【文献】
Michael A. Tansey, et al.,EMG and EEG Biofeedback Training in the Treatment of a 10-Year-Old Hyperactive Boy with a Developmen,Biofeedback and Self-Regulation,1983年,Vol. 8, No. 1,p. 25-37,上記刊行物は、引き継がれて現在の刊行物名は、Applied psychophysiology and biofeedback
【文献】
Michael A. Tansey,EEG sensorimotor rhythm biofeedback training: some effects on the neurologic precursors of learning,International journal of psychophysiology,1984年 2月,Vol. 1, No. 2,p. 163-177
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
読字能力を改善するために読字不能である被験者を治療する装置の作動方法であって、該装置は、前記被験者が読字能力を改善するために発話または発声している間に、周波数変換された聴覚フィードバック(FAF)信号を前記被験者の少なくとも一方の外耳道内または該外耳道の近くにある前記装置から出力するものである、装置の作動方法。
前記FAF信号は、前記イヤセットまたは前記ヘッドセットから離れた場所にある装置内に少なくとも一部が内蔵された回路を用いて生成されたものである請求項3または4に記載の装置の作動方法。
読字能力を改善するために読字不能である被験者を治療する、マイクロホンを備えたイヤセットまたはヘッドセットを有する装置の作動方法であって、該マイクロホンは、被験者が発話または発声している間に、該被験者の発話または発声に関連する音声信号を受信するように構成されており、前記装置は、受信した前記音声信号を±2オクターブ間で変換して周波数変換された聴覚フィードバック(FAF)信号を生成し、前記被験者が読字能力の改善のために発話または発声している間に、該FAF信号を前記被験者の少なくとも一方の外耳道内または該外耳道の近くにある前記イヤセットまたは前記ヘッドセットに出力するものである、装置の作動方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の最良の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。しかしながら、本発明は多くの形態で実施が可能であり、ここに述べられる形態に限定されると解してはならない。正しくは、本明細書が周到で徹底したものとなり当業者に対して本発明の範囲が十分明らかになるように、これらの形態は提供されるものである。
【0027】
図面において、一部の外観、成分、層、および/または領域は明確にするため誇張して描かれていることがある。図面に関する記述の全体を通して、同一または類似の符号が同一または類似の要素に付される。また、層、領域、外観、または基板などの要素が別の要素の「上に」あると言うときは、それはその別の要素の上に直に接する場合がある、あるいはその別の要素の上に介在要素を挟んで間接的に上にある場合もある、と理解されたい。これとは対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あるというときは、介在要素は存在しない。
【0028】
本発明に関する以下の説明において、一部の構造の他の構造に対する位置関係を表すために特定の用語が採用される。ここで使用される用語「遠位(distal)」およびその派生語は外耳道から(頭の中心から)遠ざかる方向を指し、一方、用語「近位(proximal)」およびその派生語は頭の中心に向かって延びる外耳道の方向にある位置を指す。図面において、破線で示された外観または作業は、特に断りがない限り選択的なものである。
【0029】
概して言えば、本発明は、非吃音性の病状を有する被験者を治療して読字力および/または書字能力および/または綴り能力などを含むコミュニケーション能力を支援および/または改善する方法とシステムと装置に関する。用語「コミュニケーション能力」は、限定はされないが、書字(writing)、発話(speech)、読字(reading)を含む。用語「書字(writing)」は、印刷もしくは手書きで紙などの望ましい媒体に書き記したり、またはキーボード、マウス、タッチパネル、もしくは音声認識ソフトを使って電子入力して書くことによってコミュニケーション媒体(感知できる有形の表現媒体)に、思想、質疑応答もしくは意見を表現したり、および/または、書作品を創作または倣書するために、記号、文字および/または単語を組み立てることを意味するものとして広く使用される。用語「読字力(reading ability)」とは、読解力、読字認識力、および/または読字速度を意味する。
【0030】
図1を参照して説明すると、FAF信号は、(非吃音性の病状に苦しめられていない)正常な人と比べてコミュニケーション能力を損なっていると思われる非吃音性の病状(疾患、障害または健康状態)を有する被験者に、その被験者が発声または発話してるときに時間的に間近に与えられる(ブロック110)。用語「発声(talking)」および「発話(speaking)」は、ここでは同義的に使用され、他人と相互にまたは自分自身に、会話したり、話しかけたり、ささやいたり、歌ったり、叫んだりするなど、声による言葉表現を含む。病状または病態(pathology)は、読字障害を示すことがある(ブロック111)。
【0031】
ある特別な形態では、被験者が通常の速度と通常のレベル(音量)で実質的に通常の音声で声に出して読んでいる間にその被験者にFAF信号が与えられることがある。他の形態では、被験者が通常の音量からは小さくした音量の音声(ささやき、または、かすかに聞き取れる音量)で声に出して読んでいる間に被験者にFAF信号が与えられることがある。いずれにしても、被験者の言葉の出力が、一般の発声、発話、もしくはコミュニケーションに関係したものであろうと、または、このような発声もしくは発話が字をつづったり、読んだり(断続的または斉唱)、音声の文字を単語に変換すること、および/または筋の通った考え、単語もしくは文を首尾一貫した表現もしくは例えば原作者の書作品の単語または文の形成においては書作品に変換することに関連したものであっても、発話者の声または発話からの聴覚信号が(後述されるように小型化されることがある)装置によって検出できるほど言葉の出力は十分大きいことが必要である。
【0032】
