(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属酸化物微粒子が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシアおよびこれらの複合酸化物から選ばれる少なくとも1種からなり、該微粒子の平均粒子径が5〜100nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の一酸化炭素還元触媒の製造方法。
前記金属酸化物ゲルが、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシアおよびこれらの複合酸化物から選ばれる少なくとも1種のゲルであることを特徴とする請求項1または2に記載の一酸化炭素還元触媒の製造方法。
前記活性金属成分がFe、Ru、Co、Rh、Ni、Pdから選ばれる1種以上であり、該活性金属成分の含有量が金属酸化物として3〜50重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の一酸化炭素還元触媒の製造方法。
前記第2活性金属成分(助触媒金属成分)がアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属から選ばれる1種または2種以上の金属であり、第2活性金属成分の含有量が金属酸化物として0.005〜5重量%の範囲にあることを特徴とする請求項5に記載の一酸化炭素還元触媒の製造方法。
前記金属酸化物がシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシアから選ばれる1種以上の金属酸化物であり、該金属酸化物の含有量が50〜97重量%の範囲にあることを特徴とする請求項7に記載の一酸化炭素還元触媒。
さらに、第2活性金属成分(助触媒金属成分)を含み、第2活性金属成分がアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属から選ばれる1種以上の金属であり、第2活性金属成分の含有量が金属酸化物として0.005〜5重量%の範囲にあることを特徴とする請求項7または8に記載の一酸化炭素還元触媒。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明に係る一酸化炭素還元触媒の製造方法について説明する。
一酸化炭素還元触媒の製造方法
本発明に係る一酸化炭素還元触媒の製造方法は、下記の工程(a)〜(j)からなることを特徴としている。
(a)混合分散液を調製する工程
(b)混合分散液を均一混合処理する工程
(c)均一混合分散液を噴霧乾燥する工程
(d)焼成する工程(一次焼成工程)
(i)活性金属成分化合物水溶液を吸収させる工程
工程(a)
まず、金属酸化物微粒子分散液と金属酸化物ゲルとを混合し、金属酸化物微粒子分散液の固形分としての重量(Wp)と金属酸化物ゲルの固形分としての重量(Wg)との重量比(Wg)/(Wp)が0.1〜4.5の範囲にあり、濃度が固形分として5〜30重量%の範囲にある混合分散液を調製する。
【0016】
本発明に用いる金属酸化物微粒子としてはシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシアおよびこれらの複合酸化物から選ばれる1種以上からなる微粒子であることが
好ましい。これらの金属酸化物微粒子を用いると、活性が高く、触媒寿命の長い一酸化炭素還元触媒を得ることができる。金属酸化物微粒子の平均粒子径は5〜100nm、さらには10〜80nmの範囲にあることが好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒子径が前記範囲にない場合は、混合する金属酸化物ゲルの割合にもよるが、粒子強度、耐摩耗性が不充分となる場合がある。このような金属酸化物微粒子は通常ゾル状物が好適に使用される。
【0017】
金属酸化物ゲルとしては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシアおよびこれらの複合酸化物から選ばれる1種以上からなるゲルであることが好ましい。ここで
、ゲルとは、珪素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、マグネシウムの塩(化合物)およびこれらの混合物を加水分解等して生成する金属水酸化物ゲル、あるいは金属水酸化物ゲルを乾燥して得られる金属水酸化物微粉体を意味している。粉体を使用する場合、その粒子径は、一次粒子径が1〜20nm、好ましくは1〜15nmの範囲にあるもの
