特許第5649705号(P5649705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 田中 研治の特許一覧

<>
  • 特許5649705-透明フィルムの歪み測定システム 図000002
  • 特許5649705-透明フィルムの歪み測定システム 図000003
  • 特許5649705-透明フィルムの歪み測定システム 図000004
  • 特許5649705-透明フィルムの歪み測定システム 図000005
  • 特許5649705-透明フィルムの歪み測定システム 図000006
  • 特許5649705-透明フィルムの歪み測定システム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5649705
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】透明フィルムの歪み測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20141211BHJP
   G01N 21/89 20060101ALI20141211BHJP
   G01N 21/23 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   G01N21/892 A
   G01N21/89 H
   G01N21/23
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-196456(P2013-196456)
(22)【出願日】2013年9月24日
【審査請求日】2014年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】513239092
【氏名又は名称】田中 研治
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】田中 研治
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−35613(JP,A)
【文献】 特開平6−229912(JP,A)
【文献】 特開平4−329339(JP,A)
【文献】 特開2013−68500(JP,A)
【文献】 特開平5−142141(JP,A)
【文献】 特開2012−234081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明フィルムの一方の側から照明する複数の光源と、
上記複数の光源に対して交互に配置され、主軸方向が異なる複数種類の偏光フィルタと、
上記透明フィルムの他方の側に配置され、上記光源から出力され上記偏光フィルタおよび上記透明フィルムを透過した光を撮像するイメージセンサと、
上記イメージセンサにより撮像された透過光像に基づいて、上記透明フィルムの歪みによって生じる透過光の位相差および光軸方位を解析する解析装置と、
上記複数の光源を、異なる種類の偏光フィルタが配置されたものを順次切り替えて点滅させるように制御する発光制御部とを備え、
上記光源は指向性の発光ダイオードであり、
上記発光制御部は、上記複数の光源を、同種類の偏光フィルタが配置されたものどうしを1グループとして、グループ毎に光源を順次切り替えて点滅させ、
上記解析装置は、上記イメージセンサにより撮像された透過光像の中で極大となる輝度情報を用いて、上記位相差および光軸方位を解析することを特徴とする透明フィルムの歪み測定システム。
【請求項2】
上記解析装置は、1つのグループに属する光源が点灯されているときに上記透明フィルムの通常部分を透過した通常光と歪み部分を透過した異常光との位相差を測定することを特徴とする請求項1に記載の透明フィルムの歪み測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明フィルムの歪み測定システムに関し、特に、透明フィルムの歪みによって生じる透過光の位相差および光軸方位を測定するシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラスティック等を材料とする透明フィルムには、場所的な不均一性によって歪み(ムラ)を生じることがある。特に、裁断する前の大面積を有する透明フィルムには、部分的な歪みが生じやすい。そのため、透明フィルムの製造過程において、歪みが生じていないかどうかの検査が行われる。この検査は、透明フィルムに光を照射し、その透過光を解析することによって行うことが可能である。
