(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多数の凸部を形成したエンボスフィルムと平面状のベースフィルムとを貼り合わせて凸状の独立した気泡を有する気泡性緩衝シートを、複数の平板からなるライナーの間を互いに平行に走る多数のリブが形成された多孔質構造を有する複数の樹脂板を重ね合わせて積層してなる樹脂部材の前記複数の樹脂板同士が重なりあっていない面に貼り合わせてなり、
前記樹脂部材は、複数の樹脂板の間に、多孔質構造を有する樹脂板に空間部が設けられた芯部材を積層してなり、空間部は、前記樹脂板のリブとリブとの間に形成された空間によって樹脂部材の外部と連通するように形成されていることを特徴とする緩衝用マット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した各特許文献に記載の緩衝用マットは、使用者の寝心地又は座り心地をよくするために、ある程度の高さと硬さ、クッション性(以下、クッション性等という。)を維持することが必要であり、そのために所定の厚さを有するように形成されている。しかし、クッション性等をどの程度にしたら寝心地又は座り心地がよいかは使用者によって異なるため、所定の厚さを有するように形成して、クッション性等を維持することができるように形成された従来の緩衝用マットは、必ずしも使用者にとって寝心地又は座り心地のよいものとは限らないという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するためには、使用者が緩衝用マットのクッション性等を調節できるようにすることが得策ではある。しかし、従来の緩衝用マットは、構造上、使用者が緩衝用マットのクッション性等を調節することが困難であるという問題があった。
【0006】
例えば、上記したコイルスプリング層を有する緩衝用マットの場合には、クッション性等を調節するためには林立したコイルスプリングを取り替えなければなければならない。また合成樹脂や液体を緩衝用マットに使用する場合にも、使用者が緩衝用マットのクッション性等を調節するためには緩衝用マット内に充填された液体の量を調整したり、調整後に液体が外部へ漏れないようにしなければならない。しかし、使用者がこのような作業を行うことは非常に困難であったため、使用者は、緩衝用マットが寝心地又は座り心地のよいクッション性等を有していなかった場合でも、その緩衝用マットをそのままの状態で使用しなければならないという問題があった。
【0007】
また、上記した特許文献に記載の緩衝用マットは、人体から発する汗、臭い又は垢等を吸収しやすく、不衛生になりがちであるものの、洗濯をするのが困難で、仮に洗濯をすることが可能であったとしても時間と費用がかかってしまうという問題もあった。さらに、上記した特許文献に記載の緩衝用マットは、クッション性等を維持するためにある程度の厚さが必要になるところ、厚みのある緩衝用マットは折り畳むのが困難で、仮に折り畳めたとしても2〜3回折り畳むことができる程度であった。そのため、緩衝用マットをコンパクトに収納することができず、収納スペースを確保しなければならないという問題もあった。
【0008】
本発明は、使用者がクッション性等を調節することができ、かつ衛生的な状態を維持することが可能な緩衝用マット、及び折り畳み式緩衝用マットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
(1)多数の凸部を形成したエンボスフィルムと平面状のベースフィルムとを貼り合わせて凸状の独立した気泡を有する気泡性緩衝シートを、複数の平板からなるライナーの間を互いに平行に走る多数のリブが形成された多孔質構造を有する複数の樹脂板を重ね合わせて積層してなる樹脂部材
の前記複数の樹脂板同士が重なりあっていない面に貼り合わせてなり、前記樹脂部材は、複数の樹脂板の間に、多孔質構造を有する樹脂板に空間部が設けられた芯部材を積層してなり、空間部は、前記樹脂板のリブとリブとの間に形成された空間によって樹脂部材の外部と連通するように形成されていることを特徴とする緩衝用マット、
(2)複数の樹脂板は、それぞれの樹脂板のリブが互いに交差するように積層されてなる上記
