(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記リサイクルプラントの減圧乾燥装置は、撹拌装置や加熱ジャケットや凝縮器が設けられた減圧室や、クーリングタワーを備えるので装置構成が複雑であり、装置コストが高いという問題がある。また、上記減圧乾燥装置は、減圧室の容量によって処理能力が制限されるので大量の廃棄物の処理が難しく、リサイクルプラントの大型化が難しいという問題がある。
【0008】
また、上記リサイクルプラントは、高含水率の廃棄物を減圧乾燥装置で乾燥させるために、製品である固形燃料と、固形燃料の材料である木屑の一部とをボイラの燃料に用いているので、製品の製造効率を低くする問題がある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、比較的簡単な構成により、比較的大量の廃棄物を乾燥及び脱臭できて、容易に大型化できるリサイクルプラントを提供することにある。また、廃棄物及び木質材を材料とする固形燃料の製造効率を、従来よりも高めることができるリサイクルプラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の都市ゴミのリサイクルプラントは、廃棄物を、可燃物と不燃物に分別する前処理設備と、
上記前処理設備で分別された可燃物に、木質材と、醗酵乾燥処理がなされた被処理物の一部が戻されたものである戻し醗酵物とを混合して混合廃棄物を形成する混合設備と、
上記混合設備で形成された混合廃棄物を好気性醗酵により発熱させて乾燥を行う醗酵ユニットと、この醗酵ユニット内の空気を好気性醗酵により脱臭する脱臭ユニットとを有する醗酵乾燥設備と
を備えることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、前処理設備によって廃棄物が可燃物と不燃物に分別され、混合設備により、上記可燃物に、木質材と戻し醗酵物とが混合されて混合廃棄物が形成される。上記戻し醗酵物とは、後の工程で醗酵乾燥処理がなされた被処理物の一部が戻されたものであり、発酵菌を可燃物に添加することを目的とする。醗酵乾燥設備により、醗酵ユニットで上記混合廃棄物の好気性醗酵が行われ、醗酵に伴う熱で乾燥すると共に、この醗酵ユニット内の空気が脱臭ユニットで好気性醗酵により脱臭される。醗酵乾燥設備は、醗酵ユニットと脱臭ユニットを有して処理能力を高く設定できるので、比較的大量の廃棄物を処理できる。したがって、上記構成の都市ゴミのリサイクルプラントは、容易に大型化できる。また、醗酵乾燥設備は、廃棄物の醗酵に伴う熱で廃棄物を乾燥させるので、廃棄物を乾燥するための熱を、処理済みの廃棄物を用いて製造した固形燃料を燃焼させて得る必要が無い。したがって、都市ゴミのリサイクルプラントによって例えば固形燃料を製造する場合に、製品の製造効率を高めることができる。また、混合設備は、前処理設備で分別された可燃物に、木質材と戻し醗酵物とを混合して混合廃棄物を形成するので、醗酵乾燥設備において混合廃棄物を迅速かつ効果的に醗酵させることができ、乾燥を促進することができる。
【0012】
一実施形態の都市ゴミのリサイクルプラントは、上記醗酵乾燥設備の脱臭ユニットは、上記醗酵ユニット内の空気を脱臭する際に凝縮水を生成し、
上記混合設備は、上記醗酵乾燥設備の脱臭ユニットで生成された凝縮水が供給され、供給された上記凝縮水を混合廃棄物に添加して所定の含水率に調整する。
【0013】
上記実施形態によれば、醗酵乾燥設備の脱臭ユニットで醗酵ユニット内の空気を脱臭する際に凝縮水が生成され、この凝縮水が混合設備に供給される。混合設備では、醗酵乾燥設備から供給された凝縮水が混合廃棄物に添加され、混合廃棄物が所定の含水率に調整される。このようにして混合廃棄物が所定の含水率に調整されるので、醗酵乾燥設備の醗酵ユニットで混合廃棄物を効果的に醗酵させて乾燥することができる。
【0014】
一実施形態の都市ゴミのリサイクルプラントは、上記混合設備は、上記混合廃棄物を50wt%以上60wt%以下の含水率に調整する。
【0015】
上記実施形態によれば、混合設備により、混合廃棄物が50wt%以上60wt%以下の含水率に調整されるので、醗酵乾燥設備の醗酵ユニットで混合廃棄物を効果的に醗酵させて乾燥することができる。
【0016】
一実施形態の都市ゴミのリサイクルプラントは、上記醗酵乾燥設備で醗酵及び乾燥された被処理物から分別した軽量物と、上記前処理設備で分別された可燃物のうちの軽量物とを材料とし、これらの材料を混合して成形して固形燃料を作製する成形装置を備える。
【0017】
上記実施形態によれば、醗酵乾燥設備で比較的大量の廃棄物が処理されることにより、この醗酵乾燥設備で醗酵及び乾燥された被処理物から分別された軽量物と、前処理設備で分別された可燃物のうちの軽量物とを材料として、成形装置により比較的大量の固形燃料を作製できる。
【0018】
一実施形態の都市ゴミのリサイクルプラントは、上記醗酵乾燥設備で醗酵及び乾燥された被処理物から細粒物を分別し、この細粒物を用いて堆肥を作製する。
【0019】
上記実施形態によれば、醗酵乾燥設備で比較的大量の廃棄物が処理されることにより、この醗酵乾燥設備で醗酵及び乾燥された被処理物から分別された細粒物を用いて、比較的大量の堆肥を作製できる。
【0020】
一実施形態の都市ゴミのリサイクルプラントは、上記前処理設備は、廃棄物から金属を除去する金属除去装置を有し、
上記金属除去装置で金属を除去する前の廃棄物に、醗酵乾燥処理がなされた被処理物の一部が戻されたものである戻し醗酵物を混合する。
【0021】
上記実施形態によれば、前処理設備において、金属除去装置により、廃棄物から金属が除去される。この金属除去装置で金属を除去する前の廃棄物に、戻し醗酵物を混合すると、この戻し醗酵物は醗酵乾燥処理によって含水率が醗酵乾燥処理される前よりも低いので、上記金属除去装置で金属を除去すべき廃棄物の含水率を低減できる。したがって、含水率の高さに起因する金属除去装置の誤動作を防止でき、廃棄物から効率的に金属を除去することができる。また、廃棄物に戻し醗酵物を混合することにより、金属が除去された後の廃棄物を、醗酵乾燥設備において効果的に醗酵させて乾燥することができる。
