(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る中継装置の実施の形態を詳細に説明する。最初に、この中継装置を備えて構成された火災報知システムの全体構成を説明し、次に、この中継装置の構成を説明し、火災報知システムを構成する各機器が実行する中継処理の流れについて説明し、この中継装置の中継処理について説明し、最後に本実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、実施の形態に係る中継装置の設置対象や適用対象は任意であるが、以下では、オフィスビルの屋内に設置された中継装置であって、無線信号によって中継を行なう無線式中継装置と、有線信号によって中継を行う有線式中継装置のうち、有線式中継装置に適用した場合を例として説明を行う。
【0016】
〔実施の形態〕
(構成−火災報知システム)
図1は火災報知システムの構成を示す概略図である。
図1に示すように、火災報知システム1は、無線式感知器10、第1有線式感知器20、第2有線式感知器30、発信機40、有線式中継装置50、無線式中継装置60、受信装置70、及び受信機80を備えて構成されている。無線式感知器10、第1有線式感知器20、第2有線式感知器30、発信機40、有線式中継装置50、無線式中継装置60、及び受信装置70は、建物の各階における天井や壁に配置されている。このうち、無線式感知器10、第1有線式感知器20、第2有線式感知器30、及び発信機40は、それぞれ法定の設置基準(例えば機器の設置間隔、床面積あたりの機器の設置数等)を満たすように、各階毎に1台又は複数台が配置されている。有線式中継装置50は、第1有線式感知器20、第2有線式感知器30が設置されている階に1台又は複数台が配置されている(
図1の例では2階に設置)。また、有線式中継装置50及び第1有線式感知器20、又は有線式中継装置50及び第2有線式感知器30は、信号線3及び図示しない電源線により接続されている。無線式中継装置60は、各階において中継対象となる無線式感知器10、発信機40、及び有線式中継装置50と、受信装置70との相互間に配置されている。受信装置70は、各階に1台配置されている。受信機80は、建物に1台配置されており、例えば建物の管理人室に設置されている。また、これら受信装置70及び受信機80は、信号線2及び電源線4により接続されている。
【0017】
ここで、無線式感知器10及び発信機40は、火災を報知する火災信号又は火災からの復旧を報知する火災復旧信号を送信する無線式の火災報知端末である。一方、第1有線式感知器20及び第2有線式感知器30は、火災信号又は火災復旧信号を送信する有線式の火災報知端末である。有線式中継装置50は、第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30から火災信号又は火災復旧信号を信号線3を介して受信し、当該受信した火災信号又は火災復旧信号を無線式中継装置60及び/又は受信装置70に中継したり、図示しない電源線を介して第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30への電力供給を行うものである。また、この有線式中継装置50は、発信機40から火災信号又は火災復旧信号を無線で受信し、当該受信した火災信号又は火災復旧信号を無線式中継装置60及び/又は受信装置70に中継するものでもある。無線式中継装置60は、無線式感知器10、発信機40、又は有線式中継装置50から火災信号又は火災復旧信号を受信し、当該受信した火災信号又は火災復旧信号を受信装置70に中継するものである。受信装置70は、無線式感知器10、発信機40、有線式中継装置50、及び/又は無線式中継装置60から送信された火災信号又は火災復旧信号を受信し、当該受信した火災信号を信号線2を介して受信機80に出力するものである。受信機80は、受信装置70から信号線2を介して入力された情報に基づき、警報表示や警報音の出力等の各種処理を実行したり、電源線4を介して受信装置70への電力供給を行うものである。
【0018】
次に、信号線2を介した各端末機器の接続形態について説明する。本実施の形態において、火災報知システム1は、いわゆるP型1級又はP型2級の火災報知システムとして構成されている。
図2は、信号線2の接続状況を示す概要図である。この
図2に示すように、信号線2は、A線2a、C線2b、及びL線2cを含んで構成されており、これらA線2a、C線2b、及びL線2cは、受信装置70及び受信機80を相互に接続する。また、A線2aは、建物の各階毎に設けられた受信装置70に渡り接続されている(図示省略)。A線2aとC線2b(以下「A−C線」2dという)は、受信装置70にて受信された発信機40の火災信号を受信機80に向けて送信する線である。また、L線2cとC線2b(以下「L−C線」2eという)は、受信装置70にて受信された無線式感知器10、第1有線式感知器20、又は第2有線式感知器30の火災信号を送信する線であり、発信機40の火災信号を送信する線でもある。各系統(ここでは、建物の各階毎)のL−C線2eにおける終端には、図示しない終端抵抗が設けられている。
【0019】
(構成−火災報知システム−無線式感知器)
次に、無線式感知器10の構成について説明する。無線式感知器10は、センサ部、無線送信部、及び電源部を備えて構成されている(図示省略)。センサ部は、温度や煙濃度等を検知するための検知手段である。無線送信部は、火災信号又は火災復旧信号を送信する無線送信手段である。この無線送信部は、例えば、図示しない火災判断部によって、センサ部における温度や煙濃度の検知結果をもとに、この検知結果が閾値よりも高いと判断された場合に、無線送信部は火災信号を送信する。また、当該火災信号が送信された後、図示しない火災判断部によって、検知結果が閾値よりも低いと判断された場合に、無線送信部は火災復旧信号を送信する。また、この無線送信部は、例えば、無線式感知器10が備える公知の記憶手段(図示省略)に予め記憶された情報であって、当該無線式感知器10を一意に識別する無線端末識別情報を火災信号又は火災復旧信号に含めて送信する(後述する発信機40の無線送信部43についても同様)。ここで、公知の記憶手段に記憶される無線端末識別情報としては、例えば無線式感知器10のアドレス番号又はシリアル番号を用いることができる(後述する発信機40の無線端末識別情報についても同様)。電源部は、無線式感知器10の各部に電力を供給する電力供給手段であり、例えば公知の乾電池や充電池を備えて構成される(後述する発信機40の電源部45、有線式中継装置50の電源部55、及び無線式中継装置60の電源部64についても同様)。なお、無線端末識別情報は、特許請求の範囲における第2識別情報に対応するものである。