(1)記載の緩衝用マット、
(3)樹脂板が、連続気泡を有する発泡体からなる発泡成形板である上記
(1)又は(2)記載の緩衝用マット、
(4)気泡性緩衝シートのベースフィルムがアルミ蒸着フィルム又はアルミ箔ラミネートフィルムである上記
(1)〜(3)のいずれか1つに記載の緩衝用マット、
(5)独立気泡の大きさが異なる複数の気泡性緩衝シートを樹脂部材に貼り合わせてなる上記
(1)〜(4)のいずれか1つに記載の緩衝用マット、
(6)上記
(1)〜(5)のいずれか1つに記載の緩衝用マットを複数用いた折り畳み式緩衝用マットにおいて、緩衝用マットを収納可能な複数の収納部と、収納部と収納部の間に形成された折り畳み代を有する袋体を備え、それぞれの緩衝用マットをそれぞれの収納部へ収納し、袋体を折り畳み代にて折り畳み可能にした折り畳み式緩衝用マット、
を要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の緩衝用マットによれば、多孔質構造を有する樹脂板からなる樹脂部材に気泡性緩衝シートを貼り合わせることにより構成しているので、使用者は樹脂部材や気泡性緩衝シートを適宜選択することができる。そのため、使用者は、使用者にとって最も寝心地又は座り心地のよいクッション性等を有する緩衝用マットを得ることが可能になる。また、本発明の緩衝用マットは、気泡性緩衝シートと樹脂部材から構成することにより軽量化を図ることができ、例えば老人や子供のように力のない者であっても簡単に持ち運ぶことが可能になる。また、本発明によれば、使用者が樹脂部材や気泡性緩衝シートの大きさ又は形状を種々選択することができるので、使用者の要求にあった大きさ又は形状の緩衝用マットを提供することが可能になる。さらに、本発明の緩衝用マットは、樹脂部材と気泡性緩衝シートとから構成されているので水洗いすることが出来る。そのため、緩衝用マットに付着した人体の汗、臭い又は垢等を簡単に取り除くことができ、常に衛生的な状態を維持することが可能になる。
【0011】
また、本発明の折り畳み式緩衝用マットは、上記した構成の緩衝用マットを袋体に複数個収納して折り畳み可能にしたものであるから、従来の緩衝用マットに比べて軽量化を図ることが可能になる。また、本発明の折り畳み式緩衝用マットは、従来の緩衝用マットに比べて折り畳み時の大きさもコンパクトにすることができるので、収納スペースを確保する必要がなく、スペース効率を向上させることも可能になる。また、本発明の折り畳み式緩衝用マットは、使用者が緩衝用マットの大きさ又は形状を種々選択することができるので、使用者の要求にあった大きさ又は形状の緩衝用マットを提供することが可能になる。さらに、本発明の折り畳み式緩衝用マットは、折り畳むとクッション性等を有する緩衝用マットを複数段に重ねた状態になるので、外部からの衝撃を吸収することができる。そのため、折り畳み時にはバンパー等のような緩衝部材としても使用することができ、ベビーカーや車椅子のような軽車両の前面に装着することにより、軽車両を利用する者の安全性を向上させることも可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る第1の実施の形態の緩衝用マットの構成を
図1に基づいて説明する。
図1(a)は、本実施の形態に係る緩衝用マットの構成を表した外観斜視図、
図1(b)は、
図1(a)におけるA−A’線の拡大断面図である。
【0014】
図1に示すように、本形態の緩衝用マット1は、気泡性緩衝シート2を樹脂部材3に貼り合わせて構成されている。本実施の形態では、樹脂部材3は1枚の樹脂板4から構成されている。気泡性緩衝シート2は、緩衝用マット1のクッション性を確保するためのもので、平面状のベースフィルム5と多数の凸部6aを形成したエンボスフィルム6とを熱融着等の方法により貼り合わせて、凸状の独立した気泡が形成されたシートである。このベースフィルム5及びエンボスフィルム6には、ポリエチレン製のシートが使用されている。気泡性緩衝シート2は、例えば気泡の大きさが異なるものに取り替えることによって、使用者にあったクッション性を有するように調節することが可能になっている。
【0015】