【0022】
一実施形態の都市ゴミのリサイクルプラントは、上記醗酵乾燥設備の醗酵ユニットが、
通気性及び通水性を有する床面上に被処理物を載置して収容する醗酵室と、
上記醗酵室の下方に配置され、上記被処理物から流出した水を受け取る醗酵貯水室と、
上記醗酵貯水室の水を上記醗酵室の被処理物に散布する醗酵室散水手段と、
上記醗酵室の空気を上記醗酵貯水室に導く醗酵室空気循環手段と
を有する。
【0023】
上記実施形態によれば、醗酵乾燥設備の醗酵ユニットにおいて、通気性及び通水性を有する床面上に被処理物が載置されて醗酵室に収容され、この醗酵室の下方に配置された醗酵貯水室に、上記被処理物から流出した水が受け取られる。この醗酵貯水室の水が、醗酵室散水手段によって上記醗酵室の被処理物に散布され、上記醗酵室の空気が、醗酵室空気循環手段によって上記醗酵貯水室に導かれる。こうして、醗酵室の通気性及び通水性を有する床面上に載置した被処理物について、醗酵室散水手段で水を循環すると共に、醗酵室空気循環手段で空気を循環することにより、被処理物の好気性醗酵を促進して効果的に醗酵及び乾燥を促進できる。
【0024】
一実施形態の都市ゴミのリサイクルプラントは、上記醗酵乾燥設備の脱臭ユニットが、
通気性及び通水性を有する床面上に木質片が載置された脱臭室と、
上記脱臭室の下方に配置され、上記木質片から流出した水を受け取る脱臭貯水室と、
上記醗酵ユニットの醗酵室の空気を上記脱臭貯水室に導く醗酵室空気導入手段と、
上記脱臭貯水室の水を上記脱臭室の木質片に散布する脱臭室散水手段と
を有する。
【0025】
上記実施形態によれば、醗酵乾燥設備の脱臭ユニットにおいて、脱臭室の通気性及び通水性を有する床面上に木質片が載置され、この脱臭室の下方に配置された脱臭貯水室に、上記木質片から流出した水が受け取られる。この脱臭貯水室に、醗酵室空気導入手段により、上記醗酵ユニットの醗酵室の空気が導かれる。また、上記脱臭貯水室の水が、醗酵室散水手段により、上記脱臭室の木質片に散布される。上記醗酵ユニットの醗酵室の臭気を有する空気が、脱臭室の通気性を有する床面を透過し、木質片を通過する際に、木質片に付着した醗酵菌によって脱臭される。この木質片は、醗酵室散水手段によって水が循環されるので、醗酵菌が効果的に培養されて、醗酵室の臭気を効果的に脱臭することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の都市ゴミのリサイクルプラントの実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態としての都市ゴミのリサイクルプラントを示すブロック図である。この都市ゴミのリサイクルプラントは、家庭や事業所から排出された廃棄物を処理して堆肥と固形化燃料を製造するものである。
図1に示すように、このリサイクルプラント1は、前処理設備としての前処理ライン2と、木質材製造ライン3と、混合設備としての混合ライン4と、醗酵乾燥設備としての醗酵乾燥ライン5と、選別ライン6と、塩ビ除去ライン7と、RPF製造ライン8を備える。
【0029】
図2A及び2Bに示される前処理ライン2は、ゴミ収集事業により収集された廃棄物である都市ゴミを処理して、可燃物と不燃物に分別するものである。前処理ライン2には、可燃物と不燃物とが混在した状態で投入される。ここで、可燃物には、生ごみ、紙屑、古紙、布屑、衣類、木屑、革製品等が含まれる。また、化繊布、プラスチック製のレジ袋、菓子袋、チューブ、トレイ、カップ、ボトル等の各種容器、発泡スチロール製の緩衝材、プラスチック製の玩具、及び、プラスチック製の文具等の合成樹脂を材料とする物質も、可燃物に含まれる。一方、不燃物には、例えばスチール家具、鍋、フライパン、飲料用缶等の金属物質、陶磁器、ガラス、小型廃家電、廃乾電池等が含まれる。前処理ライン2に投入される可燃物と不燃物は、混合された状態でもよく、或いは、互いに分別された状態でもよい。この前処理ライン2は、投入された可燃物と不燃物を分別し、更に、可燃物を、固形燃料としてのRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel;廃紙及びプラスチック燃料)の材料に直接使用する可燃性直接材料と、醗酵乾燥してRPFの材料又は堆肥の材料に使用する可燃性醗酵材料に分別する。可燃性直接材料としては、例えば紙屑及び廃プラスチックが該当し、可燃性醗酵材料としては、生ゴミ及び繊維屑等が該当する。また、前処理ライン2では、可燃性醗酵材料の水分調整を行うために、選別ライン6から戻された戻し醗酵物を可燃性醗酵材料に混合する。
【0030】
図3に示される木質材製造ライン3は、木質廃棄物を処理するものであり、建築物の解体によって生じた廃木材や、間伐材や、剪定材や、材木端材等の木質廃棄物が投入される。この木質材製造ライン3は、木質廃棄物を破砕して木質材としての木片を形成する。木質材製造ライン3で製造された木片は、混合ライン4で前処理ライン2からの可燃物に混合される。木質材製造ライン3で形成される木片は、寸法が50mm以上300mm以下である。
【0031】
図3に示される混合ライン4は、前処理ライン2からの可燃物と、木質製造ライン3からの木片と、選別ライン6から戻された戻し醗酵物とを混合して混合廃棄物を作製する。また、醗酵乾燥ライン5から戻された戻し醗酵水を混合廃棄物に混合し、混合廃棄物の含水率を、醗酵乾燥ライン5において醗酵を促進するために適した値に調整する。戻し醗酵水を混合して調節する混合廃棄物の含水率は、50wt%以上60wt%以下であり、特に好ましくは約55wt%前後である。
【0032】
図4に示される醗酵乾燥ライン5は、混合ライン4からの混合廃棄物を醗酵させ、醗酵に伴う熱によって混合廃棄物を乾燥させる。醗酵乾燥ライン5は、醗酵ユニットとしての細長矩形状の醗酵建屋で醗酵を行い、脱臭ユニットとしての脱臭建屋で脱臭を行う所謂バイオトンネル方式により、混合廃棄物の醗酵を行う。
