特許第5649642号(P5649642)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649642
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】充電式電池
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20141211BHJP
【FI】
   H02J7/00 302C
【請求項の数】10
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2012-506144(P2012-506144)
(86)(22)【出願日】2010年4月14日
(65)【公表番号】特表2012-524380(P2012-524380A)
(43)【公表日】2012年10月11日
(86)【国際出願番号】US2010030959
(87)【国際公開番号】WO2010120832
(87)【国際公開日】20101021
【審査請求日】2013年4月15日
(31)【優先権主張番号】61/170,061
(32)【優先日】2009年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】308014684
【氏名又は名称】ヴァレンス テクノロジー インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】VALENCE TECHNOLOGY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100173152
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 智
(72)【発明者】
【氏名】トラックセル ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】サンダール ジョエル
【審査官】 杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−35923(JP,A)
【文献】 特開平7−49731(JP,A)
【文献】 特開平7−79535(JP,A)
【文献】 特開平7−87673(JP,A)
【文献】 特開平7−107676(JP,A)
【文献】 特開平7−203634(JP,A)
【文献】 特開平7−230344(JP,A)
【文献】 特開平7−241040(JP,A)
【文献】 特開平7−241044(JP,A)
【文献】 特開平7−254440(JP,A)
【文献】 特開平7−274403(JP,A)
【文献】 特開平10−341535(JP,A)
【文献】 特開2000−294298(JP,A)
【文献】 特開2002−10501(JP,A)
【文献】 特開2002−42901(JP,A)
【文献】 特開2003−174738(JP,A)
【文献】 特開2003−209932(JP,A)
【文献】 特開2003−219572(JP,A)
【文献】 特開2005−287136(JP,A)
【文献】 特開2006−238619(JP,A)
【文献】 特開2006−345660(JP,A)
【文献】 特開2007−221992(JP,A)
【文献】 特開2007−234434(JP,A)
【文献】 特開2008−16230(JP,A)
【文献】 特開2008−235032(JP,A)
【文献】 特開2009−193720(JP,A)
【文献】 特開2010−35280(JP,A)
【文献】 実開平7−27256(JP,U)
【文献】 特表平10−509579(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2007−0095612(KR,A)
【文献】 米国特許第5652502(US,A)
【文献】 米国特許第6583603(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0139006(US,A1)
【文献】 国際公開第99/028808(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電池端子と;
第2の電池端子と;
前記第1の電池端子に接続可能な第1のサブモジュール端子と前記第2の電池端子に接可能な第2のサブモジュール端子を備え、前記第1の電池端子と前記第2の電池端子の間に並列に接続された複数のサブモジュール;
前記複数のサブモジュールのそれぞれに設けられた、前記第1のサブモジュール端子と前記第2のサブモジュール端子の間に電気的に接続された複数の充電セル;
前記複数のサブモジュールのそれぞれに設けられた、前記第1のサブモジュール端子と前記第2のサブモジュール端子の前記第1の電池端子と前記第2の電池端子への非接続状態及び接続状態を含む導電状態を可変しうるスイッチング回路;及び
前記複数のサブモジュールをモニタリングし、このモニタリング結果に基づいて、前記複数のサブモジュールの充電状態を制御する制御回路;を有し、
前記制御回路は、前記複数のサブモジュールのモニタリング結果に応じて、前記スイッチング回路の前記導電状態を制御することにより、前記複数のサブモジュールのうち、一部のサブモジュールを、前記第1のサブモジュール端子と前記第2のサブモジュール端子が前記第1の電池端子と前記第2の電池端子に電気的に接続された接続動作モードに滞在させ、残りのサブモジュールを、前記第1のサブモジュール端子と前記第2のサブモジュール端子が前記第1の電池端子と前記第2の電池端子から電気的に切り離された非接続動作モードに滞在させること;及び
前記制御回路は、前記複数のサブモジュールのモニタリング結果に応じて、前記スイッチング回路の前記導電状態を制御することにより、前記接続動作モードに滞在中の一部のサブモジュールの充電式セルに対してより大きい電流を供給し、前記接続動作モードに滞在中の残りのサブモジュールの充電式セルに対してより小さい電流を供給すること;
を特徴とする充電式電池。
【請求項2】
請求項1記載の充電式電池において、
前記複数のサブモジュールはそれぞれに複数の電池列を有し、各電池列は直列に接続された複数の前記充電式セルを有し、電池列は前記第1のサブモジュール端子と前記第2のサブモジュール端子の間に並列に接続される充電式電池。
【請求項3】
請求項1記載の充電式電池において、
前記制御回路は、アラーム状態に応答して、前記複数のサブモジュールの充電動作を制御するように構成される充電式電池。
【請求項4】
請求項1記載の充電式電池において、
前記制御回路は、前記接続動作モードに滞在中の複数のサブモジュールのうち、1つのサブモジュールのセルの電圧が、他のサブモジュールのセルの電圧より低いことに応答して、前記1つのサブモジュールのセルにより多くの電流を供給するように構成される充電式電池。
【請求項5】
請求項1記載の充電式電池において、
前記複数のサブモジュールは、それぞれ、各セルの周囲に選択的に電流を分岐するように構成される平衡回路を有する充電式電池。
【請求項6】
請求項5記載の充電式電池において、
前記複数のサブモジュールのうちの1つのサブモジュールの平衡回路は、該1つのサブモジュールのセルの充電中に該1つのサブモジュールのセルのそれぞれの周囲に電流を分岐し、該1つのサブモジュールのセルのそれぞれの電圧を使用することを制御するように構成される充電式電池。
【請求項7】
請求項1記載の充電式電池において、
前記制御回路は、アラーム状態が前記複数のサブモジュールのうちの1つのサブモジュールの中に存在することに応答して、前記1つのサブモジュールを前記非接続動作モードで動作するよう制御するように構成される充電式電池。
【請求項8】
請求項7記載の充電式電池において、
前記アラーム状態は、前記1つのサブモジュールの少なくとも1つのセルの電気的特性を示す値が所定の限界閾値を超えていることを表わす充電式電池。
【請求項9】
請求項1記載の充電式電池において、
前記制御回路は、さらに、アラーム状態が前記複数のサブモジュールのうちの1つのサブモジュールの外部に存在することに応答して、前記1つのサブモジュールを前記非接続動作モードで動作するよう制御するように構成される充電式電池。
【請求項10】
請求項1記載の充電式電池において、
前記制御回路は、さらに、制御回路が電池の外部から受け取った通信に応答して、前記複数のサブモジュールのうちの1つのサブモジュールを前記非接続動作モードで動作するよう制御するように構成される充電式電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池、電池システム、電池サブモジュール、電池動作方法、電池システム動作方法、電池充電方法および電池システム充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
充電式の電池は、多様な応用分野における電気エネルギーに対する様々な要求に対応するよう設計され、使用されている。充電式の電池システムは、充電中に電気エネルギーを受け取り、放電中に電気エネルギーを負荷に供給する充電式のセルからなる。充電式のセルは異なる化学物質を含み、一例ではリチウムイオンセルを含む。異なる応用分野で使用される充電式のセルの数は、要求される負荷の数に依存して変化し、ある実施態様、例えば輸送手段に使用される場合には非常に多い。
[特許文献1]国際公開第2007/117986号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ある充電式のセルは現場で不具合を生じることがある。このような不具合は、個々のセルを動作不能にするばかりでなく、電池の中の他のセルが不具合を生じていなくてもこれらのセルを動作不能にしてしまう。このような動作不能なセルの数が増えると、電池が機能しなくなる点、あるいは負荷要求に答えることができなくなる点に達する。電池の構成によっては、動作不能なセルを交換することができず、電池自体が動作不能となる。
【0004】
本発明は、改良された、充電式の電池、電池システムおよび電気エネルギーの蓄積および供給方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、米国特許法「科学および有益な技術の進歩の促進」(第1条第8項)の法目的を促進するために提出された。
【0006】
以下に記載されているように、充電式の電池モジュール、充電式の電池サブモジュール、および充電式の電池システム(選択的に、接続動作モードおよび非接続動作モードで動作)、およびこれらに関連する方法が、種々の実施態様により示される。接続動作モードの間、電池モジュール、電池サブモジュール、または電池システムの充電式のセルは、充電器または負荷といった外部装置から電気エネルギーを受け取り、および/または、これらに電気エネルギーを供給するように構成される。非接続動作モードの間、電池モジュール、電池サブモジュール、または電池システムの充電式のセルは、外部装置から電気的に切り離されており、したがって電気エネルギーを受け取り、および/または、電気エネルギーを供給するように構成されていない。よって、本発明のある実施態様では、適切に動作接続動作している部分を接続動作モードに維持する一方、非接続動作モードの電池システム、電池モジュールまたは電池サブモジュールの機能しない部分を切り離すことによって、ある実行時に改良された動作を提供する。
【0007】
一実施態様によれば、電池は第1の電池端子、第2の電池端子、および複数のサブモジュールを有し、それぞれのサブモジュールは、第1のサブモジュール端子、第2のサブモジュール端子、第1のサブモジュールと第2のサブモジュールの間に電気的に接続された複数の充電式のセル、および、スイッチング回路を有し、スイッチング回路は、1つのサブモジュールが接続動作モードの間、そのサブモジュールの第1の電池端子および第2の電池端子の1つを第1の電池端子および第2の電池端子の1つと電気的に接続し、前記1つのサブモジュールが非接続動作モードの間、そのサブモジュールの第1の電池端子および第2の電池端子の1つを第1の電池端子および第2の電池端子の1つから電気的に切り離すように構成される。
【0008】
