特許第5649762号(P5649762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5649762
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/08 20060101AFI20141211BHJP
   B23Q 1/00 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   B23Q11/08 Z
   B23Q1/00 G
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-541457(P2014-541457)
(86)(22)【出願日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】JP2014063587
【審査請求日】2014年8月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114787
【氏名又は名称】ヤマザキマザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 貴美
(72)【発明者】
【氏名】安田 岳司
(72)【発明者】
【氏名】野田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】田原 誠
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−096239(JP,A)
【文献】 特開2000−317766(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0317884(US,A1)
【文献】 特許第5497972(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/08
B23Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに加工を行う本機と、前記本機に隣接するパレットチェンジユニットを備えた工作機械であって、
前記パレットチェンジユニットに設けられた本体カバーと、
前記本体カバーに設けられた機内進入用ドアと、
前記機内進入用ドアに連接された機内カバーと、
前記機内進入用ドア及び前記機内カバーで区画される機内進入エリアとを有し、
前記機内進入用ドア及び前記機内カバーが前記機内進入エリアを掃引するように構成されている
ことを特徴とする工作機械。
【請求項2】
前記パレットチェンジユニットは規制手段を有し、前記規制手段は、一端が前記本体カバーと取り付けられ、他端が前記機内カバーと取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記機内カバーは第1の機内カバーと、前記第1の機内カバーに連接された第2の機内カバーとから成り、
前記パレットチェンジユニットは、前記機内進入エリアに連通する作業エリアを有し、
前記第2の機内カバーが、前記作業エリアを掃引するように配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記パレットチェンジユニットは、前記作業エリア内にリニアガイドを備え、前記リニアガイドは、ブラケットを介して前記第2の機内カバーに接続されており、
前記第2の機内カバーは、前記リニアガイドに案内される軌跡で前記作業エリアを掃引する
ことを特徴とする請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記ブラケットと前記第2の機内カバーとは、カム機構によって接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の工作機械。
【請求項6】
前記パレットチェンジユニットは、前記作業エリアの床面にカム溝を有し、
前記第2の機内カバーは、前記作業エリアの床面に対向する面にカムフォロアを有し、
前記第2の機内カバーは、前記カム溝と前記カムフォロアとからなるカム機構により案内される軌跡で前記作業エリアを掃引する
ことを特徴とする請求項3に記載の工作機械。
【請求項7】
前記第1の機内カバーの高さは、前記パレットチェンジユニットのパレット旋回アームが配置される高さより高くなるように形成される
ことを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の工作機械。
【請求項8】
前記本機は、所定の旋回軸を中心に回動する回動機構を有し、前記回動機構には操作盤が設けられている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシニングセンタなどのパレットチェンジユニットを備えた工作機械において、特に、オペレータが本機のテーブルや主軸などにアクセスする通路の安全を確保するドア装置を備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
図16図17は、従来の機構を示す説明図である。
