特許第5649282号(P5649282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5649282光学観察装置のためのアタッチメント装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649282
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】光学観察装置のためのアタッチメント装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/24 20060101AFI20141211BHJP
【FI】
   G02B21/24
【請求項の数】28
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2009-29250(P2009-29250)
(22)【出願日】2009年2月12日
(65)【公開番号】特開2009-205156(P2009-205156A)
(43)【公開日】2009年9月10日
【審査請求日】2012年1月23日
(31)【優先権主張番号】102008011608.4
(32)【優先日】2008年2月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506043354
【氏名又は名称】カール ツァイス メディテック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100105429
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 尚孝
(74)【代理人】
【識別番号】100093735
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 鐘司
(74)【代理人】
【識別番号】100153109
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 あき子
(72)【発明者】
【氏名】フミオ タカナシ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ゼーゼルバーク
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ライマー
【審査官】 原田 英信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−191842(JP,A)
【文献】 特開2006−247399(JP,A)
【文献】 特開2004−229929(JP,A)
【文献】 特開2005−316362(JP,A)
【文献】 特開2005−000214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点合せ装置(50)と保持装置(38)とを備え、該保持装置は、少なくとも1つのレンズ素子(33,34)が配置された保持部材(32)と、前記保持部材(32)およびこれに配置された少なくとも1つの前記レンズ素子(33,34)を光学観察装置(10)および/または前記焦点合せ装置(50)に関して位置決めするための位置決め装置(21)とを有しており、前記保持部材(32)は前記位置決め装置(21)に配置されている、光学観察装置(10)のための、特に顕微鏡のためのアタッチメント装置(20)において、
該アタッチメント装置(20)は、前記保持装置(38)が取付装置(35)を介して取り付けられた、前記焦点合せ装置(50)のためのカバーキャップ(60)を備えており、少なくとも1つの前記カバーキャップ(60)は前記焦点合せ装置(50)と結合されていることを特徴とするアタッチメント装置。
【請求項2】
前記カバーキャップ(60)は前記焦点合せ装置(50)と取外し可能に結合されていることを特徴とする、請求項1に記載のアタッチメント装置。
【請求項3】
前記焦点合せ装置(50)は少なくとも1つの前記レンズ素子(33,34)の中間画像に合せて前記観察装置を焦点合せするための少なくとも1つの光学デバイス(50,51)を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載のアタッチメント装置。
【請求項4】
前記保持装置(38)は前記カバーキャップ(60)に取外し可能に配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアタッチメント装置。
【請求項5】
前記保持装置(38)は回転可能および/または旋回可能および/または直線変位可能なように前記カバーキャップ(60)に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアタッチメント装置。
【請求項6】
前記位置決め装置(21)は継手(31)を介して相互に結合された少なくとも2つの位置決め部材(22,28)を有していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアタッチメント装置。
【請求項7】
保持装置(38)を備えており、該保持装置は、少なくとも1つのレンズ素子(33,34)が配置された保持部材(32)と、前記保持部材(32)およびこれに配置された少なくとも1つの前記レンズ素子(33,34)を光学観察装置(10)で位置決めするための位置決め装置(21)とを有しており、前記保持部材(32)は前記位置決め装置(21)に配置されており、さらには前記保持装置(38)をアタッチメント装置(20)に取り付けるための取付装置(35)を備えている、光学観察装置(10)のための、特に顕微鏡のためのアタッチメント装置(20)において、
前記位置決め装置(21)は継手(31)を介して相互に結合された少なくとも2つの位置決め部材(22,28)を有しており、
第1の位置決め部材(22)は収容スペース(25)を区切る互いに間隔をおいた2つの脚部(23,24)を有しており、他方の第2の位置決め部材(28)は前記第1の位置決め部材の前記収容スペース(25)の中へ折畳み可能なように前記継手(31)を介して前記第1の位置決め部材(22)と結合されている
ことを特徴とするアタッチメント装置。
【請求項8】
前記保持装置(38)は前記アタッチメント装置(20)に取外し可能に配置されていることを特徴とする、請求項7に記載のアタッチメント装置。
【請求項9】
前記保持装置(38)は回転可能および/または旋回可能および/または直線変位可能なように前記アタッチメント装置(20)に配置されていることを特徴とする、請求項7または8に記載のアタッチメント装置。
【請求項10】
前記位置決め部材(22,28)は継手(31)を介して旋回運動可能なように相互に結合されていることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一項に記載のアタッチメント装置。
【請求項11】
前記位置決め装置(21)は、一方の端部(26)に第2の位置決め部材(28)と枢着結合するための継手部材を有する第1の位置決め部材(22)を有しており、前記第1の位置決め部材(22)の他方の端部(27)には前記取付装置(35)が設けられていることを特徴とする、請求項6〜10のいずれか一項に記載のアタッチメント装置。
【請求項12】
前記位置決め装置(21)は、一方の端部(29)に第1の位置決め部材(22)と枢着結合するための継手部材を有する第2の位置決め部材(28)を有しており、前記第2の位置決め部材(28)の他方の端部(29)には前記保持装置(32)が配置されていることを特徴とする、請求項6〜11のいずれか一項に記載のアタッチメント装置。
【請求項13】
前記位置決め部材(22,28)は折畳み可能または展開可能なように相互に枢着結合されていることを特徴とする、請求項6〜12のいずれか一項に記載のアタッチメント装置。
【請求項14】
前記位置決め装置(21)は2つの位置決め部材(22,28)を有しており、第1の位置決め部材(22)は収容スペース(25)を区切る互いに間隔をおいた2つの脚部(23,24)を有しており、他方の第2の位置決め部材(28)は前記第1の位置決め部材の前記収容スペース(25)の中へ折畳み可能なように前記継手(31)を介して前記第1の位置決め部材(22)と結合されていることを特徴とする、請求項6〜13のいずれか一項に記載のアタッチメント装置。
【請求項15】
前記保持部材(32)には2つまたはそれ以上のレンズ素子(33,34)が配置されていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載のアタッチメント装置。
【請求項16】
少なくとも1つのレンズ素子(33,34)は検眼鏡検査ルーペとして構成されていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載のアタッチメント装置。
【請求項17】
前記保持部材(32)は保持アームとして構成されていることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載のアタッチメント装置。
【請求項18】
前記保持部材(32)は前記位置決め装置(21)に回転可能に配置されていることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載のアタッチメント装置。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のアタッチメント装置(20)に少なくとも2つのレンズ素子(33,34)を回転可能に配置するためのリボルバ装置(48)において、
前記リボルバ装置(48)は、少なくとも2つの前記レンズ素子(33,34)が配置された、回転軸(49)を中心として回転可能な保持部材(32)を有しており、
前記リボルバ装置(48)は、前記リボルバ装置(48)が前記光学観察装置(10)に配置されると、前記リボルバ装置(48)の回転軸(49)は前記観察装置(10)の光学軸に対して傾いて延びているように配置されていることを特徴とするリボルバ装置。
【請求項20】
前記保持部材(32)はレンズ受け部(42)として構成されており、少なくとも2つの前記レンズ素子(33,34)はそれぞれレンズホルダ(43,44)に配置されており、これを介して特に取外し可能なように前記レンズ受け部(42)に配置されていることを特徴とする、請求項19に記載のリボルバ装置。
【請求項21】
前記レンズホルダ(43,44)のうち少なくとも1つは少なくとも領域ごとに曲線状の形状または角度をなす形状または屈曲した形状を有していることを特徴とする、請求項20に記載のリボルバ装置。
【請求項22】
