特許第5649266号(P5649266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5649266マウントするために半導体構造体を準備するプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649266
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】マウントするために半導体構造体を準備するプロセス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/38 20100101AFI20141211BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   H01L33/00 210
   H01L21/60 311S
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2007-279598(P2007-279598)
(22)【出願日】2007年9月28日
(65)【公開番号】特開2008-85356(P2008-85356A)
(43)【公開日】2008年4月10日
【審査請求日】2010年9月24日
(31)【優先権主張番号】11/536,118
(32)【優先日】2006年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500507009
【氏名又は名称】フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ディケイ サン
(72)【発明者】
【氏名】シャオリン サン
(72)【発明者】
【氏名】オーレグ ボリソヴィッチ シュチェキン
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−150298(JP,A)
【文献】 特開2004−363343(JP,A)
【文献】 特開2000−244012(JP,A)
【文献】 特表2008−521236(JP,A)
【文献】 特開2003−101075(JP,A)
【文献】 特開平10−012932(JP,A)
【文献】 特開昭57−045583(JP,A)
【文献】 特開2005−252219(JP,A)
【文献】 特開2004−172160(JP,A)
【文献】 特開2002−094128(JP,A)
【文献】 特開2004−006771(JP,A)
【文献】 特開2005−051225(JP,A)
【文献】 特開2003−031858(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0222735(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体にマウントするために半導体構造体を準備する方法であって、前記方法が、
支持材料が、前記半導体構造体内に形成された表面によって定められるボイドを実質的に充填するようにし、前記半導体構造体は、p型領域と、発光領域と、n型領域とを含み、前記ボイドは、前記p型領域及び前記発光領域を通って前記n型領域内に延びるビアを含み、前記ビアは、前記n型領域への電気的接続を提供するためのものであり、
前記支持体にマウントされたとき前記半導体構造体を支持するように、前記支持材料を十分に固化させる、ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記支持材料が前記ボイドを実質的に充填するようにするステップは、固化されたときに、前記半導体構造体の作動温度より高いガラス転移温度を有する支持材料に、該ボイドを実質的に充填するようにするステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支持材料が前記ボイドを実質的に充填するようにするステップは、固化されたときに、少なくとも摂氏195度のガラス転移温度を有する支持材料が、該ボイドを実質的に充填するようにするステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記支持材料が前記ボイドを実質的に充填するようにするステップは、支持材料が、該ボイドを少なくとも部分的に過剰充填するようにするステップと、前記半導体構造体を平坦化し、該支持材料の外面が該半導体構造体の外面と実質的に同一平面になるようにするステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記平坦化するステップは、
前記半導体構造体の前記外面及び前記支持材料の前記外面をラッピングし、
前記半導体構造体の前記外面及び前記支持材料の前記外面を研磨し、
前記半導体構造体の前記外面及び前記支持材料の前記外面をプラズマ・エッチングする、
ステップのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記支持材料が前記ボイドを実質的に充填するようにするステップは、該支持材料が、半導体ウェハ上に配置された複数の半導体構造体内のボイドを実質的に充填するようにするステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記支持材料が前記ボイドを実質的に充填するようにするステップは、
