(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述のような従来の打掛錠では、レバー受け3を扉枠1に取り付けるには、ロックレバー2の錠杆5が開き扉4と扉枠1を跨いだ施錠姿勢にあるときに錠杆5の先端側が係止する高さ位置において、レバー受け3を扉枠1の扉寄り端部に固着するために、いちいち開き扉4側のロックレバー2に合わせてレバー受け3の高さ位置を調整する作業が必要であり、それだけ余分に設置作業に手間と時間がかかって面倒であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、請求項1に記載の発明は、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、
左右勝手仕様双方の回動式扉又は扉枠の内側に固定するレバーベース20にロックレバー10を回転自在に連結し、該ロックレバー10を、扉枠との間を跨いで回動式扉の開閉をロックする施錠位置又は開閉を許す解錠位置に回転し、レバー受けBに対し係脱して回動式扉を施解錠する打掛錠Rにおいて、前記レバー受けB
は、前記ロックレバー10が施錠位置にあるときに係止する高さ位置において、該ロックレバー10と一緒に同じ回動式扉又は扉枠に取り付け
る一方、前記レバーベース20と前記ロックレバー10の間には、該ロックレバー10が起立した解錠位置から施錠方向に自重により回転すると、その解錠位置から施錠方向に所定角度β傾斜した一時停止位置において前記ロックレバー10の回転を停止する回転制御手段30を備え、該回転制御手段30は、両側面が径方向内向きに次第に先細なテーパになった可動凸部35・35を外輪部26に弾性変位可能に突設し、前記ロックレバー10に一体回転可能に装着するアウターリング40と、両側面が径方向外向きに次第に先細なテーパになった固定凸部45・45、55・55を外周縁50bに突設して前記可動凸部35・35の回転軌道上に配置し、前記レバーベース20に固定するインナープレート50とを備え、前記ロックレバー10が起立した解錠位置から施錠方向に自重により回転すると、前記一時停止位置において前記アウターリング40の可動凸部35・35の一側側面が前記インナープレート50の固定凸部45・45,55・55の一側側面に当接して前記ロックレバー10の回転を停止する一方、該ロックレバー10を、前記可動凸部35・35と前記固定凸部45・45、55・55の弾性力に抗して所定の大きさ以上の回転トルクで前記一時停止位置から施錠方向に押し回すと、前記可動凸部35・35と前記固定凸部45・45,55・55が互いに弾性変形して前記可動凸部35・35が前記固定凸部45・45,55・55の側面を摺動しながら乗り越えて前記アウターリング40を一体に回転させてなり、前記可動凸部35・35を、前記アウターリング40の外輪部26の軸芯を中心とした点対称の位置の双方に突設すると共に、一対の前記固定凸部45・45,55・55も、前記インナープレート50の外周縁50bの軸芯を中心とした点対称の位置の双方に突設し、前記ロックレバー10を、起立した解錠位置から施錠方向又は解錠方向に回転すると、それぞれ起立した解錠位置に対して所定角度β回転した4つの一時停止位置p・q・r・sで、前記アウターリング40の可動凸部35・35が前記インナープレート50の固定凸部45・45,55・55の側面に当接して前記ロックレバー10の回転を停止する一方、解錠時、該ロックレバー10を、前記可動凸部35・35と前記固定凸部45・55の弾性力に抗して所定の大きさ以上の回転トルクで前記起立した解錠位置から解錠方向に前記一時停止位置を越えて回転することがあると、前記ロックレバー10の後端部に係止して回転を規制してなることを特徴とする、打掛錠。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、施錠時にロックレバーの錠杆が係止する高さ位置において、レバー受けを、ロックレバーと一緒に同じ回動式扉又は扉枠の戸先側端部に取り付けるから、いちいち回動式扉又は扉枠側のロックレバーの高さ位置に合わせて、レバー受けを高さ調整しながら取り付ける必要がないために、それだけ設置作業に費やす手間と時間が少なく、簡単に組み付けることができる。
