(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
本概念の使用が、計量配給モデルを単純な古典的連続式あるいは離散式時間不変系から遠ざけ、これをより複雑なものとする。しかしながら、同期的にしか適用されない般用積分飽和防止(アンチワインドアップ)系(比例−積分(PI)制御ループの積分項(I)部分に関する)結合体系は、直接適用することはできない。それ故、本願明細書の実施形態は、分離された全ての制御ループとは非同期的に作動するアキュムレータ/バッファ内に等価積分飽和防止成分を実装するものである。
【0003】
あらゆるアクチュエータが物理的な限界を有するが故に、制限された有限な速度を有する現像機筺体内の直流モータは積分動作が不安定モードである場合にPI(比例・積分)コントローラに対し厳しい結果を有することがある。ループが閉じている場合は、これが難題を招くことは全くないが、(飽和構成要素の出力がその入力により影響を受けないが故に)アクチュエータが飽和したときにフィードバックループが断ち切られることになる。コントローラ内の不安定モードは、そこで極めて大きな値に浮遊変動することがある。アクチュエータが飽和解除されると、システムが復旧するのに長時間を要したり、あるいはシステムが復旧する前にハイとロウの間で数回発振したりすることもある。
【0004】
積分器の飽和動作は、工程適用時に制御信号が即飽和する場合にアクチュエータ内の飽和に起因して発生する。制御信号はそこで飽和レベルに止まり、フィードバックは断ち切られ、誤差が正であるが故に積分項部分は増加し続ける。プロセス出力が設定点を上回ってしまうと、積分項部分は減少し始めるが、大きな積分項部分が故にプロセス出力は飽和状態に止まる。徐々にではあるが、プロセス出力は設定点に向かって減少する。このプロセスの最終的な影響は、「積分器飽和」と呼ばれる大きなオーバーシュートとなる。
【0005】
コントローラは、プロセス出力が最小出力と最大出力の範囲内にある場合にだけ線形に動作し、プロセス出力がこの範囲外にあるときにはコントローラ出力は飽和する。コントローラは、積分項部分に基づく最小出力と最大出力に等しい余分な比例帯変数を有する積分飽和防止方式を用いて並列形式でモデル化される。すなわち、アクチュエータが飽和し、制御誤差が変化するや否やコントローラが動作を再開するときは、積分が適切な値に保たれるよう確実にすることで、積分器の飽和を回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本願明細書の実施形態を実施すべく下記に説明する
図6の作像装置の各現像機筺体44,54,56,58に実装することのできるトナー濃度モデルを示すブロック線図である。
図1は、現像機筺体131内でのトナー混合と移送に起因する実際の応答時間と伝搬遅延と、加えてトナー濃度コントローラ132用の適切な制御信号を生成するための濃度検出とトナー計量配給との間の遅延もまた表わす。これらは概ね固定値であるが、定期的にあるいは装置の老化を補償すべく調整することができる。加えて、現像機筺体モジュール131の様々な要素の時間遅延や動作値は、異なる種類の作像装置のそれぞれの特性であって唯一無二である。
【0014】
トナー濃度コントローラ132は、ESS32(
図6に示す)により実行することができるが、モジュール131からの信号に応答し、例えば
図6のトナー源51からのトナーの補充を制御することができる。コントローラ132はまた、従来の態様では原書面16の有効範囲域に基づきトナーを補充する印刷単位の画素カウンタ情報と、10回から1000回の印刷周期ごとに静電気コントローラ144へフィードバック信号を供給する画像濃度センサ146とに応答する。随意選択的な静電電圧計148が静電気コントローラ144に対しフィードバック信号を周期的に供給し、静電気設定点を所定範囲内に保つことができる。随意選択的には、光受容体10の動作をモデルして始動過渡状態を補償するよう光受容体周期モジュール150を配設することができる。電源162と中間色調モジュール160が、静電気コントローラから出力を受け取り、印刷物単位を基準に調整する。
