【実施例】
【0075】
以下に本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明し、好適な各実施例のデータ及び各実施例と各比較例の対照により、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を実証する。なお、実施例、比較例で用いた配位子構造を表1に示した。
【0076】
【表1】
【0077】
また、実施例では、以下の略号を使用した。
Pd(dba)2:ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム
Ni(cod)2:ビス(シクロオクタジエン)ニッケル
MA:メチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
tBA:ターシャリーブチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
AA:アクリリックアシッド
VA:ビニルアセテート
LUA:ラウリルアクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
EUA:エチルウンデシレネート
NBMOH:(5−ノルボルネン)−2−メタノール
NBYA:(5−ノルボルネン)−2−イル アセテート
ATMS:アリルトリエトキシシラン
BTOH:(3−ブテン)−1−オール
TPB:トリフェニルボラン
clay:硫酸/硫酸リチウム処理モンモリロナイト
【0078】
1.評価方法
(1)分子量及び分子量分布(Mw,Mn,Q値)
(測定条件)使用機種:ウォーターズ社製150C 検出器:FOXBORO社
製MIRAN1A・IR検出器(測定波長:3.42μm) 測定温度:140℃ 溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB) カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本) 流速:1.0mL/分 注入量:0.2mL
(試料の調製)試料はODCB(0.5mg/mLのBHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)を含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させた。
(分子量の算出)標準ポリスチレン法により行い、保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行った。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の、(F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000)の銘柄である。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成した。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いた。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×M
αは以下の数値を用いた。
PS:K=1.38×10
−4、α=0.7
PE:K=3.92×10
−4、α=0.733
PP:K=1.03×10
−4、α=0.78
【0079】
(2)融点(Tm)
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200示差走査熱量測定装置を使用して、シート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、室温から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で20℃まで降温して結晶化させた後に、10℃/分で200℃まで昇温することにより融解曲線を得た。
融解曲線を得るために行った最後の昇温段階における主吸熱ピークのピークトップ温度を融点Tmとし、該ピークのピーク面積をΔHmとした。
【0080】
(3)コモノマー(α−オレフィン及び極性基含有ビニルモノマー)含量
以下の二つの方法で測定を実施した。
a)
13C−NMRによるα−オレフィン及び極性基含有ビニルモノマー含有量測定
(試料調製)
厚さ100μm程度のフィルム状に成形した試料約250mgを外径10mmの試料管に量り取り、オルト−ジクロロベンゼン1.84mlと重水素化ブロモベンゼン0.46MLを添加した。試料管上部を窒素置換した後、試料管の蓋をし130℃の高温槽で試料が均一になるまで加熱・溶解した。
(
13C−NMR測定)
クライオプローブを装備したブルカー・バイオスピン社製(AVANCEIII・400)NMR測定装置を用いてゲート付きプロトンデカップリングによるNOE無しの条件で測定を行った。なお、励起パルスのフリップ角は90°とし、パルス間隔16.33秒、測定温度120℃、積算回数500回以上、スペクトル観測幅は24,038.5Hzとした。13C−NMRスペクトルの帰属は種々の文献を参考に行った。
【0081】
(α−オレフィン含有量及び極性基含有ビニルモノマー量の決定)
得られた
13C−NMRスペクトルからエチレン単位のモル数に比例する量TE、α−オレフィン単位のモル数に比例する量Tα-O 、極性基含有ビニルモノマー単位のモル数TFを求め、Tα-O/(TE+Tα-O+TF)×100より、α−オレフィン含有量(単位:モル%)を、TF/(TE+Tα-O+TF)×100より極性基含有ビニルモノマー含有量(単位:モル%)を求めた。
α−オレフィンがプロピレン及び1−ヘキセンの場合、極性基含有ビニルモノマー単位がアクリル酸メチル及びアクリル酸エチルの場合、Tα-O及びTFは以下のようにして求めた。
【0082】
(α−オレフィンがプロピレンの場合)
α−オレフィンがプロピレンの場合にはプロピレンが共重合して鎖中に挿入することにより生じる核磁気共鳴ピークのうち、37.6 ppm付近のαメチレン炭素に由来するピークの積分強度の1/2と33.2 ppm付近のメチン炭素由来のピークの積分強度との平均値をプロピレン単位のモル数に比例する量Tα-Oとして求めた。Tα-O = (I37.6/2 + I33.2)/2。ここで、例えばI37.6は37.6ppm付近に生じるαメチレン炭素に由来するピークの積分強度である。
【0083】
(α−オレフィンが1−ヘキセンの場合)
プロピレンの場合同様、1−ヘキセンにより生じる特性ピークを用いて、以下の式を用いてヘキセン単位のモル数に比例する量Tα-Oを求めた。Tα-O = (I27.3/2 + I34.2 + I34.6/2 ) / 3。ここで、I27.3は1−ヘキセンの共重合により27.3ppm付近に生じるβメチレンの共鳴によるピークの積分強度、I34.2は1−ヘキセンの共重合により生じるブチル分岐の分岐末端から数えて4番目の炭素による共鳴ピークの積分強度、I34.6はαメチレンの共鳴によるピークの積分強度である。
【0084】
(極性基含有ビニルモノマーがアクリル酸メチルの場合)
アクリル酸メチルが共重合したことにより生じる核磁気共鳴信号のうち、27.8 ppm 付近のβメチレン炭素積分強度の半分、32.8 ppm付近のαメチレン炭素の積分強度の半分、及び46.0 ppm付近のメチン炭素積分強度の平均値をとってアクリル酸メチル単位のモル数に比例する量(TF)とした。TF = (I27.8/2+I32.8/2+I46.0)/3。
【0085】
(極性基含有ビニルモノマーがアクリル酸エチルの場合)
アクリル酸メチルの場合と同様、アクリル酸エチルが共重合したことにより生じる核磁気共鳴信号のうち、27.8 ppm 付近のβメチレン炭素積分強度の半分、32.8 ppm付近のαメチレン炭素の積分強度の半分、及び46.0 ppm付近のメチン炭素積分強度の平均値をとってアクリル酸エチル単位のモル数に比例する量(TF)とした。TF = (I27.8/2+I32.8/2+I46.0)/3。
なお、エチレン単位のモル数に比例する量TEは、30 ppm付近のγメチレンを含む主ピークの積分強度に上記各コモノマーにより生じる全てのαメチレン炭素ピークの積分強度の半分と全てのβメチレン炭素ピークの積分強度を加え合わせたものを1/2倍した値により求めた。TE = (I30+Iα/2+Iβ)/2。ここでI30は30ppm付近のγメチレンを含む主ピークの積分強度、Iαはコモノマーがプロピレンとアクリル酸メチルの場合にはI37.6+I32.8とし、1−ヘキセンとアクリル酸エチルの場合にはI34.6+I32.8とした。
【0086】
(共重合したα−オレフィン及び極性基含有ビニルモノマーに由来して生じる分岐構造以外の分岐量の総和)
Macromolecules 32(5) 1620 (1999)を参考に13C-NMRスペクトル解析を行い、共重合したα-オレフィン及び極性基含有ビニルモノマーに由来して生じる分岐構造以外の分岐構造の特定を行うとともに、公知の方法により1,000炭素当たりのそれらの分岐の量とその総和を求めた。
【0087】
b)IRによる極性基含有ビニルモノマー含有量測定
分析用サンプルは約0.5mmのプレス板を作製し、島津製作所FTIR−8300型を用いて、赤外吸収スペクトルを得た。コモノマー含量は、3450cm
−1付近のカルボニル基の倍音吸収と、4250cm
