(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649871
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】貨物船の装荷ハッチの動作機構
(51)【国際特許分類】
B63B 19/18 20060101AFI20141211BHJP
B63B 19/14 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
B63B19/18 101
B63B19/14 Z
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-185721(P2010-185721)
(22)【出願日】2010年8月23日
(65)【公開番号】特開2011-42362(P2011-42362A)
(43)【公開日】2011年3月3日
【審査請求日】2013年6月4日
(31)【優先権主張番号】20095865
(32)【優先日】2009年8月24日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】509255820
【氏名又は名称】カーゴテック フィンランド オサケイティエ
【氏名又は名称原語表記】CARGOTEC FINLAND OY
(74)【代理人】
【識別番号】100087594
【弁理士】
【氏名又は名称】福村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】クッコ−リエデス,イルッカ
【審査官】
須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−132879(JP,A)
【文献】
特開2008−001338(JP,A)
【文献】
実開平02−074298(JP,U)
【文献】
特開2008−094359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 19/18
B63B 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物船の貨物用空間(23)を開閉するための開位置と閉位置との間を動くことのできる少なくとも1枚のハッチパネル(18、19)を有し、該開位置と該閉位置との間のハッチパネルの動きを実現するために少なくとも1つの作動装置が該ハッチパネルに取り付けられた又は接続された装荷ハッチを有する貨物船の装荷ハッチの動作機構(25)であって、前記貨物船の船体に設けられた1つ又は複数の案内部材(4’、4”)に支持されてスライドするように配設されたスライド台(1)と、該スライド台と協働する、蝶番接続された少なくとも2本のレバーアーム(2,3)であって、該蝶番接続された少なくとも2本のレバーアームの内の第一のレバーアーム(3)が該第一のレバーアームの第二端部で前記貨物船の船体に直接的若しくは間接的に接続され、前記蝶番接続された少なくとも2本のレバーアームの内の第二のレバーアーム(2)に前記第一のレバーアーム(3)の第一端部が蝶番(15)によって接続され、前記スライド台が動くと前記ハッチパネルが前記少なくとも2本のレバーアーム(2、3)によって持ち上げられ、及び下ろされるようになっており、又は前記貨物船の船体に直接的又は間接的に接続された扇状歯車によって、前記ハッチパネルが移動位置に持ち上げられ、また固定位置に下ろされることを特徴とする動作機構。
【請求項2】
軸部材(13)によって直接的又は間接的に貨物船の船体に前記第一のレバーアーム(3)の前記第二端部が取り付けられ、また、前記第二のレバーアーム(2)が蝶番(14)によって前記スライド台(1)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の動作機構。
【請求項3】
前記ハッチパネルを動かすために、前記案内部材(4)及び/又は該ハッチパネルに設けられている歯付ラック(12)と接触することのできるように、少なくとも2つの歯車(6、11)が前記スライド台に取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の動作機構。
【請求項4】
前記開位置と前記閉位置との間で前記ハッチパネルを動かすために、前記2つの歯車(6、11)の回転方向を変えることができることを特徴とする、請求項3に記載の動作機構。
【請求項5】
前記ハッチパネルを動かすために、歯付ラック(12)又はハッチパネル移動方向の植込ボルトが該ハッチパネルに取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の動作機構。
【請求項6】
前記第一のレバーアーム(3)の前記第二端部に溝又は凹部(9)が設けられており、前記ハッチパネルを持ち上げるために及び/又は下ろして前記第一のレバーアーム(3)によって固定するために、該溝又は凹部にハッチパネル(18、19)のピン(10)又は柄部材を挿入可能であることを特徴とする、請求項1に記載の動作部材。
【請求項7】
前記2つの歯車の内の少なくとも一方が、前記スライド台に取り付けられた電動機駆動装置又は水力原動機駆動装置(5)によって回転されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の動作機構。
【請求項8】
前記少なくとも2本のレバーアーム(2、3)が前記スライド台(1)の片側の側部又は両側の側部に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の動作機構。
【請求項9】
前記ハッチパネル移動方向の植込ボルトがハッチパネルに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の動作機構。
