特許第5649741号(P5649741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5649741-フッ化酸化グラフェン及びその調製方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649741
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】フッ化酸化グラフェン及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 31/02 20060101AFI20141211BHJP
   H01M 4/60 20060101ALN20141211BHJP
   H01G 11/36 20130101ALN20141211BHJP
【FI】
   C01B31/02 101Z
   !H01M4/60
   !H01G11/36
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-541175(P2013-541175)
(86)(22)【出願日】2010年12月22日
(65)【公表番号】特表2014-504248(P2014-504248A)
(43)【公表日】2014年2月20日
(86)【国際出願番号】CN2010080127
(87)【国際公開番号】WO2012083534
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2013年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】511215230
【氏名又は名称】オーシャンズ キング ライティング サイエンスアンドテクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ミンジェ
(72)【発明者】
【氏名】リゥ ダーシー
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヤオビン
【審査官】 小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−212110(JP,A)
【文献】 特開平08−250117(JP,A)
【文献】 KIM Franklin, et al.,Self-Propagating Domino-like Reactions in Oxidized Graphite,Adv Funct Mater,ドイツ,2010年 9月 9日,Vol.20, No.17,P.2867-2873
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 31/00−31/36
H01G 11/36
H01M 4/60
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化酸化グラフェンの調製方法において、黒鉛を提供するステップと、前記黒鉛を使用して酸化グラフェンを調製するステップと、前記酸化グラフェンをN及びFによって構成される混合ガスと温度が20℃〜200℃で、時間が0.5時間〜24時間である条件下で反応させて、前記フッ化酸化グラフェンを調製するステップと、を含み、
前記黒鉛を使用して酸化グラフェンを調製するステップは、
前記黒鉛、過硫酸カリウム及び五酸化二リンを質量比2:1:1に基づいて60℃〜85℃の濃硫酸に加え、撹拌して均一にした後自然冷却し、中性になるまで洗浄した後乾燥して、前処理された混合物を得るステップと、
前記前処理された混合物を過マンガン酸カリウムと温度が20℃よりも低い濃硫酸に加え、その後30℃〜40℃下でオイルバスに1.5時間〜2.5時間浸漬させ、脱イオン水を加え、15分後過酸化水素を加えて反応させ、真空ろ過し、固体を収集するステップと、
前記固体を希塩酸で洗浄し、乾燥を行って、前記酸化グラフェンを得るステップと、を含む、ことを特徴とするフッ化酸化グラフェンの調製方法。
【請求項2】
前記混合ガスにおいて、Fの体積部数は5%〜30%である、ことを特徴とする請求項に記載のフッ化酸化グラフェンの調製方法。
【請求項3】
