特許第5649801号(P5649801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アサヒビール株式会社の特許一覧 ▶ 旭光電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5649801-流体分配及び液体注出システム 図000002
  • 特許5649801-流体分配及び液体注出システム 図000003
  • 特許5649801-流体分配及び液体注出システム 図000004
  • 特許5649801-流体分配及び液体注出システム 図000005
  • 特許5649801-流体分配及び液体注出システム 図000006
  • 特許5649801-流体分配及び液体注出システム 図000007
  • 特許5649801-流体分配及び液体注出システム 図000008
  • 特許5649801-流体分配及び液体注出システム 図000009
  • 特許5649801-流体分配及び液体注出システム 図000010
  • 特許5649801-流体分配及び液体注出システム 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649801
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】流体分配及び液体注出システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/04 20060101AFI20141211BHJP
   B67D 1/14 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   B67D1/04 F
   B67D1/14 Z
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2009-134542(P2009-134542)
(22)【出願日】2009年6月3日
(65)【公開番号】特開2010-280408(P2010-280408A)
(43)【公開日】2010年12月16日
【審査請求日】2012年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501397920
【氏名又は名称】旭光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136205
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康
(74)【代理人】
【識別番号】100127166
【弁理士】
【氏名又は名称】本間 政憲
(72)【発明者】
【氏名】北野 純一
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−319489(JP,A)
【文献】 特開2008−256096(JP,A)
【文献】 特開2008−180643(JP,A)
【文献】 特開2007−182250(JP,A)
【文献】 実開平04−023699(JP,U)
【文献】 特開平09−077194(JP,A)
【文献】 特開平09−301497(JP,A)
【文献】 特開2008−025752(JP,A)
【文献】 特開平11−227887(JP,A)
【文献】 特開2004−203452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1;3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵容器中の液体を注出口から外部に注出するために前記液体を含む流体を供給及び/または排出する流体分配システムであって、
前記システムは、少なくとも
貯蔵容器と注出口とを接続する供給管と、
供給管と分岐する排出管と、
供給管路を開閉する供給管路開閉手段と、
排出管路を開閉する排出管路開閉手段と、
供給管路を流れる流体の状態を検知する検知手段と、
排出管路を流れる流体の状態を検知する第2の検知手段と、
供給管路及び/または排出管路開閉手段を作動させる制御手段と、
注出口と、
貯蔵容器に流体分配のための圧力ガスを供給する圧力ガス供給手段と、
新しい前記貯蔵容器への容器交換完了情報又は新しい前記貯蔵容器と前記供給管との接続開始情報の取得手段と、
前記容器交換完了情報又は前記接続開始情報の伝送手段
により構成され、
前記供給管路開閉手段は
管路の一部を屈曲させた屈曲部を形成することにより流体の流れを遮断する開閉手段であり、
前記検知手段及び前記第2の検知手段は、
少なくとも発光素子と受光素子により構成され、発光素子と受光素子は管路を通過する前記流体を隔てて配置され、発光素子の投射量に対する受光素子の受光量及び受光量の時間的変化を検知する手段であり、
前記制御手段は、
液体供給完了状態となった前記貯蔵容器を液体を満たした前記新しい貯蔵容器に交換した後、
前記新しい貯蔵容器への容器交換完了情報又は前記新しい貯蔵容器と前記供給管との接続開始情報の取得
に基づいて前記供給管路を閉鎖しつつ前記排出管路を開放し、
前記検知手段により前記液体が検知された場合には、