が望ましい。二次粒子径(一次粒子の凝集体粒子)は、10nm〜50μm、好ましくは20nm〜30μmの範囲にあることが望ましい。金属酸化物ゲルの二次粒子は、分散液中で容易
に非凝集状態になり、粒子径が一次粒子になるように、粒子径が小さくなるのに対し、金属酸化物微粒子は、前記粒子径範囲の非凝集粒子(一次粒子)であり、粒子径がさらに小さくなることもない。また、形状において相違し、金属酸化物の種類によっても異なるが、金属酸化物微粒子は球状、サイコロ状、棒状などであり、一方、金属酸化物ゲルは不定形(形状、大きさ)である。
【0018】
なお、本発明では、金属酸化物微粒子と金属酸化物ゲルとを構成する金属酸化物は、同じものであっても、異なるものであってもよい。より好ましくは金属酸化物微粒子と金属
酸化物ゲルが同じ金属酸化物から構成されるものであり、シリカ、アルミナ、ジルコニアから組合わせが望ましい。
【0019】
金属酸化物微粒子と金属酸化物ゲルとを併用することで、金属酸化物微粒子間に金属酸化物ゲル(主に均一混合処理によって一次粒子となった)が存在するようになり、粒子強度、耐摩耗性を損なうことなく、細孔容積の大きな担体を得ることができる。金属酸化物微粒子を単独で使用すると、担体の細孔容積が小さくなり、金属酸化物ゲルを単独で使用すると担体の細孔容積は大きくなるものの、粒子強度、耐摩耗性が不十分となる。
微粒子分散液およびゲル中に含まれる溶媒(分散媒)としては、水、アルコール、ケトン類などの低温で揮発し、残存しないものが使用され、通常、水が使用される。
【0020】
金属酸化物微粒子と金属酸化物ゲルとの混合比率は、金属酸化物微粒子の固形分としての重量(Wp)と金属酸化物ゲルの固形分としての重量(Wg)との重量比(Wg)/(Wp)が0.1〜4.5、さらに好ましくは0.2〜4.0の範囲にあることが好ましい。
【0021】
重量比(Wg)/(Wp)が0.1未満の場合は、得られる担体の細孔容積が小さく、活性金属成分の担持量が少なくなるので充分な活性が得られない場合がある。
【0022】
重量比(Wg)/(Wp)が4.5を越えると、さらに細孔容積が増大することもなく、粒子強度、耐摩耗性が不充分となる場合がある。
【0023】
金属酸化物微粒子分散液と金属酸化物ゲルの混合分散液を調製するが、混合分散液の濃度は固形分として5〜30重量%、さらには10〜25重量%の範囲となるように調製する。
【0024】
混合分散液の固形分としての濃度が5重量%未満の場合は、噴霧乾燥法にもよるが、後述する工程(c)で噴霧乾燥して得られる担体微粒子の平均粒子径が50μm未満となることがあり、触媒の分離回収が困難となり、流動床プロセス、懸濁床プロセスで使用することが困難となる場合がある。
【0025】
混合分散液の固形分としての濃度が30重量%を越えると、次工程(b)で粘度が高くなり過ぎて、噴霧乾燥が困難になる場合がある。
【0026】
工程(b)
混合分散液を均一混合処理する。
【0027】
均一混合処理する方法としては、所望の担体が得られれば特に制限はないが、撹拌、ホモジナイザー、コロイドミル、ジェットミル等の方法が挙げられる。
【0028】
均一混合処理することによって混合分散液は通常、粘度が高くなり、均一化した混合分散液を噴霧乾燥すると得られる担体粒子は粒子表面に凹凸等がなく真球状であり、粒子は耐摩耗性、強度、流動性に優れている。
【0029】
工程(c)
均一混合分散液を熱風気流中に噴霧して乾燥し、担体粒子を調製する。
【0030】
噴霧乾燥法としては、所望の担体粒子が得られれば特に制限は無いが、回転ディスク法、加圧ノズル法、2流体ノズル法等従来公知の方法を採用することができる。
【0031】
噴霧乾燥における熱風の入口温度は150〜600℃、さらには150〜450℃、範囲にあることが好ましい。
【0032】
熱風の入口温度が150℃未満の場合は、乾燥が不充分となる場合があり、噴霧乾燥室壁面等への未乾燥粒子の付着が激しく、収率が著しく低下する場合がある。
【0033】
熱風の入口温度が600℃を越えると、均一混合分散液の濃度、金属酸化物微粒子と金属酸化物ゲルの種類、混合割合等によっても異なるが、真球状でない粒子が得られることがあり、真球状であっても、耐摩耗性等が不充分になる場合がある。
【0034】
この時、出口温度は概ね50〜300℃の範囲にあることが好ましい。
【0035】
工程(d)
ついで、得られた担体粒子を大気中で焼成(第1焼成)する。この焼成によって、粒子強度が向上し、大きな細孔容積が形成される。
【0036】
焼成温度は300〜700℃、さらには400〜650℃の範囲にあることが好ましい。
【0037】
焼成温度が300℃未満の場合は、最終的に得られる一酸化炭素還元触媒の強度、耐摩耗性が不充分となる場合がある。
