特許第5649584号(P5649584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィブロジェン インコーポレイテッドの特許一覧

特許5649584HIFヒドロキシラーゼ阻害剤としてのチオクロメン誘導体
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649584
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】HIFヒドロキシラーゼ阻害剤としてのチオクロメン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 335/06 20060101AFI20141211BHJP
   C07D 335/08 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 31/382 20060101ALI20141211BHJP
   C07D 409/04 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 31/4436 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 31/4155 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 31/714 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 33/26 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20141211BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20141211BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20141211BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20141211BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20141211BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20141211BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20141211BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20141211BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20141211BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   C07D335/06CSP
   C07D335/08
   A61K31/382
   C07D409/04
   A61K31/506
   A61K31/4436
   A61K31/4155
   A61K31/714
   A61K31/519
   A61K33/26
   A61K37/24
   A61K45/00
   A61P9/10
   A61P11/00
   A61P1/00
   A61P13/12
   A61P1/16
   A61P27/02
   A61P9/00
   A61P7/06
   A61P43/00 111
【請求項の数】44
【全頁数】95
(21)【出願番号】特願2011-536447(P2011-536447)
(86)(22)【出願日】2009年11月11日
(65)【公表番号】特表2012-508752(P2012-508752A)
(43)【公表日】2012年4月12日
(86)【国際出願番号】US2009064065
(87)【国際公開番号】WO2010056767
(87)【国際公開日】20100520
【審査請求日】2012年11月6日
(31)【優先権主張番号】61/114,971
(32)【優先日】2008年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510153630
【氏名又は名称】フィブロジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ホー, ウェン−ビン
(72)【発明者】
【氏名】ライト, リー アール.
(72)【発明者】
【氏名】タートル, エリック ディー.
(72)【発明者】
【氏名】モスマン, クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】フリッピン, リー エー.
【審査官】 砂原 一公
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/130527(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/130600(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/090068(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/115315(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
MARPAT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化10】
であって、ここで:
qは、0、1、2、3または4であり;
yは、0〜2であり;
ヒドロキシであり
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウム、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;Rは、水素、ジュウテリウムおよびメチルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、アシル、アミノ、置換アミノ、アシルアミノ、スルホニル、置換スルホニル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか;
または2つのRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;
10−OR13であり;そして
13は、陽イオン、水素、ならびに置換されていないか、またはシクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されたアルキルからなる群から選択され
化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項2】
が、水素である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項3】
qが、1または2である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項4】
およびRが、水素である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項5】
各Rが、独立して、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項6】
が、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルキニルまたは(C−C)−シクロアルキルから選択され;それらの各々が、必要に応じてアリールで置換される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項7】
が、必要に応じてシクロアルキルまたはアリールで置換される(C−C)−アルコキシである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項8】
各Rが、独立して、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;それらの各々が、メトキシ、クロロ、フルオロまたはトリフルオロメチルのうちの少なくとも1つで必要に応じて置換される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項9】
2つのRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成する、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項10】
前記アリールが、フェニルである、請求項に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項11】
およびRが、水素であり;
が、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;そして
各Rが、独立して、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項12】
qが、1または2であり
およびRが、水素であり;
が、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
各Rが、独立して、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
13は、水素またはアルキルである、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項13】
qが、0であり
およびRが、水素であり;
が、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;そして
13は、水素またはアルキルである、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項14】
qが、1または2であり
、RおよびRが、水素であり;
各Rが、独立して、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
13は、水素またはアルキルである、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項15】
式IIの化合物:
【化11】
であって、ここで、
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウム、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;Rは、水素、ジュウテリウムおよびメチルからなる群から選択され;
14、R15、R16およびR17は、独立して、水素、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、アシル、アミノ、置換アミノ、アシルアミノ、スルホニル、置換スルホニル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか;
またはR14およびR15、R15およびR16、またはR16およびR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;
10−OR13でありそして
13は、陽イオン、水素、ならびに置換されていないか、またはシクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されたアルキルからなる群から選択される;
化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項16】
14およびR17が、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される、請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項17】
15およびR16が、独立して、水素、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される、請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項18】
が、水素である、請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項19】
が、水素である、請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項20】
およびRが、水素である、請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項21】
が、水素およびメチルからなる群から選択される、請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項22】
、RおよびRが、水素である、請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項23】
13が、水素、または置換されていないか、もしくはシクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されたアルキルである、請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項24】
13が、C−Cアルキルである、請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項25】
13が、水素である、請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項26】
およびRが、水素であり;
が、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;そして
14、R15、R16およびR17が、独立して、水素、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される、
請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項27】
およびRが、水素であり;
が、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
14、R15、R16およびR17が、独立して、水素、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
13は、陽イオン、水素またはアルキルである、
請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項28】
、RおよびRが、水素であり;
14およびR17が、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
15およびR16が、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
13は、水素またはアルキルである、
請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項29】
、RおよびRが、水素であり;
14およびR15が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;
16が、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
17が、水素、ハロ、アルキルおよびアルコキシからなる群から選択され;そして
13は、水素である、
請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項30】
、RおよびRが、水素であり;
14が、水素、ハロ、アルキルおよびアルコキシからなる群から選択され;
15が、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
16およびR17が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;そして
13は、水素である、
請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項31】
[(4−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−6,7−ジメトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−7−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[4−ヒドロキシ−7−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−7−(3−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−7−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[7−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[7−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリミジン−5−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸のナトリウム塩;{[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[7−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(4−ヒドロキシ−7−ナフタレン−2−イル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−p−トリル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−ベンジル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−4−チア−フェナントレン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−ベンゾ[f]チオクロメン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−ブトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;2−(S)−[(6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸;{[7−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[7−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;2−(S)−{[7−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸;{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[6−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;
{[4−ヒドロキシ−6−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[6−(2−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[6−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[6−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−6−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(6−ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(8−ベンジル−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[8−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(8−ベンジル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[8−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−8−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(5−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−シクロプロピル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[4−ヒドロキシ−7−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;2−(S)−{[4−ヒドロキシ−7−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニルエチニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;2−(S)−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;2−(S)−[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸;[(7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;2−(S)−[(7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸;[(6−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(6−シクロヘキシルメトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;および[(6−ヘキシルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸からなる群から選択される化合物;またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体
【請求項32】
請求項1または15に記載の1つ以上の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体および薬学的に許容され得る賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項33】
ビタミンB12、葉酸、硫酸第一鉄、組換えヒトエリトロポイエチンおよび赤血球生成刺激剤(ESA)からなる群から選択される少なくとも1つの追加の治療薬剤をさらに含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
少なくとも部分的に低酸素誘導因子(HIF)によって媒介される状態を処置するためか、前処置するためか、またはその発生もしくは進行を遅延させるための、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
少なくとも部分的にHIFによって媒介される前記状態が、虚血または低酸素に関連する組織損傷である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記虚血が、心筋梗塞、肺塞栓、腸梗塞、慢性腎不全、虚血性脳卒中および腎虚血再灌流傷害からなる群から選択される事象を伴う、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記虚血が、心臓性肝硬変、一過性脳虚血発作、黄斑変性症、末梢動脈疾患およびうっ血性心不全からなる群から選択される事象を伴う、請求項35に記載の組成物。
【請求項38】
少なくとも部分的にエリトロポイエチン(EPO)によって媒介される状態を処置するためか、前処置するためか、またはその発生もしくは進行を遅延させるための、請求項32に記載の組成物。
【請求項39】
貧血を処置するためか、前処置するためか、またはその発生もしくは進行を遅延させるための、請求項32に記載の組成物。
【請求項40】
HIFヒドロキシラーゼの活性を阻害するための組成物であって、阻害有効量の請求項1または15に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物もしくは互変異性体を含み、該組成物は該HIFヒドロキシラーゼと接触させられることを特徴とする、組成物。
【請求項41】
前記HIFヒドロキシラーゼが、アスパラギニルヒドロキシラーゼである、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記アスパラギニルヒドロキシラーゼが、HIF阻害因子である、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記HIFヒドロキシラーゼが、プロリルヒドロキシラーゼである、請求項40に記載の組成物。
【請求項44】
前記プロリルヒドロキシラーゼが、ヒトEGLN1、ヒトEGLN2およびヒトEGLN3からなる群から選択される、請求項43に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国特許法の119(e)条における2008年11月14日出願の米国仮特許出願第61/114,971号の利益を主張し、その全体が本明細書中で参照として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、HIFヒドロキシラーゼの酵素活性を低下させることができることによって、低酸素誘導因子(HIF)の安定性および/または活性を増加させる、新規の化合物、方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
当該分野の状況
低酸素誘導因子(HIF)は、細胞の酸素濃度の変化に応答して遺伝子発現の変更を媒介する塩基性ヘリックス・ループ・ヘリックス(bHLH)PAS(Per/Arnt/Sim)転写活性化因子である。HIFは、酸素によって制御されるα−サブユニット(HIFα)および恒常的に発現されるβ−サブユニット(HIFβ/ARNT)を含むヘテロ二量体である。含酸素(正常酸素圧)細胞では、HIFαサブユニットは、フォンヒッペル・リンダウ腫瘍抑制因子(pVHL)E3リガーゼ複合体によるユビキチン化に関わる機構によって急速に分解される。低酸素の条件下では、HIFαは、分解されず、活性なHIFα/β複合体が、核内に蓄積し、糖分解酵素、グルコーストランスポーター、エリトロポイエチン(EPO)および血管内皮成長因子(VEGF)をはじめとしたいくつかの遺伝子の発現を活性化する(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6)。
【0004】
HIFαのレベルは、低酸素に応答してほとんどの細胞において上昇し、HIFαは、動物が貧血または低酸素になるとインビボで誘導される。HIFαのレベルは、低酸素の発生後、数時間以内に上がり、細胞保護作用、赤血球生成の増加および虚血状態または低酸素状態への生理的適応を含む多くの有益な細胞プロセスを誘導する。HIFαの誘導は、心臓発作、脳卒中、末梢血管疾患、慢性虚血、炎症および貧血などの状態において有益である可能性を秘めている。
【0005】
HIFαのレベルは、デスフェリオキサミン(DFO)などの鉄キレート剤およびCoClなどの二価金属塩を含む、低酸素によく似たいくつかの因子によっても上昇する。さらに、最初はプロコラーゲンプロリルヒドロキシラーゼ酵素のインヒビターとして同定されたいくつかの化合物が、HIFαを安定化させると見出されている。そのような化合物の例は、例えば、Majamaaら(1984)Eur.J.Biochem.138:239−245;Majamaaら(1985)Biochem.J.229:127−133;Kivirikko,and Myllyharju(1998)Matrix Biol.16:357−368;Bickelら(1998)Hepatology 28:404−411;Friedmanら(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:4736−4741;Franklin(1991)Biochem.Soc.Trans.19):812−815;およびFranklinら(2001)Biochem.J.353:333−338に見ることができる。さらに、HIFヒドロキシラーゼを阻害する化合物は、例えば、国際公開番号WO03/049686、WO02/074981、WO03/080566、WO2004/108681、WO2006/094292、WO2007/038571、WO2007/070359、WO2007/090068、WO2007/103905、WO2007/115315、WO2007/136990、WO2007/150011、WO2008/076425、WO2008/076427、WO2008/089051、WO2008/089052、WO2008/130600、WO2008/130508、WO2008/137084、WO2008/137060、WO2009/039321、WO2009/039322、WO2009/039323、WO2009/049112、WO2009/070644、WO2009/073497、WO2009/073669、WO2009/073669およびWO2009/086044に記載されている。
【0006】
貧血、ならびに虚血および/または低酸素によって引き起こされる組織損傷を含む、HIFに関連する状態および障害の処置および予防に有効な化合物が未だ必要とされている。本明細書中に提供される化合物は、HIFヒドロキシラーゼ活性を阻害することによって低酸素誘導因子(HIF)の安定性および/または活性を高め、HIFに関連する状態および障害を処置するためおよび予防するために使用され得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Jiangら(1996)J.Biol.Chem.271:17771−17778
【非特許文献2】Iliopoulusら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:10595−10599
【非特許文献3】Maxwellら(1999)Nature 399:271−275
【非特許文献4】Sutterら(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:4748−4753
【非特許文献5】Cockmanら(2000)J.Biol.Chem.275:25733−25741
【非特許文献6】Tanimotoら(2000)EMBO J.19:4298−4309
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明は、HIFヒドロキシラーゼの活性を阻害することによって低酸素誘導因子(HIF)の安定性および/または活性を増加させる、新規化合物、およびこれらの化合物を使用する方法に関する。
【0009】
1つの局面において、式Iの化合物:
【0010】
【化1】
ここで:
qは、0、1、2、3または4であり;
yは、0〜2であり;
は、−OR18、ヒドロキシ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、チオ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、アミノ、置換アミノおよびアシルアミノからなる群から選択され;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウム、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウムおよびメチルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、アシル、アミノ、置換アミノ、アシルアミノ、スルホニル、置換スルホニル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか;
または2つのRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;
10は、−NR1112または−OR13であり;
11およびR12は、独立して、水素、アルキル、アルキレン−シクロアルキル、複素環およびアリールからなる群から選択されるか;
またはR11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員の複素環、置換複素環、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールを形成し;
13は、陽イオン、水素、ならびに置換されていないか、またはシクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されたアルキルからなる群から選択され;そして
18は、陽イオンである;
化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、エステルもしくはプロドラッグが提供される。
【0011】
別の局面において、本発明は、式IIの化合物:
【0012】
【化2】
ここで:
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウム、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウムおよびメチルからなる群から選択され;
14、R15、R16およびR17は、独立して、水素、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、アシル、アミノ、置換アミノ、アシルアミノ、スルホニル、置換スルホニル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか;
またはR14およびR15、R15およびR16、またはR16およびR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;
10は、−NR1112または−OR13であり;
11およびR12は、独立して、水素、アルキル、アルキレン−シクロアルキル、複素環およびアリールからなる群から選択されるか;
またはR11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員の複素環、置換複素環、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールを形成し;そして
13は、陽イオン、水素、ならびに置換されていないか、またはシクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されたアルキルからなる群から選択される;
化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、エステルもしくはプロドラッグに関する。
【0013】
本発明は、式IまたはIIの1つ以上の化合物および薬学的に許容され得る賦形剤を含む薬学的組成物も提供する。いくつかの実施形態において、その組成物は、少なくとも1つの追加の治療薬剤をさらに含むか、または少なくとも1つの追加の治療薬剤と併用して使用される。いくつかの実施形態において、その薬剤は、ビタミンB12、葉酸、硫酸第一鉄、組換えヒトエリトロポイエチンおよび赤血球生成刺激剤(ESA)からなる群から選択される。
【0014】
本発明は、少なくとも部分的に低酸素誘導因子(HIF)に関連するかまたはそれによって媒介される状態を処置するか、前処置するか、またはその発生もしくは進行を遅延させる方法にも関し、その方法は、治療有効量の式IもしくはIIの化合物、または式IもしくはIIの1つ以上の化合物を含む薬学的組成物を患者に投与する工程を包含する。1つの実施形態において、HIFに関連するかまたはHIFによって媒介される状態は、虚血または低酸素に関連する組織損傷である。1つの局面において、虚血は、心筋梗塞、肺塞栓、腸梗塞、虚血性脳卒中、腎虚血再灌流傷害、心臓性肝硬変、一過性脳虚血発作、黄斑変性症、慢性腎不全、末梢動脈疾患およびうっ血性心不全を含むがこれらに限定されない事象に関連する。
【0015】