【請求項10】
前記ハッチパネルを動かすためのチェーンデバイス、摩擦車装置又は引張ケーブル装置が該ハッチパネルに取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の動作機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船、より具体的には貨物船の装荷ハッチの動作機構に関する。貨物船は、通常、1枚以上のハッチパネルから作られた1つ以上の装荷ハッチを有している。このようなハッチパネルは、船の貨物用空間、即ち貨物用船倉を覆う又は開くことができるように動かされなければならない。本発明による装荷ハッチの動作機構によると、船の貨物用船倉を開く又は閉じることのできるように、前記ハッチパネルを開位置と閉位置との間を動かすことができる。
【0002】
ハッチを閉じるときには装荷ハッチパネル間のシールは圧迫されなければならず、一方で、ハッチを開くときには移動位置へと装荷ハッチパネルを持ち上げなければならないので、大きな力が必要である。
【0003】
このように、本発明は、作動手段によって貨物船の装荷ハッチを開閉することに関する。
【背景技術】
【0004】
貨物船の載荷ハッチの動作機構については、従来技術において様々な問題解決法が知られている。
【0005】
装荷ハッチの動作機構は、昔から、ハッチパネルの昇降と、ハッチパネルの開閉のための駆動は別個の装置によって行われている。
【0006】
ハッチパネルの昇降は、通常、シリンダーで操作されるレバー機構によって行われる。このレバー機構は、通常、2つのユニットを有しており、一対のハッチパネルに対して1つのユニットが使用される。ハッチパネルの昇降は、一対のハッチパネルに対して8つのユニットを使用するホイールリフタによって行うこともある。
【0007】
一方、装荷ハッチの開閉駆動は、例えば、ラック及びピニオン駆動装置で行われる。平坦な車輪軌道に沿ってハッチパネルの移動車輪が転がることによってハッチパネルが移動するので、ラック及びピニオン駆動装置はその動力と所要動力が小さい。
【0008】
装荷ハッチの固定は、通常、人によって操作される別個の固定具又は固定ピンによってなされ、これらは1枚の装荷ハッチパネルに多数使用される。
【0009】
貨物船の装荷ハッチの動作機構についての1つの問題解決法がフィンランド特許出願公開第FI20060604に示されており、この刊行物による解決法では、パネルに固定された歯付ラックによって装荷ハッチのパネルを動かすことができる。
【0010】
従来技術による解決法には、弱点と欠点とがある。従来技術の装置では、装荷ハッチを昇降させるのに多数の異なる装置を必要とするが、これでは装置がより破損しやすく複雑になり、保守点検の必要性が高まってコストが増大するので、ハッチパネルの駆動には望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】フィンランド特許出願公開第20060604号
【発明の概要】
【0012】
本発明による動作機構は、請求項1の特徴部分に記載されている事項によって特徴付けられる。
【0013】
本発明による動作装置は、請求項2〜10に開示されている事項によっても特徴付けられる。
【0014】
本発明は、装荷ハッチ(より詳しくは側部車輪型ハッチ)の動作機構を提供し、その機構によって、従来の作動装置(水力原動機又は電動機)を、ハッチパネルを開位置と閉位置とに駆動する際に唯一の作動装置として使用することが可能になる。装荷ハッチパネル間のシールが圧迫されなければならないのでハッチを閉じるときに必要となると共に、移動位置へと装荷ハッチパネルを持ち上げなければならないのでハッチを開くときにも必要となる、大きな力を、本発明による問題解決法では生成することができる。
【0015】
本発明の機構によると、ハッチが閉じた位置で自動的に固定することもできる。
【0016】
本発明による動作機構は、案内部材上のスライド輸送台に作動装置が固定され、レバー機構を介して該輸送台が動くと、装荷ハッチが移動位置に持ち上げられるようになっている。この持ち上げの後、装荷ハッチに固定された歯付ラックによって作動装置は該装荷ハッチを引いて開ける。
【0017】
従来技術の解決法に比べて、本発明による問題解決法には利点がある。
【0018】
本発明の解決法によると、全駆動機能(昇/降及び平行移動)を、1基の所要動力の小さい作動装置(1枚の装荷ハッチパネルに対して1基の作動装置)で行うことのできる動作機構を提供することができる。
【0019】
本発明による解決法は、水力原動機駆動装置と電動機駆動装置との両方に適している。
【0020】
本発明による解決法はハッチの据え付けと保守とを簡便化する。本発明に係る機構は実に単純、廉価であり、その構造において操作信頼性が高い。
【0021】
以下において、
図1〜6cを参照しながら、本発明による解決法をより詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1b】スライド台が位置Aにあり、ハッチパネルが貨物用空間を閉じている状態にある、上面から見た(
図1aに示されている)動作機構を示している。
【
図2b】スライド台が位置Bにあり、ハッチパネルが移動位置(駆動可能な中間位置)にあるときの、上面から見た(
図2aに示されている)動作機構を示している。
【
図3b】スライド台が、ハッチパネルが駆動可能な中間位置にあるようになっているときの、上面から見た(
図3aに示されている)動作機構を示している。
【
図4】
図4aと4bとは装荷ハッチ、即ちハッチパネルが閉じた位置にある状態を示している。
図4aは本発明による解決法の側面図であり、