【0038】
焼成温度が700℃を越えると、金属酸化物微粒子と金属酸化物ゲルの種類、混合割合等によっても異なるが、所望の細孔容積を有する担体粒子が得られない場合がある。
【0039】
焼成時間は、焼成温度によっても異なるが、通常、0.5〜10時間である。
【0040】
焼成して得た担体粒子は、細孔容積が0.2〜1.2ml/g、さらには0.25〜1.0ml/gの範囲にあることが好ましい。
【0041】
担体粒子の細孔容積が0.2ml/g未満の場合は、後の工程で、後述する活性金属成分、第2活性金属成分を所望量担持することができない場合があり、担持できたとしても得られる触媒の細孔容積が小さくなり(0.1ml/g未満)、活性が不充分となる場合がある。
【0042】
担体粒子の細孔容積が1.2ml/gを越えると、担体粒子、触媒粒子の強度、耐摩耗性が不充分となる場合がある。
【0043】
本発明では、前記工程(d)についで、下記の工程(e)、ついで工程(f)を実施することが好ましい。
工程(e)
工程(d)で得られた担体粒子に、ジルコニウム化合物水溶液を吸収(含浸)させる。ジ
ルコニウム化合物としては硫酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、炭酸ジルコニールアンモニウム等が挙げられる。
【0044】
ジルコニウム化合物の担持は、前記担体粒子の概ね全細孔容積に相当する量のジルコニウム化合物水溶液を調製し、担体粒子に吸収させ、ついで工程(F)を行うことによって担持することができる。
【0045】
一回の吸収で所望のジルコニアの担持ができない場合は同様の操作を必要回数繰り返す
ことによって担持することができる。
【0046】
なお、ジルコニウム化合物水溶液の濃度は、担体粒子の全細孔容積および所望のジルコニア量を勘案して調整すればよい。
【0047】
このようにジルコニアを担持すると、活性、選択性、触媒寿命が向上した一酸化炭素還元触媒が得られる。
【0048】
ジルコニアの担持量はZrO
2として1〜20重量%、さらには2〜15重量%の範囲
にあることが好ましい。
【0049】
ジルコニアの担持量がZrO
2として1重量%未満の場合はジルコニアを担持する効果
、即ち、活性、選択性の向上、触媒寿命の向上が充分得られない場合がある。
【0050】
ジルコニアの担持量がZrO
2として20重量%を越えると、ジルコニアを担持後、細
孔容積が小さくなりすぎて、ついで、金属活性成分、第2活性金属成分を所望量担持できない場合がある。
工程(f)
ついで、ジルコニウム化合物水溶液を吸収した担体粒子を乾燥・焼成する。
【0051】
乾燥方法としては、ジルコニウム化合物水溶液を吸収した担体粒子の水分を除去できれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。通常、乾燥温度は100〜200℃で0.5〜12時間である。
【0052】
次に、焼成するが、焼成温度は200〜700℃、さらには300〜650℃の範囲にあることが好ましい。
【0053】
焼成温度が300℃未満の場合は、ジルコニウム化合物が完全に分解しない場合、あるいは分解したジルコニア水和物が無水状態のジルコニアにならない場合があり、活性、選択性が不充分になる場合がある。
【0054】
焼成温度が700℃を越えると、所望の細孔容積を有する担体粒子が得られない場合がある。
【0055】
工程(i)
前記工程(d)の後に、担体粒子に活性金属成分化合物水溶液を吸収(含浸)させる。なお、前記工程(e)および(f)を行なった場合、その後に工程(i)を行う。
【0056】
活性金属成分化合物としては、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pdから選ばれる1種または2種以上の金属の化合物が挙げられる。具体的には、硝酸第二鉄、硝酸ルテニウム、塩化コバルト、塩化ロジウム、硝酸ニッケル、塩化パラジウム等が挙げられる。
【0057】
本発明では、中でもRu、Co金属の化合物が好ましい。Ru、Co金属の化合物を用いると一酸化炭素還元活性が高く、フィッシャー・トロプシュ(FT)合成用触媒として好適に用いることができ、高品質の液体燃料基材を高収率で生産することができる。
【0058】
活性金属成分化合物水溶液の使用量は、最終的な一酸化炭素還元触媒中に金属酸化物として3〜50重量%、さらには5〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
【0059】
活性金属成分の含有量が金属酸化物として3重量%未満の場合は活性が不充分となる場
合がある。
【0060】
