(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両ボディと、該車両ボディに対して回転可能な回転部材または着脱可能な着脱部材との一方の部材に設けたストライカと係脱する、他方の部材に設けたロックユニットにおいて、
ストライカ進入溝を有する一枚のベース板と、
該ベース板から上記他方の部材側に突出し、上記他方の部材に対して取り付けられる被取付部、及び、該被取付部とベース板の間に位置し、かつ上記他方の部材に当接する抜止部を有する一対の軸部材と、
上記抜止部と上記ベース板の間において上記軸部材の軸線方向に位置規制された状態で上記各軸部材にそれぞれ回転可能に支持した、上記ストライカ進入溝に進入した上記ストライカを把持解放するフック、及び、該フックと係脱可能で係合することによりフックを回転規制するポールと、
を備えることを特徴とする車両用ロックユニット。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は自動車の車内床面に設置した折畳シートを開示している。この折畳シートは、座部と、座部に対して回転可能に接続する背凭れ部と、座部の下面に固定したアッパレール及びアッパレールにスライド自在に支持したロアレールからなるスライドレールと、を具備しており、ロアレールの前端部が車内床面に対して車幅方向の軸回りに回転可能に接続している。従って折畳シートは、座部と(座部と略平行な位置まで回転させた)背凭れ部が車内床面に対して略直交する折り畳み位置と、座部が車内床面と略平行をなす使用位置との間を車両床面に対して回転可能である。
【0003】
車内床面にはストライカが固定してあり、ロアレールの下面に固定したブラケットにはストライカと係脱可能なロックユニットが設けてある。
このロックユニットは各構成部品を予めユニット化した状態でブラケットに取り付けるものであり、構成部品として、ストライカ進入溝と2つの支持孔を具備する互いに平行な一対のベース板(取付板)と、一対のベース板の対向面間に位置し、その両端部が各ベースの支持孔にそれぞれ固定状態で嵌合する一対の筒状部材と、一対の筒状部材にそれぞれ回転可能に支持した、ストライカ進入溝に進入したストライカを把持解放するフック、及び、フックと係脱可能で係合することによりフックを回転規制するポールと、フックをストライカ解放方向に回転付勢すると共にポールをフック係合方向に回転付勢する引張ばねと、を具備している。
ユニット化されたロックユニットは、一方のベース板の外側から各筒状部材に挿通した2本のボルトをブラケットに形成した貫通取付孔に挿通し、ブラケットの裏面側に突出した各ボルトの先端部にナットを螺合させることによって、ブラケットに取り付けてある。
【0004】
折畳シートが折り畳み位置に位置するときロックユニットはストライカから離れている。折畳シートを使用位置まで回転させると、ストライカがベース板のストライカ進入溝に進入してフックを引張ばねの付勢力に抗しながらストライカ把持方向まで回転させ、ポールが引張ばねの付勢力によってフックに係合するので、ロックユニットはフックがストライカを把持するロック状態に保持され、乗客は座部に着座可能となる。
ロック状態において折畳シートに設けたロック操作手段を操作すると、ポールが引張ばねの付勢力に抗してフック解放方向に回転するので、フックはストライカ解放方向に回転可能となり、ロックユニットはアンロック状態となる。そのため(背凭れ部を座部と略平行な位置まで回転させた上で)折畳シートを折り畳み位置側に回転させれば、ストライカがフックをストライカ解放方向に回転させながらストライカ進入溝から脱出するので、折畳シートは折り畳み位置まで回転移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし特許文献1のロックユニットはベース板(取付板)が2枚必要なので、部品点数が多く、そのため製造コストを低く抑えるのが難しい。