【0020】
(構成−火災報知システム−第1有線式感知器及び第2有線式感知器)
次に、第1有線式感知器20及び第2有線式感知器30の構成について説明する。第1有線式感知器20及び第2有線式感知器30は、検知部及び有線送信部を備えて構成されている(図示省略)。検知部は、火災を検知するための検知手段であり、例えばダイアフラム、バイメタル等を備えて構成される。有線送信部は、火災信号又は火災復旧信号を送信する有線送信手段であり、有線信号の送信回路(図示せず)を備えている。この有線送信部の火災信号の送信方法としては、例えば、検知部がダイアフラムである場合、周囲温度が急激に上昇すると、当該機器の内部の空気が膨張するので、ダイアフラムが押し上げられる。そして、このダイアフラムが所定位置まで押し上げられると、送信回路の電気接点が閉じて、当該送信回路に図示しない電源線から供給されている電流が流れることにより、有線送信部が火災信号を送信する。また、この有線送信部の火災復旧信号の送信方法としては、例えば、有線送信部が火災信号を送信した後、周囲温度が低下すると、当該機器の内部の空気が収縮するので、ダイアフラムが押し下げられる。そして、このダイアフラムが所定位置よりも押し下げられると、送信回路の電気接点が開いて、当該送信回路に図示しない電源線から供給されている電流が流れなくなるので、そのタイミングで有線送信部が火災復旧信号を送信する。
【0021】
(構成−火災報知システム−発信機)
次に、発信機40の構成について説明する。
図3は発信機40の電気的構成を示したブロック図である。
図3に示すように、発信機40は、押しボタン部41、テストスイッチ部42、無線送信部43、表示部44、電源部45、制御部46、及び記憶部47を備えて構成されている。なお、電源部45の構成については上述の無線式感知器10における電源部と同様であるので、特記する部分を除き説明を省略する。
【0022】
押しボタン部41は、ユーザによる火災信号の送信の有無を受け付ける操作手段である。また、テストスイッチ部42は、ユーザによる当該発信機40の機能試験を行うための試験信号の送信の有無を受け付ける試験操作手段である。
【0023】
無線送信部43は、火災信号、火災復旧信号、又は試験信号を送信する無線送信手段であり、例えばユーザによって押しボタン部41が押し下げられた場合に火災信号を送信し、ユーザによって押しボタン部41が押し下げられる前の状態に復旧された場合に火災復旧信号を送信する。
【0024】
表示部44は、発信機40に関する情報を表示するための表示手段であり、例えば公知のLEDランプ、蛍光ランプ等を備えて構成される。
【0025】
制御部46は、発信機40の各部を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成される(後述する有線式中継装置50の制御部56、無線式中継装置60の制御部65、及び受信装置70の制御部76についても同様)。
【0026】
記憶部47は、当該発信機40を一意に識別する無線端末識別情報等を記憶する記憶手段である。この記憶部47は、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる(後述する有線式中継装置50の記憶部57、無線式中継装置60の記憶部66、及び受信装置70の記憶部77についても同様)。
【0027】
(構成−火災報知システム−有線式中継装置)
次に、有線式中継装置50の構成について説明する。
図4は有線式中継装置50の電気的構成を示したブロック図である。
図4に示すように、有線式中継装置50は、操作部51、表示部52、有線受信部53、無線通信部54、電源部55、制御部56、及び記憶部57を備えている。なお、電源部55の構成については上述の無線式感知器10における電源部と同様であるので、特記する部分を除き説明を省略する。
【0028】
操作部51は、有線式中継装置50に対する操作入力を受け付ける操作手段であり、例えばスイッチやタッチパネル等の公知の操作手段を用いて構成される(後述する無線式中継装置60の操作部61、及び受信装置70の操作部71についても同様)。
【0029】
表示部52は、有線式中継装置50に関する情報を表示するための表示手段であり、例えば公知の7セグメントディスプレイや液晶ディスプレイ、LED等を備えて構成される(後述する無線式中継装置60の表示部62、及び受信装置70の表示部72についても同様)。
【0030】
有線受信部53は、火災信号又は火災復旧信号の受信を行う受信手段である。この有線受信部53は、第1有線式感知器20から火災信号又は火災復旧信号を受信する第1有線受信部53a、及び第2有線式感知器30から火災信号又は火災復旧信号を受信する第2有線受信部53bを備えて構成されている。これら第1有線受信部53a及び第2有線受信部53bは、火災信号又は火災復旧信号の受信回路(図示せず)を備えている。そして、第1有線受信部53aは、受信回路を介して第1有線式感知器20から送信された火災信号又は火災復旧信号の受信を行い、第2有線受信部53bは、受信回路を介して第2有線式感知器30から送信された火災信号又は火災復旧信号の受信を行う。
【0031】
無線通信部54は、火災信号又は火災復旧信号の受信及び送信を行う無線通信手段である。この無線通信部54は、例えば無線信号の受信回路及び送信回路(いずれも図示せず)を備え、受信回路を介して発信機40から送信された火災信号又は火災復旧信号の受信を行い、送信回路を介して無線式中継装置60及び/又は受信装置70に向けて、第1有線式感知器20、第2有線式感知器30、又は発信機40から受信した火災信号又は火災復旧信号の送信を行う。この無線通信部54の火災信号又は火災復旧信号の受信方法は任意であり、例えば、電源部55の電力消費を抑えるために、無線通信部54は火災信号又は火災復旧信号を間欠受信してもよい。なお、無線通信部54が第1有線式感知器20等から受信した火災信号又は火災復旧信号を送信することは、特許請求の範囲における無線送信手段に対応するものである。
