(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の遅延素子列の動作電圧は前記第2の遅延素子列の動作電圧よりも高く、前記第1の遅延素子列のファンアウトは前記第2の遅延素子列のファンアウトよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記遅延制御回路は第3の遅延素子列を有しており、前記第1の遅延素子列と前記第3の遅延素子列は動作電圧及びファンアウトが同じであることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の好ましい実施形態による半導体装置10の構成を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態による半導体装置10は、複数のワード線WL、複数のビット線BL及びこれらの交点に配置された複数のメモリセルMCを有するメモリセルアレイ11を有している。簡単のため、
図1においては、1本のワード線WL、1本の複数のビット線BL及び1個のメモリセルMCのみを図示してある。特に限定されるものではないが、本実施形態におけるメモリセルMCはDRAMセルである。
【0014】
ワード線WLはワードドライバ12に接続されており、ワードドライバ12によっていずれかのワード線WLが選択される。ワードドライバ12によるワード線WLの選択は、アドレス端子群21を介してアドレスバッファ22に供給されたアドレス信号ADD0〜ADDxのうち、ロウアドレスデコーダ23に供給されるロウアドレスRAに基づいて行われる。
【0015】
ビット線BLはセンスアンプ群13に接続されている。センスアンプ群13は複数のセンスアンプSAからなる回路であり、各センスアンプSAは対応するビット線BLに接続されている。簡単のため、
図1においては1個のセンスアンプSAのみを図示してある。これら複数のセンスアンプSAは、センスイネーブル信号SEによって活性化され、カラムスイッチ14によっていずれかが選択される。カラムスイッチ14によるセンスアンプの選択は、アドレス信号ADD0〜ADDxのうち、カラムアドレスデコーダ24に供給されるカラムアドレスCAに基づいて行われる。
【0016】
カラムスイッチ14によって選択されたセンスアンプSAは、データ入出力回路30に接続される。データ入出力回路30は、データ入出力端子31に接続されている。このため、リード時においては、選択されたセンスアンプSAにより増幅されたリードデータDQが、データ入出力回路30を介してデータ入出力端子31から出力される。一方、ライト時においては、データ入出力端子31から入力されるライトデータDQがデータ入出力回路30を介してセンスアンプSAに供給され、これによって、所定のメモリセルに対してライトデータが書き込まれる。
【0017】
このようなリード動作及びライト動作は、コマンド端子41〜44を介して供給される各種コマンドによって指定される。コマンド端子41〜44は、それぞれ/RAS(ロウアドレスストローブ)信号、/CAS(カラムアドレスストローブ)信号、/WE(ライトイネーブル)信号及び/CS(チップセレクト)信号が供給される端子であり、コマンド端子41〜44を介して供給されたこれら信号は、コマンドデコーダ45に供給される。信号名の最初に付されたスラッシュ(/)は、当該信号がローアクティブな信号であることを意味する。
【0018】
コマンドデコーダ45は、入力された上記コマンドの組み合わせに応じて、各種内部コマンドCOM等を生成する回路である。一例として、/RAS信号及び/CS信号がローレベル、/CAS信号及び/WE信号がハイレベルであれば、コマンドデコーダ45はこれらの組み合わせをアクティブコマンドであると解釈し、アクティブ信号ACTを生成する。アクティブ信号ACTは、ロウアドレスに基づくアクセスを実行するための内部信号である。したがって、このタイミングでアドレスバッファ22に取り込まれたアドレス信号ADD0〜ADDxはロウアドレスRAとして認識され、ロウアドレスデコーダ23に供給される。また、コマンドデコーダ45は、アクティブ信号ACTを活性化させた後、所定のタイミングでストローブ信号IRASを生成する。ストローブ信号IRASは、ワードドライバ12の活性化タイミングを規定する信号である。本実施形態においては、ストローブ信号IRASがワードドライバ12の他に、タイミング制御回路100にも供給されている。タイミング制御回路100は、ストローブ信号IRASが活性化した後、所定のタイミングでセンスイネーブル信号SEを発生させる遅延制御回路130を備えている。タイミング制御回路100の詳細については後述する。