−1付近のオレフィン吸収の赤外吸収強度比をもとに算出した。なお、算出に当たっては、上記
13C−NMR測定により作成した検量線を使用した。
【0088】
本発明においては、上記2種類の方法を採用している。IRによる分析法は簡便な手法であるが、相対的に分析精度は、
13C−NMRによるものと比べ低い。本発明の実施例において、両方の分析値がある場合には、
13C−NMRによる分析値を採用している。
【0089】
2.配位子合成
下記合成例で得られた配位子を用いた。なお、以下の合成例で特に断りのない限り、操作は精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は脱水・脱酸素したものを用いた。
【0090】
(合成例1)配位子(I)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(400mg,2.5mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,2mL,5mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−70℃まで冷却し、三塩化リン(340mg,2.5mmol)を加え、室温まで温度を上昇させながら2時間撹拌した(反応液A)。
1−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン(1g,5mmol)のジエチルエーテル(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,2mL,5mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら3時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Aに室温で滴下し、一晩撹拌した。反応後、水(20mL)を加え、エーテル抽出し(20mL×2)、1N塩酸(20mL×2)で洗浄した後、溶媒を留去した。メタノール(5mL)で洗浄し、白色の目的物を100mg得た。
1H NMR (CDCl3, ppm/d): 8.35 (ddd, J = 0.8, 4.8, 7.6 Hz, 1 H), 7.74 (tt, J = 1.4,7.6 Hz, 1 H), 7.65 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 7.53 (t, J = 6.4 Hz, 2 H), 7.42 (ddt, J = 1.2, 2.8, 7.6 Hz, 1 H), 7.26 (ddt, J = 0.8, 4.8, 8.0 Hz, 2 H), 7.05 (dd, J = 0.8, 7.6 Hz, 1 H), 6.98 (dd, J = 0.8, 5.2 Hz, 2 H), 3.00 (m, 2 H), 1.15 (d, J = 6.8 Hz, 6 H), 1.09 (d, J = 6.0 Hz, 6 H). 31P NMR (CDCl3, ppm/d): 9.5.
【0091】
(合成例2)配位子(II)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(400mg,2.5mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,1.9mL,4.8mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(0.2mL,2.4mmol)を加え、2時間撹拌した(反応液B)。
1−ブロモ−2−(1´−メチル−2´−メトキシ)エチルベンゼン(1g,4.8mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,1.9mL,4.8mmol)を0℃で滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Bに0℃で滴下し、室温で3時間撹拌した。溶媒を留去した後、水(100mL)を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。塩化メチレン抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。酢酸エチル/ジエチルエーテル(1/10)混合溶媒より再結晶化し、白色の目的物を得た。
1H NMR (CDCl3, ppm/d): 8.30 (br, 1 H), 7.60 (br, 3 H), 7.50 (br, 2 H), 7.40 (br, 1 H), 7.27 (br, 2 H), 7.04 (br, 3 H), 3.0 (br, 12 H), 1.1 (br, 6 H).31P NMR (CDCl3, ppm/d): -8.5.
【0092】
(合成例3)配位子(III)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(3.4g,21.8mmol)のテトラヒドロフラン(200mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,17.4mL,43.6mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(1.9mL,21.8mmol)を加え、2時間撹拌した(反応液C)。
1−ブロモ−2−イソプロピル−4−メトキシベンゼン(10g,43.6mmol)のテトラヒドロフラン(200mL)溶液に、tブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M,54.5mL,87.2mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、1時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Cに−78℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。溶媒を留去した後、水(200mL)を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。塩化メチレン抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。メタノールで再結晶化することより、白色の目的物を0.3g得た。
1H NMR (CDCl3, ppm/d): 8.34 (dd, J = 5.2, 7.6 Hz, 1 H), 7.71 (t, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.40 (m, 1 H), 7.1-7.0 (m, 3 H), 6.91 (dd, J = 8.8, 14.4 Hz, 2 H), 6.75 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 3.80 (s, 6 H), 2.97 (m, 2 H), 1.15 (d, J = 6.8 Hz, 6 H), 1.08 (br, 6 H). 31P NMR (CDCl3, ppm/d): -10.7.
【0093】
(合成例4)配位子(IV)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(2g,12.6mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,10mL,25.3mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(1.0mL,12.6mmol)を加え、2時間撹拌した(反応液D)。
1−ブロモ−2−シクロヘキシルベンゼン(6g,25.3mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に、tブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M,31.6mL,50.6mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、1時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Dに−78℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。LC−MS純度50%・水(200mL)を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。塩化メチレン抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=50/1)により精製し、白色の目的物を1.0g得た。
1H NMR (CDCl3, ppm/d): 7.86 (m, 1 H), 7.30 (dt, J = 1.2, 7.6 Hz, 1 H), 7.24-7.15 (m, 5 H), 6.96 (m, 2 H), 6.83 (m, 1 H), 6.57 (m, 2 H), 3.21 (br, 2 H), 1.55 (br, 8 H), 1.31 (br, 4 H), 1.14 (br, 8 H). 31P NMR (CDCl3, ppm/d): -28.7.
