(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649262
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】測定表示方法及び測定表示装置を備えた機械
(51)【国際特許分類】
G01B 5/008 20060101AFI20141211BHJP
G01B 5/02 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
G01B5/008
G01B5/02
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2006-295924(P2006-295924)
(22)【出願日】2006年10月31日
(65)【公開番号】特開2008-111770(P2008-111770A)
(43)【公開日】2008年5月15日
【審査請求日】2009年10月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000154990
【氏名又は名称】株式会社牧野フライス製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 康浩
(72)【発明者】
【氏名】南 理恵
(72)【発明者】
【氏名】門脇 裕司
【審査官】
梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−178462(JP,A)
【文献】
特開平10−197221(JP,A)
【文献】
特開2005−061965(JP,A)
【文献】
特開2003−214829(JP,A)
【文献】
特開2005−291833(JP,A)
【文献】
特開平11−132740(JP,A)
【文献】
特開2002−074347(JP,A)
【文献】
特開2003−315015(JP,A)
【文献】
特開平07−210584(JP,A)
【文献】
特開2002−098520(JP,A)
【文献】
特開2000−213928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00 − 5/30
G01B 11/00 − 11/30
G01B 21/00 − 21/32
G01D 7/00 − 7/12
G01D 18/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定ヘッドと被測定物とを相対的に移動させて被測定物の所望の位置座標又は寸法を測定して表示する測定表示方法において、
被測定物の位置座標又は寸法の測定種別毎に被測定物に対する測定ヘッドの複数の測定動作工程を表す複数のアプローチ方向をそれぞれ矢印で同時に表示し、
前記測定ヘッドの検出信号と前記相対移動する移動体の位置信号とから、1つの測定種別における1つの測定動作工程が終了する毎に当該1つの測定動作工程による位置座標又は寸法の測定結果を取得して表示し、
終了した測定動作工程の矢印の表示を、終了していない測定動作工程の矢印の表示と異なる表示に変え、
1つの測定種別における全測定動作工程を終了した後に、被測定物の所望の位置座標又は寸法を演算して表示する、
ことを特徴とした測定表示方法。
【請求項2】
測定ヘッドと被測定物とを相対的に移動させて被測定物の所望の位置座標又は寸法を測定して表示する測定表示装置を備えた機械において、
前記相対移動する移動体の現在位置を読取る位置読取り手段と、
被測定物の位置座標又は寸法の測定種別毎に被測定物に対する測定ヘッドの複数の測定動作工程を表す複数のアプローチ方向をそれぞれ矢印で同時に表示させる測定動作工程制御部と、
前記測定ヘッド及び前記位置読取り手段の信号に基づいて1つの測定種別における1つの測定動作工程が終了する毎に当該1つの測定動作工程による位置座標又は寸法の測定結果を取得し、終了した1つの測定動作工程の矢印の表示を、終了していない測定動作工程の矢印の表示と異なる表示に変える測定結果制御部と、
1つの測定種別における全測定動作工程を終了した後に、被測定物の所望の位置座標又は寸法を演算する演算部と、
前記測定動作工程制御部から送出される測定動作工程、前記測定結果制御部から送出される1つの測定動作工程が終了する毎の測定結果及び表示変更された測定動作工程、並びに前記演算部から送出される被測定物の所望の位置座標又は寸法を表示する表示部と、
を具備し、測定動作の経過を表示するようにしたことを特徴とする測定表示装置を備えた機械。
【請求項3】