図4bは本発明による解決法の上面図である。
【
図5】
図5aと5bとは装荷ハッチ、即ちハッチパネルが駆動可能な中間位置にある状態を示している。
図5aはこの状態を側面から見た図を示しており、
図5bは上面から見た図を示している。
【
図6】
図6aと6bとは装荷ハッチ、即ちハッチパネルが完全に開いた開位置にある状態を示している。
図6aは側面図を示しており、
図6bは上面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1aと
図1bとによると、本発明による動作機構25は、スライド台1と回動可能なレバーアーム2と3とを有している。スライド台1は、船体に固定された1つ又はそれ以上の数の案内部材4(左側案内部材4’、右側案内部材4”)に支持された状態で動く。レバーアーム2は蝶番14によってスライド台に関節状に固定されており、レバーアーム3は蝶番13によって、例えば、直接的に、又は他の方法で船体に固定されている。レバーアーム2と3とは蝶番15を用いて関節状に相互に連結されている。
図1bにおいて見えている、水力原動機駆動装置又は電動機駆動装置などの作動装置5は、歯車6を回転させ、この歯車6に接触している歯車11を回転させる。これらの歯車の軸は参照符号20と21とで示されている。装荷ハッチの上昇段階においては、即ちハッチパネル19を上に持ち上げることが望まれているときには、この態様においては歯車6が左側案内部材4’に固定されている歯付ラック7と接触している。歯付ラックと接触しているときには、歯車6の回転によってスライド台1を動かし、次いで、回動可能なレバーアーム2及び3を回動させる。レバーアーム3の上端部8は、装荷ハッチ、即ちハッチパネル19に固定されているピン10と、該レバーアームの上端部に設けられている溝を介して接続されている。
図1a及び
図1bに、更に
図2a及び2bに示されているように、スライド台が位置Aから位置Bへと駆動されると、先に記載したレバー機構によって、装荷ハッチ、即ちハッチパネル19は移動位置(駆動可能な中間位置)へと持ち上げられる。同時に、装荷ハッチの複数の車輪16(
図4a及び4bに示されている)が、固定されている車輪軌道22の最上部に上がり、該軌道の上でのハッチパネルの駆動を可能にする。
【0024】
閉位置においては、ハッチカバーに固定されているピン10がレバーアーム3の上端部に作られた溝9に入り、蝶番点13が都合よく配置されているためにレバー3を回転させる力がピン10の存在故に生成されないので、別に装置を必要とせずに、
図1aと
図1bとに示されているように、当該機構は装荷ハッチを閉位置に固定する。
【0025】
図3aと3bとによると、スライド台が位置Bに近付くと、歯車6と歯付ラック7との接触が離れ、同時に、歯車6によって回転される歯車11が、ハッチパネルに固定されている歯付ラック12に接触する。歯車6と11とが回転し続けると、ハッチパネルが開位置へと動く。これらの歯車の回転方向を変化させることによって、ハッチパネルが閉位置に戻るように動く。この場合においては、先に記載した段階が逆の順番で繰り返される。
【0026】
図4aと4bとは、
図1aによる状態を示しており、装荷ハッチ、即ちハッチパネルが閉じた位置にある。この状態においては、ハッチパネルに固定されている車輪16であって、これらの車輪に支持されてハッチパネルが動くことのできる車輪は溝17の中にある。この溝又は対応する構造は船体に作られる。即ち、車輪軌道22及び前記溝が、船体に直接的又は間接的に作られている。
【0027】
ハッチパネル18と19とは相互に水密に保持され、各パネルの端部はシール材24を有しており、シール材同士が相互にしっかりと押し付け合っている。このようにして、水又は埃がシール材の間を通り抜けて貨物用空間23内に入り込むことができないようになっている。
【0028】
図5aと5bとは、
図2aによる状態を示している。この状態においては、装荷ハッチが駆動可能な中間位置にあり、即ち、車輪16が溝17から車輪軌道22に上がっている。ハッチパネルが車輪軌道22の最上部に上がった状態の車輪に支持されているときには、本発明による動作機構25によってハッチパネルを動かすことができる。車輪がハッチパネル18、19の重さを引き受けるので、ハッチパネルは前記軌道の上を軽い力で動くことができる。
【0029】
図6aと6bとは、装荷ハッチ18と19とが開位置にある、即ち、貨物用空間23若しくは貨物用船倉を全く覆っていない状態の側面図と上面図とをそれぞれ示している。動作機構25によって装荷ハッチは図示されている位置に駆動されており、図示されている装荷ハッチは第二の極位置、即ち相互に可能な限り離れた状態にある。装荷ハッチ18と19とに取り付けられた車輪16がその中を移動することができる、図示されている溝17の一方の側壁は実質的に垂直であり、他方の側壁は傾斜している。傾斜している側壁に沿って、駆動機構25によって車輪(装荷ハッチ)が車輪軌道22に乗り上がる。
【0030】
本発明が前記態様に限定されず、以下に示す特許請求の範囲内で変更することができるのは、当業者には明らかである。
【0031】
本発明による解決法を、スライド台に接続されると共にハッチパネルを昇降させることのできる単一のレバーアームを使用することによって実施することも可能である。
【0032】
本発明の機構は、レバーアームを扇形歯車に置換して実施することもできる。また、必要であれば、蝶番点の位置と、機構の大小関係及び位置を変えることもできる。さらに、歯付ラック駆動装置を、例えば、チェーンデバイス、摩擦車装置又は引張ケーブル装置で置換することができる。
【0033】
本発明による解決法においては、各ハッチパネルは、相互に接続された又は接合された1枚以上の部材でなっている。