(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649669
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】締め付け紐及びそれを用いた靴
(51)【国際特許分類】
A43C 1/00 20060101AFI20141211BHJP
A43C 11/00 20060101ALI20141211BHJP
A43B 23/02 20060101ALI20141211BHJP
A44B 99/00 20100101ALI20141211BHJP
【FI】
A43C1/00
A43C11/00
A43B23/02 104
A44B99/00 611N
A44B99/00 601Z
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-3223(P2013-3223)
(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公開番号】特開2014-166193(P2014-166193A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2013年1月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂上 敦士
(72)【発明者】
【氏名】桐本 寛司
【審査官】
高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3130162(JP,U)
【文献】
特開平09−206112(JP,A)
【文献】
特表2001−513379(JP,A)
【文献】
実開昭62−188203(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00−23/30
A43C 1/00−19/00
A44B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴、衣服、鞄を含む被締め付け物品のガイド部に案内される締め付け紐であって、
少なくとも1本の第1線材を含む芯線と、
前記芯線の外周部に前記芯線の軸線方向と交差するように設けられ、前記外周部よりも突出し、前記ガイド部との摺動抵抗を減少させるための少なくとも1つの突起部と、を備え、
前記第1線材は、鋼線である、締め付け紐。
【請求項2】
靴、衣服、鞄を含む被締め付け物品に用いられる締め付け紐であって、
複数の第1線材をより合わせて形成される芯線と、
前記芯線の外周部に前記芯線の軸線方向と交差するように設けられ、前記外周部よりも突出する少なくとも1つの突起部と、
を備える締め付け紐。
【請求項3】
靴、衣服、鞄を含む被締め付け物品に用いられる締め付け紐であって、
少なくとも1本の第1線材を含む芯線と、
前記芯線の外周部に前記芯線の軸線方向と交差するように設けられ、前記外周部よりも突出する少なくとも1つの突起部と、
を備え、
前記第1線材は鋼線である、締め付け紐。
【請求項4】
前記突起部は、合成樹脂製の第2線材を前記芯線に螺旋状に巻き付けて形成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の締め付け紐。
【請求項5】
前記合成樹脂は、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PE(ポリエチレン)、及びPOM(ポリアセタール)からなる群から選ばれる、請求項4に記載の締め付け紐。
【請求項6】
前記第1線材は、鋼線である、請求項2に記載の締め付け紐。
【請求項7】
前記第1線材は、ステンレス鋼線である、請求項6に記載の締め付け紐。
【請求項8】
前記芯線の外周部には、プライマー層が形成される、請求項6又は7に記載の締め付け紐。
【請求項9】
前記第1線材は、合成樹脂製である、請求項2に記載の締め付け紐。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の締め付け紐と、
前記締め付け紐を案内する複数のガイド部を有する靴本体と、
回転操作部を有し、前記回転操作部を回転させて前記締め付け紐を巻き取ることによって、前記靴本体を前記締め付け紐によって締め付けるための巻き取り体と、
を備える靴。
【請求項11】
前記巻き取り体は、前記締め付け紐による締め付けを解除可能である、請求項10に記載の靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴、衣服、鞄を含む日用品に用いられる締め付け紐、及び締め付け紐を用いた靴に関する。
【背景技術】
【0002】