本発明が提案する作業に基づく治療に適すると考えられる非吃音性の病状の例としては、限定はされないが、失読症(dyslexia)などの読字障害、注意力欠如障害(「ADD(attention deficit disorders)」)、注意欠陥過活動性障害(「ADHD(attention deficit hyperactivity disorders)」)などを含む学習障害(「LD(learning disabilities)」)、失語症(asphasis)、結合運動障害(dyspraxia)、構音障害(dysarthria)、自閉症(autism)、統合失調症(schizophrenia)、パーキンソン病(Parkinson's disease)および/またはアルツハイマー病(Alzheimer's disease)などの進行性退化性神経系疾患、および/または、脳梗塞(strokes)、心筋梗塞(cardiac infarctions)、外傷性障害(トラウマ)などに関連した脳障害もしくは脳損傷が挙げられる。一部の形態として、発達性動作性聴覚処理障害、発達性言語障害もしくは特定言語障害、または音韻処理障害を有する子供は、本発明の範囲内にあることが意図された方法および装置による治療に適している場合がある。
【0033】
本発明に係る治療は、読字不能または読字障害を含む学習障害と診断された個体に特に適すると考えられる。学習障害は、個体が年齢相応の期待されるレベルまたはIQを下回る能力しかないことを確認するよく知られた検査手段によって評価されることがある。例えば、読字障害は、個体が読字力に関して年齢相応の期待されるレベルを下回ることを確認する標準化された検査、限定されないが例えばスタンフォード式診断用読字検査(Stanford Diagnostic Reading Test)、によって診断されることがある。この検査については、Carlsonらの共著「Stanford Diagnostic Reading Test」(米国ニューヨーク州ハーコート・ブレース・ジャバノヴィッチ社(Harcourt Brace Javanovich)から1976年に出版)を参照されたい。読字障害は、同じような年齢の個体の平均的な能力と比較して確認されることもある。他の形態として、被験者自身における読字力の相対的低下が読字障害の存在を確認するために使用されることがある。
【0034】
再び
図1を参照して説明すると、治療される被験者としては標準診断検査に基づいて年齢的に期待される能力には劣るとされた非吃音性の学習障害を有する子供の場合がある。この子供は、未就学年齢および/または小学校年齢(グレードK−8)である場合がある(ブロック116)。他の形態として、治療される個体としては、十代の若者または高校生(ブロック117)、中年とまではいかない成人(大学生もしくは専門学校生)(ブロック118)、中年層の人(30−55歳)、または高齢者を含む中年過ぎの人(55歳より年齢が上の人、一般的には約62歳より高齢の人)(ブロック119)である場合がある。既に述べたように、治療される個体としては、診断検査によって読字障害と診断された場合があるか、または同じような年齢の個体の平均的な能力と比較して読字力が劣っている場合があるか、またはその個体のそれまでの能力または行動から機能障害の兆候が認められる場合がある。
【0035】
治療される被験者は、250Hzから8000Hzまでのオクターブ周波数に純音閾値を有しており、発話認識閾値が20dB HL以下であると一般的に定義された(アメリカ規格協会(American National Standards Institute)、1996年)ほぼ正常な聴覚力を有する場合がある。他の形態では、被験者は聴覚障害を有する場合がある。
【0036】
選択的ではあるが、
図2の破線でその外観が示されているように、装置10は耳装着部品10Eと協働して望ましい治療入力を提供する(一般的にポケットまたはベルトなどに固定できる形状と大きさを有する)無線携帯型遠隔部品10Rを含みうる。他の形態では、装置10は自給式の耳装着部品である。当業者には周知のように、無線システム構成としては、(耳に取り付けられる)耳装着部品10E、遠隔にある筐体10H内(および/または耳装着筐体内)に内蔵できるプロセッサ、このプロセッサが耳装着部品10Eと通信することを可能にする無線送信機とを含みうる。無線のヘッドセットおよび/またはイヤセットの例としては、米国カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego,CA)に所在するJabra Corporationから入手可能なJabra(登録商標)FreeSpeak 無線システムおよび他のハンズフリーモデルが挙げられる。小型イヤホンやイヤフックなどを採用するハンズフリー型の通信装置に関連する特許の例としては、米国意匠特許第469,081号明細書と、米国特許第5,812,659号明細書および米国特許第5,659,156号明細書に記述されており、これらの内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0037】
上記形態の代替として、装置10は自給式でユーザの耳に装着されることができる。無線式および自給式の形態の双方において、耳装着部品が小さくまたは小型化した構成になるように携帯型のコンパクトな装置として、装置10を構成することができる。以下の一部の形態の説明では、装置10は、FAF信号を与える特定の動作部品を有するものとして記述される。これらの部品は、耳に取り付けられる装置10E内に全て収納されるか、または、無線で動作する遠隔の装置10Rが使用される場合にはこのような遠隔装置内に一部の部品が収納されることがある。例えば、コントローラおよび/または一部の遅延聴覚フィードバック信号プロセッサ回路その他は、遠隔の筐体10R内に内臓することができる。
【0038】
更に他の形態として、一般的には、頭装着用または耳装着用の軽量部品(図示せず)を備えた有線式携帯型DAFフィードバックシステムが使用されることがある。
【0039】
一部の形態として
図2〜
図5に示されているように、FAF治療は、耳装着部品10Eを備えた最大限目障りにならない装置10によって実施される場合がある。このため、小さいまたは小型化した耳装着筐体を備えた携帯型のコンパクト装置として、装置10を構成することができる。
図2と
図3と
図5Aは、装置10および/または耳装着部品10EがITE(in-the-ear:耳穴形)装置として構成できることを示している。
図4Aおよび
図4Bは、装置10としてBTE(behind-the-ear:耳掛形)装置が含まれること示している。
図5B〜
図5Eは、耳装着筐体/装置の様々な適した構成を示している。
図5CはITC(in-the-canal:外耳道内挿入形)版、
図5BはITC構成の「HS(half-shell:外耳道内半挿入形)」版を示している。
図5DはMC(mini-canal:ミニ外耳道内挿入形)版、
図5EはCIC(completely-in-the-canal:外耳道完全挿入形)版を示している。CIC構成は外耳道内に大部分が隠れる最小の耳装着装置として説明できる。
【0040】
より詳細に後述されるが、一部の形態として非吃音性の病状または障害を治療するための治療装置10は、小さな一般的に小型化された筐体を含む。筐体は、その中に電源と、受信機、FAF回路、および送信機を含む信号プロセッサとを収納する。筐体は、直ぐ耳元に装着することができる形状および大きさを有しており、使用中は外部の遠隔部品への導線またはケーブルを必要としない。受信機またはトランスデューサなどの一部の部品は、外耳道からは離れた位置にあるが、一般的には、まだ外耳道の比較的直ぐそばに配置される。動作に関しておおまかに述べると、携帯型装置10は、患者からの入力音声信号を(例えば耳内または耳に隣接するマイクロホンを介して)その患者の直ぐ耳元で受信し、信号を処理し、信号を増幅し、そして処理済み信号をユーザの外耳道に送り込む。
