(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5649969
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】プラグ装置、プラグコネクタおよび該プラグ装置製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 12/53 20110101AFI20141211BHJP
H01R 43/02 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
H01R12/53
H01R43/02 A
【請求項の数】14
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-527328(P2010-527328)
(86)(22)【出願日】2007年10月2日
(65)【公表番号】特表2010-541173(P2010-541173A)
(43)【公表日】2010年12月24日
(86)【国際出願番号】EP2007060466
(87)【国際公開番号】WO2009046752
(87)【国際公開日】20090416
【審査請求日】2010年4月2日
【審判番号】不服2013-7272(P2013-7272/J1)
【審判請求日】2013年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】512288684
【氏名又は名称】オスラム ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】OSRAM GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100182556
【弁理士】
【氏名又は名称】島村 暁
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ヒューイング
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ニーダーマイヤー
【合議体】
【審判長】
森川 元嗣
【審判官】
島田 信一
【審判官】
小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−327380(JP,A)
【文献】
特開2003−47128(JP,A)
【文献】
特開昭59−83370(JP,A)
【文献】
実開平1−143083(JP,U)
【文献】
実開平2−31067(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R9/09,H01R12/57,H01R12/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板と、
該プリント回路基板上に平坦にはんだ付けされているプラグコネクタとが設けられており、
前記プリント回路基板は、可撓性プリント回路基板であり、
前記プラグコネクタは、平型端子であって、2.5Aより大きな電流に使用できるように構成され、プリント回路基板上にはんだ付けする少なくとも1つの表面を含んでおり、
当該表面の両側には、対向部分とのコンタクトに用いられる屈曲領域が設けられており、
さらに、前記プラグコネクタは、前記プリント回路基板上に該プラグコネクタの位置を保持する固定手段を有し、当該固定手段は凹部または凸部または切り欠きを含んでいることを特徴とする、
プラグ装置。
【請求項2】
前記プリント回路基板は、前記プラグコネクタと接続されている少なくとも1つの導体路を有している、請求項1記載のプラグ装置。
【請求項3】
前記プリント回路基板は、該プリント回路基板の両面上に少なくとも部分的に配置されている2つの導体路を有している、請求項2記載のプラグ装置。
【請求項4】
前記プラグコネクタは、固定手段を有している、請求項1から3のいずれか1項記載のプラグ装置。
【請求項5】
前記プラグコネクタは、リフロー法で前記プリント回路基板上にはんだ付けされている、請求項1から4のいずれか1項記載のプラグ装置。
【請求項6】
前記プラグコネクタはSMDプラグコネクタである、請求項1から5のいずれか1項記載のプラグ装置。
【請求項7】
前記プラグコネクタは高電流プラグコネクタである、請求項1から6のいずれか1項記載のプラグ装置。
【請求項8】
複数の層を有する第2のプリント回路基板を更に備え、前記プリント基板は前記第2のプリント回路基板の中間の層に固定的にはんだ付けされている、請求項1から7のいずれか1項記載のプラグ装置。
【請求項9】
複数の前記プラグコネクタは、前記プリント回路基板の両面に配置されている、請求項1から8のいずれか1項記載のプラグ装置。
【請求項10】
前記プラグコネクタが、SMD技術を用いて構成されている、請求項1から9のいずれか1項記載のプラグ装置。
【請求項11】
プラグ装置製造方法において、
2.5Aより大きな電流に使用できるように構成されている少なくとも1つのプラグコネクタが可撓性プリント回路基板上に平坦に載置されるステップと、
少なくとも1つの前記プラグコネクタが前記プリント回路基板とはんだ付けされるステップとを有し、
前記プラグコネクタは、平型端子であり、プリント回路基板上にはんだ付けする少なくとも1つの表面を含み、当該表面の両側には、対向部分とのコンタクトに用いられる屈曲領域が設けられ、
さらに、前記プラグコネクタは、前記プリント回路基板上に該プラグコネクタの位置を保持する固定手段を有し、当該固定手段は凹部または凸部または切り欠きを含んでいることを特徴とする、
製造方法。
【請求項12】