前記支持材料が、前記半導体構造体の部分を電気的に絶縁し、前記半導体構造体への電気的接続を助けるように作動可能な、該半導体構造体内に形成された絶縁トレンチを実質的に充填するようにする、
ステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記支持材料が前記ボイドを実質的に充填するようにするステップは、前記半導体構造体上に前記支持材料をスピン・コートするステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記支持材料を硬化させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記硬化させるステップは、
前記支持材料中の溶媒を蒸発させ、該支持材料を少なくとも部分的に固化させ、
前記支持材料を少なくとも部分的に固化させるのに十分な温度まで、前記半導体構造体を加熱する、
ステップのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記支持材料が前記ボイドを実質的に充填するようにするステップは、不動態化層としてさらに機能する支持材料が、該ボイドを実質的に充填するようにするステップを含み、前記不動態化層は、次の処理の際に、前記半導体構造体の汚染を防止するように作動可能であること特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記半導体構造体は、第1の波長の光を放出するように構成され、前記支持材料が前記ボイドを実質的に充填するようにするステップは、前記第1の波長の光に曝すことによる劣化に対して耐性がある支持材料が、該ボイドを実質的に充填するようにするステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記支持材料が前記ボイドを実質的に充填するようにするステップは、
ポリイミド材料と、
ベンゾシクロブテン材料と、
ポリイミド及びエポキシを含む材料と、
ポリイミド及びシリコンを含む材料と、
のうちの1つを含む支持材料が、該ボイドを実質的に充填するようにするステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
半導体構造体をマウントする方法であって、
請求項1に記載の前記方法と、
前記半導体構造体を前記支持体にマウントし、前記固化された支持材料が該支持体の一部の上に載り、該支持材料が、該半導体構造体をさらに支持するのを可能にするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記半導体構造体は、該半導体構造体が形成される基板を備え、該半導体構造体を前記支持体にマウントした後、前記基板を除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記半導体構造体は、前記基板に対して該半導体構造体の反対側に配置されたマウント面を備え、前記マウントするステップは、複数の離間配置された金属接合部材を、前記マウント面と前記支持体との間に導入するステップを含み、前記金属接合部材は、該半導体構造体を該支持体に接合するように作動可能であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記支持材料が前記ボイドを実質的に充填するようにするステップは、固化されたとき、前記金属接合部材の熱膨張係数に十分に類似した熱膨張係数を有する支持材料が、前記ボイドを実質的に充填するようにし、前記半導体構造体の温度が変わるとき、該半導体構造体内の熱誘起応力を最小にするステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の金属接合部材を導入するステップは、前記マウント面上に前記接合部材を形成するステップを含み、前記支持材料が前記ボイドを実質的に充填するようにするステップは、前記支持材料が、該金属接合部材間のスペースを実質的に充填するようにするステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の金属接合部材を導入するステップは、前記支持体上に前記接合部材を形成し、
支持材料が、前記金属接合部材間のスペースを実質的に充填するようにし、
前記支持体にマウントされるとき、前記半導体構造体を支持するために、前記支持材料を十分に固化させる、
ステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の金属接合部材を形成するステップは、金を含む複数の接合部材を形成するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
第1導電型の半導体材料、第2導電型の半導体材料、前記第1導電型の半導体材料と前記第2導電型の半導体材料との間に配置された発光領域を含む半導体構造体であって