前記排出管路に設けられた第2の検知手段が前記液体を検知した後に
前記排出管路を閉鎖すると共にそれと同時又はその後に前記供給管路を開放し、
前記液体検知後に前記液体以外の流体を検知した場合には、前記排出管路を閉鎖したまま前記供給管路を閉鎖する手段であること
を特徴とする流体分配システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記液体以外の流体の検知において一時的な泡の発生を検知した場合には、前記排出管路を開放して前記供給管路を閉鎖し、泡の排出後は前記排出管路を閉鎖して前記供給管路を開放する手段であること
を特徴とする請求項1に記載の流体分配システム。
【請求項3】
前記供給管路開閉手段が複数であり、その一の前記供給管路開閉手段が注出口直近に配されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の流体分配システム。
【請求項4】
前記排出管の分岐点直近部分を前記供給管の分岐点直近部分の上部に配置したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の流体分配システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の一部を分配して注出する技術、特に泡やガス等を含む発泡性飲料の液体部分を分配して注出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生ビール等の供給装置では、ビールが充てんされた樽に炭酸ガス等を圧送し、樽からディスペンサに押し出されたビールは注出口からビアジョッキ等に注がれる。この場合、ビール樽が空になった状態で過剰な泡が発生して注出口からビールが噴出したり、樽の交換後に内外圧の相違等により余分な泡が発生したりすることがある。
【0003】
この対策として、樽の交換時に泡の発生をセンサで検知して、ビール供給管路中に設けた弁を閉鎖しつつ泡を泡抜き弁から排出することにより、泡のないビールの提供を行う提案がある(特許文献1)。また、電極端子間の抵抗値によりビールの泡を検出することにより、発砲飲料の有無を正確に検知するとの提案がある(特許文献2)。泡の発生を検知するセンサとしては、ビール等を透過する赤外光等を受光素子で検知するセンサの提案がある(特許文献3,4)。また、泡等の排出手段としては、ボールバルブ等の弁以外にビール供給チューブ自体を押圧することによりビール等の供給を停止するものもある(特許文献5,6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−319489
【特許文献2】特開2003−54696
【特許文献3】特開平11−227887
【特許文献4】特開2008−180643
【特許文献5】特開2002−264998
【特許文献6】特開2008−25752
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、ビール樽等の貯蔵容器が空になった場合やビール樽等の貯蔵容器を交換した後の初期状態で発生する泡等を早期かつ正確に検知し、かつメンテナンス容易な手段で排出することを目的とする。また、ビール等の液体を注出する管路内への空気の侵入を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題解決のため、本発明により、貯蔵容器中の液体を注出口から外部に注出するために前記液体を含む流体を供給及び/又は排出する流体分配システムであって、前記システムは、少なくとも貯蔵容器と注出口とを接続する供給管と、供給管路と分岐する排出管と、供給管路を開閉する供給管路開閉手段と、排出管路を開閉する排出管路開閉手段と、供給管路を流れる流体の状態を検知する検知手段と、検知された流体の状態に基づいて供給管路及び/または排出管路開閉手段を作動させる制御手段と、注出口と、貯蔵容器に流体分配のための圧力ガスを供給する圧力ガス供給手段により構成され、前記供給管路開閉手段が管路の一部を屈曲させた屈曲部を形成することにより流体の流れを遮断する開閉手段であり、かつ、前記制御手段は前記検知手段により検知された内容を取得し、取得内容により流体を前記液体と前記液体以外の流体とに分類する判断を行い、判断結果に基づいて前記液体について供給管路を通じて注出口に分配し、前記液体以外の流体について排出管路に分配する制御手段であることを特徴とする流体分配システムが提供される。
【0007】
本発明では、貯蔵容器に貯蔵される飲用液体を注出する場合において余分な泡等が発生する場合に、液体と液体以外の泡等とを分けて泡等を排出すると共に液体を注出口から注出する。ここで、注出されるべき液体と排出されるべき泡等との双方を総称して流体と称する。
【0008】