【0015】
現像機筺体モジュール131のパラメータは、作像装置の実際の現像機筺体の動特性を表わす。トナー濃度センサ100は、現像機ユニットの流路内の特定の点における
図6の現像機混合物46内のトナーの実際の濃度を示し、一方で現像機ロール152は例えば
図6の現像機ロール48と等価である。時間遅延151,153,155は、特定の作像装置の種別と特性とに基づくものである。この種の遅延は、とりわけ潜像の現像期間中の現像ステーションでの現像機貯槽と移送ロールと現像ロールとの間での現像材料の移送用の時間期間、あるいは現像機筺体やトナー濃度に影響を及ぼす作像装置の他の動作特性を反映する。
【0016】
濃度センサ146は、長期間の浮遊変動を補償すべく、現像された潜像の実際の印刷濃度を、所定の試料間隔、例えば10回から1000回の印刷間隔で検出する。濃度信号が、トナー濃度(TC)コントローラ132と静電気コントローラ144とに印加される。現像された潜像上あるいはその近傍のテストパッチから通常得られる濃度データの取得は、濃度センサとESS32との間のデータパッチ内に極めて高い帯域を必要とし、このESS32が濃度データを処理して適切なトナー濃度調整あるいは補正信号を生成し伝送する。静電現像電界の静電電圧は、静電電圧計148を用いて計測することができ、得られる計測値は電圧計148から静電気コントローラ144へ伝送される。
【0017】
短期光受容体(P/R)周期動作モデル150を静電気コントローラ144に組み込み、稼働開始期の過渡特性の補正を可能にする。印刷単位での主要情報を画素カウンタ157が供給し、これを用いてトナー濃度コントローラ132によりトナーの計量配給が調節される。
【0018】
トナー濃度コントローラ132はまた実際のトナー濃度(TC)センサ100から信号を受け取り、この信号がトナー濃度センサでの被検出トナー濃度に対応する。制御回路は、コントローラ132からの信号を制御するよう応答し、容器からトナーが計量配給される量と速度とを調節する。
【0019】
印刷エンジンは、前述したように、様々な形式の制御アーキテクチャを有し、その画像品質性能および安定性を追尾し維持する。トナー濃度(TC)制御は、計量配給モータの起動を介して現像機筺体内にトナーを計量配給することで画像品質を維持する。費用節約のため、制御と起動とを分離する上で計量配給時間アキュムレータ/バッファの概念の使用が要求されるトナー計量配給用のサーボモータあるいはステップモータの代わりに、直流モータ(
図1の直流トナー計量配給モータ156参照)を使用する傾向が高まっている。強力で効率的ではあるが、アキュムレータ/バッファ手法の使用は、TC計量配給モデルを単純な古典的連続的あるいは離散的な時間不変系から遠ざけ、より複雑な非連続/非同期の時間依存系に近づける。
【0020】
この点に鑑み、本願明細書の実施形態は、計量配給時間アキュムレータ/バッファの概念を用いる連続的あるいは離散的時間不変系の積分飽和防止成分に等価なより廉価な直流モータに有用な最適化限界ゲイン成分を獲得する一つの方法を提供するものである。この最適化限界ゲイン成分が極端な領域有効範囲の変化に起因して生ずるトナー濃度のばらつきの低減を達成し、良好なTC安定性と比較してより良好な画像品質安定性とをもたらす。
【0021】
したがって、本願明細書の実施形態により、分離された非同期システムにおけるより廉価な直流アクチュエータの利用が可能になるが、依然として密接結合された同期システムの積分飽和防止フィードバックループを用いるアーキテクチャが享受する精度をもたらす。より具体的には、廉価な直流モータ(と直流モータ準拠トナー計量配給を制御するバッファ/アキュムレータ)を用いるシステムを用いることで、本願明細書の実施形態は、それが生成する能力を上回る量(その時間準拠生成能力の100%を上回る量)を出力するようバッファがトナー計量配給器に要求する時点を判別することで、積分飽和防止メカニズムを提供する。本願明細書の実施形態は、この種の状況を検出し、トナー計量配給器からその能力を超えて要求される超過量の程度を見いだすことで、(飽和を防止すべく)トナー計量配給器から要求される量を低減する。