前記混合ガスにおいて、Fの体積部数は8%〜25%である、ことを特徴とする請求項に記載のフッ化酸化グラフェンの調製方法。
【請求項4】
前記混合ガスにおいて、Fの体積部数は20%である、ことを特徴とする請求項に記載のフッ化酸化グラフェンの調製方法。
【請求項5】
前記混合ガスにおいて、Fの体積部数は10%である、ことを特徴とする請求項に記載のフッ化酸化グラフェンの調製方法。
【請求項6】
反応温度は50℃〜150℃で、反応時間は2時間〜20時間である、ことを特徴とする請求項に記載のフッ化酸化グラフェンの調製方法。
【請求項7】
前記黒鉛の純度は99.5%より高い、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフッ化酸化グラフェンの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体材料技術分野に属し、具体的にはフッ化酸化グラフェン及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフェン材料は、2004年イギリスマンチェスター大学のアンドレ・ガイム(Andre K. Geim)らによって調製された以来、その独特の構造及び光電性質によって世に注目されている。グラフェンは、材料科学及び凝縮物質物理分野において上昇している「新星技術」と呼ばれ、それに備えられる沢山の新規且つ独特の性質及び潜在的な応用は大勢の科学技術者の関心を引き付けている。単層グラフェンは、大きな比表面積、優れた導電、熱伝導性及び低い熱膨張係数を有する。例えば、1.高強度、ヤング率(1100GPa)、断裂強度(125GPa)、2.高熱伝導率(5000W/mK)、3.高導電性、キャリヤ輸送率(200000cm/V*s)、4.高い比表面積(理論計算値:2630m/g)。特にその高導電性質、大きい比表面性質及びその単分子層二次元のナノサイズの構造性質は、スーパーコンデンサ及びリチウムイオン電池において電極材料として使用できる。
【0003】
酸化黒鉛は、−C−OH、−C−O−C、−COOH等の官能基を含有するため、比較的強い極性を表す。乾燥の酸化グラフェンは空気における安定性が比較的悪く、非常に吸湿しやすいことによって水酸化黒鉛を形成するが、酸化黒鉛がフッ素化されてフッ化酸化黒鉛に生成された後、安定性が顕著に増強される。電極材料として、フッ化酸化黒鉛の放電容量も酸化黒鉛より大きく向上され、特に110℃下でFと作用して生成されたフッ化酸化黒鉛は、放電電流密度が0.5mA/cm(1M LiClO−PC )である時の放電容量、エネルギー密度がそれぞれ675mA h/g、1420W h/Kgに達する。
【0004】
しかし、如何にしてフッ化酸化グラフェンを簡単に得るかのことは現在の技術的課題である。
【発明の概要】
【0005】
これに鑑み、プロセスが簡単であるフッ化酸化グラフェンの調製方法の少なくも1つ及び前記フッ化酸化グラフェンの調製方法により調製されたフッ化酸化グラフェンを提供することが必要である。
【0006】
フッ化酸化グラフェンであって、フッ素の質量百分率は0.5%<F%<40%で、炭素の質量百分率は50%<C%<80%で、酸素の質量百分率は0.5%<O%<30%である。
【0007】
好ましくは、フッ素の質量百分率は9%<F%<27%で、炭素の質量百分率は55%<C%<75%で、酸素の質量百分率は18%<O%<27%である。
【0008】
フッ化酸化グラフェンの調製方法であって、
黒鉛を提供するステップと、
前記黒鉛を使用して酸化グラフェンを調製するステップと、
前記酸化グラフェンをN及びFによって構成される混合ガスと温度が20℃〜200℃で、時間が0.5時間〜24時間である条件下で反応させて、前記フッ化酸化グラフェンを調製するステップと、を含む。
【0009】
好ましくは、前記混合ガスにおいて、Fの体積部数は5%〜30%である。
【0010】
好ましくは、前記混合ガスにおいて、Fの体積部数は8%〜25%である。
【0011】
好ましくは、前記混合ガスにおいて、Fの体積部数は20%である。
【0012】
好ましくは、前記混合ガスにおいて、Fの体積部数は10%である。
【0013】
好ましくは、反応温度は50℃〜150℃で、反応時間は2時間〜20時間である。
