【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1のラベル供給用コア装置20について、
図1〜
図5を用いて説明する。
【0020】
ラベル供給用コア装置20は、先端に行くほど縮径した略截頭円錘状のラベル供給用コア19を基端側と先端側とに分割した基端側の部分であり、取付プレート21に取着されたメインコア30と、ラベル供給用コア19を基端側と先端側とに分割した先端側の部分であるプッシャーコア40と、メインコア30の内部に形成された内空間50内に設けられ、伸縮することでプッシャーコア40とメインコア30とを離合させる、より詳しくは、伸長することでプッシャーコア40とメインコア30とを離間させ、縮退することでプッシャーコア40とメインコア30とを当接させるプッシャーシリンダ45とを備えている。
【0021】
メインコア30は、先端側が縮径した略截頭円錘状をしている。そして、互いに離間した二本の取付ボルト22により取付プレート21に螺着されている。二本の取付ボルト22は、メインコア30と取付プレート21との間に介装され、略円筒状で取付プレート21側に鍔が形成されているスペーサ23をそれぞれが挿通している。
【0022】
メインコア30の外周面であるメイン面31には、周方向に延び、一周に亘って連続した二本の吸引溝32と、同じく周方向に延び、一周に亘って連続した二本の開放溝33とが凹設されている。二本の吸引溝32は、それぞれがメインコア30の基端面34から穿孔された一本の吸引路35に連通するよう、吸引細孔36がそれぞれに穿設されている。二本の開放溝33は、それぞれがメインコア30の基端面34から穿孔された二本の開放路37の一方のみと連通するよう、開放細孔38がそれぞれに穿設されている。吸引路35は外部に設けられた負圧装置に接続されていることから、この負圧装置を稼動することで、吸引溝32内を負圧にでき、ラベル10をラベル供給用コア19の密着面に密着して保持することができる。一方、二本の開放路37は外部に設けられた加圧装置に接続されていることから、この加圧装置を稼動することで、開放溝33内を加圧でき、ラベル供給用コア19の密着面に密着しているラベルを剥離することができる。このメイン面31がラベル供給用コア19の密着面を分けたメイン部である。
【0023】
メインコア30の内空間50は、基端側から先端側へと略同径で延びるストレート状をしており、メインコア30の基端面34及び先端面39の両側が開口しており、基端面34側の基端開口51は、一周に亘って内空間50の内壁面55から突出した止部52が形成され、縮径している。
【0024】
基端開口51には、取付プレート21に固着された略円柱状のメインガイド25が挿通されている。メインガイド25は長さ方向の中間に段部26が形成され、段部26より先端側が拡径した拡径部27であり、拡径部27が内空間50の基端側に内挿されている。内空間50の内壁面55と拡径部27との間には、略円環状の基端ガイドブッシュ56が介装されている。メインガイド25は、基端ガイドブッシュ56に沿って、内空間50内を摺動できるようになっている。また、止部52により拡径部27が内空間50から離脱しないようにしている。
【0025】
内空間50の先端側には、基端ガイドブッシュ56と略同じ形状の先端ガイドブッシュ57が内挿されている。また、基端ガイドブッシュ56と先端ガイドブッシュ57との間には、内径が基端ガイドブッシュ56等の内径と略同じ大きさの略円環状の介装リング58が介装されている。
【0026】
プッシャーシリンダ45は、本体部46がメインガイド25の先端面28の略中心に設けられた孔に嵌装されている。また、プッシャーシリンダ45は、メインガイド25に基端面29から穿設された空気路24を通して外部から供給される加圧空気により伸長するエアシリンダである。また、プッシャーシリンダ45のロッド47の先端には、略円柱状の支持部材48が取着している。支持部材48は、プッシャーシリンダ45の伸縮により、先端ガイドブッシュ57に沿って内空間50内を摺動する。このプッシャーシリンダ45が押圧剥離機構である。
【0027】