この超過量はそこで(フィードバックループを用いて)ゲイン値を乗算され、この乗算結果がバッファから減算(トナー計量配給器の被要求量から減算)される。このことで、トナー計量配給器に対しなされる要求をその能力内のものに低減し、それによって飽和を回避する。さらに、積分飽和防止メカニズム内のバッファ内の量を変更することで、本願明細書の実施形態は廉価な直流モータ(とこの種直流モータを制御するバッファ/アキュムレータ)を使用する分離された非同期システムに適用することができる。
【0022】
このことは
図2により具体的に示されており、
図2は
図1のトナー濃度(TC)コントローラ132と現像機筺体131と画素カウンタ157とを含む制御方法および装置を示すブロック線図である。制御ループ300には、
図1の画素カウンタ157からフィードバック信号を受け取る画素カウンタ計量配給ループ320や、
図1の現像機筺体131内のTCセンサ100からフィードバック信号を受け取るトナー濃度(TC)センサ計量配給制御ループ330、あるいは他の任意の追加の制御ループ340を含めることができる。これら制御ループは、
図1のTCコントローラ132内のトナー計量配給起動ループ302内に配置された計量配給時間アキュムレータバッファ304をインクリメント(+)あるいはデクリメント(−)させる計量配給値のいずれかを伝送する。
【0023】
加えて、最適化限界ゲインは、各装置にあるいは装置内の各筺体ごとに独立して算出され、トナー計量配給起動ループに伝送され、飽和計量配給上下限に達したときに計量配給時間アキュムレータバッファ304の値を制限する。計量配給時間アキュムレータバッファが「オン時間」値以上となったときに判断がなされ、計量配給モータ156aをオンすなわち起動する信号がブロック306において生成されて直流トナー計量配給モータ156aを制御し、現像機筺体131内にトナー(360)を計量配給する。計量配給モータが一旦起動(306)されると、「オン時間」値がそのときの計量配給時間アキュムレータバッファから減算され、したがって第1の頻度で計量配給時間アキュムレータバッファを更新する。
【0024】
制御ループ300の各計量配給制御ループは、計量配給時間アキュムレータバッファ304とは異なる頻度で作動する。例えば、画素カウンタ計量配給ループ320が、装置が処理する各画像パネルに等しい時間期間に亙り、画素数と画素ゲインの積に等しい画素時間#でもってアキュムレータバッファ304をインクリメントさせる。
【0025】
別の例では、トナー濃度(TC)センサ計量配給制御ループは計量配給筺体131内のTCセンサ100からフィードバック信号を取り込んでTCセンサ時間値(TCSNRTIME#)を生成し、これが誤差信号の比例(P)ゲイン成分と誤差信号の積分(I)ゲイン成分との和でもってアキュムレータバッファ304にインクリメントまたはデクリメントのいずれかを行なう。比例(P)項(時としてゲインと呼ばれる)が、そのときの誤差値に比例する出力への変化を生み出す。この比例応答は、比例ゲインと呼ばれる定数Kp(図示せず)を誤差に乗算することで調整することができる。積分(I)項(時としてリセットと呼ばれる)からの影響は、誤差の大きさと誤差の持続期間の両方に比例する。
【0026】
時間軸上で瞬時誤差を総計する(誤差を積分する)ことで、先に補正すべきであった累計オフセットがもたらされる。累計誤差は、そこで積分ゲインを乗算され、コントローラ出力に付加される。制御動作全体に対する積分項の貢献度は、積分ゲインKi(図示せず)により定まる。TC制御ループからの伝送計量配給値の頻度は、独立した「X」時間期間(秒)として特定することができる。
【0027】
追加の1(または複数)の制御ループ340は、トナー計量配給起動ループ302の作動頻度とは無関係に作動させることもできる。それ故、制御ループ300の独立した作動は、TCコントローラ132内のトナー計量配給起動ループ302から分離され、したがって1(または複数)の制御ループとトナー計量配給起動ループとの間の同期結合システム内で「積分飽和防止」成分として機能させることのできる成分を算出する代替手法が必要となる。