樹脂部材3は、本実施の形態では1枚の樹脂板4から構成されており、樹脂板4は、2枚の平板7a,7bからなるライナー7の間を互いに平行に走る多数のリブ8が接続された構造を有するプラスチック段ボールにより形成されている。樹脂板4にプラスチック段ボールを使用することにより、緩衝用マット1の通気性を向上させることが可能になる。なお、樹脂板4には、プラスチック段ボールの他に、例えば連続気泡を有する発泡体からなる発泡成形板を用いてもよい。発泡成形板は、板内に形成される連続気泡が種々の方向へ向くように形成されるので、特定の方向に対する強度と他の方向に対する強度との間にバラツキがなく、発泡成形板全体の強度を均一にすることが可能になる。
【0016】
本実施の形態の緩衝用マット1によれば、気泡性緩衝シート2を用いることによってクッション性を向上させると共に、樹脂部材3を用いることによって緩衝用マット1の剛性を向上させることができるので、気泡性緩衝シート2と樹脂部材3を適宜選択することによって、クッション性及び剛性を任意に調節することができる。しかも、この調節は、気泡性緩衝シート2と樹脂部材3を貼り合わせるだけでよいので、使用者でも簡単に調節することが可能になる。また、使用者は、気泡性緩衝シート2、樹脂部材3の大きさ又は形状を種々選択することもできるので、使用者の要求にあった緩衝用マット1を提供することも可能になる。さらに、本実施の形態に係る緩衝用マット1は、使用することによって使用者の汗、臭い、垢などが付着しても水洗いで十分に汚れを落とすことができ、乾燥後に再度利用することができるので、衛生面でも良好な緩衝用マットを提供することが可能になる。また、本実施の形態の緩衝用マット1は、気泡性緩衝シート2と樹脂部材3により構成されているので、非常に軽量で、例えば老人や子供のように力のない人でも簡単に持ち運ぶことが可能である。さらに、本実施の形態の緩衝用マット1は、樹脂のリブ8とリブ8の間に空間が形成されているので、この空間を通じて通気性を向上させることができ、緩衝用マット1内に湿気や熱気が溜まることを防止することが可能になる。
【0017】
なお、上記したベースフィルム5には、アルミ蒸着フィルム又はアルミ箔ラミネートフィルムを用いることが好ましい。アルミ蒸着フィルム又はアルミ箔ラミネートフィルムを用いることによって使用者から放射される熱をポリエチレン製のシートに比べて効率よく輻射させることができ、緩衝用マット1における保温性を向上させることが可能になる。また、アルミ蒸着フィルム又はアルミ箔ラミネートフィルムにより熱を輻射しやすい面と、さほど熱を輻射しない面とを形成することができるので、季節によって面を使い分けることで、通年使用することができ、使用効率も大幅に向上させることが可能になる。
【0018】
例えば、冬場などの寒い時期には、アルミ蒸着フィルム又はアルミ箔ラミネートフィルムによって使用者から放射される熱を輻射させることができる面を使用し、夏場などの暑い時期には、使用者から放射される熱をさほど輻射しない面を使用するというように、使用する面を変えることのみによって、簡単に季節に応じて使い分けることができる。なお、このアルミ蒸着フィルム又はアルミ箔ラミネートフィルムは、ベースフィルム5に用いる場合のほか、エンボスフィルム6の先端側に、該エンボスフィルム6とは別のフィルムとして設けてもよい。この場合には、ベースフィルム5又はエンボスフィルム6の先端側のどちらかに設ければよい。
【0019】
また、この気泡性緩衝シート2は1枚でなくてもよく、複数枚の気泡性緩衝シート2を貼り合わせて積層させてもよい。このように積層することで、1枚の気泡性緩衝シート2を貼り合わせた場合よりもクッション性をより向上させることが可能になる。このとき、気泡性緩衝シート2に形成される凸状の独立した気泡の大きさが異なるものを貼り合わせることが好ましい。独立気泡の大きさが異なる複数の気泡性緩衝シート2を貼り合わせて積層させることにより、クッション性の調整をより細かく行うことができ、使用者にとっての寝心地又は座り心地のよいクッション性により近づけることが可能になる。なお、この場合には、気泡性緩衝シート2同士は、接着等の方法によって固定することができるが、固定方法はこれ以外の方法でもよい。
【0020】