前記半導体構造体内に形成された表面によって定められる、該半導体構造体内の少なくとも1つのボイドを備え、前記ボイドは、前記第1導電型の半導体材料及び前記発光領域を通って前記第2導電型の半導体材料内に延びるビアを含み、前記ビアは、前記第2導電型の半導体材料への電気的接続を提供するためのものであり、
支持体にマウントされたとき前記半導体構造体を支持するために、前記半導体構造体が前記支持体にマウントされる前に十分に固化され、かつ、半導体発光装置の作動温度より高いガラス転移温度を有する、前記ボイド内の支持材料を更に備えることを特徴とする半導体発光構造体。
【請求項22】
請求項21に記載の前記半導体構造体と、支持体とを備え、前記半導体構造体は、前記固化された支持材料が前記支持体の一部の上に載り、該固化された支持材料が、該半導体構造体をさらに支持することを可能にするように、該支持体にマウントされることを特徴とする半導体発光装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体デバイスに関し、より具体的には、マウントするために半導体発光構造体を処理することに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)などの半導体発光デバイスは、効率的な光源を提供するものであり、白熱電球及び蛍光灯よりも丈夫である。LED技術及び処理の進歩は、こうしたデバイスを、例えば、商業用及び住宅用の照明用途における従来の照明源の代替品として使用することを容易にした。
【0003】
半導体構造体をマウントするとき、アンダーフィル材料を用いて半導体構造体と支持体との間の隙間を下部充填することは、一般的な方法である。アンダーフィル材料は、内部結合又は凝集結合が弱く、そのため、他の表面、特に高い表面エネルギーを有する表面を湿らせる傾向が強い、エポキシのような材料とすることができる。半導体マウント面に用いられる多くの材料は、アンダーフィル材料と比べて高い表面エネルギーを有し、この高い表面エネルギーにより、アンダーフィルが、毛細管引力を用いて隙間の中に吸い上げられる。次に、アンダーフィル材料が硬化し、よって、デバイスの構造的完全性を強化することが可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、構造体がトレンチ又はビアである場合、キャピラリ・アンダーフィル法を用いて、ボイドを有する半導体構造体を下部充填しようと試みる際に問題が生じることがある。多くのアンダーフィル材料は、ボイドの中に吸い上げられるのに十分な低い粘度を有しておらず、そのため、内部に幾らかの充填されていない隙間が残る。こうした材料はまた、デバイスの側壁のような、意図されたものでない領域内を充填する傾向も有する。幾つかの例においては、例えば、基板の除去のような更なる処理を容易にするために、デバイスの側壁からアンダーフィル・フィレットを除去しなければならないこともある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、支持体にマウントするために半導体構造体を準備する方法が提供される。この方法は、支持材料110が、半導体構造体30内に形成された表面によって定められるボイド50を実質的に充填するようにし、支持体70にマウントされるとき、半導体構造体30を支持するために、支持材料110を十分に固化させるステップを含む。
支持材料がボイドを実質的に充填するようにするステップは、固化されたとき、半導体構造体の作動温度より高いガラス転移温度を有する支持材料が、ボイドを実質的に充填するようにするステップを含むことができる。
【0006】
支持材料がボイドを実質的に充填するようにするステップは、固化されたとき、少なくとも摂氏195度のガラス転移温度を有する支持材料が、ボイドを実質的に充填するようにするステップを含むことができる。
支持材料がボイドを実質的に充填するようにするステップは、支持材料が少なくとも部分的にボイドに過剰充填するようにするステップと、さらに、半導体構造体を平坦化し、支持材料の外面が半導体構造体の外面と実質的に同一平面になるようにするステップとを含むことができる。
【0007】
平坦化するステップは、半導体構造体の外面及び支持材料をラッピングするステップ、半導体構造体の外面及び支持材料を研磨するステップ、及び半導体構造体の外面及び支持材料をプラズマ・エッチングするステップのうちの少なくとも1つを含むことができる。
支持材料がボイドを実質的に充填するようにするステップは、支持材料が、半導体ウェハ上に配置された複数の半導体構造体内のボイドを実質的に充填するようにするステップを含むことができる。
【0008】
支持材料がボイドを実質的に充填するようにするステップは、支持材料が、半導体構造体の領域への電気的接続を助ける、該半導体構造体の領域間に形成されたビアを実質的に充填するようにするステップ、及び、支持材料が、半導体構造体の部分を電気的に絶縁し、これへの電気的接続を助けるように作動可能な、該半導体構造体内に形成された絶縁トレンチを実質的に充填するようにするステップのうちの少なくとも1つを含むことができる。
