特許第5649348号(P5649348)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ケーヒンの特許一覧

<>
  • 特許5649348-回転電機 図000002
  • 特許5649348-回転電機 図000003
  • 特許5649348-回転電機 図000004
  • 特許5649348-回転電機 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649348
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/46 20060101AFI20141211BHJP
   H02K 29/08 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   H02K3/46 C
   H02K29/08
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-165229(P2010-165229)
(22)【出願日】2010年7月22日
(65)【公開番号】特開2012-29447(P2012-29447A)
(43)【公開日】2012年2月9日
【審査請求日】2013年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】上田 正嗣
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−324883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/46
H02K 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ(10)の軸方向一端部から引き出されるコイル端末(32,33)が、前記ステータ(10)の軸方向一端部に対向するようにして導電部材(34,35,36,37)に設けられた端子部(34b,35b,36b,37b)に電気的に接続される回転電機において、
前記コイル端末(32,33)を前記端子部(34b〜37b)側に導くガイド部材(38)を備え、該ガイド部材(38)には、前記ステータ(10)の軸線に沿う方向で前記ステータ(10)の軸方向一端部および前記端子部(34b〜37b)間に配置されるガイド部(38a)が設けられ、該ガイド部(38a)には、前記コイル端末(32,33)を前記ステータ(10)の軸方向に牽引することで前記端子部(34b〜37b)側に導く軸方向ガイド面(44)が、前記ステータ(10)の軸方向で前記端子部(34b〜37b)に近づくにつれて前記ステータ(10)の周方向一方に位置するように傾斜して形成されることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記ガイド部(38a)には、前記ステータ(10)の周方向一方から前記端子部(34b〜37b)に対向する径方向ガイド面(45)が設けられ、前記ステータ(10)の周方向で相互に隣接する前記ガイド部(38a)の一方の前記軸方向ガイド面(44)でガイドされた前記コイル端末(32,33)を他方のガイド部(38a)の前記径方向ガイド面(45)が前記ステータ(10)の径方向で前記端子部(34b〜37b)側に導くようにして前記径方向ガイド面(45)が形成されることを特徴とする請求項記載の回転電機。
【請求項3】
前記端子部(34b〜37b)が、前記コイル端末(32,33)の非接続状態では前記径方向ガイド面(45)に向かって開口する略U字状もしくは略V字状の接続凹部(40)を相互間に形成する一対の挟み片(41,42)を有し、前記接続凹部(40)の内奥部(40a)に挿入された状態にある前記コイル端末(32,33)が、両挟み片(41,42)間に挟圧されるようにして前記端子部(34b〜37b)に電気的に接続されることを特徴とする請求項記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータの軸方向一端部から引き出されるコイル端末が、前記ステータの軸方向一端部に対向するようにして導電部材に設けられた端子部に電気的に接続される回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