【0028】
図3は、印刷エンジン用に計量配給する必要のあるマーキング材料の量に関する少なくとも1つの制御ループ要素からの計量配給値を受け取り(400)、計量配給値をコンピュータ可読媒体内に累計計量配給値として累計する(402)、コンピュータにより実行する方法に従う工程を示す例示フローチャートである。累計計量配給値は、所定の上限計量配給値と所定の下限計量配給値とに比較される(404)。累計計量配給値が所定の上限計量配給値以上であるときに、暫定値は所定の上限に等しく設定される(406)。別の選択肢として、累計計量配給値が所定の下限計量配給値以下であるときに、暫定値は所定の下限に等しく設定される(408)。
【0029】
累計計量配給値はそこで暫定値から減算され、中間値を得る。中間値は最適化限界ゲインを乗算され、更新された計量配給値を生成する(410)。更新された計量配給値は累計計量配給値に加算され、更新された累計計量配給値を生成(412)し、この値が制限時間と比較される(414)。トナー計量配給モータは制限時間に合わせ起動され、更新された累計計量配給値が制限時間を超過したときに、この制限時間が累計計量配給値から減算される(416)。
【0030】
制御ループ要素には、
図2からの画素カウンタ計量配給ループ320あるいはトナー濃度(TC)センサ計量配給制御ループ330を含めることができる。最適化限界ゲイン350は、特定の現像機筺体に向けユーザが規定して最適化された値を含む。トナー計量配給モータは、更新された累計計量配給値(ACC#,304)の制御下で動作する直流モータ156aとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体、すなわちバッファ304は、300で1(または複数)の制御ループ要素から分離され、これとは非同期に動作する。
【0031】
図4は、トナー計量配給起動ループ内から累計計量配給値を更新し(504)、トナー計量配給起動ループ302とは非同期で動作する制御ループ要素500,502から計量配給値を受け取ることで累計計量配給値を調整する別のコンピュータにより実行する方法に従う工程を示す例示フローチャートである。
【0032】
計量配給の上下限飽和に対する累計計量配給値の比較(506)が基準となる。累計計量配給値が所定の計量配給飽和上限以上となる(508)か、あるいは累計計量配給値が所定の計量配給飽和下限以下となる(510)ときに、暫定累計計量配給値を記憶する(512)。調整された累計計量配給値(514参照)は、暫定累計計量配給値から累計計量配給値を減算し、この差分に
図2のトナー計量配給起動ループ302内へ入力(516)される
図2の所定の最適化限界ゲイン350を乗算することで算出される。
【0033】
新規の累計計量配給値は、調整された累計計量配給値を累計計量配給値に加算(514)することで算出される。トナー計量配給モータは、新規の累計計量配給値が「オン時間」値以上であると判定(518)された後、「オン時間」値に等しい時間期間に亙り起動(520)される。「オン時間」値はそこで、新規累計変数が「オン時間」値以上である(522)ときにその判定に基づき、新規アキュムレータ値から減算される。そうでなければ、計量配給モータを動作させない(524)ようにし、累計計量配給値を
図2の現像機筺体131の制御ごとに第1の頻度で連続的に更新する。
【0034】
トナー計量配給モータは、印刷エンジンの現像機筺体131内に位置する直流モータ(
図3の156a)を含む。制御ループには、それぞれ受け取った画像パネルの処理と等価な第2の頻度で累計計量配給値304を更新するよう計量配給値を伝送する画素カウンタ計量配給制御ループ320を含めることができる。
図2の画素カウンタ計量配給制御ループ320は、画素カウンタ値と画素ゲイン値との積に等しい画素時間値と等価な計量配給値を伝送する。
【0035】
制御ループには、所定の時間期間に等価な第3の頻度で累計計量配給値を更新するよう計量配給値を伝送する