一実施態様によれば、電池は第1の電池端子、第2の電池端子、および複数のサブモジュールを有し、それぞれのサブモジュールは、第1の電池端子と第2の電池端子の間に電気的に接続された複数の充電式のセルを有し、またそれぞれのサブモジュールは、各サブモジュールの充電式のセルが、第1の電池端子および第2の電池端子に対して電気エネルギーを供給し、または受け取る接続動作モード、および各サブモジュールの充電式のセルが、第1の電池端子および第2の電池端子に対して電気エネルギーを供給せず、受け取りもしない非接続動作モードで動作するように構成される。
【0009】
他の一実施態様によれば、電池システムは第1のシステム端子、第2のシステム端子、および第1のシステム端子と第2のシステム端子の間に並列に接続された複数の電池列を有し、それぞれの電池列は第1のシステム端子と第2のシステム端子の間を直列に接続する複数の充電池を有し、またそれぞれの電池列は、各電池列が第1のシステム端子および第2のシステム端子に接続され、第1のシステム端子および第2のシステム端子に対して電気エネルギーを供給し、または受け取る接続動作モード、および各電池列が第1のシステム端子および第2のシステム端子に対して電気エネルギーを供給せず、受け取りもしない非接続動作モードで動作するように構成される。
【0010】
また、他の一実施態様によれば、電池は第1の電池端子、第2の電池端子、および複数のサブモジュール、および制御回路を有し、それぞれのサブモジュールは、第1のサブモジュールと第2のサブモジュールの間に電気的に接続された複数の充電式のセルを有し、各充電式のセルは第1の電池端子および第2の電池端子の少なくとも一方から充電電気エネルギーを受け取り、前記制御回路はサブモジュールの充電式のセルを監視し、その結果を用いて、そのサブモジュールの異なる充電電気エネルギー量を有する充電式のセルに供給する、異なる充電電気エネルギー量を制御するように構成される。
【0011】
また、他の一実施態様によれば、電池システムは第1のシステム端子、第2のシステム端子、複数の充電式の電池、および制御回路を有し、前記複数の充電式の電池は、第1のシステム端子と第2のシステム端子の間に接続されて、第1のシステム端子と第2のシステム端子に接続された負荷に電気エネルギーを供給し、充電式の電池を充電するために第1のシステム端子と第2のシステム端子に接続された充電器から電気エネルギーを受け取り、前記制御回路は、それぞれの充電式の電池を監視し、その結果を用いて、充電式の電池の少なくとも1つに供給される電気エネルギー量を制御するように構成される。
【0012】
また、他の一実施態様によれば、電池は第1の電池端子、第2の電池端子、第1の電池端子と第2の電池端子の間を電気的に接続する複数の充電式のセル、およびスイッチング回路を有し、スイッチング回路は、充電式のセルと外部装置が電気的に接続されていない状態から、充電式のセルが外部装置に接続されている間、充電式のセルに通電される電気エネルギー量を制御するように構成される。
【0013】
また、他の一実施態様によれば、電池システムは複数の充電式のセル、第1の接触回路、および第2の接触回路を有し、第1の接触回路は、第1の接触回路が接続動作モードの間、充電式のセルを外部装置に選択的に電気的に接続し、第1の接触回路が非接続動作モードの間、充電式のセルを外部装置から電気的に切り離すように設定され、第2の接触回路は、第2の接触回路が接続動作モードの間、充電式のセルを外部装置に選択的に電気的に接続し、第2の接触回路が非接続動作モードの間、充電式のセルを外部装置から電気的に切り離すように設定され、接続動作モードで動作している第2の接触回路は、接続動作モードで動作している第1の接触回路を流れる電流量に比べて少ない電流量を流すように構成される。
【0014】
また、他の一実施態様によれば、電池は第1の電池端子、第2の電池端子、および複数のサブモジュールを有し、それぞれのサブモジュールは、第1の電池端子と第2の電池端子の間に電気的に接続された複数の充電式のセルを有し、またそれぞれのサブモジュールは、各サブモジュールの充電式のセルの充電または放電についての情報を蓄積するように構成された蓄積回路を有する。
【0015】
また、他の一実施態様によれば、電池サブモジュールは、第1のサブモジュール端子、第2のサブモジュール端子、第1のサブモジュール端子と第2のサブモジュール端子の間に電気的に接続された複数の充電式のセル、および充電式のセルについての情報を蓄積するように構成された蓄積回路を有する。
【0016】
また、他の一実施態様によれば、電池システムは、第1のシステム端子、第2のシステム端子、および第1のシステム端子と第2のシステム端子の間に並列に接続された複数の電池列を有し、それぞれの電池列は第1のシステム端子と第2のシステム端子の間を直列に接続する複数の充電池を有し、それぞれの電池列の電池は、個々の電池列の中間に位置する電池と複数のノードで直列に接続されており、第1の電池列のノードは第2の電池列のノードと接続されて、第1の電池列の各電池が、第2の電池列の対応する各電池とそれぞれ並列に電気的に接続される。
【0017】
また、他の一実施態様によれば、電池システムは、第1のシステム端子、第2のシステム端子、第1のシステム端子と第2のシステム端子に接続された複数の充電池、および動作回路を有し、それぞれの充電池は、各充電式の電池の充電動作中に第1のシステム端子と第2のシステム端子から電気エネルギーを受け取り、各充電式の電池の放電動作中に第1のシステム端子と第2のシステム端子に電気エネルギーを供給するように構成された複数の充電式のセルと、各充電式の電池に充電動作または放電動作の少なくとも1つの動作を実行させるように構成される処理回路とを有し、動作回路は充電式の電池の制御回路と通信するように構成される。
【0018】
また、他の一実施態様によれば、電池動作方法は、各サブモジュールの動作が接続動作モードの間、電池の複数のサブモジュールの複数の充電式のセルに電気エネルギーを流す工程、および、1つのサブモジュールを、電気エネルギーがそのサブモジュールの充電式のセルに流されない非接続動作モードに切り変える工程を有する。
【0019】
また、他の一実施態様によれば、電池動作方法は、複数のサブモジュールの複数の充電式のセルを、第1の瞬間に外部装置に接続された端子に電気的に接続する工程、電気的に接続されている間、外部装置とサブモジュールの充電式のセルの間に電気エネルギーを流す工程、第2の瞬間にサブモジュールのセルを端子から電気的に切り離す工程を有する。
【0020】
また、他の一実施態様によれば、電池システム動作方法は、電池列が端子において互いに並列に接続されており、各電池列は、端子と直列に接続された複数の充電式の電池を有する、複数の充電式の電池列からなる電池システムと、電池システムの端子に接続された外部装置の間に、電池列が接続動作モードの間電気エネルギーを流す工程、電気エネルギーが電池列の電池と外部装置の間に流れていない非接続動作モードの1つの電池列を動作する工程、を有する。
【0021】
また、他の一実施態様によれば、電池充電方法は、充電式のセルを電気的に充電するために、端子を通して充電電気エネルギーを、電池の複数のサブモジュールの複数の充電式のセルに供給する工程、供給している間電池のサブモジュールの充電式のセルを監視する工程、そして監視結果を利用して、電池の他のサブモジュールの充電式のセルに異なる量の充電電気エネルギーを与える工程を有する。
【0022】
また、他の一実施態様によれば、電池システム充電方法は、電気エネルギーを供給して電池システムの複数の充電式の電池を電気的に充電する工程、供給している間電池システムの充電式のセルを監視する工程、そして監視結果を利用して、少なくとも1つの充電式のセルに供給される電気エネルギーを制御する工程を有する。
【0023】
また、他の一実施態様によれば,電池動作方法は、サブモジュールが接続動作モードの間伝導状態にある電池の複数のサブモジュールのスイッチング回路を動作して、ある瞬間サブモジュールの複数の充電式のセルを外部装置と電気接続する工程、少なくとも1つのサブモジュールが非接続動作モードの間、非伝導状態にあるその少なくとも1つのサブモジュールのスイッチング回路を動作して、他の瞬間、その少なくとも1つのサブモジュールの複数の充電式のセルを外部装置から電気的に切り離す工程、少なくとも1つのサブモジュールの動作を、非接続動作モードから接続動作モードに切り換える工程、そしてその少なくとも1つのサブモジュールのスイッチング回路を用いて、その切り換えの間、その少なくとも1つのサブモジュールの充電式のセルに流れる電気エネルギーを制限する工程を有する。
【0024】
また、他の一実施態様によれば、電池システム動作方法は、電池システムの複数の充電式のセルを用いて電気エネルギーを蓄積する工程、接触回路を用いて、電池システムが接続動作モードの間、充電式のセルを充電および放電している間に充電式のセルと外部装置の間に電気エネルギーを流す工程、接触回路を用いて、電池システムが非接続動作モードの間、充電式のセルと外部装置を電気的に切り離す工程、電池システムの動作モードを、非接続動作モードから接続動作モードに切り換える工程、切り換えの間接触回路の第1の接触器を閉じる工程、切り換えの間であって第1の接触器を閉じた後、接触回路の第2の接触器を閉じる工程を有する。
【0025】
また、他の一実施態様によれば、電池動作方法は、電気エネルギーを、電池の複数のサブモジュールの複数の充電式の電池に供給する工程、電池のサブモジュールの充電式の電池を放電する工程、サブモジュールのうちの1つの蓄積回路を用いてサブモジュールの充電式のセルの情報を蓄積する工程を有する。
【0026】
また、他の一実施態様によれば、電池システム動作方法は、各電池列の充電式のセルが第1のシステム端子と第2のシステム端子の間に直列に接続されており、第1のシステム端子と第2のシステム端子の間に並列に接続されている複数の充電式の電池列に電気エネルギーを供給する工程、充電式の電池から、第1のシステム端子と第2のシステム端子に接続された負荷に電気エネルギーを放電する工程を有する方法であって、1つの電池列の1つの充電式の電池に対する前記供給工程または放電工程の少なくとも1つは、他の電池列を通して電気エネルギーを供給および放電する工程を有するものである。
【0027】
また、他の一実施態様によれば、電池システム動作方法は、電池システムの複数の充電式のセルに電気エネルギーを流す工程、そして各充電式の電池は複数の充電式のセルを有するものであり、各充電の式電池に対して、各充電式の電池の各処理回路を用いてそれぞれ動作を行う工程、電池システムの動作回路を用いて充電式の電池の処理回路と通信を行う工程を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の例示の実施態様を以下の図面を参照しながら説明する。
図1】一実施態様による電池モジュールの等角図法による斜視図である。
図2】一実施態様による電池モジュールの機能ブロック図である。
図3】一実施態様による電池モジュールの回路図の一例である。
図4】一実施態様による電池モジュールの回路図の機能ブロック図である。
図5】一実施態様による電池システムの機能ブロック図である。
図5A】一実施態様による電池セクションの機能ブロック図である。
図6】一実施態様による負荷および充電器に接続された電池システムの機能ブロック図である。
図7】一実施態様による電池システムの回路成分および電池の機能ブロック図である。
図7A】一実施態様による電池システムの回路成分および電池の機能ブロック図である。
図8】一実施態様による電池モジュールの回路の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に、電池(または電池モジュールともいう)を参照番号10で示す。電池モジュール10は、筐体12、および異なる電圧が供給される第1の電池端子13および第2の電池端子14を含む(例えば、電池端子14は接地電位で電池端子13は接地電位より大きい)。
【0030】
一実施態様において、複数の充電式のセル(図1には図示されず)が筐体12の内部に収納されている。一実施態様において、充電式のセルはリチウムイオンセルからなる。これらの電池は動作状態でそれぞれ約3.2ボルトの電圧を供給する。他の実施態様では、他の充電式のセルが使用できる。