ステータが有するコイル端末が、導電部材に設けられた端子部に電気的に接続されるようにした電動モータが、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−33848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1で開示されたものでは、複数のコイル端末を対応する端子部に導く作業は煩雑であり、特にコイル数が多い場合には、端子部同士の間隔が狭くなってより高い精度でコイル端末を端子部側に導く必要があり、作業性が悪かった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、導電部材に設けられた端子部にコイル端末を導く作業を容易として、作業性を高めた回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ステータの軸方向一端部から引き出されるコイル端末が、前記ステータの軸方向一端部に対向するようにして導電部材に設けられた端子部に電気的に接続される回転電機において、前記コイル端末を前記端子部側に導くガイド部材を備え、該ガイド部材には、前記ステータの軸線に沿う方向で前記ステータの軸方向一端部および前記端子部間に配置されるガイド部が設けられ、該ガイド部には、前記コイル端末を前記ステータの軸方向に牽引することで前記端子部側に導く軸方向ガイド面が、前記ステータの軸方向で前記端子部に近づくにつれて前記ステータの周方向一方に位置するように傾斜して形成されることを第の特徴とする。
【0007】
本発明は、第の特徴の構成に加えて、前記ガイド部には、前記ステータの周方向一方から前記端子部に対向する径方向ガイド面が設けられ、前記ステータの周方向で相互に隣接する前記ガイド部の一方の前記軸方向ガイド面でガイドされた前記コイル端末を他方のガイド部の前記径方向ガイド面が前記ステータの径方向で前記端子部側に導くようにして前記径方向ガイド面が形成されることを第の特徴とする。
【0008】
さらに本発明は、第の特徴の構成に加えて、前記端子部が、前記コイル端末の非接続状態では前記径方向ガイド面に向かって開口する略U字状もしくは略V字状の接続凹部を相互間に形成する一対の挟み片を有し、前記接続凹部の内奥部に挿入された状態にある前記コイル端末が、両挟み片間に挟圧されるようにして前記端子部に電気的に接続されることを第の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の特徴によれば、ステータから延出されたコイル端末をステータの軸方向に牽引すると、ガイド部に形成された軸方向ガイド面で導かれてコイル端末が端子部側にガイドされるので、端子部にコイル端末を導く作業を容易として、作業性を高めることができる。
【0010】
た、軸方向ガイド面が、ステータの軸方向で端子部に近づくにつれてステータの周方向一方に位置するように傾斜しているので、ステータから延出されたコイル端末をステータの軸方向に牽引すると、コイル端末がステータの周方向一方に移動して端子部側に導かれることになり、端子部にコイル端末を導く際の作業を容易として、作業性を高めることができる。
【0011】
本発明の第の特徴によれば、ステータの周方向で相互に隣接するガイド部の一方の軸方向ガイド面でガイドされてきたコイル端末が他方のガイド部の径方向ガイド面でガイドされて端子部側に導かれることになり、コイル端末をステータの周方向および径方向で2段階にガイドすることができる。
【0012】
さらに本発明の第の特徴によれば、端子部が有する一対の挟み間に形成される接続凹部が径方向ガイド面に対向して開口しているので、コイル端末を接続凹部内にスムーズに案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ブラシレスモータの縦断面図である。
図2】複数の導電部材およびガイド部材の積層状態を示す斜視図である。
図3】端子部へのコイル端末の接続作業を順次示す斜視図である。
図4】端子部へのコイル端末の接続作業を図3に対応してステータの軸方向から見て順次示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図1図4を参照しながら説明する。
【0015】
先ず図1において、回転電機であるブラシレスモータは、モータケース5で回転自在に支承された回転軸8に設けられるロータ9と、該ロータ9を囲繞するようにして前記モータケース5に固定されるステータ10とを備える。