図2のトナー制御センサ計量配給制御ループ330含めることができる。
図2のトナー制御センサ計量配給制御ループ330は、誤差信号の比例ゲイン成分と誤差信号の積分ゲイン成分の和に等しいトナー制御センサ時間値と等価な計量配給値を伝送する。
【0036】
追加の実施形態によれば、印刷エンジンは、計量配給時間ループバッファ304を有する
図2のトナー濃度(TC)コントローラ132と計量配給値を伝送して計量配給時間アキュムレータバッファ304をインクリメントあるいはデクリメントさせる少なくとも1つの制御ループ300とを含む。
図2のトナー計量配給起動ループ302は、計量配給時間アキュムレータバッファ304の値の更新に基づき直流トナー計量配給モータ156aを制御し、現像機筺体131はトナー計量配給モータ156aとトナー360と現像機(すなわち、
図6のC,E,G,I)と印刷エンジン用のトナー濃度(TC)センサ100とを含む。
【0037】
制御ループ300には、誤差信号の比例ゲイン成分を誤差信号の積分ゲイン成分と総計することで現像機筺体131内のトナー濃度(TC)センサ100に基づき計量配給値を生成するトナー濃度(TC)センサ計量配給制御ループ330を含めることができる。
【0038】
加えて、あるいは別の選択肢では、制御ループには画素カウンタ値と画素ゲイン値との積に等しい画素カウンタ要素に基づき計量配給値を生成する画素カウンタ計量配給ループ320を含めることができる。
【0039】
トナー計量配給起動ループ302は、計量配給値を伝送して計量配給時間アキュムレータバッファ304をインクリメントもしくはデクリメントさせる制御ループ300の第1の頻度(少なくとも第2の頻度とは異なる)で計量配給時間アキュムレータバッファの値を更新する。
【0040】
トナー濃度(TC)コントローラ132は、計量配給時間アキュムレータバッファ値と飽和上下限との間の差分を特定することで、調整された計量配給時間アキュムレータバッファ値を算出する。次に、バッファ値と限界値との間の差分に所定の最適化限界ゲイン値を乗算する。この種の乗算の積が計量配給時間アキュムレータバッファ値に加算され、バッファに加算される「積算値」を生成する。その後、調整された計量配給時間アキュムレータバッファ値が所定のトナー計量配給モータの「オン時間」値を上回るときに、トナー計量配給起動ループがトナー計量配給モータを起動する。
【0041】
本願明細書の実施形態は、アクチュエータが生成することのできる最大値に対しアクチュエータから要求される過剰処理を計測することで飽和状態が発生しているときに、これを検出する。それ故、所与の時間期間においてアクチュエータが100単位しか生成できないが、同じ時間期間において120単位を出力するよう要求されている場合、飽和量は20単位すなわち20%となる筈である。
【0042】
本願明細書の実施形態は、暫定値(アクチュエータ能力の上限に対応)を生成する。それ故、前述の例では、上限は所与の時間期間ごとに100単位として規定でき、これが暫定値となる筈である。要求される実際のアキュムレータ値(これは前述の例では120単位となる筈である)を暫定値から減算し、各起動に独立して特定された最適化限界ゲイン値を乗算する。例えば、2倍のゲインには暫定数(100)と累計数(120)との間の差分を乗算でき、−40が得られる。この−40は累計数に加算(120)され、更新された累計数である80が得られる。次に、更新された累計数は制限時間と比較され、所定時間に亙りアクチュエータをオンさせるかどうか判定される。これらの新規の特徴を有することで、本願明細書の実施形態は分離された非同期計量配給時間アキュムレータ/バッファを用いるシステム内の最適化限界ゲインとして等価積分飽和防止成分を提供することができる。
【0043】
図5Aは、最適化限界ゲイン成分を持たないトナー濃度(TC)出力対時間のグラフを示す。500秒の時点で、TCは11.5pphを上回ってスパイクを形成する。領域網羅百分率(AC)は太線であり、両グラフの右側垂直軸上に割り出されている点に留意されたい。
【0044】