前記測定結果制御部は、測定種別毎に、測定中か、全測定動作工程を終了した測定完了か又は測定異常かを判別する状態判別手段を有し、測定完了と判別した場合は前記演算部に被測定物の所望の位置座標又は寸法を演算させて前記表示部に図形又は数値で表示させ、測定異常と判別した場合は異常情報を前記表示部に表示させる請求項2に記載の測定表示装置を備えた機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークや工具など被測定物の位置座標又は寸法を測定して表示する測定表示方法及び測定表示装置を備えた、工作機械、ツールプリセッタ、三次元測定機等の機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械の主軸に測定ヘッドを装着して、穴の中心やコーナ部の2辺の交点等の位置座標を測定したり、ワークの穴の直径や溝幅等の寸法を測定することがある。また、テーブル上に測定ヘッドを取付け、主軸に装着した工具の長さや径を測定することがある。測定ヘッドを用いて、ツールプリセッタで工具長、工具径を測定したり、三次元測定機で被測定物の寸法を測定することもある。
【0003】
工作機械の主軸にタッチプローブ式の測定ヘッドを装着し、ワークの穴の中心位置を測定する場合を例にして、従来の測定作業を説明する。測定ヘッドの測定子を穴の内側で十文字に動かすに当って、まず第1測定点近傍に測定子を位置決めし、そこからX軸マイナス方向へアプローチ動作して測定子がワークに接触したときの第1測定点のX軸の座標位置を位置読取り手段で読取る。次にY軸方向には動かさないようにX軸だけをプラス方向へ移動して測定子を第2測定点近傍に位置決めし、そこからX軸プラス方向へアプローチ動作して、第2測定点のX軸の座標位置を読取る。次に第3測定点近傍に位置決めし、そこからY軸マイナス方向へアプローチ動作して、第3測定点のY軸の座標位置を読取る。次にX軸方向には動かさないようにY軸だけをプラス方向へ移動して測定子を第4測定点近傍に位置決めし、そこからY軸プラス方向へアプローチ動作して第4測定点のY軸座標位置を読取る。第1測定点と第2測定点のX軸方向の中点の位置及び第3測定点と第4測定点のY軸方向の中点の位置を演算して、ワークの穴の中心位置を求める。この測定作業をNC工作機械では、手動で行うこともできるし、測定プログラムを予め用意しておけば全自動で行うこともできる。送り軸を手動で動かすいわゆる汎用工作機械でもこの測定作業を行うことができる。
【0004】
特許文献1には、工作機械で加工されたワークの位置や寸法を工作機械上で測定し、測定結果を表示する工作機械のワーク計測装置が開示されている。特許文献2には、パーソナルコンピュータと工具プリセッタとを接続して、工具種類に対応したプリセット指示手順を表示手段に表示する工具段取り装置が開示されている。特許文献3には、その第1図に示すように、工具をタッチセンサに当接して計測する手順を文章で表示し、今から行うべき手順の先頭をカーソルが点滅して教える作業誘導画面を有する数値制御工作機械が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平2−65949号公報
【特許文献2】特許第2858751号公報
【特許文献3】特開昭61−249247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の従来の穴の中心位置測定では、次は、4点ある測定点のうち第何点を測定するのかを作業者が記憶し、判別しなければならず間違えることもあり、不便であった。また全自動で測定する場合に、測定途中でアラームが発生し中断すると、どの測定段階で停止したのか即座にはわからないことがあった。
【0007】
特許文献1の従来技術は、計測点座標や計測結果は数字で表示装置に表示されるが、どこを計測するかの図形によるガイダンス表示や、計測したかまだ計測していないかの経過表示はされない。特許文献2の従来技術は、被測定物の図形とともに測定結果が表示されるが、どこを計測するのかの図形によるガイダンス表示や計測をしたかまだ計測していないかの経過表示はやはりされない。特許文献3の従来技術は、計測する手順を文章で表示したり、次に行うべき手順をカーソルの点滅で教えることはあるが、どこを計測するかの図形によるガイダンス表示はないので、上述の不便は依然としてある。
【0008】
本発明の目的は、被測定物の位置座標や寸法を測定する際、測定種別毎に測定動作工程を図形又は数値で表示して、測定手順をわかり易く案内し、どの段階まで測定動作が進んでいるかの経過も表示できるようにする測定表示方法及び測定表示装置を備えた機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するために、本発明によれば、測定ヘッドと被測定物とを相対的に移動させて被測定物の所望の位置座標又は寸法を測定して表示する測定表示方法において、被測定物の位置座標又は寸法の測定種別毎に被測定物に対する測定ヘッドの