【0033】
図5に示される選別ライン6は、醗酵乾燥ライン5で醗酵及び乾燥処理がなされた被処理物を分別し、RPFの材料と堆肥を選別する。また、前処理ライン2及び混合ライン4に供給する戻し醗酵物を選別する。さらに、被処理物に残留していた不燃物を選別する。
【0034】
図6に示される塩ビ除去ライン7は、選別ライン6で選別されたRPFの材料から、塩化ビニルを除去する。塩化ビニルの除去は、例えば光学式の塩化ビニルの選別装置を用いることができる。
【0035】
図6に示されるRPF製造ライン8は、塩ビ除去ライン7で塩化ビニルが除去された材料を成形してRPFを製造する。成形は、押出成形機やペレットミルを用いて行うことができる。
【0036】
以下、各ラインの構成と、各ラインで行われる処理の詳細を、ライン毎に説明する。
【0037】
図2Aは、リサイクルプラント1の前処理ライン2の一部を示す模式図であり、
図2Bは、リサイクルプラント1の前処理ライン2の一部を示す模式図である。前処理ライン2では、ゴミ収集事業で収集された廃棄物が、受入コンベヤ11に受け入れられて粗破砕機12に送られる。粗破砕機12は、廃棄物の粗破砕を行うものであり、廃棄物が袋や容器等に包まれている場合、袋や容器を破壊して廃棄物を個片化する破袋作用を奏する。粗破砕機12は、下方に狭くなった処理空間を形成する傾斜側板付きホッパを有したケーシング内に、回転駆動されるロータを収容している。ロータは、長手方向に複数組配列された回転刃を有し、回転刃の間に横断方向に配置された上仕切り板の中央部の上部に軸受で軸承されている。上仕切り板の下には、円弧面上に固定刃の縦通材が複数固定されて粗いスクリーンを形成した下仕切り板が設けられている。なお、粗破砕機12として、公知のハンマークラッシャーやロータリスクリュークラッシャーを用いてもよい。スクリュークラッシャーは、二軸型と一軸型のいずれでもよい。
【0038】
粗破砕機12によって粗破砕された廃棄物は、コンベヤで搬送され、揺動選別機13に供給される。揺動選別機13は、被処理物を、軽量物と、重量物と、細粒物に分別する。軽量物は、かさ比重が比較的小さいものであり、可燃物のうち、シート状又は板状の紙や布、及び、繊維屑等が含まれる。また、シート状又は薄板状の合成樹脂物質が含まれる。重量物は、かさ比重が比較的大きいものであり、可燃物のうち、木片や、合成樹脂製の容器やボトルが含まれる。また、不燃物のうち、寸法の比較的大きい金属や陶器やガラス等が含まれる。細粒物は、真比重が比較的大きくて小径のものであり、生ゴミの主成分である高含水の食品滓や、金属の粒や、陶器の粒や、土砂等が含まれる。
【0039】
揺動選別機13は、
図7の縦断面図に示すように、フレーム110に支持されて長手方向の一端が他端よりも下方に位置するように傾斜したケーシング101と、ケーシング101内に長手方向に傾斜して設置され、下方から上方に向かって廃棄物に送りを掛けるように揺動する複数の短冊状篩板106と、ケーシング101内の複数の短冊状篩板106の上方に、短冊状篩板106に沿って下方から上方に向かって矢印W1で示すように送風する送風機115を備える。ケーシング101は、上部の長手方向の中央に設けられた投入口102と、下部の長手方向の一端側に設けられた重量物排出口103と、下部の長手方向の中央に設けられた細粒物排出口104と、この細粒物排出口104よりも上方に位置して長手方向の他端側に設けられた軽量物排出口105を有する。
【0040】
短冊状篩板106は、パンチングボードや格子盤で形成された短冊状スクリーン109と、短冊状スクリーン109の長手方向の両側縁に設けられた鋸歯部材107を有する。短冊状スクリーン109は、10mm以上25mm以下の直径の円又は四角形状の複数の篩孔109aが設けられている。鋸歯部材107は、一端側から他側に向かう緩やかな上り傾斜部108aと、一端側から他端側に向かう急角度の下り傾斜部108bとで形成された鋸歯108を有している。この短冊状篩板106は、ケーシング101に取り付けられた偏心軸受ユニット120,130によって揺動可能に支持されている。
【0041】
偏心軸受ユニット120,130は、短冊状篩板106の一端側を支持する偏心軸受ユニット120に駆動力が入力され、短冊状篩板106の他端側を支持する偏心軸受ユニット130は短冊状篩板106の揺動時に従動するように形成されている。駆動側の偏心軸受ユニット120は、モータで回転駆動される円形状の偏心板121と、偏心板121の外周を取り囲む短円筒形状の偏心旋回部材122と、偏心板121と偏心旋回部材122との間に介在された転がり軸受とを有する。偏心板121は駆動軸123に固定され、この駆動軸123には、他の短冊状篩板106の偏心軸受ユニット120が共通して固定されている。従動側の偏心軸受ユニット130は、駆動側の偏心軸受ユニット120の偏心板121及び偏心旋回部材122と同様に構成された偏心板131及び偏心旋回部材132を有している。偏心板131は、フレーム110に対して回動自在に支持された支持軸133に対して固定されている。駆動側の偏心軸受ユニット120は、駆動軸123がモータで回転駆動されると、偏心板121が駆動軸123回りに偏心回転し、これ伴って偏心旋回部材122が揺動軸123を中心に偏心旋回する。これにより、偏心旋回部材122に連結された短冊状スクリーン109が上下前後に揺動する。複数の短冊状篩板106は、隣接するスクリーン109に対して180度の位相差を有するように設定されている。したがって、ある短冊状スクリーン109が最上点に位置するときには、それに隣接する短冊状スクリーン109が最下点に位置するようになる。
【0042】