【0032】
制御部56は、有線式中継装置50の各部を制御する制御手段である。この制御部56は、機能概念的に火災信号生成部56aを備えている。火災信号生成部56aは、有線受信部53が第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30から火災信号又は火災復旧信号を受信した場合に、後述する有線端末識別情報テーブル57aから有線端末識別情報を取得し、当該取得した有線端末識別情報を当該受信した火災信号に付加する火災信号生成手段である。なお、この制御部56によって実行される処理の詳細については後述する。
【0033】
記憶部57は、制御部56が無線通信部54によって、火災信号又は火災復旧信号を無線式中継装置60及び/又は受信装置70に向けて送信させる際に参照するための有線端末識別情報テーブル57aを備えている。
図5は有線端末識別情報テーブル57aに格納される情報の内容を例示した表である。
図5に示すように、有線端末識別情報テーブル57aには、テーブル項目「受信部」、「種別」、及び「端末ID」に対応する情報が相互に関連付けて格納される。項目「受信部」に対応して格納される情報は、火災信号又は火災復旧信号を受信した受信部を特定する受信部特定情報であり、例えば「第1有線受信部」、「第2有線受信部」が格納される。項目「種別」に対応して格納される情報は、機器の種別を特定する種別情報であり、例えば「第1有線式感知器」、「第2有線式感知器」が格納される。項目「端末ID」に対応して格納される情報は、第1有線式感知器20及び第2有線式感知器30を一意に識別するための有線端末識別情報であり、例えば第1有線式感知器20及び第2有線式感知器30のアドレス番号(
図5では「0101」、「0102」)が格納される。なお、有線端末識別情報テーブル57aは、特許請求の範囲における第1識別情報格納手段に対応するものであり、また有線端末識別情報は、特許請求の範囲における第1識別情報に対応するものである。
【0034】
(構成−火災報知システム−無線式中継装置)
次に、無線式中継装置60の構成について説明する。
図6は無線式中継装置60の電気的構成を示したブロック図である。
図6に示すように、無線式中継装置60は、操作部61、表示部62、無線通信部63、電源部64、制御部65、及び記憶部66を備えている。なお、操作部61及び表示部62の構成については上述の有線式中継装置50における操作部51及び表示部52と同様であり、電源部64の構成については上述の無線式感知器10における電源部と同様であり、制御部65の構成については上述の発信機40における制御部46と同様であるので、特記する部分を除き説明を省略する。
【0035】
無線通信部63は、火災信号又は火災復旧信号の受信及び送信を行う無線通信手段である。この無線通信部63は、例えば無線信号の受信回路及び送信回路(いずれも図示せず)を備え、受信回路を介して無線式感知器10、発信機40、又は有線式中継装置50から送信された火災信号又は火災復旧信号の受信を行い、送信回路を介して受信装置70への火災信号又は火災復旧信号の送信を行う。
【0036】
記憶部66は、制御部65による制御に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段である。
【0037】
(構成−火災報知システム−受信装置)
次に、受信装置70の構成について説明する。
図7は、受信装置70の電気的構成を概念的に示すブロック図である。
図7に示すように、受信装置70は、操作部71、表示部72、無線受信部73、信号出力部74、電源回路部75、制御部76、及び記憶部77を備えている。なお、操作部71及び表示部72の構成については上述の有線式中継装置50における操作部51及び表示部52と同様であるので、特記する部分を除き説明を省略する。
【0038】
無線受信部73は、火災信号又は火災復旧信号の受信を行う無線受信手段である。この無線受信部73は、火災信号又は火災復旧信号の受信回路(図示せず)を備え、受信回路を介して無線式感知器10、発信機40、有線式中継装置50、及び/又は無線式中継装置60から送信された火災信号又は火災復旧信号の受信を行う。
【0039】
信号出力部74は、無線式感知器10、発信機40、有線式中継装置50、及び/又は無線式中継装置60から受信した火災信号を受信機80に出力する信号出力手段である。この信号出力部74は、A−C出力部74a及びL−C出力部74bを備えて構成されている。A−C出力部74aは、A−C線2dを介して、発信機40、有線式中継装置50、及び/又は無線式中継装置60から受信した火災信号を受信機80に出力するA−C出力手段である。L−C出力部74bは、L−C線2eを介して、無線式感知器10及び/又は無線式中継装置60から受信した火災信号を受信機80に出力したり、有線式中継装置50及び/又は無線式中継装置60から受信した火災信号を受信機80に出力したり、発信機40、有線式中継装置50、及び/又は無線式中継装置60から受信した火災信号を受信機80に出力するL−C出力手段である。
【0040】
図8は、信号出力部74の各端子の接続状況を示す概略図である。
図8に示すように、信号出力部74は、A線出力端子2a1、A線入力端子2a2、C線出力端子2b1、C線入力端子2b2、L線出力端子2c1、及びL線入力端子2c2を備えて構成されている。これらA線出力端子2a1、C線出力端子2b1、及びL線出力端子2c1は、火災信号を受信機80に出力するためのものであり、受信機80側とは逆側(受信装置70を挟んで受信機80側と反対に位置する側)のA線2a、C線2b、及びL線2cと各々接続されている。また、これらA線入力端子2a2、C線入力端子2b2、及びL線入力端子2c2は、火災信号を受信機80に入力するためのものであり、受信機80側のA線2a、C線2b、及びL線2cと各々接続されている。
【0041】