【0011】
請求項
1に記載の発明によれば、アウターリングの可動凸部の一側側面がインナープレートの固定凸部の一側側面に当接し、ロックレバーを、錠杆が鉛直に起立した解錠位置から施錠方向へ所定角度傾斜した一時停止位置に保持しているときは、少なくとも回動式扉は解錠状態にあるから、扉枠に強く衝突するように閉めることができる。しかし、ロックレバーを一時停止位置に保持しているときには、可動凸部と固定凸部の弾性力に抗して所定の大きさ以上の回転トルクでロックレバーを施錠方向に押し回し、互いに弾性変位しながら可動凸部が固定凸部を乗り越えない限り、ロックレバーを施錠位置に回転させることができない。従って、ロックレバーを一時停止位置に傾けて位置させる一方、回動式扉を扉枠に強く衝突するように閉めたとしても、そのときの衝撃によっては、ロックレバーが施錠位置側へ回転することはない。その結果、トイレが不使用状態にあるにも拘わらず、いたずら等により回動式扉が閉位置でロックされ、トイレ等を使用できなくなるのを未然に防止することができる。
【0012】
加えて、請求項
1に記載の発明では、左右勝手仕様双方の回動式扉又は扉枠に組み付けて使用できるように、回転制御手段は、可動凸部を、アウターリングの外輪部の軸芯を中心とした点対称の位置の双方に突設すると共に、一対の固定凸部も、インナープレートの外周縁の軸芯を中心とした点対称の位置の双方に突設するから、ロックレバーを、起立した解錠位置から施錠方向又は解錠方向に回転すると、それぞれ起立した解錠位置に対して所定角度回転した4つの一時停止位置で、アウターリングの可動凸部がインナープレートの固定凸部の側面に当接してロックレバーの回転を停止させる構造になっている。そこで、解錠時に、起立した解錠位置にあるロックレバーに対し、仮に何らかの外力が加わって可動凸部と固定凸部の弾性力に抗して所定の大きさ以上の回転トルクでロックレバーが解錠方向に強制回転し、先端部が回動式扉又は扉枠の戸先側端部から出っ張る一時停止位置で停止し、回動式扉の開閉動作の障害になることが考えられる。
【0013】
しかし、請求項4に記載の発明の打掛錠では、レバー受けを、ロックレバーが施錠位置にあるときにレバー係止部に係止する高さ位置において、ロックレバーと一緒に同じ回動式扉又は扉枠に取り付けるから、解錠時、ロックレバーを、回転制御手段の可動凸部と固定凸部の弾性力に抗して所定の大きさ以上の回転トルクで起立した解錠位置から解錠方向に前記一時停止位置を越えて回転することがあると、ロックレバーを一部に係止してそれ以上の回転を規制し、これにより、ロックレバーの先端部が回動式扉又は扉枠の戸先側端部から出っ張って回動式扉の開閉動作の障害になるのを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
本発明の打掛錠Rは、例えばトイレブースに適用し、
図1〜
図3に示すように、回動式扉の開き扉Dに取り付ける錠本体Aと、レバー受けBと、表示器Cとからなる。図示例において、開き扉Dは、各トイレ室の外側から見て右勝手(吊元側の枢軸を中心に
図1中矢示する右側に扉を回動して開く方式)で、外開き(トイレ室内から
図1中矢示する外側に扉を回動して開く方式)になるように戸先側扉枠Fと同じパネル状の戸尻側扉枠(不図示)に軸釣している。
【0017】
錠本体Aは、
図4および
図5に示すように、ロックレバー10、レバーベース20および回転制御手段30を備えてなる。
【0018】