靴、衣服、鞄を含む日用品には、締め付け用の紐が用いられる。例えば、スケート用の靴において、巻き取り体によって巻き取られる締め付け紐が従来知られている(例えば特許文献1参照)。また、スポーツ用靴において、巻き取り体に巻き取られる締め付け紐が従来知られている(特許文献2参照)。従来の締め付け紐は、靴本体のガイド部(例えばはと目など)に案内される。締め付け紐は、巻き取り体に両端が係合し、巻き取り体を巻き取り方向に操作することによって、靴本体を締め付ける。また、巻き取り体を軸方向に引っ張ると締め付けが解除され、靴を脱ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−148927号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0266384号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の締め付け紐では、靴を履いて締め付け紐を締め付け操作するとき、ガイド部に対する滑りが悪い場合、回転操作部を回すのに大きな力を要する。また、手で締め付け紐を締め付ける場合にも、締め付けるために大きな力を要する。
【0005】
本発明の課題は、被締め付け物品の締め付けに用いる締め付け紐において、締め付けに要する力を軽減できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係る締め付け紐は、靴、衣服、鞄を含む被締め付け物品のガイド部に案内される締め付け紐である。締め付け紐は、少なくとも1本の第1線材を含む芯線と、芯線の外周部に芯線の軸線方向と交差するように設けられ、外周部よりも突出し、ガイド部との摺動抵抗を減少させるための少なくとも1つの突起部と、を備える。第1線材は、鋼線である。
【0007】
発明2に係る締め付け紐は、靴、衣服、鞄を含む被締め付け物品に用いられる締め付け紐である。締め付け紐は、複数の第1線材をより合わせて形成される芯線と、芯線の外周部に芯線の軸線方向と交差するように設けられ、外周部よりも突出する少なくとも1つの突起部と、を備える。
【0008】
この締め付け紐では、例えば、靴に締め付け紐を締め付けるとき、締め付け紐を案内するガイド部(例えば、靴のはと目など)に突起部が接触する。これにより、ガイド部と締め付け紐との接触面積が小さくなり、被締め付け物品の締め付けに要する力を軽減できる。また、芯線が複数の線材をより合わせて形成されるので、芯線の強度が向上する。
【0009】
発明3に係る締め付け紐は、靴、衣服、鞄を含む被締め付け物品に用いられる締め付け紐である。締め付け紐は、締め付け紐は、少なくとも1本の第1線材を含む芯線と、芯線の外周部に芯線の軸線方向と交差するように設けられ、外周部よりも突出する少なくとも1つの突起部と、を備え、第1線材は鋼線である。
【0010】
この締め付け紐では、例えば、靴に締め付け紐を締め付けるとき、締め付け紐を案内するガイド部(例えば、靴のはと目など)に突起部が接触する。これにより、ガイド部と締め付け紐との接触面積が小さくなり、被締め付け物品の締め付けに要する力を軽減できる。また、芯線の強度を向上できる。
【0011】
発明4に係る締め付け紐は、発明1から4のいずれかに記載の締め付け紐において、複数の突起部は、合成樹脂製の第2線材を芯線に螺旋状に巻き付けて形成される。この場合には、合成樹脂製の第1線材を芯線に螺旋状に巻き付けるだけで、軸線方向と交差する方向に複数の突起部を形成できるので、複数の突起部の形成が容易である。
【0012】
発明5に係る締め付け紐は、発明4に記載の締め付け紐において、合成樹脂は、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PE(ポリエチレン)、及びPOM(ポリアセタール)からなる群から選ばれる。この場合には、摺動性能が高い合成樹脂によって突起部が構成されるので、被締め付け物品を締め付ける力をさらに軽減できる。
【0013】
発明6に係る締め付け紐は、発明
2に記載の締め付け紐において、第1線材は、鋼線である。この場合には、芯線の強度を向上できる。
【0014】
発明7に係る締め付け紐は、発明6に記載の締め付け紐において、第1線材は、ステンレス鋼線である。この場合には、芯線の耐食性が向上する。
【0015】
発明8に係る締め付け紐は、発明6又は7に記載の締め付け紐において、芯線の外周部には、プライマー層が形成される。この場合には、鋼線製の芯線がプライマー層を介して突起部と結合されるため、芯線と突起部の密着性が向上する。
【0016】
発明9に係る締め付け紐は、発明
2に記載の締め付け紐において、第1線材は、合成樹脂製である。この場合には、芯線を構成する第1線材も合成樹脂製であるので、締め付け紐の軽量化を図ることができる。