【0094】
(合成例5)配位子(V)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(0.9g,5.8mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,4.6mL,11.5mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(0.5mL,5.8mmol)を加え、0℃で2時間撹拌した(反応液E)。
1−ブロモ−2−ハイドロフリルベンゼン(2.6g,11.5mmol)のテトラハイドロフラン(50mL)溶液に、t−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.5M,15.4mL,23mmol)を0℃で滴下し、1時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Eに−50℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。溶媒を留去した後、水(100mL)を加え、MTBEにて洗浄した後(100mL×3)、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。塩化メチレン抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。メタノールで洗浄し、白色の目的物を1.0g得た。
1H NMR (DMSO, ppm/d): 7.88 (m, 3 H), 7.42 (m, 2 H), 7.37-7.29 (m, 3 H), 7.22 (t, J = 7.4 Hz, 1 H), 7.11 (t, J = 7.4 Hz, 2 H), 6.72 (m, 1 H), 6.63 (m, 2 H), 5.27 (br, 2 H), 3.94 (m, 2 H), 3.67 (m, 2 H), 2.0-1.1 (br, 8 H). 31P NMR (CDCl3, ppm/d): -30.4.
【0095】
(合成例6)配位子(VI)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(2.3g,14.5mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,11.6mL,29mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(1.26mL,14.5mmol)を加え、2時間撹拌した(反応液F)。
1−ブロモ−2−t−ブチルベンゼン(6.2g,29mmol)のジエチルエーテル(100mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M,11.6mL,29mmol)を0℃で滴下し、1時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Fに−78℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。溶媒を留去した後、水(100mL)を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。塩化メチレン抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。メタノールより再結晶化し、白色の目的物を3.5g得た。
1H NMR (CDCl3, ppm/d): 8.33 (dd, J = 5.2, 7.6 Hz, 1 H), 7.7 (m, 3 H), 7.62 (t, J= 7.6 Hz, 1 H), 7.55 (t, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.38 (m, 1 H), 7.25 (t, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.2-7.1 (m, 3 H), 6.90 (dd, J = 8.0, 14.0 Hz, 1 H), 1.37
(s, 9 H), 1.34 (s, 9 H). 31P NMR (CDCl3, ppm/d): 4.5.
【0096】
(合成例7)配位子(VII)の合成
1−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン(2.34g,11.8mmol)のジエチルエーテル(10mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,4.7mL,11.8mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら2時間撹拌した。反応液を、三塩化リン(0.81g,5.88mmol)のテトラヒドロフラン溶液に−78℃で滴下し、そのままの温度で2時間撹拌した(反応液G)。
1−ブロモ−2−スルホン酸イソプロピルエステル−4−メトキシベンゼン(1.5g,4.7mmol)のテトラヒドロフラン(12mL)溶液に、t−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M,5.9mL,9.4mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、4時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Gに−78℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。水(20mL)を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<2)。塩化メチレン抽出し(50mL×3)、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した(収量1.2g)。この生成物をメタノール(8mL)に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液(1M,4mL,4mmol)とテトラヒドロフラン(8mL)を加え、50℃で4時間撹拌した。2規定の塩酸(20mL)を加えた後、塩化メチレン抽出し(50mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。少量のジエチルエーテルにて洗浄することにより、白色の目的物を得た(収量0.3g)。
1H NMR (CDCl3, ppm/d): 7.94 (br, 1 H), 7.68 (m, 2 H), 7.59 (m, 2 H), 7.31 (m, 2 H), 7.04 (m, 2 H), 6.94 (d, J = 2.8 Hz, 2 H), 3.95 (s, 3 H), 3.06 (m, 2 H), 1.19 (m, 12 H). 31P NMR (CDCl3, ppm/d): -10.4.
【0097】
(合成例8)配位子(VIII)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(1g,6.3mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,5mL,12.6mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(0.54mL,6.3mmol)を加え、2時間撹拌した(反応液H)。
1−ブロモ−2−(1´−メチル−2´−フェノキシ)エチルベンゼン(3.8g,12.6mmol)のジエチルエーテル(20mL)溶液に、ノルマルリチウムヘキサン溶液(2.5M,5.0mL,12.6mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温で2時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Hに室温で滴下し、室温で一晩撹拌した。LC−MS純度22%・水を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。塩化メチレン抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=70/1)により精製し、白色の目的物を2.0g得た。
1H NMR (DMSO, ppm/d): 8.34 (t, J = 6.0 Hz, 1 H), 7.70 (t, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.40 (m, 1 H), 7.4-7.0 (m, 10 H), 6.9-6.5 (m, 9 H), 4.0 (m, 2 H), 3.7 (m, 4 H), 1.1 (m, 3 H), 0.8 (m, 3 H). 31P NMR (CDCl3, ppm/d): -29.9.
【0098】
(合成例9)配位子(IX)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(0.6g,3.8mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,3mL,7.6mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(0.33mL,3.8mmol)を加え、2時間撹拌した(反応液I)。
1−ブロモ−2−イソプロピル−3−ヘキシルベンゼン(2.2g,7.6mmol)のジエチルエーテル(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,3.0mL,7.6mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温で3時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Iに−78℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。LC−MS純度51%。水を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。塩化メチレン抽出し(50mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=70/1)により精製し、白色の目的物を0.8g得た。
1H NMR (CDCl3, ppm/d): 8.34 (d, J = 6.0 Hz, 1 H), 7.70 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.40 (m, 1 H), 7.29 (d, J = 4.4 Hz, 2 H), 7.04 (m, 3 H), 6.85 (dd, J = 7.6, 14.8 Hz, 2 H), 2.97 (m, 2 H), 2.60 (t, J = 7.6 Hz, 4 H), 1.54 (m, 4 H), 1.25 (s, 12 H), 1.2-1.0 (m, 12 H), 0.82 (br, 6 H). 31P NMR (CDCl3, ppm/d): -9.9.
