特許第5649351号(P5649351)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649351
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】自動車用ウエザーストリップ
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/06 20060101AFI20141211BHJP
【FI】
   B60R13/06
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-167966(P2010-167966)
(22)【出願日】2010年7月27日
(65)【公開番号】特開2012-25323(P2012-25323A)
(43)【公開日】2012年2月9日
【審査請求日】2013年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 剛啓
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(72)【発明者】
【氏名】大石 恭慈
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−165739(JP,U)
【文献】 特開2008−201361(JP,A)
【文献】 実開平03−104456(JP,U)
【文献】 特開2002−211331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ボディ(2)の開口縁部に沿って取付けられるウエザーストリップであって、閉ループ状のウエザーストリップ本体(10)と、前記ウエザーストリップ本体の少なくとも一箇所に,該ウエザーストリップ本体を前記ボディに取付ける際の位置決めとして,取り外し自在に設けられた位置決めピン(20)を備え、前記位置決めピンを,頭部(21)と軸部(22)と係止部(23)とを備え,前記ウエザーストリップ本体に突き刺して固定する位置決めピンとしたことを特徴とする自動車用ウエザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ボディのドア開口縁部,主にはバックドア開口縁部やトランクルーム開口縁部などの開口縁部に沿って取付けられる閉ループ状のウエザーストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1および図2を参照して説明する。図中、二等辺三角形の頂点から底辺へおろした垂線の一方側を塗潰した記号を用いているが、これは塗潰し側が型成形部Eを、非塗潰し側が押出成形部Fを表わしている。自動車のボディ2に形成されたバックドア開口部5やトランクルーム開口部の周縁部(開口縁部)には、バックドア4やトランクリッドとの間のシール性を確保するためにウエザーストリップ30が取付けられている。このウエザーストリップ30は、通常、連続する単一断面の押出成形部Fをループ状にして切れっぱなしの両側の端面同士を型成形部Eを介して連結しただけの加工となっており、バックドア開口部5やトランクルーム開口部の形状に対応して取付けられており、従って、通常、左右対称で閉ループ状である。
【0003】
こうした左右対称で閉ループ状のウエザーストリップ30は、例えば、従来のフロントドア開口縁部に取付けられる左右非対称のものと異なり、取付け時に位置決めとなる部分が存在しない。そのため、これまでは、図2に示すように、ウエザーストリップ30の表面にマーカーペンなどでペイントマーキング31を印し、このペイントマーキング31を取付け時における位置決め箇所としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03−104456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ウエザーストリップ30に印したペイントマーキング31は、ウエザーストリップ30を梱包したり輸送する際に、作業者の手や他の製品との擦れによって剥がれ落ちてしまい易い。そのため、ウエザーストリップ30を取付ける際に、正確な位置合わせができないといった問題がある。
【0006】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、梱包や輸送中などの取扱中に剥がれ落ちることのない位置決め部材を備えた、自動車用のウエザーストリップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図1および図3乃至図8を参照して説明する。請求項1に記載の自動車用ウエザーストリップ1は、自動車ボディ2の開口縁部に沿って取付けられるものであり、閉ループ状のウエザーストリップ本体10と、前記ウエザーストリップ本体10の少なくとも一箇所に、当該ウエザーストリップ本体10を前記ボディ2に取付ける際の位置決めとして、取り外し自在に設けられた位置決めピン20aとを備える。
【0008】