【0003】
すなわち、透明フィルムに歪みが生じると、その歪み部分に屈折率ムラができる。そのため、歪み部分に光を通してみると、正常部分に対して光が遅れたり進んだりして出てくる。よって、通常部分を透過した通常光と、歪み部分を透過した異常光とをイメージセンサで受光し、その時間差(位相差)を測定することで、歪みの有無を検査することが可能である。また、透明フィルムに通す光として複数角度の偏光を用いることで、位相差を生じさせる偏光の光軸方位、つまり歪みの方向を検出することが可能である。
【0004】
従来の歪み測定システムでは、検査器の前に設置してある偏光板を回転させ、イメージセンサで数回受光したデータを合わせて計算することによって位相差を測定していた(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のシステムでは、積層フィルムのフィルム面の一方の側に配置された光源により光を照射し、フィルム面の他方の側に配置された撮像部により、積層フィルムの透過光像を撮影し、撮像部により撮影された透過光像に基づいて、積層フィルムに存在する欠陥の検出を行う。また、積層フィルムと撮像部との間の光路上に検査用偏光フィルタを設け、この検査用偏光フィルタを回転させて欠陥の検出を行っている。
【0005】
しかしながら、この種のシステムでは、偏光板(検査用偏光フィルタ)を回転させる必要があるため、歪みの測定を高速に行うことができない。そのため、偏光板が回転している間に測定対象の透明フィルムが動いている場合は測定ができない。これにより、前工程から搬送されてきた測定対象の透明フィルムを一々停止させて測定を行う必要があり、検査時間が長くなってしまうという問題があった。
【0006】
これに対し、主軸方向が異なる偏光板を3種類備え、それぞれの偏光板を透過した3種類の偏光を3台のイメージセンサで受光するようにしたシステムも提供されている。この種のシステムによれば、測定対象の透明フィルムが動いている場合も歪みの測定を行うことが可能となる。しかしながら、装置の大型化およびコスト増を招くという問題があった。
【0007】
これらの問題に対して、図6に示すように、微細な領域に色々な角度を持つ回転偏光板アレイを組み込んだイメージセンサ(以下、偏光イメージセンサという)102を用いることにより、偏光板の回転動作が要らず、透明フィルム200の歪み部分によって生じる透過光の位相差を1台の偏光イメージセンサ102で高速に測定することを可能にしたシステムが提供されている。
【0008】
図6に示す歪み測定システムは、透明フィルム200の一方の側から照明する光源101と、透明フィルム200の他方の側から光源101からの透過光を撮像する偏光イメージセンサ102と、偏光イメージセンサ102から得られる撮像画像に基づいて歪みの解析を行う解析装置103とを備えて構成されている。
【0009】
しかしながら、図6に示す歪み測定システムでは、画素上の微細な領域に色々な角度を持つ回転偏光板アレイを組み込んだ極めて特殊な偏光イメージセンサ102を用いる必要があり、これがシステムのコスト増を招いているという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−212442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、透明フィルムの歪みを高速に測定することが可能で安価なシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明では、透明フィルムの一方の側から照明する光源として指向性の発光ダイオードを複数設け、当該複数の光源に対して、それぞれ主軸方向が異なる複数種類の偏光フィルタを交互に配置する。複数の光源は、同種類の偏光フィルタが配置されたものどうしを1グループとして、グループ毎に光源を順次切り替えて点滅させる。そして、このとき偏光フィルタおよび透明フィルムを透過した光をイメージセンサで撮像し、それによって得られた透過光像に基づいて、透明フィルムの歪みを解析するようにしている。具体的には、イメージセンサにより撮像された透過光像の中で極大となる輝度情報を用いて、透明フィルムの歪みによって生じる透過光の位相差および光軸方位を解析する。