L線出力端子2c1とL線入力端子2c2とを接続するL線2cには、当該L線2cの接続切替のためのリレー2fが設けられている。また、L線出力端子2c1とL線入力端子2c2とを接続するL線2cとC線出力端子2b1とC線入力端子2b2とを接続するC線2bとの間には、これらL線2c及びC線2bの接続切替のためのリレー2gが設けられている。このリレー2gは、リレー2fよりも受信機80側に配置されている。また、A線出力端子2a1とA線入力端子2a2とを接続するA線2aとL線出力端子2c1とL線入力端子2c2とを接続するL線2cとの間には、これらA線2a及びC線2bの接続切替のためのリレー2hが設けられている。
【0042】
ここで、この信号出力部74が火災信号を受信機80に対して出力する方法としては、例えば、信号出力部74が、受信装置70と接続された信号線2を導通可能にさせたり、あるいは短絡させることにより、無線式感知器10、第1有線式感知器20、第2有線式感知器30、又は発信機40の火災信号を受信機80に送信する。具体的には、信号出力部74が通常動作を行う場合には、L−C出力部74bは、L−C線2eが導通可能になるように、L線2cをリレー2fにより接続させる。また、信号出力部74が無線式感知器10、第1有線式感知器20、又は第2有線式感知器30の火災信号を受信機80に対して出力する場合には、L−C出力部74bは、L−C線2eが短絡するように、当該L−C線2eをリレー2gにより接続させる。また、信号出力部74が発信機40の火災信号を受信機80に対して出力する場合には、A−C出力部74aは、A−C線2dが短絡するように、当該A−C線2dをリレー2hにより接続させると共に、L−C出力部74bは、L−C線2eが短絡するように、当該L−C線2eを公知のリレー2gにより接続させる。
【0043】
電源回路部75は、電源線4を介して受信機80から供給された電力を受信装置70の各部に供給する(なお、電源回路部75から受信装置70の各部に対する電力供給線の図示は省略する)。
【0044】
制御部76は、受信装置70の各部を制御する制御手段である。この制御部76は、機能概念的に識別情報取得部76aを備えている。識別情報取得部76aは、受信装置70が火災信号又は火災復旧信号を受信した場合に、当該火災信号又は火災復旧信号から識別情報を取得する識別情報取得手段である。なお、この制御部76によって実行される処理の詳細については後述する。
【0045】
記憶部77は、制御部76が信号出力部74によって、火災信号を受信機80に送信する際に参照するための移報方法テーブル77aを備えている。
図9は移報方法テーブル77aに格納される情報の内容を例示した表である。
図9に示すように、移報方法テーブル77aには、テーブル項目「無線端末ID」、「種別」、及び「移報方法」に対応する情報が相互に関連付けて格納される。項目「無線端末ID」に対応して格納される情報は、無線式感知器10、第1有線式感知器20、第2有線式感知器30、又は発信機40を一意に識別する識別情報であり、例えば無線式感知器10等のアドレス番号(
図9では「0101」、「0102」、「0103」、「0104」等)が格納される。項目「種別」に対応して格納される情報は、機器の種別を特定する種別情報であり、例えば「第1有線式感知器」、「第2有線式感知器」、「発信機」、「無線式感知器」等が格納される。項目「移報方法」に対応して格納される情報は、無線式感知器10、第1有線式感知器20、第2有線式感知器30、又は発信機40の火災信号の移報方法を特定するための移報方法情報であり、例えば「L−C線短絡」、「L−C線、及びA−C線短絡」等が格納される。
【0046】
(構成−火災報知システム−受信機)
次に、受信機80の構成について説明する。この受信機80としては、例えば公知の防災受信機を用いることができる。
【0047】
(火災報知システムを構成する各機器が実行する中継処理について)
次に、火災報知システム1を構成する各機器が実行する中継処理について説明する。
図1に示すように、建物の2階に無線式感知器10、第1有線式感知器20、第2有線式感知器30、発信機40、有線式中継装置50、無線式中継装置60、及び受信装置70が設置されている場合を例に挙げて説明する。
図10は、第1有線式感知器20、発信機40、有線式中継装置50、及び受信装置70によって実行される中継処理の流れを示したフローチャートである(なお、無線式中継装置60の動作の図示は省略する)。また、
図11は、
図10に続く第1有線式感知器20、発信機40、有線式中継装置50、及び受信装置70が実行する中継処理の流れを示したフローチャートである。なお、以下の説明では、「ステップ」を「S」と略記する。また、第1有線式感知器20のステップを「SA」、発信機40のステップを「SB」、有線式中継装置50のステップを「SC」、及び受信装置70のステップを「SD」と略記する。また、有線式中継装置50の動作中に発生したイベントは、有線式中継装置50の制御部56によって記憶部57に記録されるものとする。
【0048】
図10及び
図11に示すように、第1有線式感知器20の検知部にて火災が検知されたことによって、当該第1有線式感知器20の有線送信部が火災信号を送信した場合(SA1)、有線式中継装置50の第1有線受信部53aは、信号線3を介して第1有線式感知器20から火災信号を受信する(SC1)。次いで、有線式中継装置50の火災信号生成部56aは、有線端末識別情報テーブル57aから取得した有線端末識別情報を第1有線受信部53aにて受信した火災信号に付加し(SC2)、有線式中継装置50の無線通信部54は、当該火災信号生成部56aにて有線端末識別情報が付加された火災信号を無線で送信する(SC3)。なお、第1有線式感知器20の有線送信部は、検知部にて火災が検知されなくなるまで火災信号を継続して送信する(以下、後述するSB1の火災信号についても同様とする)。
【0049】
続いて、受信装置70の無線受信部73は、有線式中継装置50及び/又は無線式中継装置60から火災信号を受信し(SD1)、信号出力部74は、当該無線受信部73にて受信した第1有線式感知器20の火災信号の移報を受信機80に対して行う(SD2)。
【0050】
次に、発信機40の押しボタン部41が押し下げられたことによって、当該発信機40の無線送信部43が火災信号を送信した場合(SB1)、有線式中継装置50の無線通信部54は、発信機40から火災信号を受信する(SC4)。次いで、有線式中継装置50の無線通信部54は、当該無線通信部54にて受信した火災信号を無線で送信する(SC5)。なお、発信機40の無線送信部43は、火災信号を有線式中継装置50を介して受信装置70に送信することに限られず、例えば、発信機40の無線送信部43は、火災信号を受信装置70に直接送信してもよい。