【0041】
次に
図2を参照して説明すると、図に示されているように、ITE(耳穴形)装置10は、自給式で運転上使用される導線および/または遠隔装置を必要としない単一の一体化したユニットでありうるか、またはITE部品を含む無線装置10でありうる。装置10は、少なくとも一部分が外耳道32内に挿入可能な形状と大きさを有し、鼓膜34近くまで配置される筐体30を含む。全体を通じて右耳用モデルとして説明されるが、図面を鏡に映した鏡像は正反対の左耳用モデルに適用することができる。筐体30は、外字道32内に所定距離だけ挿入可能で外字道内にぴったりフィットする大きさおよび形状に構成された近位部を含みうる。筐体30の材料は、好ましくは、硬い材料、または重合体、共重合体、誘導体もしくはそれらの混合物などのセミフレキシブルな弾性材料から形成することができる。
【0042】
装置10は、全体を通じて片耳だけの単一ユニットとして示されていることにも注意されたい。しかし、一部の形態では、ユーザは、左右それぞれの耳(他方は図示せず)の中または上に1つずつの計2つの別個の装置10を採用することがある。この場合には、それら2つの装置は互いに連携するかまたは独立に機能する。無線通信モードで動作上の連絡を取り合うか、またはそれぞれの耳の中もしくはそれぞれの耳に隣接する2つの装置の間を繋ぐのに十分な長さをもつ薄くて軽量の最大限目障りにならないケーブルを使って、2つの耳装着部品が接続される場合がある。
【0043】
図2および
図3に示されているように、装置10の遠位部分は、受信機12、受信機入口(receiver inlet)13、付属点検窓(accessory access door)18、音量調整ツマミ15、小さな均圧通気口16を含みうる。説明全体を通じて、この装置は、一般的に音量調整ツマミの代わりに、広帯域圧縮(WDRC:wide dynamic range compression)回路などの自動圧縮回路を採用することがあることに注意されたい。動作に関して言えば、この回路は、入射信号を自動的にサンプルし、その入射信号の強度に応じて信号利得を大小のレベルに調整することができる。トランスデューサまたはマイクロホンなどの受信機12は、音波を最小限の障害で受信するために筐体30の外耳道36入口近くの部分に配置することができる。より一般的には、受信機12は、筐体30の遠位外面上または遠位外面に隣接するように配置される。そして、筐体30は、聴覚音波が受信機またはマイクロホンへと制約無く入射できるようにする穿孔13を任意選択的に含む。
【0044】
装置10は、
図2および
図3に扉部分18として示されているアクセサリ・アクセス・パネル(accessory access panel)も含む。扉部分18は、バッテリ交換またはエレクトロニクス修理などを可能にするために比較的容易に装置の内部空洞にアクセスできるようになっている。さらには、この扉部分18は、「オン」および「オフ」のスイッチとしての機能を果たすこともできる。例えば、装置10は扉18を開閉することでスイッチを入れたりスイッチを切ったりすることができる。また、装置10は、患者の手の届くところに配置した音量調整ツマミを含みうる。図示されているように装置10は(音量)調整をより容易にするため高く持ち上がった隆起部分15aを含みうる。
【0045】
装置10の近位側には、トランスミッタまたはスピーカ24を配置することができる。一般に、遅れのない信号が鼓膜に到達するのを防止または遮断するため耳甲介40を塞ぐように、筐体30を構成することができる。
図3に示されているように、筐体30の近位側は少なくとも2つの開口部25および26を含みうる。第1開口部は、筐体30の反対側(遠位側)の均圧通気口16まで空気が自由に流れるようにする通気口26である。つまり、通気口16および26は、外耳道内の気圧と大気圧とを釣り合わせるために使用することができる。通気口のサイズをより大きくする操作を可能にする更なる気圧調整手段を備えるように、遠位側の通気口16を構成することもできる。例えば、外部のより小さな開口を有する取り除き可能なプラグ16aを、通気口のより大きな開口に挿入することができるように構成することができる。これにより、このプラグを取り除くことによって「調整可能な(adjustable)」より大きな均圧通気口16が結果としてもたらされる。
【0046】
再び
図3を参照して説明すると、第2開口部25は、装置の近位側にある外耳道内に配置することができる。この開口部25は、FAF処理された信号を内耳道まで送ることができるサウンドボア(sound bore)である。処理済み信号を内耳まで自由に実質的に妨げられることなく送り込むことができるように、開口部25には中間的な被覆が存在しないことがある。代わりに、電子回路が生物的な汚染物質(biological contaminants)に不必要に晒されることから保護するために、薄い膜、薄い被膜、またはバッフル(baffle)(図示せず)がサウンドボア25全体に被覆されることがある。
【0047】
必要に応じて、筐体30を耳に取り付けるため、構造もしくは支えを付加するため、または、装置10に付随する例えば電源バッテリなどの部品を保持するために、筐体30は耳の外壁(図示せず)上にセミフレキシブルな拡張部を含みうる。適切な電圧の小型化されたバッテリなどの1以上の内蔵電源によって、動作電子回路に電力供給されることがある。
【0048】
図2および
図3の装置10の代替形態として、
図4Aおよび
図4Bに示されたBTE(耳掛形)装置について次に説明する。図示されているように、装置10は、標準的な補聴器形のシェル(shell)または筐体50とイヤフック55とイヤモールド65とを含む。イヤモールド65は、モールド管(mold tubing)60によってイヤフックにフレキブルに結合されている。モールド管60は、イヤフック58の一端部58を差し込める大きさを持つ。イヤフック55は、モールド管60よりは硬い材料から形成することができる。このようにして、イヤフック55の一端部58は、モールド管60の一端部に差し込まれ、部品を一緒に取り付けることができるようになっている。イヤフック55のもう一方の端部54は、筐体50に取り付けられる。イヤフックの端部54は、筐体50の最上部または上の部分に差し込むことができるようになっている。
【0049】
図4Aおよび
図4Bに示されているように、イヤモールド65は、右耳用であるが、左耳用にも容易に構成することができる。イヤモールド65は、耳にしっかりフィットして耳の中に部分的に延びて装置10を耳に構造的に固定するような大きさおよび形状に構成される。モールド管60の近位端60aは、イヤモールド65内をほとんど貫通するが、より一般的には、イヤモールド65の近位側面よりわずかに奥まったところで終止するか、またはイヤモールド65の近位側面まで達する。モールド管60は、信号を導き、送信信号のイヤモールド内の信号路に沿った劣化を最小化する。
【0050】
図4Aおよび