工作機械1は、本機10の前面にパレットチェンジユニット20を備える。本機10はテーブル12を有し、パレットチェンジユニット20はパレットチェンジベース21とパレットチェンジスライダ22とパレット旋回アーム23を備え、パレットチェンジベース上を移動するパレットチェンジスライダ22の前後動作とパレット旋回アーム23の旋回動作により、パレット24をテーブル12に交換自在に供給する。
パレットチェンジユニット20を覆う本体カバー26の側面にはスライドドア30が矢印Kの方向に開閉するよう配設されている。
オペレータが作業エリアEに入る際には、パレットチェンジスライダ22が段取り位置Fに停止した状態でパレット旋回アーム23を復帰位置から図示の回避位置に旋回させた後に、スイッチ盤60に挿入されているプラグスイッチ62を引き抜く。
その結果、パレットチェンジユニット20の電源が遮断されるとともに、スライドドア30と本機のカバー15との間に設けられた図示しないドアロックスイッチがアンロックとなる。
次に、オペレータはスライドドア30を開いて機内進入エリアEに入り、本機のオペレータドア50を開いて作業エリアEに移動する。
プラグスイッチ62が引き抜かれた状態では、スライドドア30を閉めてもパレットチェンジユニット20の電源が入らないようにインターロックが設定されており、オペレータが機内進入エリアEもしくは作業エリアEに進入する際にプラグスイッチ62を携行することにより、仮にオペレータが機内進入エリアEもしくは作業エリアEにいる場合でも、他の作業者がパレットチェンジユニット20の電源を入れて動作させることはできず、オペレータの安全は確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06−042044号公報
【特許文献2】特開2000−045664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この工作機械1のような構成の場合では、作業エリアEはスライドドア30の外側からは死角となり、作業エリアE内にオペレータがいることを知らずに他の作業者がスライドドア30を閉じて、パレットチェンジユニット20を動作させる恐れがあるが、オペレータがプラグスイッチ62を携行することにより、パレットチェンジユニット20の電源を入れることができない。
しかし、オペレータによっては、プラグスイッチ62を携行し忘れて、例えば作業台等に置いたまま機内進入エリアEもしくは作業エリアEに進入することがあり、その場合は、他の作業者がプラグスイッチ62を挿入してパレットチェンジユニット20の電源を入れて動作させることができるため、オペレータの安全を完全には確保できないと言う問題点があった。
また、オペレータは機内進入エリアEにいるとき、パレットチェンジスライダ22やパレット旋回アーム23を遮断するカバーが存在しないため、オペレータの手や足が接触して怪我をする可能性があるという問題点があった。
本発明の目的は、上述した不具合を解消する工作機械のアクセスドア装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の工作機械は、ワークに加工を行う本機と、前記本機に隣接するパレットチェンジユニットを備え、前記パレットチェンジユニットに設けられた本体カバーと、前記本体カバーに設けられた機内進入用ドアと、前記機内進入用ドアに連接された機内カバーと、前記機内進入用ドア及び前記機内カバーで区画される機内進入エリアとを有し、前記機内進入用ドア及び前記機内カバーが前記機内進入エリアを掃引するように構成されている。
【0006】
また、前記パレットチェンジユニットは規制手段を有し、前記規制手段は、一端が前記本体カバーと取り付けられ、他端が前記機内カバーと取り付けられている。
【0007】
そして、前記機内カバーは第1の機内カバーと、前記第1の機内カバーに連接された第2の機内カバーとから成り、前記パレットチェンジユニットは前記機内進入エリアに連通する作業エリアを有し、前記第2の機内カバーが、前記作業エリアを掃引するように配置されている。
【0008】
また、前記パレットチェンジユニットは、前記作業エリア内にリニアガイドを備え、前記リニアガイドは、ブラケットを介して前記第2の機内カバーに接続されており、前記第2の機内カバーは、前記リニアガイドに案内される軌跡で前記作業エリアを掃引する。
このとき、前記ブラケットと前記第2の機内カバーとは、カム機構によって接続されている。
【0009】
また、前記パレットチェンジユニットは、前記作業エリアの床面にカム溝を有し、前記第2の機内カバーは、前記作業エリアの床面に対向する面にカムフォロアを有し、前記第2の機内カバーは、前記カム溝と前記カムフォロアとからなるカム機構により案内される軌跡で前記作業エリアを掃引するように構成しても良い。
【0010】
そして、前記第1の機内カバーの高さは、前記パレットチェンジユニットのパレット旋回アームが配置される高さより高くなるように形成される。
また、前記本機は、所定の旋回軸を中心に回動する回動機構を有し、前記回動機構には操作盤が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の工作機械は以上の手段を備えることにより、オペレータが機内進入用ドアを開けて本工作機械内の機内進入エリアもしくは作業エリアにいる間に、他の作業者が機内進入用ドアを誤って閉めようとしても、機内進入用ドアもしくは機内カバーがオペレータに干渉してドアを閉じることが出来ないため、安全を確保することが可能となる。