【0016】
前記モータケース5は、軸方向一端を開放するとともに端壁6aを軸方向他端に有して有底円筒状に形成されるケース主体6と、該ケース主体6の一端開口部を閉じるようにして前記ケース主体6に複数のねじ部材11…で締結される蓋部材7とで構成される。前記蓋部材7には第1支持孔12が設けられ、ケース主体6の前記端壁6aには第1支持孔12と同軸の第2支持孔13が設けられており、前記回転軸8は第1および第2支持孔12,13を貫通する。しかも第1支持孔12の内周および回転軸8の外周間には、第1ボールベアリング14と、第1ボールベアリング14よりも軸方向外方に配置される環状の第1シール部材15とが介装され、第2支持孔13の内周および回転軸8の外周間には、第2ボールベアリング16が介設される。
【0017】
前記ケース主体6の端壁6aには、合成樹脂から成るホルダ17を前記端壁6aとの間に挟むカバー18が複数のねじ部材19…で締結されており、前記端壁6aの外面および前記ホルダ17間には環状の第2シール部材20が介装され、ホルダ17およびカバー18間に環状の第3シール部材21が介装される。
【0018】
前記カバー18および前記モータケース5間で前記回転軸8にはレゾルバ22の一部を構成するレゾルバ用ロータ23が固定され、レゾルバ用ロータ23とともにレゾルバ22を構成するレゾルバ用ステータ24は、前記レゾルバ用ロータ23を囲繞して前記ホルダ17に固定される。
【0019】
前記ブラシレスモータのステータ10は、複数の鋼板が積層されて成るとともに前記モータケース5のケース主体6に複数のボルト27…で締結されるステータコア28と、該ステータコア28に装着される合成樹脂製のボビン29と、該ボビン29に巻き掛けられるU相、V相およびW相のコイル30…とで構成される。
【0020】
而してU相、V相およびW相のコイル30…は、前記ステータ10の周方向に等間隔をあけた位置で前記ボビン29に順次巻装されており、それらの各相のコイル30…に電力を供給するための給電ユニット31が、前記ケース主体6および前記蓋部材7間に挟持される。
【0021】
前記給電ユニット31は、U相、V相およびW相のコイル30…の一端側のコイル端末32…がそれぞれ個別的に接続されるU相用の導電部材34、V相用の導電部材35およびW相用の導電部材36と、U相、V相およびW相のコイル30…の他端側のコイル端末33…が共通に接続される中性点用の導電部材37と、前記コイル端末32…,33…を前記各導電部材34〜37に電気的に接続する際にコイル端末32…,33…のガイドをするガイド部材38と、それらの導電部材34〜37およびガイド部材38の一部を埋封せしめる被覆部材39とで構成されるものであり、前記各導電部材34〜37は金属製であり、前記ガイド部材38および前記被覆部材39は合成樹脂製である。
【0022】
図2において、U相用の導電部材34は、環状のベース部34aと、U相のコイル30…の一端側のコイル端末32…を電気的に接続するようにして前記ベース部34aから半径方向に沿う内方に延出される複数個たとえば3個の端子部34b…とを一体に有しており、端子部34b…はベース部34aの内周の周方向に等間隔をあけた位置から半径方向内方に延びる腕部34c…の内端に形成される。
【0023】
またV相用の導電部材35およびW相用の導電部材36は、環状のベース部35a,36aと、V相およびW相のコイル30…の一端側のコイル端末32…を電気的に接続するようにして前記ベース部35a,36aから半径方向に沿う内方に延出される複数個たとえば3個の端子部35b…,36b…とを一体に有しており、端子部35b…,36b…はベース部35a,36aの内周の周方向に等間隔をあけた位置から半径方向内方に延びる腕部35c…,36c…の内端に形成される。
【0024】
また中性点用の導電部材37は、環状のベース部37aと、U相、V相およびW相のコイル30…の他端側のコイル端末33…を電気的に接続するようにして前記ベース部37aから半径方向に沿う内方に延出される複数個たとえば9個の端子部37b…とを一体に有しており、端子部37b…はベース部37aの内周の周方向に等間隔をあけた位置から半径方向内方に延びる腕部37c…の内端に形成される。
【0025】