図4Bを参照して説明すると、イヤモールド65の近位側にはモールド管60と連通するサウンドボア66を設けることができる。動作については、信号は、筐体50内で処理され、イヤフック54とモールド管60を経由してイヤモールド65内に送信され、サウンドボア66を経由して外耳道に送られる。患者の発話によって生じた聴覚信号を受信するために、筐体50内に開口部を設けることができる。
図4Aに示されるように、この開口部は、筐体上に配置されたマイクロホン53などの受信機の開口部と連通している。受信機またはマイクロホン53は、信号を妨げなく自由に拾うことができるように装着者に対して上前部に筐体50の最上部から突出するように位置付けることができる。
【0051】
金襟(gold collar)または適切な金属メッキおよび/または生体適合性被膜などの耐食性材料を、露出した部品を覆ってその部品を周囲の汚染物から保護するために含みうる。マイクロホンの開口部53aに信号が妨げられることなくまたは自由に入力されるよう障害物が存在しないように、マイクロホンの開口部53aを構成することができる。
【0052】
さらに、筐体50は、様々な他の外部からアクセス可能なコントロールインタフェース(図示せず)を採用することができる。例えば、筐体51の上前部には、音量調整ツマミおよび/またはWDRCなどの圧縮回路や、オンオフスイッチや、バッテリドアなどを設けることができる。また、ドアから内部の音質調整と様々な出力調整も行うようにすることができる。任意選択的に、BTE(耳掛形)装置は、長期使用や電力供給期間の延長に備えてバッテリ携帯パックまたは内部電源交換用パックなどの外部の周辺機器と繋ぐための外部ポート(図示せず)を含みうる。さらに、装置10は、外源を介して呼出またはプログラミングを行うことができるように構成されており、そのためのケーブル布線とアダプタ差し込み式ポートを含みうる。例えば、以下に詳細に説明されるように、動作を周期的に評価するために、または外部の評価機関もしくは臨床医に繋ぐために、外部に配置された信号処理回路に取り外し可能に装置10を取り付けることができる。
【0053】
外部パックおよび/または遠隔筐体10Rは、使用時には筐体(図示せず)に接続され、軽量で携帯可能なものとして構成され、好ましくは、ユーザに身体のどこかに支持される形で装着されるか、またはユーザが身につけている衣服やアクセサリなどに装着されることがある。他の形態では、遠隔筐体または遠隔パックは、用途および望ましい作業に応じて固定されることがある。
【0054】
イヤモールド65が適切な位置にあるとき、BTE装置10はイヤフック55が耳介螺旋の前面にくるように配置されるが、このとき筐体50の本体は、頭との付け根に隣接した耳介中央にちょうどくるようになっている。一般的に、筐体50は、耳のカーブに沿うように細長く凸状に構成される。耳装着筐体50のサイズは、変化可能だが、筐体の最上部から最下部まで計測したときに好ましくは約2.54cm(1インチ)から6.35cm(2.5インチ)までの長さである。イヤフック55は、一般に成人では約1.91cm(0.75インチ)から約2.54cm(1インチ)まで、子供では約0.89cm(0.35インチ)から約1.27cm(0.5インチ)までのサイズを有し、その長さはフックが半径方向に曲がった形状または「フック」形状で測定される。
【0055】
一部の形態において、受信機53(すなわちマイクロホンまたはトランスデューサ)は、外耳道(external acoustic meatus)から約1cm〜7cmの範囲内のところに位置付けられる。トランスデューサは、外耳道から4cm内、好ましくは約2.5cm内に位置付けられることが好ましい。また、図示されている実施形態は、装置が便利で有利に耳に隣接して使用および/または耳内で使用することができるように最大限目障りにならない形で、電源および動作回路を内蔵する単一の一体化した筐体ユニットであることに注意する。
【0056】
次に
図5A〜
図5Eを参照して説明すると、特別な形態として、装置10は、耳甲介内および/または外耳道内に全体が納まるITE(耳穴形)(すなわちフルシェル、ハーフシェル、ITC(外耳道内挿入形)、MC(ミニ外耳道挿入形)、またはCIC(外耳道内完全挿入形)装置)装置10を含みうる。他の形態として、
図4Aに示されているように、装置10は、既に述べたように耳の外壁全体に沿って部分的に付着させて耳のらせん状になった通常の拡張部を超えた突出部分が最小になるようにしたBTE(耳掛形)装置として構成することができる。
【0057】
外耳道内にフィットするまたは全体的に耳によって支持されるのに十分な小ささを持つ筐体を備えた聴力を高めるための補聴器はよく知られている。例えば、Clark氏に帰属する米国特許第5,133,016号明細書には、耳と外耳道の内側にフィットし、マイクロホン、増幅回路、スピーカ、および電源を内蔵した筐体を有する補聴器が開示されている。同様に、Vries氏らに帰属する米国特許第4,727,582号明細書には、マイクロホン、増幅回路、スピーカ、および電源を内蔵しており耳と外耳道の内部に部分的に含まれて耳の後ろ側にも密着して掛けられる筐体を備えた補聴器が開示されている。これらの2つの米国特許明細書の内容全体は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。また、吃音を改善するために使用される装置についての更なる説明は、米国特許第5,961,443号明細書を参照されたい。この米国特許明細書の内容全体も引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0058】
一部の形態として、FAF(周波数変換されたフィードバック)信号は、一般的には患者を診ている臨床医または医師によって、ユーザのニーズに合わせてカスタマイズすることができ、しかも1月毎、3ヶ月毎、1年毎という望みの間隔で調整することができるプログラム可能で選択可能な動作パラメータを提供するデジタル信号処理技術によって提供される。患者に対するフィッティングは、FAFの+/−シフト(1段階の増分は一般的に500Hz〜200Hzの範囲内にある)、線形利得制御(1段階の増分は約5dB)、独立なまたは独立可調な「n」帯域利得制御(nは2〜20帯域の間にあって、それぞれの中央周波数は利得制御を20dBに設定したときに250〜7000Hzの範囲内にありうる)などのプログラム可能で選択可能および/または可調な動作パラメータで実行される。
【0059】
さらに、特別な形態として、FAF(frequency altered feedback:周波数変換されたフィードバック)とDAF(delayed auditory feedback:遅延聴覚フィードバック)との両方を選択的に与えるように、装置10を構成することができる。この場合には、装置は、一般的には、約0〜128msの範囲内にある可調な選択可能遅延時間と、プログラム可能なインタフェースと、内部動作回路および/または信号プロセッサを備える。信号プロセッサは、マイクロプロセッサまたはナノプロセッサの少なくともいずれか1つでよく、装置の可調および/または選択可能な動作設定が望ましいフィードバックモードで機能するように構成することができる。吃音を改善するために使用されるコンパクトな装置についての更なる説明は、Stuartら等の共著「Selfcontained In-The Ear Device to Deliver Altered Auditory Feedback」、Annals of Biomedical Engr. 2003年発行、第31巻、233−237頁を参照されたい。この論文の内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0060】