光学観察装置(10)、特に顕微鏡において、請求項1〜18のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアタッチメント装置(20)または請求項19〜21のいずれか一項に記載のリボルバ装置を有していることを特徴とする光学観察装置。
【請求項23】
光学観察装置(10)、特に顕微鏡において、請求項7に記載された、または請求項8〜18のいずれか一項のうち請求項7を引用するものに記載された、少なくとも1つのアタッチメント装置(20)を有しており、さらに、前記光学観察装置(10)に統合された焦点合せ装置(50)が設けられていることを特徴とする光学観察装置。
【請求項24】
対物レンズ(11)を有しており、前記アタッチメント装置(20)は前記対物レンズ(11)の周辺領域(12)で前記光学観察装置(10)に配置されていることを特徴とする、請求項22または23に記載の光学観察装置。
【請求項25】
前記アタッチメント装置(20)は旋回可能および/または回転可能および/または直線変位可能なように前記光学観察装置(10)に配置されていることを特徴とする、請求項22〜24のいずれか一項に記載の光学観察装置。
【請求項26】
前記焦点合せ装置(50)は前記光学観察装置(10)に取外し可能に配置されていることを特徴とする、請求項22〜25のいずれか一項に記載の光学観察装置。
【請求項27】
手術用顕微鏡として構成されており、特に眼科用の手術用顕微鏡として構成されていることを特徴とする、請求項22〜26のいずれか一項に記載の光学観察装置。
【請求項28】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のアタッチメント装置(20)または請求項19〜21のいずれか一項に記載のリボルバ装置(48)または請求項22〜27のいずれか一項に記載の光学観察装置(10)の利用法において、接触の生じない間接的な検眼鏡検査または接触の生じる間接的な検眼鏡検査のための利用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まず、請求項1の前提項ならびに請求項7の前提項に記載された光学観察装置のためのアタッチメント装置に関するものである。さらに本発明は、光学観察装置のためのアタッチメント装置に少なくとも2つのレンズ素子を回転可能に配置するためのリボルバ装置、および光学観察装置、ならびにこのようなアタッチメント装置ないし光学観察装置の特別な利用法も対象とする。
【背景技術】
【0002】
光学観察装置とは、たとえば手術用顕微鏡のような顕微鏡、特に眼科用の手術用顕微鏡などであってもよい。このような顕微鏡は、特に、さまざまな光学部材と鏡胴とを備える顕微鏡本体を有しているのが通常である。さらに顕微鏡は、少なくとも1つの対物レンズ素子を装備しているのが通常である。対物レンズ素子の周辺領域では、顕微鏡にアタッチメント装置が取り付けられていることも珍しくない。
【0003】
顕微鏡のアタッチメント装置は、すでに種々の実施形態のものが知られている。アタッチメント装置は、顕微鏡の光路へ追加のレンズ素子を入れるために利用されるのが通常である。このようなアタッチメント装置の1つの利用分野は、間接的な検眼鏡検査の分野にある。
【0004】
目の網膜ないし硝子体の領域は、目の前で定義されたとおりに位置決めされる、少なくとも1つのレンズ素子の形態の、たとえば高屈折の単レンズまたはレンズ群の形態の、追加の光学デバイスを用いて結像することができる。こうして得られた目も後方区域の結像は、必要時には相応の観察装置によって、特に立体視手術用顕微鏡によって、観察することができる。このとき画像の姿勢/位置は、使用する検眼鏡検査ルーペ(特にその屈折力に関して)、観察されるべき目の非正視、たとえば近視や遠視、観察されるべき目の領域/区域、たとえば網膜や網膜の上方に間隔xをおいている硝子体の領域等、目の異常、たとえば生まれつきの硝子体、液体/油で充填された硝子体、気体で充填された硝子体、水晶体、無水晶体、偽水晶体等、検眼鏡検査ルーペから患者の目までの距離などに依存して決まる。
【0005】
アタッチメント装置によって、光学デバイスはたとえば間接的なコンタクトガラスの形態で観察されるべき目に直接装着されるか、または、たとえば「非接触」モードの間接的な検眼鏡検査ルーペを用いて、観察されるべき目の手前で一定の間隔をおいて浮動式に保たれる。
【0006】
このようにして、検眼鏡検査ルーペないしコンタクトガラスの光学特性に依存して、たとえば屈折力の高いルーペ/ガラスで広い広角の眼底領域を観察することができ、あるいは、たとえば屈折力の低いルーペ/ガラスで狭くはあるがその代わりに解像度の高い眼底領域を観察することができる。最善の結像ないしフォーマットを満たす結像のためには、各々の検眼鏡検査ルーペないし各々のコンタクトガラスを、その屈折力に依存して、目から特定の間隔で位置決めしなくてはならない。そうしないと、虹彩等による口径食が生じる可能性があるからである。
【0007】
たとえば検眼鏡検査ルーペの曇り、患者の目の近傍におけるアクセス性と作業スペースといった手術中のさまざまな周辺条件により、状況によっては、特に目のごく近いところで位置決めしなくてはならないのが通常である非常に焦点距離の短い検眼鏡検査ルーペの場合などでは、検眼鏡検査ルーペを目から離れるように変位させることが必要となる。そのため画像(中間画像)の位置が変位し、追加的に口径食が起こる。
【0008】
たとえば特許文献1には、このような顕微鏡のためのアタッチメント装置が記載されている。この顕微鏡は、目を観察するための眼科用の手術用顕微鏡である。この顕微鏡は特に主対物レンズを有しており、その周辺にアタッチメント装置が取り付けられている。この公知のアタッチメント装置は、対物レンズを通過して延びる光路へ入るように内方旋回させることができるレンズ素子が配置された、保持アームの形態の保持装置を有している。そのために保持アームは、リンク機構である位置決め装置に取り付けられている。最初に保持アームを、およびこれとともにレンズ素子を、リンク機構を中心として旋回させることができる。さらにはリニアドライブが設けられている。このリニアドライブによって、リンク機構を光学軸と平行に長手方向へ移動させることができる。このようにリンク機構を介して、保持アームおよびこれとともにレンズ素子を、光学軸と平行に長手方向へも移動させることができるので、レンズ素子の位置を光学軸上で、対物レンズと観察されるべき目との間で変位させることができる。位置決め装置は、公知の解決法ではアダプタとして構成される取付装置によって顕微鏡に取り付けられている。このとき取付装置は、アタッチメント装置全体が光路から外へ出るように旋回できるように構成されている。
【0009】
特許文献1には、単一のレンズ素子を選択的に光路へ入れることを可能にするアタッチメント装置が記載されているのに対して、特許文献2には、選択的に2つのレンズ素子を光路へ入れることも可能となる、類似する構造を備えるアタッチメント装置が記載されている。この公知の解決法は、レバーアームの形態の独自の保持装置を介してそれぞれ上に説明した仕方で位置決め装置に取り付けられた、2つのレンズ素子が設けられることを意図している。この公知の解決法は、第2のレンズが一時的に顕微鏡の光路へ入るように追加的に旋回できるようにすることを目的としており、それにより、前眼部を観察することができるようにレンズ素子の屈折力を操作することができる。
【0010】
しかしながら、従来知られている解決法には一連の欠点がある。たとえば、特許文献3などに記載されている公知のアタッチメント装置については、レンズ素子の直線変位が長手方向に、すなわち光学軸と平行に行われなくてはならないために、比較的広い設計スペースが必要である。1つの大きな欠点は、観察装置に対して相対的に、すなわち患者の目に対して相対的に、レンズ素子の直線変位を行うことによる焦点合せである。焦点合せのときには、同時に瞳位置も変化する。たとえば観察装置の瞳位置が患者の目の入射瞳から遠く離れすぎていると、眼底の可視範囲が狭くなるので、望ましくない口径食が起こることになる。そのため、セットアップと焦点合せが反復的なプロセスとなる。レンズ素子が光路から外に出るように旋回しているときでさえ、あるいは対物レンズの近傍の位置にあるときでさえ、設計スペースを小さくすることはできない。位置決めリンク機構やリニアドライブは、それぞれの長手方向の長さや位置決めに関して、変わることなく保たれるからである。アタッチメント装置それ自体も、リニアドライブがあるために、同じく比較的大掛かりに構成されている。このことも種々の欠点を有している。たとえば、特許文献1で可能であると記載されているように、アタッチメント装置全体がそっくり旋回するときには、アタッチメント装置が内方旋回することができる著しい空きスペースが必要となる。しかかも、アタッチメント装置を洗浄したり、場合により滅菌することも困難である。顕微鏡が手術用顕微鏡として利用されるとき、アタッチメント装置は使用後に滅菌しなくてはならず、これはオートクレーブのなかで行われるのが通常である。このとき大型、複雑でかさばるコンポーネントは、オートクレーブのなかで滅菌可能にするのが非常に困難である。
【0011】
そのうえ公知の解決法は、特に別個の駆動装置を設けなくてはならないので、設計的に高いコストがかかり、したがって高価である。これに加えて、多くの場合電気式に機能するこのような駆動装置は故障を起こしやすい可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】ドイツ実用新案第9415219U1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第6,943,942B号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第5,793,524B号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の従来技術を前提としたうえで、本発明の課題は、冒頭に述べた種類のアタッチメント装置をさらに改良して、設計的に簡素かつ低コストな仕方で具体化可能にすることにある。さらに本発明のアタッチメント装置を用いて、改善された取扱性と操作性が実現されるのが望ましい。さらに、これに対応して改善された観察装置が提供されるのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は本発明によると、独立請求項1ならびに独立請求項7に記載の構成要件を備えるアタッチメント装置、独立請求項19に記載の構成要件を備えるリボルバ装置、独立請求項23ならびに独立請求項24に記載の構成要件を備える光学観察装置、独立請求項29に記載の特別な利用法によって解決される。本発明のその他の構成要件や詳細事項は、従属請求項、発明の詳細な説明、ならびに図面から明らかである。このとき、本発明のアタッチメント装置との関連で説明されている構成要件や詳細事項は、当然ながら、本発明による光学観察装置との関連でも有効であり、その逆もまた有効であるので、そのつど対応する実施形態を相互に援用して全面的にこれを引用する。本発明によるリボルバ装置ならびに本発明による利用法についても、同様のことが相応のかたちで当てはまる。