支持材料がボイドを実質的に充填するようにするステップは、半導体構造体上に支持材料をスピン・コートするステップを含むことができる。
【0009】
この方法は、支持材料を硬化させるステップを含むことができる。
硬化させるステップは、支持材料中の溶媒を蒸発させ、よって、支持材料を少なくとも部分的に固化させるステップ、及び、支持材料を少なくとも部分的に固化させるのに十分な温度まで、半導体構造体を加熱するステップのうちの少なくとも1つを含むことができる。
支持材料がボイドを実質的に充填するようにするステップは、不動態化層としてさらに機能する支持材料が、ボイドを実質的に充填するようにするステップを含むことができ、不動態化層は、次の処理の際に、半導体構造体の汚染を防止するように作動可能である。
【0010】
半導体構造体は、第1の波長の光を放出するように構成され、支持材料がボイドを実質的に充填するようにするステップは、第1の波長の光に曝すことによる劣化に対して耐性がある支持材料が、ボイドを実質的に充填するようにするステップを含むことができる。
支持材料がボイドを実質的に充填するようにするステップは、ポリイミド材料、ベンゾシクロブテン材料、ポリイミド及びエポキシを含む材料、並びにポリイミド及びシリコンを含む材料のうちの1つを含む支持材料が、ボイドを実質的に充填するようにするステップを含むことができる。
【0011】
本発明の別の態様によれば、上述のプロセスと、さらに、半導体構造体を支持体にマウントし、固化された支持材料が支持体の一部の上に載り、支持材料が、半導体構造体をさらに支持するのを可能にするステップとを含む方法が提供される。
半導体構造体は、該半導体構造体が形成される基板を含むことができ、この方法は、半導体構造体を支持体にマウントした後、基板を除去するステップをさらに含むことができる。
【0012】
半導体構造体は、基板に対して半導体構造体の反対側に配置されたマウント面を含むことができ、マウントするステップは、複数の離間配置された金属接合部材を、マウント面と支持体との間に導入するステップを含むことができ、金属接合部材は、半導体構造体を支持体に接合するように作動可能である。
支持材料がボイドを実質的に充填するようにするステップは、固化されたとき、金属接合部材の熱膨張係数に十分に類似した熱膨張係数を有する支持材料が、ボイドを実質的に充填するようにし、半導体構造体の温度が変わるとき、該半導体構造体30内の熱誘起応力を最小にする。
【0013】
複数の金属接合部材を導入するステップは、マウント面上に接合部材を形成するステップを含むことができ、支持材料がボイドを実質的に充填するようにするステップは、支持材料が、金属接合部材の間のスペースを実質的に充填するようにするステップをさらに含むことができる。
複数の金属接合部材を導入するステップは、支持体上に接合部材を形成するステップを含むことができ、この方法は、支持材料が、金属接合部材の間のスペースを実質的に充填するようにし、支持体にマウントされるとき、半導体構造体を支持するために、支持材料を十分に固化させるステップをさらに含むことができる。
複数の金属接合部材を形成するステップは、金を含む複数の接合部材を形成するステップを含むことができる。
【0014】
本発明の別の態様によれば、半導体発光構造体が提供される。この構造体は、第1導電型の半導体材料と、第2導電型の半導体材料と、第1導電型の半導体材料と第2導電型の半導体材料との間に配置された発光領域とを含む。この構造体は、半導体構造体内に形成された表面によって定められる、半導体構造体内の少なくとも1つのボイドと、支持体にマウントされたときに半導体構造体を支持するように十分に固化され、かつ、半導体発光装置の作動温度より高いガラス転写温度を有する、ボイド内の支持材料とをさらに含む。
【0015】
本発明の別の態様によれば、上述の半導体構造体と、支持体とを含む半導体発光装置が提供され、この半導体構造体は、固化された支持材料が支持体の一部の上に載り、固化された支持材料が、半導体構造体をさらに支持することを可能にするように、支持体にマウントされる。
本発明の他の態様及び特徴は、添付の図面と関連して、本発明の特定の実施形態の以下の説明を検討するとき、当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施形態によるプロセスによってマウントするために準備された半導体発光構造体が、全体を30で示される。半導体構造体30は、図1では平面図で、図2では断面図で示される。
図2を参照すると、半導体構造体30は、エピタキシャル構造体32を含む。エピタキシャル構造体32は、基板34上に成長されたn型領域36を含む。エピタキシャル構造体32は、n型領域36上に成長された発光領域38と、発光領域38上に成長されたp型領域40とをさらに含む。一般に、n型領域36、p型領域40、及び発光領域38は、それぞれ異なる組成及び異なるドーパント濃度をもつ複数の層を含むことができる。処理後に基板34を除去することが望ましい1つの実施形態においては、n型領域36は、エピタキシャル構造体32から基板を剥離するのを容易にするために、n型領域と基板との間に配置された剥離層(図示せず)を含むことができる。