ロックレバー10は、金属製、例えば真鍮製の丸棒状錠杆15と、錠杆15を保持する錠ケース25とからなる。錠ケース25は、樹脂製で、一側を開口した円形のキャップ部25aと、キャップ部25aの他側に径方向に横断するように突設した摘み部25bと、キャップ部25aの底面13の回転中心から円形開口21側に立設したジョイント11とからなる。
【0019】
錠ケース25において、キャップ部25aは、外周面に摘み部25bと平行に貫通する軸挿通穴12を設ける一方、底面13には、回転中心に錠杆15の深さまで貫通した段付き取付穴14を穿設すると共に、取付穴14から放射状に位置決め凹部13aを形成してなる。位置決め凹部13aは、後述するアウターリング40のスポーク部27の連結部分27b・27c・27dに合わせて放射状にキャップ部25aの底面13に凹設している。取付穴14は、環状穴部14aと、それより一段細径な雌ねじ穴14bを同軸上に設けてなる。ジョイント11は、軸芯に矩形な異形穴16のあいた段付き円筒状の連結突起17と、ねじ軸18を同軸上に設ける。連結突起17は、大径なボス部17aとボス部17aより一段小径な軸保持部17bからなる。
【0020】
ロックレバー10は、この錠ケース25の軸挿通穴12に軸部15aを貫挿して錠杆15を摘み部25bと平行に挿着する。一方、キャップ部25aには、ねじ軸18を取付穴14の雌ねじ穴14bに螺着し、ボス部17aを環状穴部14aに嵌め込んで連結突起17を立設してから、連結突起17の異形穴16に断面矩形の枢軸19を差し込んで固定することによりジョイント11を錠ケース25の回転中心に突設してなる。
【0021】
レバーベース20は、外径を錠ケース25の円形開口21に合わせた円板で、中心にジョイント11のボス部17aが嵌合可能な嵌合穴22をあけたドーナツ板状をなし、嵌合穴22の内周縁に円周リブ20aを突設している。円周リブ20aが突出する側の片側板面には、嵌合穴22の軸線を中心として点対称の位置に、それぞれ軸芯に雌ねじ穴23aを螺設した一対のスタッド23・23を立設している。更に、レバーベース20には、
図7に示すスタッド23・23間を結ぶ水平な対角線xに直交する鉛直な対角線yで結ばれる点対称の位置に、
図5に示すように一対の位置決め穴24・24が設けられている。
【0022】
回転制御手段30は、いずれも弾性を有する、例えば樹脂製の可動側アウターリング40と固定側インナープレート50とで構成されている。
【0023】
アウターリング40は、外輪部26と、外輪部26の内側に設ける一対のスポーク部27とからなる。外輪部26は、軸線を中心とした点対称の位置に一対の直線部26aをもった断面略リンゴ型の環状に形成し、直線部26aに、それぞれ径方向内向きに突出する可動凸部35・35を設けている。可動凸部35・35は、それぞれ両側面35a・35bが径方向内向きに次第に先細なテーパになった山形に突設している。しかも、可動凸部35・35は、両側面35a・35bを、頂点を中心に左右対称な傾斜面で形成している。スポーク部27は、外輪部26の中心周りにジョイント11のボス部17aの外周形状に合わせて、円弧状に形成する挟持部分27aと、挟持部分27aから径方向外向きに放射状に延びる連結部分27b・27c・27dとからなり、そのうちの両端の連結部分27b・27cの先をL形に延ばして外輪部26の直線部26aの両隣りで連設し、これにより、直線部26aにある可動凸部35・35が、それぞれ外輪部26の軸線を中心とした点対称の位置で弾性変位可能になっている。
【0024】
インナープレート50は、アウターリング40の外輪部26内に配置可能な大きさの円板で、中心にジョイント11のボス部17aが嵌合可能な嵌合穴28をあけた略ドーナツ板状をなすが、片側板面には、嵌合穴28の軸線を中心とした点対称の位置に一対の円柱状の位置決め突起50a・50aが設けられている。外周縁50bには、