本発明は、少なくとも部分的にエリトロポイエチン(EPO)に関連するかまたはそれによって媒介される状態を処置するか、前処置するか、またはその発生もしくは進行を遅延させる方法にも関連し、その方法は、治療有効量の式IもしくはIIの化合物、または式IもしくはIIの1つ以上の化合物を含む薬学的組成物を患者に投与する工程を包含する。
【0016】
本発明は、貧血を処置するか、前処置するか、またはその発生もしくは進行を遅延させる方法にも関し、その方法は、治療有効量の式IもしくはIIの化合物、または式IもしくはIIの1つ以上の化合物を含む薬学的組成物を患者に投与する工程を包含する。
【0017】
本発明は、少なくとも1つのHIFヒドロキシラーゼの活性を阻害する方法にも関し、その方法は、HIFヒドロキシラーゼと本発明の化合物とを接触させる工程を包含する。1つの実施形態において、そのHIFヒドロキシラーゼは、HIF阻害因子(FIH)などのアスパラギニルヒドロキシラーゼである。別の実施形態において、そのHIFヒドロキシラーゼは、ヒトEGLN1、ヒトEGLN2もしくはヒトEGLN3または別の種に由来するオルソロガスな酵素からなる群から選択されるHIFプロリルヒドロキシラーゼを含むがこれらに限定されないプロリルヒドロキシラーゼである。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
式Iの化合物:
【化10】

であって、ここで:
qは、0、1、2、3または4であり;
yは、0〜2であり;
は、−OR18、ヒドロキシ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、チオ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、アミノ、置換アミノおよびアシルアミノからなる群から選択され;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウム、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;Rは、水素、ジュウテリウムおよびメチルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、アシル、アミノ、置換アミノ、アシルアミノ、スルホニル、置換スルホニル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか;
または2つのRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;
10は、−NR1112または−OR13であり;
11およびR12は、独立して、水素、アルキル、アルキレン−シクロアルキル、複素環およびアリールからなる群から選択されるか;
またはR11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員の複素環、置換複素環、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールを形成し;
13は、陽イオン、水素、ならびに置換されていないか、またはシクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されたアルキルからなる群から選択され;そして
18は、陽イオンである;
化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、エステル、互変異性体もしくはプロドラッグ。
(項目2)
が、水素である、項目1に記載の化合物。
(項目3)
qが、1または2である、項目1に記載の化合物。
(項目4)
が、ヒドロキシである、項目1に記載の化合物。
(項目5)
が、ヒドロキシであり、Rが、水素である、項目1に記載の化合物。
(項目6)
が、ヒドロキシであり;RおよびRが、水素である、項目1に記載の化合物。
(項目7)
各Rが、独立して、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目8)
が、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルキニルまたは(C−C)−シクロアルキルから選択され;それらの各々が、必要に応じてアリールで置換される、項目1に記載の化合物。
(項目9)
が、必要に応じてシクロアルキルまたはアリールで置換される(C−C)−アルコキシである、項目1に記載の化合物。
(項目10)
各Rが、独立して、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;それらの各々が、メトキシ、クロロ、フルオロまたはトリフルオロメチルのうちの少なくとも1つで必要に応じて置換される、項目1に記載の化合物。
(項目11)
2つのRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成する、項目1に記載の化合物。
(項目12)
前記アリールが、フェニルである、項目11に記載の化合物。
(項目13)
10が、−OR13であり;そして
13が、陽イオン、水素およびアルキルからなる群から選択され;それらの各々が、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で必要に応じて置換される、
項目1に記載の化合物。
(項目14)
が、ヒドロキシであり;
およびRが、水素であり;
が、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;そして
各Rが、独立して、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される、
項目1に記載の化合物。
(項目15)
qが、1または2であり;
が、ヒドロキシであり;
およびRが、水素であり;
が、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
各Rが、独立して、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10が、−OR13であり;ここで、R13は、水素またはアルキルである、
項目1に記載の化合物。
(項目16)
qが、0であり;
が、ヒドロキシであり;
およびRが、水素であり;
が、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;そして
10が、−OR13であり;ここで、R13は、水素またはアルキルである、
項目1に記載の化合物。
(項目17)
qが、1または2であり;
が、ヒドロキシであり;
、RおよびRが、水素であり;
各Rが、独立して、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10が、−OR13であり;ここで、R13は、水素またはアルキルである、
項目1に記載の化合物。
(項目18)
式IIの化合物:
【化11】

であって、ここで、
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウム、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;Rは、水素、ジュウテリウムおよびメチルからなる群から選択され;
14、R15、R16およびR17は、独立して、水素、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、アシル、アミノ、置換アミノ、アシルアミノ、スルホニル、置換スルホニル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか;
またはR14およびR15、R15およびR16、またはR16およびR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;
10は、−NR1112または−OR13であり;
11およびR12は、独立して、水素、アルキル、アルキレン−シクロアルキル、複素環およびアリールからなる群から選択されるか;
またはR11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員の複素環、置換複素環、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールを形成し;そして
13は、陽イオン、水素、ならびに置換されていないか、またはシクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されたアルキルからなる群から選択される;
化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、エステル、互変異性体もしくはプロドラッグ。
(項目19)
14およびR17が、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される、項目18に記載の化合物。
(項目20)
15およびR16が、独立して、水素、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される、項目18に記載の化合物。
(項目21)
が、水素である、項目18に記載の化合物。
(項目22)
が、水素である、項目18に記載の化合物。
(項目23)
およびRが、水素である、項目18に記載の化合物。
(項目24)
が、水素およびメチルからなる群から選択される、項目18に記載の化合物。
(項目25)
、RおよびRが、水素である、項目18に記載の化合物。
(項目26)
10が、−OR13である、項目18に記載の化合物。
(項目27)
10が、−OR13であり;R13が、水素、または置換されていないか、もしくはシクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されたアルキルである、項目18に記載の化合物。
(項目28)
10が、−OR13であり;R13が、C−Cアルキルである、項目18に記載の化合物。
(項目29)
10が、−OR13であり;R13が、水素である、項目18に記載の化合物。
(項目30)
およびRが、水素であり;
が、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;そして
14、R15、R16およびR17が、独立して、水素、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される、
項目18に記載の化合物。
(項目31)
およびRが、水素であり;
が、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
14、R15、R16およびR17が、独立して、水素、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10が、−OR13であり;ここで、R13は、陽イオン、水素またはアルキルである、
項目18に記載の化合物。
(項目32)
、RおよびRが、水素であり;
14およびR17が、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
15およびR16が、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10が、−OR13であり;ここで、R13は、水素またはアルキルである、
項目18に記載の化合物。
(項目33)
、RおよびRが、水素であり;
14およびR15が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;
16が、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
17が、水素、ハロ、アルキルおよびアルコキシからなる群から選択され;そして
10が、−OR13であり;ここで、R13は、水素である、
項目18に記載の化合物。
(項目34)
、RおよびRが、水素であり;
14が、水素、ハロ、アルキルおよびアルコキシからなる群から選択され;
15が、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
16およびR17が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;そして
10が、−OR13であり;ここで、R13は、水素である、
項目18に記載の化合物。
(項目35)
[(4−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−6,7−ジメトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−7−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[4−ヒドロキシ−7−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−7−(3−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−7−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[7−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[7−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリミジン−5−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸のナトリウム塩;{[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[7−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(4−ヒドロキシ−7−ナフタレン−2−イル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−p−トリル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−ベンジル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−4−チア−フェナントレン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−ベンゾ[f]チオクロメン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−ブトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;2−(S)−[(6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸;{[7−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[7−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;2−(S)−{[7−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸;{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[6−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−6−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[6−(2−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[6−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[6−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−6−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(6−ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(8−ベンジル−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[8−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(8−ベンジル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[8−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−8−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(5−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−シクロプロピル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[4−ヒドロキシ−7−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;2−(S)−{[4−ヒドロキシ−7−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニルエチニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;2−(S)−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;2−(S)−[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸;[(7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;2−(S)−[(7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸;[(6−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(6−シクロヘキシルメトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;および[(6−ヘキシルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸からなる群から選択される化合物;またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、エステル、互変異性体もしくはプロドラッグ。
(項目36)
項目1または18に記載の1つ以上の化合物および薬学的に許容され得る賦形剤を含む、薬学的組成物。
(項目37)
ビタミンB12、葉酸、硫酸第一鉄、組換えヒトエリトロポイエチンおよび赤血球生成刺激剤(ESA)からなる群から選択される少なくとも1つの追加の治療薬剤をさらに含む、項目36に記載の組成物。
(項目38)
少なくとも部分的に低酸素誘導因子(HIF)によって媒介される状態を処置するか、前処置するか、またはその発生もしくは進行を遅延させる方法であって、該方法は、治療有効量の項目36に記載の組成物を患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目39)
少なくとも部分的にHIFによって媒介される前記状態が、虚血または低酸素に関連する組織損傷である、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記虚血が、心筋梗塞、肺塞栓、腸梗塞、慢性腎不全、虚血性脳卒中および腎虚血再灌流傷害からなる群から選択される事象を伴う、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記虚血が、心臓性肝硬変、一過性脳虚血発作、黄斑変性症、末梢動脈疾患およびうっ血性心不全からなる群から選択される事象を伴う、項目39に記載の方法。
(項目42)
少なくとも部分的にエリトロポイエチン(EPO)によって媒介される状態を処置するか、前処置するか、またはその発生もしくは進行を遅延させる方法であって、該方法は、治療有効量の項目36に記載の組成物を患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目43)
貧血を処置するか、前処置するか、またはその発生もしくは進行を遅延させる方法であって、該方法は、治療有効量の項目36に記載の組成物を患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目44)
HIFヒドロキシラーゼの活性を阻害する方法であって、該方法は、該HIFヒドロキシラーゼと阻害有効量の項目1または18に記載の化合物とを接触させる工程を包含する、方法。
(項目45)
前記HIFヒドロキシラーゼが、アスパラギニルヒドロキシラーゼである、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記アスパラギニルヒドロキシラーゼが、HIF阻害因子である、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記HIFヒドロキシラーゼが、プロリルヒドロキシラーゼである、項目44に記載の方法。
(項目48)
前記プロリルヒドロキシラーゼが、ヒトEGLN1、ヒトEGLN2およびヒトEGLN3からなる群から選択される、項目47に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
記載される特定の化合物、組成物、方法論、プロトコル、細胞株、アッセイおよび試薬は、変化することがあるので、本組成物および方法を記載する前に、本発明は、これらに限定されないと理解しなければならない。また、本明細書中で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明することを目的としており、添付の請求項に示されるような本発明の範囲を限定することを決して目的としないことも理解しなければならない。
【0019】
1.本発明の化合物
本発明は、式Iの化合物:
【0020】
【化3】
ここで:
qは、0、1、2、3または4であり;
yは、0〜2であり;
は、−OR18、ヒドロキシ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、チオ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、アミノ、置換アミノおよびアシルアミノからなる群から選択され;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウム、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウムおよびメチルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、アシル、アミノ、置換アミノ、アシルアミノ、スルホニル、置換スルホニル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか;
または2つのRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;
10は、−NR1112または−OR13であり;
11およびR12は、独立して、水素、アルキル、アルキレン−シクロアルキル、複素環およびアリールからなる群から選択されるか;
またはR11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員の複素環、置換複素環、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールを形成し;
13は、陽イオン、水素、ならびに置換されていないか、またはシクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されたアルキルからなる群から選択され;そして
18は、陽イオンである;
化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、エステルもしくはプロドラッグに関する。
【0021】
ある特定の実施形態において、本発明は、式Iの化合物:
【0022】
【化4】
ここで:
qは、0、1、2、3または4であり;
yは、0〜2であり;
は、ヒドロキシ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、チオ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、アミノ、置換アミノおよびアシルアミノからなる群から選択され;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウム、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウムおよびメチルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、水素、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、アシル、アミノ、置換アミノ、アシルアミノ、スルホニル、置換スルホニル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか;
または2つのRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;
10は、−NR1112または−OR13であり;
11およびR12は、独立して、水素、アルキル、アルキレン−シクロアルキル、複素環およびアリールからなる群から選択されるか;
またはR11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員の複素環、置換複素環、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールを形成し;そして
13は、水素、および置換されていないか、またはシクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されたアルキルからなる群から選択される;
化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、エステルもしくはプロドラッグに関する。
【0023】
式Iの化合物のある特定の実施形態において、yは、0である。ある特定の実施形態において、yは、1である。ある特定の実施形態において、yは、2である。
【0024】
式Iの化合物のある特定の実施形態において、Rは、ヒドロキシである。
【0025】
式Iの化合物のある特定の実施形態において、Rは、ヒドロキシであり、Rは、水素である。他の実施形態において、Rは、ヒドロキシであり、RおよびRは、水素である。他の実施形態において、Rは、ヒドロキシであり、RおよびRは、水素であり、Rは、水素またはメチルである。
【0026】
式Iの化合物のある特定の実施形態において、qは、1または2である。
【0027】
式Iの化合物のある特定の実施形態において、各Rは、独立して、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0028】
式Iの化合物の他の実施形態において、各Rは、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0029】
式Iの化合物のある特定の実施形態において、少なくとも1つのRは、ブロモ、クロロまたはフルオロである。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのRは、アリールで必要に応じて置換される、(C−C)−アルキル、アルキニルまたはシクロアルキルである。別の実施形態において、少なくとも1つのRは、メチルである。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのRは、(C−C)−アルコキシ(例えば、メトキシ、ブトキシまたはヘキシルオキシ)である。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのRは、(C−C)−アルコキシ(例えば、メトキシまたはブトキシ)である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRは、置換(C−C)−アルコキシ(例えば、アリールまたはシクロアルキルで置換されたメトキシ)である。
【0030】
式Iの化合物のある特定の実施形態において、少なくとも1つのRは、少なくとも1つのメチル、メトキシ、クロロ、フルオロまたはトリフルオロメチルで必要に応じて置換される、アリールまたはヘテロアリールである。
【0031】
式Iの化合物のある特定の実施形態において、2つのRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成する。いくつかの実施形態において、そのアリールは、フェニルである。
【0032】
式Iの化合物のある特定の実施形態において、少なくとも1つのRは、C8位に存在する。他の実施形態において、少なくとも1つのRは、C7位に存在する。他の実施形態において、少なくとも1つのRは、C6位に存在する。他の実施形態において、少なくとも1つのRは、C5位に存在する。
【0033】
式Iの化合物のある特定の実施形態において、
qは、0であり;
は、ヒドロキシであり;
およびRは、水素であり;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;そして
10は、−OR13であり;ここで、R13は、水素またはアルキルである。
【0034】
式Iの化合物のいくつかの実施形態において、
は、ヒドロキシであり;
およびRは、水素であり;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;そして
各Rは、独立して、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0035】
式Iの化合物のいくつかの実施形態において、
は、ヒドロキシであり;
およびRは、水素であり;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;そして
各Rは、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0036】
式Iの化合物のいくつかの実施形態において、
は、ヒドロキシであり;
およびRは、水素であり;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10は、−OR13であり;ここで、R13は、水素またはアルキルである。
【0037】
式Iの化合物のいくつかの実施形態において、
は、ヒドロキシであり;
およびRは、水素であり;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10は、−OR13であり;ここで、R13は、水素またはアルキルである。
【0038】
式Iの化合物の他の実施形態において、
qは、1または2であり;
は、ヒドロキシであり;
およびRは、水素であり;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10は、−OR13であり;ここで、R13は、水素またはアルキルである。
【0039】
式Iの化合物の他の実施形態において、
qは、1または2であり;
は、ヒドロキシであり;
およびRは、水素であり;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10は、−OR13であり;ここで、R13は、水素またはアルキルである。
【0040】
式Iの化合物のある特定の実施形態において、
qは、1または2であり;
は、ヒドロキシであり;
、RおよびRは、水素であり;
各Rは、独立して、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10は、−OR13であり;ここで、R13は、水素である。
【0041】
式Iの化合物のある特定の実施形態において、
qは、1または2であり;
は、ヒドロキシであり;
、RおよびRは、水素であり;
各Rは、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10は、−OR13であり;ここで、R13は、水素である。
【0042】
ある特定の実施形態において、本発明は、式IIの化合物:
【0043】
【化5】
ここで、
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウム、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウムおよびメチルからなる群から選択され;
14、R15、R16およびR17は、独立して、水素、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、アシル、アミノ、置換アミノ、アシルアミノ、スルホニル、置換スルホニル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか;
またはR14およびR15、R15およびR16、もしくはR16およびR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;
10は、−NR1112または−OR13であり;
11およびR12は、独立して、水素、アルキル、アルキレン−シクロアルキル、複素環およびアリールからなる群から選択されるか;
またはR11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員の複素環、置換複素環、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールを形成し;そして
13は、陽イオン、水素、ならびに置換されていないか、またはシクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されたアルキルからなる群から選択される;
化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、エステルもしくはプロドラッグに関する。
【0044】
他の実施形態において、本発明は、式IIの化合物:
【0045】
【化6】
ここで、
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウム、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
は、水素、ジュウテリウムおよびメチルからなる群から選択され;
14、R15、R16およびR17は、独立して、水素、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、アシル、アミノ、置換アミノ、アシルアミノ、スルホニル、置換スルホニル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択されるか;
またはR14およびR15、R15およびR16、もしくはR16およびR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;
10は、−NR1112または−OR13であり;
11およびR12は、独立して、水素、アルキル、アルキレン−シクロアルキル、複素環およびアリールからなる群から選択されるか;
またはR11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員の複素環、置換複素環、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールを形成し;そして
13は、水素、および置換されていないか、またはシクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されたアルキルからなる群から選択される;
化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、エステルもしくはプロドラッグに関する。
【0046】
ある特定の実施形態において、R14およびR17は、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、R14およびR17は、独立して、水素、ハロ、アルキルおよびアルコキシからなる群から選択される。
【0047】
ある特定の実施形態において、R15およびR16は、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アシルアミノ、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、R15およびR16は、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0048】