【0031】
筐体12の内部に収納される充電式のセルの数は電池モジュール10の構成によって異なり、負荷の電気エネルギー要求量に合うように、直列/およびまたは並列に接続される。実際には例えば、電池モジュール10は、端子13と14の間に12.9または19.2ボルトを供給するように構成される。電池モジュール10内の配置を他のものにすることも可能である。
【0032】
図に示された電池モジュール10は、電池モジュール10と外部装置(図示せず)との間の通信を行うインターフェース回路16を含む。例えば、電池モジュール10は、ある実施態様において、負荷および/または充電器といった外部装置と通信を行う。他の例では、後述するように、電池モジュール10は、電池システムにおいて1つまたはそれ以上の電池モジュール10とともに用いられ(電池システムの一例は図5に示される)、インターフェース回路16は電池システム間の通信を行うように構成される。例えば、実施例において後述するように、電池モジュール10は、他の電池モジュール10および/または電池システムの動作回路と通信を行う。
【0033】
図2に、電池モジュール10のさらに詳細な構成を示す。図に示された電池モジュール10は、モジュール回路(制御回路)20、および複数のサブモジュール22、または電池サブモジュール22ともいう、を含む。説明のために図2に例として2つのサブモジュール22が示されるが、他の電池モジュール10はサブモジュール22を1つのみを含んでもよく、またはさらにサブモジュール22を含んでもよい。図に示される実施態様では、サブモジュール22は、第1の電池端子13と第2の電池端子14の間に互いに並列に接続される。
【0034】
一実施態様において、モジュール回路20は、電池モジュール10を監視し、および/または制御するように構成され、同様に、電池モジュール10の外部との通信を行う。モジュール回路20のさらに詳細な説明を以下に示す。
【0035】
一実施態様において、サブモジュール22はそれぞれ、電池モジュールから取り外しおよび交換可能である。例えばサブモジュール22は、サブモジュール22のセルまたは回路が例えば動作中に不良となった場合に、取り外しそして交換される。サブモジュール22はそれぞれ、各サブモジュール22のスイッチング回路24、セル26、およびサブモジュール回路28を含む筐体を有する。一実施態様において、サブモジュール22が不良または動作不能となった場合、サブモジュール22全体が、(後述されるように)非接続動作モード中にされ、電池モジュール10から取り外され、他の適切に機能するサブモジュール22と交換される。
【0036】
図に示す実施態様では、各サブモジュール22は、第1のサブモジュール端子17、第2のサブモジュール端子18、スイッチング回路24、複数の充電式のセル26、サブモジュール回路28を含む。第1のサブモジュール端子17と第2のサブモジュール18には異なる電圧レベルが供給され、それぞれ第1の電池端子13および第2の電池端子14に接続される。一実施態様において、例えば、端子13および14は正負に対応する。
【0037】
一実施態様において、各サブモジュール22のスイッチング回路24は、1つまたはそれ以上のトランジスタなどの半導体スイッチング回路からなる。一具体例において、1つまたはそれ以上の充電トランジスタが、端子13と各サブモジュール22のセル26の間で、1つまたはそれ以上の放電トランジスタと連続して直列に接続される。充電トランジスタおよび放電トランジスタのある配置においてボディーダイオードがあるため、充電トランジスタおよび放電トランジスタは、オフ状態において電流が一方向に流れるのを妨げる。したがって、一実施態様において、充電トランジスタは、充電トランジスタがオフ状態において各サブモジュール22に電気エネルギーが流れ込まないように配置され、放電トランジスタは、放電トランジスタがオフ状態において各サブモジュール22から電気エネルギーが流れ出さないように配置される。各サブモジュール22のスイッチング回路24の充電トランジスタおよび放電トランジスタの数は、サブモジュール22の設計によって変わる。例えば、より高容量のサブモジュール22は、より低容量のサブモジュール22に比べて、より多くの(互いに並列に接続された)充電トランジスタ、およびより多くの(互いに並列に接続された)放電トランジスタを有する。半導体スイッチング回路として実行されるスイッチング回路24は、各サブモジュール22の充電式のセル26に流れ込むまたは流れ出す電気エネルギー量を制御するために、異なる伝導状態でバイアスをかけられる。選択的にセル26を端子13と電気的に接続するスイッチング回路24の他の構成も可能である。
【0038】
サブモジュール22は、異なる瞬間に接続動作モードおよび非接続動作モードで動作するように構成される。スイッチング回路24の充電トランジスタおよび放電トランジスタの1つまたは両方は、接続動作モードの間、セル26を端子17に電気的に接続する閉じた回路で構成される(これによりセル26を充電および/または放電する)。したがって、サブモジュール22が接続動作モードの間、サブモジュール22のセル26は、各セル26を充電するために電池端子13,14から電気エネルギーを受け取り、および/または、サブモジュール22の各セル26の放電動作中、電池端子13,14に電気エネルギーを供給するように構成される。スイッチング回路24は、非接続動作モードの間、セル26を端子17から電気的に切り離す(セル26は充電または放電されない)開かれた回路で構成される(例えば、充電トランジスタと放電トランジスタの両方が開かれている)。
【0039】
ある実施態様において、サブモジュール22は、接続動作モードおよび非接続動作モードにおいて互いに独立して動作するように構成される。例えば、電池モジュール10の1つまたはそれ以上のサブモジュール22は接続動作モードで動作し(各スイッチング回路24の充電トランジスタおよび/または放電トランジスタが「オン」または伝導状態で)、一方、電池モジュールの他のサブモジュール22は非接続動作モードで動作する(各スイッチング回路24の充電トランジスタおよび/または放電トランジスタが「オフ」または非伝導状態で)。したがって、一実施態様において、電池モジュール10は、異なる瞬間に複数の異なるモードで動作するように設定され、異なる数の充電式のセル26が、電気エネルギーを負荷に供給しまたは充電器から充電電気エネルギーを受け取る。
【0040】
本発明に記載するように、電池モジュール10(または、例えば図5で後述する電池システム100)の異なる部分が、接続動作モードまたは非接続動作モードで独立に制御される。サブモジュール22のそれぞれが接続動作モードまたは非接続動作モードとなるように、サブモジュール22のスイッチング回路24は、それぞれ開かれ、または閉じられる。システムが停止した場合、サブモジュール22全てを非接続動作モードにするように、全てのサブモジュール22のスイッチング回路24は開かれる。したがって、1つの電池モジュール10または電池システムの複数の電池モジュール10のサブモジュール22は、非接続動作モードにされる。さらに、1つの電池モジュール10を含む配置に対しては、1つの電池モジュール10が非接続動作モードにされた場合、1つの電池モジュール10のサブモジュール22のスイッチング回路24が開かれる。複数の電池モジュール10を含む配置に対しては、1つの電池モジュール10が非接続動作モードにされ、電池システムの他の電池モジュール10は接続動作モードにされる。
【0041】
後述するように、電池システムは、複数の電池列に配置された複数の電池モジュール10を含む。電池モジュール10の電池列は、接続動作モードおよび非接続動作モードにおいて独立に動作するように制御される。電池モジュール10の1つの電池列のサブモジュール22のスイッチング回路24は、その電池モジュール10の電池列を非接続動作モードにするように開かれる。他のサブモジュール22および/または電池モジュール10(電池モジュール10の他の電池列に配置されてもよい)のスイッチング回路24は閉じられ、他のサブモジュール22および/または電池モジュール10を接続動作モードにする一方、あるサブモジュール22または電池モジュール10は非接続動作モードで動作される。1つの具体例では、ある電池モジュール10の1つのサブモジュール22は接続動作モードにされ、一方、その電池モジュール10の他のサブモジュール22は非接続動作モードにされる。ある実施態様では、ある電池列の1つの電池モジュールは非接続動作モードにされ、一方、同じ電池列の1つまたはそれ以上の他の電池モジュール10は接続動作モードにされる(例えば、以下の図5Aの実施例の態様についての記載を参照のこと)。
【0042】
したがって、1つの実施態様において、電池モジュール10または電池システム(例えば、複数の電池モジュール10からなる)の様々な部分は、接続動作モードまたは非接続動作モードで独立に動作される。実施例の態様において、接続動作モードと非接続動作モードの間の動作の制御は、サブモジュールレベル、電池列レベル、および/または全電池システムレベルで実行される。さらに、電池モジュール10または電池システムは、異なる瞬間にいくつのセル26が接続動作モードまたは非接続動作モードで動作しているかに基づいて、異なる瞬間に電気エネルギーを受け取るまたは供給するように構成された、異なる数のセル26を有する。ある電池モジュール10がサブモジュール2つを有し、ある瞬間に1つのサブモジュール22のみが非接続動作モードにある場合、サブモジュール22が同じ数および配置のセル26を含んでいれば電池モジュール10の容量は半分に減少する。
【0043】
上述のように、サブモジュール22は、電池モジュール10の通常動作の間、電気エネルギーを供給し、および/または受け取るように、接続動作モードで動作する。しかしながら、種々の理由から、1つまたはそれ以上のサブモジュール22が非接続動作モードで動作することが好ましい。例えば、サブモジュール22の内部セル26が電池モジュール10の動作中に不良または故障したとき、電池モジュール10、電池システム(存在する場合)、負荷、および/またはたの回路を保護するために、不良のセル26を有するサブモジュール22を非接続動作モードにすることが好ましい。一実施態様において、非接続動作モードにあるサブモジュール22は、電池モジュール10において、取り外されそしておそらく交換される。その後、電池モジュール10に供給された、新しい、整備された、交換されたサブモジュール22が、接続動作モードで動作を行う。さらに、一実施態様において、電池モジュール10の他のサブモジュール22は、サブモジュール22が非接続動作モードの間、接続動作モードで動作を続ける。
【0044】
他の例において、電池モジュール10は、電池モジュール10の外部から、電池モジュール10の全てのサブモジュール22を非接続動作モードで動作するよう要求するコマンドを受け取り、電池モジュール10のそのサブモジュール22は、その要求の受領に応答して、非接続動作モードで動作するように制御される。具体例において、そのコマンドは、電池モジュール10の外部で(例えば、電池システムの他の部品において)生じたアラーム状態に応答して、負荷から、充電器から発生される。したがって、一実施態様において、1つまたはそれ以上のサブモジュール22は、1つまたはそれ以上のサブモジュール22の外部に存在するアラーム状態に応答して、非接続動作モードで動作するように構成される。
【0045】
一実施態様において、サブモジュール22は接続動作モードおよび非接続動作モードで選択的に動作するように構成されており、これにより電池モジュール10は柔軟に実行できて、1つまたはそれ以上の不良または故障したセル26が存在した場合でも動作を続行できる。特に、各サブモジュール22の1つまたはそれ以上のセル26が故障した場合(あるいは各サブモジュール22の動作を停止させることが好ましい場合)、各サブモジュール22のスイッチング回路24は開かれて各サブモジュール22は非接続動作モードとなり、一方、電池モジュール22の他のサブモジュール22は接続動作モードで動作し続ける。1つまたはそれ以上のサブモジュール22が非接続動作モードになると電池モジュール10の容量は減少するが、少なくとも1つの電池サブモジュール22が接続動作モードで動作しており、電池モジュール10は接続動作モードで動作し続けることができる利益がある。接続動作モードで動作する電池モジュール10のサブモジュール22がない時、電池モジュール10は非接続動作モードにあると考えられる。さらに、接続動作モードで動作する電池モジュール10がない時、電池システムは非接続動作モードにあると考えられる。