また、機内進入用ドアを閉めながら機外に移動すると、機内進入エリア及び作業エリアを掃引するため、機内進入エリア及び作業エリアが徐々に小さくなるので、オペレータは機外に戻る以外に行き場がなくなり、結果として機外に出されることとなる。
さらに、オペレータが機内進入エリアにいるとき、パレットチェンジスライダやパレット旋回アームと接触することがないので、安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明のアクセスドア装置を備えた工作機械の斜視図である。
図2図2は、本発明のアクセスドア装置を備えた工作機械の要部の斜視図である。
図3図3は、本発明のアクセスドア装置を備えた工作機械の要部の平面図である。
図4図4は、本発明のアクセスドア装置を備えた工作機械の要部の斜視図である。
図5図5は、本発明のアクセスドア装置を備えた工作機械の要部の斜視図である。
図6図6は、本発明のアクセスドア装置を備えた工作機械の要部の斜視図である。
図7図7は、図6のA−A矢視図である。
図8図8は、図6のB−B矢視図である。
図9図9は、本発明のアクセスドア装置を備えた工作機械の要部の斜視図である。
図10図10は、本発明のアクセスドア装置を備えた工作機械の要部の斜視図である。
図11図11は前後動作制御機構を示す斜視図である。
図12図12は、図11の一部の拡大斜視図である。
図13図13は、図9の一部の拡大斜視図である。
図14図14は、図13の一部の拡大斜視図である。
図15図15は、本発明の他のアクセスドア装置を備えた工作機械の平面図である。
図16図16は、従来のアクセスドア装置を備えた工作機械の斜視図である。
図17図17は、図16の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明のアクセスドア装置100を備えた工作機械1の斜視図、図2は要部の斜視図、図3は要部の平面図である。
【0014】
本工作機械1も本機10の前面にパレットチェンジユニット20を備える。本機10はテーブル12を備え、パレットチェンジユニット20はパレットチェンジベース21とパレットチェンジスライダ22とパレット旋回アーム23とを備える。
図2の矢印AEはオペレータの進入経路を示す。
【0015】
アクセスドア装置100は、パレットチェンジユニット20の本体カバー26に対して、リンク機構であるヒンジ112を介して取り付けられる機内進入用ドア110と、該機内進入用ドア110の先端にリンク機構であるヒンジ122を介して取り付けられる第1の機内カバー120とを有する。
第1の機内カバー120の先端には、リンク機構であるヒンジ142を介して取り付けられる第2の機内カバー140が設けられ、該第2の機内カバー140はリニアガイド150と前後動作制御機構155とにより案内される。
第1の機内カバー120の作動は、リンク部材130により規制される。
【0016】
図4は、アクセスドア装置100の機内進入用ドア110が閉じた状態を示し、図5は機内進入用ドア110が開いた状態を示す。
機内進入用ドア110を開くと、リンク部材130はヒンジ132を中心に第1の機内カバー120を回転させながら所定の軌跡で案内する。
よって、リンク部材130は第1の機内カバー規制手段の役割を果たす。
【0017】
機内進入用ドア110のヒンジ112の反対側には操作盤40が配置されている。操作盤40は、本機10に設けられた回動機構42に取り付けられており、回動機構42は所定の旋回軸を中心に回動して操作盤40の位置を変えることができる。
【0018】
図3に示すように、パレットチェンジユニット20は、前記機内進入用ドア110及び前記第1の機内カバーで区画される機内進入エリアEと、前記テーブルの手前に設けられて前記機内進入エリアEに連通する作業エリアEと、の2つのエリアを有する。
また、前記機内進入エリアEと前記作業エリアEとは、オペレータが開閉するオペレータドア50によって仕切られている。
オペレータPは、位置Gにおいて機内進入用ドア110を開いた後に、機内進入エリアEに入り、オペレータドア50を開いて作業エリアEに移動して、テーブル12や主軸にアクセスして作業を行う。
その際に、オペレータPは、操作盤40を旋回動させて機内進入エリアEに移動させることにより、機内進入エリアEもしくは作業エリアEで機械を操作することができる。
【0019】
図6は機内進入用ドア110を開いた状態を示し、図7図6のA−A矢視図、図8はB−B矢視図である。
【0020】
図7において、リンク部材130は、その一端がパレットチェンジユニット20の本体カバー26にヒンジ132を介して取り付けられ、他端が第1の機内カバー120にヒンジ134を介して取り付けられる構造となっている。
【0021】
図8は、オペレータドア50の具体例を示す。
上述のとおり、オペレータドア50は、パレットチェンジユニット20の機内進入エリアEと作業エリアEとを仕切るものであり、本機の正面にスライドドアとして装備されている。