【0019】
コマンドデコーダ45によるデコード動作の他の例として、/RAS信号、/CAS信号及び/CS信号がローレベルである場合、コマンドデコーダ45はこれらの組み合わせをリードコマンド又はライトコマンドであると解釈し、図示しない内部リード信号又は内部ライト信号を生成する。内部リード信号及び内部ライト信号は、カラムアドレスに基づくアクセスを実行するための内部信号である。したがって、このタイミングでアドレスバッファ22に取り込まれたアドレス信号ADD0〜ADDxはカラムアドレスCAとして認識され、カラムアドレスデコーダ24に供給される。さらに他の例として、/CAS信号及び/CS信号がローレベル、/RAS信号及び/WE信号がハイレベルである場合、コマンドデコーダ45はこれらの組み合わせをリフレッシュコマンドであると解釈し、リフレッシュ信号REFを生成する。リフレッシュ信号REFは、メモリセルMCのリフレッシュ動作を実行するための内部信号である。
【0020】
図1に示すように、アクティブ信号ACT及びリフレッシュ信号REFもタイミング制御回路100に供給される。
【0021】
また、コマンドデコーダ45に入力されたコマンドがMRS(モードレジスタセット)コマンドである場合、このタイミングでアドレス端子群21に供給されたアドレス信号ADD0〜ADDxは、モードレジスタ50に供給される。モードレジスタ50は、半導体装置10の各種動作モード(例えばレイテンシなど)を設定するためのレジスタである。モードレジスタ50の設定内容を示すモード信号MOD等は、半導体装置10内の所定の回路ブロックに供給される。また、モードレジスタ50に初期化情報が設定されると、モードレジスタ50は初期化信号INTを活性化する。初期化信号INTは、タイミング制御回路100に供給される。
【0022】
これら各種回路ブロックは、いずれも外部電圧VDD又は内部電圧V
INTを動作電源とし、内部クロック信号ICLKをタイミング信号として動作する。
【0023】
内部電圧V
INTは、内部電圧生成回路60によって、外部電圧VDD及び外部電圧VSSから生成される電圧である。外部電圧VDD及び外部電圧VSSは、それぞれ電源端子61,62を介して外部から供給される。尚、内部電圧V
INTは単一の電圧ではなく、複数の内部電圧の総称である。また、内部電圧生成回路60は、内部電圧V
INTの他に、内部電圧V
PERIを生成する。内部電圧V
PERIは、各種周辺回路の動作電源となる内部電圧であり、外部電圧VDDよりも低い電圧である(VDD>V
PERI)。内部電圧V
PERIは、タイミング制御回路100にも供給される。
【0024】
また、内部クロック信号ICLKは、内部クロック生成回路70によって生成される複数の信号の総称である。内部クロック生成回路70は、クロック端子71を介して供給される外部クロック信号CKを受け、これに基づいて内部クロック信号ICLKを生成する。内部クロック生成回路70にはDLL回路70aが含まれている。DLL回路70aは、上述したデータ入出力回路30に供給すべき内部クロック信号を生成する回路であり、データ入出力回路30は、DLL回路70aによって生成された内部クロック信号に同期して、リードデータ又はライトデータDQの入出力を行う。
【0025】
タイミング制御回路100は、パルス発生回路110、タイミングモニタ120及び遅延制御回路130を備えている。遅延制御回路130は、ストローブ信号IRASを遅延させることにより、所定のタイミングでセンスイネーブル信号SEを発生させる回路である。その遅延量は可変であり、タイミングモニタ120によって設定される。以下、タイミング制御回路100の詳細な回路構成及び動作について説明する。