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、点灯させる光源を順次切り替えることにより、透明フィルタを透過させる偏光の角度を変えることができるので、偏光板を回転させる場合に比べて高速に偏光の角度を切り替えることができ、透明フィルムの歪み部分によって生じる透過光の位相差および光軸方位を1つのイメージセンサで高速に測定することができる。また、イメージセンサとしては汎用のセンサを用いることができるので、高価な偏光イメージセンサを用いる必要がなく、システムのコスト増を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態による透明フィルムの歪み測定システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態による複数種類の偏光フィルタの一例を示す図である。
図3】本実施形態による1つのセルの断面構造例を示す図である。
図4】本実施形態の発光制御部による制御状態を示す図である。
図5】本実施形態による透明フィルムの歪み測定システムの他の構成例を示す図である。
図6】従来の歪み測定システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による透明フィルムの歪み測定システムの構成例を示す図である。図1において、歪みの測定対象である透明フィルム200は、図面の手前から奥の方向またはその逆の方向に一定速度で搬送されているものとする。
【0016】
図1に示すように、本実施形態による透明フィルムの歪み測定システムは、複数の光源1-1〜1-nと、複数の偏光フィルタ2-1〜2-nと、イメージセンサ3と、解析装置4と、発光制御部5とを備えて構成されている。なお、解析装置4および発光制御部5は、実際にはCPU、RAM、ROMなどを備えたマイクロコンピュータにより構成されている。
【0017】
複数の光源1-1〜1-nは、歪みの測定対象である透明フィルム200の一方の側から透明フィルム200を照明する。本実施形態において、複数の光源1-1〜1-nは、指向性を有する発光ダイオード(LED)である。なお、ここではLEDを例に挙げているが、指向性を有する光源であれば、LED以外を用いてもよい。
【0018】
偏光フィルタ2-1〜2-nは、主軸方向(偏光の角度)の異なるものが複数種類用いられ、複数の光源1-1〜1-nに対して交互に配置される。図2は、複数種類の偏光フィルタ2-1〜2-nの一例を示す図である。図2の例では、4種類の偏光フィルタ2-1〜2-nが複数の光源1-1〜1-nに対して交互に配置された状態を示している。本実施形態では、同種類の偏光フィルタどうしをまとめて1つのグループとする。偏光フィルタ2-1〜2-nは4種類あるので、グループは4つ存在する(Gr1〜Gr4)。
【0019】
また、本実施形態では、図3に示すように、1つの光源1-i(i=1〜n)と1つの偏光フィルタ2-i とで1つのセル10を構成し、複数のセル10を直線状に配列している。図3は、1つのセル10の断面構造例を示す図である。なお、ここでは複数のセル10を直線状に1次元配列しているが、マトリクス状に2次元配列するようにしてもよい。
【0020】
イメージセンサ3は、透明フィルム200の他方の側に配置され、光源1-1〜1-nから出力され偏光フィルタ2-1〜2-nおよび透明フィルム200を透過した光を撮像する。本実施形態において、イメージセンサ3は汎用のラインセンサで構成する。
【0021】
イメージセンサ3としてラインセンサを用いるのは、複数のセル10を直線状に1次元配列したことに対応するものである。複数のセル10をマトリクス状に2次元配列した場合には、イメージセンサ3をエリアセンサにより構成する。あるいは、複数のラインセンサをラインの方向に対して垂直な方向に並べて配置することによってイメージセンサ3を構成するようにしてもよい。
【0022】
解析装置4は、イメージセンサ3により撮像された透過光像に基づいて、透明フィルム200の歪みによって生じる透過光の位相差および光軸方位を解析することにより、透明フィルム200の歪みを測定する。上述したように、本実施形態では光源1-1〜1-nとして指向性のLEDを用いているので、イメージセンサ3により撮像される透過光像は、輝度値が極大となる箇所が点灯中のLEDの数だけ存在することになる。そこで、解析装置4は、イメージセンサ3により撮像された透過光像の中で極大となる輝度情報を用いて、位相差および光軸方位を解析する。
【0023】