また、前記位置決めピン20aは、頭部21と軸部22と係止部23とを備え、前記ウエザーストリップ本体10に突き刺して固定するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の自動車用ウエザーストリップ1は、閉ループ状のウエザーストリップ本体10の少なくとも一箇所に位置決めピン20aを設けたので、その位置決めピン20aを自動車ボディ2の所定箇所に突き合わせることによって、当該ウエザーストリップ1をボディ2に正確に取付けることができる。
【0010】
また、この位置決めピン20aは、梱包や搬送の際に作業者の手や、他の製品と擦れることがあっても、従来のペイントマーキングのように剥がれ落ちることがない。従って、常に、ウエザーストリップ1をボディ2に正確に取付けることができる。
【0011】
さらに、この位置決めピン20aは、ウエザーストリップ本体10に取り外し自在に設けているので、ウエザーストリップ1をボディ2に取付けた後は、容易に取り除くことができる。これにより、位置決めピン20aによってウエザーストリップ1のシール機能を低下させることがない。
【0012】
また、このウエザーストリップ1は、位置決めピン20aを、頭部21と軸部22と係止部23とを備えた、ピン形状にしているので、ウエザーストリップ本体10に容易に突き刺して固定することができると共に、容易に取り外すこともできる。従って、その作業を極めて容易行うことができ、作業性が向上する。また、取り外した位置決めピン20aは繰り返し使用することができるので、経済性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】自動車のバックドア開口部に設けられたウエザーストリップを示す正面図(背面図)である。
図2】従来例に係るウエザーストリップを示す要部斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るウエザーストリップを示す要部斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るウエザーストリップを示す要部断面図である。
図5】本発明の他の実施形態に係るウエザーストリップを示す要部断面図である。
図6】本発明のさらに他の実施形態に係るウエザーストリップを示す要部断面図である。
図7】本発明に係るウエザーストリップの位置決めピンの一形態を示す断面図である。
図8】本発明に係るウエザーストリップの位置決めピンの他の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る自動車用ウエザーストリップ1の実施形態を、図1、図3乃至に示す。図中、Gは車外側を、Hは車内側を示す。このウエザーストリップ1は、自動車ボディ2のバックドア4を配置する箇所に設けた開口部の周縁部に沿って形成したフランジ3に取付けられるものであり、ウエザーストリップ本体10と位置決めピン20aを備える。ウエザーストリップ本体10はゴムまたは樹脂製であり、また、位置決めピン20aは、硬質ゴム製、硬質樹脂製あるいは金属製とすることができる。
【0015】
ウエザーストリップ本体10は、その正面形状においては、上辺部10a、下辺部10b、左辺部10cおよび右辺部10dを備えた左右対称の閉ループ状である(図1参照)。また、その断面形状においては、取付基部11、中空シール部12、車内リップ13および車外リップ14を備えた形状である。これは、同一の断面が連続した一本の紐状のウエザーストリップ押出成形部Fを、その両端末を金型成形部E,熱融着,接着剤又は,連結補助パーツによりループ状に加工してある。
【0016】
取付基部11は、奥壁部11a、車外壁部11bおよび車内壁部11cを備え、フランジ3に組付く断面略U字状であり、フランジ3に強固に取付けるために断面U字状の芯材11dを埋設している。また、車外壁部11bと車内壁部11cの内面側のそれぞれには、フランジ3に強く弾接する二つの取付リップ16を一体成形している。また、奥壁部11aと車外壁部11bの内面側には、フランジ3との間のシール性を確保するための接着剤系又は、低比重(比重0.05〜0.4)のシール材15を設けている。
【0017】
中空シール部12は、取付基部11の奥壁部11aの外面側に一体成形され、バックドア4に弾接してそのシール機能を発揮する。車内リップ14は、車内壁部11cの表面側に一体成形され図示しない内装材の端部を覆う、又は該端部に潜り込み意匠性を高める。車外リップ13は、車外壁部11bの表面側に一体成形され、ボディアウターパネル6に弾接し、シール性を高めている。
【0018】
そして、図3図4の実施形態においては位置決めピン20aを、ウエザーストリップ本体10の上辺部10aにおける仮想鉛直中心線L上の左右中間点Pにおいて、当該ウエザーストリップ本体10の車内リップ14に取付けている。図7図8に示す如くこの位置決めピン20aは、最も大径である半球形状の頭部21と、最も小径である円柱形状の軸部22と、その間の外径を有するくさび形状の係止部23とで構成し、車内リップ14の車内側面から係止部23を突き刺して取付けている。
【0019】