次に、本実施の形態に係る緩衝用マット1の変更例の構成について、
図2に基づいて説明する。
図2は、本実施の形態に係る緩衝用マットの変更例の構成を表した外観斜視図である。なお、本変更例の説明において、前記した緩衝用マットと同一の構成の部分については説明を省略し、符号も同じものを使用する。
図2に示すように、本変更例の緩衝用マット11は、樹脂板4の上面4aと下面4bに気泡性緩衝シート2、12が貼り合わされている。この点で、本変更例は、上記した本実施の形態の緩衝用マット1とは構成が相違する。このように、樹脂板4の上面4aと下面4bに気泡性緩衝シート2,12を貼り合わせることによって、緩衝用マット11のクッション性をより向上させることが可能になる。
【0021】
このように形成された本実施の形態の緩衝用マット1,11は、軽量であること、水洗いすることが可能で衛生的であること、及び変形し難いことから、例えば、旅館の宴会場、居酒屋などの座布団として用いることが可能である。また、一辺が30cm程度になるように形成した緩衝用マット1,11の場合は、スポーツ観戦用の簡易座布団としても利用することが可能である。また、気泡性緩衝シート2によって保温力も有するので、寒冷地の屋外においても利用することが可能である。
【0022】
なお、本変更例において、気泡性緩衝シート2,12に形成される凸状の独立した気泡の大きさは、同じでもよいし異なっていてもよい。また、気泡性緩衝シート2,12に対して更に気泡性緩衝シートを積層させる場合には、気泡性緩衝シート2,12と、更に積層される気泡性緩衝シートとのそれぞれに形成される凸状の独立した気泡の大きさも、同じでもよいし異なっていてもよい。
【0023】
次に、本発明に係る第2の実施の形態の緩衝用マットについて、
図3(a)に基づいて説明する。
図3(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る緩衝用マットの構成を表した外観斜視図である。なお、上記した第1の実施の形態の緩衝用マットと同一の構成の箇所については説明を省略し、符号も同一のものを使用する。
【0024】
図3(a)に示すように、本実施の形態の緩衝用マット21は、樹脂部材22が2枚の樹脂板23,24を積層させて構成されている。これら樹脂板23,24は、高さ方向の幅が同一のものを使用しており、それぞれの樹脂板23,24のリブ25,26が互いに平行になるように積層されている。このように、2枚の樹脂板23,24を積層することにより、緩衝用マット21の高さを簡単に調節することができ、例えばこの緩衝用マット21を枕の構成部材として使用した場合に、使用者が寝心地のよい高さになるように、枕の高さを任意に調節することができる。しかも、この調節は、樹脂板23,24を積層するだけでよいので、高さ調節をしたことのない使用者であっても、非常に簡単に高さ調節をすることが可能になる。
【0025】
なお、本実施の形態では2枚の樹脂板23,24を積層させているが、2枚以上の樹脂板を積層させてもよい。また、積層させる樹脂板の高さ方向の幅は同一でなくてもよく、高さ方向の幅が異なった樹脂板を互いに組み合わせて調節してもよい。このように、高さ方向の幅が異なった樹脂板を互いに組み合わせることにより、積層させる樹脂板の枚数を減らすことができ、より簡単に樹脂板を積層させることが可能になる。また、樹脂板同士の貼り合わせには、接着剤を用いて樹脂板同士を接着してもよいし、接着以外の方法でもよい。例えば、樹脂板同士を重ね合わせておき、この重ね合わせた樹脂板をベルト等により締め付けて固定してもよい。
【0026】
また、
図3(b)に示すように、本実施の形態の緩衝用マット21は、2枚の平板からなるライナーの間を互いに平行に走る多数のリブが接続された構造を有するプラスチック段ボールである場合には、樹脂板23,24を積層する際に、それぞれの樹脂板のリブ25,26が互いに交差するように積層されていることが好ましい。複数の樹脂板をこのように積層することにより、緩衝用マットの上下方向に対する強度を向上させることができ、緩衝用マットの耐久性を向上させることが可能になる。また、上記した第1の実施の形態に係る緩衝用マットと同様、樹脂部材の両面に気泡性緩衝シートを貼り合わせてもよい。
