特許第5649958号(P5649958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5649958メタライズされた表面を備えるセラミックボディを有するコンポーネント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649958
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】メタライズされた表面を備えるセラミックボディを有するコンポーネント
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/88 20060101AFI20141211BHJP
   C04B 37/00 20060101ALI20141211BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   C04B41/88 C
   C04B37/00 Z
   H01L23/36 Z
   H01L23/36 C
【請求項の数】15
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-504631(P2010-504631)
(86)(22)【出願日】2008年4月17日
(65)【公表番号】特表2010-524830(P2010-524830A)
(43)【公表日】2010年7月22日
(86)【国際出願番号】EP2008054626
(87)【国際公開番号】WO2008128945
(87)【国際公開日】20081030
【審査請求日】2011年3月25日
(31)【優先権主張番号】102007019633.6
(32)【優先日】2007年4月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511004645
【氏名又は名称】セラムテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】CeramTec GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ペーター クルーゲ
【審査官】 小川 武
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−284808(JP,A)
【文献】 特開昭62−113783(JP,A)
【文献】 実開昭63−131194(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 37/00−37/04,41/88
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その表面(3,4)がメタライズ部(5,6)により覆われているセラミックボディ(2)を有するコンポーネント(1)であって、前記セラミックボディ(2)は、セラミックボディ(2)の上側(3)および下側(4)がそれぞれ、大きさの異なる表面を有するように形成され、その際、セラミックボディ(2)は、冷却リブ(7)を有していることにより立体的に構造化されており(7)、
メタライズ部(5,6)が、ボディの表面上に、向かい合う面および/または隣接する面に施与されており、冷却リブは、少なくとも1つのメタライズ部を有しており、かつ、
セラミック材料が、主成分としてZrO2/HfO250.1質量%〜100質量%またはAl2350.1質量%〜100質量%またはAlN50.1質量%〜100質量%またはSi3450.1質量%〜100質量%またはBeO50.1質量%〜100質量%、SiC50.1質量%〜100質量%ならびに副成分として少なくとも1つの酸化状態における元素のCa、Sr、Si、Mg、B、Y、Sc、Ce、Cu、Zn、Pbおよび/または化合物を≦49.9質量%の割合で単独または任意の組み合わせにおいて上記の成分範囲内で含有することを、および前記主成分および前記副成分が、≦3質量%の割合の不純物を差し引いて、任意の組み合わせにおいて100質量%の全組成物になるように組み合わされていることを特徴とする、セラミックボディ(2)を有するコンポーネント(1)。
【請求項2】
セラミックボディ(2)の曲げ破断強度が100MPaより大きく、かつ材料の熱伝導率が1W/mKより大きいことを特徴とする、請求項1記載のコンポーネント。
【請求項3】
メタライズ部を有さない前記セラミックボディ(2)のセラミック材料の熱膨張係数が12×10-6/Kより小さいことを特徴とする、請求項1又は2項記載のコンポーネント。
【請求項4】
メタライズ部(5,6)として、セラミックボディ(2)と、担体ボディと同じまたは異なる熱伝導率を有する金属または金属層が、密接にまたは機械的な形状結合によって表面全体または表面の一部分で接合されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のコンポーネント。
【請求項5】
メタライズ部(5,6)が、純粋な品質または工業的な品質のタングステン、銀、金、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムまたは鋼または少なくとも2つの異なる金属の混合物および/または、付加的にまたはそれ単独で、反応はんだ、軟質はんだまたは硬質はんだ(9)から成ることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のコンポーネント。
【請求項6】