従って、ウエザーストリップ本体10に取付けた後は、車内側面に露出している頭部21が位置決めのために機能する。この位置決めピン20aは、黒色であってもよいが少なくとも頭部21をウエザーストリップ本体10の色(黒)とは異なる色(例えば、白や赤)に設定し、位置決め機能が効果的に発揮できるように設定するのが好ましい。
【0020】
ウエザーストリップ1をフランジ3に取付けた後は、当該位置決めピン20aはその役目を終えるため、突き刺した方向とは逆の方向に引き抜くことによって容易にウエザーストリップ本体10から取り外すことができる。なお、取り外すことなく、突き刺したままの状態とすることも可能である。
【0021】
本実施形態に係る自動車用ウエザーストリップ1は、左右対称で閉ループ状のウエザーストリップ本体10の左右中間点Pに位置決めピン20aを設けているので、その位置決めピン20aを自動車ボディ2の所定箇所(例えば目印となる部位や予め設けられた目印)に突き合わせることによって、当該ウエザーストリップ1をボディ2に正確に取付けることができる。
【0022】
また、この位置決めピン20aは、ウエザーストリップ本体10とは別個の部材であるため、梱包や搬送の際に作業者の手や、他の製品と擦れることがあっても剥がれ落ちることがない。従って、位置決めの部材として効果的に機能することができ、ウエザーストリップ1をボディ2に常に正確に取付けることができる。
【0023】
さらに、この位置決めピン20aは、ウエザーストリップ本体10に取り外し自在に設けられているので、ウエザーストリップ1をボディ2に取付けた後は、容易に取り除くことができる。従って、位置決めピン20aが、何らかの外的作用によってウエザーストリップ1のシール機能を低下させるという事態も発生しない。
【0024】
また、このウエザーストリップ1は、位置決めピン20aを、頭部21と軸部22と係止部23とを備えた、いわゆるピン形状の位置決めピン20aとしているので、ウエザーストリップ本体10に容易に突き刺して固定することができると共に、容易に取り外すこともできる。従って、その作業を極めて容易に行うことができ、作業性が向上する。また、取り外した位置決めピン20aは繰り返し使用することができるので、経済性にも優れる。
【0025】
なお、上記実施形態においては、図1のように位置決めピン20aを、ウエザーストリップ本体10の上辺部10aの左右中間点Pに設けているが、当該箇所に限定されるものではない。また、この位置決めピン20aは、車内リップ14に取付けているが、この部位に限定されるものではなく、例えば、中空シール部12の車内側部分(図5参照)や、車外リップ13(図6参照)に取付けることもできる。
【0026】
また、上記実施形態における位置決めピン20aは、上記形状に限定されるものではない。従って、例えば、頭部21を、平板状、球状あるいは角柱状に形成したり、係止部23の軸部22との接合面を円弧面23aに形成することができる(図8参照)。円弧面23aを形成することで、位置決めピン20aの取り外しを、より容易に行うことができるといった利点がある。
【0027】
お、位置決めピン20aは、ホッチキスで止めた針のように、ウエザーストリップを部分的に貫通して折り返され、容易に取外しできない機能を保有していたり、タブ取付け機で止めたタブのように簡単に外せないものは好ましくない。取り外しが容易であるといった機能性が必要である。
【0028】
上記実施形態は、バックドア開口部5の周縁部に取付けているが、本発明に係るウエザーストリップ1は、トランクルーム開口縁部に取付けられる左右対称又は上下対称で閉ループ状のウエザーストリップにも適用することができる。また、サンルーフ開口縁部など、他の開口縁部にも取付け可能である。
【0029】
更に、本発明は左右対称の開口縁部へ取付けるウエザーストリップに限定されず、バックドアであっても左右対称でない開口縁部にも適用される。このような場合は、予め取付け側に目印が設定されており、その目印と位置決め部材20を相応させることで、安定した組付け品質が保てる。
【0030】
また、本発明は上記した以外のいかようなウエザーストリップへも適用可能であり、特に断面が単一で、組付け前のウエザーストリップの正面視における外形に特徴が無い場合に大きな効果があり、例えば車両の側面のドア(例えば人乗降口)へも可能である。また、一つのウエザーストリップに1ヶ所のみでなく複数設けることもでき、複数の目印との相応により、さらに設計とおりの設置を可能とする。
【符号の説明】
【0031】
1 ウエザーストリップ
2 ボディ
3 フランジ
4 バックドア
5 バックドア開口部
6 ボディアウターパネル
10 ウエザーストリップ本体
10a 上辺部
10b 下辺部
10c 左片部
10d 右辺部
11 取付基部
11a 奥壁部
11b 車内壁部
11c 車外壁部
11d 芯材
12 中空シール部
13 車外リップ
14 車内リップ
15 シール材
16 取付リップ
20a 位置決めピン
21 頭部
22 軸部
23 係止部
23a 円弧面
30 ウエザーストリップ
31 ペイントマーキング
E 型成形部
F 押出成形部
G 車外側
H 車内側
L 仮想中心線
P 左右中間点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8