【発明の効果】
【0015】
本発明ではまず、光学観察装置のための、特に顕微鏡のための、改良されたアタッチメント装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】手術用顕微鏡の形態の本発明による光学観察装置を示す分解図である。
図2】焦点合せ装置が付設された光学観察装置を示す側面図である。
図3】焦点合せ装置の付説が開始されたたときの図2に示す図面である。
図4】焦点合せ装置が第1のスライド位置にあるときの図2に示す図面である。
図5】焦点合せ装置が第2のスライド位置にあるときの図2に示す図面である。
図6】本発明によるアタッチメント装置を備える光学観察装置を示す斜視図であり、アタッチメント装置は展開された状態にある。
図7】大きく拡大した図6に示す部分図Aである。
図8】焦点合せ装置にカバーキャップが取り付けられる直前の光学観察装置を示す側面図である。
図9】焦点合せ装置にカバーキャップが完全に取り付けられた後の図8に示す図面である。
図10】焦点合せ装置から外すためにカバーキャップのロック解除をする方法である。
図11】アタッチメント装置の機能性に関する見取り図である。
図12図6に示す光学観察装置の側面図である。
図13】本発明によるアタッチメント装置を備える光学観察装置を示す斜視図であり、アタッチメント装置は、先ほどの展開された状態から閉じ折り畳まれた状態になっている。
図14図13に示す光学観察装置の側面図である。
図15】本発明によるアタッチメント装置を備える光学観察装置を示す斜視図であり、アタッチメント装置は折り畳まれた状態にある。
図16図15に示す光学観察装置の側面図である。
図17】折り畳まれたアタッチメント装置を備える図15図16に示す光学観察装置を下から見た図である。
図18】折り畳まれたアタッチメント装置が停止位置にある図17の図面である。
図19図18に示す光学観察装置を示す斜視図であり、光学装置は折り畳まれた状態で停止位置にある。
図20】レンズ素子を収容するための保持部材を示す詳細図である。
図21】さまざまな種類に構成されたレンズ素子を示す複数の詳細図である。
図22】手術されるべき患者に関する光学観察装置の第1の作業位置である。
図23】手術されるべき患者に関する光学観察装置の第2の作業位置である。
図24】手術されるべき患者に関する光学観察装置の第3の作業位置である。
図25】手術されるべき患者に関する光学観察装置の第4の作業位置である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によるアタッチメント装置は設計的に簡単に製造可能であり、特にレンズ素子が必要とされない場合、省スペースに構成されている。この特性は、特に、アタッチメント装置をたとえばオートクレーブのなかで洗浄しなくてはならないときにも利点となる。しかも、このアタッチメント装置は容易に取り扱い、操作することができる。
【0018】
本発明により、光学観察装置のために適したアタッチメント装置が提供される。このとき本発明は、特定の型式の光学観察装置に限定されるものではない。たとえば顕微鏡、たとえば手術用顕微鏡、特に眼科用の手術用顕微鏡のために、アタッチメント装置を利用することができる。
【0019】
ここでのアタッチメント装置とは、光学観察装置の少なくとも1つの特定のコンポーネントの手前に配置される装置を意味するものとする。光学観察装置がたとえば顕微鏡であるとき、顕微鏡は対物レンズ素子を備えているのが通常である。このようなケースでは、特に対物レンズを通過して延びる光路を調節するために、対物レンズの手前、または対物レンズの周辺領域に取り付けるためのものとしてアタッチメント装置が想定されているのが好ましい。たとえばアタッチメント装置は、光学観察装置から独立して製造され、必要に応じて光学観察装置を補完することができる別個の器具であってもよい。当然ながら、アタッチメント装置は光学観察装置の固定的な構成要素として構成されていてもよい。そのうちにアタッチメント装置を洗浄しなくてはならなくなる場合、アタッチメント装置は光学観察装置に取外し可能に配置されているのが好ましい。
【0020】
本発明によるアタッチメント装置は、まず保持装置を有している。保持装置は、少なくとも1つのレンズ素子が配置される保持部材を有している。このとき本発明は、一般に、保持装置および保持部材の特定の施工形態に限定されるものではない。同様に本発明は、一般に、レンズ素子の特定の個数、特定のレンズ素子型式、または保持部材におけるレンズ素子の特定の配設位置に限定されるものではない。さまざまな好ましい、ただし他を除外するのではないその実施例については、以下の記述の過程で詳しく説明する。
【0021】
保持部材は一種のリボルバ装置として構成されており、またはそのようなリボルバ装置の構成要素であるのが好ましい。このような種類のリボルバ装置については、以下の記述の過程でさらに詳しく説明する。リボルバ装置は、一般に、レンズ素子が光路に入るように内方旋回することができるようにする役目を果たす。本発明によると、常にただ1つのレンズ素子が各レンズ素子のなかから選択されて、リボルバ装置の相応の回転により、光路に入るように内方旋回することが意図されるのが特別に好ましい。
【0022】
本発明によるアタッチメント装置の別の基本的な構成要件は、位置決め装置によって形成される。まず位置決め装置は、少なくとも1つのレンズ素子のための保持部材がこれに配置されていることを特徴としている。このとき本発明は、保持部材がどこでどのように位置決め装置に取り付けられるかという特定の実施形態に限定されるものではない。いくつかの好ましい、ただし他を除外するのではないその実施例については、以下の記述の過程で詳しく説明する。
【0023】
位置決め装置は、保持部材およびこれに配置された少なくとも1つのレンズ素子を、光学観察装置および/または後でまたさらに詳しく説明する焦点合せ装置に関して位置決めする役目を果たす。このことは、保持部材およびこれに配置された少なくとも1つのレンズ素子を、位置決め装置を通じて、特にレンズ素子がその意図される機能を果たすことができる所望の位置へ移すことができることを意味している。アタッチメント装置の利用目的や利用分野に応じて、位置決め装置とその構成に対して異なる要求事項が課される場合がある。
【0024】
位置決め装置は、離散的な位置決め状態を位置決め装置によって設定できるように構成されていることが意図されるのが好ましい。位置決め装置によってただ2つの位置決め状態を、すなわち停止位置(たとえば折り畳まれた状態)と作業位置(展開された状態)を、設定できることが意図されるのが好ましい。
【0025】
光学観察装置および/または焦点合せ装置に関してどのように位置決めを行うことができるかについて、1つの実施例を取りあげて一例を説明することにするが、本発明はこの具体的な実施例に限定されるものではない。たとえば、光学観察装置はすでに言及したような対物レンズを備える顕微鏡であることが意図されていてもよい。そしてアタッチメント装置が、対物レンズを通過して延びる光路へ追加のレンズ素子が選択的に入るようにする役目をするためのものであるとき、位置決め装置の機能は、レンズ素子を光路に入れることができるように、保持部材およびこれに配置された少なくとも1つのレンズ素子を対物レンズの手前に配置し、およびこれに伴なって対物レンズに関して配置することにある。
【0026】
アタッチメント装置の利用分野は、特に焦点合せ装置が使用され、必要時には接触の生じる間接的な眼科学でサポートされる、接触の生じない間接的な眼科学であるのが好ましい。アタッチメント装置は、光学観察装置によって、好ましくは眼科学の立体視手術用顕微鏡によって、特に眼底外科の分野で目の外科的処置をしている間に、中間画像を観察する役目をするのが好ましい。
【0027】
本発明の第1の態様では、焦点合せ装置と保持装置とを備えており、該保持装置は、少なくとも1つのレンズ素子が配置された保持部材と、保持部材およびこれに配置された少なくとも1つのレンズ素子を光学観察装置および/または焦点合せ装置に関して位置決めするための位置決め装置とを有しており、保持部材は位置決め装置に配置されている、光学観察装置のための、特に顕微鏡のためのアタッチメント装置が提供される。アタッチメント装置は、本発明によると、保持装置が取付装置を介して取り付けられた、焦点合せ装置のための少なくとも1つのカバーキャップが設けられており、少なくとも1つのカバーキャップは焦点合せ装置と結合されていることを特徴とする。
【0028】
上に記載したアタッチメント装置の基本的な構成要件に加えて、第1の態様に基づくアタッチメント装置は焦点合せ装置をさらに有している。焦点合せ装置は、一般に、たとえば縮小光学系として構成された焦点合せ光学系である。
【0029】
焦点合せ装置は、アタッチメント装置の構成要素として構成されることが意図されるのが好ましい。これは、アタッチメント装置の構成要素をなす別個のコンポーネントであるのが好ましい。当然ながら、焦点合せ装置ないしその機能を、たとえば顕微鏡などの光学観察装置へ統合することもできる。このような実施例については光学観察装置との関連であとで詳しく説明する。
【0030】
アタッチメント装置は、焦点合せ装置を介して光学観察装置に取り付けることができ、もしくは取り付けられているのが好ましい。このとき、特に取外し可能な結合が好ましい。これを具体的にどのように具体化することができるかについては、いくつかの好ましい、ただし他を除外するのではない実施例を参照しながら、あとでさらに詳細に説明する。
【0031】
通常、焦点合せ装置は滅菌されておらず、ないし滅菌可能ではない。滅菌可能性が必要でない/希望されないことが多いからである。しかし光学観察装置が手術用顕微鏡であるとき、使用後には滅菌が必要である。この目的のために、本発明によるアタッチメント装置は焦点合せ装置のための少なくとも1つのカバーキャップを有している。カバーキャップは焦点合せ装置と結合されており、それにより、特に焦点合せ装置の操作部材や接触の危険がある領域が(特に滅菌可能な)カバーキャップによって保護される。このことは、複雑で高いコストのかかる敏感なデバイスが、洗浄、殺菌、滅菌の高い負荷にさらされないという利点を有している。焦点合せ装置に、相応に複雑ないし敏感な機械的・光学的なコンポーネント/モジュールを組み込み、ならびに電子装置を問題なく統合し、モータ駆動装置を使用することができ、たとえば焦点合せ、制御機能、監視機能などのモータ機能を利用することができる。
【0032】