さらに、筒状部材のベース板(貫通取付孔)に対する取付位置精度と、筒状部材に対するボルトの取付位置精度(筒状部材の内面とボルト周面の間のクリアランス寸法)の双方を高くしないと、ベース板のブラケットに対する取付位置精度が低くなり、ロックユニットとストライカが円滑に係脱できなくなるおそれがある。しかし、ベース板(貫通取付孔)、筒状部材、及び、ボルトのすべてを設計寸法通りに精度よく成形するのは簡単ではないので、上記の各取付位置精度をすべて高くするのは容易ではない。
【0007】
本発明は、予めユニット化することが可能でありながら、従来より部品点数を少なくでき、しかもストライカと円滑に係脱するように各構成部品を成形するのが容易な車両用ロックユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用ロックユニットは、車両ボディと、該車両ボディに対して回転可能な回転部材または着脱可能な着脱部材との一方の部材に設けたストライカと係脱する、他方の部材に設けたロックユニットにおいて、ストライカ進入溝を有する一枚のベース板と、該ベース板から上記他方の部材側に突出し、上記他方の部材に対して取り付けられる被取付部、及び、該被取付部とベース板の間に位置し、かつ上記他方の部材に当接する抜止部を有する一対の軸部材と、上記抜止部と上記ベース板の間において上記軸部材の軸線方向に位置規制された状態で上記各軸部材にそれぞれ回転可能に支持した、上記ストライカ進入溝に進入した上記ストライカを把持解放するフック、及び、該フックと係脱可能で係合することによりフックを回転規制するポールと、を備えることを特徴としている。
【0009】
上記抜止部が上記軸部材の周面に形成した突起であってもよい。
【0010】
上記他方の部材が貫通取付孔を有する固定部材を備え、上記被取付部を上記貫通取付孔に対して挿脱可能としもよい。
この場合はさらに、上記被取付部が、上記貫通取付孔を貫通し、かつナットと螺合することにより上記固定部材に固定される雄ねじ部を備えてもよい。
【0011】
上記貫通取付孔が断面非円形の非円形孔であり、上記被取付部が、上記非円形孔に嵌合しかつ該非円形孔と同じ断面形状の回り止め部を備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用ロックユニットは、一枚のベース板と、ベース板に突設した一対の軸部材と、各軸部材にそれぞれ回転可能に設けたフック、及び、ポールと、を備える簡単な構成でありながらユニット化が可能である。
しかも従来のロックユニットに比べて構成部品が少ない(特許文献1のロックユニットに比べてベース板が一枚少ない)ので製造コストを低くすることが可能である。
また、ストライカとの係脱動作を円滑にすべくロックユニットのブラケットに対する取付位置精度を高くするためには、ベース板に対する軸部材の取付位置精度を高めればよい。そのためにはベース板と軸部材の2部材の成形精度を高くする必要があるが、2部材のみを精度よく成形するのはそれほど困難ではないので、ストライカと円滑に係脱するように各構成部品を成形するのが比較的容易である。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、軸部材に抜止部を簡単に構成できる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、軸部材(被取付部)を固定部材の貫通取付孔に挿入すれば、ロックユニットを固定部材に仮止めできる。
しかも、フックとポールの回転支持部材である軸部材を仮止め手段として兼用できるので、仮止め手段を回転支持部材とは別個に設ける場合に比べて、部品点数を減らして、製造コストを低く抑えることが可能である。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、ボルトとして機能する軸部材とナットを用いた簡単な構成により、ロックユニットを固定部材に確実に固定できる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、軸部材の貫通取付孔に対する相対回転が規制されるので、軸部材と固定部材(貫通取付孔)による仮止め状態がより安定する。