図7に示すように、位置決め突起50a・50a間を結ぶ鉛直な対角線yに対して所定角度α、例えば30度傾斜した対角線mで結ばれる点対称の位置に、一対の固定凸部45・45を径方向外向きに突設すると共に、反対側にも同じ所定角度α、例えば30度傾斜した対角線nで結ばれる点対称の位置にも、一対の固定凸部55・55を径方向外向きに突設している。
【0025】
インナープレート50において、これら固定凸部45・45、55・55は、外周縁50bにおいて、ロックレバー10が鉛直に起立した解錠位置に位置するとき、そのロックレバー10(対角線y)の施錠方向側と解錠方向側の対角線m・nで結ばれる前記枢軸19を中心とした点対称の位置に設けられている。
【0026】
この点対称の位置にある固定凸部45・45、55・55は、アウターリング40の可動凸部35・35に対応し、それぞれ両側面45a・45b、55a・55bが径方向外向きに次第に先細るテーパになった山形に突設し、しかも、両側面45a・45b、55a・55bを、頂点を中心に左右対称な傾斜面で形成している。このインナープレート50には、位置決め突起50aと固定凸部45・55間にそれぞれ肉抜き穴29を設けて固定凸部45・50を外周縁50bに弾性変位可能に形成している。
【0027】
そこで、回転制御手段30において、アウターリング40は、
図5に示すように、スポーク部27の連結部分27b・27c・27dを、錠ケース25の位置決め凹部13aに嵌め込み、挟持部分27aで連結突起17のボス部17aを挟み付けてジョイント11に装着し、錠ケース25内に組み込む。そのとき、アウターリング40は、スポーク部27の連結部分27b・27c・27dを位置決め凹部13aに嵌め合わせてジョイント11に装着すると、点対称の位置にある可動凸部35・35(
図7参照)が対角線y上で錠杆15と一致して錠ケース25内に組み込まれる。
【0028】
一方、インナープレート50は、点対称の位置にある位置決め突起50a・50aを、それぞれ
図5に示す位置決め穴24・24に圧入する。すると、インナープレート50は、位置決め突起50a・50aがアウターリング40の可動凸部35・35と同じように対角線y上で錠杆15と一致する位置で、レバーベース20に組み付けられる。
【0029】
次いで、上述したロックレバー10のジョイント11を、順次、これらインナープレート50とレバーベース20の嵌合穴28・22、樹脂カラー49、アジャストナット59の軸受穴59aに挿通し、錠ケース25のキャップ部25aをレバーベース20に冠着する。一方、ジョイント11のボス部17aを樹脂カラー49を介して円周リブ20aに嵌合し、軸保持部17bをアジャストナット59に嵌着してロックレバー10をレバーベース20に組み付け、
図6に示すように錠本体Aを組み立ててなる。
【0030】
他方、本発明によるレバー受けBは、
図4、
図5および
図6に示すように、取付板部60とレバー係止部65とからなる。取付板部60は、例えば樹脂製で、外径がレバーベース20と同じように錠ケース25の円形開口21に対応する大きさで、中心にジョイント11のボス部17aが嵌合可能な嵌合穴42をあけたドーナツ板状の円板部分60aと、円板部分60aの外周縁から径方向外向きに突設した突片部分60bとからなる。レバー係止部65は、突片部分60b上に鉛直に立設した円筒状の取付筒部65aと、取付筒部65a内に圧入するビス受け管67と、一端側開口の円筒形をなすゴムキャップ68とからなる。
【0031】
更に、レバー受けBには、取付板部60の円板部分60aにおいて、嵌合穴42を間に挟んだ両側にそれぞれ2つずつスタッド挿通穴a1・b1、a2・b2を、a1とa2、b1とb2間にそれぞれゴムキャップ68の直径に対応する間隔をあけて並設している。しかも、スタッド挿通穴a1・b2およびスタッド挿通穴a2・b1は、それぞれ嵌合穴42の軸心を中心とした点対称の位置にあって、スタッド23・23間に対応する間隔をあけて設け、左右勝手いずれの仕様の開き扉にも対応してレバー受けBが取り付けられる構造になっている。
【0032】