【0026】
図2(a)はパルス発生回路110の回路図であり、
図2(b)はパルス発生回路110の動作を説明するためのタイミング図である。
【0027】
図2(a)に示すように、パルス発生回路110は、NOR回路111〜114及びNAND回路115によって構成されている。NOR回路111,112はSRラッチを構成しており、セット入力側(S)にリフレッシュ信号REFが供給され、リセット入力側(R)にアクティブ信号ACTが供給される。同様に、NOR回路113,114はSRラッチを構成しており、セット入力側(S)に初期化信号INTが供給され、リセット入力側(R)にアクティブ信号ACTが供給される。これらSRラッチの出力はNAND回路115に供給され、その出力がパルス信号Pとなる。
【0028】
パルス発生回路110の動作は
図2(b)に示す通りであり、初期化信号INT又はリフレッシュ信号REFが活性化するとパルス信号Pがハイレベルに変化し、その後アクティブ信号ACTが活性化するとパルス信号Pはローレベルに戻る。上述の通り、初期化信号INTはモードレジスタ50に初期化情報が設定された場合に活性化する信号であり、リフレッシュ信号REFはリフレッシュコマンドが発行された場合に活性化する信号であることから、これらが活性化した後、アクティブ信号ACTが活性化するまでの期間としては、10ns以上の期間が確保される。つまり、パルス信号Pのパルス幅は10ns以上となる。このようにして生成されるパルス信号Pは、タイミングモニタ120に供給される。
【0029】
図3は、タイミングモニタ120の回路図である。
【0030】
図3に示すように、タイミングモニタ120は、互いに動作条件が異なる第1及び第2の遅延素子列121,122と、第1及び第2の遅延素子列121,122を伝搬するパルス信号Pの伝搬速度差を検出する検出回路123と、検出回路123の検出結果である検出信号OUTに基づいて、選択信号SELを生成する設定回路124とを備えている。
【0031】
第1及び第2の遅延素子列121,122には、パルス信号Pが同時に入力される。第1及び第2の遅延素子列121,122は、いずれも複数のインバータ回路が直列接続された回路構成を有しているが、第1の遅延素子列121を構成するインバータ回路については動作電源として電源電圧VDDが供給されているのに対し、第2の遅延素子列122を構成するインバータ回路については動作電源として内部電圧V
PERIが供給されている。上述の通り、電源電圧VDDと内部電圧V
PERIとの関係は、VDD>V
PERIである。
【0032】
さらに、第1の遅延素子列121を構成するインバータ回路のファンアウトをF1とし、第2の遅延素子列122を構成するインバータ回路のファンアウトをF2とした場合、F1<F2に設定されている。第1の遅延素子列121は遅延制御回路130のレプリカ回路であり、したがって、遅延制御回路130に含まれる遅延素子の動作電圧はVDDであり、ファンアウトはF1である。
【0033】
これらにより、第1の遅延素子列121よりも第2の遅延素子列122の方が、PVT変動に対して遅延量の変化が大きくなる。つまり、PVT変動に起因して第1の遅延素子列121の遅延量が設計値よりも大きくなれば、第2の遅延素子列122の遅延量はそれ以上に大きくなる。逆に、PVT変動に起因して第1の遅延素子列121の遅延量が設計値よりも小さくなれば、第2の遅延素子列122の遅延量はそれ以上に小さくなる。このような差が生じるのは、動作電圧が低いほど、またファンアウトが大きいほど、PVT変動の影響を受けやすくなるからである。
【0034】
PVT変動による遅延量の変化を
図4に示す。
図4に示すように、プロセスばらつきに起因してしきい値が低くなると遅延量は小さくなり、逆に、しきい値が高くなると遅延量は大きくなる。また、電源電圧が高くなると遅延量は小さくなり、逆に、電源電圧が低くなると遅延量は大きくなる。さらに、環境温度が低くなると遅延量は小さくなり、逆に、環境温度が高くなると遅延量は大きくなる。このような遅延量の変化は、上述の通り、第1の遅延素子列121よりも第2の遅延素子列122の方が顕著となる。