活性金属成分の含有量が金属酸化物として50重量%を越えては、担持することができない場合があり、担持できたとしてもさらに活性が向上することもなく、得られる触媒の細孔容積が小さくなるために活性が不充分となる場合がある。
工程(j)
ついで、活性金属成分化合物水溶液を吸収した粒子を乾燥・焼成(二次焼成)する。
【0061】
乾燥方法としては、活性金属成分化合物水溶液を吸収した担体粒子の水分を除去できれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。通常、乾燥温度は100〜200℃で0.5〜12時間である。
【0062】
次に、焼成するが、焼成温度は200〜600℃、さらには400〜550℃の範囲にあることが好ましい。
【0063】
焼成温度が200℃未満の場合は、活性が不充分となる場合があり、焼成温度が600℃を越えても、担持した活性金属成分の酸化物がクラスター化(集合物・塊)して、活性が不充分となる場合がある。
【0064】
この工程(j)では、活性金属成分は酸化物として含有されているが、一酸化炭素還元反応に使用する場合に、活性金属還元して用いる場合は金属となり、あるいは反応中に還元性ガスによって還元されて金属となる。
【0065】
本発明では、前記工程(f)の後、あるいは工程(j)の後に、下記の工程(k)、ついで工程(l)を実施することが好ましい。
工程(k)
第2活性金属成分(助触媒金属成分)化合物水溶液を、吸収(含浸)させる。第2活性金属成分化合物としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属から選ばれる1種または2種以上の金属の塩であり、具体的には硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ランタンなどが挙げられる。このような第2活性金属成分を含むことで、選択性が向上し、触媒寿命を長く保持できる
第2活性金属成分化合物水溶液の吸収は工程(e)におけるジルコニウム化合物水溶液の吸収と同様に行う。
【0066】
第2活性金属成分化合物水溶液の使用量は、最終的な一酸化炭素還元触媒中に金属(酸化物)として0.005〜5重量%、さらには0.01〜4重量%の範囲にあることが好ましい。
【0067】
第2活性金属成分の含有量が金属酸化物として0.005重量%未満の場合は、活性、選択性の低下、触媒寿命の低下を抑制する効果が不充分となる場合がある。
【0068】
第2活性金属成分の含有量が金属酸化物として5重量%を越えても、更に触媒寿命が長くなることもなく、むしろ活性、選択性が低下する場合がある。
工程(l)
ついで、第2活性金属成分化合物水溶液を吸収した担体粒子を乾燥・焼成する。乾燥および焼成は前記工程(f)と同様に行う。第2活性金属成分は、担体中に、酸化物として存在している。
【0069】
このようにして得られる一酸化炭素還元触媒は、平均粒子径が50〜200μm、さらには60〜160μmの範囲にあり、比表面積が50〜200m
2/g、さらには100
〜200m
2/gの範囲にあり、細孔容積が0.1〜0.6ml/g、さらには0.2〜
0.55ml/gの範囲にあり、耐摩耗性が0.01〜1重量%/15時間、さらには0.01〜0.8重量%/15時間の範囲にある。
【0070】
つぎに、本発明に係る一酸化炭素還元触媒について説明する。
一酸化炭素還元触媒
本発明に係る一酸化炭素還元触媒は、上記製造方法で得られたものであり、金属酸化物と活性金属成分とからなる一酸化炭素還元触媒であって、活性金属成分がFe、Ru、Co、Rh、Ni、Pdから選ばれる1種以上であり、該活性金属成分の含有量が金属酸化物として3〜50重量%の範囲にあり、平均粒子径が50〜200μmの範囲にあり、比表面積が50〜200m
2/gの範囲にあり、細孔容積が0.1〜0.6ml/gの範囲
にあり、耐摩耗性が0.01〜1重量%/15時間の範囲にあることを特徴としている。
【0071】
触媒として使用される場合、活性成分は金属状態とするが、通常では、活性成分は金属酸化物の状態で担持されていてもよい。
【0072】
金属酸化物
本発明に用いる金属酸化物は、前記した金属酸化物微粒子と前記した金属酸化物ゲルに由来する金属酸化物とからなっている。これらの比率は、上記混合比率に由来する。
【0073】
本発明の金属酸化物担体はさらにジルコニアを含んでいることが好ましい。
【0074】
ジルコニアの含有量は一酸化炭素還元触媒中に1〜20重量%、さらには2〜15重量%の範囲にあることが好ましい。このようにジルコニアを含むことで、活性、選択性の向上、触媒寿命の向上などを図ることができる。
【0075】