【0099】
(合成例10)配位子(X)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(2g,12.6mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,10mL,25.3mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(1.0mL,12.6mmol)を加え、2時間撹拌した(反応液J1)。
マグネシウムをテトラヒドロフラン(20mL)に分散させ、1−ブロモ−2−メトキシベンゼン(2.3g,12.6mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液J1に−78℃で滴下し、1時間撹拌した(反応液J2)。
1−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン(2.5g,12.6mmol)のジエチルエーテル(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,5.0mL,12.6mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温で2時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液J2に−78℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。LC−MS純度60%・水(50mL)を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。塩化メチレン抽出し(100mL)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。メタノールで再結晶化することにより、白色の目的物を1.1g得た。
1H NMR (CDCl3, ppm/d): 8.34 (t, J = 6.0 Hz, 1 H), 7.7-7.6 (m, 3 H), 7.50 (t, J = 6.4 Hz, 1 H), 7.39 (m, 1 H), 7.23 (m, 1 H), 7.1-6.9 (m, 5 H), 3.75 (s, 3 H), 3.05 (m, 1 H), 1.15 (d, J = 6.8 Hz, 3 H), 1.04 (d, J = 6.4 Hz, 3 H). 31P NMR (CDCl3, ppm/d): -10.5.
【0100】
(合成例11)配位子(XI)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(3.0g,19mmol)のテトラヒドロフラン(40mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,15.2mL,38mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(1.7mL,19mmol)を加え、2時間撹拌した(反応液K1)。
1−ヨード−2,6−ジメトキシベンゼン(5.0g,19mmol)のテトラヒドロフラン(40mL)溶液に、イソプロピルマグネシウムクロライド(2.0M,9.5mL,19mmol)を−40℃でゆっくりと滴下し、室温で2時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液K1に−78℃で滴下し、室温で1時間撹拌した(反応液K2)。
1−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン(3.8g,19.0mmol)のジエチルエーテル(30mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,7.6mL,19.0mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温で2時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液K2に−78℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。LC−MS純度39%・水(60mL)を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<1)。塩化メチレン抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。メタノールで再結晶化することにより、白色の目的物を4.4g得た。
1H NMR (CDCl3, ppm/d): 9.67 (d, J = 290.2 Hz, 1 H), 8.34 (m, 1 H), 7.7-7.5 (m, 3 H), 7.50 (m, 1 H), 7.41 (m, 1 H), 7.33-7.26 (m, 3 H), 6.67 (dd, J = 5.2, 8.8 Hz, 2 H), 3.65 (s, 6 H), 2.97 (m, 1 H), 1.14 (d, J = 6.8 Hz, 3 H), 1.05 (d, J = 6.4 Hz, 3 H). 31P NMR (CDCl3, ppm/d): -19.1.
【0101】
(合成例12)錯体(XII)の合成
配位子(I)(0.62g,1.45mmol)の塩化メチレン(40mL)溶液に、炭酸ナトリウム(0.19g,1.75mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液を−20℃まで冷却し、Ni(PPh
3)
2(Ph)Cl錯体(1.0g,1.46mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルで抽出(10mL×3)した後、再結晶により、目的錯体を0.9g得た。
1H NMR (CDCl3, ppm/d): 8.45-7.07 (m, 32 H), 2.29 (m, 2 H), 1.24 (m, 12 H). 31P NMR (CDCl3, ppm/d): -9.5.
【0102】
(合成例13)配位子(XIII)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(5.2g,32.9mmol)のテトラヒドロフラン(60mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,25mL,62mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら20時間撹拌した。この反応液に、ビス(2−メトキシフェニル)メトキシホスフィン(9.1g,32.9mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液を滴下し、16時間撹拌した。塩化アンモニウム(3.4g,62mmol)を加えた後、溶媒を留去し、水(100mL)を加えた。MTBE(40mL×2)で洗浄した後、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。塩化メチレン抽出し(60mL×2)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、−35℃で再結晶化し、白色の目的物を3.7g得た。
1H NMR (C2D2Cl4, ppm/d): 6.7-8.2 (m, 12H), 3.79 (s, 6H). 31P NMR (C2D2Cl4, ppm/d): -9.8.
【0103】
(合成例14)配位子(XIV)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(0.74g,4.7mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,3.8mL,9.4mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら2時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(0.41mL,4.7mmol)を加え、室温で2時間撹拌した(反応液L)。
1−ブロモ−2−(2´,6´−ジメトキシフェニル)ベンゼン(2.8g,9.4mmol)のテトラヒドロフラン(25mL)溶液に、t−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.5M,12.5mL,18.8mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、30分間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Lに−50℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。溶媒を留去した後、水(200mL)を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。MTBE抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。THF(5mL)で洗浄し、白色の目的物を得た。0.5g。
1H NMR (CDCl3, ppm/d): 8.08 (m, 1 H), 7.61 (m, 3 H), 7.42-7.12 (m, 10 H), 6.68-6.22 (br, 4 H), 3.84-3.31 (br, 9 H), 2.96 (br, 3 H). 31P NMR (CDCl3, ppm/d): -2.4.