プッシャーコア40は、先端側が縮径した略截頭円錘状をしており、支持部材48の先端面49に二本のネジ42によって取着されている。プッシャーコア40の外周面であるプッシャー面41の勾配は、メインコア30のメイン面31の勾配と略同じになっている。このプッシャー面41がラベル供給用コア19の密着面を分けたプッシャー部である。
【0028】
次に、空気路24を通して供給される加圧空気の制御により、プッシャーシリンダ45が伸縮することで、プッシャーコア40とメインコア30とが離間及び当接することについて、
図4を用いて説明する。プッシャーシリンダ45への加圧空気の供給がない場合には、プッシャーシリンダ45は、内部に設けられているバネにより縮退する方向に付勢されており、
図4のaに示すように、プッシャーコア40とメインコア30とは当接してしている。一方、プッシャーシリンダ45への加圧空気の供給がある場合には、プッシャーシリンダ45は、加圧空気によって伸長され、
図4のbに示すように、プッシャーコア40とメインコア30とは離間する。
【0029】
次に、ラベル供給用コア装置20を用いて、ラベル10をインサート成形用金型12のキャビティ13へ供給する仕方について、
図5を用いて説明する。
先ず、
図5のaに示すように、疑似金型(特許文献4参照)等の公知の方法を用いて丸めたラベル10をプッシャーコア40のプッシャー面41及びメインコア30のメイン面31に巻き付けて密着させ、吸引溝32内を吸引により負圧にすることでラベルを吸着し保持しているラベル供給用コア装置20を、ラベル10を帯電させつつ、取付プレート21を移動させ、インサート成形用金型12に近づける。そして、
図5のbに示すように、インサート成形用金型12のキャビティ13内に、先端がキャビティ13の底壁面15に当接するように挿入する。この状態で、プッシャー面41及びメイン面31とキャビティ13の周壁面14とのクリアランスは、ラベル10の厚さと略同じになっている。
キャビティ13に挿入した後、吸引溝32内の吸引を止める。
その後、開放溝33内を加圧すると共に、プッシャーシリンダ45へ加圧空気を供給する。そして、プッシャーシリンダ45の押圧によりプッシャーコア40でラベル10をキャビティ13の周壁面14に押し付けながら、プッシャーシリンダ45を伸長させて、プッシャーコア40とメインコア30とを離間させつつ、取付プレート21をインサート成形用金型12から離れる方向へ移動させて、メインコア30をキャビティ13から離脱する方向に移動させる。そして、
図5のcに示すように、ラベル10をメイン面31から剥離させて、キャビティ13の周壁面14に付着させる。
その後、
図5のdに示すように、インサート成形用金型12から取付プレート21をさらに離すことで、ラベル10をキャビティ13の周壁面14に付着させた状態で、ラベル供給用コア装置20をキャビティ13から離脱させる。
【0030】
ラベル供給用コア装置20によれば、プッシャーコア40でラベル10をキャビティ13の周壁面14に押し付けながら、プッシャーコア40とメインコア30とを離間し、メインコア30をキャビティ13から離脱する方向へ移動させて、ラベル10をメインコア30のメイン面31から剥離することから、厚さが30μm程度の薄いラベルでも確実にキャビティ13の周壁面14に付着させることができ、ラベル10を安定してインサート成形用金型12のキャビティ13へ供給することができた。
【実施例2】
【0031】
本発明の実施例2のラベル供給用コア装置60について、
図6〜
図10を用いて説明する。
【0032】
ラベル供給用コア装置60は、
図6に示すように、一つの取付プレート61に四つ取り付けられることで、多数個取り(この場合は四個取り)のインサート成形用金型11に対して、一度に全て(四個)のキャビティ13にラベル10を供給する場合に用いられる。なお、ラベル供給用コア装置60は、多数個取り用として一つの取付プレートに複数取り付けられる場合だけでなく、一つの取付プレートに一つだけ取り付けられる場合にも用いることができる。
【0033】