【0046】
充電式のセル26はサブモジュール端子17、18の中間に直列の電池列に配置され、所望の電圧を供給する(例えば、上述の3.2Vのセル4つを直列に接続すると12.8Vを供給する)。他の実施態様では、他の数のセル26が直列に接続されている(例えば、ある実施例態様ではセル26が2〜24個直列に接続されている)。さらに、セル26が直列に接続された複数の電池列が、サブモジュール端子17、18の間に並列に接続されて所望の容量を供給する。一例では、セル26の45の電池列がサブモジュール22の中で並列に接続される。他の実施態様では、他の数の電池列がサブモジュール22内部で接続される。
【0047】
さらに後述するように、一実施態様において、サブモジュール回路28は蓄積回路29を有する。一実施態様において、蓄積回路29は各サブモジュール22それぞれについて情報を蓄積するように構成される。一実施態様において、蓄積回路29は、電池モジュール10の充電および放電についての情報を蓄積するように構成される。例えば、蓄積回路29は、サブモジュール22の構成に関する情報(例えば、セル26の数および配置)、およびサブモジュール22の過去の使用に関する履歴情報を蓄積する。蓄積回路29は、蓄積された情報をそれに続く回復の為に保持するように構成された適切なメモリとして実行される。
【0048】
一実施態様において、蓄積回路29の内部に蓄積された構成情報は、電池モジュール10内部のそれぞれのサブモジュール22を用いるのを促すための情報からなる(例えば、電池モジュール10内の故障したサブモジュール22を交換する時)。構成情報は、それぞれのサブモジュール22について少なくとも1つの動作を制御または実行するために処理回路44(図4について後述される)によって用いられる。例えば、処理回路44は、それぞれのサブモジュール22を充電および/または放電を実行するための構成情報を用いる。一実施態様では、蓄積回路29は、サブモジュール22内部に含まれているセル26の化学組成に関する構成情報を有し、また例えばサブモジュール22を充電するのに必要とされる充電電流、および実質的に充電された状態においてセル26に必要とされる電圧範囲を指定する。蓄積回路29は、サブモジュール22内に含まれるセル26、バンク30、電池列31(図3において一例として後述される)の数に関する構成情報、および、それぞれの電池モジュール10にサブモジュール22を設置する際に、モジュール回路20によってそれぞれのサブモジュール22が監視される際に用いられるタップまたはポートに関する情報を有する。
【0049】
蓄積回路29はまた、サブモジュール22の過去の使用履歴に関する履歴情報を含む。例えば、サブモジュール22の充電/およびまたは放電に関する履歴情報が蓄積される。一実施態様において、サブモジュール22の電気特性(例えば、電圧、充電電流/およびまたは放電電流、充電状態など)などの1つまたはそれ以上の動作パラメータが、サブモジュール22の使用中の異なる瞬間に蓄積される。一実施態様において、サブモジュール22の使用に関する一時的な情報が蓄積される。例えば、電気特性に関して蓄積される情報に対応する日付および時刻の情報が蓄積される。一時的な情報は、サブモジュール22が使用された時間の長さを示すために蓄積される。
【0050】
蓄積される履歴情報のさらに具体的な例は、サブモジュール22の充電および/または放電サイクル数、サブモジュール22の充電または放電状態、サブモジュール22の使用中に存在するアラーム状況またはアラーム発生の数(例えば,使用中にサブモジュール22の推奨しきい値を超えたこと)を含む。この情報は、後続の回復のために記録されるある形式の情報を表す。サブモジュール22に関する他の情報も記録される。蓄積された、または記録された情報は、例えば、保証の目的のためにそのサブモジュールが使用されるかを決定するために、サブモジュール22の製造者(または他の適切な団体)によって利用される。サブモジュール22は、サブモジュール22の不良原因を決定しようと試みるために記録された情報にアクセスする製造者へ、顧客から返却される。
【0051】
蓄積回路29に加え、一実施態様において、サブモジュール回路28は、モジュール回路20と通信を行うためにインターフェース回路(図示せず)を含む。サブモジュール回路28は適切な相互接続またはタップ(図示せず)を含み、外部回路がサブモジュール22の電気特性(例えば、セル26の電圧、サブモジュール22に流れる電流など)を監視することを可能とする。サブモジュール回路28はまた温度検出装置、および、それに関連して使用中にサブモジュール22の温度を監視するための相互接続を含む。
【0052】
図3には、一実施態様による、2つのサブモジュール22を含む電池モジュール10の1つの詳細な構成が示される。サブモジュール22は、サブモジュール端子17,18の中間に接続されたセル26の複数の電池列31を含む。図3の構成では2つの電池列31が示されるが、他の実施態様ではセル26の電池列の数が異なっていてもよい。互いに並列に接続された電池列31のセル26は、セル26のバンク30と呼ばれる。上述のように、スイッチング回路24は、各サブモジュール22のセル26の電池列31を電池端子13に選択的に接続し、または切り離すことによって、各サブモジュール22がそれぞれ接続動作モードおよび非接続動作モードとなるように制御される。
【0053】
サブモジュール22は、サブモジュール22のそれぞれのセル26とサブモジュール端子18の間に接続された抵抗34を含む。抵抗34の電圧は、充電動作中にサブモジュール26に流れ込む電流量、または放電動作中にサブモジュール26から流れ出す電流量を決めるために監視される。
【0054】
図に示されたサブモジュール22は、セル26のバンク30と並列に接続された複数の平衡回路36を含む。充電動作中、セル26は端子13,14を通して受け取られた電気エネルギーを用いて充電される。しかしながら、各セル26はセル26間の違い(例えば、セル26の製造上の公差)によって、異なる速度で充電される。平衡回路36は、セル26の異なるバンク30間の電圧差を減少させるために設けられる。各平衡回路36は、セル26の各バンク30を横断して抵抗と直列に接続されたトランジスタを含む。トランジスタは、セル26のバンク30が、完全に充電されたセル26の電圧に対応する電圧しきい値に達するまで開けられるように構成される。そのしきい値に達すると、各平衡回路36のトランジスタは、セル26の各バンク30周囲の電流を分岐する。平衡回路36の分岐は、セル26の各バンク30の充電を減少、または止める動作を行う。各電圧しきい値となっていないセル26の他のバンク30は、セル26のバンク30がそのしきい値に達するまで充電を続ける。したがって、一実施態様において、バンク30のセル26の電圧は、各バンク30のセル26周囲の充電電流の分岐を制御するために用いられる。
【0055】
さらに、一具体例において後述するように、サブモジュール22のスイッチング回路24は、充電動作中に各サブモジュール22のセルの充電を制御するために利用される。
【0056】
図4では、通信インターフェース40、蓄積回路42および処理回路(制御回路)44を含むモジュール回路(制御回路)20の一実施態様が示される。
【0057】
通信インターフェース40は、サブモジュール22が、例えばサブモジュール回路28、または後述する動作回路などの外部回路と通信を行うように配置される。通信インターフェース40は、例えば、直列接続または並列接続、USBポートまたはファイヤーワイヤーインターフェースなどの適切なインターフェースとして実行されてもよい。
【0058】
蓄積回路42は、実行コード、または命令(例えば、ソフトウェアおよび/またはファームウェア)、電子データ、データベース、または他のデジタル情報といったプログラミングを蓄積するように設定され、プロセッサが使用可能な媒体を含む。プロセッサが使用可能な媒体は、コンピュータプログラム製品または製造品で具体化され、これらの製品は、具体的な実施態様において、処理回路を含む命令実行システムによって使用され、または関連するプログラミング、データおよび/またはデジタル情報を含み、蓄積し、または維持することができる。例えば、典型的なプロセッサが使用可能な媒体は、電子媒体、磁気媒体、光学媒体、電磁媒体、赤外線媒体、または半導体媒体などの物理的な媒体のいずれをも含む。プロセッサが使用可能な媒体のより具体的な例は、フロッピー・ディスクなどのポータブル磁気フロッピー・ディスク、ジップディスク、ハードディスク・ドライブ、ランダム・アクセス・メモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、および/またはプログラミング、データまたは他のデジタル情報を蓄積可能な他の機器を含むがこれらに限られない。
【0059】
一実施態様において、処理回路44は、データを処理し、データのアクセスおよび蓄積を制御し、コマンドを出し、そして他の所望の動作を制御するように配置される。処理回路44は、例えば電池モジュール10の充電および/または放電について電池モジュール10の動作を制御するように構成される。例えば、処理回路44は、各サブモジュール22のスイッチング回路24を制御して、サブモジュール22(または電池モジュール10)が非動作モードの間、サブモジュール22のセル26を端子13,14から電気的に切り離し、またはサブモジュール22および電池モジュール10が動作モードの間、サブモジュール22のセル26を端子13,14に電気的に接続する。
【0060】
処理回路44は、電池モジュール10の動作を監視するように構成される。例えば、処理回路44は、電池モジュール10のサブモジュール22のセル26の電気的特性(例えば、電圧、電流、充電状態)などの動作パラメータや温度情報を監視し、監視された結果について蓄積回路29および/または42を用いてデータの蓄積を制御する。例えば、上述のように、処理回路44は、サブモジュール22の蓄積回路29および/または42を用いてサブモジュール22の履歴情報の蓄積を制御する。
【0061】
処理回路44は、サブモジュール22の蓄積回路29からの情報にアクセスするように構成される。例えば、処理回路44は、例えば上述のような、電池モジュール10で利用されるサブモジュール22の構成を特定する構成情報にアクセスする。一実施態様において、処理回路44は、不良サブモジュール22と交換するために電池モジュール10に挿入されたサブモジュール22に関する情報にアクセスするために構成情報を利用する。
【0062】
処理回路44はまた、他の回路、例えば後述する共通電池システム100で用いられる他の電池モジュール10の他の処理回路44、後述する電池システムの動作回路および/または他の装置、と通信するように構成される。さらに後述するように、処理回路44は、電池モジュール10の外部からコマンドを受け取り、コマンドに対応して接続動作モードと非接続動作モードの間で電池モジュール10の動作を制御するように構成される。処理回路44はまた、電池モジュールに関する状況情報(例えば、電池モジュール10が接続動作モードまたは非接続動作モードで動作していること、電池モジュール10の電気特性の状況)を示す状況メッセージを、他の処理回路44および/または動作回路106に出力するように構成される。
【0063】
処理回路44は、少なくとも1つの実施態様において、適切な媒体によって与えられた所望のプログラミングを実行するように構成された回路を有する。例えば、処理回路44は、例えば、ソフトウェアおよび/またはファームウェア命令、および/またはハードウェア回路を含む、実行可能な命令を実行するように構成された1つまたはそれ以上のプロセッサおよび/または他の機構として実行される。処理回路44の具体的な実施態様は、ハードウェア論理、PGA、FPGA、ASIC、状態機械、および/または他の機構のみ、またはこれらとプロセッサとの組み合わせを含む。処理回路のこれらの例は説明を目的としており、他の機構も可能である。