複数の測定動作工程を
表す複数のアプローチ方向をそれぞれ矢印で同時に表示し、前記測定ヘッドの検出信号と前記相対移動する移動体の位置信号とから、1つの測定種別における1つの測定動作工程が終了する毎に当該1つの測定動作工程による位置座標又は寸法の測定結果を取得して表示し、終了した測定動作工程の
矢印の表示を、終了していない測定動作工程の
矢印の表示と異なる表示に変え、1つの測定種別における全測定動作工程を終了した後に、被測定物の所望の位置座標又は寸法を演算する測定表示方法が提供される。
【0010】
被測定物に対する測定ヘッドの測定動作工程が図
形で表示され、しかも1つの測定種別における1つの測定動作が終了する度に、その測定動作工程の表示が変化する。作業者はこの表示を見て測定動作を遂行する。
【0011】
また、本発明によれば、測定ヘッドと被測定物とを相対的に移動させて被測定物の所望の位置座標又は寸法を測定して表示する測定表示装置を備えた機械において、前記相対移動する移動体の現在位置を読取る位置読取り手段と、被測定物の位置座標又は寸法の測定種別毎に被測定物に対する測定ヘッドの
複数の測定動作工程を
表す複数のアプローチ方向をそれぞれ矢印で同時に表示させる測定動作工程制御部と、前記測定ヘッド及び前記位置読取り手段の信号に基づいて1つの測定種別における1つの測定動作工程が終了する毎に当該1つの測定動作工程による位置座標又は寸法の測定結果を取得し、終了した1つの測定動作工程の
矢印の表示を、終了していない測定動作工程の
矢印の表示と異なる表示に変える測定結果制御部と、1つの測定種別における全測定動作工程を終了した後に、被測定物の所望の位置座標又は寸法を演算する演算部と、前記測定動作工程制御部から送出される測定動作工程、前記測定結果制御部から送出される1つの測定動作工程が終了する毎の測定結果及び表示変更された測定動作工程、並びに前記演算部から送出される被測定物の所望の位置座標又は寸法を表示する表示部と、を具備し、測定動作の経過を表示するようにした測定表示装置を備えた機械が提供される。
【0012】
表示部には被測定物に対する測定ヘッドの測定動作工程が図
形で表示され、測定結果制御部の働きにより、1つの測定種別における1つの測定動作工程が終了する度に、その測定動作工程の表示が変化する。また1つの測定動作工程毎の測定結果、及び1つの測定種別における被測定物の所望の位置座標又は寸法が表示される。
【0014】
また、本発明によれば、前記測定結果制御部は、測定種別毎に、測定中か、全測定動作工程を終了した測定完了か又は測定異常かを判別する状態判別手段を有し、測定完了と判別した場合は前記演算部に被測定物の所望の位置座標又は寸法を演算させて前記表示部に図形又は数値で表示させ、測定異常と判別した場合は異常情報を前記表示部に表示させる測定表示装置を備えた機械が提供される。測定結果制御部の働きによって、更に測定異常があった場合、表示部にはその異常情報が表示され、作業者に知らせる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被測定物に対する測定ヘッドの測定動作工程が表示部に図
形で表示されるので、作業者が手動により測定するときのガイダンスとなり、測定作業がし易くなる。また、1つの測定種別における1つの測定動作が終了する度にその測定動作工程の表示が変化するので、次にどの測定動作を行えば良いかがわかり、作業者の記憶に頼ることがなくなり、作業ミスが減り、作業能率が上る。自動測定の場合には、今どの測定段階が行われているかが表示により即座にわかり、アラームで停止したときの測定段階が表示装置の測定動作工程表示の変化具合いから即座にわかり、アラームの原因を突き止め易い。更に1つの測定動作の測定結果及び被測定物の所望の位置座標又は寸法が表示部に表示され、また、測定に際して異常と判別された場合にはその異常情報が表示される。測定動作工程を印、図形又は記号で表示するようにすれば、表示が簡潔であり、測定手順や経過状態が一目瞭然となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態を示す構成ブロック図である。マシニングセンタなどのNC工作機械1の主軸に装着した接触感知式の測定子を有する測定ヘッド3と、テーブル5に取付けた被測定物であるワーク7との間で相対送りを与え、測定子9がワーク7に接触したときの相対送りの現在位置を位置読取り手段11によって読取ることにより、ワーク7の所望箇所の位置座標や寸法を測定するものである。
【0017】