【0104】
3.化学処理モンモリロナイトの調製
(処理例1)硫酸/硫酸リチウム処理モンモリロナイトの調製
撹拌翼と還流装置を取り付けた500mLの丸形三口フラスコに、蒸留水170gを投入し、98%硫酸50gを滴下し、内部温度を90℃にした。そこへ、ベンクレイSL(水澤化学社製)を30g添加後撹拌した。その後90℃で3.5時間反応させた。このスラリーを150mLの蒸留水に注いで反応を停止しヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し75mLの蒸留水で洗浄した。得られたケーキを300mLの蒸留水に分散させ撹拌後濾過した。この操作を3回繰り返した。
回収したケーキを1Lビーカーにて硫酸亜鉛7水和物17gを純水135mLに溶解した水溶液に加えて室温で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し75mLの蒸留水で洗浄した。得られたケーキを300mLの蒸留水に分散させ撹拌後濾過した。この操作を3回繰りかえした。
回収したケーキを120℃で終夜乾燥した。その結果、22gの化学処理体を得た。この化学処理モンモリロナイトを容積200mLのフラスコに入れ、200℃で減圧乾燥させガスの発生が収まってから、更に2時間減圧乾燥した。乾燥後は、窒素雰囲気下で保存し、重合評価の用いる場合は、塩化メチレン又はトルエンでスラリー化(40mg−モンモリロナイト/ml−溶媒)して添加した。
【0105】
(処理例2)化学処理モンモリロナイトの有機アルミニウム処理
内容積200mLのフラスコに上記(処理例1)で得た乾燥した化学処理モンモリロナイト1gを秤量し、ヘプタン3.6mL、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液6.4mL(2.5mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、塩化メチレンまたはトルエンで残液率1/100まで洗浄し、最後に洗浄に用いたものと同一の溶媒を使用し、スラリー量を25mLにした。
【0106】
4.重合
4−1.(実施例1−1)
充分に窒素置換した30mLフラスコに、パラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子をそれぞれ100μmol秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。次に、内容積1Lの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(617mL)、メチルアクリレート(72mL,重合時の濃度が1mol/Lになるように調整)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。先に調製した触媒溶液を添加し、室温下、エチレン圧を3MPaとして重合を開始した。反応中は温度を80℃に保ち、エチレンの分圧が3MPaに保持されるように連続的にエチレンを供給した。
重合終了後、エチレンをパージし、オートクレーブを室温まで冷却し、得られたポリマーがトルエン不溶の固体である場合には、濾過によりポリマーと溶媒を分離した。濾過では分離が不充分な場合には、エタノール(1L)を用いてポリマーを再沈させ、沈殿したポリマーを濾過した。更に、得られた固形ポリマーをエタノール(1L)に分散させ、ここに1N−塩酸(20ml)を加えて60分撹拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノールで洗浄し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にポリマーを回収した。それぞれの重合結果を表2に示す。
【0107】
【表2】
【0108】
4−2.(実施例2−1)
充分に窒素置換した30mLフラスコに、ニッケル錯体(VII)を100μmol加え、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理して、触媒スラリーを調製した。次に、内容積1Lの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(617mL)、メチルアクリレート(72mL,重合時の濃度が1mol/Lになるように調整)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。先に調製した触媒溶液を添加し、室温下、エチレン圧を3MPaとして重合を開始した。反応中は温度を室温に保ち、エチレンの分圧が3MPaに保持されるように連続的にエチレンを供給した。15分後、エチレンをパージし、エバポレーターにて濃縮した。ここに1N−塩酸(20ml)を加えて60分撹拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノールで洗浄し、60℃で3時間減圧乾燥することで、生成物を回収した。0.3g、Mw:36,000、Mw/Mn:6.72、Tm:120.1℃。
【0109】
(比較例2−1)
充分に窒素置換した30mLフラスコに、(ビスシクロオクタジエン)ニッケルとリンスルホン酸配位子(VIII)を1,000μmol加え、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理して、触媒スラリーを調製した。次に、内容積1Lの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(708mL)、メチルアクリレート(1mol/L)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。触媒スラリーを添加し、室温下、エチレン圧を3MPaとして重合を開始した。反応中は温度を室温に保ち、エチレンの分圧が3MPaに保持されるように連続的にエチレンを供給した。15分後、エチレンをパージし、エバポレーターにて濃縮した。ここに1N−塩酸(20mL)を加えて60分撹拌したところ、ポリマーは得られなかった。
【0110】
4−3.(実施例3,4)
(ビスジベンジリデンアセトン)パラジウムとリンスルホン酸配位子のスラリーを別々に用意し、超音波振動器にて処理した後、混合して室温で15分間撹拌することで、0.0025〜0.002mol/Lの触媒スラリーを調製した。内容積10mLの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン、所定量のコモノマーを導入した。昇温後、エチレンで加圧して2MPaとした後、先に調製した触媒スラリーを所定量添加して、重合を開始した。尚、重合時の液総量は5mLになるように調製した。反応中は温度を一定に保ち、エチレンの分圧が2MPaに保持されるように連続的にエチレンを供給した。60分後に、未反応のエチレンをパージ後、オートクレーブを室温まで冷却し、得られたポリマーを濾過により回収し、40℃で6時間減圧乾燥した。詳細な重合条件と重合結果を表3,4に示す。
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
4−4.(実施例5,6,7)
内容積10mLの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン、所定量のコモノマーを導入した。昇温後、エチレンで加圧して2MPaとした。(ビスシクロオクタジエン)ニッケルとリンスルホン酸配位子のトルエン溶液を別々に用意し、(ビスシクロオクタジエン)ニッケル、リンスルホン酸配位子の順でそれぞれを所定量添加して、重合を開始した。また、アニリンなどの第3成分を使用する場合は、(ビスシクロオクタジエン)ニッケルの添加後、リンスルホン酸配位子を加える前に添加した。尚、重合時の液総量は5mLになるように調製した。反応中は温度を一定に保ち、エチレンの分圧が2MPaに保持されるように連続的にエチレンを供給した。60分後に、未反応のエチレンをパージ後、オートクレーブを室温まで冷却し、溶媒を留去した。少量のアセトンを用いて洗浄し、濾過によりポリマーを回収し、40℃で6時間減圧乾燥した。重合条件と重合結果を表5,6,7に示す。