【0064】
本発明の少なくともある実施態様は、適切な媒体(例えば、上述の蓄積回路42)内部に蓄積されたプログラミングを用いて実行され、適切な処理回路44を制御するように構成される。プログラミングは、例えば、製造品内に具体化されたものを含む適切な蓄積媒体を通して供給される。
【0065】
上述のように、処理回路44は、サブモジュール22の種々の動作パラメータの状況を監視し、一実施態様において、監視結果に対応する動作制御(例えば、サブモジュール22内のアラーム状態を検出した処理回路22の監視結果に対応して、サブモジュール22を非接続動作モードにする)を含むサブモジュール22の種々の動作を制御するように構成される。処理回路44はまた、制御回路とも呼ばれる。
【0066】
一実施態様において、処理回路44は、電圧監視回路50、電流監視回路52、および温度監視回路54(これらは記載される実施例においてサブモジュール22の電圧、電流及び温度の動作パラメータを監視する)、および、サブモジュール22のそれぞれのスイッチング回路24に接続される切換え論理回路56を含むサブモジュール22の回路と接続される。
【0067】
電圧監視回路50は、サブモジュール22の電圧の状況情報を与えるように構成される。例えば、電圧監視回路50は、各セル26および/またはセル26の電池列31の電圧を与える。
【0068】
電流監視回路52は、サブモジュール22に流れ込む、および/またはサブモジュール22から流れ出す電流の状況情報を与えるように構成される。例えば、一実施態様において、電流監視回路52は、図3の抵抗34を含む。
【0069】
温度監視回路54は、サブモジュール22の種々の部品および部分に関する温度の状況情報を与えるための1つまたはそれ以上のトランジスタ、または他の適切な回路を含む。
【0070】
一実施態様において、処理回路44は、各電池モジュール10の動作中のアラーム状態の存在を監視する。例えば、処理回路44は、それぞれのしきい値について動作パラメータ(例えば電気特性、温度)を監視し、切替えの限界値となる動作パラメータに応答するアラーム状態を示す。例えば、処理回路44はサブモジュール22のセル26の電圧が所望の範囲内(例えば、各セルに対して2ボルト−3.8ボルトの範囲)であることを監視し、1つまたはそれ以上のセル26の電圧が切替え限界値となった場合(すなわち、1つまたはそれ以上のセル26の電圧が所望の範囲を下回るまたは超えることを示す)にアラーム状態を示す。同様に、処理回路44は、所望の範囲についてサブモジュール22に流れ込む、または流れ出す電流を監視し、電流がその範囲の所望のしきい値を下回るまたは超えた場合に、アラーム状態を示す。処理回路44は、所望の範囲についてサブモジュール22の温度を監視し、温度がその範囲の所望のしきい値を下回るまたは超えた場合に、アラーム状態を示す。
【0071】
さらに後述するように、アラーム状態が検出された電池モジュール10の処理回路44は、存在するアラーム状態に応じて動作を開始する。例えば、一実施態様において、処理回路44は、アラーム状態にあるサブモジュール22に、非接続動作モードに入るように命令する。もう一つの例では、処理回路44は、アラーム状態を含む対応する電池モジュール10を非接続動作モードに入らせ、その電池モジュール10の停止を開始する。アラーム状態を有する電池モジュール10の処理回路44は、動作回路106(図5)に、アラーム状態の検出、そして結果としてこれは電池システムの1つまたはそれ以上の他の電池モジュール10が非接続動作モードとなること、または、おそらく、電池システムの全ての電池モジュール10が非接続動作モードにあるシステムの停止にあること、を知らせる。
【0072】
停止と別の、またはそれに加えた他の動作は、他の実施態様において実行される。例えば、範囲外の温度が検出された場合、処理回路44は、ファンまたは他の適切な装置を制御して、電池モジュール10またはサブモジュール22内部の温度を、許容範囲内にする。もう一つの例では、各セル26についてアラーム状態が検出された場合(例えば、セル26に対する過電圧)、処理回路44は、アラーム状態にあるそのセル26を含むサブモジュール22を非接続動作モードに入るように制御する。
【0073】
処理回路44は、一実施態様において、監視された動作パラメータについての履歴情報を作成し、各サブモジュール22の蓄積回路29を用いて状況履歴情報を蓄積する。一例では、処理回路44は、異なる瞬間、および動作パラメータの監視中に検出されたアラーム状態における種々の動作パラメータの値(例えば、電圧、電流、充電/放電サイクル、温度、充電状態など)の蓄積を制御する。一実施態様において、蓄積された情報は、後に、サブモジュール22の使用を決定し、そしておそらくサブモジュール22の誤使用を特性するために保証目的で利用される。
【0074】
一実施態様において、電池モジュール10の処理回路44は、各電池モジュール10の動作パラメータの状況情報およびアラーム状態を、電池システムの動作回路(一実施態様において、動作回路106が図5に示される)と通信する。
【0075】
後述する電流の急激な流れを制限し、またはバランスのとれた充電を提供するために、処理回路44は、サブモジュール22のスイッチング回路24を制御するために、例えばサブモジュール22を接続動作モードまたは非接続動作モードにするために、切換え論理回路56を用いる。一実施態様において、スイッチング回路24は1つまたはそれ以上の充電トランジスタ、および1つまたはそれ以上の放電トランジスタを含み、切換え論理回路56は、処理回路44からの充電トランジスタおよび放電トランジスタに対する各制御信号に対応して、実質的に同時に、その1つまたはそれ以上の充電トランジスタに実質的に同じバイアス電圧をかけ、実質的に同時にその1つまたはそれ以上の放電トランジスタに実質的に同じバイアス電圧をかけるように構成される。
【0076】
一実施態様において、電池モジュール10のセル26の充電中に、電池モジュール10の異なるサブモジュール22のセル26が実質的に同じ充電状態にある、電池モジュール10の複数のサブモジュール22が実質的にバランスのとれた充電がされることが求められる。一実施態様において、複数のサブモジュール22の実質的にバランスのとれた充電を提供するために、処理回路44は、サブモジュール22の1つまたはそれ以上のセル26の電気特性を監視し、充電中にサブモジュール22に与えられる電気エネルギー量を制御するためにその監視結果を用いる。一実施態様では、各サブモジュール22の各セル26が監視され、あるいは各サブモジュール22のセル26の累積電圧が監視されてもよい。一実施態様において、サブモジュール22のセル26の監視結果に基づいて、充電電気エネルギーの異なる量が電池モジュール10の異なるサブモジュール22に与えられる。
【0077】
一例において、処理回路44は、セル26の充電動作中に、各サブモジュール22のセル26のそれぞれおよび/または累積電圧を監視するために、電圧監視回路50を用いる。一実施態様において、サブモジュール22の監視結果に対応して、各サブモジュール22のセルの充電を制御するため、サブモジュール22に異なる量の電気エネルギーを与えるのを制御するために、処理回路44はサブモジュール22のスイッチング回路24のトランジスタにかけるバイアスを異なる導電状態に制御する。例えば、電池モジュール10の第1のサブモジュール22のセル26が、電池モジュール10の第2のサブモジュール22のセル26より速く(そしてより高い電圧で)充電されている場合、処理回路44は、各サブモジュール22のセル26の充電をバランスさせようとして(すなわち、複数のサブモジュール22のセル26を実質的に同じ充電状態にしようとして)、第1のサブモジュール22のスイッチング回路24のトランジスタにかけるバイアスを制御し、第2のサブモジュール22のスイッチング回路24のトランジスタの抵抗に比較して、トランジスタの抵抗をより増加させる。より具体的には、第2のサブモジュール22のスイッチング回路24は、第1のサブモジュール22のスイッチング回路24によって流される充電電流に比べて、より多くの充電電流を流す。一実施態様において、処理回路44は、各サブモジュール22に与えられる充電電流を制御することによって、各サブモジュール22のセル26の電圧を制御するように構成される。
【0078】
図5には、電池システム100の一実施態様が示される。図5に明示された電池システム100は、異なる電圧レベル(例えば、正電圧とアース)で供給される複数のシステム端子101,103を含む。電池システム100は、例えば、負荷および/または充電器などの、1つまたはそれ以上の外部装置102に電気的に接続されるように構成される。電池システム100は、システム端子101,103に接続された負荷に電気エネルギーを供給するように構成される。さらに充電器は、システム端子101,103に接続され、電池システム100を充電するために充電電流を供給するように構成される。
【0079】
図示した態様の電池システム100は、電池部104、動作回路106(あるいは電池動作ユニットまたはBMUと呼ばれる)、および接触回路110を含む。
【0080】
電池部104は、複数の充電式の電池107からなる。一実施態様において、電池107は、電池モジュール10として実行される。本明細書において、電池システム100の動作が、電池モジュール10に関して説明されるが、電池システム100の他の実施態様において、電池107の他の構成を用いることができる。電池部104は、負荷によって使用される電気エネルギーを蓄積するように構成される。電池部104は、電池部104の放電動作中に負荷に電気エネルギーを供給し、電池部104の充電動作中に充電器から電気エネルギーを受け取る。
【0081】
図示された電池部104は説明のためのものであり、電池部104においては電池107の他の構成が可能である。図示された実施態様において、電池107はシステム端子101,103の中間に位置する複数の各電池列105において、直列に配置される。図5において電池107の配置は、電池107の電池列105の並列組である。さらに、電池107は、複数のバンク108に配置されて、負荷を動作させるために端子101,103に所望のシステム電圧を供給する。電池107は、電池システム100の所望の電圧および/または動作容量を提供するために、他の所望の構成で配置されてもよい。
【0082】
動作回路106は、図4に関して上述されたモジュール回路20と同様の回路を有する。例えば、動作回路106は、電池部104の電池の負荷、充電器、および/または回路と通信するためにインターフェース回路を有する。動作回路106は、情報を処理し、例えば電池107を含む電池システム10の動作を制御するために、負荷、充電器、および電池107との通信を実行するように構成された処理回路を含んでもよい。
【0083】
一具体例において、動作回路106は、電池システム100に関する状況情報(電池システム100の充電状態、電圧、電流)の、外部装置102(例えば、負荷および/または充電器)への出力を制御する。一実施態様において、負荷または充電器における制御装置は、電池システム100から受け取った情報を用いて負荷または充電器の動作を変える(例えば、電池システム100の充電状態がしきい値より小さいことに対応して、より少ない電力消費モードにするように負荷を制御する、または充電電流を増加または減少させるように充電器を制御する)ように構成される。
【0084】
さらに、動作回路106は外部装置102(例えば負荷または充電器)から情報を受け取り、それに対応して電池システム100の動作を変える(例えば、電池システム100を停止するためのシステム停止コマンドを出す)。一実施態様において、動作回路106と外部装置102は、CAN Busネットワークを通して通信するが、他の構成も可能である。
【0085】
動作回路106は、一実施態様において、電池システム100に存在する電池107のそれぞれに、対応する固有のアドレスを割り当てることによって、各電池107の論理アドレスを実行するように構成され、そのアドレスは通信のために用いられる。さらに、動作回路106は、後述するように、1つまたはそれ以上の接触器112,118の動作を制御する。