ラベル供給用コア装置60は、メインコア30が取付プレート61と直交する方向に変位可能に取り付けられるよう、取付プレート61への取り付けに、スペーサ23の替わりに、スプリングガイド65とブッシュ67とを用いた点と、メインコア30と取付プレート61との間に弾性機構として、コイルスプリング62が介装されている点とが実施例1のラベル供給用コア装置20と異なり、その他の点については、ラベル供給用コア装置20と同じである。なお、
図6〜
図10において、ラベル供給用コア装置20と同じ部材には、同じ符号を付している。
【0034】
具体的には、メインコア30の基端面34に略円柱状の二本のスプリングガイド65を互いに離間させてボルト66で螺着すると共に、二本のスプリングガイド65に対応する取付プレート61のそれぞれの位置に、スプリングガイド65を挿通する円環状のブッシュ67を貫設することで、メインコア30は取付プレート61と直交する方向に変位できるようにして取付プレート61に取り付けられている。また、二本のスプリングガイド65のそれぞれにコイルスプリング62を外嵌し、コイルスプリング62によって、取付プレート61と離間する方向にメインコア30を付勢している。
【0035】
このようにしてメインコア30が取付プレート61に取り付けられていることから、ラベル供給用コア装置60は、
図9のaに示すように、先端がキャビティ13の底壁面15に当接しているときに、取付プレート61をインサート成形用金型11へ近づく方向(
図9のaの矢印の方向)に移動させると、
図9のbに示すように、取付プレート61がスプリングガイド65に沿って移動して、コイルスプリング62が収縮すると共に、メインガイド25がメインコア30に対して先端方向に移動して、プッシャーシリンダ45が収縮する。そのため、メインコア30及びプッシャーコア40の位置を変えないで、取付プレート61をラベル供給用コア装置60及びインサート成形用金型11に近づけることができる。
【0036】
次に、複数(この場合は二つである)のラベル供給用コア装置60が、部品精度のばらつきにより、取付プレート61から先端までの距離が互いに異なる場合について、
図10を用いて説明する。
【0037】
図10のaに示すように、二つのラベル供給用コア装置60は、部品精度のばらつきにより、先端の位置が互いに異なることから、取付プレート61から先端までの距離が長い方のラベル供給用コア装置63がインサート成形用金型11のキャビティ13の底壁面15に当接している(ラベル供給用コア装置63のプッシャーコア40のプッシャー面41及びメインコア30のメイン面31とキャビティ13の周壁面14とのクリアランスは、ラベル10の厚さと略同じになっている)場合でも、取付プレート61から先端までの距離が短い方のラベル供給用コア装置64は、キャビティ13の底壁面15に当接できず、キャビティ13の周壁面14とのクリアランスもラベル10の厚さより大きくなっている。そこで、
図10のbに示すように、ラベル供給用コア装置63については、コイルスプリング62及びプッシャーシリンダ45が収縮することで、ラベル供給用コア19を移動させないようにして、ラベル供給用コア装置64がキャビティ13の底壁面15に当接するまで取付プレート61を移動させ、ラベル供給用コア装置64のプッシャー面41及びメイン面31とキャビティ13の周壁面14とのクリアランスを、ラベル10の厚さと略同じになるように小さくできる。
【0038】
ラベル供給用コア装置60によれば、実施例1のラベル供給用コア装置20で得られる効果に加え、部品精度等のばらつきによるラベル供給用コア装置60とキャビティ13とのクリアランスを調整できた。そのため、特に、多数個取りするインサート成形用金型11のそれぞれのキャビティ13に対しラベル10を安定して供給することができた。また、ラベル供給用コア装置60を取付プレート61に取り付けるときの精度等もラフにできることから、ラベル供給用コア装置60を用いてラベル10をインサート成形用金型11に供給する装置のセッティング時間も短くできた。
【0039】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。