【0017】
エピタキシャル構造体32は、p型領域40上に堆積された複数の接続層42をさらに含む。接続層42は、n型領域36とp型領域40に電気的接続を提供するように作動可能である。接続層42は、通常、p型領域40と電気的に接触している、高反射金属を含むp金属層44を含む。接続層42は、p金属層44の上に堆積された随意的な保護金属層46をさらに含む。保護金属層46は、例えば、p金属層44が銀を含むときに用いることができ、その場合、銀がエピタキシャル構造体32の他の部分にマイグレートするのを防止するために保護金属層が含まれる。保護金属層46は、p金属層44と電気的に接触している。
接続層42は、保護金属層46の上に堆積され、かつ、これと電気的に接続している1つ又はそれ以上のp電極金属層48をさらに含む。
【0018】
エピタキシャル構造体32は、1つ又はそれ以上のボイド50をさらに含む。ボイド50は、例えば、n型領域36に電気的接続を提供するための1つ又はそれ以上のビア53を含むことができる。示される実施形態において、ビア53は、p型領域40、発光領域38を通ってn型領域36内に延びる。ビア53は、側壁面54及び底壁面58によって定められる。
エピタキシャル構造体32はまた、保護金属層46及びビア53の側壁面54の上に堆積された誘電体層52も含む。エピタキシャル構造体32はまた、誘電体層52及びビア53の底壁面58の上に堆積されたn電極金属層56も含む。ビア53の底壁面58のn電極層56は、n型領域36と電気的に接続しており、n方領域36に電気的接続を提供する。誘電体層52は、n電極56をp電極48、保護金属層46、及びp型領域40から電気的に絶縁する。
【0019】
ボイド50は、p電極48をn電極56から電気的に絶縁するように作動可能なトレンチ51をさらに含むことができる。図1を参照すると、トレンチ51は、4つのビア53をさらに含む半導体構造体30を横断して延びる。ボイド50(トレンチ51及びビア53を含む)は、半導体構造体30を脆弱にし、マウント及び/又は作動の際に、構造体が損傷を受けやすくなる。
【0020】
図3を参照すると、支持材料110が、ボイド50を実質的に充填する。マウント及び/又は作動の際に半導体構造体30を支持するために、支持材料110は十分に固化される。一実施形態において、支持材料110は、半導体発光構造体30の作動温度より高いガラス転移温度を有するので、光を生成するように作動するとき、支持材料は、半導体構造体を支持するために、十分に剛性のままである。
【0021】
図4を参照すると、半導体構造体30(図3に示される)をマウントするための支持体の第1の実施形態が、全体を70で示される。支持体70は、窒化アルミニウム・セラミック又はアルミナ・セラミック材料とすることができる実質的に剛性の基部72を含む。支持体70は、基部72上に堆積された複数の電気的コンタクト領域74をさらに含む。この実施形態において、複数の離間配置された金属接合部材76が、電気的コンタクト領域74上に堆積される。電気コンタクト領域74及び金属接合部材76は、例えば、金、又は金/チタン合金を含むことができる。
図4に示される実施形態において、金属接合部材76間のスペース78が、支持材料80で充填される。支持材料80は、金属接合部材76の外面82に対して、量d1だけわずかに凹ませられる。支持材料80を、支持材料を圧縮することなく、又は支持材料をスペース78の外に流出させることなく、マウント中に金属接合部材76を幾らか変形させることが可能になる。
【0022】
図5を参照すると、半導体構造体30が、支持体70にマウントされた状態で示される。n電極56及びp電極48は、半導体構造体30を支持体70にマウントするためのマウント面として機能する。図5に示される実施形態は、半導体構造体30が支持体70の上に反転され、支持体70に向けてエピタキシャル構造体32と共にマウントされるので、通常、「フリップ・チップ実装」と呼ばれる(フリップ・チップ実装において、金属接合部材76は、通常、バンプ又はスタッド・バンプと呼ばれる)。図5に示されるようにマウントされたとき、支持材料110及び80は、半導体構造体30を支持するために十分に固化される。支持材料80はまた、支持体70の一部の上に載り、支持材料が半導体構造体30をさらに支持することを可能にする。
【0023】
電気的コンタクト領域74は、構造体に励起信号を与えるために、p電極48及びn電極56への電気的接続を助ける。順方向バイアス電圧がかけられると(すなわち、p電極48が、n電極56より正になると)、順方向バイアス電流が、p型領域40、発光領域38、及びn型領域36を通って流れ、発光領域内に光子が生成される。光子は、全ての方向に入射し、反射性p金属層44上に入射する光子は、p型領域40、発光領域38、及びn型領域36を通って後方反射され、基板34を通って放出される。
【0024】
幾つかの実施形態において、基板34は、エピタキシャル構造体32の屈折率と緊密には合致しない屈折率を有することがあり、その場合、基板34を通る光結合が損なわれることがある。この場合、半導体構造体30を支持体70にマウントした後、基板34を除去することが望ましい。引き続き基板34が半導体構造体30から除去される実施形態においては、p金属層44から反射される光子及びn型領域36上に直接入射する他の光子は、n型領域を通過し、そこから光として放出される。