式IIの化合物のある特定の実施形態において、Rは、水素である。他の実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、水素である。
【0049】
式IIの化合物のある特定の実施形態において、Rは、水素およびメチルからなる群から選択される。特定の実施形態において、R、RおよびRは、水素である。
【0050】
式IIの化合物のある特定の実施形態において、R10は、−OR13である。いくつかの実施形態において、R13は、水素、または置換されていないか、もしくはシクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されたアルキルである。いくつかの実施形態において、R13は、C−Cアルキルである。特定の実施形態において、R13は、水素である。
【0051】
式IIの化合物のいくつかの実施形態において、
およびRは、水素であり;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;そして
14、R15、R16およびR17は、独立して、水素、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0052】
式IIの化合物のいくつかの実施形態において、
およびRは、水素であり;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;そして
14、R15、R16およびR17は、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0053】
式IIの化合物のいくつかの実施形態において、
およびRは、水素であり;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
14、R15、R16およびR17は、独立して、水素、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10は、−OR13であり;ここで、R13は、水素またはアルキルである。
【0054】
式IIの化合物のいくつかの実施形態において、
およびRは、水素であり;
は、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
14、R15、R16およびR17は、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10は、−OR13であり;ここで、R13は、水素またはアルキルである。
【0055】
式IIの化合物の他の実施形態において、
、RおよびRは、水素であり;
14およびR17は、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
15およびR16は、独立して、水素、ハロ、アシルアミノ、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10は、−OR13であり;ここで、R13は、水素またはアルキルである。
【0056】
式IIの化合物の他の実施形態において、
、RおよびRは、水素であり;
14およびR17は、独立して、水素、ハロ、アルキルおよびアルコキシからなる群から選択され;
15およびR16は、独立して、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;そして
10は、−OR13であり;ここで、R13は、水素またはアルキルである。
【0057】
式IIの化合物のある特定の実施形態において、
、RおよびRは、水素であり;
14およびR15は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;
16は、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
17は、水素、ハロ、アルキルおよびアルコキシからなる群から選択され;そして
10は、−OR13であり;ここで、R13は、水素である。
【0058】
式IIの化合物のある特定の実施形態において、
、RおよびRは、水素であり;
14は、水素、ハロ、アルキルおよびアルコキシからなる群から選択され;
15は、水素、ハロ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
16およびR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員のアリールまたは置換アリールを形成し;そして
10は、−OR13であり;ここで、R13は、水素である。
【0059】
本発明の化合物としては、[(4−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−6,7−ジメトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−7−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[4−ヒドロキシ−7−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−7−(3−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−7−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[7−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[7−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリミジン−5−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸のナトリウム塩;{[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[7−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(4−ヒドロキシ−7−ナフタレン−2−イル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−p−トリル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−ベンジル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−4−チア−フェナントレン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−ベンゾ[f]チオクロメン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−ブトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;2−(S)−[(6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸;{[7−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[7−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;2−(S)−{[7−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸;{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[6−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−6−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[6−(2−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[6−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[6−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−6−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(6−ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(8−ベンジル−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[8−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(8−ベンジル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[8−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;{[4−ヒドロキシ−8−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(5−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(7−シクロプロピル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;{[4−ヒドロキシ−7−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸;2−(S)−{[4−ヒドロキシ−7−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニルエチニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;2−(S)−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸;[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;2−(S)−[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸;[(7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;2−(S)−[(7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸;[(6−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;[(6−シクロヘキシルメトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;および[(6−ヘキシルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸;またはそれらの薬学的に許容され得る塩、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、エステル、互変異性体もしくはプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
2.本発明の組成物および方法
本発明は、本明細書中に記載されるような様々な状態または障害を処置する際に使用するための医薬を製造するための式IまたはIIの化合物の使用を提供する。1つの実施形態において、式IまたはIIの少なくとも1つの化合物および薬学的に許容され得る賦形剤またはキャリアを含む薬学的組成物が提供される。
【0061】
様々な実施形態において、上記医薬または薬学的組成物は、少なくとも1つの追加の治療薬剤をさらに含み得るか、または少なくとも1つの追加の治療薬剤と併用して使用され得る。1つの実施形態において、その薬剤は、ビタミンB12、硫酸第一鉄、葉酸および/または組換えエリトロポイエチンもしくは赤血球生成刺激剤(ESA)からなる群から選択される。
【0062】
本発明の化合物またはその化合物を含む医薬もしくは組成物は、HIFヒドロキシラーゼの活性を阻害することにより、HIFの安定性および/または活性を調節するためならびにHIFによって制御される遺伝子発現を活性化するために使用され得る。本化合物またはその組成物もしくは医薬は、貧血ならびに虚血および低酸素の状態の様々な局面を含むがこれらに限定されない、少なくとも部分的にHIFによって媒介される状態を処置するか、前処置するか、またはその進行もしくは発生を遅延させる方法において使用され得る。虚血および低酸素の状態は、心筋梗塞、肺塞栓、腸梗塞、虚血性脳卒中、急性呼吸不全、腎虚血再灌流傷害、心臓性肝硬変、黄斑変性症、新生児呼吸窮迫症候群、末梢動脈疾患、慢性腎不全、うっ血性心不全などから選択されるがこれらに限定されない事象に起因し得る。なおも別の実施形態において、本化合物またはその組成物もしくは医薬は、外傷または損傷の直後に投与される。他の実施形態において、本化合物またはその組成物もしくは医薬は、素因状態、例えば、高血圧症、糖尿病、閉塞性動脈疾患、慢性静脈不全、レイノー病、慢性皮膚潰瘍、肝硬変、うっ血性心不全、一過性脳虚血発作および全身性硬化症に基づいて被験体に投与され得る。なおも他の実施形態において、虚血または低酸素に関連する組織損傷を減少させるためまたはその発症を予防するために、化合物が被験体に投与され得る。
【0063】
本発明の化合物またはその組成物もしくは医薬は、内因性エリトロポイエチン(EPO)を増加させるためにも使用され得る。本化合物またはその組成物もしくは医薬は、例えば、貧血および神経障害に関連する状態を含むEPOに関連する状態を予防するため、前処置するため、または処置するために投与され得る。1つの実施形態において、本発明の化合物またはその組成物もしくは薬物は、様々な状態または障害に関連して発症し得る貧血などの貧血を処置するため、前処置するため、またはその発生を遅延させるために使用され得る。貧血に関連する状態としては、急性または慢性の腎臓疾患、糖尿病、癌、潰瘍、ウイルス、例えば、HIV、細菌または寄生生物による感染症;炎症などが挙げられるが、これらに限定されない。状態は、例えば、放射線治療、化学療法、透析、麻酔および外科術を含む手技または処置に関連する状態をさらに含み得る。貧血に関連する状態としては、さらに、異常なヘモグロビンおよび/または赤血球、例えば、小球性貧血、低色素性貧血、再生不良性貧血などのような障害に見られるものが挙げられる。
【0064】
本化合物は、特定の処置または手技を予防的または同時に受けている被験体、例えば、アジドチミジン(ジドブジン)または他の逆転写酵素インヒビターで処置されているHIVに感染した貧血の患者、環状シスプラチンを含む化学療法薬もしくはシスプラチンを含まない化学療法薬を投与されている貧血の癌患者、または外科術を受ける予定になっている貧血の患者もしくは貧血でない患者において、内因性EPOを増加させるために使用され得る。さらに、本化合物は、同種輸血の必要性を低下させるためまたは外科術の前の血液の保存を容易にするために、外科術を受ける予定になっている貧血の患者または貧血でない患者において内因性EPOのレベルを上昇させるために使用され得る。
【0065】
本発明は、低酸素誘導因子のアルファサブユニットを改変する少なくとも1つのヒドロキシラーゼ酵素の活性を阻害する方法にも関する。そのHIFヒドロキシラーゼ酵素は、HIF阻害因子(FIH)などのアスパラギニルヒドロキシラーゼであり得る。そのHIFヒドロキシラーゼ酵素は、EGLN1、EGLN2およびEGLN3からなる群から選択されるプロリルヒドロキシラーゼを含むがこれらに限定されないプロリルヒドロキシラーゼであり得る。1つの実施形態において、上記方法は、ヒドロキシラーゼ酵素を、有効量の、式IまたはIIの化合物を含む群から選択される1つ以上の化合物と接触させる工程を包含する。
【0066】
3.定義
単数形「a」、「an」および「the」は、本明細書中および添付の請求項において使用されるとき、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示物を含むことに注意しなければならない。
【0067】
別段定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者が通常理解している意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または等価な任意の方法および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法、デバイスおよび材料が、本明細書中に記載される。本明細書中に引用されるすべての刊行物は、本発明に関連して使用され得る、それらの刊行物に報告されている方法論、試薬およびツールを説明する目的および開示する目的で、本明細書中でその全体が参考として援用される。先発明を理由に本発明がそのような開示に先行する権利がないという承認として解釈されるものは本明細書中に存在しない。
【0068】
別段示されない限り、本発明の実施には、当該分野の技術範囲内である化学、生化学、分子生物学、細胞生物学、遺伝学、免疫学および薬理学の従来の方法が使用される。そのような手法は、文献に十分に説明されている(例えば、Gennaro,A.R.,ed.(1990)Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing Co.;Colowick,S.ら、eds.,Methods In Enzymology,Academic Press,Inc.;D.M.WeirおよびC.C.Blackwell,eds.(1986)Handbook of Experimental Immunology,Vols.I−IV,Blackwell Scientific Publications;Maniatis,T.ら、eds.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd edition,Vols.I−III,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel,F.M.ら、eds.(1999)Short Protocols in Molecular Biology,4th edition,John Wiley & Sons;Reamら、eds.(1998)Molecular Biology Techniques:An Intensive Laboratory Course,Academic Press;Newton & Graham eds.(1997)PCR(Introduction to Biotechniques Series),2nd ed.,Springer Verlagを参照のこと)。
【0069】
用語「HIFα」とは、低酸素誘導因子タンパク質のアルファサブユニットのことを指す。HIFαは、任意のヒトもしくは他の哺乳動物のタンパク質またはそのフラグメントであり得、そのタンパク質としては、ヒトHIF−1α(Genbank Accession No.Q16665)、HIF−2α(Genbank Accession No.AAB41495)およびHIF−3α(Genbank Accession No.AAD22668);マウスHIF−1α(Genbank Accession No.Q61221)、HIF−2α(Genbank Accession No.BAA20130およびAAB41496)およびHIF−3α(Genbank Accession No.AAC72734);ラットHIF−1α(Genbank Accession No.CAA70701)、HIF−2α(Genbank Accession No.CAB96612)およびHIF−3α(Genbank Accession No.CAB96611);ならびにウシHIF−1α(Genbank Accession No.BAA78675)、HIF−2α(GenBank Accession No.BAA78676)およびHIF−3α(Genbank Accession No.NP_001098812)が挙げられるがこれらに限定されない。HIFαは、任意の非哺乳動物タンパク質またはそのフラグメントでもあり得、そのタンパク質としては、Xenopus laevis HIF−1α(Genbank Accession No.CAB96628)、Drosophila melanogaster HIF−1α(Genbank Accession No.JC4851)およびニワトリHIF−1α(Genbank Accession No.BAA34234)が挙げられる。
【0070】
HIFαのフラグメントには、HIFαの少なくとも1つの機能的特徴または構造的特徴を保持している任意のフラグメントが含まれる。HIFαのフラグメントは、例えば、ヒトHIF−1αのアミノ酸401〜603(Huangら、前出)、アミノ酸531〜575(Jiangら(1997)J.Biol.Chem.272:19253−19260)、アミノ酸556〜575(Tanimotoら、前出)、アミノ酸557〜571(Srinivasら(1999)Biochem.Biophys.Res.Commun.260:557−561)およびアミノ酸556〜575(Ivan and Kaelin(2001)Science 292:464−468)によって定義される領域を含む。さらに、HIFαフラグメントは、少なくとも1つのモチーフLXXLAP(例えば、L397〜P402およびL559〜P564のヒトHIF−1αの天然配列に存在するもの)が存在する任意のフラグメントを含む。
【0071】
用語「HIFに関連する状態」および「少なくとも部分的にHIFによって媒介される状態」は、包括的に使用され、それらは、HIFの、正常を下回る調節、異常な調節または不適切な調節に関連し得る任意の状態のことを指す。HIFに関連する状態には、HIFレベルの上昇によって治療的な利益がもたらされ得る任意の状態が含まれる。HIFに関連する状態としては、貧血の状態および組織損傷、または虚血状態もしくは低酸素状態に関連する障害が挙げられる。
【0072】
用語「HIFヒドロキシラーゼ」とは、1つ以上のアミノ酸残基のヒドロキシル化によってHIFのアルファサブユニットを改変する任意の酵素のことを指す。HIFヒドロキシラーゼとしては、HIFα内に見られる少なくとも1つのアスパラギン残基を改変する、HIF阻害因子(FIH)(GenBank Accession AAL27308;Mahonら(2001)Genes Dev.15:2675−2686;Landoら(2002)Science 295:858−861;およびLandoら(2002)Genes Dev.16:1466−1471)が挙げられる(Elkinsら(2002)J.Biol.Chem.C200644200もまた参照のこと)。HIFヒドロキシラーゼは、HIFα内に見られるプロリン残基を改変するHIFプロリルヒドロキシラーゼ(HIF PH)も含む。
【0073】
用語「HIFプロリルヒドロキシラーゼ」および「HIF PH」とは、1つ以上のプロリン残基のヒドロキシル化によってHIFタンパク質のアルファサブユニットを改変する任意の酵素のことを指す。好ましくは、HIF PHによってヒドロキシル化されるプロリン残基は、モチーフLXXLAP内に見られるプロリンを含む。HIF PHとしては、Taylor(2001,Gene 275:125−132)によって報告され、AravindおよびKoonin(2001,Genome Biol 2:RESEARCH 0007)、Epsteinら(2001,Cell 107:43−54)ならびにBruickおよびMcKnight(2001,Science 294:1337−1340)によって特徴づけられた、Egl−Nine(EGLN)遺伝子ファミリーのメンバーが挙げられる。HIF PH2は、本明細書中(後掲)に記載される例示的な(examplary)アッセイにおいて使用されるとき、任意のHIF PH2、例えば、ヒトEGLN1(GenBank Accession No.AAG33965;Dupuyら(2000)Genomics 69:348−54)、マウスEGLN1(GenBank Accession No.CAC42515)、ラットEGLN1(GenBank Accession No.P59722)などであり得る。あるいは、別のHIF PHが、そのアッセイにおいて使用され得る。そのようなHIF PH酵素としては、ヒトEGLN2アイソフォーム1(GenBank Accession No.CAC42510;Taylor、前出)、ヒトEGLN2アイソフォーム3(GenBank Accession No.NP_542770)、マウスEGLN2(GenBank Accession No.CAC42516)およびラットEGLN2(GenBank Accession No.AAO46039);ならびにヒトEGLN3(GenBank Accession No.CAC42511;Taylor、前出)、マウスEGLN3(GenBank Accession No.CAC42517)およびラットEGLN3(SM−20)(GenBank Accession No.AAA19321)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の他の実施形態において、EGLNは、Caenorhabditis elegans EGL−9(GenBank Accession No.AAD56365)およびDrosophila melanogaster CG1114遺伝子産物(GenBank Accession No.AAF52050)を含み得る。HIF PHは、HIFαにおける少なくとも1つのプロリル残基をヒドロキシル化する能力を保持する前述の完全長タンパク質の任意のフラグメントも含む。
【0074】
用語「虚血」とは、細胞、組織、器官などへの血液の供給が不足していることを指す。虚血は、組織へ送達される酸素を含む栄養分の減少を伴う。虚血は、アテローム性動脈硬化症、動脈または静脈における血栓の形成、塞栓による動脈または静脈の遮断、他の原因、例えば、血管攣縮などに起因する血管閉鎖などの状態に起因して、生じ得る。そのような状態は、血流を減少させて器官または組織への低灌流の状態を生じ得るか、または完全に血流を遮断し得る。虚血に導き得る他の状態としては、外傷または損傷などに起因する組織損傷(例えば、脊髄損傷;例えば、うっ血性心不全に導き得るウイルス感染症など)が挙げられる。用語「虚血の状態」とは、虚血に関連するかまたは虚血をもたらす状態または事象のことを指す。虚血に関連するかまたは虚血をもたらす状態としては、心筋梗塞、虚血性脳卒中、肺塞栓、周産期低酸素、循環性ショック(例えば、出血性ショック、敗血症性ショック、心原性ショックなどを含む);高山病、急性呼吸不全など;腸梗塞、急性腎不全、腎虚血再灌流傷害など;アテローム性動脈硬化症、慢性静脈不全、うっ血性心不全、心臓性肝硬変、糖尿病、黄斑変性症、睡眠時無呼吸、レイノー病、全身性硬化症、非細菌性血栓性心内膜炎、閉塞性動脈疾患、狭心症、一過性脳虚血発作(TIA)、慢性アルコール性肝疾患、慢性腎不全、末梢血管障害、潰瘍、やけど、慢性創傷などからなる群から選択される事象が挙げられるが、これらに限定されない。虚血は、個体が全身麻酔されるときにも生じ得、また、移植のために準備された器官の組織損傷を引き起こし得る。
【0075】
用語「低酸素」および「低酸素の」とは、正常を下回る酸素レベルの環境のことを指す。用語「低酸素の状態」としては、上に列挙されたような虚血の状態(虚血性低酸素)(ここで、低酸素は、循環の減少に起因する);肺障害(低酸素性低酸素)、例えば、COPD、重篤な肺炎、肺水腫、肺高血圧症、肺硝子膜症など(ここで、低酸素は、肺における血液の酸素付加の低下に起因する);貧血の状態(貧血性低酸素)、例えば、胃潰瘍または十二指腸潰瘍、肝臓または腎臓の疾患、血小板減少症または血液凝固障害、癌または他の慢性疾病、癌の化学療法、および貧血をもたらす他の治療的介入など(ここで、低酸素は、低濃度のヘモグロビンまたは赤血球に起因する);および高度病などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0076】
用語「貧血」は、本明細書中で使用されるとき、血液中の酸素レベルを低下させる、ヘモグロビンまたは赤血球における任意の異常もしくは欠陥のことを指す。貧血は、赤血球および/またはヘモグロビンの異常な生成、プロセシングまたは働きに関連し得る。貧血という用語は、正常な血中濃度と比較したときの血液中の赤血球数および/またはヘモグロビンレベルの任意の減少のことを指す。
【0077】
用語「貧血の状態」とは、貧血に関連する任意の状態、疾患または障害のことを指す。貧血は、様々な状態、例えば、急性または慢性の腎臓疾患、感染症、炎症、癌、照射、トキシン、糖尿病および外科術に起因して生じ得る。感染症は、例えば、ウイルス、細菌および/または寄生生物などに起因し得る。炎症は、感染症、または関節リウマチなどの自己免疫障害などに起因し得る。貧血は、例えば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、痔、胃または大腸の癌、外傷、損傷、外科手技などに起因する血液損失に伴い得る。貧血は、放射線治療、化学療法および腎臓透析に際して発生し得る。貧血は、アジドチミジン(ジドブジン)または他の逆転写酵素インヒビターによる処置を受けている、HIVに感染した患者においても発生し得、化学療法、例えば、環状シスプラチンを含む化学療法薬またはシスプラチンを含まない化学療法薬による化学療法を受けている癌患者においても発生し得る。再生不良性貧血および骨髄異形成症候群は、赤血球生成を減少させる骨髄機能不全に伴う疾患である。さらに、貧血は、欠陥のあるまたは異常なヘモグロビンまたは赤血球(例えば、小球性貧血、低色素性貧血などを含む障害におけるもの)にも起因し得る。貧血は、鉄の輸送、プロセシングおよび利用における障害に起因し得る(例えば、鉄芽球性貧血などを参照のこと)。
【0078】
用語「障害」、「疾患」および「状態」は、本明細書中で包括的に使用され、それらは、正常から逸脱した任意の状態のことを指す。
【0079】
用語「エリトロポイエチン」および「EPO」とは、任意の天然に存在するエリトロポイエチン、組換えエリトロポイエチンまたは合成エリトロポイエチン、赤血球生成刺激タンパク質(ESP)または赤血球生成刺激剤(ESA)(例えば、ヒトエリトロポイエチン(GenBank Accession No.AAA52400;Linら(1985)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 82:7580−7584)、EPOETINヒト組換えエリトロポイエチン(Amgen,Inc.,Thousand Oaks CA)、ARANESPヒト組換えエリトロポイエチン(Amgen)、PROCRITヒト組換えエリトロポイエチン(Ortho Biotech Products,L.P.,Raritan NJ)、持続性赤血球生成レセプターアクチベーター(Continuous erythropoiesis receptor activator)(CERA;F.Hoffmann−La Roche Ltd.,Basel,Switzerland)などを含む)のことを指す。
【0080】
用語「エリトロポイエチンに関連する状態」および「少なくとも部分的にエリトロポイエチンによって媒介される状態」は、包括的に使用され、それらは、エリトロポイエチンの、正常を下回る調節、異常な調節または不適切な調節に関連し得る任意の状態のことを指す。EPOに関連する状態は、EPOレベルの上昇によって治療的な利益がもたらされ得る任意の状態を含む。エリトロポイエチンに関連する状態は、上に記載されたものなどの貧血の状態を含む。
【0081】
EPOに関連する状態はさらに、脳卒中、外傷、癲癇、神経変性疾患などの場合を含む神経障害および/または神経損傷を含み、ここで、エリトロポイエチンは、神経保護作用をもたらし得る。本発明によって企図される神経変性疾患としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病などが挙げられる。
【0082】
用語「処置する」、「処置」などは、治療の必要な患者に治療を施すことを意味するために本明細書中で使用される。その治療が施されることによって、障害またはその徴候もしくは症状を完全にまたは部分的に予防することに関して予防的な効果がもたらされ得;そして/またはその治療が施されるによって、障害および/またはその障害に起因し得る有害作用が部分的または完全に治癒され得る。
【0083】
用語「アルキル」とは、1〜10個の炭素原子、より詳細には、1〜5個の炭素原子、なおもより詳細には、1〜3個の炭素原子を有する一価の飽和ヒドロカルビル基のことを指す。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルなどのような基によって例示される。
【0084】
用語「置換アルキル」とは、1〜5個の置換基、好ましくは、1〜3個の置換基を有する、1〜10個の炭素原子、より詳細には、1〜5個の炭素原子のアルキル基のことを指し、それらの置換基の各々は、独立して、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールオキシアリール、置換アリールオキシアリール、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、オキソ、チオキソ、カルボキシル、カルボン酸エステル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、チオ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、スルホニル、置換スルホニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、オキシカルボニルアミノ、オキシチオカルボニルアミノ、−OS(O)−アルキル、−OS(O)−置換アルキル、−OS(O)−アリール、−OS(O)−置換アリール、−OS(O)−ヘテロアリール、−OS(O)−置換ヘテロアリール、−OS(O)−複素環、−OS(O)−置換複素環、ならびに−OSO−NR4040、−NR40S(O)−NR40−アルキル、−NR40S(O)−NR40−置換アルキル、−NR40S(O)−NR40−アリール、−NR40S(O)−NR40−置換アリール、−NR40S(O)−NR40−ヘテロアリール、−NR40S(O)−NR40−置換ヘテロアリール、−NR40S(O)−NR40−複素環および−NR40S(O)−NR40−置換複素環(ここで、各R40は独立して、水素またはアルキルから選択される)からなる群から選択される。この用語は、トリフルオロメチル、ベンジル、ピラゾール−1−イルメチルなどのような基によって例示される。
【0085】
用語「アルキリデン」または「アルキレン」とは、二価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基、好ましくは、直鎖または分枝鎖である、1〜5個、より好ましくは、1〜3個の炭素原子を有する、二価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基のことを指す。この用語は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、n−プロピレン(−CHCHCH−)、iso−プロピレン(−CHCH(CH)−)などのような基によって例示される。「(Cu−v)アルキレン」とは、u〜v個の炭素原子を有するアルキレン基のことを指す。アルキリデン基またはアルキレン基には、分枝鎖および直鎖のヒドロカルビル基が含まれる。例えば、「(C1−6)アルキレン」は、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン(methypropylene)、ペンチレンなどを含むと意味される。
【0086】
用語「アルキルアルコール」とは、「アルキル−OH」基のことを指す。例えば、アルキルアルコールは、メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−ブタノール、ブタノールなどを含むと意味される。
【0087】
用語「置換アルキルアルコール」とは、「置換アルキル−OH」基のことを指す。
【0088】
用語「アルコキシ」とは、「アルキル−O−」基のことを指し、それには、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシなどが含まれる。
【0089】
用語「置換アルコキシ」とは、「置換アルキル−O−」基のことを指す。
【0090】