揺動選別機13が作動すると、上記構成の短冊状篩板106が揺動駆動され、ケーシング101の投入口102から矢印F1で示すように被処理物が投入される。投入された被処理物は、揺動駆動される短冊状篩板106によって解され、被処理物に含まれる土砂、釘、残飯及び茶がら等の細粒物112が、篩孔109aから下方に落下し、細粒物排出口104から排出される。被処理物のうち、繊維屑、紙、トレイ、木片、プラスチックシート等の軽量物113は、鋸歯108の上り傾斜部108aを滑り、鋸歯108の下り傾斜部108bで受け継がれながら傾斜上方に搬送され、短冊状篩板106の他端から落下し、軽量物排出口105から排出される。被処理物のうち、陶器片、金属片、金物、空き缶、PETボトル、ブロック、石及び靴等の重量物111は、傾斜した短冊状スクリーン109上で転がり又は滑りながら下方に移動し、短冊状篩板106の一端から落下し、重量物排出口103から排出される。このように、短冊状篩板106を傾斜上方に搬送される軽量物113は、主に、繊維屑や紙やプラスチックのフィルム等のような非反発性のものである。一方、短冊状篩板106を傾斜下方に移動する重量物111は、主に、金属や石や硬質プラスチック等の反発性のものである。
【0043】
送風機115は、ケーシング101の投入口102から矢印F1で示すように投入される被処理物を空気流でほぐすとともに、例えばテープやシート等の軽量物113を、短冊状篩板106上で他端側に吹き飛ばして選別を促進する。
【0044】
こうして、揺動選別機13により、被処理物である廃棄物が、重量物111と、細粒物112と、軽量物113とに分別される。
【0045】
揺動選別機13で選別された軽量物113は、風力選別機14によって更に軽量物と重量物に分別される。風力選別機14で選別された軽量物は、廃プラスチックや紙屑等であり、RPF製造ライン8で用いられるRPF材料として、プラスチック類ヤード15に収集される。風力選別機14で選別された重量物は、繊維屑及び衣類等であり、揺動選別機13で選別された細粒物112が水分調整されたものと合流して被醗酵物ヤード22に収集され、醗酵乾燥ライン5の被醗酵乾燥物として使用される。
【0046】
揺動選別機13で選別された細粒物112は、受入ホッパ18に受け入れられ、受入ホッパ18に設けられた切出装置によって、パドルミキサ19に投入される。パドルミキサ19には、他の受入ホッパ17から、廃棄物に発酵乾燥が施された発酵乾燥物が投入される。他の受入ホッパ17には、選別ライン6で選別されて醗酵乾燥物ヤード36に収集された醗酵乾燥物が投入される。揺動選別機13で選別された細粒物112は、生ゴミ類が主要成分であって含水率が80wt%〜95wt%と高い。したがって、パドルミキサ19により、細粒物112を含水率が約5wt%〜20wt%の醗酵乾燥物と混合することにより、全体として約30wt%程度の含水率に調整する。
【0047】
パドルミキサ19は、
図8の縦断面図に示すように、受入ホッパ18からの細粒物が投入される第1投入口142と、受入ホッパ17からの醗酵乾燥物が投入される第2投入口143と、細粒物と醗酵乾燥物とを混合してなる調整細粒物を排出する排出口144を有し、内部に混合室が形成されるケーシング141を備える。ケーシング141内には、第1及び第2投入口142,143と排出口144の間に2本の回転軸145,145が平行に配置され、回転軸145,145の各々に、複数の混合羽根147,147,・・・が螺旋状に固定されている。2本の回転軸145,145には、ケーシング141の外側に位置して互いに噛み合う歯車146が夫々設けられている。ケーシング141の外側には図示しないモータが設けられており、モータの出力軸のスプロケットと、一方の回転軸145に固定されたスプロケットとにチェーンが巻回されている。当該モータでチェーンを介して一方の回転軸145が回転駆動されると共に、歯車146を介して他方の回転軸145が一方の回転軸145と反対方向に回転駆動される。これにより、2本の回転軸145,145に固定された混合羽根147,147が回転駆動されて、有機廃棄物と乾燥廃棄物の送り動作及び混合動作をするようになっている。モータの回転数がコントローラによって制御され、パドルミキサ19の動作が制御される。
【0048】
図9は、パドルミキサ19の第1投入口142の配置位置における横断面図である。
図9に示すように、複数の混合羽根147,147,・・・は、回転軸145方向視において互いに90°の角度間隔で配置されている。
図9に示すように、回転軸145方向視において、回転軸145,145の間で混合羽根147,147がオーバーラップするように配置されている。なお、複数の混合羽根147,147,・・・は、回転軸145方向視において、回転軸145,145の間でオーバーラップしなくてもよい。各回転軸145の混合羽根147,147,・・・は、取付軸149によって回転軸145に取り付けられており、回転軸145の直角面に対して傾斜するように、取付軸149回りのピッチ角が調整されている。第1投入口142から、回転軸145方向において投入口142と排出口144との間の距離の半分の位置までに配置された混合羽根147,147,・・・は、ピッチ角が、いずれも同じ方向に設定されている。これにより、回転軸145が回転するに伴い、被処理物を投入口142,143から排出口144に向かって送るようになっている。一方、回転軸145方向において投入口142と排出口144との間の距離の半分の位置から、排出口144までに配置された混合羽根147,147,・・・は、隣り合う混合羽根147のピッチ角が、互いに反対方向になるように設定されている。すなわち、
図10の軸直角方向断面に示すように、回転軸145の周りに互いに90°の角度をなして配置された4枚の混合羽根147a,147b,147c,147dのうち、
図10において縦方向の同一径上に位置する混合羽根147a,147cのピッチ角が、互いに同じ方向r1に設定されている。一方、