【0014】
好ましくは、前記黒鉛を使用して酸化グラフェンを調製するステップは、
前記黒鉛、過硫酸カリウム及び五酸化二リンを質量比2:1:1に基づいて60℃〜85℃の濃硫酸に加え、撹拌して均一にした後自然冷却し、中性になるまで洗浄した後乾燥して、前処理された混合物を得るステップと、
前記前処理された混合物を過マンガン酸カリウムと温度が20℃よりも低い濃硫酸に加え、その後30℃〜40℃下でオイルバスに1.5時間〜2.5時間浸漬させ、脱イオン水を加え、15分後過酸化水素を加えて反応させ、真空ろ過し、固体を収集するステップと、
前記固体を希塩酸で洗浄し、乾燥を行って、前記酸化グラフェンを得るステップと、を含む。
【0015】
好ましくは、前記黒鉛の純度は99.5%より高い。
【0016】
前記フッ化酸化グラフェンの調製方法は、黒鉛を使用して酸化グラフェンを調製し、さらに酸化グラフェンをN及びFの混合ガスと所定の温度下で反応させて、フッ化酸化グラフェンを調製する。このようなフッ化酸化グラフェンを調製する方法は、ステップが少なく、プロセスが簡単で、幅広い応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、1つの実施態様のフッ化酸化グラフェンの調製方法のフローチャートである。
図2図2は、実施例1により調製されたフッ化酸化グラフェンのC1s、O1s及びF1sのXPSフルスペクトル像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び実施例を参照して、フッ化酸化グラフェン及びその調製方法に対してさらに説明する。
【0019】
フッ化酸化グラフェンであって、フッ素の質量百分率は0.5%<F%<40%で、炭素の質量百分率は50%<C%<80%で、酸素の質量百分率は0.5%<O%<30%である。
【0020】
好適な実施例において、フッ素の質量百分率は9%<F%<27%で、炭素の質量百分率は55%<C%<75%で、酸素の質量百分率は18%<O%<27%である。
【0021】
図1に示す前記フッ化酸化グラフェンの調製方法であって、
(ステップS10:黒鉛を提供する。)
純度が99.5%より高い黒鉛を購入する。
【0022】
(ステップS20:黒鉛を使用して酸化グラフェンを調製する。)
一般的に、Hummers法によって酸化黒鉛を調製でき、すなわち、黒鉛、過マンガン酸カリウム及び高濃度強酸化性の酸(硫酸または硝酸)を同一の容器に加えて水浴またはオイルバスで加熱し、十分酸化させた後取り出し、まず過酸化水素で過マンガン酸カリウムを還元し、さらに蒸留水または塩酸で生成物を複数回洗浄し、乾燥した後酸化黒鉛を得る。
【0023】
酸化グラフェンを調製するため、Hummers法に対して改良を行うことができ、改良後の調製過程は以下のステップを含む。
【0024】
まず、黒鉛、過硫酸カリウム及び五酸化二リンを質量比2:1:1に基づいて60℃〜85℃の濃硫酸に加え、撹拌して均一にさせた後自然冷却し、中性になるまで洗浄した後乾燥して、前処理された混合物を得る。
【0025】
次ぎ、前記前処理された混合物及び過マンガン酸カリウムを濃硫酸に加え、温度を20℃より低く維持し、その後30℃〜40℃のオイルバスに1.5時間〜2.5時間浸漬させ、脱イオン水を加え、15分後過酸化水素を加えて反応させ、真空ろ過し、固体を収集する。
【0026】
最後に、前記固体を希塩酸で洗浄し、乾燥して酸化グラフェンを得る。
【0027】
オイルバスの目的は、反応温度をよりよく制御することにある。その後の実施態様において、水浴を用いてもよい。
【0028】
(ステップS30:酸化グラフェンとフッ素単体を反応させてフッ化酸化グラフェンを得る。)
ステップ20から得た酸化グラフェンを使用してフッ素単体(F)と反応させてフッ化酸化グラフェンを調製する方法は気相法と呼ばれ、N及びFの混合ガスを使用し、具体的なステップは以下の通りである。
【0029】
ステップ20から得た乾燥後の酸化グラフェンを反応装置に加え、N及びFの混合ガス(Fの体積部数が5%〜30%である)を注入し、温度を20℃〜200℃に維持し、0.5時間〜24時間反応させて、酸化グラフェンをFと反応させ、FがOを部分的に置換し、フッ化酸化グラフェンを得る。