FAF周波数のシフトまたは調整は、任意の望ましいシフトが可能だが、一般的にはユーザの検出された聴覚発話信号の周波数から約+/−2オクターブの範囲内にある。一部の形態として、周波数は少なくとも約+/−1/8オクターブに調整されるが、一般的には、周波数は検出された聴覚信号から少なくとも約+/−1/4オクターブに調整することができる。ある特別な形態では、少なくとも約+/−1/2オクターブの周波数シフトを与えるように周波数変換されたフィードバック信号を調整することができ、それに対し他の形態では、周波数シフトは約+/−3/4オクターブにある。他のシフトまたはその倍数、および/または異なる増分のオクターブシフトが採用される場合がある。
【0061】
周波数シフトは、Hz(ヘルツ)で測定され、一般的には入力信号に依存するものである。例えば、500Hzの入力信号では、1オクターブシフトは約1000Hz、同様に、1000Hzの入力信号の1オクターブシフトは約2000Hzである。いずれにせよ一部の形態において、忠実性の高い補助無しの聴取と聴覚上のセルフモニタリングをそれと同時に最適な変換フィードバックを与えつつ実行するために装置は実質的に「聴覚上見えない(acoustically invisible)」ように構成される、すなわち、装置は比較的正常な発話パタンを実質的に維持することができる。
【0062】
患者の特定の障害および/または複数の異なる「テスト」FAF設定に対するセットアップ評価の際の患者の応答のうち1つ以上に基づいて、調整がカスタマイズされることがある。このセットアップ評価は、患者の応答の有効性を評価するための可読性の改善に基づく。さらに、周波数調整は、定期的な臨床評価に基づいて時間とともに変更されることがある。他の形態では、望ましい間隔でまたはユーザによるトリガを契機に周波数シフトの増分および/減分が自動的に調整されるように、周波数調整が設定されることがある。
【0063】
上述したように、装置10は、小型(コンパクト)で携帯型(ポータブル)のものでありうる。このため、通常の運転使用では遠隔に置かれた部品を必要としない。本発明は、携帯型のものでありしかも実質的に目立たず定期的または「長期」に使用することができる装置を提供する。この携帯型装置10は、専用の遠隔にある遊離したサポートハードウェア無しに継続使用することができる。この装置は、すぐ耳元にマイクロホンが配置されることがある。すなわち、本発明は、まさに眼鏡またはコンタクトレンズのように、例えば予定された期間中または読字力を高める治療行為が必要な実際の読字期間中のみなど、随意に使用することができる容易に利用できるコミュニケーション増強(読字補助)装置を提供する。
【0064】
図6、
図7A、
図7Bに示されているように一部の形態において、装置10は、少なくともマイクロホン24を提供するデジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)を含み、A/Dコンバータ76と減衰器と受信機70とをデジタル信号プロセッサ(DSP)のマイクロ処理チップ(またはナノ処理チップ)に組み込むことができる。更に詳細に後述されるが、一例としてのマイクロ処理チップは、カナダの会社であるMICRO−DPS社から入手できる。DSPは、通常の生活機能を過度に妨げない最大限目障りにならない装置を望むユーザ向けの装置に特に重要な場合がある。利点として、毎日または随意(オンデマンド)の定期使用により読字力(つまり認識力、理解力、速度など)が改善されることになる。さらに、本発明の小型装置は、治療行為に継続的またはより「長期」に使用することができる。
【0065】
図6に、ソフトウェアプログラム可能なインタフェース100を備えた例示的な信号処理プロセッサ90(DSP)を採用した回路を持つ装置10の略図を示す。破線は、一部の形態として、その中の部品が限定はされないが、例えば既に述べたITC、ITE、またはCIC装置などの小型化した装置10内または上に共通に設けられることを示している。一般的には、信号プロセッサ90はユーザの発話から生成された信号を受信し、受信された信号は解析された上で所定のパラメータに基づいて周波数がシフトされる。最後に、FAF(周波数変換されたフィードバック)信号がユーザの外耳道内に送り込まれる。
【0066】
動作に関して説明すると、一部の形態では
図6に示されるように、マイクロホン12またはトランスデューサ(53)などの受信機70は音波を受信する。受信機70は、ユーザの発話に対応する音声のアナログ入力信号を作り出す。
図6に示された態様によれば、このアナログ入力信号は、デジタル入力信号のストリームに変換される。デジタル信号への変換に先だって、アナログ入力信号は、エイリアシング(aliasing)を抑えるためにローパス・フィルタ72を使って濾波される。ローパス・フィルタ72のカットオフ周波数は、デジタル化した後に認識可能な音声(ボイス)サンプルを再現するのに十分でなければならない。音声(ボイス)に対する一般的なカットオフ周波数は約8kHzである。より高い周波数を濾波することにより、望ましくない背景ノイズを取り除くこともできる。ローパス・フィルタ72の出力はサンプル&ホールド回路74に入力される。当業者の間でよく知られているように、サンプリングレートは、サンプリングエラーを防止するためにローパス・フィルタ72のカットオフ周波数の2倍を超えなければならない。サンプル&ホールド回路74によって出力されたサンプル信号は、アナログ・デジタル(A/D)コンバータ76に送られる。そして、各サンプルを表すデジタル信号ストリームは、周波数変換(またはシフト)回路78に送られる。周波数シフト回路78は、当業者の間でよく知られているように複数の方法により実現することができる。
【0067】
続けて
図6を説明すると、周波数変換(シフト)回路78の出力をデジタル・アナログ(D/A)コンバータ82に送ることができる。そして、D/Aコンバータ82から出力されたアナログ信号がローパス・フィルタ84に通されてオリジナルの信号のFAF(周波数変換されたフィードバック)信号が正確に作り出される。ローパス・フィルタ84からの出力は、ユーザ(または医師)が装置の出力音量を調整することができるようにするための可調利得増幅器86へと送られる。最後に、増幅済みアナログ信号がスピーカ24に送られる。スピーカ24はユーザが発した言葉のFAFバージョンを再現する。
【0068】
本発明の実施形態が意図する治療を実行するために使用される他の例示的な作業/特徴または部品を