図10において横方向の同一径上に位置する混合羽根147b,147dのピッチ角が、前記混合羽根147a,147cのピッチ角と反対の方向r2に設定されている。これにより、回転軸145が回転するに伴い、混合羽根147,147,・・・から被処理物に、投入口142,143から排出口144に向かう力と、排出口144から投入口142,143に向かうと力との両方を作用させて、被処理物を効果的に混合するようになっている。なお、回転軸145方向において投入口142と排出口144との間の距離の半分の位置から、排出口144までに配置された混合羽根147,147,・・・は、混合羽根147のピッチ角を、所定数おきに反対向きに設定してもよく、例えば、4枚のうちの1枚の割合で反対向きに設定してもよい。また、ピッチ角が反対方向の混合羽根147を設置する範囲は、第2投入口143から排出口144までの間のいずれの部分であってもよい。
【0049】
パドルミキサ19の2つの回転軸145,145は、混合羽根147,147,・・・の螺旋状をなす取付位置と、混合羽根147,147,・・・のピッチ角が、互いに鏡像対象をなすように配置されている。また、2つの回転軸145,145は、
図9から分かるように、軸方向視において互いの混合羽根147,147,・・・の軌跡が重なり合うように配置されている。これにより、回転軸145,145が互いに反対方向に回転するに伴い、軸方向において同じ方向に効果的に送り動作と混合動作を行うようになっている。
【0050】
上記パドルミキサ19で細粒物と醗酵乾燥物が混合されて含水率が約30wt%となった被処理物は、ドラム磁選機20に導かれ、混入していた磁性体が除去される。除去される磁性体は、鉄片や廃乾電池等である。上記パドルミキサ19によって含水率が約30wt%の被処理物を得ることにより、被処理物の水分に起因するドラム磁選機20の作動不良を防止して、ドラム磁選機20によって効果的に磁性体の除去を可能としている。ドラム磁選機20で選別された磁性体は、収容器21に収容され、再利用等の処理施設に送られる。ドラム磁選機20で磁性体が除去された被処理物は、被醗酵物ヤード22に収集される。
【0051】
揺動選別機13で選別された重量物111は、
図2Bに示す手選別工程に送られる。手選別工程では、重量物111の被処理物が作業用コンベヤに載置され、まず、作業用コンベヤの始端の近傍に配置された磁選機23により、磁性体が除去される。磁選機23で除去された磁性体は、磁性体ヤード24に収集される。磁性体が除去された被処理物は、作業用コンベヤで搬送される間に、選別者によって、磁性体以外の不燃物が選別されて除去される。選別者によって除去された不燃物は、夫々の種類に応じて、陶磁器ヤード25と、アルミ缶ヤード26と、ペットボトルヤード27と、ビン類ヤード28に収集される。作業用コンベヤを流れるに伴って不燃物が除去された被処理物は、作業用コンベヤの終端に配置された破砕機29に投入され、破砕される。破砕機29で破砕された被処理物は、被醗酵物ヤード30に収集され、醗酵乾燥ライン5の被醗酵乾燥物として使用される。
【0052】
前処理ライン2で処理された被処理物は、混合ライン4に送られて、木質材製造ライン3で製造された木片と、選別ライン6から戻された戻し醗酵物とに混合される。
図3は、木質材製造ライン3と混合ライン4とを示す模式図である。
【0053】
木質材製造ライン3では、木片の材料である廃木材、間伐材、剪定材及び材木端材等の木質廃棄物が、粗砕機31に投入される。粗砕機31により、木質廃棄物が破砕され、直径が50mm以上300mm以下の木片が作製され、この木片はコンベヤで木片ヤード32に搬送される。この木片ヤード32の木片と、選別ライン6の醗酵乾燥物ヤード33の醗酵物が、混合ライン4のベルトフィーダ34に投入される。この醗酵乾燥物ヤード33の醗酵物は、醗酵乾燥ライン5で発酵乾燥処理がされた被処理物から分別された木片が主要な成分であり、発酵のための種菌を戻すために混合ライン4に投入される。また、混合ライン4では、前処理ライン2で被醗酵物ヤード22に収集された可燃物と、被醗酵物ヤード30に収集された可燃物とが、ベルトフィーダ35に投入される。さらに、選別ライン6の醗酵乾燥物ヤード59の醗酵物が、切出装置付きの受入ホッパ37に投入される。上記ベルトフィーダ34から供給される木片及び醗酵物と、上記ベルトフィーダ35から供給される可燃物と、上記受入ホッパ37の切出装置から切り出される醗酵物とが、ミキサ38に投入されて混合される。ミキサ38で混合されてなる混合廃棄物は、混合物ヤード39に収集される。混合物ヤード39では、混合廃棄物を醗酵に適した水分量とするため、ポンプ41によって醗酵乾燥ライン5から導かれた醗酵水が、散水ノズル40で混合廃棄物に散布される。醗酵水の散布により、混合廃棄物は、50wt%以上60wt%以下の含水率に調整される。含水率が調整された混合物ヤード39の混合廃棄物は、
図4に示す醗酵乾燥ライン5に投入される。
【0054】
醗酵乾燥ライン5は、
図4に示すように、醗酵ユニットとしての複数の醗酵建屋43,43,・・・と、脱臭ユニットとしての脱臭建屋44とを有する。混合ライン4の混合物ヤード39の混合廃棄物が、複数の醗酵建屋43,43,・・・の各々に投入され、好気性醗酵による醗酵が行われ、醗酵に伴う発熱によって乾燥する。醗酵及び乾燥処理が行われた混合廃棄物は、複数の醗酵建屋43,43,・・・の各々からベルトフィーダ51に導かれて選別ライン6に送られる。脱臭建屋44の貯水室165の水が、醗酵水として、ポンプ41で混合ライン4の混合物ヤード39に送られる。
【0055】