【0025】
図6を参照すると、本発明の代替的な実施形態による半導体構造体が、全体を90で示される。半導体構造体90は、図3に示される半導体構造体30を含み、n電極56及びp電極48上に堆積された複数の金属接合部材92をさらに含む。n電極56及びp電極48は、金属接合部材92のためのマウント面として機能する。示される実施形態においては、支持材料96が、ボイド50と、金属接合部材92間のスペース94とを充填する。支持材料96は、金属接合部材92の外面98に対して量d2だけ凹ませられている。支持材料96を凹ませることにより、半導体構造体90をマウントするときに、金属接合部材92を幾らか変形させることが可能になる。
【0026】
図7を参照すると、半導体構造体90(図6に示される)をマウントするための支持体が、全体を100で示される。支持体100は、基部102と、半導体構造体90をマウントするためのマウント面として機能する複数の導電性領域104とを含む。半導体構造体90は、支持体100の上に反転され、支持体100にマウントされ、図5に示されるものと類似した半導体発光デバイスを提供する。
一実施形態において、選択された支持材料(110、80、又は96)は、構造体が半導体発光装置として作動するとき、半導体構造体の作動温度を上回るガラス転移温度を有する材料である。材料のガラス転移温度は、これを下回る温度では、材料の分子が相対的にほとんど移動度を有さない温度であり、よって、材料は、そのガラス転移温度を下回る温度では、実質的に剛性状態にある。例えば、185℃の領域において標準的な接合作動温度を有する半導体発光装置においては、適切な支持材料は、195℃又はそれより高いガラス転移温度を有することができる。
【0027】
金属接合部材76又は92の熱膨張係数と十分に類似した熱膨張係数を有する支持材料を選択することも望ましい。半導体接合部の温度が変化するときに、熱膨張係数の近似照合により、熱誘起応力が低減され、そのため、例えば破損による、半導体発光装置の突発的な故障潜在的に回避される。
幾つかの実施形態において、選択された支持材料はまた、不動態化層としても機能し、後の処理段階の際に、半導体構造体の汚染を防止することができる。例えば、不動態化層は、光電式化学エッチング・プロセスの際に用いられる化学物質から半導体構造体を保護するように作動することができる。
【0028】
さらに、支持材料を選択するとき、半導体発光装置において生成された光の波長に曝されることによる劣化に対して耐性がある材料を選択することが望ましい。例えば、幾つかの材料は、特に、紫外線光で劣化しやすく、半導体発光デバイスの波長が紫外線範囲にある場合、紫外線用途に用いるのに適した支持材料を選択することができる。
好適な支持材料の例は、通常、300℃より高いガラス転移温度を有し、かつ、高温でエポキシ及び/又はシリコンのアンダーフィルより安定したポリイミド材料を含む。他の最適な材料の例は、ベンゾシクロブテン材料を含むことができる。支持材料はまた、ポリイミド及びエポキシ、又はポリイミド及びシリコンを含むハイブリッド材料を含むことができる。
【0029】
本発明の一態様に従ってマウントするための半導体構造体を準備するプロセスが、図2図8及び図9を参照して説明される。図2を参照すると、半導体構造体30は、一般に、基板34上でのエピタキシャル構造体32のエピタキシャル成長によって製造される。半導体構造体30は、ボイド50を定める表面(例えば、ビア53の側壁面54及び底壁面58)を形成した後、図2に示される。図2に示される半導体構造体30は、処理の際、構造体に支持を提供し、かつ、破損等を防止するのを助ける基板34によって、少なくとも最初に支持される。
【0030】
図8を参照すると、次いで、支持材料110が、半導体構造体30の上に堆積される。示される実施形態において、支持材料110は、ボイド50を過剰に充填し、エピタキシャル構造体32の上面112の少なくとも一部を覆う。支持材料110は、複数の半導体構造体30を含むウェハ(図示せず)をスピン・コートすることによって堆積することができる。スピンコートするステップは、十分な量より多い流体支持材料110を堆積させ、次に、ウェハをスピンさせて、流体に、ウェハの上に薄いコーティングを形成させるステップを含む。スピンは、例えば、コーティングが、溶媒の蒸発によって十分に硬化するまで続く。次いで、オーブン内でウェハをベークし、温度を支持材料の硬化温度より高くし、半導体構造体30を支持するために支持材料を十分に固化させることによって、支持材料110を更に硬化させることができる。
【0031】
図9を参照すると、示される実施形態において、プロセスは、ウェハの平坦化に続く。平坦化は、ウェハをラッピングし、過剰な支持材料110を研磨により除去するなどの機械的プロセス段階を含むことができる。一実施形態において、ラッピングは、n電極層56及びp電極48の一部を除去し、実質的に平坦なマウント面を提供することができる。