焦点合せ装置がカバーキャップで覆われるので、焦点合せ装置を滅菌する必要がない。むしろ、カバーキャップが滅菌されればそれで十分である。カバーキャップは、特に、このユニットを滅菌可能であるという利点を有している。滅菌可能性は、手術目的のために使用する場合には絶対に必要である。滅菌キャップは、滅菌されていない領域である焦点合せ装置の接触が危険な領域の防護ないし覆いを提供し、それにより、手術中におけるアタッチメント装置の滅菌操作を可能にする。アタッチメント装置の滅菌動作を保証するために、比較的簡素で低コストなモジュールが使用され、このモジュールの洗浄、殺菌、滅菌は、アタッチメント装置全体の洗浄、殺菌、滅菌よりもはるかに容易である。複数の外科的処置を順次実施するときは、複数の滅菌システムが必要となる。そのためには、複数のセットの滅菌カバーキャップと、レンズ素子、たとえば検眼鏡検査ルーペとが準備されていればよく、ないしは利用可能であればよく、滅菌された焦点合せ光学系/縮小光学系と駆動ユニットとを備えるシステム一式でなくてもよい。滅菌カバーキャップは、手術中に滅菌条件のもとで、焦点合せ装置の好ましくは変位可能な領域に一時的に嵌装され、必要な場合には複数回嵌装される。焦点合せ装置にカバーキャップが嵌装されているとき、カバーキャップは、たとえばカバーキャップが焦点合せ装置のほうを向き、手術中に意図せず焦点合せ装置から外れないよう固定されるように、係止することができる。たとえばキャップにある2つの操作部材/押圧領域を介してカバープレートを外し、たとえば係止を外し、それによって手術中に滅菌条件のもとで焦点合せ装置からカバーキャップを取り外すことが可能である。たとえば焦点合せ装置の変位可能な領域へのカバーキャップの装着、特に滅菌キャップの装着は、嵌め合いによって行われるのが好ましい。焦点合せ装置に対するカバーキャップの固定、たとえば係止は、たとえばカバーキャップの滅菌キャップにあるアンダーカットへ係合する、焦点合せ装置のばね作用のある2つの係止部材によって行うことができる。その場合、焦点合せ装置からカバーキャップの係合を外して取り外すために、滅菌カバーキャップにある2つの変形可能な弾性領域が変形し、それによって焦点合せ装置の係止部材を動かしてキャップの係止を外し、焦点合せ装置から取り外すことができるようにするのが好ましい。
【0033】
カバーキャップは、焦点合せ装置の覆いのほか、取付装置によって保持装置を焦点合せ装置へ取り付ける役目も果たす。したがってアタッチメント装置は取付装置をさらに備えており、これを用いて保持装置をカバーキャップに取り付けることができる。それを具体的にどのようにして実現できるかについては、特にあとで説明する本発明による光学観察装置との関連で、以下の説明の過程において詳しく説明する。たとえば取付装置は、取外し可能および/または旋回可能および/または回転可能および/または直線変位可能な結合を具体化することができるように構成されていてもよい。
【0034】
本発明によるアタッチメント装置は、たとえば3つの基本コンポーネントで構成することができ、すなわち焦点合せ装置と、眼底を結像するため、たとえば中間画像を生成するための光学部材の保持装置および滅菌カバーキャップと、少なくとも1つのレンズ素子、たとえば検眼鏡検査ルーペとで構成することができる。カバーキャップにある保持装置の保持部材をなすレンズ交換器を利用すれば、複数のレンズ素子、たとえば複数の検眼鏡検査ルーペを使用することができる。
【0035】
カバープレートは、焦点合せ装置と取外し可能に結合されているのが好ましい。このような結合部により、たとえば焦点合せ装置の適当な連結個所により、カバーキャップを一時的に、すなわち外科的処置をしている間に、滅菌条件のもとで、かつ必要な場合には何度でも、脱着することができる。カバーキャップのための固定メカニズム、たとえば係止メカニズムは、同じく焦点合せ装置に統合されているのが好ましい。
【0036】
焦点合せ装置は、少なくとも1つのレンズ素子の中間画像に合せて観察装置を焦点合せするための少なくとも1つの光学デバイスを有しているのが好ましい。
【0037】
焦点合せ装置は、「非接触」モードまたは「接触」モードで作動する、たとえば間接的な検眼鏡検査ルーペのようなレンズ素子の中間画像に合せて観察装置を焦点合せするために、以下においては焦点合せ光学系とも呼ぶ追加の光学デバイスを含んでいる。焦点合せ光学系は、少なくとも1つの特に定置の負成分と、少なくとも1つの特に変位可能な正成分とで構成されているのが好ましい。焦点合せは手動式および/またはモータ式に行うことができる。焦点合せ光学系は、使用する観察装置を、たとえば顕微鏡を、焦点距離fで範囲f1...f2に合せて焦点合せすることができるように設計されているのが好ましい。典型的には
であり、理想的にはf1=0&f2=f−60mmである。このとき範囲f1...f2は、検眼鏡検査ルーペから患者の目までの典型的な間隔、水晶体、無水晶体、偽水晶体、生まれつきの硝子体、液体/油で充填された硝子体、気体で充填された硝子体、近視/遠視の患者の目、網膜の観察ないし網膜から距離xをおいた硝子体の領域の観察などの通常の適用条件のもとで、およそ40D...130Dの典型的な検眼鏡検査ルーペやコンタクトガラスの中間画像平面をカバーする。
【0038】
このように焦点合せ運動は、患者の目に対するたとえば検眼鏡検査ルーペなどのレンズ素子の運動とは切り離されている。検眼鏡検査ルーペから患者の目までの距離は、通常、中間画像の眼底の可視範囲に影響をおよぼす。最善の滅菌カバーキャップおよび保持装置が提供される。つまりこのシステムは、たとえば患者の目に関する検眼鏡検査ルーペの位置決めに関して、はるかに容易にセットアップし、焦点合せすることができる。それにより、たとえば検眼鏡検査ルーペないしコンタクトガラスのようなレンズ素子を適宜位置決めすれば、種々の条件のもとで、かつさまざまなレンズ素子について、観察装置で位置変更を行うことなく眼底の観察が可能であり、このとき患者の目から顕微鏡までの距離は変わらずに保たれる。その結果、眼底の観察と前眼部の観察のあいだで迅速かつ複雑でない切換をすることができ、装置と患者(の目)との衝突の危険を減らすことができる。
【0039】
一方で手術者は、システム全体の変位を通じて、必要時に検眼鏡検査ルーペから患者の目までの距離を意識的に操作することが引き続き可能である。このことは、たとえばレンズ素子が患者の目に接近しすぎており、そのため外科器具で目に作業をするときに邪魔になったり損傷したりする場合に有益である。このことは特に、焦点距離の短い、すなわち高屈折の検眼鏡検査ルーペの場合に当てはまる。
【0040】
次に、保持装置のさらなる詳細について説明する。
【0041】
保持装置はカバーキャップに取外し可能に配置されることが意図されているのが好ましい。別の実施形態では、保持装置は回転可能および/または旋回可能および/または直線変位可能なようにカバーキャップに配置されることが意図されていてもよい。
【0042】
アタッチメント装置の位置決め装置は特別な仕方で構成されることが意図されるのが好ましい。そのために位置決め装置は、継手を介して相互に結合された少なくとも2つの位置決め部材を有することが意図されるのが好ましい。もっとも単純な場合、継手を介して相互に結合された2つの位置決め部材が設けられていれば足りる。当然ながら、位置決め装置が2つ以上の位置決め部材を有している利用ケースも考えられ、この場合、それぞれ2つの隣接する位置決め部材の間に継手部材がそれぞれ設けられる。
【0043】
一般に、本発明は位置決め部材の特定の実施形態に限定されるものではない。いくつかの好ましい、ただし他を除外するのではないその実施例については、これからの記述の過程で詳しく説明する。同様に本発明は、特定の継手型式の使用に限定されるものではない。本件の場合において継手とは、ごく一般的に2つの物体の間の可動の連結部を意味しており、これらの物体が位置決め部材である。いくつかの好ましい、ただし他を除外するのではない適当な継手型式の実施例については、これからの記述の過程で詳しく説明する。
【0044】
本発明の第2の態様では、少なくとも1つのレンズ素子が配置された保持部材と、保持部材およびこれに配置された少なくとも1つのレンズ素子を光学観察装置に関して位置決めするための位置決め装置とを有する保持装置を備え、保持部材は位置決め装置に配置されており、さらに保持装置をアタッチメント装置に取り付けるための取付装置を備える、光学観察装置のための、特に顕微鏡のためのアタッチメント装置が提供される。このアタッチメント装置は、本発明によると、位置決め装置が継手を介して相互に結合された少なくとも2つの位置決め部材を有していることを特徴とする。アタッチメント装置の基本的な構造、ならびにその基本的な機能形態については、第1の発明態様についての上記の説明を同じく全面的に援用するので参照されたい。
【0045】
これら両方の態様に基づく本発明のアタッチメント装置は、従来技術から知られている解決法と比べて一連の利点を有している。たとえばまず、特にたとえばリニアドライブ等の高いコストのかかる構造物を省略することができるので、このアタッチメント装置は設計的に簡素に製造可能である。同様に、アタッチメント装置に必要な設計スペースも減らすことができるので、第1に、アタッチメント装置を省スペースな仕方で光学観察装置に取り付けることができる。このことは、特に、アタッチメント装置に配置された少なくとも1つのレンズ素子がいったん必要とされなくなる場合に当てはまる。第2に、省スペースな構成は、必要である限りにおいて、アタッチメント装置を簡単な仕方で洗浄することができるという利点も有している。このとき洗浄は、まず最初にたとえば少なくとも1つの洗浄装置で機械式の洗浄が行われ、これに続いて、溶液浴での殺菌ならびにオートクレーブでの滅菌が行われるように実施することができる。
【0046】
このような実施形態では、保持装置はアタッチメント装置に取外し可能に配置されているのが好ましい。別の実施形態では、保持装置は回転可能および/または旋回可能および/または回転可能および/または直線変位可能なようにアタッチメント装置に配置されていてもよい。
【0047】
すでに上で説明したように、本発明は位置決め部材を連結するための特定の継手型式に限定されるものではない。以下において、この点についていくつか好ましい実施形態を挙げる。位置決め部材は、回転継手を介して相互に連結されているのが好ましい。回転継手は、一般に、2つの位置決め部材がこの回転ジョイントを介して相互に回転することができるという特徴を備えている。このとき回転継手は、それぞれ位置決め部材の一方の端部に設けられた2つの継手部材で構成されることが意図されるのが好ましい。たとえば、位置決め部材の連結されるべき端部に穴または一般に開口部が設けられており、これにボルト部材が挿通されていることによって、回転継手を具体化することができるであろう。この実施形態では、それぞれの位置決め部材は共通の回転軸を中心として回転する。これと類似する仕方で、継手はたとえばスクリュー継手、ヒンジ継手等として構成されていてもよいであろう。当然ながら、継手が玉継手として構成されていることも同様に考えられる。位置決め装置が複数の位置決め部材を有しており、それに伴なって複数の継手を有しているときには、同一の型式の継手を使用することができ、あるいは異なる型式の継手を使用することもできる。