【0051】
続いて、受信装置70の無線受信部73は、発信機40、有線式中継装置50、及び/又は無線式中継装置60から火災信号を受信する(SD3)。ここで、受信装置70の信号出力部74は、SD2の第1有線式感知器20の火災信号の移報を行っている状態であるが、発信機40が火災信号を出力していることを受信機80に知らせるために、この第1有線式感知器20の火災信号の移報に替えて、無線受信部73にて受信した発信機40の火災信号の移報を受信機80に対して行う(SD4)。
【0052】
次に、発信機40の押しボタン部41が押し下げられた状態から押し下げられる前の状態に復旧したことによって、発信機40の無線送信部43が火災復旧信号を送信した場合(SB2)、有線式中継装置50の無線通信部54は、発信機40から火災復旧信号を受信する(SC6)。次いで、有線式中継装置50の無線通信部54は、当該無線通信部54にて受信した火災復旧信号を無線で送信する(SC7)。
【0053】
続いて、受信装置70の無線受信部73は、発信機40、有線式中継装置50、及び/又は無線式中継装置60から火災復旧信号を受信する(SD5)。これにより、受信装置70の信号出力部74が、SD4の発信機40の火災信号の移報を行っている状態から当該発信機40の火災信号の移報を行う前の状態に復旧させる、すなわち発信機40の火災信号の移報を停止する(SD6)。ここで、SD1の処理以降、受信装置70の無線受信部73は、有線式中継装置50及び/又は無線式中継装置60から第1有線式感知器20の火災信号を継続して受信している。そのため、SD6の処理後、受信装置70の信号出力部74は、無線受信部73にて受信した第1有線式感知器20の火災信号の移報を受信機80に対して行う(SD7)。
【0054】
次いで、第1有線式感知器20の検知部にて火災が検知されなくなったことによって、有線式感知器10の有線送信部が火災復旧信号を送信した場合(SA2)、有線式中継装置50の第1有線受信部53aは、信号線3を介して第1有線式感知器20から火災復旧信号を受信する(SC8)。次いで、有線式中継装置50の火災信号生成部56aは、有線端末識別情報テーブル57aから取得した有線端末識別情報を第1有線受信部53aにて受信した火災復旧信号に付加する(SC9)。そして、有線式中継装置50の無線通信部54は、当該火災信号生成部56aにて有線端末識別情報が付加された火災復旧信号を無線で送信する(SC10)。
【0055】
続いて、受信装置70の無線受信部73は、有線式中継装置50及び/又は無線式中継装置60から火災復旧信号を受信し(SD8)、受信装置70の信号出力部74は、SD7の第1有線式感知器20の火災信号の移報を停止する(SD9)。
【0056】
(中継処理)
次に、有線式中継装置50及び受信装置70によって実行される中継処理を、
図10及び
図11に示すSC1〜SC10、SD1〜SD9の中継処理の流れと関連づけて説明する。
図12は有線式中継装置50、及び受信装置70によって実行される中継処理のフローチャートである。この中継処理の実行タイミングは任意で、例えば有線式中継装置50の操作部51及び受信装置70の操作部71を介して中継処理を実行する旨の操作入力がされた場合に実行される。また、受信装置70と受信機80とを接続する信号線2は導通可能な状態であるものとする。なお、以下の説明では、有線式中継装置50のステップを「SE」、及び受信装置70のステップを「SF」と略記する。
【0057】
図12に示すように、最初に、有線式中継装置50の制御部56は有線受信部53又は無線通信部54が火災信号又は火災復旧信号を受信したか否かを判定する(SE1)。例えば、有線式中継装置50の制御部56は、有線受信部53が火災信号又は火災復旧信号を受信した場合に「1」と判定し、無線受信部54が火災信号又は火災復旧信号を受信した場合に「2」と判定し、有線受信部53又は無線通信部54が所定時間(例えば5sec)経過しても火災信号又は火災復旧信号を受信しない場合に「3」と判定する。その結果、有線式中継装置50の有線受信部53又は無線通信部54が火災信号又は火災復旧信号を受信しないと判定された場合(SE1、3)、有線式中継装置50の制御部56は、SE1に移行する。
【0058】
一方、有線式中継装置50の第1有線受信部53aが第1有線式感知器20から火災信号を受信したと判定された場合(SC1)(SE1、1)、有線式中継装置50の制御部56は、火災信号生成部56aによって第1有線受信部53aに対応する有線端末識別情報を有線端末識別情報テーブル57aから取得させ、当該取得した有線端末識別情報を第1有線受信部53aにて受信した火災信号に付加させ(SC2)(SE2)、当該有線端末識別情報が付加された火災信号を無線通信部54によって無線で送信させる(SC3)(SE3)。このように、有線式中継装置50は、第1有線式感知器20と有線接続された有線式中継装置50から火災信号を無線で送信することができるので、第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30を容易に無線化することができる。また、有線式中継装置50の無線通信部54は、第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30から火災信号を受信した場合に、当該無線通信部54が火災信号生成部56aにて有線端末識別情報が付加された火災信号を無線にて送信するので、例えば受信装置70は第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30の火災信号を容易に識別することができる。
【0059】
次いで、受信装置70の制御部76は無線受信部73が火災信号を受信したか否かを監視する(SF1)。ここで、無線受信部73が火災信号を受信した場合(SD1)(SF1、Yes)、受信装置70の識別情報取得部76aは当該無線受信部73にて受信した火災信号から有線端末識別情報を取得する(SF2)。そして、受信装置70の制御部76は移報方法テーブル77aを参照し、当該識別情報取得部76aにて取得された有線端末識別情報に応じて、信号出力部74によって信号線2を短絡させる(SD2)(SF3)。具体的には、受信装置70の制御部76はL−C出力部74bによってL−C線2eを短絡させる。なお、受信装置70の制御部76は、表示部72によってL−C線2eが短絡状態である旨を表示させてもよい。これにより、ユーザに対して信号線2が短絡状態であることを報知することができる。