【0114】
【表5】
【0115】
【表6】
【0116】
【表7】
【0117】
4−5.(実施例8,9)
(ビスジベンジリデンアセトン)パラジウムとリンスルホン酸配位子の塩化メチレン溶液又はスラリーを別々に用意し、室温で混合した後、超音波振動器で30分間撹拌することで、0.0025〜0.002mol/Lの触媒スラリーを調製した。その後、処理例1又は処理例2で得られた化学処理モンモリロナイトの塩化メチレンスラリー(40mg−clay/ml−トルエン)を所定量添加し、更に室温で30分間、スターラーで撹拌し担持触媒スラリーを得た。重合評価は、ここで得られた担持触媒スラリーは、そのまま重合評価に用いた場合と、塩化メチレンで残液率1/100まで洗浄した場合で実施した。
内容積10mLの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン、所定量のコモノマーを導入した。昇温後、エチレンで加圧して2MPaとした後、先に調製した担持触媒スラリーを所定量添加して、重合を開始した。尚、重合時の液総量は5mLになるように調製した。反応中は温度を80℃に保ち、エチレンの分圧が2MPaに保持されるように連続的にエチレンを供給した。60分後に、未反応のエチレンをパージ後、オートクレーブを室温まで冷却し、得られたポリマーを濾過により回収し、40℃で6時間減圧乾燥した。重合条件と重合結果を表8に示す。
【0118】
【表8】
【0119】
4-6.(実施例10,11,比較例11)
(ビスシクロオクタジエン)ニッケルとリンスルホン酸配位子のトルエン溶液またはスラリーを別々に用意した。超音波振動器を用いて室温で30分間撹拌することで、0.0025〜0.002mol/Lの触媒スラリーを調製した。その後、化学処理モンモリロナイトの処理例1又は処理例2で得られた化学処理粘土のトルエンスラリー(40mg−clay/ml−トルエン)を所定量添加し、更に室温で30分間、スターラーで撹拌し、担持触媒スラリーを得た。重合評価は、ここで得られた担持触媒スラリーは、そのまま重合評価に用いた場合と、トルエンで残液率1/100まで洗浄した場合で実施した。
内容積10mLの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン、所定量のコモノマーを導入した。昇温後、エチレンで加圧して2MPaとした後、先に調製した担持触媒スラリーを所定量添加して、重合を開始した。尚、重合時の液総量は5mLになるように調製した。反応中は温度を80℃に保ち、エチレンの分圧が2MPaに保持されるように連続的にエチレンを供給した。60分後に、未反応のエチレンをパージ後、オートクレーブを室温まで冷却し、得られたポリマーを濾過により回収し、40℃で6時間減圧乾燥した。重合条件と重合結果を表9に示す。
【0120】
【表9】
【0121】
4−7.(実施例−12:エチレン/1−ヘキセン/エチルアクリレート共重合)充分に窒素置換した30mLフラスコに、パラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ200μmol秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。次に、内容積1Lの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(170mL)、1−ヘキセン(279mL)、エチルアクリレート(245mL)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。先に調製した触媒スラリーを全量添加し、エチレンを圧力3MPaで加圧して重合を開始した。反応中は温度を80℃に保ち、圧力が3MPaに保持されるように連続的にエチレンを供給した。180分後、エチレンをパージ、オートクレーブを室温まで冷却し、エタノール(1L)を用いてポリマーを再沈させ、沈殿したポリマーを濾過した。更に、得られた固形ポリマーをエタノール(1L)に分散させ、ここに1N−塩酸(20ml)を加えて60分撹拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノールで洗浄し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にポリマーを回収した。
エチレン/1−ヘキセン/エチルアクリレート共重合が74g得られた。触媒活性は、1.2E+05g/mol/h、GPCによるMwは92,000、Mw/Mn:2.1、融点は、102.9℃、
13CNMRによるモノマー組成は、エチレン含量が、96.3mol%、1−ヘキセン含量が、1.1mol%、エチルアクリレート含量が、2.6mol%であった。重合条件及び重合結果を表10,11に示す。
【0122】
4−8.(実施例−13〜22:エチレン/1−ヘキセン/エチルアクリレート共重合)充分に窒素置換した30mLフラスコに、表10に示した所定量のパラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)を秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。
次に、内容積2.4Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、表10に示した所定量の精製トルエン(実施例22はトルエンの代わりにヘキサンを使用)、エチルアクリレート、1−ヘキセンをオートクレーブ内に導入した。
オートクレーブ内を所定温度に制御した後、窒素でオートクレーブ内の圧力を0.1MPaに昇圧し、更にエチレン分圧分を昇圧した(全圧=エチレン分圧+0.1)。オートクレーブ内の温度が安定した後、先に調製した触媒スラリーを少量の窒素によりオートクレーブに圧入して重合を開始した。反応中は所定温度に保ち、圧力が所定圧力に保持されるように連続的にエチレンを供給した。
所定時間重合した後、エチレンをパージして、オートクレーブを室温まで冷却することで重合を停止した。生成したポリマーは反応溶液を1Lのアセトンに加えて洗浄した後、濾過により分離した。分離したポリマーは更にアセトン洗浄と濾過を2回繰り返し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にポリマーを回収した。それぞれの重合結果を表11示す。
【0123】
【表10】
【0124】
【表11】
【0125】
4−9.(実施例−23:エチレン/プロピレン/メチルアクリレート共重合)充分に窒素置換した30mLフラスコに、パラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ100μmol秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。
次に、内容積1Lの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(617mL)、メチルアクリレート(72mL,重合時の濃度が1mol/Lになるように調整)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。先に調製した触媒スラリーを全量添加し、予め別のオートクレーブを使用して80℃で調整していたエチレン/プロピレン混合ガス(ガス組成比:7/3)を圧力1.0MPaで加圧して重合を開始した。反応中は温度を80℃に保ち、圧力が1.0MPaに保持されるように連続的に混合ガスを供給した。60分後、混合ガスをパージ、オートクレーブを室温まで冷却し、エタノール(1L)を用いてポリマーを再沈させ、沈殿したポリマーを濾過した。更に、得られた固形ポリマーをエタノール(1L)に分散させ、ここに1N−塩酸(20ml)を加えて60分撹拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノールで洗浄し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にエチレン/プロピレン/エチルアクリレート共重合体を7.0g回収した。触媒活性は6.6E+04g/mol/hであった。得られた共重合体の分子量Mwは、65,000、Mw/Mnは1.9、融点は92.1℃、メチルアクリレート含量は3.7mol%、プロピレン含量は2.4mol%であった。重合結果を表12に示す。