さらに被取付部がナットと螺合する雄ねじ部を備える場合は、雄ねじ部の固定部材に対する相対回転を規制した状態でナットを雄ねじ部に螺合できるので、螺合作業を容易に行えるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1〜
図7に基づき本発明の一実施形態を説明する。なお以下の説明中の方向は、図中に示した矢線で定義したように、
図1における紙面の表裏方向を「左右方向」、
図1及び
図2の左側を「前方」、右側を「後方」としている。
まず、本発明を適用した折畳シート(回転部材)10とその周辺部材について説明する。
図1及び
図2に示すように自動車(図示略)内の床面100には車両前方から視たときに逆U字形をなす左右一対のストライカ101が固定状態で突設してある。
折畳シート10は、座部11と、座部11の後端に左右方向の軸回りに回転可能として取り付けた背凭れ部12と、を具備している。座部11の底面には前後方向に延びる金属製のアッパレール13が左右一対として固定してあり、左右のアッパレール13には、前後方向に延びる金属製のロアレール14が前後方向にスライド可能に取り付けてある。左右のロアレール14の下面の前端近傍部には、左右方向に延びる金属製の回転支持軸15の両端に曲折加工することにより形成した固定端部15aがそれぞれ固定してあり、回転支持軸15の両端近傍部(左右の固定端部15aの内側部分)には側面視三角形をなす金属製の回転支持ブラケット16が回転可能に支持してある。
左右のロアレール14の下面の後端近傍部には、横断面形状がL字形をなし、かつ互いに左右対称をなす、左右一対の金属からなるロック機構用ブラケット(固定部材)17がそれぞれ固定してある。ロック機構用ブラケット17は略水平なレール取付片18と、レール取付片18の内側端部から垂下しかつ非円形形状をなす2つの貫通取付孔20、21を有するロックユニット取付片19とを具備している。レール取付片18はロアレール14の下面に固定してあり、ロックユニット取付片19にはストライカ101と係脱するロックユニット25が取り付けてある。
【0019】
ロックユニット25は、ベース部材27、フック37、軸部材44、ポール52、軸部材58、引張バネ66、及び、クッションゴム68を構成要素とするものであり、左右のロックユニット25は互いに左右対称である。
ベース部材27はロックユニット取付片19側の面が開放した金属製の箱状部材であり、左右方向に対して直交するベース板28と、ベース板28の周縁部に連なる外周壁29と、ベース板28からロックユニット取付片19と反対側に向かって延びるクッション取付片30と、を一体的に具備している。またベース板28及び外周壁29の下部には下端が開放しかつ上方に向かって延びるストライカ進入溝31が形成してあり、外周壁29の前部(前壁)にはロッド挿通溝32が形成してある。さらにベース板28には共に非円形形状をなす軸支持孔33及び軸支持孔34と、軸支持孔33を中心とする円弧形状をなすフック案内溝35が穿設してある。
ベース部材27の内部空間の後部には金属製のフック37が配設してある。フック37はストライカ101と係脱可能なストライカ係合溝38と、係合突部39と、フック37の略中央部に形成した軸挿通孔40と、フック37の上端部に形成したバネ係止孔41と、ベース板28側に向かって突出する案内突起42と、を具備している。
【0020】
フック37は金属製の軸部材44を介してベース板28に支持してある。軸部材44は、一方の端部を構成しかつ周面に雄ねじ溝を有する円柱部である雄ねじ部(被取付部)45と、雄ねじ部45の端部に接続しかつ貫通取付孔20と同じ断面形状(非円形形状)であるブラケット側回り止め部46と、ブラケット側回り止め部46の端部に接続するブラケット側回り止め部46より大径の円板状突起部である抜止部47と、抜止部47から雄ねじ部45と反対側に延びる抜止部47より小径で軸挿通孔40と略同じ断面形状をなす円柱部であるフック支持部48と、フック支持部48の端面から雄ねじ部45と反対側に延びる軸支持孔33と同じ断面形状(非円形形状)であるベース側回り止め部49と、を一体的に具備している。