【0086】
一実施態様において、動作回路106は、電池107の充電を制御するように構成される。上述のように、外部装置102は、端子101,103を通して電池107に充電電気エネルギーを供給するように構成された充電器である。一実施態様において、動作回路106は、電池107の充電動作中に、電池107が実質的にバランスのとれた充電となる(例えば、電池107を実質的に同じ充電状態にする)ように構成される。例えば、各電池107の処理回路44は、各電池107の電気特性に関する情報(例えば、セルの電圧またはセルの充電情報の状態など)を、動作回路106に伝える。電池107を実質的にバランスのとれた状態で充電するために、動作回路106は、異なる電池107に与える異なる量の充電電気エネルギーを制御するため、電池107の各処理回路44を制御する制御信号を与える。
【0087】
例えば、動作回路106は、電池107(一例では電池モジュール10として実行される)の処理回路44に制御信号を与える。電池107が実質的に均バランスのとれた充電を達成するため、処理回路44は、各電池107(好ましい例では電池モジュール10として構成される)のスイッチング回路24に所望のバイアスを実行するために受け取った制御信号を使う。一例では、1つの電池107が他の電池107より高い充電状態にある場合、その電池107とバランスをとる(例えば、電池107を同じ充電状態とする)ため、他の電池107をより速い速度で充電するため、他の電池107に(その電池107によって受け取られた電気エネルギーに比べて)より多くの電気エネルギーを受け取らせるために、動作回路106は、その電池107のスイッチング回路24のバイアスを減少させるように、高い充電状態を有するその電池107の処理回路44に制御信号を発する。一例では、他の電池107より高い充電状態にある1つの電池107は、他の電池107が充電エネルギーを受け取っている間、(例えば、その電池107のスイッチング回路24を用いて)充電器から切り離される。
【0088】
動作回路106は、(例えば、図示されない動作回路106の蓄積回路内で、)電池システム100の動作中、情報の蓄積を制御することによって、データロギング機能を与える。例えば、動作回路106はその寿命にわたって、または他の所望される使用において、アラーム状態の発生、動作パラメータ(例えば、電圧、電流、温度、充電状態など)、および電池100に流入したまたはそこから流出した全電流量についての情報を蓄積する。
【0089】
一実施態様において、動作回路106は充電器と通信を行うように構成される。例えば、その通信は、電池システム100の充電が適切であるときに充電器にそれを示したり、電池システム100の電池107が完全に充電されたので、充電を停止することを充電器に示す。充電器との他の通信が可能である。
【0090】
一実施態様において、動作回路106は、電池システム100のシステム動作を制御するように構成される。例えば、電池システム100の動作温度が所望の動作範囲(例えば、0〜50℃)外に変化した場合、動作回路106はファンや、加熱または冷却要素(図示せず)を制御して、電池システム100の動作温度を適切な範囲内とする。
【0091】
前述のように電池モジュール10および電池システム100は、異なる瞬間に、それぞれ接続動作モードおよび非接続動作モードで動作可能である。電池モジュール10の動作モードにおいて、外部装置102は電池モジュール10の電池端子13,14(図3)に電気的に接続されている。例えば、負荷が電池端子13,14に接続され、電池モジュール10は負荷に供給する電気エネルギーを与える。他の例では、充電器が電池端子13,14に接続され、電池モジュール10は電池モジュール10を充電するために、充電器から充電電気エネルギーを受け取る。他の瞬間、電池モジュール10は、電池モジュール10は電気エネルギーを供給せず、受け取りもしない(すなわち、放電中でも充電中でもない)非接続動作モードにあり、例えば、電池モジュール10のスイッチング回路24を用いて、外部装置102(例えば、負荷および/または充電器)から電気的に切り離されている。電池モジュール10は、電池部104の他の電池モジュール10と独立に、接続動作モードおよび非接続動作モードで動作する。
【0092】
電池システム100および/または外部装置102(例えば、負荷または充電器)は、電池107が異なる動作モード間で移行する(例えば、電池モジュール10として実行されている電池107が非接続動作モードから接続動作モードに移行する)間、急激に流れる過電流の影響を受ける。電池システム100および/または電池システム100に接続された外部装置102を急激に流れる過電流から保護するために、異なる配置について議論が進められる。第1の例においては、接触回路110が電流の急激な流れを制限するために設けられ、一方第2の例においては、電池107が電池モジュール10として実行され、電池モジュール10のサブモジュール22のスイッチング回路24が電流の急激な流れを制限するために利用される。電池モジュール10は、電池端子13,14とセル26に流れる電気エネルギー量を、電池モジュール10および/または外部装置102に対する損傷が起きる可能性のあるしきい値を下回るレベルに制限するように構成される。
【0093】
接触回路110は、電池モジュール10、電池システム100および/または外部装置102を損傷する可能性のある急激な過電流を流すことなく、電池システム100を負荷または充電器といった外部装置102と電気的に接続するように構成される。図示された実施態様において、接触回路110は主接触器112および事前充電接触回路114、これらはそれぞれ第1の接触回路および第2の接触回路ともよばれる、を含む。
【0094】
主接触器112および事前充電接触回路114は、個々に接続動作モードおよび非接続動作モードで動作するように構成される。主接触器112および事前充電接触回路114が接続動作モードにあるとき、接触器112,118は個々に閉じられ、電池107を、システム端子101,103に電気的に接続された外部装置102に電気的に接続する。主接触器112および事前充電接触回路114が非接続動作モードにあるとき、接触器112,118は個々に開き、電池107をシステム端子101,103に接続された外部装置102から電気的に切り離すように動作する。後述のように、接続動作モードで動作している事前充電接触回路114は、接続動作モードで動作している主接触器112に比べて少ない電流量が流されるように構成される。
【0095】
動作回路106は、一実施態様において、電池部104が外部装置102(例えば、負荷または充電器)から電気的に切り離されているある瞬間から、それに続く電池部104が外部装置102に電気的に接続されている瞬間の間の移行時間にわたって、接触回路110を制御するように構成される。例えば、動作回路106は、電池システム100に流入するまたは流出する急激な過電流を防ぐため、電池システム100が外部装置102に接続されている時、接触回路110が開となるように制御する。外部装置102が電池システム100に電気的に接続された後、電池システム100が非接続動作モードから接続動作モードに移行する間、動作回路106は、接触回路112を開き続ける一方、事前充電接触回路114の事前充電接触器118を閉じるように制御する。レジスタ116は、電池システム100または外部装置102の部品または回路に損傷を与えない程度に電流を制限するように機能する。その後、(例えば、電池システム100および/または外部装置102の静電容量を充電するために)事前充電接触回路114を用いて許容できる時間電流が流された後、あるいは急激な過電流を避けることができる適切な時に、動作回路106は、電気エネルギーを電池部104から負荷に供給する、または充電電流を充電器から電池部104に供給するために、主接触器112を閉じるように制御する。一実施態様において、主接触器112および事前充電接触回路114の両者は、電池部104をシステム端子101から電気的に切り離すために、動作回路106によって実質的に同時に開けられる。
【0096】
上述のように、一実施態様において、電池107は電池モジュール10を用いて実行される。電池モジュール10の各サブモジュール22のスイッチング回路24は、電池モジュール10または複数の電池モジュール10を有する電池システム100が非接続動作モードから接続動作モードに移行する時(例えば、電池モジュール10または電池システム100が、負荷および/または充電器などの外部装置102に電気的に接続され始めた時)、急激な過電流を制限するように制御される。一例においては、接触回路110は省略され、電池モジュール10のスイッチング回路24を用いて急激な過電流が全て制限されてもよい。図5において、接触回路110が省略されて、電池部端子120と電池端子101が同じノードにあってもよい。この例では、電池システム100の電池モジュール10の充電式のセル26は、接触器の空間である接続回路(例えば、端子120と外部装置102の中間の回路)を通して外部装置102と電気的に接続される。他の一例においては、接触回路110とスイッチング回路24の両者が、急激な過電流を制限するのに利用される。
【0097】
接触回路110が省略される一実施態様において、処理回路44は、スイッチング回路24(図2)が急激な電流の流れを制限するように制御するように構成される。一例において、サブモジュール22のスイッチング回路24の充電トランジスタは、非接続動作モードにおいて電池モジュール10が動作している間バイアスがオフにされる。その後、電池モジュール10を電気的に充電または放電することが望ましい。システム端子101,103を負荷または充電器につないだ後に、処理回路44は、充電トランジスタをある時間にわたってバイアスするバイアス電圧を増加させて、電池モジュール10のスイッチング回路44の充電トランジスタにかけるバイアスをオフからオン状態にする。例えば、異なる実施態様において、傾斜状バイアス電圧またはステップ状バイアス電圧が用いられる。一例においては、放電トランジスタは既にオンでバイアスされており、続いて充電トランジスタをオフ状態からオン状態にして、電池システム100および外部装置102の静電容量を充電するのに十分な時間、そして電池システム100または外部装置102に与える損傷を避けるのに十分な時間にわたり、バイアスする。
【0098】
他の一例においては、スイッチング回路24の放電トランジスタおよび充電トランジスタの両者が、電池システム100および/または外部装置102に与える損傷を避けるための時間にわたって、実質的に同時にバイアスされる。一例においては、スイッチング回路24の適切な充電トランジスタおよび/または放電トランジスタが、ある時間(例えば、一実施例においては約2秒)にわたって(オフ状態から完全にオン状態にされ)オンでバイアスされる。
【0099】
バイアスは、電池モジュール10に流れる電流を、電池システム100および/または外部装置102の電気回路の損傷が起こる可能性があるしきい値を下回る程度まで制限するように構成される。バイアス電圧は、電池モジュール10および/または電池システム100が非接続動作モードから接続動作モードに移行する間の時間にわたって、電池モジュール10のスイッチング回路24をオフからオンにしてバイアスするようにかけられる。
【0100】
上述のように、いくつかの実施態様において、接触回路110および電池モジュール10のスイッチング回路24の両者は、急激な過電流を損傷のない許容可能な程度まで制限するために用いられる。例えば、一実施態様において、接触器112が閉じられた後、スイッチ回路24は、傾斜状またはステップ状にバイアスがオンでかけられる。
【0101】
電池システム100が電気エネルギーを負荷に供給し、または充電器から電気エネルギーを受け取る動作中、1つまたはそれ以上の電池107は部分的または完全に故障する可能性がある。上述のように、一実施例において電池107は電池モジュール10として実行される。電池モジュール10は複数のサブモジュール22を有する。例えば、サブモジュール22の1つが故障すると、電池モジュール10が部分的に故障する。上述のように、故障したサブモジュール22は非接続動作モードにされ、一方電池モジュール10の1つまたはそれ以上の他のサブモジュール22は接続動作モードで動作し続ける。