【0060】
続いて、受信装置70の制御部76は無線受信部73が火災復旧信号を受信したか否かを監視する(SF4)。ここで、無線受信部73が火災復旧信号を受信しなかった場合(SF4、No)、受信装置70の制御部76は、SF1の直前に戻る。
【0061】
次に、有線式中継装置50の無線通信部54が火災信号を受信したと判定された場合(SC4)(SE1、2)、有線式中継装置50の制御部56はSE3に移行し、当該受信した火災信号を無線通信部54によって無線で送信させる(SC5)(SE3)。このように、有線式中継装置50の無線通信部54は、第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30から火災信号を有線にて受信した場合に有線端末識別情報を付加した火災信号を無線で送信し、無線端末識別情報を含む火災信号を発信機40から無線にて受信した場合に当該受信した火災信号をそのまま無線で送信するので、例えば受信装置70は第1有線式感知器20、第2有線式感知器30、又は発信機40の火災信号を容易に識別できる。
【0062】
次いで、受信装置70の無線受信部73が火災信号を受信した場合(SD3)(SF1、Yes)、受信装置70の識別情報取得部76aが当該受信した火災信号から無線端末識別情報を取得する(SF2)。そして、受信装置70の制御部76は移報方法テーブル77aを参照し、識別情報取得部76aにて取得された無線端末識別情報に応じて、信号出力部74によって信号線2を短絡させる(SD4)(SF3)。具体的には、受信装置70の制御部76はL−C出力部74bによってL−C線2eを短絡させた状態を維持させながら、A−C出力部74aによってA−C線2dを短絡させる。
【0063】
続いて、受信装置70の無線受信部73が火災復旧信号を受信しなかった場合(SF4、No)、受信装置70の制御部76は、SF1の直前に戻る。
【0064】
次に、有線式中継装置50の無線通信部54が火災復旧信号を受信したと判定された場合(SC6)(SE1、2)、有線式中継装置50の制御部56はSE3に移行し、当該受信した火災復旧信号を無線通信部54によって無線で送信させる(SC7)(SE3)。
【0065】
次いで、SF1〜SF3の処理後に、又は受信装置70の無線受信部73が火災信号を受信しなかった後に(SF1、No)、受信装置70の無線受信部73が火災復旧信号を受信した場合(SD5)(SF4、Yes)、受信装置70の識別情報取得部76aが当該受信した火災復旧信号から無線端末識別情報を取得する(SF5)。そして、受信装置70の制御部76は識別情報取得部76aにて取得された無線端末識別情報に応じて、信号出力部74によって信号線2を短絡させた状態から短絡させる前の状態に復旧させる(SD6)(SF6)。ここで、SD2の処理以降、受信装置70の無線受信部73が発信機40から火災信号を継続して受信していることから、受信装置70の制御部76は信号出力部74によって信号線2を短絡させる(SD7)(SF6)。具体的には、受信装置70の制御部76はL−C出力部74bによってL−C線2eの短絡状態を維持させながら、A−C出力部74aによってA−C線2dを短絡状態から導通可能な状態へ復旧させる。
【0066】
続いて、受信装置70の制御部76は信号出力部74が信号線2を導通可能な状態にしているか否かを判定する(SF7)。その結果、SD6の処理にて信号線2が短絡状態であることから、信号出力部74が信号線2を導通可能な状態でないと判定された場合(SF7、No)、受信装置70の制御部76はSF1の直前に戻る。
【0067】
次に、有線式中継装置50の第1有線受信部53aが第1有線式感知器20から火災復旧信号を受信したと判定された場合(SC8)(SE1、1)、受信装置70の制御部76は火災信号生成部56aによって第1有線受信部53aに対応する有線端末識別情報を有線端末識別情報テーブル57aから取得させ、当該取得した有線端末識別情報を第1有線受信部53aにて受信した火災復旧信号に付加させる(SC9)(SE2)。そして、有線式中継装置50の制御部56は、無線通信部54によって有線端末識別情報が付加された火災復旧信号を無線で送信させる(SC10)(SE3)。
【0068】
次いで、SF1〜SF3の処理後に、又は受信装置70の無線受信部73が火災信号を受信しなかった後に(SF1、No)、受信装置70の無線受信部73が火災復旧信号を受信した場合(SD8)(SF4、Yes)、受信装置70の識別情報取得部76aが当該受信した火災復旧信号から有線端末識別情報を取得する(SF5)。そして、受信装置70の制御部76は、識別情報取得部76aにて取得された有線端末識別情報に応じて、信号出力部74によって信号線2を短絡させた状態から短絡させる前の状態に復旧させる(SD9)(SF6)。具体的には、受信装置70の制御部76はL−C出力部74bによってL−C線2eを短絡状態から導通可能な状態へ復旧させる。
【0069】
続いて、受信装置70の制御部76は、信号出力部74が信号線2を導通可能な状態にしているか否かを判定する(SF7)。その結果、SD9の処理にて信号線2が導通可能な状態であることから、信号出力部74が導通可能な状態であると判定された場合(SF7、Yes)、受信装置70の制御部76は、処理を終了する。
【0070】
(効果)
このように実施の形態によれば、有線式中継装置50は、自己に有線接続されている第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30から火災信号を有線にて受信した場合に、当該受信した火災信号を無線で送信するので、有線式中継装置50及び第1有線式感知器20、又は有線式中継装置50及び第2有線式感知器30を有線接続することにより、有線式中継装置50から火災信号を無線で送信することができ、第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30を容易に無線化することができる。
【0071】