流体検知手段により泡等の発生が認識された場合、制御手段により排出管路が開かれて泡等の排出が促進されると共に供給管路が閉じられて泡等の供給が遮断される。供給管路の開閉手段は供給管路自体の折り曲げに基づくことから、供給遮断状態を解除して液体の供給を再開した状態では供給管路の内部には弁部材のような障害物は存在しない。つまり開閉手段部分以外の供給管路と同一内径、同一内部形状の状態に復帰する。したがって、管内を流れるビール等の液体は供給管路開閉手段部分においても、それ以外の部分と同様に一定流速で供給される。また、内部に障害物が存在しないため、供給管のメンテナンスも容易に行うことができる。一方、排出管路により排出される流体の開閉手段については、供給管における開閉手段と対比してこれらの要請が相対的に少ないために、管路折り曲げにより流体の流れを遮断する開閉手段に限定されない。
【0009】
本発明において供給管路開閉手段は供給管と排出管の分岐点より注出口側に設置される。また、検知手段は貯蔵容器近傍にあることが好適であり、供給管路開閉手段及び排出管路開閉手段は分岐点近傍にあることが好適であるが、いずれもそれらの位置に限定されない。
【0010】
また、前記検知手段が少なくとも発光素子と受光素子により構成され、発光素子と受光素子は管路を通過する前記流体を隔てて配置され、発光素子の投射量に対する受光素子の受光量及び受光量の時間的変化を検知する検知手段であることを特徴とする前記記載の流体分配システムが提供される。受光素子は投光された光量の減衰量に加え、受光量の変動を検知することにより、通過中の流体が注出口から供給されるべきビール等の液体か、または泡や気体など排出すべき流体かを適切に判断する。
【0011】
また、前記検知手段において、発光素子及び/または受光素子が複数であることを特徴とする前記記載の流体分配システムが提供される。発光素子または受光素子が複数の場合、発光素子と受光素子の双方が複数の場合には上述の2つの検知に加えて、屈折光の光量を検知することができる。
【0012】
また、上述の流体分配システムにおいて、
前記制御手段は、
液体供給完了状態となった前記貯蔵容器を液体を満たした新貯蔵容器に交換した後、当初段階では前記供給管路を閉鎖しつつ前記排出管路を開放し、前記検知手段により前記液体が検知された場合には、前記液体が供給管路と排出管路の分岐点に到達した後に前記排出管路を閉鎖すると共にそれと同時またはその後に前記供給管路を開放し、前記液体検知後に前記液体以外の流体を検知した場合には、前記排出管路を閉鎖したまま前記供給管路を閉鎖する手段であることを特徴とする前記記載の流体分配システムが提供される。流体検知センサで泡等からビール等液体に切り替わったことを検知した後、分岐点までの予想到達時間も考慮して管路の開閉がなされる。樽交換後に発生した泡を検知した場合及び泡等がなくなりビール等を検知した場合に、検知された泡等やビール等の液体が分岐点を通過する時点で正確に分配されることが必須である。また、泡等が供給管に混入することを防止するためには、排出管路と供給管路が双方開いている状態を排除しなければならない。液体の供給が開始された後に、液体の欠量その他の理由により液体以外の流体が検知された場合には、排出管路は閉鎖されたまま供給管路も閉鎖される。
【0013】
また、前記記載の流体分配システムにおいて、さらに前記新貯蔵容器への接続開始状態検知手段と検知情報報知手段を有し、前記制御手段は、前記液体を満たした新貯蔵容器と供給管の接続開始情報を取得すると前記供給管路を閉鎖しつつ前記排出管路を開放し、前記検知手段により前記液体が検知された場合には、前記液体が供給管路と排出管路の分岐点に到達した後に前記排出管路を閉鎖すると共にそれと同時又はその後に前記供給管路を開放し、前記液体検知後に前記液体以外の流体を検知した場合には、前記排出管路を閉鎖したまま前記供給管路を閉鎖する手段であることを特徴とする流体分配システムが提供される。新たな貯蔵容器と接続した際に、閉鎖されている排出管路をいち早く開放し、泡やガスの排出路を早期に確保する。
【0014】
また、前記供給管路開閉手段が複数であり、貯蔵容器側と注出口側に分散配置されていることを特徴とする前記記載の流体分配システムが提供される。複数の供給管路開閉手段は同タイミングで開閉作動することが好適であるが、それに限定されない。注出口のコックを開いてビール等をビアジョッキに注出している場合に、貯蔵容器内のビール等切れによる泡等が検出された場合、供給管路開閉手段は制御手段の制御により自動的に閉動作を行う。この場合、注出口のコックがそのまま開かれていれば供給管路開閉手段部分から注出口までの位置にあるビールは注出口から流出することとなる。それに対し、供給管路開閉手段が複数であれば供給管路開閉手段間のビールは両供給管路開閉手段間に閉じ込められるのでその分のビール等の流出を妨げることが可能となる。
【0015】
また、貯蔵容器中の液体を注出口から外部に注出するために前記液体を含む流体を供給及び/または排出する流体分配システムであって、
前記システムは、少なくとも
貯蔵容器と注出口とを接続する供給管と、
供給管と分岐する排出管と、
供給管路を開閉する供給管路開閉手段と、
排出管路を開閉する排出管路開閉手段と、
供給管路を流れる流体の状態を検知する検知手段と、
排出管路を流れる流体の状態を検知する第2の検知手段と、
供給管路及び/または排出管路開閉手段を作動させる制御手段と、
注出口と、
貯蔵容器に流体分配のための圧力ガスを供給する圧力ガス供給手段と、
新しい前記貯蔵容器への容器交換完了情報又は新しい前記貯蔵容器と前記供給管との接続開始情報の取得手段と、
前記容器交換完了情報又は前記接続開始情報の伝送手段