【0126】
4−10.(実施例−24:エチレン/プロピレン/メチルアクリレート共重合)充分に窒素置換した30mLフラスコに、パラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ264μmol秤量し、脱水トルエン(20mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。
次に、予め別の2Lの誘導撹拌式オートクレーブをエチレン/プロピレン混合ガス用バッファータンクとして準備した。このタンクに液化プロピレン(150mL)及びエチレン(2.5MPa)を20℃で装入した後、充分に混合されるまで撹拌し、50℃まで昇温した。
続いて、重合に使用する内容積2Lの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(500mL)、メチルアクリレート(37.5mL)、先に調製した触媒スラリー全量を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。20℃でオートクレーブ内に、プロピレン (100mL)を導入し、上記調整した混合ガスを導入して1.2MPaまで昇圧した後、70℃まで昇温し、全圧が2.0MPaになるように混合ガスを追加した。重合中は全圧を保つように適宜混合ガスを導入した。10分後にエタノール(25ml)を装入し、未反応ガスをパージすることで重合を停止した。回収したトルエン懸濁液にエタノール(1,000mL)を加えて一晩静置した後、その混合物を濾過した。沈殿物にアセトン(500mL)を加え、20℃で20分間撹拌した後、濾過を行った。この洗浄をもう2回実施した。洗浄後、70℃で3時間減圧乾燥を行い、エチレン−プロピレン−メチルアクリレート共重合体を23.2g(触媒活性は、5.3E+05(g/mol/h))を得た。得られた共重合体のDSCによる融点は、107.2℃、GPCによるMwは80,000、Mw/Mnは1.7、メチルアクリレート含量は1.0mol%、プロピレン含量は3.0mol%であった。重合結果を表12に示す。
【0127】
4−11.(実施例−25:エチレン/プロピレン/メチルアクリレート共重合) 充分に窒素置換した100mLフラスコに、パラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ580μmol秤量し、脱水トルエン(50mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。
次に、予め別の2Lの誘導撹拌式オートクレーブをエチレン/プロピレン混合ガス用バッファータンクとして準備した。このタンクに液化プロピレン(150mL)及びエチレン(2.5MPa)を20℃で装入した後、充分に混合されるまで撹拌し、50℃まで昇温した。
続いて、重合に使用する内容積2Lの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ
内を精製窒素で置換し、精製トルエン(500mL)、メチルアクリレート(37.5mL)、先に調製した触媒スラリー全量を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。20℃でオートクレーブ内に、プロピレン (100mL)を導入し、上記調整した混合ガスを導入して1.2MPaまで昇圧した後、55℃まで昇温し、全圧が2.0MPaになるように混合ガスを追加した。重合中は全圧を保つように適宜混合ガスを導入した。25分後にエタノール(25ml)を装入し、未反応ガスをパージすることで重合を停止した。回収したトルエン懸濁液にエタノール(1,000mL)を加えて一晩静置した後、その混合物を濾過した。沈殿物にアセトン(500mL)を加え、20℃で20分間撹拌した後、濾過を行った。この洗浄をもう2回実施した。洗浄後、70℃で3時間減圧乾燥を行い、エチレン−プロピレン−メチルアクリレート共重合体を19.6g(触媒活性は、8.1E+04(g/mol/h))を得た。得られた共重合体のDSCによる融点は、113.6℃、GPCによるMwは58,000、Mw/Mnは1.6、メチルアクリレート含量は0.6mol%、プロピレン含量は2.4mol%であった。重合結果を表12に示す。
【0128】
4−12.(実施例−26:エチレン/プロピレン/メチルアクリレート共重合) 充分に窒素置換した50mLフラスコに、パラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ256μmol秤量し、脱水トルエン(20mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。
次に、予め別の2Lの誘導撹拌式オートクレーブをエチレン/プロピレン混合ガス用バッファータンクとして準備した。このタンクに液化プロピレン(150mL)及びエチレン(2.5MPa)を20℃で装入した後、充分に混合されるまで撹拌し、50℃まで昇温した。
続いて、重合に使用する内容積2Lの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(500mL)、メチルアクリレート(46.9mL)、先に調製した触媒スラリー全量を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。20℃でオートクレーブ内に、プロピレン (100mL)を導入し、上記調整した混合ガスを導入して1.2MPaまで昇圧した後、55℃まで昇温し、全圧が2.0MPaになるように混合ガスを追加した。重合中は全圧を保つように適宜混合ガスを導入した。30分後にエタノール(25ml)を装入し、未反応ガスをパージすることで重合を停止した。回収したトルエン懸濁液にエタノール(1,000mL)を加えて一晩静置した後、その混合物を濾過した。得られた沈殿物にトルエン(100mL)と35%塩酸(0.5mL)を加え、70℃で30分間撹拌し、再び濾過を行った。沈殿物にアセトン(500mL)を加え、20℃で20分間撹拌した後、濾過を行った。この洗浄をもう2回実施した。洗浄後、70℃で3時間減圧乾燥を行い、エチレン−プロピレン−メチルアクリレート共重合体を1.87g(触媒活性は、1.5E+04(g/mol/h))を得た。得られた共重合体のDSCによる融点は、120.1℃、GPCによるMwは55,000、Mw/Mnは1.9、メチルアクリレート含量は0.6mol%、プロピレン含量は1.0mol%であった。重合結果を表12に示す。
【0129】
【表12】
【0130】
4−13.(実施例−27〜29:エチレンホモ重合)充分に窒素置換した30mLフラスコに、表13に示すリンスルホン酸配位子を使用して、パラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)を、それぞれ25μmol秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。次に、内容積1Lの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(790mL)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。先に調製した触媒スラリーを全量添加し、80℃に昇温し、エチレン圧力3.0MPaで加圧して重合を開始した。反応中は温度を80℃に保ち、圧力が3.0MPaに保持されるように連続的に混合ガスを供給した。60分後、エチレンガスをパージ、オートクレーブを室温まで冷却し、沈殿したポリマーを濾過した。更に、得られたポリマーをエタノール(1L)に分散させ、ここに1N−塩酸(20ml)を加えて60分撹拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノールで洗浄し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にエチレンホモ重合体を回収した。重合結果を表13に示す。