図11は、醗酵乾燥ライン5の醗酵建屋43と脱臭建屋44を示す横断面図である。醗酵建屋43は、壁及び床を構成するコンクリート躯体150と、コンクリート躯体150の上に設置された屋根151と、コンクリート躯体150の内側の下部に設けられた床支持構造152と、床支持構造152に支持されて通気性及び通水性を有する床本体153と、床本体153の下方に形成された醗酵貯水室としての貯水室154と、床本体153の上方に形成された醗酵室155と、屋根151の内側に設置された醗酵室散水手段としての散水ノズル156と、貯水室154の水を散水ノズル156に導くポンプ157と、醗酵室155の空気を貯水室154に導き、また、外気を貯水室154に導く送風機158と、醗酵室155内の温度、湿度及び酸素濃度を測定するセンサ159を有する。送風機158は、吸気ポートが、先端が外気に開放されて吸気口をなす吸気管177に接続されている。この吸気管177の途中には、吸気管177に介設された三方弁175によって、醗酵室155に連通する室内連通管176が接続されている。三方弁175は、センサ159からの信号S1に基づいて制御装置172で制御され、送風機158の吸気ポートを、吸気管177の吸気口と室内連通管176とのいずれかに切り替えて連通するように構成されている。送風機158の吐出ポートは、貯水室154に連通している。送風機158は、センサ159からの信号S1に基づいて、制御装置172によって動作が制御される。この醗酵建屋43は、コンクリート躯体150と屋根151によって実質的に密閉されており、内部の空気が送風機170によって醗酵室排気管171を通して排気される。
【0056】
脱臭建屋44は、壁及び床を構成するコンクリート躯体160と、コンクリート躯体160の上に設置された屋根161と、コンクリート躯体160と屋根161の間に設けられた通風窓162と、コンクリート躯体160の内側の下部に設けられた床支持構造163と、床支持構造163に支持されて通気性及び通水性を有する床本体164と、床本体164の下方に形成された脱臭貯水室としての貯水室165と、床本体164の上方に形成された脱臭室166と、屋根161の室内側に設置された脱臭室散水手段としての散水ノズル167と、貯水室165の水を散水ノズル167に導くポンプ168と、醗酵建屋43の醗酵室155の水蒸気を含んだ空気を脱臭建屋44の貯水室165に導く送風機170を有する。送風機170の吸気ポートは、脱臭建屋44の醗酵室155に連通する醗酵室排気管171に接続されており、送風機170の吐出ポートは、脱臭建屋44の貯水室165に連通している。送風機170は、センサ159からの信号S1に基づいて、上記制御装置172によって動作が制御される。床本体164の上には、床本体164側から順に、荒目チップ層P1と、中目チップ層P2と、細目チップ層P3との3層の木質チップ層が設置されている。荒目チップ層P1は、直径が20mm以上60mm以下、軸方向長さが100mm以上150mm以下の円筒形の木質チップで形成される。中目チップ層P2は、一辺が20mm以上60mm以下の直方体の木質チップで形成され、好ましくは40mm角の正方形かつ厚みが10mmの平板状の木質チップで形成される。細目チップ層P3は、直径2mm以上8mm以下、好ましくは3mm以上5mm以下のザラメチップで形成される。
【0057】
この醗酵乾燥ライン5では、混合物ヤード39の混合廃棄物が、醗酵建屋43の長手方向の端部に設けられた搬入口から搬入され、醗酵室155内の床本体153の上に蓄積される。搬入口には2重扉が設けられており、醗酵室155内の気密性を保つようになっている。醗酵室155内に蓄積された混合廃棄物Dは、混合ライン4で予め混合された醗酵物の醗酵菌と、散水ノズル156で散水される貯水室154の水に含まれる醗酵菌により、醗酵が促進されて発熱する。この発酵に伴って生成される熱により、混合廃棄物Dが乾燥する。醗酵室155の空気が、送風機158によって室内連通管176と吸気管177を通して貯水室154に導かれることにより、混合廃棄物D内に空気の流れが形成され、これによって混合廃棄物Dの好気性醗酵が促進される。また、送風機170により、醗酵建屋43の醗酵室155の水蒸気を含んだ空気が脱臭建屋44の貯水室165に導かれることにより、醗酵室155が負圧に保たれて、醗酵室155内の臭気が醗酵建屋43の外部に拡散する不都合が防止される。
【0058】
脱臭建屋44では、醗酵建屋43で生成される臭気の分解が行われる。醗酵建屋43で生成された臭気を含む醗酵室155の水蒸気及び空気が、送風機170により、醗酵室排気管171を通して脱臭建屋44の貯水室165へ導かれる。貯水室165へ導かれた水蒸気及び空気は、床本体164を透過し、荒目チップ層P1と、中目チップ層P2と、細目チップ層P3との3層の木質チップ層を順次通過する。これらの木質チップ層P1,P2,P3を通過する際に、各層の木質チップに付着した醗酵菌の作用により、水蒸気と空気に含まれる臭気が分解されて脱臭が行われる。水蒸気の一部は木質チップに付着して凝縮し、床本体164を透過して貯水室165に流下する。脱臭された空気は、通風窓162を通って大気に放出される。貯水室165の水が散水ノズル167で散布され、貯水室165から通風窓162に空気の流れが形成されることにより、木質チップ層P1,P2,P3に付着した醗酵菌による好気性醗酵が促されて、臭気が効果的に分解される。
【0059】
醗酵建屋43の醗酵室155の環境は、制御装置172によって制御される。詳しくは、センサ159によって測定された醗酵室155内の温度、湿度及び酸素濃度に基づいて、ポンプ157、送風機158及び三方弁175の動作が制御装置172で制御される。センサ159で測定された醗酵室155内の温度が上限基準値を超えた場合、ポンプ157の流量を増大させると共に、三方弁175で室内連通管176を吸気管177に連通させた状態で、送風機158の流量を増大させる。センサ159で測定された醗酵室155内の温度が下限基準値を下回った場合、ポンプ157の流量を減少させると共に、三方弁175で送風機158の吸気ポートを室内連通管176に連通した状態で、送風機158の流量を減少させる。また、コンクリート躯体150に内蔵されたヒータを作動して、混合発酵物Dを加熱する。センサ159で測定された醗酵室155内の湿度が上限基準値を超えた場合、ポンプ157の流量を減少させると共に、三方弁175で送風機158の吸気ポートを吸気管177の吸気口に連通させて、外気を貯水室154に導く。センサ159で測定された醗酵室155内の湿度が下限基準値を下回った場合、ポンプ157の流量を増大させると共に、三方弁175で室内連通管176を吸気管177に連通させて、空気を貯水室154と発酵室155の間に循環させる。センサ159で測定された醗酵室155内の酸素濃度が下限基準値を下回った場合、三方弁175で送風機158の吸気ポートを吸気管177の吸気口に連通させて、外気を貯水室154に導く。