により構成され、
前記供給管路開閉手段は
管路の一部を屈曲させた屈曲部を形成することにより流体の流れを遮断する開閉手段であり、
前記検知手段及び前記第2の検知手段は、
少なくとも発光素子と受光素子により構成され、発光素子と受光素子は管路を通過する前記流体を隔てて配置され、発光素子の投射量に対する受光素子の受光量及び受光量の時間的変化を検知する手段であり、
前記制御手段は、
液体供給完了状態となった前記貯蔵容器を液体を満たした前記新しい貯蔵容器に交換した後、
前記新しい貯蔵容器への容器交換完了情報又は前記新しい貯蔵容器と前記供給管との接続開始情報の取得
に基づいて前記供給管路を閉鎖しつつ前記排出管路を開放し、
前記検知手段により前記液体が検知された場合には、
前記排出管路に設けられた第2の検知手段が前記液体を検知した後に
前記排出管路を閉鎖すると共にそれと同時又はその後に前記供給管路を開放し、
前記液体検知後に前記液体以外の流体を検知した場合には、前記排出管路を閉鎖したまま前記供給管路を閉鎖する手段であること
を特徴とする流体分配システムが提供される。
検知手段がさらに排出管路に配設されることにより排出管路を通過する流体の状態が把握される。排出されるべき泡等の流体が通過し切ったか否かを確認できるのである。複数の検知手段により検知された内容が上述の制御手段によって判断され、供給管路や排出管路における開閉手段が適切に制御・作動される。
【0016】
また、前記制御手段は、前記液体以外の流体の検知において一時的な泡の発生を検知した場合には、前記排出管路を開放して前記供給管路を閉鎖し、泡の排出後は前記排出管路を閉鎖して前記供給管路を開放する手段であること
を特徴とする前記記載の流体分配システムが提供される。
【0017】
また、前記供給管路開閉手段が複数であり、その一の前記供給管路開閉手段が注出口直近に配されていることを特徴とする前記記載の流体分配システムが提供される。注出口直近に配されることにより、供給中のほとんどすべてのビール等は流出を免れる。当該供給管路開閉手段は注出口のコックの役割を果たすことになる。
【0018】
また、前記排出管の分岐点直近部分を前記供給管の分岐点直近部分の上方に配置したことを特徴とする前記記載の流体分配システムが提供される。流体中の排出すべき泡や気体はビール等の注出すべき液体よりも比重が軽いため、排出管路の分岐点直近部分を供給管路より高い位置に配設することにより泡や気体の排出が確実に行われる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、流体の中の注出すべき液体と排出すべき流体とを適切に分配し、余分な泡がなく注出口から噴出しないビール等の液体を供給すると共に注出すべき液体を誤って排出することのない効率の良い分配が実現する。供給管路開閉手段として、管路折り曲げにより流体の流れを遮断する開閉手段を採用したことにより、ビール等が流れている場合は、ビール等が流れる管路の内径は障害物のない一定径のものであることが担保される。このため流速が一定に保たれ乱流が生じにくく、供給管路内での泡の発生を防止する。また、飲料を対象とする供給管は衛生上の問題から頻繁な清掃が要求されるが、本発明に係る流体分配システムの場合、管路折り曲げを解除すれば通常の弁のような障害物も存在しないので、円滑に清掃ができる。弁等を分解するような煩雑な作業の必要はない。なお、管路折り曲げによって開閉することが必須なのは供給管路開閉手段のみであり、排出管路開閉手段は特に限定されない。排出管路内の流体については、流体の流速が変化して泡が発生してもあまり問題はなく、また、清掃の重要度も供給管路における清掃と対比すると低い。
【0020】
検知センサは発光素子からの投光を受光素子が受光する光学センサが好適である。中の流体に非接触で減衰量や受光量の変化を簡便に検知することができる。発光素子及び/または受光素子を複数にすると中の液体等による屈折光の光量も検知することができるので、流体の種類等流体内部の状態をより正確に把握できる。
【0021】
貯蔵容器の交換後の管路開閉については、先ず供給管路を閉じたまま、排出管路の開閉手段を開くことによって、交換直前に発生していた泡等と交換後の内外圧の相違等により発生する泡等とを排出することができる。次に、流体検知センサで注出口から注出すべき液体を検知した後の段階において、先に検知した泡等について排出管路を開いて排出を行っている間は供給管路を開かないことで、泡等を誤って注出口から注出することを防止できる。さらに、液体供給中に泡等を検知した場合には、供給管路を閉鎖して泡等の流入を阻止する。なお、泡等を検知した場合であっても、貯蔵容器中の液体の欠乏ではなく、一時的な泡の発生による場合もある。このような場合には、排出管路を開放して泡等を排出し、その後に排出管路を閉鎖すると共に供給管路を再度開放することも可能である。このように、検知手段による正確な検知情報に基づいて制御手段による供給管路及び排出管路開閉手段の精緻な調整によって、泡等が流入せず、かつ、液体の無駄な排出を伴わない液体供給を行うことが可能である。また、貯蔵容器の交換後に交換したことの情報を制御手段に報知した場合には、貯蔵容器と供給管の接続により供給管路に流入した泡等が閉鎖された両開閉手段によって閉じ込められて、泡がスムーズに排出できないことやガス圧が高まる等の不具合が生じる場合がある。接続開始段階の情報により排出管路を開放することにより、円滑な泡等の排出を行うことが可能となる。