【0048】
継手は、1つの位置決め部材が他の位置決め部材に関して特定の回転角だけ回転することを許容するように構成されることが意図されていると好ましい。その場合、この回転角は両方の位置決め部材の開き角である。このとき継手部材は、それによって90度以下の、好ましくは40から80度の範囲内の、各位置決め部材の回転角ないし開き角を可能にすることができるように構成されることが意図されるのが好ましい。その理由は、たとえば患者(の目)との望ましくない接触を回避するための安全性機能である。回転角は、基本的にレンズ素子の位置に影響をおよぼす。したがって、定義された再現可能な最終位置と休止位置(たとえば折り畳まれた状態のとき)を具体化可能であるような回転角が、継手を通じて可能にされるのが好ましい。
【0049】
好ましい実施形態では、アタッチメント装置は2つの位置決め部材を備える位置決め装置を有しており、第1の位置決め部材は取付装置を介して少なくとも1つの第1の旋回方向へ旋回可能なように光学観察装置またはアタッチメント装置またはカバープレートに配置されており、第2の位置決め部材は継手を介して少なくとも1つの第1の旋回方向とは異なる少なくとも1つの第2の旋回方向へ旋回可能なように第1の位置決め部材に配置されていることが意図されていてもよい。
【0050】
回転継手を介して、位置決め装置を光学軸を中心として回転させることができる。このとき内方旋回したレンズ素子は、引き続き光学軸に対して同軸のまま保たれる。したがって、一種のハサミ型構造体である位置決め部材の位置、ならびに保持部材の位置を、外科的処置をしている間に、特に眼底で作業をしているときに、手術者の作業空間条件や作業空間の希望に合せることができる。
【0051】
好ましくは2つの定義された最終位置、すなわち「休止位置、折り畳まれた状態」と「リミットストッパ、重力、展開された状態」を有する構成で一種のハサミ型機構を形成している位置決め部材を介して、保持部材およびそれに伴いこれに設けられた各々のレンズ素子を、定義されたとおりに位置決めすることができる。位置決め部材が展開され、位置決め部材は重力によってこの最終的なリミットの位置に保持されるのが好ましく、かつ保持部材が内方旋回しているとき、レンズ素子は、好ましくは型式固有の鏡筒を介して、観察装置に対して定義された一定の間隔をおくように光学軸と同軸に位置決めされる。このときレンズ素子鏡筒とレンズ素子ホルダは、観察装置がレンズ素子および焦点合せ装置の内方旋回の前に平面「虹彩、患者の目」に合せて焦点合せされているとき、外方旋回した状態のそれぞれのレンズ素子が患者の目に対してたとえば口径食なしにフォーマットを満たす眼底の結像のために最善の間隔をとるように、使用する観察装置に合せて適合化されているのが好ましい。それにより、観察装置の入射瞳の位置と、患者の目の瞳とが互いに近傍に位置することが保証される。
【0052】
レンズ素子ホルダの折畳みは、システム全体が意図せず、ないし不具合により動いたために患者(の目)と検眼鏡検査ルーペが衝突するような場合に、たとえば惰力運動の安全性領域を広くする。
【0053】
レンズ素子ホルダ構造体はコンパクトに、特に設計スペースを最低限に抑えるように互いに折り畳まれ、それによって妨げとなる輪郭部分が減る。さらに、焦点合せ光学系と保持部材とレンズ素子鏡筒は互いに適合化されており、たとえば瞳の位置(可視範囲)と焦点について運動が切り離されるといった上に挙げた実用面の利点につながる。これに加えて、システム全体を移動させる必要がなくなるので、患者との衝突の危険性が減る。眼底と前眼部のあいだの迅速な切換も可能である。
【0054】
追加の回転継手および特別なレンズ素子収容部により、たとえば複数の異なる検眼鏡検査ルーペのための収容部により、手術中であっても、かつ何度でも、かつ滅菌状態のもとで、短期間で交互に異なる検眼鏡検査ルーペを光学系の光路へ入るように内方旋回させることができ、または、相応の中間位置を介してすべての検眼鏡検査ルーペを光路から出るように外方旋回させることができる。レンズ素子交換器すなわち保持部材は、必要でない1つまたは複数の検眼鏡検査ルーペが観察装置の下方の設計スペースをできる限りわずかしか妨げないように構成されているのが好ましい。このことは、相応の角度をなす回転継手の配置と、レンズ素子鏡筒の屈曲配置によって実現されるのが好ましい。
【0055】
検眼鏡検査ルーペ交換器すなわち保持部材の使用は、異なる検眼鏡検査ルーペを同時にではなく交互に内方旋回させることを可能にし、ならびに、特にコンタクトガラスを使用する場合に焦点合せ光学系が内方旋回したとき、観察装置の光路から出るように(すべての)検眼鏡検査ルーペを外方旋回させることを可能にする。
【0056】
このとき保持部材とレンズ素子、特にその鏡筒は、レンズ素子をその屈折力に依存して観察装置に対して、ないし患者の目に対して、異なる定義された間隔で位置決めすることができるように構成されているのが好ましい。
【0057】
すでに先ほど言及したように、位置決め装置および特にその位置決め部材は、さまざまな仕方で構成されていてもよい。以下においては、この点に関していくつかの好ましい、ただし他を除外するのではない実施形態を説明する。位置決め装置は、一方の端部に第2の位置決め部材と枢着結合するための継手部材を有する第1の位置決め部材を有しており、第1の位置決め部材の他方の端部には取付装置が設けられていることが意図されているのが好ましい。その代替または追加として、別の実施形態では位置決め装置は、一方の端部に第1の位置決め部材と枢着結合するための継手部材を有する第2の位置決め部材を有しており、第2の位置決め部材の他方の端部には保持装置が配置されていることが意図されているのが好ましい。たとえば位置決め部材は、このようなケースでは長く伸長した物体の形態で構成されていてもよく、特に棒状の輪郭を有することができる。
【0058】
位置決め部材は、展開したり折り畳んだりして伸縮可能であるように互いに枢着結合されているのが好ましい。このようにして、位置決め部材が折り畳まれた状態では、アタッチメント装置がわずかな所要スペースしか有していないことが可能となる。このように折り畳まれた状態は、特に、少なくとも1つのレンズ素子が必要とされず、それによって一種の停止位置にあるときに選択される。このような場合、アタッチメント装置は、アタッチメント装置が取り付けられている光学観察装置の操作者を妨げることがない。
【0059】
位置決め装置は2つの位置決め部材を有しており、第1の位置決め部材は収容スペースを区切る互いに間隔をおいた2つの脚部を有しており、他方の第2の位置決め部材は継手を介して、その収容スペースに入るように折畳み可能であるように、第1の位置決め部材と結合されていることが意図されているのが好ましい。このようなケースでは、継手は上に説明したような回転継手として構成されているのが好ましい。
【0060】
上ですでに説明したように、本発明はレンズ素子の特定の個数あるいはレンズ素子の特定の型式に限定されるものではない。以下においては、この点に関して好ましい、ただし他を除外するのではない実施例について説明する。
【0061】
アタッチメント装置が、たとえば手術されるべき目を観察するための眼科用の手術用顕微鏡で使用されるとき、手術者は手術の際に網膜または硝子体に関して、網膜の中心部をその周辺領域までもよく見ることができるような視界を必要とする。そのようなケースでは、さまざまに異なる型式のレンズ素子が必要である。たとえば30Dから60Dの低いジオプターをもつレンズ素子は、大きい拡大率と高い解像度にとって理想的である。90Dから120Dの高いジオプターをもつレンズ素子は、たとえば良好な広角観察にとって理想的である。
【0062】
保持部材にただ1つのレンズ素子が設けられていれば、原則として本発明にとって十分である。しかし上に説明したとおり、2つまたはそれ以上のレンズ素子が好ましい利用ケースも存在している。
【0063】
したがって、保持部材に2つまたはそれ以上のレンズ素子が好ましくは取外し可能に配置されることが意図されているのが好ましい。このとき、たとえばジオプターの低い1つのレンズ素子とジオプターの高い1つのレンズ素子が、上に述べたようにそのつど使用されることが意図されていてもよい。それにより、アタッチメント装置を通じて異なる型式の2つのレンズ素子を提供することができ、たとえば高い解像度のためのレンズ素子と、良好な広角観察のためのレンズ素子とを提供することができる。手術者は手術中に、たとえば保持部材を回転させることによって、希望するレンズ素子をそのつど選択することができる。このことは、特に、異なるレンズ素子のあいだで頻繁に切換を行わなくてはならない手術の場合に好ましい。
【0064】
少なくとも1つのレンズ素子は検眼鏡検査ルーペとして構成されることが意図されているのが好ましい。
【0065】
検眼鏡検査ルーペは、しばしば非球面の単レンズでできているのが普通である。通常は患者の目と接触することはなく、患者の目との間隔はルーペの特性に依存して決まり、好ましくは約3から25mmであり、容易に洗浄/滅菌することができる。検眼鏡検査ルーペはその「非接触」特性と滅菌可能性により、外科的処置で広く用いられている。
【0066】
検眼鏡検査ルーペは、レンズと、保持部材に取り付けるためのルーペホルダの連結個所/収容部を備えるルーペ鏡筒とで構成されているのが好ましい。各レンズの特性は、眼底外科術における必要性に合せて適合化されるのが好ましく、基本的に、それぞれの屈折力に関して異なっている。レンズの屈折力に依存して、各々の検眼鏡検査ルーペは患者の目の眼底を最善に、すなわちフォーマットを満たすように結像するために、患者の目に対して定義された位置に位置決めされなくてはならない。保持部材は内方旋回した状態のとき、観察装置ないし患者の目に対して定義された間隔をおく。異なる検眼鏡検査ルーペの間隔差は、たとえばルーペ鏡筒の異なる程度の屈曲配置を通じて具体化される。
【0067】
レンズ素子が手術用顕微鏡の光路から出るように外方旋回しているとき、いわゆるコンタクトガラスも格別に簡単なやり方で利用することができる。コンタクトガラスは多くの場合、複数のレンズ/レンズ群で構成されている。これは患者の目と直接接触し、その光学的な結像特性に関していっそう的確に最適化して使用することができるが、多くの場合に滅菌が可能ではなく、もしくは限定的にしか可能でなく、もしくは非常に高いコストをかけなければ可能でない。コンタクトガラスは診断や管理にあたって広く利用されている。
【0068】