図7Aに示す。先ほどのように、入力信号は、受信125された後に、前置増幅器127と、A/Dコンバータ129と、任意選択的に遅延フィルタ130に順に送られる。遅延フィルタ130は、DAFまたはFAF/DAFの組み合わせが望ましい場合に使用されることがある。デジタル信号は、時間領域(時間ドメイン)から周波数領域(周波数ドメイン)に変換132され、ノイズリダクション回路134を経由して、AGC136またはWDRCなどの圧縮回路に送られることがある。周波数変換されたフィードバック信号(FAF)を提供するために信号に対し周波数シフト138が適用され、FAF信号は時間領域140に変換し直され、D/Aコンバータ142と次に出力減衰器144とを経由して、最終的にFAF信号146が出力される。
【0069】
動作に関して述べると、例示された作業や手続は、望ましい出力、すなわち周波数変換された聴覚フィードバック信号を与えるためにプログラム可能に選択または調整されることがある。図に示された作業は、本発明の実施形態に基づく小型化されたコンパクトなBTE、ITE、ITC、もしくはCIC装置内、および/またはそのような装置を使って実行することができる。
【0070】
図7Bは、FAFベースの治療を行うのに特に適するとされる既に知られたプログラム可能なDSP90のアーキテクチャの略図であり、それはコンパクト装置に特に適している。このDSPアーキテクチャは、Toccata(登録商標)システムとして知られ、カナダ国際聴覚学センタ社(International Audiology Centre Of Canada Inc.)が出資しているマイクロDPSテクノロジ社(Micro-DSP Technology Co.,Ltd.)から入手可能である。このToccata(登録商標)DSPテクノロジは、広範な低電力オーディオ用途に対応し、一般に補聴器産業に利用できるとされた最初のソフトウェアプログラム可能なチップセットと信じられている。
図7Bを参照しておおまかに説明すると、16ビット汎用DSP(Rコア:RCore)と、WOLAフィルタバンク・コプロセッサ(Weighted Overlap-Add filterbank coprocessor)と、省電力入力/出力コントローラとを組み込むことによって、Toccata(登録商標)チップセットは、従来のアナログ回路または固定機能デジタルASICの実用的な代替物を提供する。2つの14ビットA/Dおよび14ビットD/Aは、忠実性の高いサウンドを作り出すことができる。Toccata(登録商標)のフレキシブルなアーキテクチャは、電力消費を低く抑えて高い忠実性とコンパクト化または小型化を実現するという条件を満足させながら、様々なアリゴリズムを実行するのに適する。例示したToccata(登録商標)DSPテクノロジは、(a)小型サイズであり、(b)動作電圧が約1.5ボルト以下という非常に低電力であり、(c)低ノイズであり、(d)14ビットA/Dおよびアンプであり、(e)産業標準マイクロホンとのD/Aインタフェースであり、(f)クラスD受信機およびテレコイルであり、(g)Rコア(RCore):16ビットソフトウェア・プログラム可能なハーバードアーキテクチャDSP(16-bit software-programmable Harvard architecture DSP)であり、(h)設定可能な(configurable)WOLAフィルタバンク・コプロセッサが解析フィルタリングで、利得アプリケーションを効率的に実行するものであり、(i)合成フィルタリングであるという特徴を含む。
【0071】
トッカータ(Toccata
TM)テクノロジDSPの性能仕様を、以下の表1に示す。
【0073】
一部の形態として、装置10はDAF変換聴覚フィードバックも提供するように構成することができるものであり、この装置は、非吃音性の病状に対してプラス/マイナス約1/4または1/2オクターブまたは上で議論されたような他の望ましいシフトなどの周波数変換と使用されるときに一般的に約50msの望ましい遅延時間のDAFを選択的に出
力するよう機能することができる。
【0074】
デュアルFAF/DAF出力に関して、装置10は、聴覚遅延回路130(
図7A)に
動作上付随する可調遅延時間を有することがある。このような形態では、遅延回路130は、所定時間枠内に多数の所定のトリガ事象(triggering events)を検出する検出器を含みうる。必要に応じて、遅延回路または波信号プロセッサ(wave signal processor)を
図6のFAF回路と一列に直列配置することができ、
図6に示されるように、遅延回路130に入力され遅延回路から出力される一連のデジタル化された音声サンプルを比較するための音声(ボイス)比較器80を含みうる。当業者には知られているように、デジタルストリームは、マイクロプロセッサを利用して比較することができる。音声サンプル比較器80は、遅延回路に望ましい発話パタンまたは検出された言い詰まり数および/または検出された異常な発話速度に応じて遅延時間を増減するための調整信号を出力することができる。
【0075】
装置10は、マイクロホンからイヤホンへの送信を遮断するためのスイッチング回路(図示されていない)、すなわち、作動回路および/または停止回路も有する場合がある。このタイプの回路の一例は、Vildgrubeらに帰属する米国特許第4,464,119号明細書(例えば第4段40−59行を参照)に開示されている。その特許明細書の内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。ユーザの発話および対応する信号入力が所定の閾値を下回ったときに手動でバッテリから電源オフにすることによって、または自動的に切り替えることによって、信号を遮断するように装置10を構成することができる。このようにして、ユーザの発話以外の音声が装置から送出されることを防ぐことができる。
【0076】
代わりに、当業者の間で知られているように、限定はされないが、例えばバケツリレー回路(bucket-brigade circuit)のようなアナログ遅延回路などの他の遅延回路も採用できる。
【0077】
ここに述べられた各回路部品および/または各動作は、当業者に知られているように、他の別々の回路部品または一体化した集積回路部品と交換して本発明が意図する適切なFAF信号を生成するように構成することができる。
【0078】
図8にコンピュータインタフェース装置200の一例を示す。このインタフェース装置200は、この装置上のシリアル(COM)ポート215pから延びるケーブル215を介してコンピュータ(図示せず)とケーブル210を介してコンパクト治療装置10との間で通信することができるようにするために使用される。ケーブル210は、ポート212pにおいてインタフェース装置200に接続される。ケーブル210のもう一方の端部213は、コンパクト治療装置10の1つ以上の機器構成と結合するように構成されている。インタフェース装置200は、電力入力端子217も含む。市販のプログラミング・インタフェース機器の1つとしてマイクロDSPテクノロジ社(Micro-DSP Technology,Ltd.)から販売されているオーディオPRO(AudioPRO)がある。その製品はコンピュータポートに繋がるシリアルRS−232CケーブルとFAF治療装置10に取り外し可能に繋がるCS44プログラミングケーブルとを有する。詳細については、インタネットウェブページ(URL:www.micro-dsp.comlproduct.htm)を参照されたい。
【0079】