【0022】
供給管路開閉手段を複数配設し同タイミングで開閉する場合において、管路を開放した場合はビール樽から供給されるビール等と複数の供給管路開閉手段間に留まるビール等が一体的に注出口に向かうこととなり、閉鎖した場合は、複数の供給管路開閉手段間にあるビール等はその間に留まり注出口より注出することはない。このため、注出口のコックをそのままにしていても、ビールが流出して外部からの空気流入することを防止できる。特に一方の供給管路開閉手段を注出口直近に配設すれば、その給管路開閉手段は実質的に、制御部により管路開閉手段と同タイミングで自動的に開閉されるコックと同じ役割を有する。人間は常時監視負担を負うことがない。また、同じ制御部で同様に制御すれば済むので、別系統のコック開閉手段を設ける場合と異なり簡便かつ安価な構造による効率的な制御を行うことができる。なお、複数配設した供給管路開閉手段の開閉タイミングは同タイミングに限定されるわけではなく、若干の時間差があっても支障ない。
【0023】
検知手段をさらに排出管路に配設することにより、より確実な検知に基づく制御を行うことが可能となる。例えば、ビール樽交換後に泡等を排出する場合において、排出管路に配設された検知手段により、泡等が完全に排出されかつ泡に続くビール等が検知された段階で供給管路開閉手段を開放するようにする。これにより、泡の供給管路への誤混入を正確に防止することができる。ビール樽近傍の検知手段で検出した泡等は、泡等流体の流速の変化、泡の広がり・形状変化等が起こり得るので、泡等がいつ排出管路より排出され終わるかを正確に予測することは困難な場合がある。検知手段を排出管路に配設することにより確実に泡等を排除することができ、ビールを無駄に排出することもない。
【0024】
排出管路の位置を供給管路の上部に位置づけることにより泡やガス等排出すべきものをより確実容易に排出管路に誘導できる。
【0025】
ガス管路開閉手段を配設することにより、炭酸ガス等の無駄な放出を防止すると共にビール樽のビールに対する適切なガス圧の調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る流体分配及び液体注出システムに係る全体構成の斜面図である
図2】供給管路開閉手段が1の場合のディスペンサ内部等の概念図である
図3】供給管路開閉手段が2の場合のディスペンサ内部等の別の概念図である
図4】流路開閉手段の概念図である
図5】液体検知センサの概念図である
図6】液体検知センサによる投光された赤外光と管路内部状態との相関関係概念図である
図7】制御手段におけるハードウェア構成を示す図である
図8】供給管路開閉手段が1の場合の制御手段41が実行する弁開閉処理に関するフローチャートである
図9】供給管路開閉手段が2の場合の制御手段41が実行する弁開閉処理に関するフローチャートである
図10】排出管の分岐点直近部分を前記供給管の分岐点直近部分の上方に配置した場合のディスペンサ内部等の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例1】
【0028】
1.全体構成
本発明に係る流体分配及び液体注出システムの一実施形態である流体分配及びビール注出システム(「ビール注出システム」という。)の構成について図1を用いて説明する。図1に係るビール注出システムは、ディスペンサ11、注出口12、ビール貯蔵樽21、炭酸ガスボンベ22、ビール貯蔵樽接続管27、炭酸ガス供給管29を有している。ビール貯蔵樽接続管27は後述する供給管23の一部であるが、ディスペンサ外にあってビール貯蔵樽と接続されている。なお、本発明はビール以外の液体にも適用可能である。
【0029】
ビール貯蔵樽21はビールを貯蔵し、保存しており、ビール貯蔵樽接続管27を介してディスペンサ11と接続している。ディスペンサ11は、ビール貯蔵樽21が貯蔵するビールを、泡等を除去した後に注出口12から外部に配置されるビアジョッキ等に供給する。
また、ビール貯蔵樽21は、炭酸ガスボンベ22と炭酸ガス供給管29を介して接続している。ビール貯蔵樽21に貯蔵されているビールは、炭酸ガスボンベ22からの圧力によってディスペンサ11に供給される。炭酸ガスボンベ22は、ボンベ22a、圧力調整弁22b、及びハンドル22cを有している。ボンベ22a内に高圧縮され蓄積されている炭酸ガスは、ハンドル22cを操作することによって、炭酸ガス供給管29に供給される。ボンベ22aから炭酸ガス供給管29に供給される炭酸ガスは、ディスペンサ11から適切にビールが供給できるように、圧力調整弁22bによって適切な圧力に調整される。
【0030】