前記プラグコネクタはSMDプラグコネクタである、請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
少なくとも1つの前記プラグコネクタは、リフロー法ではんだ付けされる、請求項11または12記載の製造方法。
【請求項14】
前記プリント回路基板は、フレキシブルプリント回路基板である、請求項11から13のいずれか1項記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグ装置、プラグコネクタおよび該プラグ装置製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルをかしめ止めることができる平型端子が公知である。この種のケーブルには、高電流に接続されると決まって、このケーブル自体がきわめて高いインダクタンスの原因となるという欠点がある。
【0003】
本発明の課題は、上述の欠点を阻止し、例えば効率的な高電流との接続を実現するプラグ装置を提供することである。
【0004】
前記課題は、独立請求項の特徴部分によって解決される。本発明の実施形態は、従属請求項からも明らかになる。
【0005】
前記課題を解決するために、プリント回路基板およびプラグコネクタを具備するプラグ装置が提供される。この場合のプラグコネクタは、プリント回路基板上に平坦にはんだ付けされている。
【0006】
この場合、プラグコネクタはプリント回路基板上に少なくとも部分的に平坦にはんだ付けされる。この平坦な接続によって、プリント回路基板の少なくとも1つの導体路とのコンタクトが形成され、ひいては低インダクタンスを達成することができる。
【0007】
本発明の1つの実施形態によれば、プリント回路基板には、プラグコネクタと接続されている少なくとも1つの導体路が設けられるように構成されている。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態によれば、プリント回路基板には、そのプリント回路基板のそれぞれ異なる面に少なくとも部分的に配置されている2つの導体路が設けられるように構成されている。
【0009】
例えば導体路を相応の幅にすることによって、付加的に導体ないし導体路間の漂遊インダクタンスを低減することができる。
【0010】
また、本発明の1つの実施形態によれば、プリント回路基板には可撓性のプリント回路基板例えばシート状プリント基板またはフレキシブルプリント回路基板が含まれるように構成されている。
【0011】
有利には、プリント回路基板を曲げ可能に構成することができる。
【0012】
例えばプリント回路基板には、そのプリント回路基板上にそれぞれ平坦にはんだ付けされている複数のプラグコネクタを設けることができる。有利には、プリント回路基板の複数の導体路上に複数のプラグコネクタを接続することができる。
【0013】
また、プラグコネクタには、電気的に相互に分離されている複数のコンタクトが含まれていてもよく、それぞれ1つのコンタクトがプリント回路基板の少なくとも1つの導体路上に接続されている。
【0014】
例えば、少なくとも1つの電気的な機能を持たないコンタクトを存在させ、例えば挿入補助またはコーディング手段ないしはコーディング(Codierung)に用いることができる。
【0015】
さて、ここで本発明の1つの実施形態によれば、プリント回路基板には、少なくとも1つのプラグコネクタと接続されている少なくとも2つの導体が設けられるように構成されている。
【0016】
さらに、プラグコネクタを平型端子とすることができる。
【0017】
本発明の1つの実施形態によれば、プラグコネクタが固定手段ないしは固定解除手段を有するように構成されている。それ故に、例えば平型端子(quick-connect tab terminal)を端子としてファストンテクニック(Prinzip)で形成することができる。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、プラグコネクタはリフロー法でプリント回路基板上にはんだ付けされるように構成されている。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態によれば、プラグコネクタは、プリント回路基板上にプラグコネクタの位置を保持する固定手段(Fixiermoeglichkeit)を有している。
【0020】
例えばリフロー法によるはんだ付けの際にプラグコネクタが実質的にずれないように実際のはんだ付けプロセスの前にプラグコネクタの位置を保持するために、このような固定手段を使用することができる。
【0021】
本発明の1つの実施形態によれば、固定手段には凹部または凸部または切り欠きが含まれるように構成されている。
【0022】
例えば、プラグコネクタをSMD(表面実装型)プラグコネクタとするか、またはSMD技術(Bauweise)を用いて構成することができる。
【0023】
本発明の1つの実施形態によれば、プラグコネクタは高電流プラグコネクタとして構成されている。例えば、プラグコネクタを2.5Aより大きな電流に使用できるコネクタとすることができる。
【0024】
本発明のさらに別の実施形態によれば、プリント回路基板が第2のプリント回路基板上に確実にはんだ付けされるように構成されている。例えば、第2のプリント回路基板はハードな(フレキシブルではない)プリント基板である。第2のプリント回路基板を複数の層を有するプリント基板とすることができ、この場合のプリント回路基板は第2のプリント回路基板の中間の層に固定的にはんだ付けされている。
【0025】