図9は、ケーブル210の一部分を拡大した図である。端部213は、
図10および
図11に示されたようなそれぞれのコンパクト治療装置10に直に差し込まれる。また、
図11に示されるように、アクセスポート10pは、一般的には外側から開放可能なドア10D(バッテリドアの場合がある)を開けて利用することができ、インタフェースケーブル210をデジタル信号プロセッサ90に接続するために使用される。
図10には、ケーブル接続端子213が取り付けられた2つの大きく拡大された装置10Eが示されており、それぞれの装置はポート10p上にそれぞれのドア10dを持つ。
図10の左側に示された装置10はITC(外耳道内挿入形)装置またはそれを含み、同じ図の右側に示された装置はITE(耳穴形)装置またはそれを含む。それぞれの装置は耳装着デバイス10Eに接続するよう変更されたケーブル接続端子213を有する。ITC装置の接続端子213はITC装置の中心部に入り込むための細長いスレンダーな部分を含む。
【0080】
図12は、装置10のプログラム可能な特性を特定のユーザまたは状態にフィットまたはカスタマイズさせるために調整または選択するために使用されるユーザ用ディスプレイ入力インタフェースを示している。総利得も中央周波数250がそれぞれ付随した各「n」帯域利得制御("n" band gain control)の利得と同様に調整することができる(n=8の場合には、8帯域の各帯域はそれぞれ250Hz、750Hz、1250Hz、2000Hz、3000Hz、4000Hz、5250Hz、7000Hzを中央周波数とすることができる)。一般的に、n帯域は、それぞれの選ばれた中央周波数が間隔を置いて並んだ約2〜20個の間の異なる帯域でありうる。DAFを実施するためには、遅延時間はユーザ/プログラマまたは臨床医のための設定選択スイッチ260によってミリ秒単位の増減分量で(最大値まで)調整することができ、同様にターンオフすることもできる。FAFは、ユーザがユーザ入力スイッチ270を使って望みの周波数をクリックまたは選択することによって調整することができる。周波数調整は、望ましいHz単位の増減分量によって調整することができ、上下に周波数シフトさせるか、またはターンオフさせることがある。代わりに、オクターブ調整を生成するかまたは選択できることがある。
【0081】
当業者によって理解されるように、既に言及したデジタル信号プロセッサおよび他の電子部品は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせによって提供される場合がある。つまり、様々な部品は別々の素子として記述されてきたが、実際にはそれらはソフトウェアコードを走らせる入出力ポートを含むマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラによって、カスタムチップまたはハイブリッドチップによって、別々の部品によって、またはそれらの組み合わせによって実施される。例えば、A/Dコンバータ76と、遅延回路78と、音声サンプル比較器80と、可調利得増幅器86との少なくとも1つはプログラム可能なデジタルプロセッサ装置として実施することができる。もちろん、当業者が理解するように、別々の回路部品が個々に取り付けらるかまたはプリント基板に一体化されることもありうる。一般的なことについては、Wayne J. Staab著の論文「Digital Hearing Instrumental」、1987年発行、補聴器(Hearing Instruments)、第38巻、第11号、18−26頁を参照されたい。
【0082】
いずれにしても、装置の電子音響動作パラメータ(electroacoustic operating parameters)としては、好ましくは、個別的に調整可能であり制御可能なパワー出力、利得、および電子音響応答が適切な周波数応答成分を含む。もちろん、装着者用に調整可能な音量調整も提供しながら固定した最大出力、利得、および周波数応答を有する固定回路も採用することができる。動作に関しては、本装置は「低い」最大パワー出力、「マイルドな」利得、そして比較的「広く」て「フラットな」周波数応答で好ましく機能する。より具体的には、米国規格協会(American National Standards Institute)の補聴器特性仕様書(ANSI S3.22-1996)にあるように、装置は、好ましくは、ピークの飽和音圧レベル90(「SSPL90(saturated sound pressure level)」)が110dB(デシベル)以下で、高周波平均(HFA(high frequency average))のSSPL90は105dBを超えないことが好ましい。
【0083】
一部の態様において、周波数応答は、好ましくは少なくとも200−4000Hz、より好ましくは約200−8000Hzである。特別な態様では、周波数応答は、補償利得(compensatory gain)が約1000−4000Hzの間にある「フラットな」in-situ応答でありうる。高周波平均(つまり1000、1600、および2500)の最大利得(full-on gain)は、一般的には10−20dBの間にある。例えば、補償利得は、1000−4000Hzの間で10−20dBで自然な外耳共鳴(natural external ear resonance)に対応することができる。この自然耳共鳴は、一般に、CIC装置、ITE装置、ITC装置またはBTE装置のイヤモールドが使われるときの外耳道および/または耳甲介内の閉塞(occluding)によるものとされる。全高調波歪みは、10%未満、一般的には約1%未満でありうる。最大飽和音圧は、高周波平均が95−100dB・SPLで等価入力ノイズが35dB未満、一般的には30dBでは、約105dB・SPLでありうる。
図13は、(吃音障害を治療するために一般的に使用される)ITC装置とCIC装置の一般的なカプラ周波数応答を示した図であり、その中のグラフは変わらない設定の一般的な装置の周波数応答曲線の例を示している。
【0084】
図14は、例示的なCIC(外耳道内完全挿入形)装置の周波数変換性能を示している。カプラ応答を記録しながら、合成母音[ae]が生成され音場内で装置に向けてプレイされた。変換しない場合と、最大限シフトアップした場合と、最大限シフトダウンした場合との3つの記録が各装置について行われた。この実験はもともと主に吃音病状に対する動作性能を評価することを目的としていたが、周波数を変換しない場合の応答と比べて周波数を変換したときのフォルマント周波数のはっきりしたシフトは歴然としている。同様な結果はITC(外耳道内挿入形)モデルでも得られた。
【0085】
以下、限定的ではない実施例に即して本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0086】
(実験参加者)