図5Bは、本願明細書に含まれる一実施形態の最適化限界ゲイン成分を用いたトナー濃度(TC)出力対時間のグラフを示すものである。500秒の時点で、TCは約10.25に上昇するに過ぎない。
図5Aのスパイク状点線曲線が、最適化限界ゲインを有するシステムと最適化限界ゲインを持たないシステムとの間の大きさの差を示す比較目的として、
図5B上に重ねてある点に留意されたい。
【0045】
図6は、本願明細書の様々な実施形態を利用することのできる例示的な複数パス型カラー電子写真再生あるいは作像装置を示す。作像装置は、その上に形成された静電潜像をベルト10の経路に沿って様々な処理ステーションへ方向12に搬送する光導電面11を有する光受容体ベルト10を含む。制御された量のトナーが、複数パス処理においてそれが現像機ステーションC,E,G,Iを通過する際に各潜像に塗布される。塗布されるトナー量は、とりわけトナー濃度と現像機ユニットでの静電電位とにより規定される。潜像に塗布されるトナーの量を制御すべく、静電電位や他の電気的設定点はほぼ瞬時に制御することができるのに対し、現像ロールにおけるトナー濃度は混合と移送遅延の影響を受ける。
【0046】
当分野で熟知されているように、カラー再生は画像プロセッサ14へ、あるいは透明プラテン18の表面に配置された原書面16から電子的に搬送されるコンピュータ生成画像から導出することができる。後者の場合、光源20を含む走査組立体が書面16を照らし、そこで書面16上から反射された光がミラー22,24,26により一連のレンズ(図示せず)および二色性プリズム28を介して3色分解電荷結合直線光検出デバイス(CCD)30に向け反射され、そこで情報が読み取られる。各CCD30は、原書面16の個別の色分解領域の入射光の輝度に比例するデジタル画像信号を出力する。デジタル信号は各画素を表わし、青色と緑色と赤色の濃度を示すものである。それらはIPU14へ搬送され、ここでそれらは、通常イエローとシアンとマゼンタとブラックとを表わす色分解ビットマップに変換される。
【0047】
前記した如く、原書面16の画像被覆領域は印刷ごとに変化することがあり、このことは万一トナー濃度が予め設定された範囲外で変動するような場合、再生された画像濃度に対し有害な影響を及ぼすことがある。色分解ビットマップ情報は、現像された潜像内に所望のトナー密度を達成すべく現像ステーションC,E,G,Iにおけるトナーの給送を制御するのに用いることができるが、殆どの場合、トナー濃度における印刷間変動期間中に潜像のトナー密度のばらつきを補償する上でかろうじて有効でしかない。個別に図示したが、現像ステーションC,E,G,Iの筺体はしばしば個々のトナーごとに個別の隔室を有する単一ユニットに複合してコンパクト化される。前記した如く、このことがシステムをトナー濃度変動の影響をより受けやすくする。
【0048】
図6の作像装置は、中央処理装置(CPU)とメモリとディスプレイあるいはユーザインタフェース(UI)とを備える電子サブシステム(ESS)32を含んでいる。接続部34a,34b,34c,34dでのトナー濃度センサとさらに随意選択的な画素カウンタ36も加えた助けにより、ESS32はトナー濃度や静電気設定点や他の装置機能を読み取り、捕捉し、調製しおよび/または管理する。加えて、ESS32は各現像機ユニットの作像や現像やシート給送および転写や作動や「オン」時間制御モードおよび/またはアルゴリズム等の複数タスク処理を行なう。
【0049】
先ず、初回の作像パスでは、光受容体10は帯電ステーションAを通過し、そこではコロナ生成装置38,40が光受容体10を比較的高い実質均一な電位に帯電する。次に、この初回の作像パスにおいて、光受容体10の帯電部分が作像ステーションBを通って前進する。作像ステーションBにおいて、均一に帯電したベルト10が走査装置42に露光され、例えば走査装置42の得られた色分解ビットマップ出力の一つ、例えばブラックに従って、そのしかるべき領域、例えば文字や図形パターンを放電させることで、ベルト10の表面11に潜像を形成する。走査装置42は、一般にインチ当たり走査線数と呼ばれる特定の解像度を有する一連の平行走査線として色分解画像を生成するレーザラスタ・アウトプット・スキャナ(ROS)である。