【0030】
好ましい実施例において、混合ガスには、Fの体積部数が8%〜25%で、反応温度が50℃〜150℃で、反応時間が2時間〜20時間である。
【0031】
より好ましい実施例において、混合ガスには、Fの体積部数が10%または20%である。
【0032】
前記フッ化酸化グラフェンの調製方法は、黒鉛を使用して酸化グラフェンを調製し、さらに酸化グラフェンをN及びFによって構成される混合ガスと反応させることによって、フッ化酸化グラフェンを調製する。このようなフッ化酸化グラフェンの調製方法はステップが少なく、プロセスが簡単であるため、比較的よい応用が期待できる。
【0033】
調製されたフッ化酸化グラフェンは、スーパーコンデンサ、リチウムイオン二次電池の電極材料として応用できる。
【0034】
以下は具体的な実施例である。
【0035】
[実施例1]
本実施例の酸化グラフェンによってフッ化酸化グラフェンを調製するプロセスは以下の通りである。
【0036】
黒鉛→酸化グラフェン→フッ化酸化グラフェン
(1)黒鉛:純度99.5%。
【0037】
(2)酸化グラフェン
改良されたHummers法によって酸化グラフェンを調製する。その具体的なステップは、50メッシュの黒鉛粉末20g、10gの過硫酸カリウム及び10gの五酸化二リンを80℃の濃硫酸に加え、撹拌して均一にし、6時間以上冷却し、中性になるまで洗浄した後乾燥する。乾燥後のサンプルを0℃、230mlの濃硫酸に加え、さらに60gの過マンガン酸カリウムを加え、混合物の温度を20℃以下に維持し、その後35℃のオイルバスにおいて2時間保持した後、920mlの脱イオン水を徐々に加える。15分後、さらに2.8Lの脱イオン水(そのうち、30%濃度の過酸化水素50mlを含有する)を加えると、混合物の色がブリリアントイエローになる。熱いうちに真空ろ過し、さらに濃度が10%である塩酸5Lを使用して洗浄を行い、真空ろ過し、60℃下で48時間真空乾燥して酸化グラフェンを得る。
【0038】
(3)フッ化酸化グラフェン
(2)から得た酸化グラフェンをFと反応させることによってフッ化酸化グラフェンを得る。その具体的なステップは、乾燥された酸化グラフェンを反応装置に加えて乾燥のNを2時間注入し、その後、フッ素ガス体積部数が10%であるフッ素ガスと窒素ガスとの混合ガスを注入して酸化グラフェンと100℃下で12時間反応させて、フッ化酸化グラフェンを得る。
【0039】
得たフッ化グラフェンに対して以下の実験を行う。
【0040】
XPSテスト実験条件:サンプルをVG Scientific ESCALab220i−XL型光電子分光装置によって分析する。励起源はAl Kα X線で、パワーは300Wである。分析する時のベース真空は3×10−9mbarである。電子結合エネルギーは汚染炭素のC1sピック(284.8eV)によって校正する。
【0041】
元素相対定量計算:
[式]
式中、
Ii:i元素のピーク強度(面積)
Si:i元素の相対元素敏感度因子
表1から分かるようにFの質量百分率は40%、酸素の質量百分率は15%である。
【0042】
図3に示されるのは、本実施例により調製されたフッ化酸化グラフェンのC1s、O1s及びF1sのXPSフルスペクトルである。
【0043】
図から分かるように、調製されたフッ化酸化グラフェンは、284.8eVの位置において非常に強いピック値を有し、対応するフッ化酸化グラフェンにおける炭素結合の構造はC−C(284.8eV)である。
【0044】
調製されたフッ化酸化グラフェンは533.0eVの位置において非常に強いピック値を有し、対応するフッ化酸化グラフェンにおける炭素結合の構造はC−O(533.0eV)である。
【0045】
調製されたフッ化酸化グラフェンは689.5eVの位置において非常に強いピック値を有し、対応するフッ化酸化グラフェンにおける炭素結合の構造はC−F(689.5eV)である。
【0046】
[実施例2]
本実施例の酸化グラフェンによってフッ化酸化グラフェンを調製するプロセスは以下の通りである。
【0047】
黒鉛→酸化グラフェン→フッ化酸化グラフェン
(1)黒鉛:純度99.5%。
【0048】
(2)酸化グラフェン