この解析装置4による歪みの解析は、例えば以下のようにして行うことが可能である。すなわち、解析装置4は、光源1-1〜1-nを順次点灯させたときに、透明フィルム200の通常部分を透過した通常光と、歪みがある場合にはその歪み部分を透過した異常光との位相差を測定することにより、歪みの有無を検出する。また、位相差を検出した異常光の結像位置から歪みの位置を検出し、位相差を検出したときの偏光の光軸方位から歪みの方向を検出することが可能である。
【0024】
発光制御部5は、複数の光源1-1〜1-nを、異なる種類の偏光フィルタ2-1〜2-nが配置されたものを順次切り替えて点滅させるように制御する。具体的には、発光制御部5は、複数の光源1-1〜1-nを、同種類の偏光フィルタが配置されたものどうしを1グループとして、グループ毎に光源1-1〜1-nを順次切り替えて点滅させる。
【0025】
図4は、発光制御部5による制御状態を示す図である。すなわち、発光制御部5は、まず図4(a)に示すように、第1の種類の偏光フィルタ2-j(j=1+4k、k=0,1,2,3・・・)が配置された光源1-jどうしを第1グループGr1として、これらを一斉に点灯させる。このとき透明フィルム200を透過してくる光をイメージセンサ3で撮像する。発光制御部5は、イメージセンサ3による撮像後、第1グループGr1の光源1-jを直ちに消灯する。
【0026】
次に、発光制御部5は、図4(b)に示すように、第2の種類の偏光フィルタ2-(j+1)が配置された光源1-(j+1)どうしを第2グループGr2として、これらを一斉に点灯させる。このとき透明フィルム200を透過してくる光をイメージセンサ3で撮像する。発光制御部5は、イメージセンサ3による撮像後、第2グループGr2の光源1-(j+1)を直ちに消灯する。
【0027】
次に、発光制御部5は、図4(c)に示すように、第3の種類の偏光フィルタ2-(j+2)が配置された光源1-(j+2)どうしを第3グループGr3として、これらを一斉に点灯させる。このとき透明フィルム200を透過してくる光をイメージセンサ3で撮像する。発光制御部5は、イメージセンサ3による撮像後、第3グループGr3の光源1-(j+2)を直ちに消灯する。
【0028】
次に、発光制御部5は、図4(d)に示すように、第4の種類の偏光フィルタ2-(j+3)が配置された光源1-(j+3)どうしを第4グループGr4として、これらを一斉に点灯させる。このとき透明フィルム200を透過してくる光をイメージセンサ3で撮像する。発光制御部5は、イメージセンサ3による撮像後、第4グループGr4の光源1-(j+3)を直ちに消灯する。
【0029】
第1の種類の偏光フィルタ2-jが配置された複数の光源1-jを点灯させたときにイメージセンサ3により撮像される透過光像は、第1の種類の偏光フィルタ2-jに対向する位置にある画素にて輝度値が極大となる。この場合に解析装置4は、この第1の種類の偏光フィルタ2-jを透過した光によって値が極大となる画素位置の輝度情報を用いて、透明フィルム200の歪みによって生じる位相差および光軸方位を解析する。
【0030】
同様に、第2の種類の偏光フィルタ2-(j+1)が配置された複数の光源1-(j+1)を点灯させたときにイメージセンサ3により撮像される透過光像は、第2の種類の偏光フィルタ2-(j+1)に対向する位置にある画素にて輝度値が極大となる。この場合に解析装置4は、この第2の種類の偏光フィルタ2-(j+1)を透過した光によって値が極大となる画素位置の輝度情報を用いて、透明フィルム200の歪みによって生じる位相差および光軸方位を解析する。
【0031】
また、第3の種類の偏光フィルタ2-(j+2)が配置された複数の光源1-(j+2)を点灯させたときにイメージセンサ3により撮像される透過光像は、第3の種類の偏光フィルタ2-(j+2)に対向する位置にある画素にて輝度値が極大となる。この場合に解析装置4は、この第3の種類の偏光フィルタ2-(j+2)を透過した光によって値が極大となる画素位置の輝度情報を用いて、透明フィルム200の歪みによって生じる位相差および光軸方位を解析する。
【0032】
さらに、第4の種類の偏光フィルタ2-(j+3)が配置された複数の光源1-(j+3)を点灯させたときにイメージセンサ3により撮像される透過光像は、第4の種類の偏光フィルタ2-(j+3)に対向する位置にある画素にて輝度値が極大となる。この場合に解析装置4は、この第4の種類の偏光フィルタ2-(j+3)を透過した光によって値が極大となる画素位置の輝度情報を用いて、透明フィルム200の歪みによって生じる位相差および光軸方位を解析する。