【0060】
このようにして、醗酵建屋43の醗酵室155の環境を制御装置172で制御することにより、醗酵室155内の混合廃棄物Dの発酵が進み、次のような温度変化が生じる。まず、混合廃棄物Dの投入から3日前後が経過するまでは、発酵室155の混合廃棄物Dの温度は60℃以下であり、その後、発酵によって混合廃棄物Dの温度が上昇し、投入から15日前後までの間、60℃以上80℃以下の温度が保持される。この後、投入から15日前後が過ぎると醗酵が完了して混合廃棄物Dの温度が低下を開始する。そして、投入から20日前後で30℃以上50℃以下にまで低下して、混合廃棄物Dの乾燥が完了し、含水率が約5wt%以上20wt%以下の発酵乾燥物となる。
【0061】
醗酵乾燥ライン5で混合廃棄物が発酵及び乾燥処理されてなる発酵乾燥物は、選別ライン6のベルトフィーダ51に投入される。
図5は、選別ライン6の構成を示す模式図である。選別ライン6では、ベルトフィーダ51に投入された発酵物が、揺動選別機52に導かれて、重量物と細粒物と軽量物に分別される。揺動選別機52は、前処理ライン2の揺動選別機13と同様の構造を有する。揺動選別機52で分別された重量物は、木片や合成樹脂製の容器等の可燃物と、寸法の比較的大きい金属や陶器やガラス等の不燃物を含む。重量物は磁選機53によって磁性体が除去され、磁性体が除去された重量物は発酵物ヤード33に収集される。この発酵物ヤード33に収集された重量物は、戻し発酵物として混合ライン4に戻される。揺動選別機52で分別された細粒物は、食品屑の発酵乾燥物と、小径の金属、陶器及び土砂であり、振り分けコンベヤ58によって振り分ける。振り分けコンベヤ58で振り分けられた一方の細粒物は、戻し発酵物ヤード59に収集され、戻し醗酵物として選別ライン6に投入される。振り分けコンベヤ58で振り分けられた他方の細粒物は、比重差選別機61によって更に重量物、細粒物及び軽量物に分別される。比重差選別機61で分別された重量物は、主に金属、陶器及び土砂であり、不燃物ヤード62に収集されて、最終処分が行われる。比重差選別機61で分別された細粒物は、主に食品屑の発酵乾燥物であり、堆肥ヤード63に収集され、堆肥として用いられる。比重差選別機61で分別された軽量物は、かさ比重の比較的小さい食品屑の発酵乾燥物であり、醗酵乾燥物ヤード36に収集される。醗酵乾燥物ヤード36の軽量物は、含水率が80wt%〜95wt%の前処理ライン2の細粒物112を約30wt%程度に調整するため、前処理ライン2に投入される。また、上記醗酵乾燥物ヤード36の軽量物は、RPF材料としてRPF製造ライン8に投入される。比重差選別機61内で生じた粉塵は、サイクロンセパレータ65で回収され、発酵乾燥物ヤード36に収集される。揺動選別機52で分別された軽量物は、シート状又は板状の紙や布、繊維屑及び合成樹脂物質であり、RPF製造ライン8の材料として、RPF材料ヤード57に収集される。
【0062】
図12は、選別ライン6で用いられる比重差選別機61を示す模式断面図である。比重差選別機61は、上部に被処理物の投入口182と排気口184を有すると共に、下部に軽量物排出口185と細粒物排出口186と重量物排出口187と給気口183を有するケーシング181と、このケーシング181内に配置され、一端を他端よりも下方に位置するように傾斜して揺動駆動される揺動網ユニット190と、ケーシング181内に給気口183を介して風を送る送風機188を有する。揺動網ユニット190は、1mm以上10mm以下の寸法の網目を有し、長手方向断面において、一端側の緩やかな傾斜角度の長辺と、他端側の急峻な傾斜角度の短辺とを交互に繰り返して形成された波状の波状網体191と、この波状網体191の両側に立設されて被処理物を波状網体191の延在方向に導くガイド壁192を有する。揺動網ユニット190は、波状網体191の一端の下部に設けられた揺動軸193を支点として、波状網体191の他端の下部に連結されて矢印R周りに駆動されるクランク機構195により、矢印Lで示すように揺動駆動される。送風機188から給気口183に送られた風は、揺動網ユニット190の波状網体191を通過して上方に流れて、排気口184からケーシング181の外部に排出される。排気口184はバグフィルタに接続されており、被処理物の塵がバグフィルタによって除去され、塵が除去された風は大気に排出される。比重差選別機61が作動すると、揺動網ユニット190が揺動駆動すると共に送風機188がケーシング181内に送風する状態で、投入口182に被処理物が投入される。投入された被処理物は、揺動網ユニット190の波状網体191上に落下し、揺動網ユニット190の揺動運動により、軽量物が波状網体191上を傾斜の下方に向かって移動し、矢印196で示すように軽量物排出口185から排出される。被処理物のうちの細粒物は、揺動網ユニット190の波状網体191を通過し、矢印197で示すように細粒物排出口186から排出される。被処理物のうちの重量物は、波状網体191の揺動運動によって、波状網体191の上を傾斜の上方に向かって移動し、矢印198で示すように重量物排出口187から排出される。
【0063】
図6は、RPF材料から塩化ビニルを除去する塩ビ除去ライン7と、塩化ビニルを除去されたRPF材料を成形してRPFを作製するRPF製造ライン8を示す模式図である。塩ビ除去ライン7では、前処理ライン2でプラスチック類ヤード15に収集されたRPF材料と、選別ライン6でRPF材料ヤード57に収集されたRPF材料と、選別ライン6で醗酵乾燥物ヤード36に収集された醗酵乾燥物が、RPF材料としてベルトフィーダ71に投入される。ベルトフィーダ71に投入されたRPF材料は、振動フィーダ72により、光学式選別装置74に連なる搬送コンベヤ73の搬送ベルト上に万遍なく散布される。搬送コンベヤ73に散布されたRPF材料は、光学式選別装置74に導かれて、塩化ビニルが分別除去される。分別除去された塩化ビニルは、埋立て等の最終処分に付される。