前記U相用の導電部材34、前記V相用の導電部材35、前記W相用の導電部材36および前記中性点用の導電部材37のベース部34a,35a,36a,37aは同一形状に形成されており、各ベース部34a〜37aは、前記ステータ10の軸線方向で層をなすように同心状に配置される。
【0026】
前記U相用の導電部材34、前記V相用の導電部材35および前記W相用の導電部材36の端子部34b…,35b…,36b…は、前記ステータ10の周方向に間隔をあけて配置されており、前記中性点用の導電部材37の端子部37b…は、前記U相用の導電部材34、前記V相用の導電部材35および前記W相用の導電部材36の端子部34b…,35b…,36b…間にそれぞれ配置されるようにして前記ステータ10の周方向に間隔をあけて配置される。しかも前記U相用の導電部材34、前記V相用の導電部材35、前記W相用の導電部材36および前記中性点用の導電部材37の端子部34b…〜37b…が、前記ベース部34a〜37aをステータ10の軸線方向で層をなすように同心状に配置した状態では前記ステータ10の軸線に沿う方向で同一位置となるように、前記U相用の導電部材34、前記V相用の導電部材35、前記W相用の導電部材36および前記中性点用の導電部材37の腕部34c…,35c…,36c…,37c…は屈曲される。
【0027】
而して前記U相用の導電部材34の端子部34b…は、コイル端末32の非接続状態では略U字状の接続凹部40…を相互間に形成するようにして一端部が相互に一体に連設される一対の挟み片41,42を有するものであり、前記両挟み片41,42の一方41の他端に、前記コイル端末32を前記接続凹部40内に向けてガイドするガイド鍔部43が、先端に向かうにつれて他方の前記挟み片42から離反するようにして一体に連設され、他方の前記挟み片40の他端が前記腕部34cに一体に連設されている。
【0028】
しかも前記端子部34bは、両挟み片41,42のうち前記ガイド鍔部43が連設された挟み片41を前記ステータ10の半径方向に沿う内方側に配置しつつ、前記ステータ10の周方向一方に向けて前記接続凹部40を開口するように配置されるものであり、接続凹部40の内奥部40aに挿入された状態にある前記コイル端末32が、前記両挟み片41,42間に挟圧されるようにして前記端子部34bに電気的に接続される。
【0029】
V相用の導電部材35、W相用の導電部材36および中性点用の導電部材37の前記端子部35b…,36b…,37b…は、上述のU相用の導電部材34の端子部34bと同様に形成される。
【0030】
前記ガイド部材38は、ステータ10の軸方向一端部でコイル30…から延びるコイル端末32…,33…をU相用の導電部材34、V相用の導電部材35、W相用の導電部材36および中性点用の導電部材37の前記端子部35b…,36b…,37b…側に導く軸方向ガイド面44および径方向ガイド面45がぞれぞれ形成される複数のガイド部38a…と、それらのガイド部38a…を共通に連結して環状に形成される連結部38bとを一体に有するものであり、U相用の導電部材34、V相用の導電部材35、W相用の導電部材36および中性点用の導電部材37のベース部34a,35a,36a,37aと同一形状に形成される前記連結部38bは、複数の前記導電部材34〜37のうち2つの導電部材たとえばU相用の導電部材34およびV相用の導電部材35の前記ベース部34a,35a間に挟まれるように配置されて、複数の前記ベース部34a〜37aと層をなすように同心状に配置される。
【0031】
図3および図4を併せて参照して、前記被覆部材39は、前記U相用の導電部材34、前記V相用の導電部材35、前記W相用の導電部材36および前記中性点用の導電部材37のベース部34a〜37aと、前記ガイド部材38の連結部38bを埋封して環状に形成される被覆主部39aと、該被覆主部39aから半径方向外方に突出するカプラ部39bとを一体に有する。
【0032】
前記被覆主部39aは、前記モータケース5の前記ケース主体6との間に環状の第4シール部材46を介在させるとともに前記モータケース5の前記蓋部材7との間に環状の第5シール部材47を介在させるようにして、前記ケース主体6および前記蓋部材7間に挟持される。
【0033】
前記カプラ部39bは、前記被覆主部39aを前記ケース主体6および前記蓋部材7間に挟持した状態で前記モータケース5の側壁から外側方に突出するものであり、このカプラ部39bには、前記U相用の導電部材34、前記V相用の導電部材35および前記W相用の導電部材36のベース部34a〜36aから半径方向外方に突出するコネクタ端子34d,35d,36dが配置される。