【0102】
図5において、電池107の電池列105は、個々に接続動作モードまたは非接続動作モードで動作し、接続動作モードまたは非接続動作モードでは、それぞれ、電池107の電池列105は外部装置102と電気的に接続され、または外部装置102から電気的に切り離される。電池モジュール10として実行される電池107の電池列105は、全ての電池列105の電池モジュール10が接続動作モード(すなわち、電池列105の各電池モジュール10のそれぞれのサブモジュールの少なくとも1つが接続動作モードである)にある限り、接続動作モードで動作し続ける。接続動作モードで接続動作している、電池列105の電池107は、負荷に電気エネルギーを供給し、または充電器から電気エネルギーを受け取るために、システム端子101,103と電気的に接続される。
【0103】
しかしながら、電池システム100の動作中のある瞬間、電池107の1つが完全に故障する(例えば、1つの電池モジュール10の全てのサブモジュール22が非接続動作モードにある)かもしれない。一実施態様においては、故障した電池107を含む電池107の電池列105の全ての電池107は、非接続動作モードで動作するように制御される。例えば、一実施態様において、電池107が電池モジュール10として実行される場合、その電池列105の電池モジュール10のサブモジュール22のスイッチング回路24は開かれて、その電池列105の電池モジュール10を非接続動作モードにし、その電池列105の電池モジュール10はシステム端子101,103から電気的に切り離される。さらに、非接続動作モードにある電池列105の電池モジュール10はまた、スイッチング回路24を開くことにより、お互いに電気的に切り離される。その電池列105の故障した電池107は交換され、その後、電池107の電池列105の動作は、放電または充電のため接続動作モードに戻る。
【0104】
一実施態様において、接続動作モードから非接続動作モードに切替えられたその電池列105の電池モジュール10のスイッチング回路24は、各電池モジュール10のスイッチング回路24にかかる電気的ストレスを減らすために、同じ瞬間に実質的に同時に開かれる。その電池列105のうちの1つの電池モジュール10を非接続動作モードにすることにより、電池列105は停止となる。電池列105のその電池モジュール10は、その電池列105が非接続動作モードにある間、端子101、103の1つから(例えば、それぞれのスイッチング回路24によって)電気的に切り離される。電池107の1つまたはそれ以上の他の電池列105は、その電池列105の1つが非接続動作モードにある間、接続動作モードで動作し続ける。接続動作モードで接続動作しているその電池列105は、負荷に電気エネルギーを供給し続け、または充電器から電気エネルギーを受け取り続ける。
【0105】
したがって、電池システム100は少なくともあるタイプの不良が存在する中で動作し続けるように構成される。例えば、上述のように、1つまたはそれ以上の電池107は接続動作モードで動作し続け、接続動作モードにおいては、1つまたはそれ以上の電池107は、1つまたはそれ以上の他の電池107が非接続動作モードで動作している間、充電電流を端子101,103から受け取り、または負荷に電気エネルギーを供給するように構成される。よって、電池システム100の少なくとも1つの実施態様は、電池レベルで不良が存在しても動作するように構成される。さらに、上述のように、電池107は一実施態様において電池モジュール10として構成される。電池モジュール10として構成される電池システム100の電池107もまた、上述のように、電池モジュール10内部で1つまたはそれ以上のセル26の不良が存在している間、接続動作モードで動作し続ける。したがって、電池モジュール10の形で電池107を含む電池システム100の少なくも一実施態様は、セルレベルで不良が存在する中でも動作する。
【0106】
図5Aには、電池部104aの他の実施態様が示されており、これは電池システム100内において、図5の電池部104の代わりとして用いられることができる。図5Aの電池107の配置または構成は並列の電池列と呼ばれる。
【0107】
より具体的には、電池部104と同様に、電池部104aは端子120,103の中間に並列に接続された電池107の複数の電池列105からなる。しかしながら、図5Aの電池部104aにおいては、複数の交差接続130が電池107の異なる電池列105の中間に設けられる(この交差接続130は図5の電池部104にはない)。
【0108】
より具体的には、図に示される実施態様において、交差接続は、同じバンク108にある異なる電池列105の電池107の正極端子を電気的に接続する動作を行う。図5Aに示されるように、1つのバンク108の電池107の正極端子は、隣り合うバンク108の電池107の負極端子と、複数のノード132で接続されている。交差接続130は、1つの電池列105のノード132を、他の電池列105の複数のノードのそれぞれのノードに電気的に接続して、1つの電池列105の電池107が他の電池列105の対応する電池107と並列になるように電気的に接続する。
【0109】
電池部104aに交差接続130が設けられているため、電池部104aは、図5の電池部104の配置に比べて、不良の存在下においてより容量を増やすことができる。例えば、図5について上述したように、それぞれの電池列105の電池のいずれかが非接続動作モードにある場合、電池列105のそれぞれが非接続動作モードとされる。しかしながら、電池部104aの配置において、非接続動作モードで動作している電池107が存在することによって、その電池107を含む各電池列105は非接続動作モードにならない。これは、接続動作モードで動作している各電池列105の他の電池107は、それぞれの交差接続130および隣り合う電池列105の電池107を通して端子120,103と接続されているためである。
【0110】
したがって、電池列105の1つまたはそれ以上の電池107は、非接続動作モードである同じ電池列105の1つまたはそれ以上の電池107が存在するにもかかわらず、接続動作モードで動作し続ける。例えば、接続動作モードで動作しているある電池列105の1つまたはそれ以上の電池107は(その電池列105の他の電池107は非接続動作モードで動作する一方で)、適切な交差接続130、および接続動作モードにあるその電池107を含む他の電池列105を通して電気エネルギーを受け取り、または供給する。例えば、ある電池列105の接続動作モードで動作している1つまたはそれ以上の電池107は、端子103,120の1つと、接続動作モードにあり、同じバンク108内で、非接続動作モードにあるその電池列105の電池107と並列に接続された、異なる電池列105の電池107を通して電気的に接続される。一実施態様において、電池部104aの電池107の電池列105は、対応する各バンク108に並列に接続された全ての電池107が非接続動作モードにある場合、非接続動作モードにされる。
【0111】
一実施態様において、電池107は上述した電池モジュール10を用いて実行され、電池107は個々に複数のサブモジュール22を含む。上述したように、各電池モジュール10は、1つまたはそれ以上のサブモジュール22が非接続動作モードで動作し、電池モジュールの少なくとも1つの他のサブモジュール22が接続動作モードで動作する場合、接続動作モードで部分的に動作する。したがって、電池部104aは接続動作モードで動作し続け、非接続動作モードで動作している1つまたはそれ以上の電池107の存在下、または非接続動作モードで動作している電池107の1つまたはそれ以上のサブモジュール22の存在下において、電気エネルギーを負荷に供給し、または電気エネルギーを充電器から受け取る。電池107の電池列105は、非動作モードにある電池列105の電池107の1つに対応して必ずしも非接続動作モードとなる必要がないため、電池部104aは図5の電池部104に比べて、不良に対してより弾力的であると考えられる。
【0112】
電池107の2つの電池列105および4つのバンク108が図5および図5Aの具体的な各構成に示されるが、他の実施態様において、電池列105および/またはバンク108の数が異なっていてもよい。
【0113】
図6には、電池システム100aの他の構成が示されており、ここでは接触回路114が電池システム100aの外部にある。図6の態様において、複数の接触回路114は、電池システム100aのシステム端子101を負荷117および充電器119に接続している。
【0114】
上述のように、接触回路114は、システム端子101を、負荷117および充電器119のそれぞれ1つと選択的に電気的に接続するように個々に動作する。一実施態様において、電池システム100aの動作回路106は、図5について上述したように、急激な過電流を避けるために、接触回路114のそれぞれを制御するように構成される。
【0115】
図7には、図5に示された電池部104の構成について、電池107の電池列105の停止を実行するように構成された回路の一実施態様が示される。一実施態様において、電池部104の電池107の電池列105は、それまで接続動作モードで動作していた電池列105が非接続動作モードでの動作に切り替わり、停止する。
【0116】
上述のように、ある実施態様において、電池列105の電池107は電池モジュール10を用いることにより実行される。上述のように、電池モジュール10は個々にスイッチング回路24を有するが、電池列105の1つの電池モジュール10のスイッチング回路24が開かれ(すなわち、その電池モジュール10を非接続動作モードにする)、同じ電池列105の他の電池モジュール10のスイッチング回路24が閉じられた(すなわち、接続動作モードにする)場合、スイッチング回路24は電気的ストレスの影響を受ける。
【0117】
一実施態様において、電池モジュール10のスイッチング回路24のいずれかにかかり、これを損傷しかねない電気的ストレスを避けるため、閉じた状態から開いた状態へ切り替えるように(電池列105の停止される全ての電池モジュール10の)スイッチング回路24を同時に制御することが好ましい。図7に明示された実施態様は、電池列制御装置とも呼ばれ、電池107(例えば、電池モジュール10として実行される)の電池列105の停止を選択的に制御するように構成された停止制御装置140を含む。したがって、停止制御装置140は、制御回路とも呼ばれる。一つの構成において、停止制御装置140は、各電池列105に設けられる。
【0118】
停止制御装置140は、電池107の各電池列105を、電池107が外部装置102に対して電気エネルギーを受け取るおよび/または供給するように構成される接続動作モードと、電池107が外部装置102から電気的に切り離されて電気エネルギーを受け取ることも供給することもない非接続動作モードの間で制御する。電池107が電池モジュール10を用いて実行される一実施態様において、電池モジュール10の電池列105が非接続動作モードにあり、電池モジュール10のスイッチング回路24の電気ストレスを避ける必要がある時、停止制御装置140は、全ての電池モジュール10のスイッチング回路24を実質的に同時に開くように制御するように構成される。
【0119】
停止制御装置140は、図示された配置において、動作回路106と電気通信を行う。一実施態様において、電池列105の停止が適切であると決められた後、電池107を接続動作モードから非接続動作モードに切り替えることを求められた時に、各電池107のスイッチング回路24の制御が不適切に遅い(例えば、他のタスクを実行するのに忙しい)コード、命令またはプログラミングを実行するように構成されたいずれかの回路のハードウェア空間(例えば、プロセッサ)を用いて電池列105の電池107の停止を実行することが好ましい。
【0120】
したがって、一実施例において、(停止制御装置140を含む)電池107の電池列105の停止を実行するように構成される回路が、コードを実行するように構成されたプロセッサのハードウェア空間または他のハードウェアにおいて全て実行される。例えば、一実施例において、停止制御装置140は、複数の直列ケーブル142を通して(すなわち、図に示す実施態様において、ケーブル142は放電または充電中、電池107からまたは電池107に動作電気エネルギーを流さない通信に用いられる)各電池列105の電池107と接続された、プロセッサ空間である。