【0017】
発明10に係る靴は、発明1から9のいずれかに記載の締め付け紐と、靴本体と、巻き取り体と、を備える。靴本体は、締め付け紐を案内する複数のガイド部を有する。巻き取り体は、回転操作部を有し、回転操作部を回転させて締め付け紐を巻き取ることによって靴本体を締め付け紐によって締め付けるためのものである。
【0018】
この靴では、軸線方向の交差する方向に突出する突起部を有する締め付け紐を、巻き取り体によって巻き取ることにより、靴本体が締め付けられる。このとき、突起部を設けてガイド部への接触面積を小さくした締め付け紐を用いるので、靴本体を締め付ける力を軽減できる。
【0019】
発明11に係る靴は、発明10に記載の靴において、巻き取り体は、締め付けを解除する締め付け解除機構を有する。この場合には、靴を脱ぐときに締め付け紐による締め付けを解除できるので、靴を簡単に脱ぐことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ガイド部と締め付け紐との接触面積が小さくなり、被締め付け物品の締め付けに要する力を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る被締め付け物品としての靴の斜視図。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る締め付け紐の平面図。
【
図5】
図3の切断線V−Vによる締め付け紐の断面図。
【
図6】
図4の切断線VI−VIによる第2線材の断面図。
【
図7】締め付け紐の第2実施形態の
図3に相当する図。
【
図8】他の実施形態の第2線材の変形例の
図6に相当する断面図。
【
図9】さらに他の実施形態の第2線材の
図6に相当する断面図。
【
図10】さらに他の実施形態の
図6に相当する断面図。
【
図11】さらに他の実施形態の
図6に相当する断面図。
【
図12】さらに他の実施形態の衣服としてレインパンツに適用した斜視図。
【
図13】さらに他の実施形態の衣服としてのベストの正面図。
【
図15】さらに他の実施形態の鞄としてのナップザックの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1において、本発明の一実施形態に係る靴20は、ビンディングを有するペダルと共に使用するための図示しないクリートを固定可能な自転車用の靴である。靴20は、本発明の一実施形態に係る締め付け紐22と、靴本体24と、靴本体24を締め付け紐22によって締め付けるための巻き取り体26と、を備える。また、靴本体24は、靴底部30と、靴底部30を覆うアッパー部32と、を有する。アッパー部32は、長手方向に延びる舌状部34、及び舌状部34を部分的に覆う左右一対のフラップ36a,36bを有する。なお、ここでの左右は、靴を後方から見たときに左側にあるもの左といい右側にあるものを右という。また、靴本体24は、左側(
図1奥側)のフラップ36aに設けられた2つの第1ガイド部38aと、右側のフラップ36bに設けられた一つの第2ガイド部38bと、を有する。2つの第1ガイド部38aは、舌状部34の長手方向に沿って間隔を隔てて配置される。第1ガイド部38a及び第2ガイド部38bは、締め付け紐22を舌状部34の長手方向に沿ってそれぞれ案内する。
【0023】
巻き取り体26は、右側のフラップ36bに第2ガイド部38bと舌状部34の長手方向に沿って並べて配置される。巻き取り体26には、締め付け紐22の両端が取り付けられる。巻き取り体26は、回転操作部26aを有する。回転操作部26aを例えば
図1時計回りに回転させて締め付け紐22を巻き取ることによって、靴本体24の一対のフラップ36a,36bを近づく方向に移動させる。これにより靴本体24を締め付ける。巻き取り体26は、図示しない紐巻き取り部と、紐巻き取り部の巻き上げ解除方向に回転を禁止するワンウェイクラッチと、ワンウェイクラッチの作動を解除する解除機構と、を備える。解除機構は、回転操作部26aを回転中心軸に関する軸方向上側に引っ張ることによりワンウェイクラッチの作動を解除する。これにより、締め付け紐22による締め付けが解除される。巻き取り体26の近くには、締め付け紐22を巻き取り体26にスムーズに案内するための円弧状に湾曲した第3ガイド部40が設けられる。
【0024】
舌状部12aには、締め付け紐22を交差するように案内する交差ガイド部42と、交差ガイド部42よりも先端側に配置された引き上げガイド部44と、が設けられる。引き上げガイド部44は、巻き取り体26よりも舌状部34の先端側に配置される。引き上げガイド部44は、締め付け紐22を締め付けることによって舌状部34の先端側を引き上げる。これにより、舌状部34がたるまなくなる。これらの第1ガイド部38a、第2ガイド部38b、第3ガイド部40、交差ガイド部42、引き上げガイド部44は、それぞれ摺動性及び耐摩耗性が高い硬質の合成樹脂製であることが好ましい。