NC装置13のNCプログラム読取解釈部15で読取り解釈されたNCプログラムデータにより補間部17、サーボ部19を介してNC工作機械1の相対送り動作が制御される。NCプログラムには加工プログラムと測定プログラムがあり、測定ヘッド3によるワーク測定の場合は、測定動作工程制御部21の測定プログラム記憶手段25に予め記憶されている測定プログラムがNC装置13に送出され、NC工作機械1で測定動作が行われる。測定結果制御部31の測定結果取得手段35は、NC装置13を介して、測定ヘッド3の測定子9がワーク7に接触したときのスキップ信号とNC工作機械1の送り軸の位置読取り手段11が読み取った現在位置データとから、接触したときの機械座標を取得する。取得した機械座標データを表示部45に送出すると、測定結果表示手段51によって測定結果として測定子9とワーク7との接触時の機械座標が画面61に表示される。これが測定時の基本的な信号の流れである。
【0018】
手動によりワーク7の穴の中心位置を求める場合の手順を、表示部の画面を図示した
図2を参照して説明する。画面61の下部には測定種別表示手段47によって「穴測定」、「点測定」、「コーナ測定」、「工具長測定」、「工具径測定」等の測定種別ボタン63が表示されている。この画面61はタッチパネルでできており、ボタン表示や数値を指で押すと信号が出力される。「穴測定」ボタンを押すとその信号は測定動作工程制御部21の測定種別選択手段23へ送出され、穴測定用の測定プログラムが測定プログラム記憶手段25から選択される。選択された穴測定用の測定プログラムはNC装置13へ送出される。また、測定動作工程表示プログラム記憶手段27から穴測定用の測定動作工程が呼び出され、表示部45に送出される。測定動作工程表示手段49により画面61には穴測定に必要な操作ボタンや測定結果等を表示する領域が現れ、穴の中心位置を求めるので「内円」ボタン65を押すと、画面左方に、矢印が上下左右に4つ示された測定動作工程69が表示される。この矢印が測定ヘッド3の測定子9をワーク7に接触させる1つ1つの測定動作を表わしている。
【0019】
まず、NC工作機械1の手動パルス発生器又はジョグスイッチ(図示せず)による軸送りを用いて、測定子9を第1測定点71の近傍に位置決めする。次いで「−X」ボタン79を押すと測定子9は自動的に所定の送り速度でX軸に沿ってワーク7にアプローチし、第1測定点71に接触すると元の位置へ戻る。すると矢印87の色が黒から緑へ変わる。これは測定結果制御部31の測定動作解析手段33が動作を解析し、1つの測定動作が終了したと認識することにより表示変更手段39を介して行われる。矢印の色を変える代わりに矢印を消去したり、矢印を点滅表示に変えるなど、種々表示変更の方法が採り得る。更に、測定結果表示領域95には、その測定結果の位置座標が測定結果取得手段35及び測定結果表示手段51の働きで表示される。
【0020】
次に、Y軸方向に移動させないように測定子9をX軸方向左側へ手動パルス発生器を用いて移動し、第2測定点73の近傍に位置決めする。そして「+X」ボタン81を押して第2測定点73の位置座標を測定する。すると同様に矢印89の色が黒から緑へ変わる。この手動による動作の際、誤ってY軸方向に移動させた場合は、状態判別手段37が異常と判断して、アラーム表示領域97に「測定位置が違います」というメッセージがアラーム表示手段55の働きで表示される。次に第3測定点75の測定を「−Y」ボタン83を押して行い、矢印91の色が黒から緑へ変わる。
図2は丁度この測定段階を示している。
【0021】
作業者は、次に第4測定点77の測定動作を行うことを記憶していなくても、画面61の測定動作工程69の図形表示の色の変化状態を見ることにより、即座に次の測定動作は何かがわかる。同様に、第4測定点77の測定を「+Y」ボタン85を押して行い、その測定動作が終了したら、矢印77の色が黒から緑へ変わり、状態判別手段37は1つの測定種別の全測定動作工程が完了したと判断し、全測定結果データを演算部41へ送出する。すると演算部41は円中心位置を演算手段43を用いて演算し、演算結果が画面61の中心位置表示領域99に演算結果表示手段53の働きで表示される。その中心座標をワーク座標系の原点にする場合は、ワーク座標系表示領域101にワーク座標系の記号を入力し、「設定」ボタン103を押せばよい。
【0022】
ワーク7の円形ボスの中心位置を求める場合は、「外円」ボタン67を押すと、測定動作工程の図形は円の外側から中心に向かう4つの矢印に変わる。また、測定結果表示領域95のある行を押し、「選択データクリア」ボタン105を押すと、その測定結果に対応した矢印が緑から黒に変わると同時に測定結果が消去される。そして、その測定動作をやり直すことができる。「全データクリア」ボタン107を押して、測定動作をすべてやり直すこともできる。