実施例27のポリエチレンホモの
13C−NMRを測定した結果、メチル、エチルなどの短鎖分岐は確認されず、検出限界以下であり、短鎖分岐の非常に少ないポリエチレンであることを確認した。
【0131】
【表13】
【0132】
4−14.(実施例−30、31:エチレン−エチルアクリレート共重合)充分に窒素置換した30mLフラスコに、表14に示す所定量のパラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。次に、内容積1Lの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、表14に示す所定量の精製トルエン、メチルアクリレートを精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。先に調製した触媒溶液を添加し、室温下、エチレン圧を3MPaとして重合を開始した。反応中は温度を80℃に保ち、エチレンの分圧が3MPaに保持されるように連続的に所定時間エチレンを供給した。
重合終了後、エチレンをパージ、オートクレーブを室温まで冷却し、得られたポリマーがトルエン不溶の固体である場合には、濾過によりポリマーと溶媒を分離した。濾過では分離が不十分な場合には、エタノール(1L)を用いてポリマーを再沈させ、沈殿したポリマーを濾過した。更に、得られた固形ポリマーをエタノール(1L)に分散させ、ここに1N−塩酸(20ml)を加えて60分撹拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノールで洗浄し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にポリマーを回収した。それぞれの重合結果を表14に示す。
13C−NMRにより確認した結果、エチルアクリレートが主鎖中に挿入しており、メチル、エチル等の短鎖分岐は確認できなかった。
【0133】
【表14】
【0134】
4−15.(実施例−32、33:エチレン−1−ヘキセン共重合)
充分に窒素置換した30mLフラスコに、表15に示す所定量のパラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。次に、内容積1Lの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、表14に示す所定量の精製トルエン、1−ヘキセンを精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。先に調製した触媒溶液を添加し、室温下、エチレン圧を3MPaとして重合を開始した。反応中は温度を80℃に保ち、エチレンの分圧が3MPaに保持されるように連続的に所定時間エチレンを供給した。
重合終了後、エチレンをパージ、オートクレーブを室温まで冷却し、得られたポリマーがトルエン不溶の固体である場合には、濾過によりポリマーと溶媒を分離した。濾過では分離が不充分な場合には、エタノール(1L)を用いてポリマーを再沈させ、沈殿したポリマーを濾過した。更に、得られた固形ポリマーをエタノール(1L)に分散させ、ここに1N−塩酸(20ml)を加えて60分撹拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノールで洗浄し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にポリマーを回収した。それぞれの重合結果を表15に示す。
【0135】
【表15】
【0136】
4−16.(実施例−34:エチレン/プロピレン共重合)メチルアクリレートを使用せず、精製トルエンを700mL使用した以外は、実施例−23と同様に実施した。その結果、エチレン/プロピレン共重合体を36g回収した。触媒活性は4.3E+05g/mol/hであった。得られた共重合体の分子量Mwは、23,000、Mw/Mnは2.3、融点は90.2℃、プロピレン含量は16.9mol%であった。
【0137】
5.実施例と比較例の結果の考察
本願の各請求項の要件を満たす、各実施例は各比較例と対照すると、下記の良好な結果が得られている。
実施例1では、本発明による触媒組成物を用いることで、比較的高い活性で、公知技術である比較例よりもコモノマー含量と分子量の双方をバランス良く発現できることを明らかにした。
実施例2では、エチレン−アクリレート共重合体が得られなかった公知技術に対し、本発明によるニッケル錯体を触媒に用いることで、共重合体が製造できることを示した。
実施例3では、本発明による触媒組成物を用いることで、比較的高い活性で、公知技術である比較例よりもコモノマー含量と分子量の双方をバランス良く発現できることを明らかにした。
実施例4では、本発明による触媒組成物を用いることで、多様なコモノマーでも適用可能である点、を明らかにした。
実施例5では、本発明によるリンスルホン酸配位子をニッケルと組み合わせて触媒組成物に用いることで、エチレン/極性基含有オレフィン共重合体を製造可能であることを示した。
実施例6では、本発明によるリンスルホン酸配位子をニッケルと組み合わせて触媒組成物に用い、第三成分として、アニリン、MMA、クレイ、トリフェニルボランを添加しても、エチレン/極性基含有オレフィン共重合体を製造可能であることを示した。
実施例7では、本発明によるリンスルホン酸配位子をニッケルと組み合わせて触媒組成物に用いることで、エチレンホモ重合体を高活性に製造可能であることを示した。
【0138】
実施例8及び9では、本発明によるリンスルホン酸配位子とパラジウムを担持した触媒を用いても、エチレン重合体及びエチレンーアクリレート共重合体が得られることを示した。
実施例10及び11では、本発明によるリンスルホン酸配位子とニッケルを担持した触媒を用いても、公知技術である比較例よりも高活性でエチレン重合体を得ることができることを示した。また、エチレンーアクリレート共重合体が得られることも示した。
実施例12〜22では、本発明の触媒組成物であるリンスルホン酸配位子とパラジウム化合物による反応生成物により、分子量分布が狭く、比較的分子量が高いエチレン−1−ヘキセン−エチルアクリレート三元共重合体が製造可能であることを示した。
更に、実施例24〜26では、エチレン−プロピレン−メチルアクリレート三元共重合体も製造可能であることを示した。
実施例27〜29では、本発明の触媒組成物であるリンスルホン酸配位子とパラジウム化合物による反応生成物により、高活性でエチレンホモ重合体の製造が可能であり、得られる重合体は高分子量で、分子量分布が狭く、分岐差が少ないポリマーが製造可能であることを示した。
実施例30〜33では、本発明の触媒組成物であるリンスルホン酸配位子とパラジウム化合物による反応生成物により、実施例−1や実施例−4と同様に、エチレンとアクリレート、エチレンと1−ヘキセンの共重合が進行していることを確認した。
実施例34では、本発明の触媒組成物であるリンスルホン酸配位子とパラジウム化合物による反応生成物により、エチレンとプロピレンの共重合が進行していることを
13C−NMRにより確認した。
【0139】
以上の各実施例の良好な結果、及び各比較例との対照により、本発明の構成(発明特定事項)の有意性と合理性及び従来技術に対する卓越性が明確にされている。