軸部材44をベース側回り止め部49側からフック37の軸挿通孔40に挿通して軸挿通孔40にフック支持部48を嵌合すると共に、フック37のロックユニット取付片19側の面を抜止部47に当接させることにより、軸部材44とフック37は一体化させてある。そして、ベース側回り止め部49を軸支持孔33に相対回転不能に嵌合し、ベース板28の車外側に突出させたベース側回り止め部49の先端部を図示を省略した工具を用いてかしめて(塑性変形させて)カシメ部50とすれば、軸部材44はベース板28に対して自身の軸線方向(左右方向)に移動不能かつ該軸線回りに回転不能となり、フック37はベース板28と抜止部47によって軸部材44の軸線方向スライドが規制される。またフック37は、案内突起42がフック案内溝35の下端面に当接する
図4、
図5に示すストライカ把持位置と、案内突起42がフック案内溝35の上端面に当接する
図6に示すストライカ解放位置と、の間をフック支持部48回りに回転可能となる。
【0021】
ベース部材27の内部空間の前部には金属製のポール52が配設してある。ポール52は係合突部39と係脱可能なストッパ部53と、その下端近傍に形成した軸挿通孔54と、ポール52の上端部に形成したバネ係止孔55と、バネ係止孔55の下方に形成した長孔からなるロッド係止孔56と、を具備している。
ポール52は金属製の軸部材58を介してベース板28に支持してある。軸部材58は軸部材44と略同一構造であり、雄ねじ部(被取付部)59、貫通取付孔21と同じ断面形状(非円形形状)のブラケット側回り止め部60、抜止部61、ポール支持部62、及び、軸支持孔34と同じ断面形状(非円形形状)のベース側回り止め部63を一体的に具備している。軸部材58をベース側回り止め部63側からポール52の軸挿通孔54に挿通して軸挿通孔54にポール支持部62を嵌合すると共に、ポール52のロックユニット取付片19側の面を抜止部61に当接させて、軸部材58とポール52を一体化させた後に、ベース側回り止め部63を軸支持孔34に相対回転不能に嵌合し、ベース板28の車外側に突出したベース側回り止め部63の先端部を上記工具を用いてかしめてカシメ部64とする。するとポール52はベース板28に対して自身の軸線方向(左右方向)に移動不能かつ該軸線回りに回転不能となり、ポール52はベース板28と抜止部47によって軸部材58の軸線方向にスライド不能となる。またポール52は、
図4、
図5に示す係合位置と、
図6に示す非係合位置の間をポール支持部62回りに回転可能となる。
さらにフック37のバネ係止孔41とポール52のバネ係止孔55とには引張バネ66の両端がそれぞれ係止してある。引張バネ66の付勢力(引張力)はフック37及びポール52に及んでおり、この付勢力によってフック37はストライカ開放位置側に回転付勢され、ポール52は係合位置側に回転付勢されている。ストライカ101がストライカ進入溝31の外側に位置するとき、フック37は引張バネ66の付勢力によってストライカ開放位置に位置し、かつ、係合突部39がポール52の周面に当接することによりポール52は非係合位置に位置するので、ロックユニット25は
図6に示すアンロック状態となる。一方、ストライカ101がストライカ係合溝38と係合しながらストライカ進入溝31の奥側まで進入すると、フック37は引張バネ66の付勢力に抗してストライカ把持位置まで回転し、ポール52は引張バネ66の付勢力によって係合位置まで回転するので、係合突部39とストッパ部53の係合によりフック37はストライカ把持位置に保持され、ロックユニット25は
図4及び
図5に示すロック状態となる。
【0022】
ベース板28の表面には側面視横長矩形をなすクッションゴム68が固定してある。具体的には、クッションゴム68に形成した固定孔69をクッション取付片30に嵌合させることにより、クッションゴム68をベース板28に固定している。
図4及び
図5に示すように、クッションゴム68の下面はストライカ進入溝31の上端より下方に位置している。