用語「アシル」とは、H−C(O)−、アルキル−C(O)−、置換アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、置換アルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−、置換アルキニル−C(O)−、シクロアルキル−C(O)−、置換シクロアルキル−C(O)−、アリール−C(O)−、置換アリール−C(O)−、ヘテロアリール−C(O)−、置換ヘテロアリール−C(O)、複素環−C(O)−および置換複素環−C(O)−基のことを指すが、但し、複素環または置換複素環の窒素原子は、−C(O)−基に結合されておらず、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書中に定義されるとおりのものである。
【0091】
用語「アミノアシル」もしくは「アミド」または接頭辞「カルバモイル」、「カルボキサミド」、「置換カルバモイル」もしくは「置換カルボキサミド」とは、−C(O)NR4242基のことを指し、ここで、各R42は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環からなる群から選択されるか;または各R42は、結合して窒素原子と一緒になって、複素環または置換複素環を形成し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書中に定義されるとおりのものである。
【0092】
用語「アシルオキシ」とは、アルキル−C(O)O−、置換アルキル−C(O)O−、アルケニル−C(O)O−、置換アルケニル−C(O)O−、アルキニル−C(O)O−、置換アルキニル−C(O)O−、アリール−C(O)O−、置換アリール−C(O)O−、シクロアルキル−C(O)O−、置換シクロアルキル−C(O)O−、ヘテロアリール−C(O)O−、置換ヘテロアリール−C(O)O−、複素環−C(O)O−および置換複素環−C(O)O−基のことを指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書中に定義されるとおりのものである。
【0093】
用語「アルケニル」とは、2〜6個の炭素原子、好ましくは、2〜4個の炭素原子を有し、かつ、少なくとも1個、好ましくは、1〜2個のビニル(>C=C<)不飽和部位を有する、ビニル不飽和の一価ヒドロカルビル基のことを指す。そのような基は、ビニル(エテン−1−イル)、アリル、ブタ−3−エニルなどによって例示される。
【0094】
用語「置換アルケニル」とは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、カルボン酸エステル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環からなる群から選択される1〜3個の置換基、好ましくは1〜2個の置換基を有するアルケニル基のことを指す。この用語は、必要に応じて、E(trans)異性体とZ(cis)異性体の両方を含む。また、この用語は、E成分とZ成分の両方の混合物を含む。
【0095】
用語「アルキニル」とは、2〜6個の炭素原子、好ましくは、2〜3個の炭素原子を有し、かつ、少なくとも1個、好ましくは、1〜2個のアセチレン(−C≡C−)不飽和部位を有するアセチレンの一価の不飽和ヒドロカルビル基のことを指す。この基は、エチン−1−イル、プロピン−1−イル、プロピン−2−イルなどによって例示される。
【0096】
用語「置換アルキニル」とは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、カルボン酸エステル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環からなる群から選択される1〜3個の置換基、好ましくは、1〜2個の置換基を有する、アルキニル基のことを指す。この用語は、フェニルエチニルなどのような基によって例示される。
【0097】
用語「アミノ」とは、−NH基のことを指す。
【0098】
用語「置換アミノ」とは、−NR4141基のことを指し、ここで、各R41は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、スルホニルおよび置換スルホニルからなる群から選択されるが、但し、両方のR41基が水素ではないか;またはR41基は、窒素原子と一緒になって結合することにより、複素環または置換複素環を形成し得る。この基は、フェニルアミノ、メチルフェニルアミノなどによって例示される。この基は、(エタン酸−2−イル)アミノなどのような基によって例示される。
【0099】
用語「アシルアミノ」とは、−NR45C(O)アルキル、−NR45C(O)置換アルキル、−NR45C(O)シクロアルキル、−NR45C(O)置換シクロアルキル、−NR45C(O)アルケニル、−NR45C(O)置換アルケニル、−NR45C(O)アルキニル、−NR45C(O)置換アルキニル、−NR45C(O)アリール、−NR45C(O)置換アリール、−NR45C(O)ヘテロアリール、−NR45C(O)置換ヘテロアリール、−NR45C(O)複素環および−NR45C(O)置換複素環基のことを指し、ここで、R45は、水素またはアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書中に定義される。
【0100】
用語「オキシカルボニルアミノ」とは、−NR46C(O)O−アルキル、−NR46C(O)O−置換アルキル、−NR46C(O)O−アルケニル、−NR46C(O)O−置換アルケニル、−NR46C(O)O−アルキニル、−NR46C(O)O−置換アルキニル、−NR46C(O)O−シクロアルキル、−NR46C(O)O−置換シクロアルキル、−NR46C(O)O−アリール、−NR46C(O)O−置換アリール、−NR46C(O)O−ヘテロアリール、−NR46C(O)O−置換ヘテロアリール、−NR46C(O)O−複素環および−NR46C(O)O−置換複素環基のことを指し、ここで、R46は、水素またはアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書中に定義されるとおりのものである。
【0101】
用語「オキシチオカルボニルアミノ」とは、−NR46C(S)O−アルキル、−NR46C(S)O−置換アルキル、−NR46C(S)O−アルケニル、−NR46C(S)O−置換アルケニル、−NR46C(S)O−アルキニル、−NR46C(S)O−置換アルキニル、−NR46C(S)O−シクロアルキル、−NR46C(S)O−置換シクロアルキル、−NR46C(S)O−アリール、−NR46C(S)O−置換アリール、−NR46C(S)O−ヘテロアリール、−NR46C(S)O−置換ヘテロアリール、−NR46C(S)O−複素環および−NR46C(S)O−置換複素環基のことを指し、ここで、R46は、水素またはアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書中に定義されるとおりのものである。
【0102】
用語「アミノカルボニルオキシ」または接頭辞「カルバモイルオキシ」または「置換カルバモイルオキシ」とは、−OC(O)NR4747基のことを指し、ここで、各R47は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環からなる群から選択されるか;または各R47は、結合することにより、窒素原子と一緒になって、複素環または置換複素環を形成し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書中に定義されるとおりのものである。
【0103】
用語「アミノカルボニルアミノ」とは、−NR49C(O)N(R49基のことを指し、ここで、各R49は、独立して、水素およびアルキルからなる群から選択される。
【0104】
用語「アミノチオカルボニルアミノ」とは、−NR49C(S)N(R49基のことを指し、ここで、各R49は、独立して、水素およびアルキルからなる群から選択される。
【0105】
用語「アリール」または「Ar」とは、単一の環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する6〜14個の炭素原子の一価の芳香族の炭素環式基のことを指し、その縮合環は、芳香族であってもなくてもよい(例えば、2−ベンゾオキサゾリノン、2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン−7−イルなど)が、但し、結合点は、アリール基である。好ましいアリールとしては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0106】
用語「置換アリール」とは、ヒドロキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アミジノ(−C(=NH)−アミノまたは置換アミノ)、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルオキシ、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、カルボキシル、カルボン酸エステル、シアノ、チオ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、複素環式チオ、置換複素環式チオ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、グアニジノ(−NH−C(=NH)−アミノまたは置換アミノ)、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、オキシカルボニルアミノ、オキシチオカルボニルアミノ、スルホニル、置換スルホニル、−OS(O)−アルキル、−OS(O)−置換アルキル、−OS(O)−アリール、−OS(O)−置換アリール、−OS(O)−ヘテロアリール、−OS(O)−置換ヘテロアリール、−OS(O)−複素環、−OS(O)−置換複素環および−OSO−NR5151、−NR51S(O)−NR51−アルキル、−NR51S(O)−NR51−置換アルキル、−NR51S(O)−NR51−アリール、−NR51S(O)−NR51−置換アリール、−NR51S(O)−NR51−ヘテロアリール、−NR51S(O)−NR51−置換ヘテロアリール、−NR51S(O)−NR51−複素環、−NR51S(O)−NR51−置換複素環(ここで、各R51は、独立して、水素またはアルキルから選択される)からなる群から選択される1〜4個、特に、1〜3個の置換基で置換された、本明細書中に定義されるようなアリール基のことを指し、これらの用語の各々は、本明細書中に定義されるとおりである。この基は、4−フルオロフェニル、3−メトキシフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−トリフルオロメトキシフェニル、3−トリフルオロメトキシフェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロ−6−フルオロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−シアノフェニル、4−シアノフェニル、4−フェノキシフェニル、4−メタンスルホニルフェニル、ビフェニル−4−イルなどのような基によって例示される。
【0107】
用語「アリールオキシ」とは、アリール−O−基のことを指し、例としては、フェノキシ、ナフトキシなどが挙げられる。
【0108】
用語「置換アリールオキシ」とは、置換アリール−O−基のことを指す。
【0109】
用語「アリールオキシアリール」とは、−アリール−O−アリール基のことを指す。
【0110】
用語「置換アリールオキシアリール」とは、置換アリールについて上で定義されたように、片方または両方のアリール環において1〜3個の置換基で置換されたアリールオキシアリール基のことを指す。
【0111】
用語「カルボキシル」とは、−COOHまたはその塩のことを指す。
【0112】
用語「カルボン酸エステル」とは、−C(O)O−アルキル、−C(O)O−置換アルキル、−C(O)O−アルケニル、−C(O)O−置換アルケニル、−C(O)O−アルキニル、−C(O)O−置換アルキニル、−C(O)O−シクロアルキル、−C(O)O−置換シクロアルキル、−C(O)O−アリール、−C(O)O−置換アリール、−C(O)O−ヘテロアリール、−C(O)O−置換ヘテロアリール、−C(O)O−複素環および−C(O)O−置換複素環基のことを指す。
【0113】
用語「シアノ」とは、−CN基のことを指す。
【0114】
用語「シクロアルキル」とは、単一または複数の環式環を有する、3〜10個、3〜8個または3〜6個の炭素原子の、飽和または不飽和であるが非芳香族の環状アルキル基のことを指す(例としては、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、シクロヘキセニルなどが挙げられる)。
【0115】
用語「置換シクロアルキル」とは、オキソ(=O)、チオキソ(=S)、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、カルボキシル、カルボン酸エステル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環からなる群から選択される1〜5個の置換基を有するシクロアルキル基のことを指す。
【0116】
用語「シクロアルキレン」および「置換シクロアルキレン」とは、上で定義されたような、二価のシクロアルキル基および置換シクロアルキル基のことを指す。
【0117】
用語「シクロアルコキシ」とは、−O−シクロアルキル基のことを指す。
【0118】
用語「置換シクロアルコキシ」とは、−O−置換シクロアルキル基のことを指す。
【0119】
用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードのことを指す。
【0120】
用語「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」とは、−OH基のことを指す。
【0121】
用語「ヘテロアリール」とは、1〜15個の炭素原子、好ましくは、1〜10個の炭素原子、ならびに酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される環における1〜4個のヘテロ原子の芳香族環のことを指す。そのようなヘテロアリール基は、単一の環(例えば、ピリジニル、フリルまたはチエニル)または複数の縮合環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有し得るが、但し、結合点は、ヘテロ原子を含む環を介し、その環は、芳香族である。窒素環原子および/または硫黄環原子は、必要に応じて酸化されることにより、N−オキシドまたはスルホキシド、およびスルホン誘導体をもたらし得る。ヘテロアリールの例としては、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、インドリル、チオフェニル、チエニルおよびフリルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0122】
用語「置換ヘテロアリール」とは、置換アリールについて定義された置換基の同じ群から選択される1〜3個の置換基で置換されたヘテロアリール基のことを指す。この基は、5−フルオロ(flouro)−ピリジン−3−イル、1−ベンジル−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル、5−ブロモ−フラン−2−イル、トリフルオロメチル(triflouromethyl)−2H−ピラゾール−3−イルなどのような基によって例示される。
【0123】
用語「ヘテロアリールオキシ」とは、−O−ヘテロアリール基のことを指し、「置換ヘテロアリールオキシ」とは、−O−置換ヘテロアリール基のことを指す。
【0124】
用語「ヘテロシクリル」または「複素環」とは、1〜10個の炭素原子、およびその環内の窒素、硫黄または酸素からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子の、単一の環または複数の縮合環を有する飽和または不飽和である(が芳香族ではない)基のことを指し、ここで、縮合環系では、環の1つ以上は、アリールまたはヘテロアリールであり得るが、但し、結合点は、複素環に存在する。窒素環原子および/または硫黄環原子は、必要に応じて酸化されることにより、N−オキシドまたはスルホキシド、およびスルホン誘導体をもたらし得る。
【0125】
用語「置換ヘテロシクリル」または「置換複素環」とは、置換シクロアルキルについて定義された置換基と同じ1〜3個の置換基で置換された複素環基のことを指す。
【0126】
複素環およびヘテロアリールの例としては、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも呼ばれる)、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
用語「ニトロ」とは、−NO基のことを指す。
【0128】
用語「オキソ」とは、原子(=O)または原子(−O)のことを指す。
【0129】
用語「スルホニル」とは、−S(O)H基のことを指す。用語「置換スルホニル」とは、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アルケニル、−SO−置換アルケニル、−SO−アルキニル、−SO−置換アルキニル、−SO−シクロアルキル、−SO−置換シクロアルキル、−SO−シクロアルケニル、−SO−置換シクロアルケニル、−SO−アリール、−SO−置換アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−置換ヘテロアリール、−SO−複素環、−SO−置換複素環基のことを指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書中に定義されるとおりのものである。置換スルホニルには、メチル−SO−、フェニル−SO−および4−メチルフェニル−SO−などの基が含まれる。
【0130】
用語「ヘテロシクリルオキシ」とは、−O−複素環基のことを指し、「置換ヘテロシクリルオキシ」とは、−O−置換複素環基のことを指す。
【0131】
用語「チオ」または「メルカプト」とは、−SH基のことを指す。
【0132】
用語「アルキルスルファニル」、「アルキルチオ」または「チオエーテル」とは、−S−アルキル基のことを指し、ここで、アルキルは、上で定義されたとおりのものである。
【0133】
用語「置換アルキルチオ」、「置換アルキルスルファニル」または「置換アルキルチオ」とは、−S−置換アルキル基のことを指し、ここで、置換アルキルは、上で定義されたとおりのものである。
【0134】
用語「シクロアルキルチオ」または「シクロアルキルスルファニル」とは、−S−シクロアルキル基のことを指し、ここで、シクロアルキルは、上で定義されたとおりのものである。
【0135】
用語「置換シクロアルキルチオ」とは、−S−置換シクロアルキル基のことを指し、ここで、置換シクロアルキルは、上で定義されたとおりのものである。
【0136】
用語「アリールチオ」または「アリールスルファニル」とは、−S−アリール基のことを指し、「置換アリールチオ」とは、−S−置換アリール基のことを指し、ここで、アリールおよび置換アリールは、上で定義されたとおりのものである。
【0137】
用語「ヘテロアリールチオ」または「ヘテロアリールスルファニル」とは、−S−ヘテロアリール基のことを指し、「置換ヘテロアリールチオ」とは、−S−置換ヘテロアリール基のことを指し、ここで、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールは、上で定義されたとおりのものである。
【0138】
用語「複素環式チオ」または「複素環式スルファニル」とは、−S−複素環基のことを指し、「置換複素環式チオ」とは、−S−置換複素環基のことを指し、ここで、複素環および置換複素環は、上で定義されたとおりのものである。
【0139】
用語「エステル」とは、−COOR54基を含む式IまたはIIの化合物のことを指し、ここで、R54は、アルキル、置換アルキル、アルコキシまたは置換アルコキシである。例えば、本発明のエステルは、R10が−OR13であり、R13がアルキルである、式Iの化合物を含む。いくつかの実施形態において、エステルは、Rがアシルオキシである式Iの化合物を含む。式IIのエステルは、例えば、酸塩化物もしくは酸無水物などの適当な試薬を用いたチオクマリン環のC4位のヒドロキシル基のエステル化、および/またはカルボン酸部分のエステル化を介して提供され得る。そのような方法は、当該分野で周知である。
【0140】
用語「薬学的に許容され得る塩」とは、化合物の薬学的に許容され得る塩のことを指し、その塩は、当該分野で周知の種々の有機対イオンおよび無機対イオンから得られ、単なる例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどが挙げられ;その分子が塩基性の官能基を含むとき、有機酸または無機酸の塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩など)が挙げられる。例えば、本発明の薬学的に許容され得る塩は、R10が−OR13であり、R13が陽イオンであり、そして/またはRが−OR18であるときの式Iの化合物によって提供され得る。同様に、本発明の薬学的に許容され得る塩は、当該分野で周知の方法によってチオクマリンC4位のヒドロキシル基および/またはカルボン酸部分の式IIの化合物によって提供され得る。用語「陽イオン」とは、正に帯電した有機対イオンおよび無機対イオンのことを指し、単なる例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどが挙げられる。
【0141】
用語「立体異性体(単数)」または「立体異性体(複数)」とは、1つ以上の立体中心のキラリティが異なる化合物のことを指す。立体異性体には、エナンチオマー(化合物は、重ねることができない鏡像である)およびジアステレオマー(化合物は、2つ以上の不斉中心を有し、互いに鏡像でなく、1つ以上の不斉中心が2つの立体異性体間で異なる)が含まれる。本発明の化合物は、立体異性体の混合物として、または単一の立体異性体として、存在し得る。
【0142】
用語「互変異性体」とは、プロトンの位置が異なる、代替の形態の化合物(例えば、エノール、ケトおよびイミンエナミン互変異性体、または環NH部分と環=N部分の両方に結合された環原子を含むヘテロアリール基の互変異性体(例えば、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾールおよびテトラゾール))のことを指す。
【0143】
用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用されるとき、インビボにおいて式IおよびIIの化合物における−C(R)(R)置換基に隣接するカルボキシレート基に変換され得、そして/またはアミドN原子から分離され得、そして/またはR原子から分離され得ることにより、活性な薬物、その薬学的に許容され得る塩またはその生物学的に活性な代謝産物を提供する化学基を含む式IまたはIIの化合物のことを指す。適当な基は、当該分野で周知であり、特に:カルボン酸部分については、例えば、エステル(アルキルアルコール、置換アルキルアルコール、ヒドロキシ置換アリールおよびヘテロアリールなどから得られるエステルが挙げられるがこれらに限定されない);アミド、特に、式HNR200210(R200およびR210は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールなどである)のアミンから得られるアミド;ヒドロキシメチル、アルデヒドおよびそれらの誘導体から選択されるプロドラッグが挙げられる。
【0144】
用語「賦形剤」は、本明細書中で使用されるとき、医薬品または他の錠剤の作製において使用される不活性(inert)または不活性(inactive)な物質のことを意味し、それらとしては、結合剤、崩壊剤、コーティング、圧縮補助剤/封入補助剤、クリームもしくはローション、滑沢剤、非経口剤(parenteral)、甘味料もしくは調味料、懸濁化剤/ゲル化剤、または湿式造粒剤として使用される任意の物質が挙げられるが、これらに限定されない。結合剤としては、例えば、カーボポール(carbopol)、ポビドン、キサンタンガムなどが挙げられ;コーティングとしては、例えば、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ジェランガム(gellan gum)、マルトデキストリンなどが挙げられ;圧縮補助剤/封入補助剤としては、例えば、炭酸カルシウム、デキストロース、フルクトースdc、ハチ蜜dc、ラクトース(無水物または一水和物;必要に応じて、アスパルテーム、セルロースまたは微結晶性セルロースと併用)、デンプンdc、スクロースなどが挙げられ;崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロースナトリウム、ジェランガム、デンプングリコール酸ナトリウムなどが挙げられ;クリームおよびローションとしては、例えば、マルトデキストリン、カラギナンなどが挙げられ;滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウムなどが挙げられ;チュアブル錠剤用の材料としては、例えば、デキストロース、フルクトースdc、ラクトース(一水和物、必要に応じて、アスパルテームまたはセルロースと併用)などが挙げられ;非経口剤としては、例えば、マンニトール、ポビドンなどが挙げられ;可塑剤としては、例えば、セバシン酸ジブチル、ポリビニルアセテートフタレートなどが挙げられ;懸濁化剤/ゲル化剤としては、例えば、カラギナン、デンプングリコール酸ナトリウム、キサンタンガムなどが挙げられ;甘味料としては、例えば、アスパルテーム、デキストロース、フルクトースdc、ソルビトール、スクロースdcなどが挙げられ;そして湿式造粒剤としては、例えば、炭酸カルシウム、マルトデキストリン、微結晶性セルロースなどが挙げられる。
【0145】
上で定義されたすべての置換される基において、それら自体に対してさらなる置換基を有する置換基を定義することによって到達するポリマー(例えば、それ自体が置換アリール基などで置換された置換アリール基を置換基として有する置換アリール)は、本明細書中に含められないと意図されると理解される。また、同じか異なるかに関わらず、置換基は、無数に含められない。そのような場合、そのような置換基の最大数は、3である。ゆえに、上記の各定義は、例えば、置換アリール基は−置換アリール−(置換アリール)−置換アリールまでに限定されるという制限によって制約される。
【0146】
同様に、上記の定義が、許されない置換パターン(例えば、5つのフルオロ基で置換されるメチル、またはヒドロキシル基アルファからエチレンまたはアセチレンの不飽和になること)を含むと意図されないことが理解される。そのような許されない置換パターンは、当業者に周知である。
【0147】
4.化合物の調製
本発明の化合物は、例えば、以下の一般的な方法および手順を用いて、容易に入手可能な出発物質から調製され得る。代表的な処理条件または好ましい処理条件(すなわち、反応温度、時間、反応体のモル比、溶媒、圧力など)が与えられ、別段述べられない限り、他の処理条件も使用され得ることが、認識される。最適な反応条件は、使用される特定の反応体または溶媒によって変化し得るが、そのような条件は、通例の最適化手順によって当業者によって決定され得る。
【0148】
さらに、当業者には明らかなように、ある特定の官能基が望まれない反応を起こすことを防ぐために、従来の保護基が必要な場合がある。様々な官能基に適した保護基、ならびに特定の官能基を保護するためおよび脱保護するために適した条件は、当該分野で周知である。例えば、多くの保護基が、T.W.Greene and G.M.Wuts(1999)Protecting Groups in Organic Synthesis,3rd Edition,Wiley,New Yorkおよびこれに引用されている参考文献に記載されている。
【0149】
さらに、本発明の化合物は、1つ以上のキラル中心を含み得る。したがって、所望であれば、そのような化合物は、純粋な立体異性体、すなわち、個別のエナンチオマーもしくはジアステレオマー、または立体異性体が濃縮された混合物として調製され得るか、または単離され得る。そのようなすべての立体異性体(および、濃縮された混合物)は、別段示されない限り、本発明の範囲内に含められる。純粋な立体異性体(または濃縮された混合物)は、例えば、光学活性な出発物質または当該分野で周知の立体選択的試薬を用いて、調製され得る。あるいは、そのような化合物のラセミ混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィ、キラル分割剤などを用いて分離され得る。
【0150】
以下の反応のための出発物質は、通常、公知の化合物であるか、または公知の手順もしくはその明らかな変法によって調製され得る。例えば、出発物質の多くは、商業的供給業者(例えば、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,Wisconsin,USA)、Bachem(Torrance,California,USA)、Emka−ChemceまたはSigma(St.Louis,Missouri,USA))から入手可能である。その他のものは、標準的な参照テキスト(例えば、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,Volume 1−15(John Wiley,and Sons,1991)、Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,Volume 1−5およびSupplementals(Elsevier Science Publishers,1989)、Organic Reactions,Volume 1−40(John Wiley,and Sons,1991)、March’s Advanced Organic Chemistry,(John Wiley,and Sons,5th Edition,2001)ならびにLarock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989))に記載されている手順またはその明らかな変法によって調製され得る。
【0151】
本発明の化合物の合成
本発明の化合物は、好ましくは、スキームAに図示される合成プロトコル(これに限定されない)によって調製される。スキームAでは、置換基R、R20、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は、本明細書中に定義されるとおりのものである。
【0152】
【化7】
化合物A−600(R10=−OH)は、当該分野で周知の従来のアミド化またはエステル化の条件下において、それぞれA−600(R10=−NR1112)またはA−600(R10=−OR13)に改変され得る。化合物A−300およびA−400(Rは、メチル、エチルなど適当な保護基のことを指す)を、少なくとも化学量論量の、好ましくは、過剰量の適当なアルファ−アミノ酸(特に、グリシンもしくはアラニンまたはそれらの対応する塩であるがこれらに限定されない)と反応させる。その反応は、当該分野で周知の従来のカップリング条件下で行う。1つの実施形態において、その反応は、高い反応温度、特に、還流において、メタノール中、DMF中または別の適当な溶媒中のナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたは別の適当な塩基の存在下で行われる。その反応が実質的に完了するまで(代表的には約1〜72時間以内に起きる)、その反応を続ける。あるいは、その反応は、マイクロ波オーブン内の高温で行われ得る。反応が完了したら、化合物A−600は、従来の手法(例えば、中和、抽出、沈殿、クロマトグラフィ、濾過など)によって回収され得る。
【0153】
スキームAに示されているような反応において使用するための化合物A−400は、化合物A−300(R20は、好ましくは、Cl、BrおよびIであるがこれらに限定されない)を、試薬RM(Mは、適当な官能基(例えば、ボロン酸またはその誘導体(例えば、CB(OH))であるがこれらに限定されない)である);臭化ベンジル亜鉛などの有機亜鉛化合物;ベンジルマグネシウムブロミドなどの有機マグネシウム化合物;トリブチルフェニルスズなどの有機スズ化合物;ヒドロキシル;アミノ;チオなどと反応させることによって調製され得る。その反応は、代表的には、適当な溶媒/溶媒混合物を用いて、適当な触媒(例えば、Pd(PPh、ClPd(PPhまたはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を含むパラジウム触媒、またはCuClなどの銅触媒)、ならびに必要に応じて、当業者に公知の適当な媒介物質、共触媒および/または塩基の存在下において行われる。反応が完了したら、A−400は、従来の手法(例えば、中和、抽出、沈殿、クロマトグラフィ、濾過など)によって回収され得るか;あるいは、精製および/または単離なしに次の工程で使用され得る。
【0154】
スキームAに示されている反応において使用するための化合物A−300は、適当なマロン酸ジエステル(好ましくは、ジメチルエステルまたはジエチルエステルであるがこれらに限定されない)を用いたカルボジイミドによって媒介されるアルキル化、続いて、適当な酸(好ましくは、高温下の塩酸であるがこれに限定されない)を用いた酸によって媒介される環化反応、または当業者に周知の反応条件下で適当な塩基(好ましくは、高温下のメタノール中のナトリウムメトキシドであるがこれに限定されない)を用いた塩基によって媒介される環化反応を介して化合物A−200を処理することによって調製され得る。あるいは、化合物A−300は、化合物A−500から出発して、高温下でのルイス酸(好ましくは、四塩化スズであるがこれに限定されない)の存在下における、例えば、2−エトキシカルボニル−マロン酸ジエチルエステルを用いたアシル化、続いて環化を介して合成され得る。
【0155】
あるいは、化合物A−300は、スキームBに図示される合成プロトコルを用いて調製され得る。スキームBでは、置換基R、R20およびqは、本明細書中に定義されるとおりのものである。
【0156】
【化8】
あるいは、化合物A−300は、当業者に周知の条件(好ましくは、高温のDMFであるがこれに限定されない)を用いて、塩基(好ましくは、水素化ナトリウムであるがこれに限定されない)の存在下で化合物B−200を適当なマロン酸ジエステル(好ましくは、ジメチルエステルまたはジエチルエステルであるがこれらに限定されない)で処理することによって、化合物B−200から調製され得る。化合物B−200は、当業者に周知の条件下(好ましくは、高温のアセトンおよびカンファースルホン酸であるがこれらに限定されない)において、適当な酸(好ましくは、カンファースルホン酸であるがこれに限定されない)の存在下で化合物B−100をアセトンまたは2,2−ジメトキシプロパンで処理することによって、化合物B−100から調製され得る。
【0157】
上記のいずれかの反応が完了したら、化合物A−300が、従来の手法(例えば、中和、抽出、沈殿、クロマトグラフィ、濾過など)によって回収され得るか;あるいは、精製および/または単離なしに次の工程で使用され得る。
【0158】
スキームAに示されている反応において使用するための化合物A−200は、まず、化合物−100のチオフェノール基を保護した後、加水分解することによって調製され得る。これは、好ましくは、当業者に公知の条件を用いた(例えば、室温の塩化トリチルおよび適当な塩基を用いた)A−100から対応するトリチルスルファニルへの変換(これに限定されない)、続いて、水酸化アルカリを用いたカルボン酸エステル官能基の加水分解によって行われる。あるいは、化合物A−200(P=−(C=O)−N(CHのとき)は、A−700の熱分解性転位の後のカルボン酸エステルのけん化(soaponification)からも調製され得る。このO−アリールジアルキルチオカルバメート(O−aryl diarkylthiocarbamates)からS−アリールジアルキルカルバメートへの熱分解性転位は、好ましくは、熱的に行われるか、または適当な溶媒(例えば、ブロモベンゼン)の存在下もしくは非存在下における化合物A−700へのマイクロ波照射によって、行われる。続いて、水酸化アルカリを用いたカルボン酸エステル官能基の加水分解が行われた。反応が完了したら、A−200は、従来の手法(例えば、中和、抽出、沈殿、クロマトグラフィ、濾過など)によって回収され得るか;あるいは、精製および/または単離なしに次の工程で使用され得る。
【0159】
化合物A−700は、当業者に公知の条件を用いて(例えば、室温のDMF中のDABCOなどの適当な塩基を用いて)、化合物A−800をジアルキル−チオカルバモイルクロリドと反応させることによって容易に調製され得る。
【0160】
スキームAに示されている反応において使用するための化合物A−100、A−500およびA−800は、商業的供給源から入手可能であるか、または文献に記載された公知の手順に従って調製され得る。
【0161】