表示器Cは、丸座31と、表示板32と、表示カバー33を備える。丸座31は、中心に嵌合穴34の開いた円盤状をなし、嵌合穴34の軸心を中心とした点対称の位置に、呼込みビス36が挿通する挿通穴37を穿設してなる。表示板32は、円板状で、片面中心に枢軸19と対応する角穴80を軸芯に有する軸筒部32aを突設し、他面に略50度開いた扇形の表示シール32bを貼り付け、開き扉Dの施錠状態を示す扇形の朱色部分と、解錠状態を示す扇形の青色部分に色分けしている。表示カバー33は、表示窓38の開いた外周が円形のキャップからなる。
【0033】
そこで、図示打掛錠Rでは、組み立てた錠本体Aを、開き扉Dに取り付けるが、そのとき、
図6に示すように、レバー受けBを間に挟んで同じ戸先側端部に組み付ける。そのとき、スタッド23・23を点対称の位置にあるスタッド挿通穴a1・b2に挿通してから、開き扉Dの戸先側端部に予め穿設した両端の呼込穴69・70に挿入すると同時に、中心の呼込穴71にジョイント11の枢軸19を挿入し、錠本体Aを、開き扉Dの内側板面d1に、レバー受けBの円板部分60a(取付板部60)を間に挟んで配置する。一方、反対側の外側板面d2に表示器Cの丸座31を配置し、呼込みビス36を挿通穴37に通してスタッド23・23の雌ねじ穴23aにねじ込み、錠本体Aと、表示器Cの丸座31を開き扉Dに固着する。
【0034】
錠本体Aが開き扉Dに固定されると、レバーベース20は、スタッド23・23が水平方向に横に並んだ位置、即ち、
図7に示す対角線x上に並んだ位置に固定される。従って、レバーベース20に固定したインナープレート50は、一組の固定凸部45が、位置決め突起50a・50a間を結ぶ鉛直な対角線yに対して所定角度α傾斜した対角線mで結ばれる点対称の位置に配置されると共に、他組の固定凸部55も、対角線yに対して図中反時計方向に所定角度α傾斜した対角線nで結ばれる点対称の位置に配置された状態で固定される。
【0035】
このレバーベース20に対してロックレバー10は、錠杆15が起立した解錠姿勢の状態で、枢軸19を中心として回転自在に組み付けられる。従って、ロックレバー10に装着したアウターリング40は、ロックレバー10と一体に回転自在にレバーベース20に支持され、可動凸部35・35のある外輪部26が、
図4に示すようにインナープレート50と同一平面上に重なってジョイント11を中心とする同軸上に配置される。すると、回転制御手段30では、
図7に示すように、錠杆15が鉛直に起立した解錠姿勢の状態にロックレバー10があるとき、アウターリング40の可動凸部35・35が周回する回転軌道上にインナープレート50の固定凸部45・45、55・55が位置し、その固定凸部45・55の間に可動凸部35・35が位置する。
【0036】
そこで、回転制御手段30は、ロックレバー10を、錠杆15が対角線yに沿って鉛直に起立した解錠位置から施錠方向に自重により回転すると、
図8に示すように、対角線yに対して所定角度β、例えば20度回転したところで、アウターリング40の可動凸部35・35の一側側面35aがそれぞれインナープレート50の固定凸部45の一側側面45aに当接し、ロックレバー10の回転を停止する構造になっている(以下、このときのロックレバー10の傾き位置を一時停止位置とする)。
【0037】
しかも、回転制御手段30は、
図7に示すように、アウターリング40には、可動凸部35・35を外輪部26の軸線を中心とした点対称の位置に突設すると共に、インナープレート50には、固定凸部45・45、55・55を、外周縁50bの軸線(枢軸19)を中心とした点対称の位置に突設するから、例えば錠本体Aを開き扉の左右勝手の仕様を誤って組み付けてしまった場合でも、ロックレバー10を、同じように錠杆15が対角線yに沿って鉛直に起立した解錠位置から施錠方向に回転すると、対角線yに対して所定角度β回転したところで、アウターリング40の可動凸部35・35の他側側面35bがそれぞれインナープレート50の固定凸部55の一側側面55aに当接してロックレバー10の回転を停止(一時停止)し、反対に、施錠位置から解錠方向に回転しても、対角線yに対して所定角度β回転したところで、アウターリング40の可動凸部35・35の他側側面35bがそれぞれインナープレート50の固定凸部55の一側側面55aに当接してロックレバー10の回転を停止(一時停止)する構造になっている。