以上のようにしてユニット化されたロックユニット25は、軸部材44と軸部材58を雄ねじ部45、59側から貫通取付孔20と貫通取付孔21にそれぞれ挿通し、ブラケット側回り止め部46とブラケット側回り止め部60を貫通取付孔20と貫通取付孔21にそれぞれ相対回転不能に嵌合することにより、ロックユニット取付片19に対して回転規制された状態で仮止めされる。
そしてロックユニット取付片19の裏側に突出した軸部材44の雄ねじ部45と軸部材58の雄ねじ部59にナット71とナット72をそれぞれ螺合して、ナット71とナット72をロックユニット取付片19の裏面に圧接し、かつ、抜止部47、61をロックユニット取付片19の表面に圧接することにより、ロックユニット25をロックユニット取付片19に固定している。
【0023】
図1〜
図3に示すように、右側のアッパレール13の右側面には左右方向に延びる回転取付軸74を介して揺動部材75が回転可能に取り付けてある。揺動部材75の上端部にはロック操作レバー76が固定してあり、揺動部材75の下端部には2本の操作ロッド77の前端部が接続している。一方の操作ロッド77は後方に向かって直線的に延びて右側のベース部材27のロッド挿通溝32を貫通しており、その後端部はロックユニット取付片19側に曲折された上でポール52のロッド係止孔56に係合している。他方の操作ロッド77(図示略)は揺動部材75から左側に向かった後に後方に延びて左側のベース部材27のロッド挿通溝32を貫通しており、その後端部はロックユニット取付片19側に曲折された上でポール52のロッド係止孔56に係合している。
このように左右のロックユニット25のポール52とロック操作レバー76(及び揺動部材75)は操作ロッド77を介して連係しているので、ロック操作レバー76(及び揺動部材75)とポール52の動きは互いに連動する。即ち、ロック操作レバー76(及び揺動部材75)が
図1、
図2に示す非操作位置に位置するとき、ポール52は
図4、
図5に示す係合位置に位置する。一方、ロック操作レバー76を下方に回転させることにより操作位置(図示略)に位置させると、左右の操作ロッド77が引張バネ66の付勢力に抗して対応するポール52を
図6に示す非係合位置まで回転させる。
【0024】
以上構成の折畳シート10の左右の回転支持ブラケット16は、床面100に対してボルト等を用いて固定してある。このようにして折畳シート10を床面100に取り付けると、折畳シート10は、座部11が床面100と略平行をなす使用位置(
図1の位置)と、その背凭れ部12を座部11と平行をなし、かつ床面100に対してほぼ垂直をなす折畳位置(
図2の位置)と、の間を回転支持軸15回りに回転可能となる。
折畳シート10が折畳位置に位置するときロックユニット25とストライカ101は互いに離間するのでロックユニット25は
図6に示すアンロック状態となり、ロック操作レバー76は非操作位置に位置する。
折畳位置に位置する折畳シート10を使用位置まで回転させると、ストライカ101がストライカ係合溝38と係合しながらベース部材27のストライカ進入溝31に進入し、フック37を引張バネ66の付勢力に抗してストライカ把持位置まで回転させるので、ロックユニット25は
図4及び
図5に示すロック状態となる。ロックユニット25がロック状態になると、フック37のストライカ開放位置側への回転がポール52によって規制されるので、折畳シート10は使用位置に保持される。従って、背凭れ部12を起立位置まで回転させれば、乗客は折畳シート10に着座可能となる。
さらに、背凭れ部12を座部11と平行となるまで回転させた後にロック操作レバー76を操作位置まで回転させると、左右の操作ロッド77が前方にスライド移動してポール52を引張バネ66の付勢力に抗して非係合位置まで回転させるので、折畳シート10は折畳位置側へ回転可能な状態となる。折畳シート10を折畳位置側へ回転させると、ストライカ101がストライカ進入溝31から完全に脱出するのでロックユニット25は
図6に示すアンロック状態となり、折畳シート10をそのままさらに回転させれば、折畳シート10は折畳位置まで移動する。
【0025】