【0025】
図2から
図5に示すように、締め付け紐22は、基本的に、少なくとも一本の第1線材50aを含む芯線50と、少なくとも一つの突起部52と、を有する。この実施形態では、芯線50は、複数本(例えば、19本)の第1線材50aをより合わせて形成される。
【0026】
第1線材50aは、例えば鋼線であり、より好ましくは、ステンレス鋼線である。第1線材50aの数は、適用される被締め付け物品に応じて適宜に設定される。好ましくは、芯線50は、複数の第1線材50aをより合せて形成される。この実施形態では、複数の第1線材50aは、
図5に示すように、1本の中心線材51aと、複数本(例えば6本)の中間線材51bと、複数本(例えば12本)の外側線材51cと、を含む。複数の中間線材51bは、中心線材51aにより合わされる。中間線材51bは、より合わせた後に適宜の引き抜き工具によって外周部が円弧状に加工される。複数の外側線材51cは、複数の中間線材51bにより合わされる。複数の外側線材51cは、より合わせた後に適宜の引き抜き工具によって外周部が円弧状に加工される。外側線材51cによって芯線50の外周部50bが決定される。
【0027】
突起部52は、第1ガイド部38a、第2ガイド部38b、第3ガイド部40、交差ガイド部42及び引き上げガイド部44に対して、締め付け紐22を滑りやすくするために設けられる。突起部52は、芯線50の外周部50bに芯線50の軸線方向Aと交差するように設けられる。突起部52は、芯線50の外周部50bよりも径方向外側に突出する。突起部52は、この実施形態では、
図6に示すように断面が円形である。
図4に示すように、突起部52は、1本の合成樹脂製の第2線材52aを螺旋状に芯線50に巻き付けて形成される。突起部52は、芯線50に、例えば、常温接着或いは加熱溶着等の手法によって取り付けられる。これにより、突起部52と芯線50とは、相対移動しなくなる。このように少なくとも1本の第2線材52aを芯線50に螺旋状に巻き付けることによって、二次元的に見て軸線方向Aと交差するように突起部52が設けられる。
【0028】
第1ガイド部38a、第2ガイド部38b、第3ガイド部40、交差ガイド部42及び引き上げガイド部44に対する摺動抵抗を減少させるために、突起部52に用いる素材は、芯線50よりも摩擦係数が低い材ものが好ましい。この実施形態では、突起部52は、合成樹脂製である。合成樹脂は、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PE(ポリエチレン)、及びPOM(ポリアセタール)からなる群から選ばれることが好ましい。突起部52のピッチP1は、1mm以下であり、好ましくは、ピッチP1は、500μm以下であり、より好ましくは、150μm以下である。
【0029】
好ましくは、締め付け紐22の両端には、キャップ部材54が、例えばかしめ固定などの塑性変形による固定方法によって固定される。締め付け紐22は、第1ガイド部38a、第2ガイド部38b、第3ガイド部40、交差ガイド部42及び引き上げガイド部44を網目状に通される。締め付け紐22の両端は、巻き取り体26の紐巻き取り部に固定される。
【0030】
このような構成の締め付け紐22では、巻き取り体26の回転操作部26aを軸方向上側に引っ張って締め付け紐22による締め付けを解除した状態で足を靴本体24に入れる。足を靴本体24に入れると、巻き取り体26の回転操作部26aを下側に押圧してワンウェイクラッチを作動状態にする。そして、回転操作部26aを時計回りに回転させると、締め付け紐22の両端部が紐巻き取り部に巻き取られ、靴本体24の一対のフラップ36a,36bが互いに接近し、靴本体24が締め付け紐22によって足に締め付けられる。このとき、締め付け紐22に軸線方向Aと交差する突起部52が設けられるので、締め付け紐22が、第1ガイド部38a、第2ガイド部38b、第3ガイド部40、交差ガイド部42及び引き上げガイド部44などのガイド部を円滑に摺動する。このため、回転操作部26aを回転させる締め付け操作に要する力を軽減できるようになる。
【0031】
<第2実施形態>
第2実施形態では、
図7に示すように、締め付け紐122の芯線150の外周部150bがプライマー層153によって被覆されている。プライマー層153を介して突起部152が芯線150に巻き付けられる。プライマー層153は、芯線150と突起部152との密着性を向上させて突起部152の接着を強固にするために設けられる。