ディスペンサ11の内部構造について、図2に示す模式図に基づいて説明する。図2は、ディスペンサ11、ビール貯蔵樽21、注出口12を有しており、ビール貯蔵樽はビール貯蔵樽接続管27を介してディスペンサ11内の供給管23と接続している。なお、炭酸ボンベ22は供給管29を介してビール貯蔵樽と接続しているが、記載を省略している。ディスペンサ11内部は、供給管23、排出管25、流体ストッパ装置31、排出管開閉弁33、流体検知センサ35、ジョイント37、制御部41を有する。供給管23は、途中でループ状に湾曲したループ部を有している。流体ストッパ装置31はかかるループ部を含む供給管路開閉装置である(後述)。流体ストッパ装置31によって、供給管23を介して注出口からジョッキ等にビールを供給することができる供給可能状態と、供給管23を介してビールを供給することができない供給不可能状態とを切り換える。排出管25は、ジョイント37を介して供給管23と分岐する。排出管は開閉弁33を有している。


【0031】
ビール貯蔵樽21はディスペンサの下に配置され、流体検知センサ35(後述)は、ビール貯蔵樽21の直近上部に配置されている。このように流体検知センサ35がビール貯蔵樽21からごく近い位置に供給されることによって、発生する泡等ビールの状態をいち早く検知することができる。
【0032】
流体ストッパ装置31、排出弁33及び流体検知センサ35は、制御コンピュータ41(後述)と接続されている。制御コンピュータ41は、流体検知センサ35の値を用いて、流体ストッパ装置31の動作等を制御する。
【0033】
2.流体ストッパ装置
流体ストッパ装置31、31−1、31−2の構造の概要について図4を用いて説明する。なお、以下においては、流体ストッパ装置31について説明し、他の流体ストッパ装置については、流体ストッパ装置31と同様であるため、詳細な記載を省略する。
【0034】
図4では、流体ストッパ装置31のユニットケースV9の上蓋を取り外した状態を示している。流体ストッパ装置31が動作していない状態を図4Aに示し、動作している状態を図4Bに示す。図4Aに示すように、流体ストッパ装置31は、ユニットケースV9−1内に、チューブ支持部V5−1、可動部V4−1、電動モータV6−1、継ぎ手V20−1、接合部V21−1、及び可動ステージV22−1を有している。
【0035】
可動部V4−1は、供給管23のループ部V3−1の外形を圧接する。チューブ支持部V5−1は、可動部V4−1と対向する位置において供給管を支持し、可動部V4−1の動きに合わせて、ループ状の外形を維持したままループ部V3−1が移動してしまうことを防止する。電動モータV6−1は、可動部V4−1を駆動する。継ぎ手V20−1は、電動モータV6−1と可動ステージV22−1を接続する。接合部V21−1は、継ぎ手V20−1と可動ステージV22−1とを接合する。電動モータV6−1の動作は、制御コンピュータ41によって制御される。
【0036】
図4Bに示すように、電動モータV6−1は、制御コンピュータ41からの指示に従い、継ぎ手V20−1を矢印a3方向へ動作させる。これにより、接合部V21−1を介して可動ステージV22−1も矢印a3方向、つまりチューブ支持部V5−1側に向かって動作する。その結果、可動部V4−1がチューブ支持部V5−1側に近づき、供給管23のループ部V3−1を圧接する。これにより、供給管23を屈曲させた屈曲部V2−1を生じさせる。
【0037】
このように、流体ストーパー装置31は、可動部V4−1が供給管23のループ部V3−1を矢印a3方向へ押し付けることにより、供給管23に屈曲部V2−1を生じさせ、その結果、供給管23内をビールが流れることを遮断する。また、流体ストッパ装置31は、可動部V4−1を矢印a5方向へ引き戻すことにより、屈曲部V2−1を解消し、供給管23に元のループ部V3−1を形成して、再び供給管23内をビールが流れるようにする。なお、流体ストッパ装置31、31−1、31−2は、特開2008−256096の技術を用いたものである。
【0038】
流体ストッパ装置31を用いることによって、ビールに直接的に接触する構成要素を有する電磁弁等の従来の弁を、供給管23の途中に配置する必要がなくなる。したがって、スポンジ等の洗浄部材が弁に引っかかることがないので、供給管23の内壁を洗浄部材を用いて洗浄することができるようになる。これにより、ビール等の飲料物を提供するにあたり衛生管理を容易に行うことができるようになる。
【0039】
また、流体ストッパ装置31は、直接的にビールに接触する構成要素を有していない。よって、構成要素にビール等の成分が付着することによる動作の不具合が生ずるということがない。つまり、従来の弁のような分解洗浄等のように構成要素の定期的な洗浄作業を行う必要がなくなる。さらに、構成要素の動作にともなう摩擦や破損等による異物の混入を避けることができる。したがって、ビール等の飲料物を提供するにあたり衛生管理を容易に行うことができるようになる。また、構成要素にビール等の成分が付着することがないので、そのことによる雑菌等の繁殖は生じない。このため、ストッパ装置31を用いることによって、ビール供給システムの衛生状態を容易に良好に保つことができる。要するに、ビール供給システムの衛生管理及び動作保証を容易に行うことができる。なお、流体ストッパ装置31−1、31−2についても、同様である。
【0040】
3.ビール検知センサ
ビール検知センサ35、35−1、35−2の概要について図5図6を用いて説明する。以下においては、ビール検知センサ35について説明し、他のビール検知センサについての説明は省略する。
【0041】