【0023】
次に、手動によりワーク7のコーナの位置座標を求める場合の手順を、表示部の画面を図示した
図3を参照して説明する。画面61の下部の測定種別ボタン63のうち「コーナ測定」ボタンを押すと、測定動作工程制御部21の測定種別選択手段23は、コーナ測定用の測定プログラムを測定プログラム記憶手段25から選択してNC装置13に送出する。また測定動作工程表示プログラム記憶手段27からコーナ測定用の測定動作工程を呼び出して表示部45に送出することにより、画面61にはコーナ測定用の測定動作工程111が表示される。この場合の「−X」ボタン129、「−Y」ボタン131、「+X」ボタン133、「+Y」ボタン135の配置は、穴中心位置測定の場合と異なる。作業者は、左下コーナの位置座標を測定する場合、まず矢印113の位置近傍に測定子9を位置決めし、「−X」ボタン129を押す。すると測定子9はワーク7にアプローチし、接触すると元の位置へ戻り、画面61の矢印113の色は黒から緑に変わり、測定結果表示領域95には、接触したときの位置座標が表示される。
【0024】
同様に矢印115、117、119に従って各位置座標を測定する。状態判別手段37により4点の測定動作が終了したと判断されると、4点の測定結果データは演算部41へ送出され、演算手段43によりコーナの位置座標が演算され、演算結果が画面61のコーナ位置表示領域137に表示されるとともに、測定動作工程111の左下コーナに原点マーク139が表示される。このコーナ位置をワーク座標系の原点にする場合はワーク座標系表示領域101にワーク座標系の記号を入力し、「設定」ボタン103を押せばよい。矢印121、123に従って測定を継続すると右下コーナの位置座標が、更に、矢印125、127に従って測定を継続すると右上及び左上コーナの位置座標がそれぞれ求まる。
【0025】
ワークの2面間の幅寸法、段差寸法、中点を測定する場合は、測定種別ボタン63の「点測定」ボタンを押す。すると画面61には、対応する測定動作工程が矢印とともに表示され、その指示に従って測定を行う。また、図示はしないが、円の直径、コーナの角度、コーナ位置のX、Y、Z軸座標を求める等の測定も同様に行える。
【0026】
主軸に工具を装着し、テーブル5上に測定ヘッドを取付け、測定子を工具に対してZ軸方向やX、Y軸方向から接触させ、工具長や工具径を測定することもできる。その場合、測定種別ボタン63の「工具長」ボタンや「工具径」ボタンを用いる。測定動作工程は、工具の図形と測定子をアプローチさせる方向を示す矢印とで表わされ、前述と同様の手順で作業者は画面を見ながら測定が行える。
【0027】
本実施の形態では、測定動作工程の表示に矢印を用いたが、矢印に限らず、測定子先端の球を表わす小円を用いる等、種々の変形例が考えられる。また、「+X」、「−X」、「+Y」、「−Y」ボタンに代えて、測定動作工程の矢印、例えば矢印87や113を押すとその矢印方向のアプローチ動作が行える等の変形例も考えられる。また、接触感知式の測定ヘッドに代えて、変位測定式の測定ヘッドを用いてもよいし、非接触式の測定ヘッドを用いてもよい。
【0028】
本実施の形態では、NC工作機械について説明したが、本発明は手動で送り軸を動かす、いわゆる汎用工作機械にも適用できる。その場合、測定子をワークにアプローチして接触し、接触したら元の位置へ戻す測定動作もすべて手動により行う。また、本発明は、NC工作機械に装着する工具の長さや径が予め所定の値になるように工具を工具ホルダに取付け、設定するツールプリセッタにも適用できるし、被加工物の三次元的な寸法を測定する三次元測定機にも適用できる。そして、これらの機械において、手動による測定に限らず、全自動による測定過程においても本発明の測定表示装置があれば、今どの測定段階にあるのか、もしアラームで停止している場合に、どの測定段階で停止したのかが表示部に矢印等で図形表示され、作業者に測定状態を容易に知らせることができる。測定動作工程制御部、測定結果制御部、演算部、表示部は、NC装置内に設けられていてもよいし、機械制御装置内に設けられていてもよいし、別に設けたパーソナルコンピュータとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の測定表示装置を備えた機械の実施の形態を示す構成ブロック図である。
【
図2】穴の中心位置を測定する場合の表示部の画面を示す。
【
図3】コーナの位置座標を測定する場合の表示部の画面を示す。
【0030】
1 NC工作機械
3 測定ヘッド
7 ワーク
11 位置読取り手段
13 NC装置
21 測定動作工程制御部
31 測定結果制御部
41 演算部
45 表示部
61 画面
63 測定種別ボタン
69、111 測定動作工程