以上説明したように本実施形態のロックユニット25は、一つのベース部材27、ベース部材27の軸支持孔33、34に支持した一対の軸部材44、58、軸部材44に回転可能に支持したフック37、軸部材58に回転可能に支持したポール52、及び、引張バネ66のみを構成要素として具備する簡単な構成でありながら、各構成要素をユニット化することが可能である。
しかも従来のロックユニットに比べて構成部品が少ない(特許文献1のロックユニットに比べてベース部材27に相当する部品が一つ少ない)ので製造コストを低くすることが可能である。
また、ストライカ101とロックユニット25の係脱動作を円滑にするためには、ロックユニット25のロック機構用ブラケット17(ロックユニット取付片19)に対する取付位置精度を高くする必要があり、そのためにはベース部材27(軸支持孔33、34)と軸部材44、軸部材58の成形精度を高くする必要がある。これらの部材のみ(少数の部材のみ)を成形精度を高くしながら各構成部品を成形するのはそれほど困難ではないので、ロックユニット25をストライカ101と円滑に係脱するようにロックユニット25の各構成部品を成形するのは比較的容易である。
【0026】
さらに軸部材44のブラケット側回り止め部46とブラケット側回り止め部60をベース部材27の貫通取付孔20と貫通取付孔21にそれぞれ挿入するだけでロックユニット25をロック機構用ブラケット17に仮止めでき、しかも仮止めしたときに軸部材44と軸部材58がロック機構用ブラケット17(ロックユニット取付片19)に対して回転規制されるので、ナット71とナット72の雄ねじ部45と雄ねじ部59に対する螺合作業を簡単に行うことが可能である。
しかもフック37とポール52の回転支持部材である軸部材44と軸部材58を仮止め手段として兼用しているので、仮止め手段を回転支持部材とは別個に設ける場合に比べて、部品点数を減らして、製造コストをさらに低く抑えることが可能である。
【0027】
以上上記実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば
図8〜
図14に示す各変形例での実施が可能である。
【0028】
図8の変形例のロックユニット80は軸部材81と軸部材82を具備している。軸部材81はその端部にベース側回り止め部49より大径の頭部83が一体的に形成してある点を除いて軸部材44と同じ構造であり、軸部材82はその端部にベース側回り止め部63より大径の頭部84が一体的に形成してある点を除いて軸部材58と同じ構造である。頭部83と頭部84はベース板28に対して溶接してあり、上記実施形態と同様に引張バネ66、及び、クッションゴム68もユニット化してある(図示略。以下の変形例も同様)。
【0029】
図9の変形例のロックユニット取付片19には貫通取付孔20A、21Aが共に円形孔として形成してあり、ロックユニット取付片19の裏面には貫通取付孔20A、21Aと同心をなすウェルドナット86、87が溶接してある。
ロックユニット88のベース板28には共に円形孔である軸支持孔33A、34Aが形成してある。また、フック37を支持する軸部材89は、貫通取付孔20Aと略同径の雄ねじ部45と、抜止部47と、軸支持孔33Aと略同径のフック支持部48と、フック支持部48より大径である頭部83と、を具備している。さらにポール52を支持する軸部材90は、貫通取付孔21Aと略同径の雄ねじ部59と、抜止部61と、軸支持孔34Aと略同径のポール支持部62と、ポール支持部62より大径である頭部84と、を具備している。
軸部材89と軸部材90の成形時には抜止部47と抜止部61は形成されておらず、フック37の軸挿通孔40は軸支持孔33Aに対して挿入されたフック支持部48に対して雄ねじ部45側から嵌合しており、ポール52の軸挿通孔54は軸支持孔34Aに対して挿入されたポール支持部62に対して雄ねじ部59側から嵌合してある。そして、その後に工具を用いて軸部材89と軸部材90の中間部を塑性変形させて抜止部47と抜止部61をそれぞれ形成することにより、各構成部材をユニット化してロックユニット88を構成している。