本発明の化合物に到達するための他の変法は、十分に当該分野の技術の範囲内である。例えば、従来の手段によってC−4ヒドロキシ基から対応するエーテル、アシルオキシなどへの改変が行われることにより、式Iの化合物が提供され得る。さらに、当業者に周知の方法を用いて、チオ部分を酸化することにより式Iの化合物が提供され得る。
【0162】
あるいは、本発明の化合物は、スキームCに図示される合成プロトコルを用いて調製され得る。スキームCにおいて、置換基R、R20、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、qおよびyは、本明細書中に定義されるとおりのものである。
【0163】
【化9】
スキームCに示されている反応において使用するための化合物C−600(Rは、メチル、エチルなどのような適当な保護基のことを指す)は、化合物C−500(R20は、好ましくは、Cl、BrおよびIであるがこれらに限定されない)を試薬RM(Mは、適当な官能基(例えば、ボロン酸またはその誘導体(例えば、CB(OH))であるがこれらに限定されない)である);ベンジル亜鉛ブロミドなどの有機亜鉛化合物;ベンジルマグネシウムブロミドなどの有機マグネシウム化合物;トリブチルフェニルスズなどの有機スズ化合物;ヒドロキシル;アミノ;またはチオなどと反応させることによって調製され得る。その反応は、代表的には、適当な溶媒/溶媒混合物を用いて、適当な触媒(例えば、Pd(PPh、PdCl(PPhまたはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)などを含むパラジウム触媒、またはCuClなどの銅触媒)、ならびに必要に応じて、当業者に公知の適当な媒介物質、共触媒および/または塩基の存在下において行われる。反応が完了したら、C−600は、従来の手法(例えば、中和、抽出、沈殿、クロマトグラフィ、濾過など)によって回収され得るか;あるいは、精製および/または単離なしに次の工程で使用され得る。化合物C−600は、当該分野で周知の従来のアミノ分解、加水分解、水素化またはエステル交換反応の条件下において、A−600(R10=−NR1112)またはA−600(R10=−OR13)に改変され得る。
【0164】
スキームCに示されている反応において使用するための化合物C−500は、化合物C−400(R20は、好ましくは、Cl、BrおよびIであるがこれらに限定されない)を、トリエチルアミンなどの適当な塩基の存在下で試薬(イソシアネート、イソチオシアネートおよびハロゲン化アシルが挙げられるがこれらに限定されない)と反応させることによって調製され得、それは、必要に応じて、適当な溶媒/溶媒混合物を用いる、マイクロ波照射、超音波処理または当業者に公知の適切な方法によって促進される。反応が完了したら、C−500は、従来の手法(例えば、中和、抽出、沈殿、クロマトグラフィ、濾過など)によって回収され得るか;あるいは、精製および/または単離なしに次の工程で使用され得る。
【0165】
スキームCに示されている反応において使用するための化合物C−400は、当業者に周知の条件を用いて適当な溶媒中のカリウムtert−ブトキシドなどの強塩基で化合物C−300を処理することによって調製され得る。上記のいずれかの反応が完了したら、化合物C−300は、従来の手法(例えば、中和、抽出、沈殿、クロマトグラフィ、濾過など)によって回収され得るか;あるいは、精製および/または単離なしに次の工程で使用され得る。
【0166】
スキームCに示されている反応において使用するための化合物C−300は、熱的に調製され得るか、または当業者に公知の条件を用いて、そのまま(neat)もしくは適当な溶媒中での化合物C−200へのマイクロ波照射によって、調製され得る。反応が完了したら、C−300は、従来の手法(例えば、中和、抽出、沈殿、クロマトグラフィ、濾過など)によって回収され得るか;あるいは、精製および/または単離なしに次の工程で使用され得る。
【0167】
スキームCに示されている反応において使用するための化合物C−200は、当業者に公知の条件を用いて適当な溶媒中の1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などの適切な塩基の存在下で化合物C−100をN,N−ジメチルチオカルバモイルクロリドまたは類似の試薬で処理することによって調製され得る。反応が完了したら、C−300は、従来の手法(例えば、中和、抽出、沈殿、クロマトグラフィ、濾過など)によって回収され得るか;あるいは、精製および/または単離なしに次の工程で使用され得る。
【0168】
スキームCに示されている反応において使用するための化合物C−100は、商業的供給源から入手可能である。
【0169】
本発明の化合物に到達するための他の変法は、十分に当該分野の技術の範囲内である。例えば、従来の手段によってC−4ヒドロキシ基から対応するエーテル、アシルオキシなどへの改変が行われることにより、式Iの化合物が提供され得る。さらに、当業者に周知の方法を用いて、チオ部分を酸化することにより式Iの化合物が提供され得る。
【0170】
5.本発明の化合物の使用
本発明の化合物は、HIFヒドロキシラーゼ活性を阻害することによって、HIFの安定性および/または活性を調節するため、ならびにHIFによって制御される遺伝子発現を活性化するために使用され得る。本化合物は、HIFに関連する状態(貧血および虚血の様々な局面ならびに低酸素の状態が挙げられるがこれらに限定されない)を処置するか、前処置するか、またはその進行もしくは発生を遅延させる方法において使用され得る。様々な実施形態において、本化合物は、虚血に関連する状態、例えば、心筋梗塞、肺塞栓、腸梗塞、虚血性脳卒中、腎虚血再灌流傷害、心臓性肝硬変、黄斑変性症、肺塞栓、急性呼吸不全、新生児呼吸窮迫症候群およびうっ血性心不全の直後に投与される。別の実施形態において、本化合物は、外傷または損傷の直後に投与される。他の実施形態において、本化合物は、素因状態、例えば、高血圧症、糖尿病、閉塞性動脈疾患、慢性静脈不全、レイノー病、慢性皮膚潰瘍、肝硬変、うっ血性心不全および全身性硬化症に基づいて被験体に投与され得る。なおも他の実施形態において、虚血または低酸素に関連する組織損傷を減少させるためまたはその発症を予防するために被験体を前処置するために化合物が投与され得る。
【0171】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、内因性エリトロポイエチン(EPO)を増加させるために使用され得る。本化合物は、EPOに関連する状態(例えば、貧血および神経障害に関連する状態が挙げられる)を予防するため、前処置するため、または処置するために、投与され得る。貧血に関連する状態としては、急性または慢性の腎臓疾患、糖尿病、癌、潰瘍、ウイルス、例えば、HIV、細菌または寄生生物による感染症;炎症などのような障害が挙げられる。貧血状態には、手技または処置(例えば、放射線治療、化学療法、透析および外科術が挙げられる)に関連する状態がさらに含まれ得る。貧血に関連する障害としては、さらに、異常なヘモグロビンおよび/または赤血球(例えば、小球性貧血、低色素性貧血、再生不良性貧血などのような障害に見られるもの)が挙げられる。
【0172】
本化合物は、予防的または同時に、特定の処置または手技を受けている被験体(例えば、アジドチミジン(ジドブジン)もしくは他の逆転写酵素インヒビターで処置されているHIVに感染している貧血の患者、環状シスプラチンを含む化学療法薬もしくはシスプラチンを含まない化学療法薬を投与されている貧血の癌患者、または外科術を受ける予定になっている貧血の患者もしくは貧血でない患者)内の内因性EPOを増加させるために使用され得る。さらに、本化合物は、同種輸血の必要性を低下させるためまたは外科術の前の血液の保存を容易にするために、外科術を受ける予定になっている貧血の患者または貧血でない患者の内因性EPOのレベルを上昇させるために使用され得る。
【0173】
6.生物学的試験
本発明の化合物の生物学的活性は、任意の従来知られている方法を用いて評価され得る。適当なアッセイ方法は、当該分野で周知である。以下のアッセイは、例としてのみ提示され、限定を目的としない。本発明の化合物は、以下のアッセイの少なくとも1つにおいて活性である。
【0174】
i.細胞ベースのHIFα安定化アッセイ
様々な組織に由来するヒト細胞を、別々に35mm培養皿に播種し、標準的な培養液、例えば、DMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)、10%FBS(ウシ胎児血清)中、37℃、20%O、5%COで生育する。細胞層がコンフルエンスに達したら、培地をOPTI−MEM培地(Invitrogen Life Technologies,Carlsbad CA)で置き換え、細胞層を37℃、20%O、5%COでおよそ24時間インキュベートする。次いで、既存の培地に、化合物または0.013%DMSO(ジメチルスルホキシド)を加え、一晩インキュベートを続ける。
【0175】
インキュベート後、培地を除去し、遠心し、解析のために保存する(下記のVEGFおよびEPOのアッセイを参照のこと)。その細胞を冷リン酸緩衝食塩水(PBS)中で2回洗浄し、次いで、1mLの10mM Tris(pH7.4)、1mM EDTA、150mM NaCl、0.5%IGEPAL(Sigma−Aldrich,St.Louis MO)およびプロテアーゼインヒビター混合物(Roche Molecular Biochemicals)中で氷上において15分間溶解する。細胞溶解産物を4℃、3,000×gで5分間遠心し、サイトゾルの画分(上清)を回収する。核(ペレット)を100μLの20mM HEPES(pH7.2)、400mM NaCl、1mM EDTA、1mMジチオトレイトールおよびプロテアーゼ混合物(Roche Molecular Biochemicals)に再懸濁して溶解し、4℃、13,000×gで5分間遠心し、核タンパク質の画分(上清)を回収する。
【0176】
QUANTIKINEイムノアッセイ(R&D Systems,Inc.,Minneapolis MN)を製造者の指示書に従って使用して、核の画分をHIF−1αについて解析する。
【0177】
ii.細胞ベースのVEGFおよびEPOのELISAアッセイ
上に記載されたような細胞培養物から回収された条件培地を、適切なQUANTIKINEイムノアッセイ(R&D Systems)を製造者の指示書に従って使用して、血管内皮成長因子(VEGF)および/またはエリトロポイエチン(EPO)の発現について解析する。
【0178】
iii.HIF−PHアッセイ
ケトグルタル酸α−[1−14C]−ナトリウム塩、アルファ−ケトグルタル酸ナトリウム塩およびHPLC精製ペプチドは、商業的供給源、例えば、それぞれPerkin−Elmer(Wellesley MA)、Sigma−AldrichおよびSynPep Corp.(Dublin CA)から入手され得る。このアッセイにおいて使用するためのペプチドは、上に記載されたような、または本明細書中で参考として援用される国際公開番号WO2005/118836に開示されているような、HIFαのフラグメントであり得る。例えば、HIF−PHアッセイにおいて使用するためのHIFペプチドは、[メトキシクマリン]−DLDLEALAPYIPADDDFQL−アミドである。HIF−PH、例えば、HIF−PH2(EGLN1)は、例えば、昆虫Hi5細胞において発現され得、例えば、SPイオン交換クロマトグラフィカラムによって部分的に精製され得る。酵素活性は、KivirikkoおよびMyllylaによって報告されたアッセイ(1982,Methods Enzymol.82:245−304)を用いて14COを捕捉することによって測定される。アッセイ反応物は、50μMペプチド基質および様々な濃度の本発明の化合物とともに、またはそれらを含まずに、50mM HEPES(pH7.4)、100μM α−ケトグルタル酸ナトリウム塩、0.30μCi/mLケトグルタル酸α−[1−14C]−ナトリウム塩、40μM FeSO、1mM アスコルベート、1541.8単位/mLカタラーゼを含む。HIF−PH酵素を加えることによって、反応が開始される。
【0179】
ペプチド依存的なパーセントターンオーバーは、基質ペプチドの存在下のパーセントターンオーバーからペプチドの非存在下のパーセントターンオーバーを減算することによって計算される。パーセント阻害およびIC50は、所与のインヒビター濃度におけるペプチド依存的なパーセントターンオーバーを用いて計算される。各インヒビターに対するIC50値の計算は、GraFitソフトウェア(Erithacus Software Ltd.,Surrey UK)を用いて行われる。
【0180】
本発明の代表的な化合物を、上に記載したHIF−PHアッセイを用いて解析した。表1は、代表的なHIFプロリルヒドロキシラーゼであるHIF−PH2に対する例示的な化合物の酵素阻害データを示している。本発明の化合物は、HIFプロリルヒドロキシラーゼを阻害することによって、HIFαを安定化し、次いで、HIFβと結合することにより、多くの有益な細胞プロセスに関わる様々な遺伝子の発現を増加させる活性な転写因子を形成する。
【0181】
【表1-1】
【0182】
【表1-2】
【0183】
【表1-3】
【0184】
【表1-4】
7.医薬製剤および投与経路
本発明の組成物は、当該分野で周知であるように、直接送達され得るか、または適当なキャリアまたは賦形剤を含む薬学的組成物もしくは医薬として送達され得る。本処置方法は、有効量の本発明の化合物の投与の必要な被験体;例えば、慢性腎不全、糖尿病、癌、AIDS、放射線治療、化学療法、腎臓透析または外科術に起因する、例えば、貧血を有するかまたは貧血のリスクのある被験体;または、例えば、心筋梗塞、うっ血性心不全、心臓性肝硬変、肺動脈弁閉鎖不全、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患などに起因する、例えば、虚血を有するかまたは虚血のリスクのある被験体への有効量の本発明の化合物の投与を含み得る。好ましい実施形態において、その被験体は、哺乳動物の被験体であり、最も好ましい実施形態において、その被験体は、ヒト被験体である。
【0185】
そのような化合物、組成物または医薬の有効量は、最も効果的かつ都合のよい投与経路であり得るように、かつ最も適切な製剤であり得るように、通例の実験方法によって容易に決定され得る。様々な製剤および薬物の送達系が、当該分野において利用可能である。例えば、Gennaro,A.R.,ed.(1995)Remington’s Pharmaceutical Sciences,前出を参照のこと。
【0186】
適当な投与経路としては、例えば、経口、直腸、局所的、経鼻、肺、眼球、腸管および非経口投与が挙げられ得る。非経口投与のための主要な経路としては、静脈内、筋肉内および皮下投与が挙げられる。第2の投与経路としては、腹腔内、動脈内、関節内、心臓内、槽内、皮内、病巣内、眼内、胸膜内、鞘内、子宮内および脳(心)室内投与が挙げられる。薬物の物理的特性、化学的特性および生物学的特性とともに、処置される適応症が、製剤のタイプおよび使用される投与経路、ならびに局所的送達が好ましいか全身送達が好ましいかを決定する。
【0187】
本発明の化合物の薬学的剤形は、瞬間放出、制御放出、徐放または標的薬物送達系として提供され得る。通常使用される剤形としては、例えば、溶液および懸濁液、(マイクロ−)エマルジョン、軟膏、ゲルおよびパッチ、リポソーム、錠剤、糖衣錠、ソフトまたはハードシェルカプセル、坐剤、卵形剤(ovules)、植込錠、無定形粉末または結晶性粉末、エアロゾルならびに凍結乾燥製剤が挙げられる。使用される投与経路に応じて、薬物を適用するためまたは投与するために特殊なデバイス(例えば、注射器および針、吸入器、ポンプ、注射ペン、アプリケーターまたは特殊なフラスコ)を必要とする場合がある。薬学的剤形は、しばしば、薬物、賦形剤および容器/閉鎖系から構成される。不活性成分とも呼ばれる1つまたは複数の賦形剤は、その薬物の製造、安定性、投与および安全性を改善するためまたは促進するために本発明の化合物に加えられ得、所望の薬物放出プロファイルを達成する手段を提供し得る。ゆえに、薬物に加えられる賦形剤のタイプは、様々な因子、例えば、その薬物の物理的特性および化学的特性、投与経路、ならびに製造手順に依存し得る。薬学的に許容され得る賦形剤は、当該分野で入手可能であり、それらとしては、様々な薬局方に列挙されているものが挙げられる(例えば、米国薬局方(USP)、日本薬局方(JP)、欧州薬局方(EP)および英国薬局方(BP);U.S.Food and Drug Administration(www.fda.gov)Center for Drug Evaluation and Research(CEDR)の出版物、例えば、Inactive Ingredient Guide(1996);Ash and Ash,Eds.(2002)Handbook of Pharmaceutical Additives,Synapse Information Resources,Inc.,Endicott NY;などを参照のこと)。
【0188】
本発明の化合物の薬学的剤形は、当該分野で周知の任意の方法(例えば、従来の混合、ふるい、溶解、融解、顆粒化、糖衣錠作製、錠剤化、懸濁、押出、スプレードライ、湿式粉砕(levigating)、乳化、(ナノ/マイクロ)カプセル化、封入または凍結乾燥プロセス)によって製造され得る。上で注目されたように、本発明の組成物は、活性な分子を薬学的に使用するための調製物に加工することを容易にする1つ以上の生理的に許容され得る不活性成分を含み得る。
【0189】
適切な製剤化は、所望の投与経路に依存する。静脈内注射の場合、例えば、本組成物は、必要であれば、製剤のpHを調整するための生理的に適合する緩衝液(例えば、リン酸塩、ヒスチジンまたはクエン酸塩を含む)および等張化剤(例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース)を用いて、水溶液として製剤化され得る。経粘膜投与または経鼻投与の場合、おそらく浸透促進剤を含む、半固体、液体製剤またはパッチが好ましい場合がある。そのような浸透剤は、広く当該分野で公知である。経口投与の場合、本化合物は、液体または固体の剤形、および瞬間放出または制御放出/徐放の製剤として製剤化され得る。被験体による経口摂取に適した剤形としては、錠剤、丸剤、糖衣錠、ハードおよびソフトシェルカプセル、液体、ゲル、シロップ剤、スラリー、懸濁液ならびにエマルジョンが挙げられる。本化合物は、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含む、坐剤または停留浣腸などの直腸組成物としても製剤化され得る。
【0190】
固体の経口剤形は、賦形剤を用いて得ることができ、その賦形剤としては、充填剤、崩壊剤、結合剤(乾式および湿式)、溶解遅延薬、滑沢剤、流動促進剤、粘着防止剤(antiadherants)、陽イオン交換樹脂、湿潤剤、酸化防止剤、保存剤、着色剤および香味剤が挙げられ得る。これらの賦形剤は、合成の起源または天然の起源のものであり得る。そのような賦形剤の例としては、セルロース誘導体、クエン酸、リン酸二カルシウム、ゼラチン、炭酸マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム/ラウリル硫酸ナトリウム、マンニトール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、シリケート、二酸化シリシウム、安息香酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン、ステアリン酸またはその塩、糖(すなわち、デキストロース、スクロース、ラクトースなど)、タルク、トラガカント粘液、植物油(硬化植物油)およびろうが挙げられる。エタノールおよび水は、顆粒化補助剤(granulation aides)として働き得る。ある特定の場合において、例えば、矯味フィルム、胃酸耐性フィルムまたは放出遅延フィルムによる錠剤のコーティングが望ましい。しばしば、天然および合成のポリマーが、着色剤、糖および有機溶媒または水とともに、錠剤をコーティングして、糖衣錠を得るために使用される。カプセルが錠剤よりも好ましいとき、粉末の薬物、その懸濁液または溶液が、適合するハードまたはソフトシェルカプセルとして送達され得る。
【0191】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、例えば、皮膚パッチ、半固体または液体製剤、例えば、ゲル、(マイクロ)エマルジョン、軟膏、溶液、(ナノ/マイクロ)懸濁液または泡沫によって、局所的に投与され得る。皮膚およびその下にある組織への薬物の浸透は、例えば、浸透促進剤;親油性、親水性および両親媒性の賦形剤(水、有機溶媒、ろう、油、合成および天然のポリマー、界面活性剤、乳化剤を含む);pH調整剤;および錯化剤の使用からの適切な選択および組み合わせを用いて、制御され得る。イオン導入などの他の手法も、本発明の化合物の皮膚への浸透を制御するために使用され得る。例えば、全身曝露が最小になる局所送達が望まれる状況では、経皮的または局所的投与が好ましい。
【0192】
吸入による投与または鼻への投与の場合、本発明に従って使用するための化合物は、通常、噴霧剤、例えば、メタンおよびエタンから得られるハロゲン化炭素、二酸化炭素または他の任意の適当なガスを使用した加圧パックすなわち噴霧器からの、溶液、懸濁液、エマルジョンまたは半固体エアロゾルの形態で、好都合に送達される。局所用エアロゾルの場合、ブタン、イソブテンおよびペンタンのような炭化水素が、有用である。加圧エアロゾルの場合、適切な投薬単位は、定量を送達するバルブを提供することによって、決定され得る。吸入器または注入器において使用するための、例えばゼラチンの、カプセルおよびカートリッジが、製剤化され得る。これらは、代表的には、本化合物とラクトースまたはデンプンなどの適当な粉末の基剤との粉末混合物を含む。
【0193】
注射による非経口投与のために製剤化される組成物は、通常、滅菌され、単位剤形で、例えば、アンプル、注射器、注射ペンまたは複数用量の容器で提供され得、後者は、通常、保存剤を含む。本組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンのような形態を取り得、製剤化剤(formulatory agents)(例えば、緩衝液、等張化剤、増粘剤、界面活性剤、懸濁化剤および分散剤、酸化防止剤、生体適合性ポリマー、キレート剤ならびに保存剤)を含み得る。注射部位に応じて、ビヒクルは、水、合成油もしくは植物油および/または有機共溶媒を含み得る。凍結乾燥された生成物または濃縮物の場合のようなある特定の場合では、非経口製剤は、投与前に再構成され得るか、または希釈され得る。本発明の化合物の制御放出または徐放をもたらすデポー製剤は、ナノ/マイクロ粒子またはナノ/マイクロ微粉化結晶もしくは非微粉化結晶の注射可能な懸濁液を含み得る。当該分野で周知の他のものに加えて、ポリマー(例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)またはそれらの共重合体)が、制御放出/徐放マトリックスとして働き得る。他のデポー送達系は、切開術を必要とする植込錠およびポンプの形態で提供され得る。
【0194】
本発明の化合物の静脈内注射に適したキャリアは、当該分野で周知であり、それらとしては、例えば、イオン化化合物を形成するための、水酸化ナトリウムなどの塩基を含む水ベースの溶液;等張化剤としてのスクロースまたは塩化ナトリウム;および緩衝液、例えば、リン酸塩またはヒスチジンを含む緩衝液が挙げられる。例えば、ポリエチレングリコールなどの共溶媒が加えられ得る。これらの水ベースの系は、本発明の化合物を溶解する際に有効であり、全身投与の際に低毒性をもたらす。溶液系の成分の割合は、溶解性および毒性の特性を無効にすることなく、かなり変動し得る。さらに、それらの成分自体が、変化し得る。例えば、ポリエチレングリコールまたは他の共溶媒であり得るようなポリソルベートまたはポロキサマーなどの低毒性の界面活性剤が使用され得、ポリビニルピロリドンなどの生体適合性ポリマーが、加えられ得、他の糖およびポリオールが、デキストロースの代わりに使用され得る。
【0195】
治療的に有効な用量は、最初に、当該分野で周知の種々の手法を用いて推定され得る。動物試験において使用される最初の用量は、細胞培養アッセイにおいて確立された有効濃度に基づき得る。ヒト被験体にとって適切な投薬量の範囲は、例えば、動物試験および細胞培養アッセイから得られたデータを用いて、決定され得る。
【0196】
ある薬剤、例えば、本発明の化合物の有効量または治療有効量もしくは治療的に有効な用量とは、症状の回復または被験体の生存時間の延長をもたらす、その薬剤または化合物の量のことを指す。そのような分子の毒性および治療効果は、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって、例えば、LD50(その集団の50%にとって致死性の用量)およびED50(その集団の50%において治療的に有効な用量)を測定することによって、測定され得る。毒性と治療効果との用量比は、治療指数であり、これは、LD50/ED50比として表され得る。高い治療指数を示す薬剤が、好ましい。
【0197】
有効量または治療有効量は、研究者、獣医師、医師または他の臨床医によって探し求められる、組織、系、動物またはヒトの生物学的応答または医学的応答を誘発する化合物または薬学的組成物の量である。投薬量は、特に、毒性がほとんどまたはまったくないED50を含む循環濃度の範囲内に入る。投薬量は、使用される剤形および/または利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。正確な製剤、投与経路、投薬量および投薬間隔は、被験体の状態の詳細を考慮して、当該分野で公知の方法に従って選択されるべきである。
【0198】
投薬量および投薬間隔は、所望の効果を達成するのに十分な、活性部分の血漿レベル;すなわち、最小有効濃度(MEC)を得るために、個別に調整され得る。MECは、各化合物について異なるが、例えば、インビトロのデータおよび動物実験から推定することができる。MECを達成するために必要な投薬量は、個体の特徴および投与経路に左右される。局所投与または選択的取り込みの場合は、薬物の有効な局所濃度は、血漿濃度に関係しないことがある。
【0199】
投与される化合物または組成物の量は、処置される被験体の性別、年齢および体重、苦痛の重症度、投与様式ならびに処方する医師の判断をはじめとした種々の因子に依存し得る。
【0200】
本組成物は、所望であれば、活性成分を含む1つ以上の単位剤形が入ったパックまたはディスペンサーデバイスとして提供され得る。そのようなパックまたはデバイスは、例えば、ブリスター包装などの金属箔もしくはプラスチック箔;またはバイアルにおけるようなガラス栓およびゴム栓を備え得る。そのパックまたはディスペンサーデバイスは、投与のための指示書を同封している場合がある。適合する薬学的キャリア中に製剤化された、本発明の化合物を含む組成物が、調製され、適切な容器の中に入れられ、そしてそこに記載された状態を処置するためのラベルが貼られる場合もある。
【0201】
当業者は、本明細書中の開示を考慮して直ちに本発明のこれらの実施形態および他の実施形態を思いつき、それらの実施形態が具体的に企図される。
【実施例】
【0202】
本発明は、純粋に本発明の例示を目的とする以下の実施例を参照することによりさらに理解される。本発明は、単に本発明の単一の局面の例証を目的とする例示される実施形態によって範囲を限定されない。機能的に等価な任意の方法は、本発明の範囲内である。本明細書中に記載されるものに加えて、前の記述および添付の図面から、本発明の様々な改変が当業者に明らかになる。そのような改変は、添付の請求項の範囲内に入る。
【0203】
別段述べられない限り、すべての温度は、摂氏温度(℃)である。また、これらの実施例およびその他の箇所において、省略形は、以下の意味を有する:
【0204】
【数1】
【0205】
【数2】
実施例1
[(4−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)4−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸エチルエステル
20mLの開放バイアル内で、SnClを3−メトキシ−ベンゼンチオール(0.91g,6.5mmol)と2−エトキシカルボニル−マロン酸ジエチルエステル(2.27g,9.77mmol)とのそのままの(neat)混合物に加えた。その反応混合物を210℃の油浴内で2.5時間加熱した。冷却した後、その反応混合物を、シリカゲルクロマトグラフィ(3%〜50%EtOAc/CHCl)に供することにより、4−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸エチルエステルを得た(100mg)。MS ESI(+)m/e:281.10(M+1)。
【0206】
b)[(4−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
2−メトキシエタノール(5.6mL)中の、4−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸エチルエステル(47mg,0.17mmol)とグリシンナトリウム(81mg,0.84mmol)との混合物を、一晩(20h)還流した。その反応混合物を濃縮し、粗残渣を水(60mL)に溶解し、1N HClを用いてpH3〜4に酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、[(4−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を得た(41mg)。MS ESI(−)m/e:308.06(M−1)。
【0207】
実施例2
[(4−ヒドロキシ−6,7−ジメトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)4−ヒドロキシ−6,7−ジメトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸エチルエステル
4−ヒドロキシ−6,7−ジメトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸エチルエステルを実施例1(a)に類似の条件下で調製した。MS ESI(+)m/e:311.12(M+1)。
【0208】
b)[(4−ヒドロキシ−6,7−ジメトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(4−ヒドロキシ−6,7−ジメトキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例1(b)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:338.14(M−1)。
【0209】
実施例3
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)2−トリチルスルファニル−安息香酸メチルエステル
トリエチルアミン(2.65g,26.2mmol)を、rtのCHCl中の、2−メルカプト−安息香酸メチルエステル(4.0g,23.8mmol)と塩化トリチル(6.63g,23.8mmol)との混合物にゆっくり加えた。その反応混合物をrtで3時間撹拌し、水(100mL)で洗浄した。2相を分離し、水層をCHCl(50mL)で抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、2−トリチルスルファニル−安息香酸メチルエステル(9.6g)を得て、それをさらに精製することなく次の反応に直接使用した。MS ESI(+)m/e:411.15(M+1)。
【0210】
b)2−トリチルスルファニル−安息香酸
110mLのMeOH/THF/HO(1/2/1)中の、2−トリチルスルファニル−安息香酸メチルエステル(9.6g,23.4mmol)とLiOH(4.0g,95.2mmol)との混合物をrtで一晩撹拌した。その反応混合物を濃縮することにより、ほとんどの有機溶媒を除去し、水(150mL)で希釈した。固体を濾過して除去し、濾液を、3N HCl次いで1N HClを用いてpH4〜5に酸性化した。沈殿物を濾過により回収し、水ですすぎ、次いで、熱EtOAc(1L)に溶解した。冷却した後、有機溶液をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、2−トリチルスルファニル−安息香酸を得た(6.71g)。MS ESI(−)m/e:395.12(M−1)。
【0211】
c)4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
0℃の無水THF(39mL)中の2−トリチルスルファニル−安息香酸(4.0g,10.1mmol)の混合物に、HOBT(1.37g,10.1mmol)、次いでDCC(2.1g,10.1mmol)を加えた。得られた混合物を0℃で1時間撹拌し、懸濁液を3〜5℃で一晩冷蔵した。沈殿した固体を濾過して除去することにより、溶液1を得た。別のフラスコにおいて、マロン酸ジメチル(1.33g,10.1mmol)を無水THF(80mL)に溶解し、0℃に冷却した。その混合物に、NaH固体(鉱油中の60%分散物)(808mg,20.2mmol)を加え、その懸濁液を0℃で15分間撹拌した後、溶液1を加えた。得られた混合物を、0℃で5分間およびrtで3時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。その残渣を水(200mL)で希釈し、1N HCl水溶液を用いてpH3〜4に酸性化した。得られた沈殿物を回収し、水ですすぎ、次いで、CHClに溶解した。有機溶液をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、中間体を得た(4.66g)。この中間体の一部(0.51g)を8mlの(1/1)MeOH/3N HCl水溶液で処理し、4時間還流した。その反応混合物を50mLの水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ(3%〜50%EtOAc/CHCl)で精製することにより、4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを得た(48mg)。MS ESI(−)m/e:235.08(M−1)。
【0212】
d)[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
2−メトキシエタノール(13mL)中の、4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(105mg,0.44mmol)とグリシンナトリウム(215mg,2.22mmol)との混合物を5時間還流した。その反応混合物を濃縮し、粗残渣を水(50mL)に溶解し、1N HClを用いてpH3〜4に酸性化した。沈殿物を回収し、水ですすぎ、真空中で乾燥することにより、[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を得た(80mg)。MS ESI(−)m/e:278.10(M−1)。
【0213】
実施例4
[(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)5−フルオロ−2−トリチルスルファニル−安息香酸メチルエステル
5−フルオロ−2−トリチルスルファニル−安息香酸メチルエステルを実施例3(a)に類似の条件下で調製した。MS ESI(+)m/e:443.17(M+1)。
【0214】
b)5−フルオロ−2−トリチルスルファニル−安息香酸
80mLのMeOH/THF/HO(1/2/1)中の、5−フルオロ−2−トリチルスルファニル−安息香酸メチルエステル(4.74g,11.2mmol)とLiOH(1.74g,41.4mmol)との混合物をrtで一晩撹拌した。その反応混合物を、1N HClを用いてpH4に酸性化した。沈殿物を濾過により回収し、水ですすぎ、真空中で乾燥することにより、5−フルオロ−2−トリチルスルファニル−安息香酸を得た(4.16g)。MS ESI(+)m/e:415.13(M+1)。
【0215】
c)6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