【0121】
一実施態様において、動作回路106は、電池107の複数の電池列105の複数の停止制御装置140に、電池列105の電池107の動作を接続動作モードから非接続動作モードに同時に切り替えるように、システム停止コマンドを与える。システム停止コマンドを受け取ると、各停止制御装置140は、非接続動作モードに入るように電池107を実質的に同時に制御する。
【0122】
他の実施態様において、電池列105の停止は、その電池列105の1つの電池107によって開始される。例えば、各電池107の動作が接続動作モードにある間、電池107は、各ケーブル142に許可信号をアサートするようにそれぞれ構成される。停止制御装置140は、電池107に、許可信号が各電池107によってアサートされている限り、接続動作モードを維持するように命令する。しかしながら、電池107の1つが、許可信号から不許可信号に状態が変化した場合(各電池107の非接続動作モードを示す)、停止制御装置140は、各電池列105の全ての電池107を接続動作モードから非接続動作モードに切り替えるように制御する。一実施態様において、停止制御装置140は、各電池列105の電池107を接続動作モードから非接続動作モードに実質的に同時に切り替えるように制御する。適切であれば、1つまたはそれ以上の電池列105が非接続動作モードにある場合、電池部104(図5)の電池107の1つまたはそれ以上の電池列は接続動作モードに維持される。
【0123】
ある実施態様において、動作回路106は、1つまたはそれ以上の停止制御装置140に停止コマンドを送る。停止コマンドを受け取った停止制御装置140は、停止制御装置140に接続された各電池に非接続動作モードに入るように命令する。
【0124】
一実施態様において、電池モジュール10として実行される各電池107の処理回路44は、各電池モジュール10の動作モードを接続動作モードから非接続動作モードに切り替えるために用いられる。一実施態様において、停止制御装置140は省略され、または電池モジュール10の処理回路44の停止動作に加えて用いられる。例えば、処理回路44は、本明細書に記載されたように、アラーム状態を検出し、アラーム状態の検出に応答して、各電池モジュール10を非接続動作モードにする停止コマンドを出し、また動作回路105に各電池モジュール10の停止を通知する。その後、動作回路106は、他の電池モジュール10に各電池モジュールの停止を通知し、これによりさらなる電池モジュール10が停止することになる。例えば後述するように、動作回路106は、各電池モジュール10の処理回路44に、電池システム100の電池モジュール10の停止を開始するためのシステム停止コマンドを出す。
【0125】
他の一例では、1つの電池モジュール10の処理回路44は、各電池モジュール10の動作モードを非接続動作モードに切り替えるコマンドを、他の電池モジュール10の処理回路44、動作回路106、または図示される具体例に記載の他の発信源から受け取り、1つの電池モジュール10の停止を開始する。
【0126】
したがって、一実施態様において、各電池モジュール10の処理回路44は、各電池モジュール10、電池モジュール10の電池列105、または電池部104の全ての電池列105の全ての電池モジュール10に対して、動作モードの接続動作モードから非接続動作モードへの切り替えを開始するために用いられる。
【0127】
図7Aには、図5Aに示された電池部104aの構成について、電池107の停止を実行するように構成された回路の他の実施態様が示される。一実施態様において、電池部104aの電池107は、それまでは接続動作モードで動作していた電池107が非接続動作モードに切り替えられて、停止される。
【0128】
一実施態様において、上述の図7の実施態様と同様に、電池部104aの停止を実行するように構成される回路は、コードを実行するように構成された、停止制御装置140およびケーブル142,144を含む回路空間である。停止制御装置140は複数の直列ケーブルを用いて電池107に接続される。さらに、共通のバンク108の電池107は、並列ケーブル144によって接続される。共通のバンク108の少なくとも1つの電池107が接続動作モードで動作している場合、電池107のバンク108は、適切な直列ケーブル142を通して許可信号をアサートする。しかしながら、共通のバンク108の全ての電池107が非接続動作モードに入った場合、共通のバンクに対する並列ケーブル144上の信号は不許可とされ、これは直列ケーブル142を通して停止制御装置140によって検出される。停止制御装置140は、停止制御装置140に接続された全ての電池107に、非接続動作モードに入ることにより停止するように命じる処理を行う。一実施態様において、停止制御装置140は、停止制御装置140に接続された電池107を非接続動作モードに入るよう、電池107を実質的に同時に制御する。一実施態様において、電池モジュール10として実行される電池107のスイッチング回路24は、停止コマンドに応答して電池モジュール10を非接続動作モードにするために、電池モジュール10を、端子101,103の少なくとも1つから電気的に切り離すように制御する。
【0129】
上述のように、システム停止コマンドは、電池システム100または100aを、電池107がシステム端子101、103の少なくとも1つから電気的に切り離され、電流が電池システム100または100aに流れ込まずまた流れ出さない非接続動作モードにするために発せられる。電池107のいずれもが負荷に電気エネルギーを供給せず、または充電器から充電電流を受け取らない時、電池部104または104aは、非接続動作モードにあるとみなされる。
【0130】
一例において、動作回路106は、電池モジュール10として構成される各電池107の処理回路44に停止を伝え、その後、各電池107の停止動作を実行することにより、システム停止動作を制御するように構成される。
【0131】
他の一実施態様において、動作回路106は、停止制御装置140に、各電池列105の電池107の停止を実行するように選択的に命令する。ある実施態様において、動作回路106は、各停止制御装置140に、電池部104または104aの電池107の各電池列105の動作モードを接続動作モードから非接続動作モードに切り替えるシステム停止コマンドを発する。
【0132】
一実施態様において、動作回路106は、電池システム100の安全な動作を維持するために、異なる実施態様で起こる種々の事象に対応するシステムの停止を開始する。一例において、動作回路106は、動作回路106が電池モジュール10の1つまたはそれ以上のモジュール回路20との通信を失ったことに対応してシステム停止を開始する。例えば、動作回路106は、電池システム100の動作中各電池モジュール10にポーリングし、ポーリングに対する電池モジュール10からの応答を受け取るのを待つ。一実施態様において、電池モジュール10の1つがポーリングに応答しない場合、動作回路106は、応答しない各電池モジュール10の停止を開始し、または電池システム100のシステムの停止を開始する。
【0133】
他の例において、システムの停止は、負荷から受け取った情報に応答して実行される。例えば、負荷は問題または不良(例えば負荷内部の)を動作回路106に伝え、そしてシステムの停止を開始する。
【0134】
他の例において、システムの停止は、非接続動作モードで動作している共通の並列バンクの全ての電池モジュールに応答して開始される。他の例において、システムの停止は、電池モジュール10またはサブモジュール22の1つまたはそれ以上の動作パラメータ(例えば、セル電圧、サブモジュール電圧、サブモジュール電流または逸脱した範囲の温度などの電気的特性)に関するアラーム状態に対応して開始される。したがって、一実施態様において、各電池モジュール10の各サブモジュール22は、アラーム状態が各サブモジュール22または各電池モジュール10内に存在することに応答して、または、各電池モジュール10の外部から受け取った通信(例えば、受け取った通信は、動作回路106からのシステム停止コマンドを含む)に応答して、非接続動作モードにされる。
【0135】
各電池システム100または100aは、ある事象がシステム停止に接続さるかどうかを違った形で決定するように構成される。例えば、ある電池システム100はアラーム状態により強い耐える一方、他の電池システム100は、アラーム条件の存在下で停止するように構成される。
【0136】
図8には、動作パラメータの監視動作の例が一実施態様に示される。電池モジュール10のモジュール回路20(例えば、図2に示される)の処理回路(制御回路)44は、上述のように、電池モジュール10の種々の動作パラメータおよびサブモジュール22の動作パラメータを監視するように構成される。例えば、図に示される例では、処理回路(制御回路)44は、電流監視52、電圧監視50、および温度監視54を行う種々のセンサに接続される。一実施態様において、電流監視52は、各レジスタ34を通して各サブモジュール22に流れ込むおよび流れ出す電流を監視することを可能とする回路を有する。一実施態様において、電圧監視50は、サブモジュール22の各セル26の電圧、およびサブモジュール22の電圧を監視することを可能とする回路有する。一実施態様において、温度監視54は、充電式の電池26およびスイッチング回路54を含む電池モジュール10の異なる部分の温度を監視することを可能とする。他の実施態様において、他の動作パラメータを監視する回路が用いられる。
【0137】
上述のように、一実施態様において、処理回路44はまた、論理回路に、各サブモジュール22のスイッチング回路24の充電トランジスタおよび放電トランジスタのバイアスを制御する制御信号を発する。
【0138】
本明細書に記載された少なくともいくつかの実施態様は、充電式の電池システム、充電式の電池モジュール、または充電式の電池サブモジュールの故障した部分を切り離すことにより非接続動作モードにする一方、他の適切に動作している部分を接続動作モードに維持するある動作において、改良された動作を提供する。したがって、ある実施態様において、ある部分の故障が存在しても、電気エネルギーは負荷に供給され、または充電のため充電器から受け取る。さらに、ある実施態様は、充電式の電池システムの設計において改良された柔軟性および拡張性を提供し、他の電池システムの設計に比べて、多種多様な応用を可能とする。
【0139】
法令に従い、本発明は、構造的および方法的な特徴について、より具体的にまたはより漠然と言葉で記載された。しかしながら、本明細書に開示された手段は、本発明を具体化するための好ましい形式からなるため、本発明は当然のことながら、記載されたおよび示された具体的な特徴に限定されるものではない。本発明は、したがって、添付された特許請求の範囲の適切な範囲内において、均等論に従って適切に解釈されるどのような形式または変更においても請求される。
【0140】
さらに、本発明の特徴は、開示の具体的態様の構築および/または実施における指針として記載された。本発明の発明者は、これらの記載された具体的態様はまた、これらの明確に開示された特徴に加え、さらなる発明の特徴を含み、開示し、そして記載していると考える。例えば、発明のさらなる特徴は、具体的態様において記載された特徴にくらべてより少ない、より多くの、および/または代わりとなる特徴を含む。より具体的な例において、出願人は、開示は、明確に開示された方法より少ない、より多くの、および/または代わりとなる工程を含む方法、さらには明確に開示された構造より少ない、より多くの、および/または代わりとなる装置を含み、開示し、そして記載すると考える。
[符号の説明]
13 第1の電池端子
14 第2の電池端子
17 第1のサブモジュール端子
18 第2のサブモジュール端子
20 モジュール回路(制御回路)
22 サブモジュール
24 スイッチング回路
26 充電式セル
44 処理回路(制御回路)
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図7
図7A
図8