一酸化炭素還元触媒中の金属酸化物担体の含有量は金属酸化物として50〜97重量%、さらには60〜95重量%の範囲にあることが好ましい。
活性金属成分
活性金属成分はFe、Ru、Co、Rh、Ni、Pdから選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0076】
本発明では特にRuおよび/またはCo金属が好ましい。Ruおよび/またはCo金属を用いると一酸化炭素還元活性が高く、フィッシャー・トロプシュ(FT)合成用触媒として好適に用いることができ、高品質の液体燃料基材を高収率で生産することができる。
【0077】
活性金属の含有量は一酸化炭素還元触媒中に金属酸化物として、3〜50重量%、さらには5〜40重量%の範囲となるように担持されていることが好ましい。
【0078】
ここで、活性金属成分の含有量を酸化物としているが、反応に共するに際して還元して用いる場合金属となり、あるいは反応中に還元性ガスによって還元されて金属となる。
【0079】
還元する場合、通常、水素ガスなどの存在下に、加熱処理する。
【0080】
第2活性金属酸化物成分
本発明の一酸化炭素還元触媒にはさらに、第2活性金属酸化物成分(第2活性成分とものいう)を含むことが好ましい。このような第2活性金属酸化物成分を含むことで、活性、選択性を高め、触媒寿命を長くすることができる。
【0081】
第2活性金属成分としては、前記したようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類
金属から選ばれる1種以上の金属の酸化物が好ましい。
【0082】
具体的にはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ランタン等が挙げられる。
【0083】
一酸化炭素還元触媒中の第2活性成分の含有量は金属酸化物として0.005〜5重量%、さらには0.01〜4重量%の範囲にあることが好ましい。
形状
一酸化炭素還元触媒は、平均粒子径が50〜200μm、さらには60〜160μmの範囲にあることが好ましい。一酸化炭素還元触媒の平均粒子径が50μm未満の場合は、流動床で用いる場合は流動性が低下し、懸濁床で用いる場合は分離が困難となる場合がある。一酸化炭素還元触媒の平均粒子径が200μmを越えると、流動床で用いる場合は流動性が低下し、懸濁床で用いる場合は活性が不充分となる場合がある。
【0084】
また、比表面積は50〜200m
2/g、さらには60〜180m
2/gの範囲にあることが好ましい。比表面積が50m
2/g未満の場合は、活性が不充分となる場合がある。
比表面積が200m
2/gを越えるものは、本発明の方法では得ることが困難である。
【0085】
細孔容積は0.1〜0.6ml/g、さらには0.2〜0.55ml/gの範囲にあることが好ましい。細孔容積が0.1ml/g未満の場合は、活性が不充分となる場合がある。細孔容積が0.6ml/gを越えると、耐摩耗性が不充分となり、長期連続運転が困難となる場合がある。
【0086】
耐摩耗性は、0.01〜1重量%/15時間、さらには0.02〜0.8重量%/15時間の範囲にあることが好ましい。耐摩耗性が0.01重量%/15時間未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、活性が不充分となる場合がある。耐摩耗性が1重量%/15時間を越えると、一酸化炭素還元反応に使用する場合、長期連続運転が困難となる場合がある。
【0087】
以上のような本発明にかかる一酸化炭素還元触媒を使用すると、活性、選択性に優れるとともに、耐摩耗性、粒子強度、流動性などに優れ、長期にわたって連続的に使用することができ、パラフィン含有量に富み、かつ硫黄分を含まない液体燃料基材を効率的に製造することができるという効果が奏せられる。またその使用形態は、公知の条件をとくに制限なく採用することができる。
【実施例】
【0088】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
一酸化炭素還元用流動触媒(1)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:S−20LE、平均粒子径19nm、SiO
2濃
度20重量%)7500gと、シリカ微粉末((株)トクヤマ製:レオロシールQS−40)1500gとを、水6000gに混合して固形分濃度20重量%の混合分散液を調製した。
【0089】
ついで、混合分散液をホモジナイザー((株)喜商製:アサヒホモジナイザー LL型)にて均一化処理して噴霧乾燥用スラリーを調製した。
【0090】