【0033】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、透明フィルム200の一方の側から照明する光源1-1〜1-nを複数設け、当該複数の光源1-1〜1-nに対して、それぞれ主軸方向が異なる複数種類の偏光フィルタ2-1〜2-nを交互に配置する。そして、複数の光源1-1〜1-nを、異なる種類の偏光フィルタが配置されたものを順次切り替えるようにして点滅させる。このとき偏光フィルタ2-1〜2-nおよび透明フィルム200を透過した光をイメージセンサ3で撮像し、それによって得られた透過光像に基づいて透過光の位相差および光軸方位を解析し、透明フィルム200の歪みを測定するようにしている。
【0034】
このように構成した本実施形態によれば、点灯させる光源1-1〜1-nを順次切り替えることにより、透明フィルタ200を透過させる偏光の角度を変えることができるので、偏光板を回転させる場合に比べて高速に偏光の角度を切り替えることができ、透明フィルム200の歪み部分によって生じる透過光の位相差および光軸方位を1つのイメージセンサ3で高速に測定することができる。また、イメージセンサ3としては汎用のセンサを用いることができるので、高価な偏光イメージセンサを用いる必要なく、システムのコスト増を抑えることができる。
【0035】
なお、上記実施形態では、解析装置4において、イメージセンサ3により撮像された透過光像の中で極大となる輝度情報を検出して位相差および光軸方位を解析する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、どの光源1-1〜1-nを点灯させたときにどの画素位置において輝度値が極大となるかをあらかじめ特定しておき、その特定した画素において得られる輝度情報を用いて位相差および光軸方位を解析するようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、複数の光源1-1〜1-nとして指向性のLEDを用いる例について説明したが、図5に示すように、無指向性の光源を用いてもよい。この場合、偏光フィルタ2-1〜2-nは異なる種類のものが1つずつあればよく、光源1-1〜1-nの数も偏光フィルタ2-1〜2-nの種類と同数あればよい。また、解析装置4は、極大となる輝度情報だけを用いて解析をするのではなく、全ての画素位置の輝度情報を用いて位相差および光軸方位を解析する。
【0037】
このように構成した場合は、使用する光源1-1〜1-nおよび偏光フィルタ2-1〜2-nの数を少なくすることができるというメリットを有する。また、どの光源1-1〜1-nを発光させたときにも(つまり、どの偏光フィルタ2-1〜2-nを光が通過したときにも)、イメージセンサ3の全域で透明フィルム200の歪みを測定することができるというメリットも有する。
【0038】
また、上記実施形態では、透明フィルム200の通常部分を透過した通常光と歪み部分を透過した異常光との位相差を測定する際に、1つのグループに属する光源が点灯されているときの通常光と異常光との位相差を測定するということには必ずしも限定していないが、そのような限定の中で通常光と異常光との位相差を測定するようにしてもよい。このようにすれば、同種類の偏光フィルタを透過した光どうしの比較によって位相差を測定することができるので、位相差の測定精度を上げることができる。
【0039】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0040】
-1〜1-n 光源
-1〜2-n 偏光フィルタ
3 イメージセンサ
4 解析装置
5 発光制御部
【要約】
【課題】透明フィルムの歪みを高速に測定可能で安価なシステムを提供する。
【解決手段】複数の光源1-1〜1-nと、当該複数の光源1-1〜1-nに対して交互に配置された複数種類の偏光フィルタ2-1〜2-nと、偏光フィルタ2-1〜2-nおよび透明フィルム200を透過した光を撮像するイメージセンサ3と、イメージセンサ3により撮像された透過光像に基づいて透明フィルム200の歪みを解析する解析装置4と、複数の光源1-1〜1-nを、異なる種類の偏光フィルタが配置されたものを順次切り替えて点滅させる発光制御部5とを備え、点灯させる光源1-1〜1-nを順次切り替えることにより、偏光板を回転させる場合に比べて高速に偏光の角度を切り替えることができるようにするとともに、歪み部分によって生じる透過光の位相差および光軸方位を汎用の1つのイメージセンサ3で高速に測定することができるようにする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6