改良されたHummers法によって酸化グラフェンを調製する。その具体的なステップは、50メッシュの黒鉛粉末20g、10gの過硫酸カリウム及び10gの五酸化二リンを75℃の濃硫酸に加え、撹拌して均一にし、6時間以上冷却し、中性になるまで洗浄した後乾燥する。乾燥後のサンプルを0℃、230mlの濃硫酸に加え、さらに60gの過マンガン酸カリウムを加え、混合物の温度を20℃以下に維持し、その後40℃のオイルバスにおいて2.5時間保持した後、920mlの脱イオン水を徐々に加える。15分後、さらに2.8Lの脱イオン水(そのうち、30%濃度の過酸化水素50mlを含有する)を加えると、混合物の色がブリリアントイエローになる。熱いうちに真空ろ過し、さらに濃度が10%である塩酸5Lを使用して洗浄を行い、真空ろ過し、60℃下で48時間真空乾燥して酸化グラフェンを得る。
【0049】
(3)フッ化酸化グラフェン
(2)から得た酸化グラフェンをFと反応させることによってフッ化酸化グラフェンを得る。その具体的なステップは、乾燥された酸化グラフェンを反応装置に加えて乾燥のNを4時間注入し、その後、フッ素ガス体積部数が5%であるフッ素ガスと窒素ガスとの混合ガスを注入して酸化グラフェンと20℃下で24時間反応させて、フッ化酸化グラフェンを得る。
【0050】
表1から分かるようにFの質量百分率は27%、酸素の質量百分率は18%である。
【0051】
[実施例3]
本実施例の酸化グラフェンによってフッ化酸化グラフェンを調製するプロセスは以下の通りである。
【0052】
黒鉛→酸化グラフェン→フッ化酸化グラフェン
(1)黒鉛:純度99.5%。
【0053】
(2)酸化グラフェン
改良されたHummers法によって酸化グラフェンを調製する。その具体的なステップは、50メッシュの黒鉛粉末20g、10gの過硫酸カリウム及び10gの五酸化二リンを95℃の濃硫酸に加え、撹拌して均一にし、6時間以上冷却し、中性になるまで洗浄した後乾燥する。乾燥後のサンプルを0℃、230mlの濃硫酸に加え、さらに60gの過マンガン酸カリウムを加え、混合物の温度を20℃以下に維持し、その後30℃のオイルバスにおいて1.5時間保持した後、920mlの脱イオン水を徐々に加える。15分後、さらに2.8Lの脱イオン水(そのうち、30%濃度の過酸化水素50mlを含有する)を加えると、混合物の色がブリリアントイエローになる。熱いうちに真空ろ過し、さらに濃度が10%である塩酸5Lを使用して洗浄を行い、真空ろ過し、60℃下で48時間真空乾燥して酸化グラフェンを得る。
【0054】
(3)フッ化酸化グラフェン
(2)から得た酸化グラフェンをFと反応させることによってフッ化酸化グラフェンを得る。その具体的なステップは、乾燥された酸化グラフェンを反応装置に加えて乾燥のNを0.5時間注入し、その後、フッ素ガス体積部数が30%であるフッ素ガスと窒素ガスとの混合ガスを注入して酸化グラフェンと50℃下で24時間反応させて、フッ化酸化グラフェンを得る。
【0055】
表1から分かるようにFの質量百分率は16%、酸素の質量百分率は27%である。
【0056】
[実施例4]
本実施例の酸化グラフェンによってフッ化酸化グラフェンを調製するプロセスは以下の通りである。
【0057】
黒鉛→酸化グラフェン→フッ化酸化グラフェン
(1)黒鉛:純度99.5%。
【0058】
(2)酸化グラフェン
改良されたHummers法によって酸化グラフェンを調製する。その具体的なステップは、50メッシュの黒鉛粉末20g、10gの過硫酸カリウム及び10gの五酸化二リンを85℃の濃硫酸に加え、撹拌して均一にし、6時間以上冷却し、中性になるまで洗浄した後乾燥する。乾燥後のサンプルを0℃、230mlの濃硫酸に加え、さらに60gの過マンガン酸カリウムを加え、混合物の温度を20℃以下に維持し、その後35℃のオイルバスにおいて2時間保持した後、920mlの脱イオン水を徐々に加える。15分後、さらに2.8Lの脱イオン水(そのうち、30%濃度の過酸化水素50mlを含有する)を加えると、混合物の色がブリリアントイエローになる。熱いうちに真空ろ過し、さらに濃度が10%である塩酸5Lを使用して洗浄を行い、真空ろ過し、60℃下で48時間真空乾燥して酸化グラフェンを得る。
【0059】
(3)フッ化酸化グラフェン