【0032】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0033】
(a)上記実施形態では、巻き取り体によって締め付け紐を締め付けているが、本発明はこれに限定されない。手で締め付けられる締め付け紐にも本発明を適用できる。
【0034】
(b)上記2つの実施形態では、突起部を構成する第2線材の断面形状が円形であったが、第2線材の断面形状は、円形に限定されず、楕円、多角形等の非円形でもよい。例えば、
図8では、突起部252の第2線材252aの断面は三角形である。
図9では、突起部352の第2線材352aの第2線材252aの断面は四角形である。
図10では、突起部452の第2線材452aの断面は六角形である。
図11では、突起部552の第2線材452aの断面は星形である。上記のような非円形の断面には、上記2つの実施形態と異なり角部252b,352b,452b,552bが形成される。この角部252b,352b,452b,552bによって第1ガイド部38a、第2ガイド部38b、第3ガイド部40、交差ガイド部42及び引き上げガイド部44に接触する面積がさらに小さくなる。このため、被締め付け物品の締め付け操作に要する力をさらに軽減できる。更には、芯線と同様に、複数の第2線材をより合せることによって突起部を構成してもよい。
【0035】
(c)上記実施形態では、被締め付け物品として自転車用の靴を例示したが、漕艇用の靴、或いは、その他スポーツ用靴や、日常に使用される履物でも本発明を適用できる。更には、締め付け物品としては、例えば、
図12から
図14に示す衣服及び
図15に示す鞄を含む締め付け紐22によって締め付けられる全ての被締め付け物品に本発明を適用できる。
図12において、衣服としてのレインパンツ620は、ウェスト部分の両側部にそれぞれ巻き取り体626が設けられている。それぞれの巻き取り体626によってウェスト部分を締め付け可能である。両側部には、図示しない締め付け紐が矩形ループ状に配置され、締め付け紐の両端がそれぞれの巻き取り体626によって巻き取られる。これにより、着用者のウェストのサイズに応じて両側部のサイズを調整できる。
【0036】
図13及び
図14において、衣服としてのベスト720は、両側部にそれぞれ巻き取り体726が受けられる。巻き取り体726には、締め付け紐722が両側部を矩形ループ状に設けられ、締め付け紐722の両端がそれぞれの巻き取り体726によって巻き取られ、ベスト720の両側部を締め付け可能である。これにより、ベストの両側部のサイズを着用者のサイズに応じて調整できる。
【0037】
図15において、鞄としてのバックパック820において、背部分820aの下部に巻き取り体826が設けられる。背部分820aの両側部には、締め付け紐822を案内する、それぞれ複数(例えば3つ)のガイド部820bが上下に間隔を隔てて並べて配置される。締め付け紐822は、ガイド部820bに通して網目状に構成される。締め付け紐822の両端が巻き取り体826に巻き取られる。ここでは、締め付け紐822によって背部分820aを締め付けることによって締め付け紐822を用いてバックパック820に、ボトルなどの種々のギアを装着できる。
【0038】
(d)上記実施形態では、第1線材として金属製の鋼線又はステンレス鋼線を例示したが、第1線材は合成樹脂製であってもよい。
【0039】
(e)上記実施形態では、被締め付け物品として靴、衣服、鞄を例に本発明を説明したが、本発明に係る締め付け紐が適用される被締め付け物品は、上記に限定されない。例えば、文房具、机・棚・椅子などの家具、及び自転車及びモータサイクルの荷台などにも適用できる。
【0040】
(f)上記実施形態では、突起部を一本の第2線材を螺旋状に巻き付けて形成したが、複数本の第2線材を巻き付けてもよい。この場合、複数の第2線材の大きさ(例えば直径)を異ならせてもよい。
【0041】
(g)上記実施携帯では、突起部を合成樹脂製の第2線材で構成したが、第2線材は金属製であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
20 靴
22,122,722,822 締め付け紐
24 靴本体
26,626,726,826 巻き取り体
38a 第1ガイド部
38b 第2ガイド部
40 第3ガイド部
42 交差ガイド部
44 引き上げガイド部
50,150 芯線
50a 第1線材
50b,150b 外周部
52,152,252,352,452,552 突起部
52a,152a,252a,352a,452a,552a 第2線材
153 ブライマー層
620 レインパンツ
720 ベスト
820 バックパック
820b ガイド部