ついで、回転ディスク法噴霧乾燥装置を用い、噴霧乾燥用スラリーを16.8kg/hrの流量で、入口温度170℃の熱風気流中に噴霧して担体用粉体(1-1)を得た。この時
、出口温度は100℃であった。
【0091】
ついで、担体用粉体(1-1)を650℃で3時間焼成して担体用粉体(1-2)を調製した。担体(1-2)の細孔容積は0.74ml/gであった。
【0092】
ついで、ZrO
2として濃度13重量%の炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液328
.5gを担体(1-2)500gに吸収させ、ついで、120℃で16時間乾燥した後、50
0℃で1時間焼成して一酸化炭素還元用流動触媒担体(1)を調製した。
【0093】
ついで、Coとして濃度14量%の硝酸コバルト水溶液を吸収させ、300℃で1時間乾燥した後、300℃で1時間焼成した。この操作を繰り返し計1226gの硝酸コバルト水溶液を吸収させた後、最後に450℃で1時間焼成して一酸化炭素還元用流動触媒(1)を調製した。
【0094】
得られた一酸化炭素還元用流動触媒(1)について、組成分析、平均粒子径(粒子径分布
)、比表面積、細孔容積、耐摩耗性を評価し、結果を表1に示す。
【0095】
なお、平均粒子径、比表面積、細孔容積、耐摩耗性、粒子強度、流動性の測定は以下の方法によって測定した。
平均粒子径(粒子径分布)
マイクロメッシュシーブ法:JIS K0069 「化学製品のふるい分け試験方法」に準拠し
て行った。
比表面積
BET法により測定した。
細孔容積
水滴定法:所定重量の担体、または触媒をガラス瓶に充填し、これに少量の水を手規定して吸収させ、浸透し、これを担体、触媒粒子がガラス壁に付着するようになるまで繰り返し、付着を始めたとの水の滴定量を担体、または触媒の重量で除した値を細孔容積とした。
耐摩耗性
耐摩耗性は、ACC法(ACC. Bulletin、No.6131-4M-1/57.)に記載された方法に準拠し、触媒充填量50g、ノズル径0.406mmΦ、空気流量0.426m
3/時間の条件で流動させ、流動開始後5〜50時間の間の15時間に、流動層容器から飛散して回収された微粒子の重量割合(%)
から算出する。
[実施例2]
一酸化炭素還元用流動触媒(2)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:S−20LE、平均粒子径19nm、SiO
2濃
度20重量%)10,000gと、シリカ微粉末((株)トクヤマ製:レオロシールQS−40)1,000gとを、水4,000gに混合して固形分濃度20重量%の混合分散液を調製した。
【0096】
ついで、混合分散液をホモジナイザー((株)喜商製:アサヒホモジナイザー LL型)にて均一化処理して噴霧乾燥用スラリーを調製した。
【0097】
以下、実施例1と同様にして一酸化炭素還元用流動触媒(2)を調製した。
【0098】
得られた一酸化炭素還元用流動触媒(2)について、組成分析、平均粒子径、比表面積、
細孔容積、耐摩耗性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例3]
一酸化炭素還元用流動触媒(3)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:S−20LE、平均粒子径19nm、SiO
2濃
度20重量%)6,000gと、シリカ微粉末((株)トクヤマ製:レオロシールQS−40)1800gとを、水7,200gに混合して固形分濃度20重量%の混合分散液を調製した。
【0099】
ついで、混合分散液をホモジナイザー((株)喜商製:アサヒホモジナイザー LL型)にて均一化処理して噴霧乾燥用スラリーを調製した。
【0100】
以下、実施例1と同様にして一酸化炭素還元用流動触媒(3)を調製した。
【0101】
得られた一酸化炭素還元用流動触媒(3)について、組成分析、平均粒子径、比表面積、
細孔容積、耐摩耗性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例4]
一酸化炭素還元用流動触媒(4)の調製
実施例1と同様にして調製した噴霧乾燥用スラリーを、入口温度150℃の熱風気流中に噴霧して担体用粉体(1)を得た。この時、出口温度は90℃であった
以下、実施例1と同様にして一酸化炭素還元用流動触媒(4)を調製した。
【0102】
得られた一酸化炭素還元用流動触媒(4)について、組成分析、平均粒子径、比表面積、
細孔容積、耐摩耗性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例5]
一酸化炭素還元用流動触媒(5)の調製