また、有線式中継装置50が第1有線式感知器20、第2有線式感知器30、又は発信機40から火災信号を受信して、当該受信した火災信号を送信する場合において、第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30から火災信号を有線にて受信した場合に、当該受信した火災信号に対して、当該第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30を一意に識別するための有線端末識別情報を付加し、当該有線端末識別情報を付加した火災信号を無線で送信し、発信機40を一意に識別するための無線端末識別情報を含む火災信号を発信機40から無線にて受信した場合に、当該受信した火災信号を無線で送信するので、第1有線式感知器20、第2有線式感知器30、又は発信機40の火災信号を容易に識別でき、火災の位置を容易に特定することができる。
【0072】
また、火災報知システム1に第1有線式感知器20及び第2有線式感知器30が設けられている場合において、第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30から火災信号を有線にて受信した際、火災信号生成部56aが当該受信を行った有線受信部53に関連付けられた有線端末識別情報を有線端末識別情報テーブル57aから取得し、当該取得した有線端末識別情報を当該受信した火災信号に付加し、無線通信部54が火災信号生成部56aにて有線端末識別情報が付加された火災信号を無線にて送信するので、第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30の火災信号を容易に識別でき、火災の位置を一層容易に特定することができる。また、この有線式中継装置50は、1つの有線式中継装置50で複数の有線式の火災報知端末に対応できるので、既設の有線式感知器から無線式感知器10への取り替えに比べて、安価かつ容易に火災報知端末の無線化を実現することができる。
【0073】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0074】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0075】
(分散や統合について)
上述した火災報知システム1の各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成できる。
【0076】
(無線式感知器について)
上述した実施の形態では、無線式感知器10の無線送信部は、火災信号又は火災復旧信号を送信すると説明したが、これに限られない。例えば、この無線送信部は、無線式感知器10の動作状況を監視するために、当該無線式感知器10の無線端末識別情報を定期的に送信してもよい。この場合には、受信装置70の無線受信部43が無線端末識別情報を定期的に受信しなくなったと判定された場合に、受信装置70の制御部76は信号出力部74によって信号線2を断線させてもよい。具体的には、受信装置70の制御部76はL−C出力部74bによってL−C線2eを断線させる(なお、発信機40の無線送信部43についても同様)。なお、「断線」とは、A線2a、C線2b、又はL線2cのいずれかを、受信装置70の信号出力部74の内部において、受信機80に近い側と遠い側に切り離すことを意味する。
【0077】
(有線式中継装置について)
上述した実施の形態では、有線式中継装置50は、第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30から火災信号又は火災復旧信号を信号線3を介して受信し、当該受信した火災信号又は火災復旧信号を無線式中継装置60及び/又は受信装置70に中継したり、電源線4を介して第1有線式感知器20又は第2有線式感知器30への電力供給を行うものであると説明したが、これに限られない。例えば、有線式中継装置50は、発信機40から火災信号又は火災復旧信号を信号線3を介して受信し、当該受信した火災信号又は火災復旧信号を無線式中継装置60及び/又は受信装置70に中継したり、電源線4を介して発信機40への電力供給を行ってもよい。
【0078】
(火災報知システムを構成する各機器が実行する中継処理について)
上述した実施の形態では、第1有線式感知器20の検知部が火災を検知したことによって、当該第1有線式感知器20の有線送信部が火災信号を送信した後、発信機40の押しボタン部41が押し下げられたことによって、当該発信機40の無線送信部43が火災信号を送信した場合の中継処理について説明したが、これに限られない。例えば、発信機40の押しボタン部41が押し下げられたことによって、当該発信機40の無線送信部43が火災信号を送信した後、第1有線式感知器20の検知部が火災を検知したことによって、当該第1有線式感知器20の有線送信部が火災信号を送信した場合についての中継処理であっても、実施の形態と同様に扱われる。あるいは、第1有線式感知器20の検知部が火災を検知したことによって、当該第1有線式感知器20の有線送信部が火災信号を送信した後、第2有線式感知器30の検知部が火災を検知したことによって、当該第2有線式感知器30の有線送信部が火災信号を送信した場合の中継処理であっても実施の形態と同様に扱われる。
(付記)
付記1の中継装置は、火災を検知した際に火災信号を出力する火災報知端末から受信した信号を、受信装置に中継する中継装置であって、前記火災報知端末は、前記火災信号を有線にて当該中継装置に出力する有線式の火災報知端末を含み、当該中継装置は、自己に有線接続されている前記有線式の火災報知端末から前記火災信号を有線にて受信した場合に、当該受信した火災信号を無線で送信する。
また、付記2の中継装置は、付記1に記載の中継装置において、前記火災報知端末は、前記有線式の火災報知端末と、前記火災信号を無線にて当該中継装置に出力する無線式の火災報知端末とを含み、当該中継装置は、前記有線式の火災報知端末から前記火災信号を有線にて受信した場合に、当該受信した火災信号に対して、当該有線式の火災報知端末を一意に識別するための第1識別情報を付加し、当該第1識別情報を付加した火災信号を無線で送信し、前記無線式の火災報知端末を一意に識別するための第2識別情報を含む前記火災信号を前記無線式の火災報知端末から無線にて受信した場合に、当該受信した火災信号を無線で送信する。