(2)から得た酸化グラフェンをFと反応させることによってフッ化酸化グラフェンを得る。その具体的なステップは、乾燥された酸化グラフェンを反応装置に加えて乾燥のNを3時間注入し、その後、フッ素ガス体積部数が20%であるフッ素ガスと窒素ガスとの混合ガスを注入して酸化グラフェンと200℃下で0.5時間反応させて、フッ化酸化グラフェンを得る。
【0060】
表1から分かるようにFの質量百分率は15%、酸素の質量百分率は29%である。
【0061】
[実施例5]
本実施例の酸化グラフェンによってフッ化酸化グラフェンを調製するプロセスは以下の通りである。
【0062】
黒鉛→酸化グラフェン→フッ化酸化グラフェン
(1)黒鉛:純度99.5%。
【0063】
(2)酸化グラフェン
改良されたHummers法によって酸化グラフェンを調製する。その具体的なステップは、50メッシュの黒鉛粉末20g、10gの過硫酸カリウム及び10gの五酸化二リンを80℃の濃硫酸に加え、撹拌して均一にし、6時間以上冷却し、中性になるまで洗浄した後乾燥する。乾燥後のサンプルを0℃、230mlの濃硫酸に加え、さらに60gの過マンガン酸カリウムを加え、混合物の温度を20℃以下に維持し、その後35℃のオイルバスにおいて2時間保持した後、920mlの脱イオン水を徐々に加える。15分後、さらに2.8Lの脱イオン水(そのうち、30%濃度の過酸化水素50mlを含有する)を加えると、混合物の色がブリリアントイエローになる。熱いうちに真空ろ過し、さらに濃度が10%である塩酸5Lを使用して洗浄を行い、真空ろ過し、60℃下で48時間真空乾燥して酸化グラフェンを得る。
【0064】
(3)フッ化酸化グラフェン
(2)から得た酸化グラフェンをFと反応させることによってフッ化酸化グラフェンを得る。その具体的なステップは、乾燥された酸化グラフェンを反応装置に加えて乾燥のNを2時間注入し、その後、フッ素ガス体積部数が8%であるフッ素ガスと窒素ガスとの混合ガスを注入して酸化グラフェンと120℃下で10時間反応させて、フッ化酸化グラフェンを得る。
【0065】
表1から分かるようにFの質量百分率は9%、酸素の質量百分率は25%である。
【0066】
[実施例6]
本実施例の酸化グラフェンによってフッ化酸化グラフェンを調製するプロセスは以下の通りである。
【0067】
黒鉛→酸化グラフェン→フッ化酸化グラフェン
(1)黒鉛:純度99.5%。
【0068】
(2)酸化グラフェン
改良されたHummers法によって酸化グラフェンを調製する。その具体的なステップは、50メッシュの黒鉛粉末20g、10gの過硫酸カリウム及び10gの五酸化二リンを80℃の濃硫酸に加え、撹拌して均一にし、6時間以上冷却し、中性になるまで洗浄した後乾燥する。乾燥後のサンプルを0℃、230mlの濃硫酸に加え、さらに60gの過マンガン酸カリウムを加え、混合物の温度を20℃以下に維持し、その後35℃のオイルバスにおいて2時間保持した後、920mlの脱イオン水を徐々に加える。15分後、さらに2.8Lの脱イオン水(そのうち、30%濃度の過酸化水素50mlを含有する)を加えると、混合物の色がブリリアントイエローになる。熱いうちに真空ろ過し、さらに濃度が10%である塩酸5Lを使用して洗浄を行い、真空ろ過し、60℃下で48時間真空乾燥して酸化グラフェンを得る。
【0069】
(3)フッ化酸化グラフェン
(2)から得た酸化グラフェンをFと反応させることによってフッ化酸化グラフェンを得る。その具体的なステップは、乾燥された酸化グラフェンを反応装置に加えて乾燥のNを2時間注入し、その後、フッ素ガス体積部数が25%であるフッ素ガスと窒素ガスとの混合ガスを注入して酸化グラフェンと80℃下で4時間反応させて、フッ化酸化グラフェンを得る。
【0070】
表1から分かるようにFの質量百分率は0.5%、酸素の質量百分率は30%である。
【0071】
[表1]フッ化グラフェンのフッ素含有量及び酸素含有量
前記実施例は本発明の複種の実施形態のみを述べ、その説明は比較的具体的詳しいであるが、本発明の特許範囲に対する制限として認識されるべきではない。指摘すべきなのは、本分野の当業者にとって、本発明の構想を逸脱しない前提下で、さらに複数の変形及び改良を行うことができ、これらは共に本発明の保護範囲に属する。そのため、本発明の特許の保護範囲は添付の請求項に準ずるべきである。
図1
図2