実施例1と同様にして調製した噴霧乾燥用スラリーを、入口温度230℃の熱風気流中に噴霧して担体用粉体(5-1)を得た。この時、出口温度は180℃であった
以下、実施例1と同様にして一酸化炭素還元用流動触媒(5)を調製した。
【0103】
得られた一酸化炭素還元用流動触媒(5)について、組成分析、平均粒子径、比表面積、
細孔容積、耐摩耗性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例6]
一酸化炭素還元用流動触媒(6)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:S−20LE、平均粒子径19nm、SiO
2濃
度20重量%)7500gと、シリカ微粉末((株)トクヤマ製:レオロシールQS−40)1500gとを、水21,000gに混合して固形分濃度10重量%の混合分散液を調製した。
【0104】
ついで、混合分散液をホモジナイザー((株)喜商製:アサヒホモジナイザー LL型)にて均一化処理して噴霧乾燥用スラリーを調製した。
【0105】
ついで、回転ディスク法噴霧乾燥装置を用い、噴霧乾燥用スラリーを16.8kg/hrの流量で、入口温度170℃の熱風気流中に噴霧して担体用粉体(6-1)を得た。この時
、出口温度は90℃であった。
【0106】
以下、実施例1と同様にして一酸化炭素還元用流動触媒(6)を調製した。
【0107】
得られた一酸化炭素還元用流動触媒(6)について、組成分析、平均粒子径、比表面積、
細孔容積、耐摩耗性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例7]
一酸化炭素還元用流動触媒(7)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:S−20LE、平均粒子径19nm、SiO
2濃
度20重量%)7500gと、シリカ微粉末((株)トクヤマ製:レオロシールQS−4
0)1500gとを、水3,000gに混合して固形分濃度25重量%の混合分散液を調製した。
【0108】
ついで、混合分散液をホモジナイザー((株)喜商製:アサヒホモジナイザー LL型)にて均一化処理して噴霧乾燥用スラリーを調製した。
【0109】
ついで、回転ディスク法噴霧乾燥装置を用い、噴霧乾燥用スラリーを16.8kg/hrの流量で、入口温度170℃の熱風気流中に噴霧して担体用粉体(7-1)を得た。この時
、出口温度は110℃であった。
【0110】
以下、実施例1と同様にして一酸化炭素還元用流動触媒(7)を調製した。
【0111】
得られた一酸化炭素還元用流動触媒(7)について、組成分析、平均粒子径、比表面積、
細孔容積、耐摩耗性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例8]
一酸化炭素還元用流動触媒(8)の調製
実施例1と同様にして一酸化炭素還元用流動触媒担体(1)を調製した。
【0112】
ついで、Coとして濃度14量%、Ruとして濃度2量%の硝酸コバルト・硝酸ルテニウム混合水溶液を吸収させ、300℃で1時間乾燥した後、300℃で1時間焼成した。この操作を繰り返し計1226gの硝酸コバルト・硝酸ルテニウム混合水溶液を吸収させた後、最後に450℃で1時間焼成して一酸化炭素還元用流動触媒(8)を調製した。
【0113】
得られた一酸化炭素還元用流動触媒(8)について、組成分析、平均粒子径、比表面積、
細孔容積、耐摩耗性を評価し、結果を表1に示す。
[比較例1]
一酸化炭素還元用流動触媒(R1)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:S−20LE、平均粒子径19nm、SiO
2濃
度20重量%)7,500gを、回転ディスク法噴霧乾燥装置を用い、噴霧乾燥用スラリーを16.8kg/hrの流量で、入口温度170℃の熱風気流中に噴霧して担体用粉体(R1-1)を得た。この時、出口温度は100℃であった。
【0114】
ついで、担体用粉体(R1-1)を650℃で3時間焼成して担体用粉体(R1-2)を調製した。担体用粉体(R1-2)の細孔容積は0.30ml/gであった。
【0115】
ついで、ZrO
2として濃度13重量%の炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液328
.5gを担体(R1-2)500gに吸収させ、ついで、120℃で16時間乾燥した後、500℃で1時間焼成して一酸化炭素還元用流動触媒担体(R1)を調製した。
【0116】