セラミックボディ(2)上のメタライズ部(5,6)が少なくとも1つの層から成ること、および前記層がDCB法(Direct Copper Bonding)またはAMB法(Active Metal Brazing)またはスクリーン印刷法または電着法または化学堆積法または蒸着法の使用下で、あるいは付着または接着またはこれらの方法の組み合わせによってボディの表面上に、向かい合う面および/または隣接する面に施与されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のコンポーネント。
【請求項7】
メタライズ部(5,6)が、セラミックボディ(2)の表面(3,4)を金属ボディとして表面の一部分または表面全体でまたは部分的または完全に、平行平面形または任意に幾何学的な形状で、またはこれらの形状を組み合わせた形で覆うことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のコンポーネント。
【請求項8】
メタライズ部(5,6)が20N/cmより大きい接着強度を有することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のコンポーネント。
【請求項9】
メタライズ部(5,6)の少なくとも1つの層の厚さが≦2mmであることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のコンポーネント。
【請求項10】
少なくとも1つの表面(3,4)に少なくとも1つのメタライズ部(5,6)を有するコンポーネント(1)の曲げ破断強度が550MPaより大きいことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のコンポーネント。
【請求項11】
セラミックボディ(2)上の少なくとも1つのメタライズ部(5)上に、その表面の一部分または表面全体をマスクする少なくとも1つのさらに別のメタライズ部(6)が適用されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のコンポーネント。
【請求項12】
少なくとも1つのメタライズ部(5,6)が100W/mKの最小熱伝導率を有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のコンポーネント。
【請求項13】
セラミックボディ(2)上の少なくとも1つのメタライズ部(5,6)上に、少なくとも1つの能動電子部品または受動電子部品(8)が取り付けられていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のコンポーネント。
【請求項14】
セラミックボディ(2)上の少なくとも1つのメタライズ部(5,6)上に、少なくとも1つの能動電子部品または受動電子部品(8)が取り付けられており、該電子部品(8)は、はんだ付け接合部および/またはボンディング接合部(9)を介して少なくとも1つの箇所で、セラミックボディ(2)上に取り付けられた少なくとも1つのメタライズ部(5)と電気的または/および熱的に接合されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載のコンポーネント。
【請求項15】
セラミックボディ(2)が、ヒートシンクとして形成されていることを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項記載のコンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの領域中でその表面がメタライズ部で覆われているセラミックからのボディを有するコンポーネントに関する。
【0002】
DE102004012231B1から、少なくとも1つの表面側に少なくとも1つのメタライズ部を、DCB法(Direct Copper Bonding)を用いて施与された銅または銅合金からのホイルまたは層の形で有するセラミック層から成る、板状のメタライズされたセラミック支持体が公知である。
【0003】
板状のメタライズされたセラミックボディを有するコンポーネントの場合、殊に該セラミックボディの両面がメタライズされていると、運転中に発生する熱の放散が困難である。
【0004】
本発明の課題は、良好な熱放散を伴う、その表面がメタライズされたセラミックボディを有するコンポーネントを提示するという点にある。
【0005】
該課題は、特許請求項1の固有の特徴部により解決される。本発明の好ましい構成は、従属請求項の中で提示される。
【0006】
本発明によるコンポーネントは立体的に構造化されている。板の代わりにセラミックボディは三次元構造物である。それゆえボディに、例えば板状で、さらに別のボディを任意の形で取り付けることができる。しかしボディ全体は一体となっており、すなわち、それは個々の部分から構成されていない。例えば板上にさらに別の板が垂直に立っている場合、全体がE形であるボディが生じる。例えばヒートシンクがそのような形を有する。
【0007】
コンポーネントのボディはセラミック材料から成り、その組成は、要求される特性、例えば絶縁性、部分放電強度および熱安定性に適合され得る。セラミック材料は、主成分としてZrO2/HfO250.1質量%〜100質量%またはAl2350.1質量%〜100質量%またはAlN50.1質量%〜100質量%またはSi3450.1質量%〜100質量%またはBeO50.1質量%〜100質量%、SiC50.1質量%〜100質量%または該主成分の少なくとも2つの組み合わせ物を任意の組み合わせにおいて上記の成分範囲内で含有し、ならびに副成分として少なくとも1つの酸化状態における元素のCa、Sr、Si、Mg、B、Y、Sc、Ce、Cu、Zn、Pbおよび/または化合物を≦49.9質量%の割合で単独または任意の組み合わせにおいて上記の成分範囲内で含有する。主成分および副成分は、≦3質量%の割合の不純物を差し引いて、任意の組み合わせにおいて100質量%の全組成物になるように互いに組み合わせ可能である。