【0035】
ここで、第1の遅延素子列121を伝搬するパルス信号をP
1とし、第2の遅延素子列122から出力されるパルス信号をP
2とした場合、各インバータ回路が設計値通りの遅延量で動作したとすれば、第1の遅延素子列121に含まれる所定のインバータ回路INViから出力されるパルス信号P
1と、第2の遅延素子列122から出力されるパルス信号P
2の位相が一致するよう構成されている。つまり、第1の遅延素子列121の前段121aの遅延量と、第2の遅延素子列122の遅延量が一致するよう設計されている。しかしながら、PVT変動によって遅延量が設計値からずれた場合にはこの限りでない。上述の通り、PVT変動に起因する遅延量の変化は、第1の遅延素子列121よりも第2の遅延素子列122の方が顕著であることから、PVT変動によって遅延量が大きくなる条件の下では、パルス信号P
2の位相と一致するパルス信号P
1は、より後段のインバータ回路(INVi+1以降)から出力されることになる。逆に、PVT変動によって遅延量が小さくなる条件の下では、パルス信号P
2の位相と一致するパルス信号P
1は、より前段のインバータ回路(INVi−1以前)から出力されることになる。どのインバータ回路から出力されるパルス信号P
1がパルス信号P
2の位相と一致しているかは、検出回路123によって検出される。
【0036】
図3に示すように、検出回路123はn+1個の比較回路123
0〜123
nによって構成されている。これら比較回路123
0〜123
nの一方の入力端D1には、第1の遅延素子列121の互いに異なるインバータ回路からのパルス信号P
1が供給されており、他方の入力端D2には第2の遅延素子列122から出力されたパルス信号P
2が共通に供給されている。尚、第2の遅延素子列122の最終段にはレベルシフト回路LSが設けられており、これによって、第2の遅延素子列122の出力振幅はVDDとされる。
【0037】
また、比較回路123
0〜123
nにはリセット端R1,R2が設けられている。比較回路123
0〜123
nのリセット端R1には、リセット信号RESETが共通に供給されており、比較回路123
1〜123
nのリセット端R2は前段の比較回路の出力端Q2に接続されている。初段の比較回路123
0のリセット端R2については、VSS(ローレベル)に固定されている。さらに、比較回路123
0〜123
nには出力端Q1が設けられており、その出力は設定回路124に供給される。リセット信号RESETは、タイミングモニタ120が起動されるたびに活性化される信号である。
【0038】
図5は、比較回路123
0〜123
nの具体的な回路構成を示す図である。
【0039】
図5に示すように、比較回路123
0〜123
nはDラッチ回路200を有しており、その入力端Dは一方の入力端D1に接続され、クロック端Cは他方の入力端D2に接続され、出力端Qは一方の出力端Q1に接続されている。また、Dラッチ回路200のリセット端Rには、リセット端R1,R2に入力される信号をOR回路201によって論理和演算した信号が供給される。さらに、リセット端R1に入力される信号とDラッチ回路200の出力端Qから出力される信号は、OR回路202によって論理和演算され、その出力は出力端Q2から出力される。
【0040】
このような回路構成により、比較回路123
0〜123
nのうちパルス信号P
1とパルス信号P
2の位相が一致した回路(より正確には、パルス信号P
2がハイレベルに変化した直後にパルス信号P
1がハイレベルに変化した比較回路)においては、出力端Q1のレベルがハイレベルとなる。その他の比較回路においては、出力端Q1のレベルはローレベルである。これは、一致検出した比較回路よりも前段に位置する比較回路においては、Dラッチ回路200にローレベルがラッチされるからであり、一致検出した比較回路よりも後段に位置する比較回路においてはリセット端R2によってDラッチ回路200がリセットされるからである。
【0041】
設定回路124は、このようにして生成される検出信号OUTを選択信号SELに変換する回路である。どのような変換を行うかは、選択信号SELを受ける遅延制御回路130の回路構成などに依存するが、簡単のため、遅延制御回路130が