少なくとも1つのレンズ素子は保持装置に固定的に配置されることが意図されているのが好ましい。別の実施形態では、少なくとも1つのレンズ素子が位置変更可能なように、たとえばスライド可能なように、保持部材に配置されていることも考えられる。保持部材が一種のレンズ受け部を形成しており、これに少なくとも1つのレンズ素子がレンズホルダを介して取外し可能に取り付けられていることも可能である。このことは、たとえばレンズホルダが保持部材へ差込可能であることによって具体化することができる。
【0069】
本発明は、保持部材の特定の実施形態に限定されるものではない。以下においては、いくつかの好ましい保持部材の実施例について説明する。
【0070】
たとえば保持部材は保持アームとして構成されていてもよい。この場合、少なくとも1つのレンズ素子は保持アームの端部に配置されているのが好ましい。2つまたはそれ以上のレンズ素子が使用されるとき、保持アームは、位置決め装置への保持アームの取付点に関して当該取付点から突き出した2つまたはそれ以上のアーム領域を有しており、それぞれ1つのレンズ素子がこのようなアーム領域の端部に配置されている。
【0071】
別の実施形態では、保持部材はレンズ受け部として構成されることが意図されていてもよい。このレンズ受け部にレンズ素子が取り付けられる。そのために、レンズ素子が好ましくはレンズ鏡筒によって取り付けられた、ないしは保持された、相応のレンズホルダが設けられている。そしてレンズホルダを介して、レンズ素子が好ましくはたとえば差込接合によって取外し可能なようにレンズ受け部に取り付けられる。
【0072】
もっとも単純な場合、保持アームまたは少なくとも1つのレンズホルダは直線状の輪郭を有している。しかしながら、保持アームないし保持アームのアーム領域ないしレンズホルダが少なくとも領域ごとに角度をなす形状および/または曲線の形状および/または屈曲した形状を有している、保持アーム輪郭またはレンズホルダ輪郭も好ましい。ここで屈曲した形状とは、特に二重の角度をなすように曲げられた形状を意味するものとする。特に最後に挙げたケースでは、このような種類の直線状でない形状によって、いま必要とされていないレンズ素子を光学観察装置のそばに密着させておくことができ、それにより、光学観察装置の作業領域から突き出すことがなく、作業領域それ自体においても妨げの作用をすることがないので、操作者が妨げられることがない。保持アームが上に説明したような直線状でない形状を有しているとき、その形状は、アタッチメント装置が用いられるべき光学観察装置の輪郭と幾何学形態に合せて適合化されているのが好ましい。ただしアーム領域は、先ほど上に説明したルーペホルダとして構成されていてもよく、そしてこのルーペホルダが、収容部として構成された保持部材と結合される。
【0073】
たとえば保持アームまたはレンズ受け部の形態の保持部材は、レンズ素子のための収容部をなしており、たとえば検眼鏡検査ルーペのようなレンズ素子を使用中に保持/収容する役目を果たす。一種のレンズ素子交換器をなす保持部材が使用されるとき、この保持部材は少なくとも2つの収容個所を含んでいる。そしてこの保持部材に、たとえば相応の鏡筒を備えるレンズ素子を差込み/取り外しすることができる。この保持部材の構成では、容易な洗浄可能性と滅菌可能性が保証される。追加の連結個所により、レンズ素子を滅菌等のために保持部材から取り外すことができ、たとえばその保持部から取り出すことができ、それは、たとえばレンズ素子が他の洗浄方法/滅菌方法で再処理されるような場合である。それによって保持部材を、たとえば異なるレンズ素子の組み合わせを備える交換器を、たとえば外科処置中における迅速かつ複雑でない使用のために構成することができる。
【0074】
このように、少なくとも1つのレンズ素子が保持部材に取外し可能に配置されることが意図されるのが好ましい。
【0075】
観察装置にないし患者の目に対するレンズ素子固有の異なる間隔は、好ましくはさまざまに異なる屈曲配置を備える、レンズ素子固有の鏡筒によって実現されるのが好ましい。
【0076】
保持部材は、位置決め装置に回転可能に配置されることが意図されているのが好ましい。このようにして、希望する作業位置にくるようにレンズ素子を楽に回転させることができる。保持部材が2つまたはそれ以上のレンズ素子を有していれば、そのようにして、ちょうどいま必要とされるレンズ素子を作業位置へくるように楽に回転させることができる。保持部材は、どのレンズ素子も作業位置にない、たとえば特定の光路内にない位置へも回転させることができ、もしくは回転可能であるのが好ましい。このような位置は中立位置または停止位置と呼ぶことができる。このような位置では、上のほうで説明したコンタクトガラスを用いての作業が簡単かつ快適に可能である。
【0077】
このような仕方で保持部材が位置決め装置に回転可能に配置されているとき、これを一種のリボルバ装置またはそのようなリボルバ装置の構成要素と呼ぶことができる。この種のリボルバ装置については後でまたさらに詳細に説明することとし、この点に関しては、このような好ましいアタッチメント装置の構成に鑑み、リボルバ装置についての相応の説明も全面的に援用するので参照されたい。
【0078】
アタッチメント装置がたとえば眼科用の手術用顕微鏡のために使用され、基本的な結像システムとして利用されるとき、たとえば、アタッチメント装置が畳まれて顕微鏡のそばにくる停止位置を設定することができ、このとき、たとえば検眼鏡検査ルーペであってもよいレンズ素子のための(好ましくは山形の)保持部材が適当に回転し、それによってどのレンズ素子も光路内に位置しないようになる。このことは、患者の目の手術時にいわゆるコンタクトガラスを使用することも手術者に可能にする。これは、患者の目に直接載せられ、手術用顕微鏡に取り付けられた保持部に収容されるのではないレンズ素子である。
【0079】
アタッチメント装置が手術用顕微鏡との関連で使用されるとき、たとえば眼科用の手術用顕微鏡との関連で使用されるとき、アタッチメント装置の利用によって所要の手術時間を短縮することができる。手術者は必要なレンズ素子を簡単かつ迅速に見つけ、(好ましくは保持部材を回転させることで)これを利用する。単一のシステムが、あらゆる異なる種類の手術および手術ステップをカバーできるようになる。このことは、たとえば使用されるべき装置の個数、使用されるべき材料、実施されるべき洗浄や滅菌プロセスなどの面から、手術コストをいっそう引き下げる。
【0080】
アタッチメント装置の比較的単純な構造(光学デバイスがなく、モータ式または手動式の調節ユニットや高いコストのかかる伝動装置などがない)は、容易に洗浄し、殺菌し、滅菌することができる。したがってアタッチメント装置全体を、滅菌条件のもとでの使用のために迅速かつ簡単に適用することができる。
【0081】
本発明の別の態様では、光学観察装置のための、特に顕微鏡のためのアタッチメント装置に、少なくとも2つのレンズ素子を回転可能に配置するためのリボルバ装置が提供される。特にリボルバ装置は、上に説明した本発明のアタッチメント装置へ回転可能に配置するために設けられていてもよく、それにより、リボルバ装置に関して述べた一切のことは、本発明によるアタッチメント装置との関連でも当てはまる。この関連では、焦点合せ装置と、カバーキャップと、これに配置された保持装置と、相応のリボルバ装置とで構成されるアタッチメント装置が好ましい。
【0082】
リボルバ装置は、上に説明した仕方で構成されていてもよく、少なくとも2のレンズ素子が配置された、回転軸を中心として回転可能な保持部材を有している。
【0083】
リボルバ装置全体が一種のレンズ素子交換器をなしており、レンズ素子は保持部材にあり、保持部材は回転可能に支承されており、それによりレンズ素子をリボルバの弾倉と同じように次々と回転させることができる。このとき特に、個々のレンズ素子はそれぞれ離散した位置へ、たとえば停止位置や作業位置へ、回転させることができることが意図される。当然ながら、レンズ素子を最大360度だけ回転させることができることも考えられる。
【0084】
このようなリボルバ装置の保持部材は、あるいは上のほうで説明した保持部材も含めて一般に、レンズ受け部として構成されており、少なくとも2つのレンズ素子がそれぞれレンズホルダに配置されており、これを介して特に取外し可能にレンズ受け部に配置されていることが意図されるのが好ましい。少なくとも1つのレンズホルダは、少なくとも領域ごとに曲線の形状または角度をなす形状または屈曲した形状を有することが意図されているのが好ましい。
【0085】
さらに、好ましくは適当なアタッチメント装置によってリボルバ装置が取り付けられている観察装置の光学軸に対して、リボルバ装置の回転軸が傾いた形状を有していると好ましい。
【0086】
このような種類のリボルバ装置によって、さまざまなレンズ素子、たとえば検眼鏡検査ルーペを手術中でも、かつ何度でも、かつ滅菌状態のもとで、短期的に交互に光学系の光路へ入るように内方旋回させることができ、または、相応の中間位置を介してすべてのレンズ素子を、たとえば検眼鏡検査ルーペを、光路から出るように外方旋回させることができる。リボルバ装置は、保持部材の相応の構成を通じて、必要でない/必要でなくなったそれぞれの検眼鏡検査ルーペが、観察装置の下方の設計スペースをできる限りわずかしか妨げることがないように構成されている。このことは特に、回転継手の相応に角度をなす配置とレンズホルダの屈曲配置によって実現される。
【0087】
検眼鏡検査ルーペ交換器の機能を有することになるこのようなリボルバ装置の使用は、さまざまに異なる検眼鏡検査ルーペの同時ではない交互の内方旋回を可能にするとともに、たとえばコンタクトガラスを使用するときに焦点合せ光学系が内方旋回しているとき、(すべての)検眼鏡検査ルーペを観察装置の光路から出るように外方旋回させることを可能にする。このときリボルバ装置と検眼鏡検査ルーペ、たとえばその鏡筒は、ルーペを、その屈折力に依存して、観察装置ないし患者の目に対して定義された異なる間隔に位置決めすることができるように構成されている。
【0088】
本発明のさらに別の態様では、上に説明した少なくとも1つの本発明によるアタッチメント装置および/または本発明によるリボルバ装置を有することを本発明に基づいて特徴とする光学観察装置が提供される。したがって繰返しを避けるために、まず、本発明によるアタッチメント装置およびリボルバ装置についての上述した説明を全面的に引用するので参照されたい。この観察装置は顕微鏡であるのが好ましい。
【0089】
本発明のさらに別の態様では、上に説明した本発明によるアタッチメント装置を有しており、さらに、光学観察装置に統合された焦点合せ装置を有していることを特徴とする光学観察装置、特に顕微鏡が提供される。したがって繰返しを避けるために、まず、この点に関しては本発明によりアタッチメント装置についての上述した説明を全面的に引用するので参照されたい。光学観察装置は、上に説明した本発明によるリボルバ装置も有しているのが好ましく、したがって、この点に関しても上述の説明を全面的に引用するので参照されたい。この観察装置は顕微鏡であるのが好ましい。