工作機械1の本機10がワークに加工を行っているときには、前記スライドドア50は閉じられており、これによって加工中の副次物等がパレット旋回アーム23側に飛散するのを防止する。
【0022】
図9図10は、機内進入用ドア110、第1の機内カバー120と第2の機内カバー140の連結構成を示す。
【0023】
図9は機内進入用ドア110が閉じた状態を示し、図10は機内進入用ドア110が開いた状態を示す。
【0024】
機内進入用ドア110が閉じた位置から開くと、機内進入用ドア110に連結されている第1の機内カバー120も移動する。そして第1の機内カバー120に連結されている第2の機内カバー140を位置Sから矢印Lの方向に移動させる。
第2の機内カバー140は、リニアガイド150と前後動作制御機構155に案内される。機内進入用ドア110が完全に開くと、第2の機内カバー140は位置Sに移動し、作業エリアEが確保される。
【0025】
図11は前後動作制御機構155の近傍の態様を示す斜視図、図12図11のD部の拡大斜視図である。
【0026】
本工作機械1のフロントカバー55の下側には、リニアガイド取り付けブラケット151がパレットチェンジベース21にフロントカバー55と平行に取り付けられ、リニアガイド150のリニアガイドレール部150aがリニアガイド取り付けブラケット151に取り付けられる。
リニアガイドレール150aに嵌合して移動するリニアガイドブロック部150bにはアーム156が取り付けられ、アーム156にブラケット157が固定される。
ブラケット157には複数のカムフォロア158をリニアガイドブロック部の走行方向と直角に直線状に配置し、カムフォロア158は第2の機内カバー140の下面140dに長手方向に設けられた長穴144に係合される。
このようなカム機構の構成により、機内進入用ドア110を開いて、リンク部材130によりヒンジ132を中心に第1の機内カバー120を回転させながら所定の軌跡で移動しても、第2の機内カバー140は位置Sと位置Sとの間でリニアガイドレール部150aに対して同じ角度を保ちながら移動することができる。
【0027】
図2に示すとおり、オペレータドア50の前面50aは、フロントカバー55に対してパレットチェンジユニット20側にオーバーハングしているため、オペレータドア50は傾斜面50bと突き出し下面50cとを備える。
オペレータドア50を閉じたとき、オペレータドア50の前面50aより下方には、フロントカバー55とステップ70とに囲まれた空間Qが生じる。
【0028】
図11に示すとおり、オペレータが上記空間Qに取り残されないようにするために、第2の機内カバー140の前面140aが、例えば150mm程度の隙間を設けてフロントカバー55の前面の近傍を移動できるように設計される。なお、上記隙間の大きさは、オペレータが空間Qに取り残されない程度で良く、上記した150mmに限定するものではない。
同様に、第2の機内カバー140の傾斜面140bは、例えば150mm程度の隙間を設けてオペレータドア50の傾斜面50bの近傍を移動できるように設計される。
また、第2の機内カバー140の上面140c及び第1の機内カバー120の切り欠き部上面120aは、例えば150mm程度の隙間を設けてオペレータドア50の突き出し下面50cの近傍を移動できるように設計される。
さらに、第1の機内カバー120の切り欠き部側面120bは、例えば150mm程度の隙間を設けてオペレータドア50の前面50aの近傍を移動できるように設計される。
なお、これらの隙間の大きさについても、オペレータが空間Qに取り残されない程度で良く、上記した150mmに限定するものではない。
【0029】
図10に示すとおり、第1の機内カバー120の高さは、前記パレットチェンジユニット20のパレット旋回アーム23が配置される高さより高くなるように設計される。
なお、第1の機内カバー120の上面120cは、オペレータが機内進入エリアEにいるときに、パレット旋回アーム23に手や足を含む身体が接触しない高さとなることが好ましい。
例えば、パレット旋回アーム23の上面からステップ70までの高さが800mm程度のときには、第1の機内カバー120の上面120cからステップ70までの高さは1600mm程度である。
なお、第1の機内カバー120の上面120cの高さは、機内進入用ドア110の上面110aの高さと同一であっても良く、さらに上記した1600mmに限定するものではない。
【0030】
図13は、機内進入用ドア110が閉じることに伴って、第2の機内カバー140が位置Sから位置Sに戻った状態を示す拡大斜視図である。また、図14図13のD部の拡大斜視図である。
【0031】
機内進入用ドア110を閉じることに伴って、第2の機内カバー140が位置Sから位置Sに移動することにより、作業エリアEにおいてオペレータが取り残される空間が消失する。
また、第2の機内カバー140が位置Sから位置Sに移動することにより、作業エリアEが徐々に小さくなるため、オペレータは機内進入エリアEを経由して位置Gに出る必要があり、結果としてオペレータが機内進入エリアE及び作業エリアE内に取り残されることが防止できる。