ビール検知センサ35の斜視図を図5に示す。図5Aは、筐体D9が閉じられて供給管23に装着された状態を示し、図5Bは、筐体D9が開かれた状態を示す。図5Aに示すように、筐体D9の外面には表示部D10とスイッチD11が組み込まれている。図5Bに示すように、筐体D9の内部には、投光素子D3と受光素子D4が組み込まれている。投光素子D3及び受光素子D4は、筐体D9が閉じられたときに、供給管23を挟んで対向するように配置されている。投光素子D3は赤外光を照射し、受光素子D4は赤外光を受光する。
【0042】
投光素子D3が照射する赤外光と供給管23の内部の状態との相関関係を図6を用いて説明する。図6A供給管23の内部空間ISが空気等の気体の状態(状態イ)を示し、図6B供給管23の内部空間ISが水等の液体の状態(状態ロ)を示す。図6A、Bに示すように、状態イの場合、状態ロの場合と比べて、投光素子D3から照射された赤外光は拡散する。よって、状態イにおいて受光素子D4が受光する赤外光の受光量は、状態ロにおいて受光素子D4が受光する赤外光の受光量に比べて、相対的に小さくなる。これは、気体と液体との屈折率の差によるものである。
【0043】
また、供給管23の内部を通過するビール等の液体内に気泡が発生している状態では、供給管23の内部が液体の状態と気体の状態とが混合し、かつ、激しく入れ替わる。そのため、受光素子D4で受光する受光量が激しく変化する。この受光量の変化を分析することにより、気泡の発生状態をより確実に把握することが可能になる。
【0044】
このような受光素子D4における受光量の変化は、制御コンピュータ41において受光素子D4の受光信号を取得し、データ処理によって判断する。
なお、ビール検知センサ35、35−1、35−2は、特開2008−180643の技術を用いたものである。
【0045】
4.制御コンピュータ41
4.1.ハードウェア構成
制御コンピュータ41のハードウェア構成を図7に示す。制御コンピュータ41は、CPU411、メモリ412、及び通信回路418を有している。
【0046】
CPU411は、メモリ412に記録されているビール供給プログラムに基づいた処理を行う。メモリ412は、CPU411に対して作業領域を提供する。また、メモリ412は、ビール供給プログラム、その他のデータを記録保持する。
【0047】
通信回路418は、ネットワークに接続する通信回路を有しており、流体ストッパ装置31、31−1、31−2、排出管開閉弁33及び流体検知センサ35、35−1、35−2と接続され、所定のデータの送受信を行う。
【0048】
4.3.制御コンピュータ41の動作
制御コンピュータ41は、流体検知センサ35から得られるデータに基づき判断するビール供給システムにおけるビールの供給状態に従って、流体ストッパ装置31の動作及び排出管開閉弁33を制御することによって、注出口から泡等のないビールを供給することを可能とする。
【0049】
前述の制御コンピュータ41の動作を実現する、制御コンピュータ41のCPU411の動作を図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0050】
CPU411は、ビール検知センサ35から赤外線の受光量を示す受光データを取得する(S101)。CPU411は、取得した受光データに基づき、ビール検知センサが設けられている供給管23の内部状態を判断する(S103)。
【0051】
CPU411は、流体検知センサ35からの受光データに基づき、ビール貯蔵樽21から泡が出だしたと判断すると、ビール貯蔵樽21からのビールの供給が終了すると判断し、流体ストッパ装置31を動作させ、供給不可状態とする(S105)。
【0052】
ここで、ビール供給システム1のユーザは、ビール貯蔵樽接続管27に接続されているビール貯蔵樽21を取り外し、新しく用意したビール貯蔵樽21−1とビール貯蔵樽接続管27とを接続し、ビール貯蔵樽21の交換を完了する(S107)。ユーザは、ビール貯蔵樽21の交換が完了すると、ビール貯蔵樽交換ボタンを操作する。
【0053】
CPU411は、ビール貯蔵樽交換ボタンからの交換完了情報を取得すると(S107)、排出管開閉弁33を動作させ、排出可能状態とする。(S109)これにより、ビール貯蔵樽21から発生した供給終了時の泡とビール貯蔵樽交換後の初期段階においてビール貯蔵樽21−1から供給される泡を併せて排出管25から排出することが可能となる。CPU411は、流体検知センサ35からの受光データに基づき、当該流体検知センサ35が配置されている位置において、泡でなくビールが流れていると判断すると、流体ストッパ装置31を開動作、排出管開閉弁33を閉動作させ、ビールを供給管に供給可能状態とする(S113)。これにより、ビールは注出管からジョッキ等に供給される。
【実施例2】
【0054】
1.全体構成
次に、別のビール注出システムについて図2図9に基づいて説明する。実施例1と同様の態様については説明を省略する。図2では、流体ストッパ装置が排出管との分岐点直近(31−1)及び注出口12直近(31−2)に計2基配設されている。また、流体検知センサも、ビール貯蔵樽21の直近上部(35−1)と排出管の分岐点近傍(35−2)に計2基配設されている。
【0055】