0℃の無水THF(40mL)中の5−フルオロ−2−トリチルスルファニル−安息香酸(4.10g,10.0mmol)の混合物に、HOBT(1.35g,10.0mmol)、次いでDCC(2.06g,10.0mmol)を加えた。得られた混合物を0℃で1時間撹拌し、その懸濁液を一晩冷蔵した(3〜5℃)。沈殿した固体を濾過して除去することにより、溶液1を得た。別のフラスコにおいて、マロン酸ジメチル(1.33g,10.1mmol)を無水THF(70mL)に溶解し、0℃に冷却した。その混合物に、NaH固体(鉱油中の60%分散物)(808mg,20.2mmol)を加え、その懸濁液を0℃で10分間撹拌した後、溶液1を加えた。得られた混合物を0℃で10分間およびrtで3時間撹拌し、次いで、濃縮した。その残渣を水(200mL)で希釈し、1N HCl水溶液を用いてpH3〜4に酸性化した。沈殿物を回収し、水ですすぎ、真空中で乾燥することにより、中間体を得た(3.5g)。その中間体を80mLの(1/1)MeOH/3N HClで処理し、2時間還流した。透明の反応溶液が注ぎ出され、それを水(150mL)で希釈した。沈殿物が形成され、それを回収し、水ですすぎ、乾燥した。その残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(3%〜70%EtOAc/ヘキサン類)で精製することにより、6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを得た(54mg)。MS ESI(−)m/e:253.09(M−1)。
【0216】
d)[(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例3(d)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:295.92(M−1)。
【0217】
実施例5
[(7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)4−ブロモ−2−ジメチルチオカルバモイルオキシ−安息香酸メチルエステル
室温のDMF中の、4−ブロモ−2−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル(Mori,N.ら、Bull Chem.Soc.Jpn.1969,42(2),488−491)(29.3g,127mmol)と塩化ジメチルチオカルバモイル(17.2g,140mmol)との混合物に、DABCO(21.3g,190mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で一晩撹拌した後、水(1.25L)で希釈し、1N HClを用いて、およそ4のpHに酸性化した。沈殿物を回収し、水ですすぎ、真空中で乾燥することにより、4−ブロモ−2−ジメチルチオカルバモイルオキシ−安息香酸メチルエステルをオフホワイトの固体として得た(36.8g)。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.84(d,J=8.2Hz,1H),7.43(dd,J=8.6,2.0Hz,1H),7.29(d,J=2.0Hz,1H),3.83(s,3H),3.45(s,3H),3.38(s,3H)。
【0218】
b)4−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸メチルエステル
固体の4−ブロモ−2−ジメチルチオカルバモイルオキシ−安息香酸メチルエステルを、マイクロ波反応器(CEM Discovery)内においてそのままで(neat)様々な時間にわたって(5分間〜40分間)180℃に加熱した(7回の反応に対して1回につき5g,15.7mmol)。7つすべての反応混合物を併せ、シリカゲルクロマトグラフィ(CHCl中の50〜60%EtOAcで溶出)で精製することにより、4−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸メチルエステル23.08gを得た。MS ESI(+)m/e:320.04,318.00(M+1)。
【0219】
c)4−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸
(1/1/1)THF/MeOH/HO(21mL)中の、4−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸メチルエステル(2.04g,6.42mmol)と水酸化リチウム水和物(404mg,9.62mmol)との混合物を、室温で6時間撹拌した。その反応混合物を濃縮することにより、ほとんどの有機溶媒を除去した。その残渣を水(100mL)で希釈し、EtOAc(20mL)で抽出した(そのEtOAcは廃棄する)。水層を、1N HClを用いてpH3〜4に酸性化し、EtOAcで抽出した(2×100mL)。併せた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、4−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸を得た(1.67g)。H NMR(200MHz,CDCl): δ ppm)=7.76(m,2H),7.61(dd,J=8.2,2.0Hz,1H),3.15(br s,3H),3.06(br s,3H)。
【0220】
d)2−(4−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−ベンゾイル)−マロン酸ジメチルエステル
0℃のTHF(160mL)中の4−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸(12.1g,39.8mmol)の混合物に、DCC(8.2g,39.8mmol)を加えた後、HOBT(5.37g,39.8mmol)を加えた。その反応混合物を0℃で2時間撹拌し、濾過することにより、溶液1を得た。別のフラスコにおいて、NaH(鉱油中の60%分散物)(1.43g,59.7mmol)を冷THF(320mL,0℃)に加え、マロン酸ジメチル(5.52g,41.79mmol)をゆっくり加えた。ガスの発生が止むまで、その反応混合物を0℃で15分間撹拌した。この混合物に、溶液1を加えた。得られた混合物を0℃で5分間、次いで室温で2時間撹拌し、濃縮した。その残渣を水(600mL)で処理し、1N HClを用いてpH4〜5に酸性化し、EtOAcで抽出し(2×300mL)、併せた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(CHCl中の1%〜20%EtOAc)で精製することにより、2−(4−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−ベンゾイル)−マロン酸ジメチルエステルを得た(11.50g)。MS ESI(−)m/e:417.93,415.96(M−1)。
【0221】
e)7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
0.5M NaOMe/MeOH溶液(214mL)中の2−(4−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−ベンゾイル)−マロン酸ジメチルエステル(11.2g,26.79mmol)の混合物を6時間加熱還流した。一晩冷却した後、沈殿した固体を濾過により回収し、MeOHですすいだ後、エーテルですすいだ。その固体を真空中で乾燥することにより、7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(5.37g)をナトリウム塩として得た。H NMR(200MHz,DMSO−d): δ(ppm)=7.98(d,J=8.5Hz,1H),7.50(d,J=1.9Hz,1H),7.38(dd,J=8.5,1.8Hz,1H),3.56(s,3H)。
【0222】
f)[(7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例3(d)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:355.94,358.02(M−1)。
【0223】
実施例6
[(4−ヒドロキシ−7−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)4−ヒドロキシ−7−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
DMF中の7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)(150mg,0.48mmol)の混合物に、テトラメチルスズ(254mg,1.43mmol)およびPdCl(PPh(17mg,0.024mmol)を加えた。得られた混合物を20秒間、窒素ガスでパージし、120〜125℃の油浴内で1時間加熱した。その反応混合物を水(15mL)で希釈し、懸濁された黒色固体を濾過して除去した。透明の濾液を、1N HClを用いてpH4に酸性化し、EtOAcで抽出した(2×)。併せた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物をMeOH(1mL)で倍散し、固体を回収することにより、4−ヒドロキシ−7−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを得た(82mg)。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=15.20(s,1H),8.23(d,J=8.5Hz,1H),7.17(m,2H),4.00(s,3H),2.44(s,3H)。
【0224】
b.)[(4−ヒドロキシ−7−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
2−メトキシエタノール(10mL)中の、4−ヒドロキシ−7−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(80mg,0.32mmol)とグリシンナトリウム(310mg,3.2mmol)との混合物を3時間還流した。その反応混合物を濃縮し、粗残渣を水(50mL)に溶解し、1N HClを用いてpH3〜4に酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、[(4−ヒドロキシ−7−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を得た(89mg)。MS ESI(−)m/e:292.12(M−1)。
【0225】
実施例7
{[4−ヒドロキシ−7−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)4−ヒドロキシ−7−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
ジメトキシエタン(DME)(2.5mL)中の7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)(180mg,0.57mmol)の混合物に、4−メトキシフェニルボロン酸(104mg,0.69mmol)、Pd(PPh固体(66mg,0.06mmol)、次いで2M NaCO水溶液(0.7mL)を加えた。得られた混合物を1分間、窒素ガスでパージし、2時間加熱還流した。冷却した後、その反応混合物を水(50mL)で希釈し、1N HClを用いてpH3〜4に酸性化した。沈殿物を濾過により回収し、水ですすぎ、CHClに溶解した。有機溶液をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物をMeOH(5mL)で倍散し、固体を回収し、MeOH(2mL)ですすぎ、真空中で乾燥することにより、4−ヒドロキシ−7−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを得た(139mg)。MS ESI(+)m/e:343.11(M+1)。
【0226】
b){[4−ヒドロキシ−7−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
{[4−ヒドロキシ−7−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を実施例3(d)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:384.15(M−1)。
【0227】
実施例8
{[4−ヒドロキシ−7−(3−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)4−ヒドロキシ−7−(3−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−7−(3−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)および3−メトキシフェニルボロン酸から調製した。MS ESI(−)m/e:341.10(M−1)。
【0228】
b){[4−ヒドロキシ−7−(3−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
{[4−ヒドロキシ−7−(3−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を実施例6(b)に類似の条件下で調製した。粗生成物をさらに熱アセトニトリルで倍散し、固体を回収することにより、{[4−ヒドロキシ−7−(3−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を得た。MS ESI(−)m/e:384.12(M−1)。
【0229】
実施例9
{[4−ヒドロキシ−7−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)4−ヒドロキシ−7−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−7−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)および2−メトキシフェニルボロン酸から調製した。MS ESI(−)m/e:341.07(M−1)。
【0230】
b){[4−ヒドロキシ−7−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
{[4−ヒドロキシ−7−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を実施例6(b)に類似の条件下で調製した。粗生成物をさらにアセトニトリルで倍散し、固体を回収することにより、{[4−ヒドロキシ−7−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を得た。MS ESI(−)m/e:384.08(M−1)。
【0231】
実施例10
{[7−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)7−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
7−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)および3,5−ジクロロフェニルボロン酸から調製した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ(CHCl中の5%〜60%EtOAcで溶出)で精製することにより、7−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを得た。MS ESI(−)m/e:378.98(M−1)。
【0232】
b){[7−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
{[7−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を実施例3(d)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:421.96(M−1)。
【0233】
実施例11
{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)および4−トリフルオロメチルフェニルボロン酸から調製した。MS ESI(−)m/e:379.05(M−1)。
【0234】
b){[4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を実施例6(b)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:422.06(M−1)。
【0235】
実施例12
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)およびフェニルボロン酸から調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=15.26(s,1H),8.40(d,J=9.1Hz,1H),7.65−7.45(m,7H),4.02(s,3H)。
【0236】
b)[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例3(d)に類似の条件下で調製した。粗生成物をさらにアセトニトリルで倍散し、固体を回収することにより、[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を得た。MS ESI(−)m/e:354.10(M−1)。
【0237】
実施例13
{[7−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)7−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
7−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)および4−フルオロフェニルボロン酸から調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=15.27(s,1H),8.39(d,J=8.5Hz,1H),7.60−7.50(m,4 H),7.21−7.17(m,2H),4.02(s,3H)。
【0238】
b){[7−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
{[7−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を実施例6(b)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:372.09(M−1)。
【0239】
実施例14
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリミジン−5−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリミジン−5−イル−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
ジメトキシエタン(DME)(3.1mL)中の7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)(220mg,0.70mmol)の混合物に、ピリミジン−5−イルボロン酸(104mg,0.84mmol)、Pd(PPh固体(65mg,0.08mmol)、次いで2M NaCO水溶液(0.86mL)を加えた。得られた混合物を1分間、窒素ガスでパージし、2時間加熱還流した。冷却した後、その反応混合物を水(80mL)で希釈し、1N HClを用いてpH3〜4に酸性化し、EtOAcで抽出した。2相をCelite(登録商標)パッドで濾過することにより、透明の2層が形成された。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物をMeOH(10mL)で倍散し、固体を回収し、MeOH(2mL)ですすぎ、真空中で乾燥することにより、4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリミジン−5−イル−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを得た(79mg)。MS ESI(−)m/e:313.09(M−1)。
【0240】
b)[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリミジン−5−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリミジン−5−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例6(b)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:356.11(M−1)。
【0241】
実施例15
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸のナトリウム塩
a)4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例14(a)に類似の条件下で7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)および3−ピリジル−ボロン酸から調製した。MS ESI(+)m/e:314.12(M+1)。
【0242】
b)[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸のナトリウム塩
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸の二ナトリウム塩を実施例3(d)に類似の条件下で調製した。中性の形態の生成物(100mg)をアセトニトリル(3mL)および水(10mL)で処理した。その懸濁混合物に、2当量の1N NaOH水溶液を加えた。得られた透明の溶液を凍結乾燥することにより、[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸の二ナトリウム塩を得た(119mg)。H NMR(200MHz,DO): δ(ppm)=8.61(d,J=1.9Hz,1H),8.34(dd,J=5.1,1.5Hz,1H),8.12(d,J=8.4Hz,1H),7.94(dd,J=6.3,1.9Hz,1H),7.57(m,2H),7.35(dd,J=8.1,5.1Hz,1H),3.80(s,2H)。
【0243】
実施例16
{[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例14(a)に類似の条件下で7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)および5−フルオロ−3−ピリジル−ボロン酸から調製した。MS ESI(+)m/e:332.08(M+1)。
【0244】
b){[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
{[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を実施例6(b)に類似の条件下で調製した。MS ESI(+)m/e:375.14(M+1)。
【0245】
実施例17
{[7−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)7−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
7−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)および3−クロロ−4−フルオロ−フェニルボロン酸から調製した。MS ESI(+)m/e:365.10(M+1)。
【0246】
b){[7−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
{[7−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を実施例3(d)に類似の条件下で調製した。粗生成物をCHClで倍散し、固体を回収し、乾燥することにより、{[7−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を得た。MS ESI(−)m/e:406.08(M−1)。
【0247】
実施例18
[(4−ヒドロキシ−7−ナフタレン−2−イル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)4−ヒドロキシ−7−ナフタレン−2−イル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
ジメトキシエタン(DME)(3.1mL)中の7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)(220mg,0.70mmol)の混合物に、ナフタレン−2−イル−ボロン酸(144mg,0.84mmol)、Pd(PPh固体(64mg,0.06mmol)、次いで2M NaCO水溶液(0.86mL)を加えた。得られた混合物を1分間、窒素ガスでパージし、3時間加熱還流した。冷却した後、その反応混合物を水(100mL)で希釈し、1N HClを用いてpH3〜4に酸性化した。沈殿物を濾過により回収し、CHClですすぎ、固体を乾燥することにより、4−ヒドロキシ−7−ナフタレン−2−イル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを得た(119mg)。MS ESI(+)m/e:363.19(M+1)。
【0248】
b)[(4−ヒドロキシ−7−ナフタレン−2−イル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(4−ヒドロキシ−7−ナフタレン−2−イル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例3(d)に類似の条件下で調製した。粗生成物をMeOHで倍散し、固体を回収し、乾燥することにより、[(4−ヒドロキシ−7−ナフタレン−2−イル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を得た。MS ESI(+)m/e:406.14(M+1)。
【0249】
実施例19
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−p−トリル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−p−トリル−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−p−トリル−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)および4−メチル−フェニルボロン酸から調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=15.23(s,1H),8.38(d,J=8.7Hz,1H),7.64−7.51(m,4H),7.38−7.26(m,2H),4.02(s,3H),2.41(s,3H)。
【0250】
b)[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−p−トリル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−p−トリル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例3(d)に類似の条件下で調製した。MS ESI(+)m/e:370.13(M+1)。
【0251】
実施例20
[(7−ベンジル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)7−ベンジル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
THF(8mL)中の7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)(220mg,0.70mmol)の混合物に、ベンジルトリフルオロホウ酸カリウム(138mg,0.70mmol)、CsCO(682mg,2.09mmol)、PdCl(PPh(49mg,0.07mmol)、次いで、水(2mL)を加えた。得られた混合物を一晩(18h)還流した。冷却した後、その反応混合物を水(75mL)で希釈し、1N HClを用いてpH4に酸性化した。沈殿物を回収し、水ですすぎ、固体をCHClに溶解した。そのCHCl溶液をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ(5%〜100%EtOAc/CHCl)で精製することにより、7−ベンジル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを得た(99mg)。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=15.2(s,1H),8.25(d,J=8.2Hz,1H),7.36−7.16(m,7H),4.04(s,2H),4.00(s,3H)。
【0252】
b)[(7−ベンジル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(7−ベンジル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例3(d)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:368.16(M−1)。
【0253】
実施例21
[(7−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)ジメチル−チオカルバミン酸O−(2−アセチル−5−フルオロ−フェニル)エステル
1−(4−フルオロ−2−ヒドロキシ−フェニル)エタノン(4g,25.95mmol)、DABCO(3.06g,27.25mmol)およびN,N−ジメチルチオカルバモイル(dimethylthiocarboamoyl)クロリド(3.4g,27.25mmol)を共に、乾燥したフラスコ内に入れた。無水DMF(10mL)を加え、その反応物を室温で一晩(18h)撹拌した。その粗反応混合物を1N HClと氷との混合物上に注いだ。酸を加えたときに形成された油性残渣を酢酸エチルで抽出した。有機相を2体積の水および1体積のブラインで順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。その粗材料を、シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類中の3%〜10%酢酸エチル)を用いて精製することにより、ジメチル−チオカルバミン酸O−(2−アセチル−5−フルオロ−フェニル)エステルを得た(5.9g,94%)。H NMR(200MHz,CDCl): 7.82(1H,dd),7.05(1H,dt),6.9(1H,dd),3.45(3H,s),3.39,(3H,s),2.52(3H,s)。
【0254】
b)ジメチル−チオカルバミン酸S−(2−アセチル−5−フルオロ−フェニル)エステル
ジメチル−チオカルバミン酸O−(2−アセチル−5−フルオロ−フェニル)エステル(5.1g,21.12mmol)をCEMマイクロ波装置内で75分間、180℃に加熱した。その反応物を冷却し、真空中で濃縮した。粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類中の10%〜30%酢酸エチル)に供することにより、ジメチル−チオカルバミン酸S−(2−アセチル−5−フルオロ−フェニル)エステルを得た(3.5g,69%)。H NMR(200MHz,CDCl): 7.62(1H,dd),7.33(1H,dd),7.1(1H,dt),3.05(6H,br s),2.57(3H,s)。
【0255】
c)7−フルオロ−4−ヒドロキシ−チオクロメン−2−オン
ジメチル−チオカルバミン酸S−(2−アセチル−5−フルオロ−フェニル)エステル(2.7g,11.2mmol)を乾燥THF(15mL)に溶解し、カニューレを介して、THF中の1Mカリウムtert−ブトキシド(22.4mL)が入ったフラスコに移した。その反応物を4時間にわたって外界温度においた。その反応混合物を真空中で濃縮し、水に溶解した。水層をジエチルエーテルで抽出し、有機相を廃棄した。水性部分を1N HClでpH3に酸性化し、沈殿物を濾過によって回収し、風乾することにより、7−フルオロ−4−ヒドロキシ−チオクロメン−2−オンを得て(2.0g,91%)、それをさらに精製することなく使用した。MS ESI(−)m/e:195.209(M−1)。
【0256】
d)[(7−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル
7−フルオロ−4−ヒドロキシ−チオクロメン−2−オン(2.0g,10.2mmol)を、トリエチルアミン(1.7mL,12.23mmol)とジクロロメタン(50mL)との混合物に溶解した。その溶液にイソシアナト−酢酸エチルエステル(1.4mL,12.23mmol)を加え、その反応物を外界温度で一晩(18h)撹拌した。その反応混合物を、1N HClを用いてpH3に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類中の10%〜40%酢酸エチル)で精製することにより、[(7−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステルを得た(900mg,30%)。MS ESI(−)m/e:324.117(M−1)。
【0257】
e)[(7−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(7−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル(150mg,0.461mmol)を、テトラヒドロフラン(5mL)とメタノール(5mL)との混合物に溶解した。その溶液に1N水酸化ナトリウム(1.85mL)を加え、その反応物を外界温度で一晩(18h)撹拌した。その反応物を真空中で濃縮し、残渣を水に溶解し、pH3になるように1N HClで処理したところ生成物が沈殿し、それを濾過により回収し、乾燥することにより、[(7−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を得た(100mg,75%)。MS ESI(−)m/e:296.23(M−1)。
【0258】
実施例22
[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)ジメチル−チオカルバミン酸O−(2−アセチル−6−ブロモ−4−クロロ−フェニル)エステル
実施例21(a)に類似の条件下で1−(3−ブロモ−5−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−エタノンを用いて、ジメチル−チオカルバミン酸O−(2−アセチル−6−ブロモ−4−クロロ−フェニル)エステルを調製した。MS ESI(−)m/e:336.035(M−1)。
【0259】
b)ジメチル−チオカルバミン酸S−(2−アセチル−6−ブロモ−4−クロロ−フェニル)エステル
ジメチル−チオカルバミン酸S−(2−アセチル−6−ブロモ−4−クロロ−フェニル)エステルを実施例21(b)に類似の条件下で調製した。H NMR(200MHz,CDCl): 7.74(1H,d),7.35(1H,d),3.12(6H,br d),2.54(3H,s)。
【0260】
c)8−ブロモ−6−クロロ−4−ヒドロキシ−チオクロメン−2−オン
8−ブロモ−6−クロロ−4−ヒドロキシ−チオクロメン−2−オンを実施例21(c)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:291.07(M−1)。
【0261】
d)[(8−ブロモ−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル
[(8−ブロモ−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステルを実施例21(d)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:420.235(M−1)。
【0262】
e)[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル
[(8−ブロモ−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル(500mg,1.19mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(4mL)に溶解した。その反応物に、テトラメチルスズ(247μL,1.783mmol)、ジクロロ(ビス−トリフェニルホスフィノ)パラジウム(125mg,0.18mmol)および4オングストロームのモレキュラーシーブを順次加えた。その反応物を密閉し、油浴内で45分間、120℃に加熱した。その反応物を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水と分離させた。有機相を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。その粗材料をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類中の15%〜45%酢酸エチル)で精製することにより、[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステルを得た(400mg,95%)。MS ESI(−)m/e:354.223(M−1)。
【0263】
f)[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例21(e)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:326.21(M−1)。
【0264】
実施例23
[(4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)[(4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸(95mg,0.29mmol)を1N水酸化ナトリウム(1.16mL)および水(1.84mL)に溶解した。10%炭素担持パラジウム(9.5mg)を加え、その溶液を真空パージし、水素ガス(1atm)で処理した。その反応物を外界温度で一晩(18h)撹拌し、粗混合物をCelite(登録商標)で濾過し、その濾過ケークを1N水酸化ナトリウムで洗浄した。水相を1N塩酸でpH3に酸性化し、その生成物を濾過によって回収することにより、[(4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を得た(75mg,88%)。MS ESI(+)m/e:392.22(M−1)。
【0265】
実施例24
[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−4−チア−フェナントレン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)ジメチル−チオカルバミン酸O−(2−アセチル−ナフタレン−1−イル)エステル
実施例21(a)に類似の条件下で1−(1−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イル)−エタノンを用いて、ジメチル−チオカルバミン酸O−(2−アセチル−ナフタレン−1−イル)エステルを調製した。H NMR(200MHz,CDCl): 7.90−7.80(4H,m),7.59−7.53(2H,m),3.58(3H,s),3.54(3H,s),2.66(3H,s)。
【0266】
b)ジメチル−チオカルバミン酸S−(2−アセチル−ナフタレン−1−イル)エステル
ジメチル−チオカルバミン酸S−(2−アセチル−ナフタレン−1−イル)エステルを実施例21(b)に類似の条件下で調製した。H NMR(200MHz,CDCl): 8.43(1H,d),8.0−7.82(2H,m),7.63−7.45(3H,m),3.25(3H,br s),3.02(3H,br s),2.65(3H,s)。
【0267】
c)1−ヒドロキシ−4−チア−フェナントレン−3−オン
1−ヒドロキシ−4−チア−フェナントレン−3−オンを実施例21(c)に類似の条件下で調製した。H NMR(200MHz,CDCl): 8.17(1H,d), 8.08−7.95(2H,m),7.77−7.69(3H,m),6.18(1H,s)。
【0268】
d)[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−4−チア−フェナントレン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル
[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−4−チア−フェナントレン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステルを実施例21(d)に類似の条件下で調製した。H NMR(200MHz,CDCl): 10.18(1H,br t),8.21(1H,d),8.05(1H,d),7.85−7.53(4H,m),4.28(2H,q),4.21(2H,d),1.34(3H,t)。
【0269】
e)[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−4−チア−フェナントレン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−4−チア−フェナントレン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例21(e)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:328.132(M−1)。
【0270】
実施例25
[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−ベンゾ[f]チオクロメン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)ジメチル−チオカルバミン酸O−(1−アセチル−ナフタレン−2−イル)エステル
実施例21(a)に類似の条件下で1−(2−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イル)−エタノンを用いて、ジメチル−チオカルバミン酸O−(1−アセチル−ナフタレン−2−イル)エステルを調製した。H NMR(200MHz,CDCl): 7.89−7.75(3H,m),7.54−7.48(2H,m),7.26(1H,d),3.48(3H,s),3.37(3H,s),2.66(3H,s)。
【0271】
b)ジメチル−チオカルバミン酸S−(1−アセチル−ナフタレン−2−イル)エステル
ジメチル−チオカルバミン酸S−(1−アセチル−ナフタレン−2−イル)エステルを実施例21(b)に類似の条件下で調製した。H NMR(200MHz,CDCl): 7.70−7.49(4H,m),3.15(3H,br s),3.06(3H,br s),2.65(3H,s)。
【0272】
c)1−ヒドロキシ−ベンゾ[f]チオクロメン−3−オン
1−ヒドロキシ−ベンゾ[f]チオクロメン−3−オンを実施例21(c)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:227.297(M−1)。
【0273】
d)[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−ベンゾ[f]チオクロメン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル
[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−ベンゾ[f]チオクロメン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステルを実施例21(d)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:356.534(M−1)。
【0274】
e)[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−ベンゾ[f]チオクロメン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(1−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−ベンゾ[f]チオクロメン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例21(e)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:328.069(M−1)。
【0275】
実施例26
[(7−ブトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)3,3−ジ−(n−ブトキシ)ジフェニルジスルフィド
3,3−ジヒドロキシジフェニルジスルフィド(5.0g,20mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)に溶解した。炭酸セシウム(13g,40mmol)およびヨウ化n−ブチル(4.55mL,40mmol)を順次加え、その反応物を外界温度で36時間撹拌した。その溶液を氷と1N HClとの混合物の上に注ぐことによって、その反応物をクエンチした。得られた油性残渣を塩化メチレンに抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類中の1%〜7%酢酸エチル)で精製することにより、3,3−ジ−(n−ブトキシ)ジフェニルジスルフィドを得た(6.9g,95%)。H NMR(200MHz,CDCl): 7.17(1H,t), 7.04(2H,m),6.72(1H,m),3.90(2H,t),1.73(2H,m),1.54(2H,m),0.95(3H,t)。
【0276】
b)3−ブトキシ−ベンゼンチオール
3,3−ジ−(n−ブトキシ)ジフェニルジスルフィド(2.0g,5.52mmol)をテトラヒドロフラン(15mL)とメタノール(3mL)との混合物に溶解した。この溶液に、10%硫酸(10mL)および亜鉛粉末(725mg,11mmol)を加え、その反応物を外界温度で8時間撹拌した。その反応物を真空中で濃縮し、残渣を塩化メチレンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮することにより、3−ブトキシ−ベンゼンチオールを得て(2.0g,100%)、それをさらに精製することなく直接使用した。H NMR(200MHz,CDCl): 7.107(1H,t),6.79(2H,m),6.65(1H,m),3.92(2H,t),3.43(1H,s),1.74(2H,m),1.53(2H,m),0.97(3H,t)。
【0277】
c)7−ブトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸エチルエステル
3−ブトキシ−ベンゼンチオール(1.2g,6.58mmol)を2−エトキシカルボニル−マロン酸ジエチルエステル(2.1mL,9.87mmol)に溶解した。四塩化スズ(26μL,0.224mmol)を加え、その反応物を密閉し、210℃に加熱した。2時間後、その反応物を冷却し、直接、シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類中の5%〜50%酢酸エチル)に供することにより、7−ブトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸エチルエステルを得た(140mg,7%)。MS ESI(−)m/e:321.249(M−1)。
【0278】
d)[(7−ブトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
2−メトキシエタノール(10mL)中の、7−ブトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸エチルエステル(140mg,0.434mmol)とグリシンナトリウム(420mg,4.34mmol)との混合物を一晩(16h)還流した。反応混合物を濃縮し、粗残渣を水に溶解し、1N HClを用いてpH3に酸性化することにより、生成物が沈殿した。沈殿物を濾過により回収し、乾燥することにより、[(7−ブトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を得た(120mg,80%)。MS ESI(−)m/e:350.21(M−1)。
【0279】
実施例27
[(6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)5−ブロモ−2−ジメチルチオカルバモイルオキシ−安息香酸メチルエステル
室温のDMF中の、5−ブロモ−2−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル(29.8g,129mmol)と塩化ジメチルチオカルバモイル(17.54g,142mmol)との混合物に、DABCO(21.7g,193.5mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で一晩撹拌した後、水(1.25L)で希釈し、1N HClを用いてpH約4に酸性化した。沈殿物を回収し、水ですすぎ、真空中で乾燥することにより、粗5−ブロモ−2−ジメチルチオカルバモイルオキシ−安息香酸メチルエステルをオフホワイトの固体として91%の収率で得た。その生成物を、精製することなく、その後の反応に直接使用した。
【0280】
b)5−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸メチルエステル
固体の5−ブロモ−2−ジメチルチオカルバモイルオキシ−安息香酸メチルエステル(10g,31.4mmol)をブロモベンゼン(60mL)に懸濁し、密閉された容器内で一晩、195℃に加熱した。その反応物を冷却し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン類中の10〜20%EtOAcで溶出)で精製することにより、5−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸メチルエステルを69%の収率で得た。H NMR(200MHz,CDCl): δ ppm=8.00(s,1H),7.6(d,1H),7.56(d,1H),3.88(3,3H),3.096(br s,3H),3.027(br s,3H)。
【0281】
c)5−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸
(1/1/1)THF/MeOH/HO中の、5−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸メチルエステル(10.0g,31.42mmol)および水酸化リチウム水和物(1.98g,47.14mmol)との混合物(総体積70mL)を室温で4時間撹拌した。その反応混合物を濃縮することにより、ほとんどの有機溶媒を除去した。その残渣を水(500mL)で希釈し、EtOAc(100mL)で抽出した(そのEtOAcは廃棄する)。水層を、1N HClを用いてpH3〜4に酸性化し、EtOAcで抽出した(2×400mL)。併せた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、粗5−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸を得て、それをさらに精製することなく、直接使用した。
【0282】
d)2−(5−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−ベンゾイル)−マロン酸ジメチルエステル
0℃のTHF(80mL)中の粗5−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸(5.4g,17.75mmol)の混合物に、DCC(3.66g,17.75mmol)を加えた後、HOBT(2.4g,17.75mmol)を加えた。その反応混合物を0℃で3時間撹拌し、濾過することにより、溶液1を得た。別のフラスコにおいて、NaH(鉱油中の60%分散物)(1.06g,26.62mmol)を冷THF(170mL,0℃)に加え、マロン酸ジメチル(2.46g,18.63mmol)をゆっくり加えた。ガスの発生が止むまで、その反応混合物を0℃で15分間撹拌した。この混合物に、溶液1を加えた。得られた混合物を0℃で5分間、次いで室温で2時間撹拌し、濃縮した。その残渣を水(400mL)で処理し、1N HClを用いてpH4〜5に酸性化し、EtOAcで抽出し(2×200mL)、併せた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(CHCl中の1%〜10%EtOAc)で精製することにより、2−(5−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−ベンゾイル)−マロン酸ジメチルエステルを得て(4.9g)、それをさらに精製することなく直接使用した。
【0283】
e)6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
0.5M NaOMe/MeOH溶液(94mL)中の2−(5−ブロモ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−ベンゾイル)−マロン酸ジメチルエステル(4.9g,11.71mmol)の混合物を6時間加熱還流した。一晩冷却した後、沈殿した固体を濾過によって回収し、MeOHですすいだ後、エーテルですすいだ。その固体を真空中で乾燥することにより、6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(1.9g)をナトリウム塩として得た。H NMR(200MHz,DMSO−d): δ(ppm)=8.164(s,1H),7.524(d,1H),7.23(d,1H),3.56(s,3H)。
【0284】
f)[(6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例3(d)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:355.8188,357.8660(M−1)。
【0285】
実施例28
2−(S)−[(6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸
実施例3(d)に類似の条件下でL−アラニンを用いて、2−[(6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸を調製した。MS ESI(−)m/e:369.86,371.9(M−1)。
【0286】
実施例29
{[7−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)7−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
7−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸を用いて7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルから調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=8.47(d,1H),8.03(s,2H),7.937(s,1H),7.66−7.56(m,2H),4.03(s,3H)。
【0287】
b){[7−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、{[7−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸(acetic)を調製した。MS ESI(−)m/e:489.9126(M−1)。
【0288】
実施例30
{[7−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)7−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
7−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で3−フルオロ−フェニルボロン酸を用いて7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルから調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=8.41(d,1H),7.625−7.114(m,6H),4.02(s,3H)。
【0289】
b){[7−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、7−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:371.922(M−1)。
【0290】
実施例31
2−(S)−{[7−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸
実施例3(d)に類似の条件下でL−アラニンを用いて、2−{[7−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸を調製した。MS ESI(+)m/e:388.0266(M+1)。
【0291】
実施例32
{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で2−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸を用いて7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例5e)から調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=8.376(d,1H),7.783−7.295(m,6H),4.024(s,3H)。
【0292】
b){[4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:421.930(M−1)。
【0293】
実施例33
{[6−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)6−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
6−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸を用いて6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(実施例27e)から調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=8.572(s,1H),8.037(s,2H),7.908(s,1H),7.820(d,1H),7.510(d,1H),4.04(s,3H)。
【0294】
b){[6−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、{[6−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:489.8597(M−1)。
【0295】
実施例34
{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で2−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸を用いて6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルから調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=8.572(s,1H),7.838−7.676(m,4H),7.487−7.354(m,2H),4.028(s,3H)。
【0296】
b){[4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:421.9431(M−1)。
【0297】
実施例35
{[4−ヒドロキシ−6−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)4−ヒドロキシ−6−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−6−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で4−メトキシ−フェニルボロン酸を用いて6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルから調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=8.521(s,1H),7.803−7.352(m,5H),7.001(s,1H),4.022(s,3H),3.864(s,3H)。
【0298】
b){[4−ヒドロキシ−6−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、{[4−ヒドロキシ−6−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:383.9676(M−1)。
【0299】
実施例36
{[6−(2−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)6−(2−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
6−(2−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で2−クロロ−フェニルボロン酸を用いて6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルから調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=8.412(s,1H),7.697(d,1H),7.490−7.305(m,5H),4.018(s,3H)。
【0300】
b){[6−(2−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、{[6−(2−クロロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:387.9629,389.8753(M−1)。
【0301】
実施例37
{[6−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)6−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
6−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で3−フルオロ−フェニルボロン酸を用いて6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルから調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=8.549(s,1H),7.814−7.664(m,2H),7.463−7.249(m,3H),7.132−7.042(m,1H),4.028(s,3H)。
【0302】
b){[6−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、{[6−(3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:371.9625(M−1)。
【0303】
実施例38
{[6−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)6−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
6−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で4−フルオロ−フェニルボロン酸を用いて6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルから調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=8.515(s,1H),7.765(d,1H),7.586(m,2H),7.427(d,1H),7.381−7.120(m,2H),4.026(s,3H)。
【0304】
b){[6−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、{[6−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:371.9871(M−1)。
【0305】
実施例39
{[4−ヒドロキシ−6−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)4−ヒドロキシ−6−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−6−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で2−メトキシ−フェニルボロン酸を用いて6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルから調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=8.481(s,1H),7.803(d,1H),7.627−7.789(m,1H),7.42−6.92(m,4H),4.022(s,3H),3.82(s,3H)。
【0306】
b){[4−ヒドロキシ−6−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、{[4−ヒドロキシ−6−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:383.9901(M−1)。
【0307】
実施例40
{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)4−ヒドロキシ−6−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−6−(2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下で4−トリフルオロメトキシ−フェニルボロン酸を用いて6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルから調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=8.534(s,1H),7.782(d,1H),7.639(d,2H),7.444(d,1H),7.320(d,2H), 4.026(s,3H)。
【0308】
b){[4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、{[4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:437.9177(M−1)。
【0309】
実施例41
[(6−ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)6−ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
6−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチル(100mg,0.317mmol)、ベンズアミド(46mg,0.381mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(9mg,0.016mmol)、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(18mg,0.032mmol)および炭酸セシウム(206mg,0.634mmol)を、攪拌子を備えた、オーブン乾燥させたフラスコに一緒に加えた。無水1,4−ジオキサン(3mL)を注射器によって加え、その反応物を還流させた。一晩還流した後、その反応物を外界温度に冷却し、酢酸エチル(15mL)とブライン(15mL)とに分離させた。その二相性の混合物を真空濾過し、単離された固体を一晩乾燥することにより、表題化合物を得た(140mg)。MS ESI(−)m/e:353.9770(M−1)。
【0310】
b)[(6−ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、[(6−ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:396.9744(M−1)。
【0311】
実施例42
[(8−ベンジル−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(8−ブロモ−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル(22(d))(500mg,1.2mmol)をTHF−水(4:1;総体積20mL)に溶解した。その溶液に、ベンジルトリフルオロホウ酸カリウム(285mg,1.2mmol)、炭酸セシウム(1.2g,3.6mmol)およびビス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(II)二塩化物(168mg,0.24mmol)を加えた。その混合物を6時間加熱還流し、冷却し、濃縮した。その残渣を熱メタノール(20mL)で倍散し、濾過することにより、表題化合物を得た(395mg)。MS ESI(−)m/e:402.355,403.783(M−1)。
【0312】
実施例43
{[8−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
[(8−ブロモ−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル(22(d))(500mg,1.2mmol)をDME−炭酸ナトリウム水溶液(2M)(7mL:1.5mL)に溶解した。その溶液に、3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸(372mg,1.44mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(0)(275mg,0.24mmol)を加えた。その混合物を6時間加熱還流し、冷却し、濃縮した。その残渣を熱メタノール(20mL)で倍散し、濾過することにより、表題化合物を得た(470mg)。MS ESI(−)m/e:524.114,526.018(M−1)。
【0313】
実施例44
[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル
[(8−ブロモ−6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル(22(d))(500mg,1.2mmol)を無水DMF(5mL)に溶解した。その溶液に、トリブチル−フェニル−スタンナン(467μL,1.43mmol)、ビス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(II)二塩化物(100mg,0.12mmol)および4Aモレキュラーシーブを加えた。その反応物を密閉し、その溶液を45分間、120℃に加熱した。その反応物を冷却し、酢酸エチル(25mL)および水(25mL)で希釈した。有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、残渣を真空中で濃縮した。その残渣をシリカで濾過することにより、表題化合物を得て(418mg)、それをさらに精製することなく直接使用した。
【0314】
b)[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル(200mg,0.479mmol)をTHF−メタノール(1:1;総体積13mL)に溶解した。水酸化ナトリウム(1.5mmol,1.5mL;1M)を加え、その溶液を外界温度で一晩撹拌した。その反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を水(10mL)に溶解した。粗生成物を、1N HCl(3mL)を用いて沈殿させ、濾過により単離し、ヘキサン類で倍散することにより、表題化合物を得た(177mg)。MS ESI(+)m/e:390.118,392.226(M+1)。
【0315】
実施例45
{[6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a){[6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸エチルエステル
実施例44(a)に類似の条件下で1−メチル−5−トリブチルスタンナニル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾールを用いて、{[6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸エチルエステルを調製した。MS ESI(−)m/e:488.151,490.171(M−1)。
【0316】
b)[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
{[6−クロロ−4−ヒドロキシ−8−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を実施例44(b)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:460.278,462.113(M−1)。
【0317】
実施例46
[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル
実施例44(a)に類似の条件下で3−トリブチルスタンナニル−ピリジンを用いて、[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステルを調製した。
【0318】
b)[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例44(b)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:389.167,391.342(M−1)。
【0319】
実施例47
[(8−ベンジル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ベンジル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸(実施例42a)(70mg,0.173mmol)を水酸化ナトリウム水溶液(870μL、8mLの水における1M)に溶解し、10%炭素担持パラジウム(7mg)を加えた。その反応物を真空パージし、水素ガスの雰囲気下に置き、外界温度で一晩撹拌した。完了したら、その反応物をCelite(登録商標)パッドで濾過することにより、パラジウム触媒を除去した。その生成物を、1N HClを用いて沈殿させ、濾過によって単離し、乾燥することにより、表題化合物を得た(30mg)。MS ESI(−)m/e:368.093(M−1)。
【0320】
実施例48
{[8−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
{[8−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を実施例47(a)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:490.013(M−1)。
【0321】
実施例49
{[4−ヒドロキシ−8−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
{[4−ヒドロキシ−8−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を実施例47(a)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:426.025(M−1)。
【0322】
実施例50
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ピリジン−3−イル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例47(a)に類似の条件下で調製した。MS ESI(+)m/e:357.003(M+1)。
【0323】
実施例51
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例47(a)に類似の条件下で調製した。MS ESI(+)m/e:356.0427(M+1)。
【0324】
実施例52
[(5−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)ジメチル−チオカルバミン酸O−(2−アセチル−3−フルオロ−フェニル)エステル
1−(2−フルオロ−6−ヒドロキシ−フェニル)−エタノン(2.5g,16.22mmol)(Apollo Scientificから入手可能)を無水DMF(20mL)に溶解した。塩化ジメチルチオカルバモイル(2.2g,17.84mmol)およびDABCO(2.0g,17.84mmol)を順次、一度に加えた。その反応物を外界温度で一晩撹拌した。その反応物を、1N HCl−氷の混合物に注ぎ込むことによって、クエンチした。油性残渣をジクロロメタンで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。粗残渣をSGC(ヘキサン類中の20%酢酸エチル)で精製することにより、表題化合物を得た(2.93g)。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.407(dd,1H),7.026(t,1H),6.876(d,1H),3.404(s,3H),3.341(sd,3H), 2.58(d,3H)。
【0325】
b)ジメチル−チオカルバミン酸S−(2−アセチル−3−フルオロ−フェニル)エステル
ジメチル−チオカルバミン酸O−(2−アセチル−3−フルオロ−フェニル)エステル(2.75g,11.4mmol)を酢酸エチル(3mL)に溶解し、CEMマイクロ波容器に入れた。その容器を、CEM Discovery Microwaveを用いて8時間にわたって170℃に加熱した。冷却した後、その粗材料を直接精製することにより(SGC;ヘキサン類中の5%酢酸エチル)表題化合物を得た(2.1g)。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.422−7.313(m,2H),7.233−7.094(m,1H),3.115−3.014(br d,6H),2.573(d,3H)。
【0326】
c)5−フルオロ−4−ヒドロキシ−チオクロメン−2−オン
ジメチル−チオカルバミン酸S−(2−アセチル−3−フルオロ−フェニル)エステル(2.1g,8.7mmol)を無水THF(25mL)に溶解した。この溶液を、高速で撹拌しているカリウムtert−ブトキシド溶液(22mL,1M,22mmol)にカニューレを介してゆっくり加えた。完全に加えたら、その反応物を外界温度で一晩撹拌した。その反応物を真空中で濃縮し、残渣を水に溶解し、等体積の5:1ヘキサン類(heaxanes):酢酸エチルで3回抽出した。有機部分を廃棄し、水相を1N HClで酸性化することにより、生成物が沈殿した。その生成物を濾過によって単離し、乾燥することにより、表題化合物を得た(1.59g)。H NMR(200MHz,DMSO−d): δ(ppm)=12.192(br s,1H),7.651−7.546(m,1H),7.421(d,1H),6.036(s,1H)。
【0327】
d)[(5−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル
5−フルオロ−4−ヒドロキシ−チオクロメン−2−オン(500mg,2.55mmol)を、CEMマイクロ波容器に入れ、無水DCM(5mL)に懸濁した。トリエチルアミン(710μL,5.1mmol)およびイソシアナト−酢酸エチルエステル(572μL,5.1mmol)を一度に加え、その反応物をCEM Discovery Microwaveシステムにおいて120℃に加熱した。3時間後、その反応物を冷却し、10体積のジクロロメタンで希釈し、等体積の1N HClで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥することにより、表題化合物を得て、それをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0328】
e)[(5−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(5−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を44(b)と類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:296.0255(M−1)。
【0329】
実施例53
[(7−シクロプロピル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)7−シクロプロピル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
7−シクロプロピル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例7(a)に類似の条件下でシクロプロピルボロン酸を用いて、7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルから調製した。その粗材料を精製することなく次の工程で使用した。
【0330】
b)[(7−シクロプロピル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、[(7−シクロプロピル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:317.9775(M−1)。
【0331】
実施例54
{[4−ヒドロキシ−7−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
a)4−ヒドロキシ−7−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−7−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例44(a)に類似の条件下で1−メチル−5−トリブチルスタンナニル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾールを用いて、7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルから調製した。その粗材料を精製することなく次の工程で使用した。
【0332】
b){[4−ヒドロキシ−7−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸
実施例3(d)に類似の条件下でグリシンを用いて、{[4−ヒドロキシ−7−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:426.0042(M−1)。
【0333】
実施例55
2−(S)−{[4−ヒドロキシ−7−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸
実施例3(d)に類似の条件下でL−アラニンを用いて、2−{[4−ヒドロキシ−7−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸を調製した。MS ESI(−)m/e:440.0124(M−1)。
【0334】
実施例56
[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニルエチニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニルエチニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル
実施例44(a)に類似の条件下でトリブチル−フェニルエチニル−スタンナンを用いて、[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニルエチニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステルを調製した。その粗材料を精製することなく次の工程で使用した。
【0335】
b)[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニルエチニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニルエチニル−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を実施例44(b)に類似の条件下で調製した。MS ESI(−)m/e:411.9288,413.8327(M−1)。
【0336】
実施例57
2−(S)−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸
2−メトキシエタノール(14mL)中の、4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル化合物3(c)(103mg,0.44mmol)と、L−アラニン(583mg,6.55mmol)と、NaOMe(285mg,5.28mmol)との混合物を6時間還流し、濃縮した。残渣を水(100mL)に溶解し、1N HCl溶液でpH=3〜4に酸性化した。沈殿物を回収し、水ですすいだ。それを真空中で乾燥し、次いでMeOH(10mL)に倍散した。固体を回収し、真空中で乾燥することにより、表題化合物を得た(57mg)。MS ESI(−)m/e:291.12(M−1)。
【0337】
実施例58
[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)6−クロロ−2,2−ジメチル−ベンゾ[d][1,3]オキサチイン−4−オン
CHCl中の、5−クロロ−2−メルカプト−安息香酸(2.5g,13.25mmol)(Biogene Organicsから商業的に入手可能)と、アセトン(7.9g,136mmol)と、(+/−)カンファースルホン酸(1.54g,6.63mmol)と、4Aモレキュラー(moleculare)シーブ(1.5g)との混合物を、3日間にわたって加熱還流(heated to refulx)した。反応混合物をCHCl(100mL)で希釈し、次いで飽和NaHCO水溶液で洗浄した(2×50mL)。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗残渣をシリカゲルパッドに通し、CHClで溶出した。濾液を濃縮することにより、表題化合物を得た(769mg)。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=8.15(d,J=2.4Hz,1H),7.44(dd,J=8.3,2.0Hz,1H),7.21(d,J=8.3Hz,1H),1.83(s,6H)。
【0338】
b)6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
0℃のDMF(16mL)中の、上記化合物(750mg,3.25mmol)とマロン酸ジメチル(1.07g,8.13mmol)との冷混合物に、NaH(390mg,9.75mmol)(鉱油中の60%分散物(disopersed))を加えた。生じた混合物を0℃で5分間撹拌し、次いで、120℃の油浴内で一晩撹拌した。それを水(160mL)でクエンチし、1N HCl溶液を用いてpH=3〜4に酸性化した。沈殿物を回収し、水ですすいだ。真空中で乾燥した後、粗固体を熱MeOH(40mL)に倍散した。冷却した後、固体を回収し、乾燥することにより、表題化合物を得た(350mg)。MS ESI(−)m/e:268.98(M−1)。
【0339】
c)[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
2−メトキシエタノール(5mL)中の、上記エステル(eater)(120mg,0.44mmol)とグリシンナトリウム(213mg,2.2mmol)との混合物を150℃で35分間マイクロ波に供した。反応混合物を濃縮し、水(60mL)に溶解した。不溶性の固体を濾過して除去した。水性の濾液を、1N HCl溶液を用いて酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、表題化合物を得た(129mg)。MS ESI(−)m/e:311.92(M−1)。
【0340】
実施例59
2−(S)−[(6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸
2−メトキシエタノール(5.2mL)中の、6−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(化合物58(b))(100mg,0.37mmol)と、L−アラニン(165mg,1.85mmol)と、NaOMe(80mg,1.48mmol)との混合物を150℃で2時間マイクロ波に供し、濃縮した。残渣を水(60mL)に溶解した。不溶性の固体を濾過して除去した。水性の濾液を、1N HCl溶液を用いてpH=3〜4に酸性化した。沈殿物を回収し、乾燥した。次いで、それをMeOH(2mL)で倍散した。固体を回収し、真空中で乾燥することにより、表題化合物を得た(50mg)。MS ESI(−)m/e:325.93(M−1)。
【0341】
実施例60
[(7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)4−クロロ−2−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル
MeOH(210mL)中の4−クロロサリチル酸(16g,92.6mmol)の混合物に、濃HCl溶液(5mL)を加えた。生じた溶液を23時間還流した。冷却した後、固体のNaHCOを加えることにより、その混合物を中和し、次いで、濃縮した。スラリーをEtOAcに懸濁し、シリカゲルプラグで濾過し、EtOAcで洗浄した。その濾液を1/4飽和NaHCO溶液(2×)、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、表題化合物を得た(17.2g)。MS ESI(−)m/e:185.0(M−1)。
【0342】
b)4−クロロ−2−ジメチルチオカルバモイルオキシ−安息香酸メチルエステル
DMF(40mL)中の上記のエステル(6.48g,34.7mmol)の混合物に、DABCO(11.6g,104mmol)および塩化ジメチルチオカルバモイル(4.5g,36.5mmol)を加えた。生じた混合物をrtで20時間撹拌し、EtOAc/1N HCl水溶液に注ぎ込んだ。有機相を1N HCl溶液、飽和NaHCO溶液およびブラインで洗浄した。それを濾過し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、表題化合物(8.86g)を淡黄色固体として得た。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.93(d,J=8.2Hz,1H),7.28(dd,J=8.5,2.2Hz,1H),7.13(d,J=2.0Hz,1H). 3.83(s,3H),3.46(s,3H),3.38(s,3H)。
【0343】
c)4−クロロ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸メチルエステル
上記のそのままの(neat)エステル(8g)を砂浴内において3.5時間、ゆっくりと220℃に加熱した。冷却した後、その混合物をシリカゲルクロマトグラフィ(10%〜50%EtOAc/ヘキサン類で溶出)に供することにより、表題化合物7.14gを白色固体として得た。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.84(d,J=8.5Hz,1H),7.62(d,J=2.0Hz,1H),7.38(dd,J=8.5,2.0Hz,1H). 3.88(s,3H),3.09(br d,6H)。
【0344】
d)4−クロロ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸
上記のエステル(5g,18.3mmol)をTHF(30mL)に溶解し、氷浴内で冷却した。次いで、1N NaOH水溶液をゆっくり加え、その混合物をrtで24時間撹拌した。それを水で希釈し、1N HClで酸性化し、EtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、表題化合物(4.74g)を白色固体として得た。MS ESI(+)m/e:259.99(M+1)。
【0345】
e)2−(4−クロロ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−ベンゾイル)−マロン酸ジメチルエステル
上記カルボン酸から、実施例5(d)に類似の条件下で2−(4−クロロ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−ベンゾイル)−マロン酸ジメチルエステルを調製した。MS ESI(+)m/e:375.96,374.00(M+1)。
【0346】
f)7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
上記エステルから、実施例5(e)に類似の条件下で7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを調製した。MS ESI(+)m/e:272.92,270.95(M+1)。
【0347】
g)[(7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
上記エステルから、実施例3(d)に類似の条件下で[(7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:313.92,311.92(M−1)。
【0348】
実施例61
2−(S)−[(7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸
2−メトキシエタノール(5mL)中の、7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(化合物60(f))(125mg,0.46mmol)と、L−アラニン(494mg,5.55mmol)と、NaOMe(249mg,4.62mmol)との混合物を115℃の砂浴内で24時間加熱した。1N HCl水溶液を加えることにより、生成物が沈殿した。固体を回収し、水ですすいだ。それを真空中で乾燥し、次いでMeOHで倍散することにより、表題化合物を得た(102mg)。MS ESI(−)m/e:327.96,325.97(M−1)。
【0349】
実施例62
[(6−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)6−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキシン−4−オン
10mLの無水トリフルオロ酢酸および4mLのアセトンを、16mLのトリフルオロ酢酸中の2,5−ジヒドロキシ安息香酸(Aldrichから入手可能)(2g,13mmol)のスラリーに加えた。その混合物を55℃で23時間撹拌し、次いで窒素雰囲気下、85℃で2.5時間撹拌した。その反応混合物を真空下で濃縮し、溶解し、トルエンから2回、再度濃縮し、真空下で乾燥した。その粗固体を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で2回およびブラインで1回洗浄した。有機画分を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン類中の5〜50%の勾配の酢酸エチルを用いてシリカゲルから溶出する)で精製することにより、表題生成物を黄色固体0.47gとして得た。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.43(d,J=2.8Hz,1H),7.08(dd,J=9.0,3.1Hz,1H),6.85(d,J=9.0Hz,1H),5.45(s,1H),1.71(s,6H)。
【0350】
b)6−ベンジルオキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキシン−4−オン
DMF(210mL)中の、上記化合物(20.3g,105mmol)と、臭化ベンジル(16.2mL,136mmol)と、CsCO(44.2g,136mmol)との混合物をrtで20時間撹拌した。その反応混合物の体積を、高真空蒸発において約150mLに減少させ、次いでEtOAc/ヘキサン類混合物で希釈した。固体を濾過して除去し、濾液を高真空下で濃縮した。粗残渣をシリカゲルパッドに通し、(1/1)EtOAc/ヘキサン類で溶出することにより、表題化合物を得た(37.4g)。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.48−6.85(m,8H),5.04(s,2H),1.71(s,6H)。
【0351】
c)5−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル
NaOMe固体(5.67g,105mmol)を一度に、(1/1)MeOH/THF(420mL)中の上記化合物の混合物(34g,105mmol)に加えた。その反応(raction)混合物をrtで1時間撹拌し、その体積を1/3に濃縮した。次いで、それを1N HClとEtOAcとに分離した。有機相を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(10%〜40%EtOAc/ヘキサン類で溶出)で精製することにより、表題化合物(15g)を淡黄色固体として得た。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=10.36(s,1H),7.41−7.10(m,7H),6.89(d,J=9.0Hz,1H),5.00(s,2H),3.94(s,3H)。
【0352】
d)5−ベンジルオキシ−2−ジメチルチオカルバモイルオキシ−安息香酸メチルエステル
上記エステルから、実施例60(b)に類似の条件下で5−ベンジルオキシ−2−ジメチルチオカルバモイルオキシ−安息香酸メチルエステルを調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.58(d,J=3.1Hz,1H),7.43−7.11(m,6H),7.02(d,J=8.6Hz,1H),5.06(s,2H),3.82(s,3H),3.46(s,3H),3.38(s,3H)。
【0353】
e)5−ベンジルオキシ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸メチルエステル
9.2gの上記エステルをマイクロ波反応に供し、その反応を一度に1g行った。1gの上記エステルをブロモベンゼン(4mL)に溶解し、マイクロ波反応器内において140分間、225℃で加熱した。併せた反応混合物を少量のEtOAcで希釈し、濾過することにより、固体を回収した。固体を少量のEtOAcで洗浄し、乾燥することにより、表題化合物を得た(4.75g)。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.49−7.30(m,7H),7.05(dd,J=8.6,2.8Hz,1H),5.08(s,2H),3.86(s,3H),3.05(br s,36H)。
【0354】
f)5−ベンジルオキシ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸
上記エステルから、実施例60(d)に類似の条件下で5−ベンジルオキシ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−安息香酸を調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.49−7.31(m,7H),7.02(dd,J=8.6,3.1Hz,1H),5.09(s,2H),3.18(s,3H),3.06(s,3H)。
【0355】
g)2−(5−ベンジルオキシ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−ベンゾイル)−マロン酸ジメチルエステル
上記カルボン酸から、実施例5(d)に類似の条件下で2−(5−ベンジルオキシ−2−ジメチルカルバモイルスルファニル−ベンゾイル)−マロン酸ジメチルエステルを調製した。MS ESI(−)m/e:444.05(M−1)。
【0356】
h)6−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
上記エステルから、実施例5(e)に類似の条件下で6−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを調製した。H NMR(200MHz,DMSO−d6): δ(ppm)=7.71(d,J=2.8Hz,1H),7.47−7.32(m,5 H),7.16(d,J=8.6Hz,1H),7.05(dd,J=8.6,2.8Hz,1H),5.11(s,2H),3.54(s,3H)。
【0357】
i)[(6−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
上記エステルから、実施例3(d)に類似の条件下で[(6−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:383.95(M−1)。
【0358】
実施例63
[(6−シクロヘキシルメトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)6−ベンジルオキシ−4−[2−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニル)−エトキシ]−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
THF(7mL)中の、6−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(化合物62(h),591mg,1.73mmol)と2−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニル)−エタノール(687mg,2.42mmol)(J.Org.Chem.2005,70(4),1467−1470に公開されている手順に従って調製したもの)との混合物に、トリフェニルホスフィン(634mg,2.42mmol)およびDIAD(489mg,2.42mmol)を加えた。生じた混合物をrtで3.5時間撹拌した。濃縮した後、粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(0〜75%EtOAc/ヘキサン類で溶出)で精製することにより、表題化合物を得た(697mg)。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.69−7.14(m,18H),5.83(s,2H),4.25−4.09(m,2H),3.49(s,3H),1.89−1.81(m,2H),1.08(s,9H)。
【0359】
b)4−(4,4−ジメチル−3,3−ジフェニル−ペンチルオキシ)−6−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
Pd/C(10%活性化,275mg)を、EtOAc/EtOH(7mL/5mL)中の上記エステル(690mg,1.13mmol)の混合物に加えた。その混合物を、高圧のHガス下(25〜30psi)、rtで一晩、Parr振盪機において水素化した。それをセライトパッドで濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(10〜60%EtOAc/ヘキサン類で溶出)で精製することにより、表題化合物を得た(208mg)。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.62−6.99(m,13H),4.77(s,1H),4.25(m,2H),3.57(s,3H),1.88(m,2H),1.07(s,9H)。
【0360】
c)6−シクロヘキシルメトキシ−4−(4,4−ジメチル−3,3−ジフェニル−ペンチルオキシ)−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
DMF(1mL)中の上記エステル(150mg,0.29mmol)の混合物に、臭化シクロヘキシルメチル(144mg,0.81mmol)およびCsCO(222mg,0.68mmol)を加えた。生じた混合物を50℃で一晩撹拌した。それをEtOAcで希釈し、次いで、水、ブラインで洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(0〜40%EtOAc/ヘキサン類で溶出)で精製することにより、表題化合物を得た(159mg)。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.59−7.08(m,13H),4.26−4.18(m,2H),3.81(d,J =7.8Hz,2H),3.54(s,3H),1.95−1.25(m,13H),1.08(s,9H)。
【0361】
d)6−シクロヘキシルメトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
THF(1mL)中の、上記エステル(155mg,0.25mmol)とTBAF(THF中1M,0.5mL,0.5mmol)との混合物をrtで8時間撹拌した。それをEtOAcと0.1N HCl水溶液との混合物に注ぎ込んだ。有機相を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗残渣をヘキサン類、次いでMeOHで倍散し、乾燥することにより、表題化合物を得た(56mg)。MS ESI(−)m/e:347.04(M−1)。
【0362】
e)[(6−シクロヘキシルメトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
上記エステルから、実施例3(d)に類似の条件下で[(6−シクロヘキシルメトキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:390.02(M−1)。
【0363】
実施例64
[(6−ヘキシルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
a)4−[2−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニル)−エトキシ]−6−ヘキシルオキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
4−[2−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニル)−エトキシ]−6−ヘキシルオキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを、実施例63(c)に類似の条件下で4−(4,4−ジメチル−3,3−ジフェニル−ペンチルオキシ)−6−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル(化合物63(b))および1−ヨード−ヘキサンから調製した。H NMR(200MHz,CDCl): δ(ppm)=7.59−7.07(m,13H),4.22(m,2H),3.97(t,J=6.4Hz,2H),3.54(s,3H),1.95−0.89(m,13H),1.08(s,9H)。
【0364】
b)6−ヘキシルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステル
上記エステルから、実施例63(d)に類似の条件下で6−ヘキシルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボン酸メチルエステルを調製した。MS ESI(−)m/e:335.06(M−1)。
【0365】
c)[(6−ヘキシルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸
上記エステルから、実施例3(d)に類似の条件下で[(6−ヘキシルオキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−チオクロメン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸を調製した。MS ESI(−)m/e:378.04(M−1)。