また、オペレータが作業エリアEにいる間に他の作業者が機内進入用ドア110を誤って閉めようとしても、第2の機内カバー140がオペレータと干渉するように設計されているため、機内進入用ドア110を閉じることができず、結果としてオペレータの安全が確保できる。
【0032】
図15は本発明の他の実施の形態を示す平面図である。
この形態にあっても、機内進入用ドア110、第1の機内カバー120、リンク部材130、第2の機内カバー140を備える構成は前述した装置と同様である。
【0033】
この実施の形態に示す装置にあっては、第2の機内カバー140が位置Sと位置Sとの間でリニアガイドレール部150aに対して同じ角度を保ちつつ移動する案内機構として、リニアガイド150と前後動作制御機構155とを用いることに代えて、パレットチェンジベース21に固定された前記作業エリアEの床面であるステップ70に設けたカム溝200と該カム溝200に挿入されるカムフォロア(図示せず)を第2の機内カバー140の下面140dに備えるものである。
このカムフォロアは1個で案内可能であるが、複数個のカムフォロアを設けることにより、第2の機内カバー140の動作がより滑らかになる。
【0034】
このアクセスドア装置100の動作を図1図3と共に説明する。
オペレータが作業エリアEに入る際には、パレットチェンジスライダ22が段取り位置Fに停止した状態でパレット旋回アーム23を復帰位置から図示の回避位置に旋回させた後に、スイッチ盤60に設けられている機内進入用ドア開スイッチ163を押す。
その結果、パレットチェンジユニット20の電源が遮断されるとともに機内進入用ドア110と本機のカバー15との間に設けられた図示しないドアロックスイッチがアンロックとなる。
【0035】
その後、オペレータが機内進入用ドア110を開くことにより、第1の機内カバー120と第2の機内カバー140とが連動して移動し、機内進入エリアEおよび作業エリアEにおいてオペレータが入ることができるスペースが確保される。
上記スペースが確保された後に、オペレータは本工作機械1の機内進入エリアEに入り、オペレータドア50を開いて作業エリアEに移動する。
【0036】
その後、オペレータはテーブル12や主軸に対して作業を行う。その際に、操作盤40を旋回動させて機内進入エリアEに移動させることにより、オペレータは機内進入エリアEもしくは作業エリアEで機械を操作することができる。
【0037】
作業終了後、オペレータは機内進入エリアEに移動してオペレータドア50を閉じ、さらに機内進入用ドア110を閉じることにより、第1の機内カバー120と第2の機内カバー140とが連動して移動する。
このとき、第1の機内カバー120と第2の機内カバー140とが機内進入エリアE及び作業エリアEを掃引する。
その結果オペレータは位置Gに戻るしか行き場がなくなり、結果として本工作機械1の外に出ることとなる。
【0038】
操作盤40を旋回動させて機内進入エリアEの内部に移動させた場合は、操作盤40を機内進入エリアEの外部に移動しないと、オペレータは位置Gに移動できない。
また、操作盤40のみ機内進入エリアEの内部に移動した場合も、機内進入用ドア110を閉じることができない。
機内進入用ドア110を閉じると、図示しないドアロックスイッチによりロックされる。
【0039】
このような装置構成により、オペレータが工作機械1内の機内進入エリアEもしくは作業エリアEにいる間に他の作業者が機内進入用ドア110を誤って閉めようとしても、機内進入用ドア110もしくは機内カバーがオペレータに干渉して機内進入用ドア110を閉じることが出来ない。
【0040】
また、フロントカバー55の前面とオペレータドア50の前面50aとを同一面上となるように配置しても良い。
この場合は、オペレータが機内進入エリアEにて作業するため、第2の機内カバー140は不要となる。それに伴い、リニアガイド150や前後動作制御機構も不要となる。
【符号の説明】
【0041】
1 工作機械
10 本機
20 パレットチェンジユニット
100 アクセスドア装置
110 機内進入用ドア
120 第1の機内カバー
130 リンク部材
140 第2の機内カバー
150 リニアガイド
155 前後動作制御機構
機内進入エリア
作業エリア
【要約】
工作機械は、本機(10)の前面にパレットチェンジユニット(20)を備える。本機(10)はテーブル(12)を備え、パレットチェンジユニット(20)はパレットチェンジベース(21)とパレットチェンジスライダ(22)とパレット旋回アーム(23)を備える。本機(10)とパレットチェンジユニット(20)の間はオペレータドア(50)で仕切られる。アクセスドア装置(100)は、パレットチェンジユニット(20)の本体カバー(26)に対してヒンジ(112)により支持される機内進入用ドア(110)と、機内進入用ドア(110)の先端にヒンジ(122)を介してとりつけられる第1の機内カバー(120)を有する。第1の機内カバー(120)の先端にはヒンジ(142)を介して連結される第2の機内カバー(140)が設けられ、第2の機内カバー(140)はリニアガイド(150)と前後動作制御機構(155)により案内される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図12
図13
図14
図15
図16
図17