【0027】
次に、本発明の第3の実施の形態の緩衝用マットについて、
図4に基づいて説明する。
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る緩衝用マットの構成を表した分解斜視図である。なお、本実施の形態に係る緩衝用マットの構成について、第1の実施の形態と同一の部分はその説明を省略する。
【0028】
図4に示すように、本実施の形態の緩衝用マット31は、樹脂部材32が芯部材33、第1樹脂板34a、第2樹脂板34bから構成されており、芯部材33は、第1樹脂板34a及び第2樹脂板34bの間に積層されている。第1樹脂板34aには、上面側に第1気泡性発泡シート35が貼り合わせられており、第2樹脂板34bには、下面側に第2気泡性発泡シート36が貼り合わせられている。なお、
図4においては、芯部材33の上面側に1枚の第1樹脂板34aを貼り合わせ、芯部材33の下面側に1枚の第2樹脂板34bを貼り合わせているが、複数枚の樹脂板を積層させてもよい。この場合、上記したプラスチック段ボールを樹脂板に使用する場合には、それぞれの樹脂板のリブが互いに交差するように積層されていることが、緩衝用マット31の強度を向上させる観点から好ましい。
【0029】
芯部材33には、多孔質構造を有する樹脂板37,38,39に2つの空間部40,41が形成されている。これらの空間部40,41は、各樹脂板37〜39においてリブとリブとの間に形成された空間によって緩衝用マット31の外部と連通しており、緩衝用マット31の外側端部から流入する空気が空間部40,41まで到達するようになっている。この空間部40,41は、例えば、遠赤外線を出す石粉、乾燥ハーブ、香料等により構成される充填材(図示せず)を充填するためのスペースである。なお、充填材を構成するものとしては、上記した石や乾燥ハーブ等に限定されるものではない。また、この空間部40,41には、充填材に替えてアロマオイルを染み込ませた布地等を置いてもよい。
【0030】
このように、本実施の形態に係る緩衝用シート31によれば、リブとリブとの間に形成された空間を通じて空気が流入すると、空間部40,41に充填した充填材の香りを緩衝用マット31の外部へ放出することができ、緩衝用マット31の使用者がよりリラックスできる状態を形成することが可能になる。
【0031】
なお、この芯部材33は、1枚の樹脂板から形成してもよいし、
図4に示すように複数枚の樹脂板37〜39を積層させて形成してもよい。また、複数枚の樹脂板37〜39を積層させて芯部材33を形成した場合には、
図4に示すように、芯部材33を構成するそれぞれの樹脂板37〜39のリブが互いに交差するように積層されてもよい。このように形成することで、緩衝用マット31の強度が向上するばかりでなく、空間部40,41の容積をより大きく確保することが可能になるので、充填材を充填可能な容量を増加させることが可能になる。また、芯部材33に使用する樹脂板の枚数を調整することによって、空間部40,41の容積も調整することが可能になる。さらに、乾燥ハーブ、香料等のような香りを放出する充填材を用いた場合には、樹脂板37〜39のリブが互いに交差するように積層することで、複数の方向から空間部40,41に空気が流入し、さらに複数の方向から充填材の香りを外部へ放出させることができるので、使用者がさらにリラックスできる状態を形成することが可能になる。また、空間部の数は2つでなくてもよい。
【0032】
なお、上記した第1〜第3の実施の形態に係る緩衝用マットは、そのまま使用することも可能であるが、使用者の寝心地や座り心地をより向上させる観点、及び、緩衝用マットの衛生的な状態を維持する観点から、カバー体に収納して使用することが好ましい。カバー体には、例えば不織布又は織布を用いて袋状に形成されたものを用いることが好ましいが、これら以外の材質のものを用いてもよい。
【0033】
次に、上記した第1〜第3の実施の形態に係る緩衝用マットを複数用いた折り畳み式緩衝用マットの構成について
図5及び
図6を用いて説明する。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る緩衝用マットを複数用いた折り畳み式緩衝用マットにおいて、緩衝用マットを袋体へ収納するところを表した説明図、