【0034】
また前記U相用の導電部材34、前記V相用の導電部材35、前記W相用の導電部材36および前記中性点用の導電部材37の腕部34c〜37cおよび端子部34b〜37bは、前記被覆主部39aから半径方向内方に突出し、前記ガイド部材38のガイド部38a…も前記被覆主部39aから半径方向内方に突出する。
【0035】
前記ガイド部38a…は、前記ステータ10の軸線に沿う方向で前記ステータ10の一端部および前記端子部34b〜37b間に配置されるものであり、この実施の形態では、前記ステータ10の軸方向一端部での前記コイル30…からの前記コイル端末32,33の引き出し位置P1,P2(図4参照)に対向しつつ前記ステータ10の軸線に沿う方向で前記ステータ10の一端部および前記端子部34b〜37b間に配置される。このガイド部38a…には、軸方向ガイド面44および径方向ガイド面45が形成される。
【0036】
しかも前記ステータ10の軸方向一端部からの前記コイル端末32,33の引き出し位置P1,P2は、前記ステータ10の周方向で前記接続凹部40…の前記内奥部40a…に関して該接続凹部40…の開口端とは反対側に設定される。すなわち端子部34b〜37bが、その接続凹部40…をステータ10の周方向一方に向けて開口させるように配置されるのに対して、前記コイル端末32,33の引き出し位置P1,P2は、それらのコイル端末32,33が接続される端子部34b〜37bよりも前記ステータ10の周方向他方側に配置される。
【0037】
前記軸方向ガイド面44は、前記コイル端末32,33を前記ステータ10の軸方向に牽引することで前記端子部34b〜37b側に導くようにして前記ガイド部38a…の前記ステータ10側に臨む面に形成されるものであり、前記ステータ10の軸方向で前記端子部34b〜37bに近づくにつれて前記ステータ10の周方向一方に位置するように傾斜して形成される。而して前記引き出し位置P1,P2から引き出された前記コイル端末32,33が、前記軸方向ガイド面44に対向した立ち上がり位置P3,P4{図4(a)参照}で前記軸方向ガイド面44に対向するように前記コイル端末32,33の位置を定める位置決め凹部29a,29bが、前記ステータ10の軸方向一端部で前記ボビン29の内周部に設けられる。
【0038】
また前記径方向ガイド面45は、前記ステータ10の周方向で相互に隣接する前記ガイド部38a,38aの一方の前記軸方向ガイド面44でガイドされた前記コイル端末32,33を他方のガイド部の前記径方向ガイド面45が前記ステータ10の径方向で前記端子部34b〜37b側に導くものであり、ガイド鍔部43…との間に前記コイル端末32,33を挿入することを可能としつつ前記接続凹部40…の開口端に対向するようにして前記ガイド部38aに形成される。また径方向ガイド面45は、前記ステータ10の半径方向に沿う外方側に向かうにつれて前記端子部34b〜37bとの間の距離が小さくなるようにして前記ガイド部38a…に形成される。
【0039】
ところで前記ステータ10におけるU相用のコイル30から引き出されるコイル端末32,33を端子部34b,37bに電気的に接続するにあたっては、ステータ10の上方に端子部34b〜37bおよびガイド部38a…が位置するようにケース主体6の姿勢を定めておき、先ず図3(a)および図4(a)で示すように、前記引き出し位置P1,P2からステータ10の半径方向内方に延出させて位置決め凹部29a,29bに挿入することで立ち上がり位置P3,P4に配置した前記コイル端末32,33をガイド部38a…の前記軸方向ガイド面44…に摺接させつつ前記ステータ10の軸方向に牽引する。そうすると軸方向ガイド面44…でガイドされたコイル端末32,33は、図3(b)および図4(b)で示すように、ステータ10の周方向一方側のガイド部38a…の径方向ガイド面45…に当接することになり、この径方向ガイド面45…でガイドされることによって、コイル端末32,33は、端子部34b,37bのガイド鍔部43…および径方向ガイド面45…間に挿入されることになる。そこで図3(c)および図4(c)で示すように、コイル端末32,33を接続凹部40…の開口端までガイド鍔部43…でガイドされるようにして移動せしめ、さらに図3(d)および図4(d)で示すように、コイル端末32,33を接続凹部40…の内奥部40a…まで挿入することができ、この状態で、図4(d)の鎖線で示すように、たとえば端子部34b,37bの挟み片41…を挟み片42…側に屈曲させるようにして両挟み片41…,42…間でコイル端末32,33を挟圧することによって、コイル端末32,33が端子部34b,37bに電気的に接続される。
