは、ピン11が、この位置移動部材5の方向に繰り出され、且つ、この位置移動部材5の周囲に設けられた輪郭部12内へと係止することによって行われる。この制御されたピン11に相応して、この位置移動部材5は、この輪郭部12内において滑動するピン11によって、右側または左側へと、行われるべき切替工程に従って、カムシャフト管体8の上で軸線方向に位置移動される。
図1に従うねじ付きスピンドル4を介して、または、
図2に従うカム伝動装置を介して、この位置移動部材5の軸線方向の移動は、切替軸1の回転へと変換される。このことによって、このカムシャフト管体8およびこれらカム支持体7に対するこの切替軸1の相対的な回転が得られる。この相対的な回転によって、連行体3の半球体状に形成された部分が、切替輪郭部2の軌道内において滑動する。実現された相対的な回転、および、それぞれのカム支持体7と連行体3を介して作用結合状態にある、個別の切替輪郭部2の構成に相応して、これらカム支持体7の軸線方向に位置移動が相対して行われ、且つ従って、個別のカムプロフィル9a、9bおよび9cの間の切り替えが行われる。
【0026】
位置移動部材5の位置移動は、例えば、同様に磁気的に、この位置移動部材5に対して作用するアクチュエータ6によっても行われ得る。
【0027】
本発明に従う解決策の利点は、弁駆動装置の簡単な、且つ小さく構成する構造にあり、この利点でもって、可変にエンジンのために適合される弁昇降行程切り替えが実現され得る。
【符号の説明】
【0028】
1 切替軸
2 切替輪郭部
3 連行体
4 ねじ付きスピンドル
5 位置移動部材
6 アクチュエータ
7 カム支持体
8 カムシャフト管体
9 カムプロフィル
9a 小さなカムプロフィル
9b 中間のカムプロフィル
9c 大きなカムプロフィル
10 基礎円部分
11 ピン
12 輪郭部
13 軸線方向有歯部
14 切替輪郭部
15 切替球体
16 切欠き部