また、付記3の中継装置は、付記2に記載の中継装置において、前記有線式の火災報知端末は、複数設けられており、前記有線式の火災報知端末から前記火災信号を有線にて受信するものであって、前記複数の有線式の火災報知端末に応じた数だけ設けられた複数の受信手段と、前記複数の有線式の火災報知端末の各々の前記第1識別情報を、前記受信手段に関連付けて格納する第1識別情報格納手段と、前記有線式の火災報知端末から前記火災信号を有線にて受信した際、当該受信を行った受信手段に関連付けられた前記第1識別情報を前記第1識別情報格納手段から取得し、当該取得した第1識別情報を当該受信した火災信号に付加する火災信号生成手段と、前記火災信号生成手段にて前記第1識別情報が付加された火災信号を無線にて送信する無線送信手段とを備える。
(付記の効果)
付記1に記載の中継装置によれば、当該中継装置は、自己に有線接続されている有線式の火災報知端末から火災信号を有線にて受信した場合に、当該受信した火災信号を無線で送信するので、当該中継装置及び有線式の火災報知端末を有線接続することにより、当該中継装置から火災信号を無線で送信することができ、有線式の火災報知端末を容易に無線化することができる。
また、付記2に記載の中継装置によれば、当該中継装置が有線式の火災報知端末又は無線式の火災報知端末から火災信号を受信して、当該受信した火災信号を送信する場合において、有線式の火災報知端末から火災信号を有線にて受信した場合に、当該受信した火災信号に対して、有線式の火災報知端末を一意に識別するための第1識別情報を付加し、当該第1識別情報を付加した火災信号を無線で送信し、無線式の火災報知端末を一意に識別するための無線端末識別情報を含む火災信号を無線式の火災報知端末から無線にて受信した場合に、当該受信した火災信号を無線で送信するので、有線式の火災報知端末又は無線式の火災報知端末の火災信号を容易に識別でき、火災の位置を容易に特定することができる。
また、付記3に記載の中継装置によれば、有線式の火災報知端末は、複数設けられている場合において、有線式の火災報知端末から火災信号を有線にて受信した際、火災信号生成手段が当該受信を行った受信手段に関連付けられた第1識別情報を第1識別情報格納手段から取得し、当該取得した第1識別情報を当該受信した火災信号に付加し、無線送信手段が火災信号生成手段にて第1識別情報が付加された火災信号を無線にて送信するので、有線式の火災報知端末の火災信号を容易に識別でき、火災の位置を一層容易に特定することができる。また、当該中継装置は、1つの中継装置で複数の有線式の火災報知端末に対応できるので、既設の有線式の火災報知端末から無線式の火災報知端末への取り替えに比べて、安価かつ容易に火災報知端末の無線化を実現することができる。
(第2の付記)
第2の付記1の中継装置は、火災を検知した際に火災信号を出力する火災報知端末から受信した信号を、受信装置に中継する中継装置であって、前記火災報知端末は、前記火災信号を有線にて当該中継装置に出力する有線式の火災報知端末を含み、自己に有線接続されている前記有線式の火災報知端末から前記火災信号を有線にて受信する受信手段と、前記有線式の火災報知端末を一意に識別するための第1識別情報を、前記受信手段に関連付けて格納する第1識別情報格納手段と、前記有線式の火災報知端末から前記火災信号を有線にて受信した際、当該受信を行った受信手段に関連付けられた前記第1識別情報を前記第1識別情報格納手段から取得し、当該取得した第1識別情報を当該受信した火災信号に付加する火災信号生成手段と、前記火災信号生成手段にて前記第1識別情報が付加された火災信号を無線にて送信する無線送信手段とを備える。
第2の付記2の中継装置は、第2の付記1に記載の中継装置において、前記火災報知端末は、前記有線式の火災報知端末と、前記火災信号を無線にて当該中継装置に出力する無線式の火災報知端末とを含み、当該中継装置は、前記無線式の火災報知端末を一意に識別するための第2識別情報を含む前記火災信号を前記無線式の火災報知端末から無線にて受信した場合に、当該受信した火災信号を無線で送信する。
第2の付記3の中継装置は、第2の付記2に記載の中継装置において、前記有線式の火災報知端末は、複数設けられており、前記受信手段は、前記複数の有線式の火災報知端末に応じた数だけ設けられており、前記第1識別情報格納手段は、前記複数の有線式の火災報知端末の各々の前記第1識別情報を格納する。
(第2の付記の効果)
第2の付記1に記載の中継装置によれば、当該中継装置は、自己に有線接続されている有線式の火災報知端末から火災信号を有線にて受信した場合に、火災信号生成手段が当該受信を行った受信手段に関連付けられた第1識別情報を第1識別情報格納手段から取得し、当該取得した第1識別情報を当該受信した火災信号に付加し、無線送信手段が火災信号生成手段にて第1識別情報が付加された火災信号を無線にて送信するので、有線式の火災報知端末を容易に無線化することができる。また、当該中継装置は、有線式の火災報知端末の火災信号を容易に識別でき、火災の位置を容易に特定することができる。
また、第2の付記2に記載の中継装置によれば、当該中継装置が有線式の火災報知端末又は無線式の火災報知端末から火災信号を受信して、当該受信した火災信号を送信する場合において、無線式の火災報知端末を一意に識別するための無線端末識別情報を含む火災信号を無線式の火災報知端末から無線にて受信した場合に、当該受信した火災信号も無線で送信するので、有線式の火災報知端末又は無線式の火災報知端末の火災信号を容易に識別でき、火災の位置を容易に特定することができる。
また、第2の付記3に記載の中継装置によれば、有線式の火災報知端末は、複数設けられている場合において、有線式の火災報知端末から火災信号を有線にて受信した際、火災信号生成手段が当該受信を行った受信手段に関連付けられた第1識別情報を第1識別情報格納手段から取得し、当該取得した第1識別情報を当該受信した火災信号に付加し、無線送信手段が火災信号生成手段にて第1識別情報が付加された火災信号を無線にて送信するので、有線式の火災報知端末の火災信号を容易に識別でき、火災の位置を一層容易に特定することができる。また、当該中継装置は、1つの中継装置で複数の有線式の火災報知端末に対応できるので、既設の有線式の火災報知端末から無線式の火災報知端末への取り替えに比べて、安価かつ容易に火災報知端末の無線化を実現することができる。