【0038】
一方、開き扉Dの外側板面d2において、
図4、
図5および
図6に示すように、表示器Cの丸座31には、嵌合穴34に軸筒部32aを嵌め込んで表示板32を冠着し、軸筒部32aの角穴80に枢軸19を嵌合し、錠本体Aを、開き扉Dを挟んで表示板32と一体に回転可能に連結する。それから、表示器Cは、表示板32に表示カバー33を被せる。そして、表示板32の回転に応じて、表示窓38から、開き扉Dの施錠状態を示す朱色部分又は解錠状態を示す青色部分を臨ませて、トイレの使用状態を外部に表示するようになっている。
【0039】
他方、開き扉Dの内側板面d1には、取付筒部65aに止めねじ75を通してねじ込み、ビス受け管67を介してレバー受けBを固定する。それから、取付筒部65aにはゴムキャップ68を被せる。以って、本発明の打掛錠Rにおいて、レバー受けBは、レバーベース20に取付板部60の円板部分60aを重ね合わせた状態で錠本体Aに連結し、ロックレバー10の錠杆15が水平な施錠姿勢のときにレバー係止部65のゴムキャップ68に係止する高さ位置において、開き扉Dの戸先側端部の内側板面d1に取り付ける。
【0040】
従って、本発明の打掛錠Rは、そのように施錠時に、ロックレバー10の錠杆15が係止する高さ位置において、レバー受けBを、扉枠F側ではなく、ロックレバー10と一緒に同じ開き扉Dの戸先側端部に取り付けるから、いちいち開き扉D側のロックレバー10の高さ位置に合わせて、レバー受けBを高さ調整しながら取り付ける必要がないために、それだけ設置作業に費やす手間と時間が少なく、簡単に組み付けることができる。
【0041】
さて、打掛錠Rの使用時、例えば右勝手仕様の開き扉Dを回動して閉めると、そのまま開き扉Dの内側から、摘み部25bを摘んでロックレバー10を、
図8中矢示する施錠方向に回転させる。例えば、いま錠杆15が起立姿勢の解錠位置にあるロックレバー10を施錠方向に回転させると、
図2、
図3および
図8に示すように、回転途中の一時停止位置で、アウターリング40の可動凸部35の一側側面35aがインナープレート50の固定凸部45の一側側面45aに、いったん当接するが、そのとき、可動凸部35と固定凸部45の弾性力に抗して所定の大きさ以上の回転トルクでロックレバー10を押し回すと、可動凸部35と固定凸部45が互いに弾性変形して可動凸部35が固定凸部45上を摺動しながら乗り越えてアウターリング40を一体に回転させる。従って、ロックレバー10は、
図1および
図9に示すように、錠杆15が水平な横向きの施錠位置に回転し、錠杆15の、扉枠Fとの間を跨いだ先端部15a側を、レバー受けBのレバー係止部65に係止して開き扉Dを施錠する。
【0042】
一方、開閉扉Dを開けるときは、反対の解錠方向にロックレバー10を回転し、錠杆15をレバー受けBのレバー係止部65から外して解錠する。ロックレバー10を解錠方向に回転させると、今度は、回転途中の一時停止位置で、アウターリング40の可動凸部35の他側側面35bがインナープレート50の固定凸部45の他側側面45bに当接するが、そのとき、同じく可動凸部35と固定凸部45の弾性力に抗して所定の大きさ以上の回転トルクでロックレバー10を押し回すと、可動凸部35と固定凸部45が互いに弾性変形して可動凸部35が固定凸部45上を摺動しながら乗り越えてアウターリング40を一体に回転する。そして、ロックレバー10を、アウターリング40の可動凸部35がインナープレート50の固定凸部45を乗り越えた位置で、少なくとも一時停止位置より解錠方向に離れた、開き扉Dの開閉の邪魔にならない解錠位置に回転させて、