【0040】
ステータ10におけるV相用およびW相用のコイル30…から引き出されるコイル端末32,33の端子部35b,36b,37bへの電気的接続も、上述のU相用のコイル30のコイル端末32,33の端子部34b,37bへの電気的接続と同様の作業が行われる。
【0041】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、導電部材34〜37に設けられる端子部34b〜37bは、コイル端末32,33の非接続状態では略U字状の接続凹部40…を相互間に形成するようにして一端部が相互に一体に連設される一対の挟み片41…,42…を有しており、接続凹部40…の内奥部40a…に挿入されたコイル端末32,33が、両挟み片41…,42…間に挟圧されるようにして端子部34b〜37bに電気的に接続されるのであるが、両挟み片41…,42…の一方である挟み片41…の他端に、コイル端末32,33を接続凹部40…内に向けてガイドするガイド鍔部43…が一体に連設され、該ガイド鍔部43…は、先端に向かうにつれて他方の挟み片42…から離反するように形成されているので、ガイド鍔部43…によって接続凹部40…側にコイル端末32,33をガイドすることができ、端子部34b〜37bにコイル端末32,33を導く作業を容易として作業性を高めることができる。
【0042】
またガイド部材38は、接続凹部40…側にコイル端末32,33をガイドする径方向ガイド面45…を有するので、接続凹部40…にコイル端末32,33を導く作業がより容易となる。しかも径方向ガイド面45…は、ガイド鍔部43…との間にコイル端末32,33を挿入することを可能としつつ前記接続凹部40…の開口端に対向するものであるので、コイル端末32,33を接続凹部40…内にスムーズに案内することができ、接続凹部40…にコイル端末32,33を導く作業がより一層容易となる。
【0043】
また両挟み片41…,42…うち前記ガイド鍔部43…が連設された挟み片41…をステータ10の半径方向内方側に配置した端子部34b〜37bが、ステータ10の周方向一方に向けて前記接続凹部40…を開口するように配置されており、前記径方向ガイド面45…が、ステータ10の半径方向に沿う外方側に向かうにつれて前記端子部34b〜37bとの間の距離が小さくなるようにしてガイド部材38に形成されるので、接続凹部40…にコイル端末32,33を導く作業がさらに容易となる。
【0044】
ところでステータ10は、U相、V相およびW相のコイル30…を有しており、それらの各相のコイル30…に電力を供給するための給電ユニット31は、U相、V相およびW相のコイル30…の一端側のコイル端末32…がそれぞれ個別的に接続されるU相用の導電部材34、V相用の導電部材35およびW相用の導電部材36と、U相、V相およびW相のコイル34〜36の他端側のコイル端末33…が共通に接続される中性点用の導電部材37とを備えており、前記各導電部材34,35,36,37は、環状のベース部34a,35a,36a,37aと、U相、V相およびW相のコイル30…から延出されるコイル端末32…,33…を電気的に接続するようにして前記ベース部34a〜37aから半径方向に延出される端子部34b…,35b…,36b…,37b…とをそれぞれ有している。しかも各導電部材34〜37の前記ベース部34a〜37aが前記ステータ10の軸線方向で層をなすように同心状に配置され、各導電部材34〜37の前記端子部34b〜37bがステータ10の周方向に間隔をあけて配置されるのであるが、前記ガイド部材38は、コイル端末32…,33…を各端子部34b〜37b側に導く軸方向ガイド面45…が形成される複数のガイド部38a…と、それらのガイド部38a…を共通に連結して環状または円弧状に形成される連結部38bとを有しており、連結部38bが、複数の前記ベース部34a〜37aと層をなすように同心状に配置されるので、複数の導電部材34〜37がブラシレスモータの軸線方向で層をなすように同心配置される構造にあって、それらの導電部材34〜37の端子部34b〜37bにコイル端末32…,33…を導くガイド部材38をコンパクトに配置することができる。