図6は、折り畳み式緩衝用マットの構成を表した外観斜視図である。なお、本実施の形態では、上記した第1の実施の形態に係る緩衝用マットを用いた例について説明するが、他の実施の形態に係る緩衝用マットを用いてもよい。
【0034】
折り畳み式緩衝用マット51は、緩衝用マット1を収納可能な収納部52を有する袋体53の内部に、緩衝用マット1が収納されるように構成されている。袋体53の内部には3個の図示しない空間が形成されている。各空間は、袋体53の内部において第1収納部52a、第2収納部52b及び第3収納部52cからなる3個の収納部として形成されており、それぞれの収納部52a〜52cは、緩衝用マット1が1個収納可能な大きさに形成されている。また、収納部52aと収納部52bとの間、及び収納部52bと収納部52cとの間には折り畳み代54a,54bが形成されている。この折り畳み代54a,54bは、袋体53の内部に形成された収納部52を第1収納部52a、第2収納部52b、第3収納部53cに区画するとともに、折り畳み時に折り畳み代54a,54bの部分で袋体53が屈曲させるためのものであり、緩衝用マット1の長手方向に沿って形成されている。本実施の形態では、折り畳み代54aは第1収納部52aと第2収納部52bとの間において袋体53の上面側に形成され、折り畳み代54bは第2収納部52bと第3収納部52cとの間において袋体53の下面側に形成されている。なお、
図6における破線は、折り畳み代54aを便宜的に表したものである。なお、緩衝用マット1を第1〜第3収納部52a〜52cへ収納する場合には、折り畳み式緩衝用マット51を広げたときに、気泡性緩衝シート2の貼られている面が揃うように各緩衝用マット1を収納することが望ましい。緩衝用マット1をこのように収納することで、例えば折り畳み式緩衝用マット51を敷布団として使用する場合などに、保温力等のムラを解消することが可能になる。なお、袋体53には、不織布又は織布で形成されることが好ましいが、これら以外の材質のものを用いてもよい。
【0035】
このように、本発明に係る折り畳み式緩衝用マット51は、非常に軽量で、かつ折り畳んだ場合には小型になるので、持ち運びを容易にすることが可能になる。また、各緩衝性マット1を第1〜第3収納部52a〜52cに収納することにより、折り畳んだ時は広げた時よりも緩衝性がよくなるので、例えば子供が乗るベビーカー等の前方に取り付けることで緩衝部材として用いることもでき、安全性も向上させることが可能になる。
【0036】
本実施の形態に係る折り畳み式緩衝用マット51は、例えば、緩衝用マット1の大きさを縦45cm、横20cm程度にし、袋体53には、収納部52を3〜4個形成して、上記した大きさの緩衝用マット1を収納部52の数に応じた数だけ収納することで、屋外において使用可能な子供用の敷布団として使用することができる。また、この場合には、上記したベビーカーにおける安全性を向上させるための緩衝部材としても利用することができる。
【0037】
また、本実施の形態に係る折り畳み式緩衝用マット51は、例えば、緩衝用マット1の大きさを縦90cm、横15〜65cm程度にし、袋体53には、収納部52を3〜13個形成して、上記した大きさの緩衝用マット1を収納部52の数に応じた数だけ収納することで、折り畳み式緩衝用マット51を広げた時に大人が寝ることが可能な大きさの敷布団としても利用することができる。
【0038】
また、本実施の形態に係る折り畳み式緩衝用マット51は、樹脂部材3と気泡性緩衝シート2と袋体53から構成されているので非常に軽量であり、保管時には押入れやクローゼットなどに、洋服と一緒に吊るして保管することができる。したがって、折り畳み式緩衝用マット51を収納するための押入れスペース等を確保する必要がなく、スペース効率も向上させることが可能になる。
【0039】
なお、本実施の形態に係る折り畳み式緩衝用マット51は、一つの袋体53に対して第1〜第3収納部52a〜52cを形成するようにしているが、収納部が一つ形成された袋体を複数接合して、この接合部分が折り畳み代となるように形成してもよいし、これ以外の方法で折り畳めるように形成してもよい。