また、第2のプリント回路基板をフレキシブルに構成されているプリント回路基板と接続させることができ、例えばフレキシブルなプリント回路基板を第2のプリント回路基板から持ち上げた構成とする(hervorgehen)ことも可能である。
【0026】
また、本発明の1つの実施形態によれば、複数のプラグコネクタが接続部材によってまとめられるように構成されている。この場合、接続部材をプラスチック製接続部材とすることができる。
【0027】
本発明の付加的な実施形態によれば、複数のプラグコネクタがプリント回路基板の両面に配置されるように構成されている。
【0028】
さらに有利には、導体路例えば導体路ペア(Leiterbahnpaerchen)がプリント回路基板の両面に設けられることにより、全体として低インダクタンスを達成することができる。
【0029】
上述の課題は、プリント回路基板上にはんだ付けする少なくとも1つの表面を含んでいるプラグコネクタによっても解決される。
【0030】
本発明の1つの実施形態によれば、プラグコネクタがそのプラグコネクタをプリント回路基板上に固定可能な少なくとも1つの固定手段を有するように構成されている。例えば、プラグコネクタをSMD技術を用いて構成することができる。
【0031】
また、上述の課題は、以下のようなプラグ装置製造方法によっても解決される。すなわち、この製造方法は、少なくとも1つのプラグコネクタがプリント回路基板上に平坦に載置されるステップと、少なくとも1つのプラグコネクタがプリント回路基板とはんだ付けされるステップとを有している。
【0032】
本発明の1つの実施形態によれば、プラグコネクタはSMDプラグコネクタであるように構成されている。
【0033】
また、本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つのプラグコネクタはリフロー法ではんだ付けされるように構成されている。
【0034】
本発明のさらに別の実施形態によれば、少なくとも1つのプラグコネクタは固定手段に基づきプリント基板上に固定されるように構成されている。
【0035】
本発明の1つの実施形態によれば、プリント回路基板は可撓性プリント回路基板例えばフレキシブルプリント回路基板であるように構成されている。
【0036】
次に、本発明の実施例を図面に基づき図示し、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】プリント回路基板を有するプラグコネクタの正面図
【
図2】プリント回路基板を有するプラグコネクタの斜視図
【0038】
図1には、プリント回路基板102上にはんだ付けされているプラグコネクタ101が正面図で示されている。屈曲領域105および106は、相応に成形された対向部分(図示せず)とのコンタクトに用いられる。断面として正面図でここでは例示されている表面103を介して、プラグコネクタ101はプリント回路基板102にはんだ付けされている。
【0039】
プリント回路基板102は、平坦なはんだ位置103とつなげられている少なくとも1つの導体路を有する。さらに有利には、プリント回路基板102は、可撓性プリント回路基板、殊にフレキシブルプリント回路基板として構成されている。これによって、プリント回路基板102を介して対向部分例えば差込ピン(Steckzunge)とプラグコネクタ101を接続することができる。
【0040】
プラグコネクタ101は、例えばSMD技術を用いて構成されている。
【0041】
図2には、プラグコネクタ101およびプリント回路基板102が斜視図で示されている。ここでは、例えば複数のプラグコネクタを並置することができる。方向107に沿って例えば柔軟なプリント回路基板102が延在しているため、プラグコネクタ101およびプリント回路基板102から成る組合せによってケーブルに類似の接続を実現することができる。
【0042】
ここで提示されている解決手段は、例として例えば6.3mmの寸法である従来の差込ピンに差し込まれるプラグ装置に適している。これに関して、プラグコネクタ101は差込ピンと接続される、ないしは差込ピンに差し込まれる。例えば、差込ピンは実質的に水平または垂直に取り付けられ、10mmの中間間隔をとることができる。
【0043】
プラグコネクタ101は、例えばSMD実装の平型端子である。この種のプラグコネクタ101は、プリント回路基板102例えばプリント基板またはフレキシブルプリント回路基板上に直接平坦にはんだ付けされている。有利には、このようなはんだ付けはリフロー法によって行われる。
【0044】
図3には、例えば小さな凹部または凸部または切り欠きとして構成されている係止部ないしは係止突起(Rastnase)104を有するプラグコネクタ101の下面が示されている。係止部104は、プリント回路基板102上のプラグコネクタ101の位置の保持に用いられる。このことによって、はんだを融着させる間、プラグコネクタ101がフロート状態のときもその位置が実質的に変わらないまま保持される。
【0045】
プラグコネクタ101の差し込みおよび取り外しの際に平坦なはんだ位置103に作用する力を低減するために、プラグコネクタ101をいわゆるファストンテクニックで形成することができる。
【0046】
プラグコネクタ101を標準のプリント回路基板(Printed Circuit Board, PCB)102上にはんだ付けしてもよい。さらに、複数のプラグコネクタを並置して使用することができる。例えば、複数のプラグコネクタまたは平型端子の装着および/または位置決めをプラスチック製接続部材を用いて簡単にすることができる。
【0047】
プラグコネクタおよびプリント回路基板から成るこれまで述べてきたプラグ装置並びにそのプラグコネクタ自体は、高電流(高電流との接続)例えば2.5Aより大きな電流に対する使用に適している。