【0045】
またガイド部材38の連結部38bが、複数の導電部材34〜37のうち2つの導電部材たとえばU相用の導電部材34およびV相用の導電部材35の前記ベース部34a,35a間に挟まれるように配置されるので、複数の導電部材34〜37およびガイド部材38をよりコンパクトに配置することができる。
【0046】
また複数の前記導電部材34〜37の前記ベース部34a〜37aおよび前記ガイド部材38の前記連結部38bが、積層状態で合成樹脂から成る被覆部材39に埋封されるので、量産性を高くして複数の導電部材34〜37およびガイド部材38をユニット化することができる。
【0047】
また前記ガイド部材38には、コイル端末32…,33…のステータ10からの引き出し位置P1…,P2…に対向するガイド部38a…が、ステータ10の軸線に沿う方向でステータ10の軸方向一端部および端子部34b〜37b間に配置されるようにして設けられ、該ガイド部38aには、コイル端末32…,33…をステータ10の軸方向に牽引することで端子部34b〜37b側に導く軸方向ガイド面44…が形成されるので、端子部34b〜37bにコイル端末32…,33…を導く作業を容易として、作業性を高めることができる。
【0048】
しかも軸方向ガイド面44…が、ステータ10の軸方向で前記端子部34b〜37bに近づくにつれて前記ステータ10の周方向一方に位置するように傾斜して形成されるので、ステータ10から延出されたコイル端末32…,33…をステータ10の軸方向に牽引すると、コイル端末32…,33…がステータ10の周方向一方に移動して端子部34b〜37b側に導かれることになり、端子部34b〜37bにコイル端末32…,33…を導く作業を容易として、作業性を高めることができる。
【0049】
またガイド部38aには径方向ガイド面45…が設けられており、この径方向ガイド面45…は、ステータ10の周方向で相互に隣接するガイド部38a,38aの一方の前記軸方向ガイド面44…でガイドされた前記コイル端末32,33を他方のガイド部38aの前記径方向ガイド面45…がステータ10の径方向で前記端子部34b〜37b側に導くように形成されるので、コイル端末32,33をステータ10の周方向および径方向で2段階にガイドすることができる。
【0050】
さらにコイル端末32…,33…は、ステータ10の周方向で前記接続凹部40…の内奥部40a…に関して該接続凹部40…の開口端とは反対側に設定される引き出し位置P1,P2で、ステータ10の軸方向一端部から延出されるので、コイル端末32,33をステータ10の軸方向一端部から引き出して端子部34b〜37bにおける接続凹部40…の内奥部40a…に導く際に、ステータ10の軸方向一端部からのコイル端末32,33の引き出し位置P1,P2からステータ10の周方向一方に接続凹部40…の内奥部40a…が在り、その内奥部40a…からステータ10の周方向一方側に接続凹部40…の開口端が在るので、接続凹部40…の内奥部40a…と、ステータ10の軸方向一端部からのコイル端末32,33の引き出し位置P1,P2との間でコイル端末32,33に張力を作用させ、コイル端末32,33に接続凹部40…の内奥部40a…側に向けて力を作用させることができるので、コイル端末32,33を端子部34b〜37bで挟圧する際にコイル端末32,33を接続凹部40…の内奥部40a…の正規位置に確実に配置させることができ、接続信頼性を高めることができる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0052】
たとえば上記実施の形態では回転電機としてブラシレスモータを取り上げて説明したが、本発明はブラシレスモータ以外のモータや発電機にも適用することができる。またコイル端末32,33を電気的に接続する前の接続凹部40の形状は略V字状であってもよく、ベース部34a〜37aは円弧状であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
10・・・ステータ
32,33・・・コイル端末
34,35,36,37・・・導電部材
34b,35b,36b,37b・・・端子部
38・・・ガイド部材
38a・・・ガイド部
40・・・接続凹部
40a・・・接続凹部の内奥部
41,42・・・挟み片
44・・・軸方向ガイド面
45・・・径方向ガイド面
P1,P2・・・引き出し位置
図1
図2
図3
図4