特許第5649904号(P5649904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社テイエルブイの特許一覧

<>
  • 特許5649904-排気弁 図000002
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649904
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】排気弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 24/00 20060101AFI20141211BHJP
【FI】
   F16K24/00 M
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2010-233008(P2010-233008)
(22)【出願日】2010年10月15日
(65)【公開番号】特開2012-87833(P2012-87833A)
(43)【公開日】2012年5月10日
【審査請求日】2013年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】関 利行
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−019730(JP,A)
【文献】 実公昭53−001622(JP,Y2)
【文献】 特開2003−194248(JP,A)
【文献】 特開2003−307276(JP,A)
【文献】 特開2003−269633(JP,A)
【文献】 特開2003−194247(JP,A)
【文献】 特開2011−163547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 21/00−24/06;31/18−31/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングで下部に流入口が開口し上部に流出口が開口した弁室を形成し、前記弁室と前記流出口との間に弁座を形成し、前記弁室内に前記弁室内壁との間に流路を設けた有底のほぼ円筒形状で底部に通孔を有するフロート受けを配し、前記フロート受け内にフロートを自由状態で配し、前記フロート受けの底部に常開の第2通孔を設け、前記第2通孔から前記フロートへの流体の直進を妨げる障壁部材を前記第2通孔の前記フロート側に設け、前記通孔は常開であり前記流入口から前記弁室に流入してくる流体を前記フロート受け内へ導入することを特徴とする排気弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管に水を送り込むときに開弁して配管内の空気を排気し、排気が終われば閉弁し、また配管系の圧力が低下して真空状態となったときに開弁して外部空気を導入することにより真空状態を破壊する排気弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排気弁は、例えば特許文献1に開示されている。これは、ケーシングで下部に流入口が開口し上部に流出口が開口した弁室を形成し、弁室と流出口の間に弁座を形成し、弁室内に弁室内壁との間に流路を設けた有底のほぼ円筒形状で底部に通孔を有するフロート受けを配し、フロート受け内にフロートを自由状態で配したものである。この排気弁は、先ず配管に水を送り込むときにはフロートが弁座から離座して降下した開弁状態であり、流入口から弁室内に流入してくる配管内の空気をフロート受けと弁室内壁との間の流路からフロート受け上端を通して、及び通孔からフロート受け内を通して流出口に排気する。そして排気が終わって配管内の水が流入口から弁室内に流入してくると、フロート受けと弁室内壁との間の流路からフロート受け上端を通して、及び通孔からフロート受け内に流入する水によってフロートが浮上して弁座に着座し閉弁する。また配管系の圧力が低下して真空状態となったときにはフロートが弁座から離座して降下し、流出口から弁室内に流入してくる外部空気をフロート受け内から通孔を通して、及びフロート受けの上端からフロート受けと弁室内壁との間の流路を通して配管内に導入することにより真空状態を破壊する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭53−1622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の排気弁は、真空状態を破壊するときにフロートが充分に降下せず、半開状態になったりあるいは小刻みな開閉弁を繰り返したりするために、真空破壊能力が小さく真空破壊に時間がかかると言う問題点があった。これは、流出口から弁室内に流入する外部空気の大半が直進してフロート受け内に入り、フロート受け内に入った外部空気が通孔を通過しきれないために、フロート受け内のフロート下方の圧力が上昇し、フロートが浮き上がるためである。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、真空破壊能力が大きく速やかに真空破壊できる排気弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の排気弁は、ケーシングで下部に流入口が開口し上部に流出口が開口した弁室を形成し、弁室と流出口の間に弁座を形成し、弁室内に弁室内壁との間に流路を設けた有底のほぼ円筒形状で底部に通孔を有するフロート受けを配し、フロート受け内にフロートを自由状態で配したものにおいて、フロート受けの底部に第2通孔を設け、第2通孔からフロートへの流体の直進を妨げる障壁部材を第2通孔のフロート側に設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フロート受けの底部に第2通孔を設け、第2通孔からフロートへの流体の直進を妨げる障壁部材を第2通孔のフロート側に設けたことにより、フロート受け内に入った外部空気が通孔及び第2通孔を通して素早く流入口に流下でき、フロート受け内のフロート下方の圧力が上昇することを防止できる。そのため、真空破壊能力が大きく速やかに真空破壊できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係わる排気弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。本体1に蓋2をボルトで締結して内部に弁室3を有するケーシングを形成する。本体1の下部に流入口4を形成し、蓋2の上部に流出口5を形成する。蓋2に弁座6を間に挟んで取付部材7をネジで固定する。
【0010】
本体1は弁室3の内壁に内側に突出した複数のリブ9を一体に有し、リブ9の内側に有底のほぼ円筒形状のフロート受け10をスナップリングで固定する。フロート受け10の底部は内外を連通する通孔11及び第2通孔15を有する。各リブ9の間に弁室3内壁とフロート受け10との間の流路が形成される。フロート受け10内に球形のフロート12を自由状態で配置する。
【0011】
フロート受け10は底部の内壁に複数のリブ14を介した障壁部材13を一体に有する。障壁部材13はフロート12の下方に位置し、第2通孔15からフロート12への流体の直進を妨げる。
【0012】
上記実施例の作動を説明する。先ず配管に水を送り込むときにはフロート12は弁座6から離座して降下しフロート受け10の障壁部材13に載った開弁状態である。流入口4から弁室3内に流入してくる空気はフロート受け10と弁室3内壁との間の流路からフロート受け10上端を通して、及び通孔11と第2通孔15からフロート受け10内を通して流出口5に排気する。このとき、障壁部材13により第2通孔15からフロート12への空気の直進が妨げられるので、フロート12が浮上することがない。そして排気が終わって配管内の水が流入口4から弁室3内に流入してくると、水はフロート受け10と弁室3内壁との間の流路からフロート受け10上端を通して、及び通孔11と第2通孔15からフロート受け10内に流入し、水位上昇に伴ってフロート12が浮上して弁座6に着座し閉弁する。これにより、水の漏出を防止する。配管系の圧力が低下して真空状態となったときにはフロート12が弁座6から離座して降下しフロート受け10の障壁部材13に載った開弁状態となる。これにより、弁室3内に流入してくる外部空気をフロート受け10内から通孔11と第2通孔15を通して、及びフロート受け10と弁室3内壁との間の流路を通して、配管内に導入することにより真空状態を破壊する。このとき、フロート受け10内に入った外部空気が通孔11及び第2通孔15を通して素早く流入口4に流下できるので、フロート受け10内のフロート12下方の圧力が上昇することを防止でき、真空破壊能力が大きく速やかに真空破壊できる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、送水始めに配管内の空気を排気し、排気が終われば閉弁し、配管内が真空状態となったときに外部空気を導入して真空状態を破壊する排気弁に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 蓋
3 弁室
4 流入口
5 流出口
6 弁座
9 リブ
10 フロート受け
11 通孔
12 フロート
13 障壁部材
14 リブ
15 第2通孔
図1