図6に示す回路構成であり、検出信号OUTのビット数が3ビットである場合(すなわち、検出回路123に含まれる比較回路が3個である場合)を例に説明する。
【0042】
図6に示す遅延制御回路130は、ストローブ信号IRASを遅延させることによってセンスイネーブル信号SEを生成する回路であり、その遅延量は可変である。具体的には、入力端130aと出力端130bとの間に3つの遅延素子131〜133が直列に接続されており、2段目及び3段目の遅延素子132,133については、それぞれセレクタ134,135の切り替えによってバイパス可能とされている。セレクタ134の切り替えは選択信号SELの1ビットであるSEL1によって制御され、セレクタ135の切り替えは選択信号SELの他の1ビットであるSEL2によって制御される。これにより、入力端130aと出力端130bとの信号経路に介在する遅延素子の数は、1個〜3個に切り替えることができる。
【0043】
遅延制御回路130に含まれる遅延素子131〜133は、タイミングモニタ120に含まれる第1の遅延素子列121と同じ回路構成を有している。換言すれば、遅延制御回路130は、第1の遅延素子列121と同じ回路構成を有する第3の遅延素子列を含んでいると言える。
【0044】
遅延制御回路130がこのような回路構成である場合、設定回路124の回路構成としては、
図7に示す回路構成を採ることができる。
図7において、信号OUT
i−1は最も前段に位置する比較回路の出力であり、信号OUT
i+1は最も後段に位置する比較回路の出力である。したがって、PVT変動によって遅延量が設計値よりも小さくなっている場合には信号OUT
i−1が活性化し、PVT変動によって遅延量が設計値よりも大きくなっている場合には信号OUT
i+1が活性化する。また、遅延量がほぼ設計値通りである場合には信号OUT
iが活性化する。
【0045】
図7に示す回路の真理値表を
図8に示す。
図8に示すように、信号OUT
i−1がハイレベルであるケース、すなわち、遅延量が設計値よりも小さいケース(Fast水準)においては、選択信号SEL1がハイレベル、選択信号SEL2がローレベルとなる。これにより、
図6に示したセレクタ134,135は、それぞれハイレベル側の入力端及びローレベル側の入力端を選択することから、ストローブ信号IRASは3つの遅延素子131〜133を全て経由することになる。つまり、遅延制御回路130の遅延量は最大となる。そして、このケースにおいては、PVT変動に起因して遅延量が設計値よりも小さくなっていることから、遅延制御回路130の実際の遅延量は設計値に近づけられることになる。信号OUT
i−1がハイレベルとなるケースは、タイミング図である
図9(a)に示すように、パルス信号P
2がハイレベルに変化した直後に、比較回路123
i−1に入力されるパルス信号P
1がハイレベルとなるケースが該当する。
【0046】
また、信号OUT
iがハイレベルであるケース、すなわち、遅延量がほぼ設計値通りであるケース(Center水準)においては、選択信号SEL1,SEL2ともローレベルとなる。これにより、
図6に示したセレクタ134,135は、いずれもローレベル側の入力端を選択することから、ストローブ信号IRASは2つの遅延素子131,133を経由することになる。つまり、遅延制御回路130の遅延量は中程度となる。そして、このケースにおいては、遅延量がほぼ設計値通りであることから、遅延制御回路130の実際の遅延量もほぼ設計値通りとなる。信号OUT
iがハイレベルとなるケースは、タイミング図である
図9(b)に示すように、パルス信号P
2がハイレベルに変化した直後に、比較回路123
iに入力されるパルス信号P
1がハイレベルとなるケースが該当する。
【0047】
さらに、信号OUT
i+1がハイレベルであるケース、すなわち、遅延量が設計値よりも大きいケース(Slow水準)においては、選択信号SEL1がローレベル、選択信号SEL2がハイレベルとなる。これにより、