参加者は米国内の東ノースカロライナ中学に通う27人の学生であり、その内訳は正常な読字力を持つ6年生が15人と学校で読字力が遅れていると診断された6年生が12人であった。WRMT−R(Woodcock Johnson Reading Mastery Test-Revised)に基づく参加者の総合的な読字力スコアによって読字力が決定された。正常な読字力は年齢相応のスコアで定義された。遅れた読字力はその年齢相応のスコアより1、2年遅れのあるものとして定義された。全ての参加者は生徒の両親または学校職員からの報告のみならずスクリーニング検査によって判定された正常な両耳聴覚力を持っていた。言語スクリーニング(Clinical Evaluation of Language Functions-3)の合格スコアと受容単一ワード絵画語い発達検査(Peabody Picture Vocabulary Test-III)の平均スコアも参加者に要求された。
【0087】
(設備と機材)
検査は参加者が通う中学校の隔離室で行われた。各実験条件について、参加者は形式的読字検査(Formal Reading Inventory)(Wiederholt,1986)からの3つの文章、つまり第3グレードレベルの文章と第6グレードレベルの文章と第9グレードレベルの文章を非変換フィードバック(NAF:non-altered feedback)と周波数変換されたフィードバック(FAF:frequency altered feedback)の両方の条件で読んだ。各文章を読み終わると、参加者は書かれた文章の理解度を評価する5択の質問に読んで答えた。
【0088】
FAF条件では、聴覚音声閉ループフィードバック装置はマイクロホンから出力された音声をフィルタに通して参加者の通常の発話音声より1/2オクターブ高い音声を作り出した。参加者の音声は1セットの標準的なヘッドホンを介して遅延なくその参加者に送り返された。
【0089】
(手続)
参加者は検査室に連れて行かれ、WRMT-R、Clinical Evaluation of Language Functions-3 Screening、およびPeabody Picture Vocabulary Test-IIIが実施された。短い休憩の後、彼らは検査室に戻され、読字課題(reading task)と条件が彼らに説明された。変換フィードバック条件では、参加者は自分の名前、通っている学校を言わされ、さらに1から10まで数えさせられた。参加者に対する条件と課題はランダム化された。形式的読字検査(Formal Reading Inventory)のAフォームとBフォームは、一部の参加者は課題1に対してAフォームを持ち、他の参加者はBフォームを持つように、参加者の条件の間でランダム化された。文章のレベルも検査中の異なるポイントで生じる第3、第6、第9グレードレベルの文章についてランダム化された。課題は全ての参加者に対して釣り合うようにした。全ての読字課題と条件は、後で解読エラー(decoding errors)をスコアリングするためにオーディオ・ビデオテープに記録された。
【0090】
(手段)
2つの聴覚条件に対して、読解力スコア(comprehension scores)と解読エラー(decoding errors)が決定された。読解力スコアは、パーフェクトスコアを5として各文章の正解数とした。解読エラーに対する2つのタイプのスコア、つまり1文章当たりのエラー総数と各文章の各解読エラータイプの総数とが計算された。各文章の読字解読エラーは、挿入/付加(オリジナルテキストには無い単語または文の一部の挿入)、自己補正(実際の間違った単語が使用された後のエラー補正)、省略(文章から1つ以上の単語を抜かすこと)、置き換え(意味的または機能的に適切な単語を使用すること)、単語の一部の繰り返し(単語の一部をそれを解読する過程で繰り返すこと)、または単語全体の繰り返し(文の残りを読み続ける前に単語全体を繰り返すこと)としてコードされた。
【0091】
(結果)
グループ(group)、読解レベル(reading level)および聴覚フィードバック(auditory feedback)の関数として、参加者の平均読解力スコアを
図15に示す。
図16は、グループ、読解レベルおよび聴覚フィードバックの関数として、参加者の平均読字エラー数を示したものである。
【0092】
3因子が混合した分散解析(ANOVA:analysis of variance)が、総合読解力スコアの平均差をグループ、読解レベル、および聴覚フィードバックの関数として調べるために実行された。グループおよび読解レベルの有意なメイン効果が見出された(それぞれp=0.0007および0.001)。フィードバック対グループの有意な効果(
図17参照)も見出された(p=0.0030)。全ての他の相互作用は有意なほど大きくはなかった(p>0.5)。一般的に、読解レベルが上がるほど読解力は下がる。正常な読字力を持つ参加者(読字健常者)は期待されるように遅れた読字力を持つ参加者(読字障害者)よりも良い読解力を示した。単一自由度対比(single degree of freedom contrasts)が聴覚フィードバック対グループの有意な相互作用を調べるために採用された(
図17参照)。遅れた読字力を持つ参加者はFAFでより高い読解力を示したが、その一方、正常な読字力を持つ参加者はNAFとFAFで違いは見られなかった(p=0.41)。遅れた読字力を持つ参加者はNAFにおいて正常な読字力の参加者と比べてかなり低い読解力を示した(P=0.0001)が、その一方、FAFにおいてはグループ間で違いは全くなかった(P=0.18)。
【0093】
3因子が混合したANOVAは平均読字エラーの差をグループ、読解レベル、および聴覚フィードバックの関数として調べるために実行された。読解レベルの有意なメイン効果が見出された(p=0.0001)。聴覚フィードバック対グループの有意な効果(
図18参照)も見出された(p=0.0030)。全ての他のメイン効果および相互作用は有意なほど大きくはなかった(p>0.5)。一般的に、読解レベルが上がるほどエラーが増加した。単一自由度対比が聴覚フィードバック対グループの有意な相互作用を調べるために採用された(
図18参照)。遅れた読字力を持つ参加者はFAFよりもNAFの方で顕著により大きなエラーを有した(p=0.0007)が、その一方、正常な読字力の参加者ではNAFとFAFの間で違いは全くなかった(p=0.14)。遅れた読字力を持つ参加者はNAFにおいて正常な読字力の参加者よりも顕著により多くのエラーを有した(p=0.0095)が、その一方、FAFにおいてはグループの間で違いは全くなかった(P=0.61)。
【0094】
以上の説明は、本発明を具体的に分かりやすく理解するためのものであり、それに限定されるものではない。本発明のいくつかの例示的な実施形態について説明がなされたが、当業者であれば本発明の新規な教示と利点から大きく逸脱することなくそれらの形態について多くの変形と変更が可能であることは理解されよう。全てのこのような変更は、特許請求の範囲において画定される本発明の範囲内に包含されることを意図している。特許請求の範囲の請求項において、ミーンズ・プラス・ファンクション表現が使用されるものについては特定の機能を実現する構造と構造的な均等物だけでなく均等な構造も包含することを意図している。従って、以上の説明は本発明を分かりやするためのもので開示された実施形態に限定されるものではなく、また開示された実施形態とその変形と変更その他の形態は特許請求の範囲に包含されることを意図している。本発明は、特許請求の範囲の各請求項と各請求項の均等物によって定義される。