【0090】
光学観察装置は対物レンズを有しているのが好ましく、アタッチメント装置は対物レンズの周辺領域で光学観察装置に配置されている。アタッチメント装置の配置は、対物レンズの縁部領域で行われるのが好ましい。このときアタッチメント装置の配置は、対物レンズを通過して延びる光路にレンズ素子を入れることができるように行われるのが好ましい。
【0091】
アタッチメント装置は旋回可能および/または回転可能および/または直線変位可能なように光学観察装置に配置されることが意図されているのが好ましい。
【0092】
アタッチメント装置は、焦点合せ装置、カバーキャップ、位置決め装置、および保持部材を備える保持装置という各基本コンポーネントで構成されているのが好ましい。
【0093】
アタッチメント装置は、光学観察装置に取外し可能に配置されているのが好ましい。そのようにして、アタッチメント装置を容易に取り外すことができ、たとえば洗浄、オートクレーブでの滅菌などを行うことができる。
【0094】
焦点合せ装置は、光学観察装置に取外し可能に配置されることが意図されるのが好ましい。たとえば焦点合せ装置はアダプタを介して、たとえば差込式のありつぎ接合を介して、継続的に、すなわち外科的処置の時間全体を通じて、顕微鏡に取り付けることができる。このようにして、個々の外科的処置の間にこのようなアダプタ個所/カップリング個所を介して、特に滅菌条件のもとで、焦点合せ装置を必要時に取り外すことができる。アタッチメント装置ないし焦点合せ装置はアダプタに装着/嵌装された後に、適当な固定部によって、たとえば係止機構/クランプ機構によって、手術中に意図せず外れることがないよう固定/固着される。光学観察装置から、たとえば顕微鏡から、アタッチメント装置ないし焦点合せ装置を取外し可能であることは、特に、顕微鏡が比較的長期にわたって、ないし複数回の手術にわたって、眼底外科用としてではなく前眼部外科用としてのみ用いられる場合に、作業スペースの増加、少ない重量、少ない妨害的輪郭などの観点から好ましい。光学観察装置からの焦点合せ装置の取外し可能性は、前眼部外科における妨害的輪郭の削減を可能にする。
【0095】
焦点合せ装置それ自体は、複雑に構成されていて非常に敏感なのが普通である。したがって、焦点合せ装置は洗浄したり滅菌されないのが通常である。この目的のために、それ自体が洗浄可能かつ滅菌可能であり、焦点合せ装置と取外し可能に結合されてこれを覆う少なくとも1つのカバーキャップが設けられている。カバーキャップおよびこれに配置された保持装置の利用は、滅菌状態での作業を可能にする。
【0096】
たとえば、アタッチメント装置ないし焦点合せ装置は光学観察装置にスライド可能に配置されることが意図されていてもよい。このことは、たとえば直線案内部のような滑り機構を通じて行うことができる。滑り機構は、係止される2つの最終位置/最終姿勢を有しているのが好ましい。そのようにして、焦点合せ光学系/縮小光学系を外科的処置の途中で一時的に、かつ何度でも、観察装置の光路へ入るように内方旋回させ、ならびに、この光路から出るように外方旋回させることができ、しかも、作業スペースのできる限り最低限の制約しか生じないようにこれを行うことができ、このことは、設計スペースが最小限に抑えられた構成につながる。このような内方旋回運動/外方旋回運動のとき、焦点合せ装置のスライド可能な領域に取り付けられたカバーフードも一緒に動く。外方旋回は、特に顕微鏡での部分的に複雑な照明に基づく望ましくない反射等を防ぐために、特に前眼部での作業にとって有意義/必要である。これに加えて、主対物レンズのすぐ下の作業スペースには顕微鏡が存在しておらず、このことは妨害的輪郭の削減や、運動の自由が増えることなどにつながる。
【0097】
光学観察装置は手術用顕微鏡として、特に眼科用の手術用顕微鏡として構成されているのが好ましい。
【0098】
上に説明した本発明のアタッチメント装置および/または上に説明した本発明の光学観察装置は、接触の生じない間接的な眼科学のため、または接触の生じる間接的な眼科学のために用いられるのが好ましい。
【0099】
光学観察装置、たとえば手術用顕微鏡は、好ましくは双眼鏡胴に設けられるビーム交差と画像反転のためのシステムも含むことができる。
【0100】
次に、添付の図面を参照しながら実施例を用いて本発明を詳しく説明する。

【実施例】
【0101】
図1には、眼科用の手術用顕微鏡の形態のそれ自体公知である光学観察装置10が示されている。この手術用顕微鏡10は検眼鏡検査顕微鏡であるとする。このような種類の顕微鏡は当業者にはそれ自体公知であり、したがって、その基本構造については本件では詳しくは立ち入らない。
【0102】
まず図1に明示されているように、顕微鏡10は対物レンズ11を有する顕微鏡本体15からなっている。これは顕微鏡10の主対物レンズであるとする。顕微鏡本体15の下面には、あとでまた詳しく説明する焦点合せ装置50が配置されている。アタッチメント装置20の構成要素である焦点合せ装置50には、カバーキャップ60が取り付けられている。さらにカバーキャップ60には保持装置38が取り付けられており、これによってレンズ素子33,34が保持される。レンズ素子33,34はリボルバ装置48を介して回転可能なように保持装置38に取り付けられている。リボルバ装置48は、あとでまた図11および図20との関連で詳しく説明する。
【0103】
次に、顕微鏡本体15への焦点合せ装置50の内方旋回と外方旋回にかかわる取付けならびに位置決めについて、図2から図5を参照しながら説明する。ここにまず図示されているように(図2)、焦点合せ装置50は焦点合せ光学系の形態で構成されており、たとえば縮小光学系の形態で構成されている。焦点合せ装置50は、スライド可能な正成分51および位置固定された負成分52の形態の2つの光学デバイスを有している。光学デバイス51,52は、顕微鏡10の主対物レンズ11とともに光学軸に位置している。焦点合せ装置50の光学デバイス51,52は、レンズ素子33,34(図1)の中間画像に合せて顕微鏡10の焦点合せをする役目を果たす。図3には、顕微鏡に取り付けるために、焦点合せ装置50がまず下から顕微鏡本体15に向かって取り付けられることが示されている。このことは矢印53で図示されている。取付けが完了した後、係止をする2つの最終位置/最終姿勢を有する滑り機構、いわゆる直線案内部によって、外科的処置をしている間に焦点合せ装置50を一時的、かつ何度でも、顕微鏡10の光路へ入るように内方旋回させ、ならびにこれから出るように外方旋回させることができる。このようなスライドは図4図5に矢印54で図示されており、図4では焦点合せ装置50が外方旋回した状態で示されており、図5では焦点合せ装置50が内方旋回した状態で示されている。
【0104】
手術用顕微鏡10は、特別に構成された本発明によるアタッチメント装置20を有している。この本発明によるアタッチメント装置は、図6に部分Aとして表示されている。部分Aは図7に拡大して示されている。次に、本発明によるアタッチメント装置20の構造と機能形態について、まず図7と関連させながら説明する。
【0105】
このアタッチメント装置20は、手術用顕微鏡10の対物レンズ11のためのアタッチメントとしての役目を果たすものとする。そのためにアタッチメント装置20は、物体領域のほうを向いている手術用顕微鏡の領域で、手術用顕微鏡10に接続されている。
【0106】
アタッチメント装置20は、まず、検眼鏡検査ルーペの形態の2つのレンズ素子33,34を備えている。これらのレンズ素子は保持部材32を介して、位置決め装置21に配置されている。保持部材32と位置決め装置21は、保持装置38の構成要素である。
【0107】
位置決め装置21はアタッチメント装置20の主要な構成要件のひとつである。位置決め装置21は、一般に、たとえば回転継手などの継手31を介して相互に結合された2つの位置決め部材22,28で構成されている。
【0108】
本例では、収容スペース25を区切る、互いに間隔をおいた2つの脚部23,24を有する第1の位置決め部材22がまず設けられている。第1の位置決め部材22の一方の端部26で、この位置決め部材は継手31を介して第2の位置決め部材28と結合されている。
【0109】
第1の位置決め部材22の第2の端部27は、アタッチメント装置20のカバーキャップ60に保持装置38を取り付ける役目を果たす。カバーキャップ60は、焦点合せ装置50(図7には図示せず)を滅菌状態に覆う役目を果たす。カバーキャップ60は、焦点合せ装置50に取外し可能に配置されているのが好ましい。このようにして、カバーキャップ50を保持装置38とともに顕微鏡10から取り外し、手術の終了後に楽に洗浄し、殺菌し、滅菌することができる。
【0110】
カバーキャップ60への保持装置38の取付は、回転継手を備える適当な取付装置35を介して行われ、たとえば相応に構成されたボルト接合またはねじ接合を介して行われる。そのために取付装置35は、カバーキャップ60の取付領域12に構成された、対応する取付脚部13,14と協働する。この取付部を介して、保持装置38は第1の位置決め部材22で第1の旋回方向36へ旋回可能なように、アタッチメント装置20のカバーキャップ60に配置されている。このとき、アタッチメント装置20は手術用顕微鏡10に取外し可能に配置されることが意図されていてもよい。そのようにして、洗浄目的や滅菌目的のためにアタッチメント装置を簡単に取り外し、たとえばオートクレーブに入れることができる。
【0111】
第2の位置決め部材28は棒状に構成されており、その一方の端部29で継手31を介して第1の位置決め部材22と結合されている。このとき継手31は、両方の位置決め部材22,28を折り畳むことができるように構成されている。このことは、第2の位置決め部材28が折り畳まれた状態のとき、第1の位置決め部材22の収容スペース25の内部に入るようにして行われる。
【0112】
第2の位置決め部材28の他方の端部30には、保持部材32が回転可能に配置されている。ここでは保持部材32は保持アームとして構成されており、この保持アーム32は、保持アーム32が位置決め部材28の端部30と結合された中心点からそれぞれ突出する2つのアーム領域を有している。保持アーム32のそれぞれ外側の端部には、レンズ素子33,34が設けられている。
【0113】
保持アーム32およびこれとともにレンズ素子33,34は、第2の位置決め部材28および継手31を介して、第1の旋回方向36と反対を向いた第2の旋回方向37へ旋回可能である。
【0114】
図6図7、および図12には、アタッチメント装置20が完全に展開された第1の状態が示されている。この展開位置は、たとえば重量の力に基づいてとることができる。たとえば相応の固定が外されると、アタッチメント装置は重量の力だけに基づいて、展開された位置をとろうとする。保持アーム32を適宜回転させることで、手術者は、対物レンズ11を通過して延びる光路へ第1のレンズ素子33か第2のレンズ素子34を選択的に入れたり、ないしは、これら両方のレンズ素子を光路から出るように旋回させることが可能である。