図6に示したセレクタ134,135は、それぞれローレベル側の入力端及びハイレベル側の入力端を選択することから、ストローブ信号IRASは1つの遅延素子131のみを経由することになる。つまり、遅延制御回路130の遅延量は最小となる。そして、このケースにおいては、PVT変動に起因して遅延量が設計値よりも大きくなっていることから、遅延制御回路130の実際の遅延量は設計値に近づけられることになる。信号OUT
i+1がハイレベルとなるケースは、タイミング図である
図9(c)に示すように、パルス信号P
2がハイレベルに変化した直後に、比較回路123
i+1に入力されるパルス信号P
1がハイレベルとなるケースが該当する。
【0048】
遅延制御回路130に対する遅延量の設定は、上記のように行われる。これにより、遅延制御回路130によって生成されるセンスイネーブル信号SEの活性化タイミングは、PVT変動にかかわらずほぼ一定となる。その結果、センスアンプSAは、常に最適なタイミングで動作を開始することが可能となる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態による半導体装置10は、PVT変動に起因する遅延量の変動をタイミングモニタ120によってモニタし、その結果に基づいて遅延制御回路130の遅延量を調整している。このため、遅延制御回路130に生じている遅延量の変動を正しく補正することが可能となる。しかも、本実施形態では、タイミングモニタ120に含まれる第1の遅延素子列121が遅延制御回路130のレプリカ回路であることから、遅延制御回路130に生じている遅延量の変動を極めて正確にモニタすることができ、その結果、極めて正確に遅延量の補正を行うことが可能となる。
【0050】
また、本実施形態では、タイミングモニタ120を常時動作させるのではなく、所定のタイミングで間欠的に動作させていることから、タイミングモニタ120による電力消費も抑制される。特に、上記実施形態では、半導体装置10の動作開始時に活性化される初期化信号INTに応答してタイミングモニタ120を起動していることから、PVT変動のモニタリングを動作開始時において必ず実行することができる。さらに、上記実施形態では、リフレッシュコマンドの発行に応答してタイミングモニタ120を起動していることから、PVT変動を定期的にモニタリングすることも可能となる。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0052】
例えば、上記実施形態において遅延量の調整対象となる遅延制御回路130は、ワードドライバ12の活性化タイミングから、センスアンプSAの活性化タイミングを規定する回路であるが、本発明において遅延量の調整対象となる遅延制御回路の用途がこれに限定されるものではない。したがって、遅延量の調整対象となる遅延制御回路としては、ワードドライバ12の活性化を起点として、カラム選択信号YSEL(
図1参照)を生成することにより、カラムスイッチ14の活性化タイミングを制御する回路であっても構わない。
【0053】
また、上記実施形態では、初期化信号INT及びリフレッシュ信号REFに応答してタイミングモニタ120を起動しているが、タイミングモニタ120を起動するタイミングがこれに限定されるものではない。
【0054】
また、上記実施形態では、第1の遅延素子列121よりも第2の遅延素子列122の方がPVT変動による遅延量の変化が顕著となるよう、インバータ回路の動作電圧及びファンアウトを設計しているが、これら遅延素子列の動作条件が互いに異なる限り、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、動作電圧及びファンアウトのいずれか一方のみを異ならせても構わないし、別の方法で動作条件を異ならせても構わない。さらには、第2の遅延素子列122よりも第1の遅延素子列121の方がPVT変動による遅延量の変化が顕著となるよう設計しても構わない。
【0055】
また、上記実施形態では、本発明の適用対象をDRAMとしているが、本発明がこれに限定されるものではなく、他の半導体メモリ(SRAM、PRAM、フラッシュメモリなど)や、ロジック系の半導体装置に本発明を適用することも可能である。