図10に示すように開き扉Dを開ける。
【0043】
ところで、図示打掛錠Rでは、
図8に示すように、アウターリング40の可動凸部35の一側側面35aがインナープレート50の固定凸部45の一側側面45aに当接し、ロックレバー10を、錠杆15が鉛直に起立した解錠位置から施錠方向へ所定角度β傾斜した一時停止位置に保持しているときは、錠杆15がレバー受けBのレバー係止部65から外れて解錠状態にあるから、開き扉Dを扉枠Fに強く衝突させるように閉めることができる。しかし、ロックレバー10を一時停止位置に保持しているときには、可動凸部35と固定凸部45の弾性力に抗して所定の大きさ以上の回転トルクでロックレバー10を施錠方向に押し回し、互いに弾性変位しながら可動凸部35が固定凸部45を乗り越えない限り、ロックレバー10を施錠位置に回転させることができない。従って、ロックレバー10を一時停止位置に位置させる一方、開き扉Dを扉枠Fに強く衝突するように閉めたとしても、そのときの衝撃によってロックレバー10が施錠位置側へ回転することはない。その結果、トイレが不使用状態にあるにも拘わらず、いたずら等により開き扉Dが閉位置でロックされ、トイレ等を使用できなくなるのを未然に防止することができる。
【0044】
加えて、図示打掛錠Rでは、左右勝手仕様双方の開き扉Dに組み付けて使用できるように、回転制御手段30は、
図7に示すように、可動凸部35を、アウターリング40の外輪部26の軸芯を中心とした点対称の位置の双方に突設すると共に、一対の固定凸部45・55も、インナープレート50の外周縁50bの軸芯を中心とした点対称の位置の双方に突設するから、
図8に示すように、ロックレバー10を、錠杆15が対角線yに沿って鉛直に起立した解錠位置から施錠方向又は解錠方向に回転すると、それぞれ対角線yに対して所定角度β回転した4つの一時停止位置p・q・r・sで、アウターリング40の可動凸部35・35がインナープレート50の固定凸部45・55の側面に当接してロックレバー10の回転を停止させる構造になっている。そこで、解錠時に、錠杆15が鉛直に起立した解錠位置にあるロックレバー10に対し、仮に何らかの外力が加わって可動凸部35と固定凸部45・55の弾性力に抗して所定の大きさ以上の回転トルクでロックレバー10が解錠方向に強制回転し、例えば
図11に示すように、錠杆15の先端部15aが開き扉Dの戸先側端部から扉枠F側に出っ張る一時停止位置sで停止し、開き扉Dの開閉動作の障害になることが考えられる。
【0045】
しかし、本発明の打掛錠Rでは、レバー受けBを、ロックレバー10の錠杆15が施錠姿勢のときにレバー係止部65に係止する高さ位置において、開き扉Dの戸先側端部の内側板面d1に取り付けるから、
解錠時、ロックレバー10を、可動凸部35・35と固定凸部45・55の弾性力に抗して所定の大きさ以上の回転トルクで起立した解錠位置から解錠方向に一時停止位置を越えて回転することがあると、
図12に示すように、ロックレバー10の錠杆15の後端部15bをレバー受けBのレバー係止部65に係止してそれ以上の回転を規制し、これにより、錠杆15の先端部15aが開き扉Dの戸先側端部から扉枠F側に出っ張って開き扉Dの開閉動作の障害になるのを防止することができる。
【0046】
以上の実施の形態では、回動式扉が開き扉Dである例を示したが、本発明の打掛錠は、開き扉に限らず、折戸など、その他の各種回動式扉を内側から施解錠する場合にも使用することができる。
【0047】
また、以上の実施の形態では、開き扉Dが外開き方式で戸尻側の扉枠に軸釣された構造であるため、打掛錠Rの錠本体Aを、レバー受けBと一緒に同じ開き扉Dに取り付けた例を示した。しかし、本発明は、反対に、開き扉が内開き方式で戸先側扉枠に軸釣された構造である場合には、打掛錠の錠本体を、レバー受けと一緒に同じ戸先側扉枠に取り付けて構成することもできる。