【0008】
メタライズ部を有さないコンポーネントのセラミック材料の熱膨張係数は12×10-6/Kより小さい。セラミックボディの曲げ破断強度は100MPaより大きく、かつ材料の熱伝導率は1W/mKより大きい。それによって熱が原因のセラミック材料の膨張によるメタライズ部の負荷は小さくなる。セラミックを介して、殊に銅でメタライズされる場合、その高い熱膨張係数が減少され、ひいてはメタライズ部と接合された電子デバイスの半導体材料の熱膨張係数に近似させられる。それによって加熱した場合に発生する半導体デバイスの材料中での応力が回避される。
【0009】
メタライズ部として、セラミックボディと、有利には該担体ボディと同じまたは異なる熱伝導率を有する金属または金属層が、密接にまたは機械的な形状結合によって面全体または面の一部分で接合されている。例えばメタライズ部は、純粋な品質または工業的な品質のタングステン、銀、金、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムまたは鋼または少なくとも2つの異なる金属の混合物から成っていてよい。例えばメタライズ部は、付加的にまたはそれ単独でも、反応はんだ、軟質はんだまたは硬質はんだから成っていてよい。
【0010】
例えばメタライズ部の金属または金属層は、セラミックボディ上へのメタライズ部の接着性を高めるために、接着を促進する添加材またはその他の添加材、例えばガラスまたはポリマー材料と混合されていてもよい。
【0011】
メタライズ部の単一の層または複数の層は、DCB法(Direct Copper Bonding)またはAMB法(Active Metal Brazing)またはスクリーン印刷法または電着法または化学堆積法または蒸着法を用いて、あるいは付着または接着またはこれらの方法を組み合わせることによりボディの表面上に、向かい合う面および/または隣接する面に施与されている。
【0012】
セラミックボディ上のメタライズ部は、メタライズされた面につき少なくとも1つの層から成る。メタライズ部は、セラミックボディの表面を金属ボディとして面の一部分または面全体でまたは部分的または完全に、平行平面形またはほぼ平行平面形でまたは任意に幾何学的な形状で、またはこれらの形状を組み合わせた形で覆う。
【0013】
メタライズ部の少なくとも1つの層の厚さは≦2mmであり、その接着強度は20N/cmより大きい。それにより熱負荷に基づく層の自己剥離は排除されている。
【0014】
セラミックボディは、少なくとも2つのその表面上でメタライズ部により覆われている。メタライズ部は100W/mKの最小熱伝導率を有する。それによりデバイスまたは回路による熱負荷が高い場合、良好な熱放散が保証されている。
【0015】
少なくとも1つの表面に少なくとも1つのメタライズ部を有するコンポーネントの場合、曲げ破断強度は550MPaより大きい。熱負荷が生じた場合も、メタライズ部の剥落およびメタライズ部の引張力および圧縮力によるセラミックボディの破壊は排除されている。
【0016】
好ましくは、コンポーネントのセラミックボディはヒートシンクとして形成されている。ヒートシンクとは、電気デバイスまたは電子デバイスまたは回路を有し、かつ該デバイスまたは該回路中で生じる熱を、該デバイスまたは該回路を損傷し得る蓄熱が生じないように排出することができるように形作られているボディと理解される。担体ボディは、電気的に導電性ではないかまたはほぼ導電性ではなく、かつ良好な熱伝導率を有する材料からのボディである。そのようなボディのための理想的な材料はセラミックである。
【0017】
ボディは一体となっており、かつ電子デバイスまたは回路の保護のために熱を排出または供給するエレメントを有する。有利には担体ボディは白金であり、かつ該エレメントはオリフィス、ダクト、リブおよび凹部であり、それらには熱媒体または冷却媒体を送り込むことが可能である。該媒体は液状またはガス状であってもよい。担体ボディおよび/または冷却エレメントは、好ましくは、少なくとも1つのセラミック成分または種々のセラミック材料の複合体から成る。
【0018】
実施例を手がかりにして、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明により板状でないセラミックボディ2を有するコンポーネント1を示す図
【0020】
板状でないとは、セラミックボディ2の上側3および下側4が、そのつど大きさの異なる表面を有するように形成されていることを意味する。該ボディは立体的に構造化されている。コンポーネント1の上側3は、本発明の実施例で平らな表面を有する。この上側3には、種々のメタライズされた領域5が施与されている。上側3は回路担体である。セラミックボディ2の上側3の少なくとも1つのメタライズ部5上には、さらに別のメタライズ部6が適用されており、それは本発明の場合、第一のメタライズ部5の表面の面を部分的にマスクする。
【0021】
本発明による実施例でセラミックボディ2はE形である。該ボディはヒートシンクである。セラミックボディ2の下側4は冷却リブ7を有する。冷却リブ7にも、メタライズされた領域5が備え付けられており、該領域5には例えば電子デバイスがはんだ付けされ得る。
【0022】
セラミックボディ2の表面3上には、能動電子部品または受動電子部品としてのチップ8が、メタライズされた領域5上にはんだ付け接合部9によって固定されている。配線10を介して、それはメタライズされた領域5と接続されている。このチップ8は熱源であり、その熱は冷却リブ7を介して排出される。
【符号の説明】
【0023】
1 コンポーネント、 2 セラミックボディ、 3 セラミックボディの表面、 4 セラミックボディの下側、 5 メタライズ部、 6 メタライズ部、 7 冷却リブ、 8 チッブ、 9 はんだ付け接合部、 10 配線
図1