ラッピング・プロセスは、一般に、ラッピングされた表面を粗くし、一実施形態においては、さらに、ラッピングに続いて、研磨プロセスを行い、ラッピングによる何らかの表面の粗さを除去し、さらに、マウント・プロセスのためのマウント面を調整することができる。
【0032】
代替的に又は付加的に、ラッピング及び/又は研磨に続いて、エッチング・プロセスを行い、上面112の一部を除去することができ、これにより、マウントのための清浄な表面が露出される。エッチング・プロセスは、プラズマ・エッチング・プロセスとすることができる。一般に、プラズマ・エッチング・プロセスは、機械的プロセスと組み合わせて行われ、マウントを容易にするのに十分な程度までウェハを平坦化する。機械的プロセス段階は、半導体構造体30をマウントするとき、プラズマ・エッチング単独のものより優れた改善された接合部の信頼性をもたらす。
【0033】
図9の結果として得られる平坦化された半導体構造体30は、更なる処理の準備ができた状態で示される。こうした更なる処理は、例えば、図4に示されるもののような支持体へのマウントを含むことができ、基板除去プロセスを含むこともできる。基板の除去は、例えば、解離レーザによって行うことができ、2005年6月9日に出願された「Method of Removing the Growth Substrate of a Semiconductor Light Emitting Device」という名称の、同一出願人による米国特許出願第11/149,679号により詳細に記載されており、この特許は、引用によりここに組み入れられる。
有利なことに、図9に示される半導体構造体30は、支持材料110によって支持され、エピタキシャル構造体を損傷する実質的なリスクなしに、マウント後、基板34からエピタキシャル構造体32を分離することができる。
【0034】
再び図4を参照すると、支持材料80を支持体の上にスピン・コートし、次いで、支持材料を固化させることによって、支持体70を構造体30と類似した方法で処理することができる。一実施形態において、半導体構造体30は、サーモソニック・ボンディング・プロセスを用いて、支持体70に接合される。サーモソニック・ボンディングは、加熱される間、構造体30及び支持体70に超音波震動を与え、よって、改善された接合をもたらすことを含む。マウント中、金属接合部材76は、接合力を受けてわずかに変形することがある。従って、この実施形態において、支持材料が金属接合部材76の外面82より下方にわずかに凹ませられるように、支持材料80をスピン・コートすることができる。
【0035】
図6を参照すると、示される代替的な実施形態において、金属接合部材92の外面98より下方に支持材料を凹ませることを含む、支持体70に関して説明されたものと非常に類似した方法で、支持材料96を適用することができる。
再び図2を参照すると、他の実施形態においては、n型領域36及びp型領域40の位置を逆にし、p型領域が基板34上にエピタキシャル成長されるようにすることができる。一般に、半導体発光構造体は、第1導電型の半導体材料領域と、第2導電型の半導体材料領域とを含み、第1導電型領域は、一般に、n型半導体材料又はp型半導体材料の一方を含み、第2導電型領域は、n型半導体材料又はp型半導体材料の他方を含む。
【0036】
本発明の特定の実施形態が説明され、示されたが、このような実施形態は、本発明を制限するものではなく、単に本発明の例証にすぎず、添付の特許請求の範囲に従って解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の第1の実施形態による半導体構造体の概略的な平面図である。
図2】線2−2に沿って取られた、図1に示される半導体構造体の概略的な断面図である。
図3図2に示される半導体構造体の更に別の概略的な断面図である。
図4図3に示される半導体発光装置をマウントするための支持体の概略的な断面図である。
図5図4に示される支持体にマウントされた、図3に示される半導体構造体を含む半導体発光装置の概略的な断面図である。
図6】本発明の代替的な実施形態による半導体構造体の概略的な断面図である。
図7図6に示される半導体構造体をマウントするための支持体の概略的な断面図である。
図8】本発明の実施形態による半導体構造体の処理を示す概略的な断面図である。
図9】本発明の実施形態による半導体構造体の処理を示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
【0038】
30、90:半導体構造体
32:エピタキシャル構造体
34:基板
36:n型領域
38:発光領域
40:p型領域
42:接続層
44:p金属層
46:保護金属層
48:p電極
50:ボイド
51:トレンチ
52:誘電体層
53:ビア
54:側壁面
56:n電極
58:底壁面
70、100:支持体
72、102:基部
74:電気コンタクト領域
76、92:金属接合部材
78、94:スペース
80、96、110:支持材料
104:導電性領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9