ついで、Coとして濃度14量%の硝酸コバルト水溶液gを吸収させ、300℃で1時間乾燥した後、300℃で1時間焼成した。この操作を繰り返し計1226gの硝酸コバルト水溶液を吸収させた後、最後に450℃で1時間焼成して一酸化炭素還元用流動触媒(R1)を調製した。
【0117】
得られた一酸化炭素還元用流動触媒(R1)について、組成分析、平均粒子径、比表面積、細孔容積、耐摩耗性を評価し、結果を表1に示す。
[比較例2]
一酸化炭素還元用流動触媒(R2)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:S−20LE、平均粒子径19nm、SiO
2濃
度20重量%)7500gと、シリカ微粉末((株)トクヤマ製:レオロシールQS−4
0)75gとを、水300gに混合して固形分濃度20重量%の混合分散液を調製した。
【0118】
ついで、混合分散液をホモジナイザー((株)喜商製:アサヒホモジナイザー LL型)にて均一化処理して噴霧乾燥用スラリーを調製した。
【0119】
ついで、回転ディスク法噴霧乾燥装置を用い、噴霧乾燥用スラリーを16.8kg/hrの流量で、入口温度170℃の熱風気流中に噴霧して担体用粉体(R2-1)を得た。この時、出口温度は100℃であった。
【0120】
ついで、担体用粉体(R2-1)を650℃で3時間焼成して担体用粉体(R2-2)を調製した。担体(R2-2)の細孔容積は0.35ml/gであった。
【0121】
ついで、ZrO
2として濃度13重量%の炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液328
.5gを担体(1-2)500gに吸収させ、ついで、120℃で16時間乾燥した後、50
0℃で1時間焼成して一酸化炭素還元用流動触媒担体(1)を調製した。
【0122】
ついで、Coとして濃度14量%の硝酸コバルト水溶液を吸収させ、300℃で1時間乾燥した後、300℃で1時間焼成した。この操作を繰り返し計1226gの硝酸コバルト水溶液を吸収させた後、最後に450℃で1時間焼成して一酸化炭素還元用流動触媒(R2)を調製した。
【0123】
得られた一酸化炭素還元用流動触媒(R2)について、組成分析、平均粒子径、比表面積、細孔容積、耐摩耗性を評価し、結果を表1に示す。
[比較例3]
一酸化炭素還元用流動触媒(R3)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:S−20LE、平均粒子径19nm、SiO
2濃
度20重量%)7500gと、シリカ微粉末((株)トクヤマ製:レオロシールQS−40)7,500gとを、水30,000gに混合して固形分濃度20重量%の混合分散液を調製した。
【0124】
ついで、混合分散液をホモジナイザー((株)喜商製:アサヒホモジナイザー LL型)にて均一化処理して噴霧乾燥用スラリーを調製した。
【0125】
ついで、回転ディスク法噴霧乾燥装置を用い、噴霧乾燥用スラリーを16.8kg/hrの流量で、入口温度170℃の熱風気流中に噴霧して担体用粉体(R3-1)を得た。この時、出口温度は100℃であった。
【0126】
ついで、担体用粉体(R3-1)を650℃で3時間焼成して担体用粉体(R3-2)を調製した。担体(R3-2)の細孔容積は1.25ml/gであった。
【0127】
ついで、ZrO
2として濃度13重量%の炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液328
.5gを担体(R3-2)500gに吸収させ、ついで、120℃で16時間乾燥した後、500℃で1時間焼成して一酸化炭素還元用流動触媒担体(R3)を調製した。
【0128】
ついで、Coとして濃度14量%の硝酸コバルト水溶液を吸収させ、300℃で1時間乾燥した後、300℃で1時間焼成した。この操作を繰り返し計1226gの硝酸コバルト水溶液を吸収させた後、最後に450℃で1時間焼成して一酸化炭素還元用流動触媒(R3)を調製した。
【0129】
得られた一酸化炭素還元用流動触媒(R3)について、組成分析、平均粒子径、比表面積、
細孔容積、耐摩耗性を評価し、結果を表1に示す。
[参考例]
一酸化炭素還元用流動触媒(R4)の調製
実施例1と同様にして調製した担体用粉体(1-2)500gに、Coとして濃度14量%
の硝酸コバルト水溶液を吸収させ、300℃で1時間乾燥した後、300℃で1時間焼成した。この操作を繰り返し計1226gの硝酸コバルト水溶液を吸収させた後、最後に450℃で1時間焼成して一酸化炭素還元用流動触媒(R4)を調製した。
【0130】
得られた一酸化炭素還元用流動触媒(R4)について、組成分析、平均粒子径、比表面積、細孔容積、耐摩耗性を評価し、結果を表1に示す。
【0131】
【表1】