ロックユニット88は、軸部材89と軸部材90を互いに同期させながら同方向に同じ速さで回転させて、雄ねじ部45と雄ねじ部59をウェルドナット86とウェルドナット87にそれぞれ螺合させることにより、抜止部47、61をロックユニット取付片19の表面に圧接した状態でロックユニット取付片19に固定してある。
【0030】
図10の変形例のロックユニット91は共に金属製の軸部材92と軸部材93を具備している。軸部材92はその端部に雄ねじ部45を形成していない点を除いて軸部材44と同じ構造であり、軸部材93はその端部に雄ねじ部59を形成していない点を除いて軸部材58と同じ構造である。
本変形例のロックユニット91は、各構成部品を予めユニット化した上で軸部材92の端部と軸部材93の端部を貫通取付孔20、21にそれぞれ貫通させ、軸部材92の端部と軸部材93の端部に金属からなる一対のプッシュナット94をそれぞれ嵌合し、各プッシュナット94をロックユニット取付片19の裏面に接触させることにより、抜止部47、61をロックユニット取付片19の表面に圧接した状態でロックユニット取付片19に固定してある。
【0031】
図11、12の変形例のロックユニット95は軸部材96Aと軸部材96Bを具備している。軸部材96Aは雄ねじ部45を具備しておらず、ブラケット側回り止め部46の端面からフック支持部48の内部にまで到る雌ねじ孔96Cを有する点を除いて軸部材44と同じ構造であり、軸部材96Bは雄ねじ部59を具備しておらず、ブラケット側回り止め部60の端面からポール支持部62の内部にまで到る雌ねじ孔96Cを有する点を除いて軸部材58と同じ構造である。
そして、貫通取付孔20に軸部材96Aのブラケット側回り止め部46を嵌合し、かつ、貫通取付孔21に軸部材96Bのブラケット側回り止め部60を嵌合した後に、一対のボルト97の雄ねじ部97Aを軸部材96Aと軸部材96Bの雌ねじ孔96Cにそれぞれ螺合することにより、抜止部47、61をロックユニット取付片19の表面に圧接した状態でロックユニット95をロックユニット取付片19に固定している。
【0032】
図13、14の変形例のロックユニット98は軸部材99Aと軸部材99Bを具備している。軸部材99Aはブラケット側回り止め部46を具備していない点を除いて軸部材96Aと同じ構造であり、軸部材99Bはブラケット側回り止め部60を具備していない点を除いて軸部材96Bと同じ構造である。軸部材99Aと軸部材99Bには、抜止部47、61の端面からフック支持部48、62の内部にまで到る96Cが形成してある。またロックユニット取付片19には、雄ねじ部97Aと略同径かつ断面円形の貫通取付孔20B、21Bが形成してある。
この変形例では、軸部材99Aと軸部材99Bの抜止部47の端面をロックユニット取付片19に当接させた状態で、貫通取付孔20B、21Bに挿通した各ボルト97の雄ねじ部97Aを雌ねじ孔96Cに螺合することにより、抜止部47、61をロックユニット取付片19の表面に圧接した状態でロックユニット98をロックユニット取付片19に固定している。
【0033】
また上記実施形態はロックユニット25、80、88、91、95、98を折畳シート10に設けたものであるが、ロックユニット25を回転部材としての車両ドア(図示略) に設けて、車両ドア全閉時にこれらのロックユニットで車両本体に突設したストライカをロックして、車両ドアの全閉状態を保持するようにしてもよい。さらに、リアシートの一部を構成し、かつ起立状態にあるときはトランクルームと車内空間との連通を遮断し前方に倒れることによりトランクルームと車内空間とを連通させる回転可能な背凭れ(回転部材)にロックユニット25を設けて、背凭れが起立状態にあるときにロックユニット25によって車両本体に突設したストライカをロックして、背凭れの起立状態を保持するようにしてもよい。また、ロックユニットを床面100に対して着脱可能なシート(着脱部材)(図示略)の底部に設けて、このシートの床面への取付時に、このロックユニットで車両床面に突設したストライカをロックしてもよい。さらに、回転部材側または着脱部材側にストライカを突設して、車両本体側にロックユニットを設けてもよい。