【0050】
第1の現像ステーションCでは、非相互作用型の2成分現像機ユニット44が、例えば所望されかつ制御された割合の強磁性ビーズの形をした帯電したトナー粒子と担体粒子を含む現像材料46をドナーロール48との接触状態に前進させ、ドナーロール48はそこで、現像材料46と混合された帯電したトナー粒子を表面11上の潜像および何らかの潜在的な標的マークとの接触状態に前進させる。現像機筺体44の液溜めや貯槽は、トナーと担体粒子とを混合する混合オーガを含む。現像機筺体44の液溜めから表面11上の潜像への現像材料46の輸送は、概ね数秒を要する。ドナーロール60と計量配給とを含む現像ステーションE,G,Iは、ブロック208では変化させないままとする。そうである場合、投射されたトナー濃度と実際のトナー濃度との間の比較結果に基づき、ブロック210において長期の浮遊変動を算出し、計量配給速度をしかるべく修正する。いずれにせよ、静電気コントローラ144が記憶する設定点は適切に調整され、ブロック212において現像プロセスが開始される。
図2に記載したプロセスが、印刷ごとに反復される。
【0051】
現像機ユニット44にはまた、複数の磁気ブラシとドナーローラ部材と、加えてトナーや担体粒子を混合する回動オーガあるいは他の手段を含めることができ、その全てが潜像に所望濃度のトナーを塗布する遅延の原因となる。非相互作用型現像の独自の特徴は、たとえ現像が不能とされたときでもトナーの追加と混合が持続できる点にある。それ故に、追加および混合機能用のタイミングアルゴリズムは、現像が必要とされるときに常に混合が可能である限り、現像機能用のものとは無関係とすることができる。これらのドナーローラ部材は帯電したトナー粒子を潜像へその現像用に運び、これが特定の色分解画像領域にトナーを付着させ、他の領域はトナー付着させないままとする。電源50は、現像機ユニット44を電気的にバイアスする。他の現像ステーション54,56,58は、同様のバイアスを有する。本願明細書の実施形態によれば、混合と移送用のタイミングアルゴリズムは移送と混合における予測遅延に基づきトナーの必要性に先立って変更することができる。
【0052】
帯電したトナー粒子の潜像への現像あるいは塗布が、現像材料46内のトナー粒子のレベルすなわち濃度を欠乏させる。再生対象である幾つかの書面の異なるジョブは、維持された複写シート領域トナー塗布範囲あるいは再生対象であるその画像のトナー領域塗布範囲レベルに応じて異なる速度でのトナーの欠乏を引き起こすことになる。本願明細書のように、2成分現像材料を用いる装置では、この種の欠乏が現像材料内のこの種の粒子の濃度を有害に変化させる。現像材の量が比較的少ないときは、一時的な欠乏は悪化する。現像材料46内のトナー粒子の所望の濃度を(後続画像の連続した品質を保証する試行において)維持すべく、現像機ユニット44の追加および混合機能は、現像機ユニット44に源52から未使用トナー粒子をホッパ50が補充すべく制御された一定の時間期間に亙り作動状態とする、すなわち「オン」させねばならない。この種の未使用トナー粒子はそこで、摩擦電気によりそれらを適切に帯電させるため担体粒子と混合されなければならない。
【0053】
複数パス作像装置のベルト10上の画像領域の二回目と後続パスにおいて、コロナ装置38,40が光受容体10上のトナー付き(直前の作像パスから)とトナー無しの両方の領域の電圧レベルを実質均一レベルに再帯電し調整する。このことで、表面11は追加の潜像を受け取る態勢が整い、この潜像の上に現像ステーションE,G,Iが他の色のトナー粒子を付着させる。再帯電装置38,40は、トナー付き領域と裸のトナー無し領域との間のどのような電圧差も実質除去し、加えて先にトナー付着させた領域に残る残留電荷のレベルを低減もし、したがって異なる色分解潜像の後続の現像が均一な現像電界全体に形成されるようにする。次に複数パス作像装置の二回目と後続パスにおいて作像装置42を用い、再帯電させた光受容体10を選択的に放電させることで特定の色分解画像の後続の潜像を重ね合わせる。