2.制御コンピュータ41の動作
制御コンピュータ41は、流体検知センサ35−1、35−2から得られるデータに基づき判断するビール供給システムにおけるビールの供給状態に従って、流体ストッパ装置31−1、31−2の動作及び排出管開閉弁33を制御することによって、注出口から泡等のないビールを供給することを可能とする。
【0056】
前述の制御コンピュータ41の動作を実現する、制御コンピュータ41のCPU411の動作を図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0057】
CPU411は、ビール検知センサ35−1から赤外線の受光量を示す受光データを取得し(S201)。取得した受光データに基づき、流体検知センサが設けられている供給管23の内部状態を判断する(S203)。
【0058】
CPU411は、流体検知センサ35からの受光データに基づき、ビール貯蔵樽21から泡が出だしたと判断すると、ビール貯蔵樽21からのビールの供給が終了すると判断し、流体ストッパ装置31−1及び31−2の双方を動作させ、閉状態としてビール供給不可状態とする(S205)。制御コンピュータの動作により供給管内のビールの供給がなされない状態となっても、注出口のコックは開いたままとなっているので供給管内のビールは注出口から一定量漏出し空気が供給管内に侵入するおそれがあるが、本実施例の態様では、注出口直近の流体ストッパが他方の流体ストッパに連動して閉状態となっているので、両ストッパ間のビールが漏出するおそれはない。つまり、注出口直近の流体ストッパが閉状態となることにより、注出口のコックが閉じられたのと同様の効果をもたらすこととなる。
【0059】
ビール貯蔵樽21の交換の完了(S207)後、CPU411は、ビール貯蔵樽交換ボタンからの交換完了情報を取得すると(S207)、排出管開閉弁33を動作させることにより(S209)、供給終了時の泡とビール貯蔵樽交換後の初期段階においてビール貯蔵樽21から供給される泡を併せて排出管25から排出することが可能となる。CPU411は、流体検知センサ35−1及び35−2からの受光データに基づき、泡でなくビールが貯蔵樽から流れ出し、かつ当該ビールが排出管に到達して泡が完全に排出できていると判断(S211)すると、流体ストッパ装置33−1及び33−2を開動作、排出管開閉弁を閉動作させ、ビールを供給管に供給可能状態とする(S213)。排出管に配設された流体ストッパ33−2の情報も加えて総合的に流体の状態を判断することにより正確な判断を行うことができる。
【0060】
また、ビール貯蔵樽21を新しいものと交換し、ビール貯蔵樽接続管27と接続する際の接続操作に、ビール貯蔵樽21に接続するディスペンサヘッドのレバーを押し下げ操作に合わせて、接続開始情報を送信するようにしてもよい。レバーを押し下げるとビール貯蔵樽接続管27とビール貯蔵樽21とが完全に接続され、ビール貯蔵樽21から初期段階の泡が流れ始める。一方、レバーを押し下げ始めた段階では、ビール貯蔵樽接続管27とビール貯蔵樽21とは完全には接続されておらず、泡も流れでない。従って、この段階で接続開始情報を送信し、排出管開閉弁33を動作させることによって、ビール貯蔵樽21との完全な接続と同時に流れ出す泡を確実に排出管25へ導き、排出することが可能となる。
【0061】
図10に示すように、排出管の分岐点側口を供給管23の上部に位置させることにより、流体中の泡を排出管に誘導し易くすることも可能である。流体中の排出すべき泡や気体はビール等の注出すべき液体よりも比重が軽いため、図10に示す構成により泡や気体の排出が確実に行われる。
【0062】
流体検知センサを1か所に複数基配設することも可能である。投光素子の光の屈折率を検知し、液体の種類等流体の状況をより正確に判断することができる。さらに、炭酸ガスボンベ供給管29に制御コンピュータにより制御される調節弁を設け、ビール貯蔵樽交換時にガス圧を低下させて炭酸ガスを効率的に使用したり、貯蔵樽内のビールの温度に対応した適切なガス圧に調整したりすることが可能となる。また、CPU411によって、圧力調整弁22bの動作制御を行うようにしてもよい。例えば、ジョイント37に温度センサを設け、温度センサの値によって、ボンベ22aから供給する炭酸の圧力を調整するようにする。これにより、季節や空調による温度変化に対応した圧力供給が可能になる。よって、ディスペンサ11から適切な圧力でビールを供給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、ビールや発泡性飲料を主体とした液体について、泡等の排出すべき部分を排出しつつ注出口から良質の飲料等を無駄なく注出することができる方法及び装置を提供するものであり、産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0064】
11 ビールディスペンサ
12 注出口
21 ビール樽
22 炭酸ガスボンベ
23 供給管
25 排出管
27 ビール貯蔵樽接続管
29 炭酸ガス供給管
31 流体ストッパ装置
33 排出管開閉弁
35 流体検知センサ
37 ジョイント
41 制御コンピュータ
図5
図6
図1
図2
図3
図4
図7
図8
図9
図10