【0064】
図13は、光学式選別装置74を示す模式図である。光学式選別装置74は、搬送コンベヤ73の終端部の近傍に配置され、被処理物に電磁波としての近赤外線を照射し、その反射波を受ける光学ユニット202と、被処理物に圧縮空気を噴射する噴射部としてのエアガン203と、光学ユニット202及びエアガン203に接続された制御部204を備える。エアガン203は、圧縮空気を供給するコンプレッサユニット205に接続されている。光学ユニット202は、搬送コンベヤ73上の軽量物に近赤外線を照射する電磁波照射部としての照射部206と、軽量物で反射された近赤外線の反射波を受ける反射波検出部としての近赤外線カメラ207を有する。照射部206は、搬送コンベヤ73のベルトの進行方向の前後から近赤外線を照射する一対のランプが、搬送コンベヤ73のベルトの幅方向に複数個配列されて形成されている。照射部206の各対のランプの間に、直下からの近赤外線を受光するように、近赤外線カメラ207のレンズが配置されている。
【0065】
被処理物であるRPF材料が搬送コンベヤ73で搬送され、光学ユニット202の下方に達すると、光学ユニット202の照射部206が近赤外線を被処理物に照射し、照射された近赤外線が被処理物で反射してなる反射波を、近赤外線カメラ207のレンズが受ける。近赤外線カメラ207は、近赤外線の反射波を受け、近赤外線の反射波の波長及び強度を表す情報を制御部204に出力する。制御部204は、近赤外線カメラ207から入力された情報に基づき、個々の被処理物からの反射波の波長及び強度を解析し、スペクトル分布のパターンに基づいて被処理物の材料を判別する。判別された材料が、塩素含有樹脂としての塩化ビニルであると、制御部204は、この塩化ビニル製の被処理物を、搬送コンベヤ73から除去する。すなわち、塩化ビニル製の被処理物が搬送コンベヤ73の終端に達するタイミングで、制御部204がエアガン203に作動信号S2を出力してエアガン203を作動させ、圧縮空気を塩化ビニル製の被処理物に向けて噴射する。塩化ビニル製の被処理物は、圧縮空気を受けて吹き飛ばされて、搬送コンベヤ73の終端から遠い側に設けられた回収室208に回収される。塩化ビニル製の廃プラスチック以外の被処理物は、搬送コンベヤ73の終端から下方に落下して、搬送コンベヤ73の終端に近い側に設けられた回収室209に回収される。
【0066】
光学式選別装置74で分別された塩化ビニルは、収容器75に収容され、最終処分される。塩化ビニルが分別除去されたRPF材料は、破砕機としてのロータリープレスクラッシャ78に投入され、50mm以上150mm以下の粒径に破砕される。ロータリープレスクラッシャ78で破砕されたRPF材料は、ドラム磁選機79に導かれ、RPF材料に混入する磁性体が除去される。ドラム磁選機79で分別された磁性体は磁性体容器80に収容され、最終処分される。ドラム磁選機79で磁性体が分別除去されたRPF材料は、切出スクリューを有する定量供給機81に投入されて蓄積される。定量供給機81に蓄積されたRPF材料は、切出スクリューで所定量が切り出され、RPF成形機としての2軸型のスクリュー式成形機82に投入されて、RPFに成形される。このスクリュー式成形機82は、2軸のスクリューによって材料の逆流を阻止しつつ混練、圧縮及び成形を行うものであり、材料の圧縮により発生する摩擦熱を利用して高効率に加熱圧縮成形を行う。スクリュー式成形機82の圧縮室及び押出室と、定量供給機81の切出スクリューには排気管が接続されている。この排気管により、スクリュー式成形機82による成形過程で生じる臭気と、切出スクリューによる切り出し過程で生じる臭気を脱臭装置84に導いて脱臭し、脱臭後の空気を大気に放出する。スクリュー式成形機82で成形されてなるRPFは、水冷式の冷却コンベヤ85で搬送される過程で冷却され、RPFヤード86に収集される。
【0067】
上記RPF製造ライン8のRPF成形機は、材料の混合、混練、加熱及び押し出し工程を行い、廃プラスチックの溶融成分をバインダとして、可燃物である紙、繊維及び木質成分を固形化してRPFを製造するものであれば、他の成形機であってもよい。RPF成形機としては、スクリュー式成形機の他に、リングダイ式成形機を用いることができる。
【0068】
以上のように、本実施形態の都市ゴミのリサイクルプラント1によれば、醗酵建屋43と脱臭建屋44を有する所謂バイオトンネル式の醗酵乾燥ライン5により、高い処理能力で発酵及び乾燥を行うことができ、比較的大量の廃棄物を処理できる。例えば醗酵建屋43の発酵室155の寸法を、幅5m、高さ5m及び長さ30mに設定した場合、年間1600〜1800トンの可燃性の廃棄物を処理することができる。したがって、この都市ゴミのリサイクルプラント1は、容易に大型化を行うことができる。また、本実施形態のリサイクルプラント1の醗酵乾燥ライン5は、廃棄物の醗酵に伴う熱で廃棄物を乾燥させるので、廃棄物を乾燥するための熱を、RPFを燃焼させて得る必要が無い。したがって、リサイクルプラント1の製品であるRPFの製造効率を高めることができる。
【0069】
また、本実施形態のリサイクルプラント1の混合ライン4は、前処理ライン2で分別された可燃物に、木片と戻し醗酵物とを混合して混合廃棄物を形成するので、醗酵乾燥ライン5において混合廃棄物を迅速かつ効果的に醗酵させることができ、乾燥を促進することができる。
【解決手段】都市ゴミのリサイクルプラント1は、前処理ライン2と、木質材製造ライン3と、混合ライン4と、醗酵乾燥ライン5と、選別ライン6と、塩ビ除去ライン7と、RPF製造ライン8を備える。バイオトンネル式の醗酵乾燥ライン5は、複数の醗酵建屋43,43,・・・と脱臭建屋44とを有する。醗酵建屋43の発酵室155内に投入した廃棄物に貯水室154の水を散布すると共に、発酵室155の空気を送風機158で貯水室154に循環させる。醗酵建屋43の発酵室155の空気を送風機170で脱臭建屋44の貯水室165に導き、脱臭建屋44の脱臭室166に設置した3層の木質チップ層P1,P2,P3を通過させて脱臭を行う。