【0115】
図13図14には、アタッチメント装置20がもう少しだけ折り畳まれた第2の状態が示されている。本実施例では、これは作業位置ではないものとする。むしろ前掲の図面には、重量機構に基づく位置決め装置21の運動性を明示する中間位置が示されている。
【0116】
最後に図15から図19には、アタッチメント装置20が折り畳まれた状態で示されている。まず、保持アーム32の少なくとも部分的に角度をなす形状によって、レンズ素子33,34を、ただし少なくとも現在必要とされないレンズ素子を、手術用顕微鏡10のごく近くに当て付けられるようにできることが明らかであり、それにより、作動時に手術者にとって妨げになることがない。図15図16、および図17には、レンズ素子33が光路にある状況が示されている。一方、図18図19には、レンズ素子33,34が一種の停止位置にある状況、すなわちどのレンズ素子も光路にない状況が示されている。このような位置は、たとえば患者の目に直接載せられるのでレンズ素子33,34が必要とされないコンタクトガラスを使用しようとする場合に好ましい。そのような場合、焦点合せ装置50は、コンタクトガラスを用いた作業を可能にするために、依然として有効であるのが好ましい。
【0117】
図8から図10には、保持装置38にあるカバープレート60を介して、アタッチメント装置20がどのように顕微鏡10の顕微鏡本体15に取り付けられるかが示されている。
【0118】
滅菌されたカバープレート60を、手術中に滅菌状態のもとでも(必要に応じて何度でも)、焦点合せ装置50のスライド可能な領域へ一時的に嵌装することができる。ここでは嵌装方向は矢印61で図示されている。図8に見られるように、カバーキャップ60は前方から焦点合せ装置50へ嵌装される。嵌装されるとキャップ60は係止され、カバーキャップ60が焦点合せ装置50に対してアライメントされて、手術中に意図せず外れることがないよう固定されるようになっている。この固定は、係止ラグがアンダーカット部に下方から係合することができる固定装置62によって行われる。係止ラグは、ばね装置によって、この固定位置で保持することができる。嵌装された状態のカバーキャップ60が、図9に示されている。カバープレート60の係止解除ないし取外しは、カバープレート60にある2つの操作部材/ロック解除ボタン63を通じて行うことができる。ボタン63をロック解除方向64(図10)へ押すことで、係止ラグがアンダーカット部から持ち上げられ、それによってカバーキャップ60が固定装置50から外れ、これから取り出すことができる。
【0119】
図11は、アタッチメント装置20のさまざまな機能性についての見取り図を示している。アタッチメント装置20は、まずカバーキャップ60が焦点合せ装置50に取外し可能に取り付けられるように設計されている。1つの解決法は、ロック解除ボタン63を押すことによって成立させることができる。保持装置38は、第1の位置決め部材22および取付装置35を介してカバーキャップ60に取り付けられている。このとき、保持装置38はカバーキャップ60に回転可能ないし回転自在に配置されることが意図されていてもよく、このことは回転矢印39で図示されている。さらに、両方の位置決め部材22,28は回転継手31を介して折り畳んだり展開したりすることができ、このことは、両方の位置決め部材22,28の間の開き角を示す矢印40で図示されている。レンズ素子33,34は、保持アーム32を介して、第2の位置決め部材28に回転可能ないし回転自在に配置されており、このことは矢印41で図示されている。
【0120】
図11には、上のほうですでに述べたリボルバ装置48が大きな詳細図として示されている。リボルバ装置は、まず、レンズ受け部42の形態で構成された保持部材32からなっている。このレンズ受け部42は、回転軸49を中心として回転可能なように、第2の位置決め装置28の端部に配置されている。このとき、回転軸49は顕微鏡の光学軸に関して傾いていることが意図される。リボルバ装置48は、回転軸41を中心とするレンズ素子33,34の回転を可能にする。そのために、相応のレンズ鏡筒47に保持されたレンズ素子33,34は、屈曲したレンズホルダ43,44にレンズ鏡筒を介して取り付けられている。さらにレンズホルダ43,44はレンズ受け部42に好ましくは取外し可能に取り付けられている。
【0121】
保持部材32を明瞭に示すさらに別の実施例について、図20と関連させながら詳しく説明する。保持部材32は、まず、第2の位置決め装置28の自由端30に回転可能ないし回転自在に支承されたレンズ受け部42を備えている。さらに位置決め部材28は、回転継手31を介して第1の位置決め部材と結合されている。レンズ受け部42にはレンズホルダ43,44を差し込むことができ、さらに、レンズホルダにレンズ素子33,34が設けられている。このときの差込方向は矢印45および46で図示されている。このような差込接合は、たとえば洗浄目的などのために、レンズ素子を簡単な仕方でレンズ受け部42から取り出すことができるという利点がある。
【0122】
図21には、検眼鏡検査ルーペであると仮定するレンズ素子のさまざまな実施形態が示されている。本来のレンズ素子33はレンズ鏡筒47のなかにあり、これを介してレンズホルダ43に取り付けられている(図21a)。図21bには屈折力の低い検眼鏡検査ルーペ、図21cには屈折力が中程度の検眼鏡検査ルーペ、図21dには屈折力の高い検眼鏡検査ルーペがそれぞれ示されている。
【0123】
図21には、屈曲の大きさの異なるレンズホルダ43が示されている。これらの大きさの異なる屈曲は、患者の目に対する検眼鏡検査ルーペの最善の作業間隔が相違していることによって根拠づけられる。
【0124】
最後に図22から図25には、さまざまな典型的な作業状況が示されている。
【0125】
図22には、目の前眼区域での作業のために適した状況が示されている。アタッチメント装置が外方旋回し、焦点合せ光学系が光路から外に出ているときに、患者の目の虹彩の平面にあわせた手術用顕微鏡の焦点合せが行われる。図23は、間接的なコンタクトガラスを用いる作業のための状況を示しており、ただしコンタクトガラスははっきりとは図示していない。焦点合せ装置は内方旋回しており、ルーペ交換器は停止位置にある。図24は、手術用顕微鏡による接触の生じない間接的な検眼鏡検査における、アタッチメント装置の光学デバイスの原理的な構造を示している。検眼鏡検査ルーペは、光学軸と平行に、かつ検眼鏡検査ルーペの屈折力に依存して定義される、顕微鏡およびこれに伴う患者の目との一定の間隔に合せて、内方旋回している。患者の目に対する間隔は、最善の、すなわち口径食のないフォーマットを満たす結像が得られるように選択されている。通常、この時点ではまだ鮮明な画像は生じていない。必要な場合には、ルーペを交換するために保持部材を操作することができ、特に回転させることができる。このことは図25との関連で示されている。この図面では、光学軸と平行に、かつ検眼鏡検査ルーペの屈折力に依存して定義される、顕微鏡およびこれに伴う患者の目との一定の間隔に合せて、1つ/複数の別の/所望の検眼鏡検査ルーペの交換/内方旋回が行われている。このとき患者の目に対する間隔は、最善の、すなわち口径食のないフォーマットを満たす結像が得られるように選択されている。通常、この時点ではまだ鮮明な画像は生じていない。
【0126】
引き続いて、検眼鏡検査ルーペによって生成される眼底または硝子体領域(網膜の上方xmm)の中間画像に合せてシステムを闡明するために、焦点合せ光学系の調節が行われる。
【0127】
このとき中間画像の位置は、検眼鏡検査ルーペの型式ないし屈折力、観察されるべき目の非正視、目の観察されるべき領域/区域、目の異常、または検眼鏡ルーペから目までの距離に依存して決まる。
【0128】
このように、検眼鏡検査ルーペないしコンタクトガラスが適宜位置決めされれば、多種多様な条件のもとで、かつさまざまに異なる検眼鏡検査ルーペないしコンタクトガラスについて、観察装置での位置変更を行うことなく眼底の観察が可能であり、患者の目から顕微鏡までの距離は変わらずに保たれる。その結果、前眼部の観察と眼底の観察とのあいだで迅速かつ複雑でない切換が行われる。これに加えて、このようなシステムは簡単にセットアップして操作することができる。焦点合せと瞳位置の操作は、互いに切り離された2つの運動を通じて行われる。
【0129】
各図面に示しているアタッチメント装置は、設計的に簡単な仕方で製造することができ、同じく簡単に手術用顕微鏡に取り付け、ならびにこれから取り外すことができる。継手を中心とする位置決め部材の旋回可能性により、アタッチメント装置一式を折り畳むことができるので、特に必要とされないときに、非常に省スペースに手術用顕微鏡で保持することができる。第1の位置決め部材も取付装置を介して旋回可能なように手術用顕微鏡に配置されているので、レンズ素子を備える保持装置を、妨げにならない領域へ簡単な仕方で旋回させることができる。しかも所要の設計スペースを削減することができる。このアタッチメント装置は簡単な仕方で操作することができ、さまざまな位置へ移動させることができ、そのために別個の駆動装置を必要とすることがない。
【符号の説明】
【0130】
10 光学観察装置(手術用顕微鏡)
11 対物レンズ
12 取付領域
13 取付脚部
14 取付脚部
15 顕微鏡本体
20 アタッチメント装置
21 位置決め装置
22 位置決め部材(第1の位置決め部材)
23 脚部
24 脚部
25 収容スペース
26 (第1の)位置決め部材の端部
27 (第1の)位置決め部材の端部
28 (第2の位置決め部材の)位置決め部材
29 (第2の)位置決め部材の端部
30 (第2の)位置決め部材の端部
31 継手(回転継手)
32 保持部材(保持アーム)
33 第1のレンズ素子(検眼鏡検査ルーペ)
34 第2のレンズ素子(検眼鏡検査ルーペ)
35 取付装置
36 第1の旋回方向
37 第2の旋回方向
38 保持装置
39 回転方向
40 開閉方向ないし開き角
41 回転方向
42 レンズ受け部
43 レンズホルダ(第1のレンズ素子)
44 レンズホルダ(第2のレンズ素子)
45 差込方向
46 差込方向
47 レンズ鏡筒
48 リボルバ装置
49 リボルバ装置の回転軸
50 焦点合せ装置
51 光学デバイス(正成分)
52 光学デバイス(負成分)
53 嵌装方向
54 スライド方向
60 カバーキャップ
61 嵌装方向
62 固定装置
63 ロック解除ボタン
64 ロック解除方向
図6に示す光学観察装置の部分図
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25