(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非接着性材料成形物のパターンは、前記第2の接着剤の層の前記下面に埋め込まれ、該非接着性材料成形物の各々は、最下面を有し、該非接着性材料成形物の該最下面は、該第2の接着剤の層の該下面の平面と同じ高さか、または該平面よりも上にある、請求項9に記載の接着物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(好適な実施形態の説明)
上述したように、本発明は、産業グラフィックスに用いられるような接着物に関する。接着物は、基板に容易に付与できるように、1つ以上の脱気、位置変えおよび位置ずらしの可能性を提供する。
【0011】
接着物は、端面材料(facestock)、連続した接着層、および非接着性材料を含む。接着物は、接着層に脱着可能に接着された剥離ライナーをさらに含み得る。一実施形態において、非接着性材料は、印刷方法によって付与されるインク組成を含む、非粘着性ポリマーを含む非接着性材料である。別の実施形態において、非接着性材料は、真空メタライゼーションまたはスパッタリングによって付与される。乾燥、冷却、および/または硬化の後、非接着性材料は、接着層の上面または下面に接着する。一実施形態において、非粘着性組成は、50%、75%または85%より多い固形物を含む。別の実施形態において、非粘着性組成は100%固形物である。
【0012】
一実施形態において、乾燥、冷却、および/または硬化の際に、非接着性材料が粘着性を有さないとすると、非接着性材料は印刷機械上でインクとして用いられ得る任意の材料であり得る。非接着性材料は、ポリウレタン、塩化ポリビニル、アクリルポリマー、アセタート、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンなどの有機高分子材料からでき得る。
【0013】
一実施形態において、非粘着性組成はUVによって硬化可能なインクである。本発明で有用な紫外線により硬化可能なインクは通常、1つ以上の光重合可能なモノマーを含む結合剤を含む。光重合可能なモノマーは通常、エチレンのように(ethylenically)不飽和化合物である。不飽和化合物は1つ以上のオレフィン二重結合を含み得る。不飽和化合物は、低分子量化合物(モノマー)または高分子量化合物(オリゴマー)であり得る。1つの二重結合を含むモノマーの例は、アルキル(メタ)アクリレートなどのアクリレート、またはメチル−、エチル−、ブチル−、2−エチルヘキシル−、または2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチル−、またはエチルメタクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである。光重合可能なモノマーのさらなる例は、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルなどのビニールエステル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、アルキルスチレンおよびハロスチレンなどのビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニルまたは塩化ビニリデンである。
【0014】
複数の二重結合を含むモノマーは通常、エチレングリコールのダイアクリレート、1、3−プロピレングリコール、1、4−ブタンジオン、1、4−シクロヘキサンジオン、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、またはトリメチロールプロパントリアクリレートおよびペンタエリトリトールトリアクリレートまたはペンタエリトリトールテトラアクリレートなどのビスフェノールAポリアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシナート、ジアリルフタレート、リン酸トリアリル、トリアリルイソシアヌレートまたはトリス(2−アクリロイルオキシ)エチル−イソシアヌレートである。
【0015】
高分子量(オリゴマー)のポリ不飽和化合物の典型的な例は、アクリレートエポキシ樹脂、アクリレートポリエーテル、アクリレートポリウレタンまたはアクリレートポリエステルである。不飽和オリゴマーのさらなる例は、マレイン酸、フタル酸および1つ以上のジエンから通常、作製され、かつ、分子量が約500から約3000の不飽和ポリエステル樹脂である。このような不飽和オリゴマーは、プレポリマーとも呼ばれる場合がある。光によって硬化可能なプレポリマーに基づく単一のコンポーネントシステム(component system)は、印刷用インクの結合剤として用いられることが多い。不飽和ポリエステル樹脂は通常、上述したような単不飽和モノマーと共に、好適には、スチレンと共に、2つのコンポーネントシステム内で用いられる。
【0016】
不飽和化合物は、非光重合可能な膜形成コンポーネントとの混合剤内にも用いられ得る。これらの構成材料は通常、ニトロセルロースなどの、有機溶剤内の乾燥ポリマーまたはその溶液であり得る。しかし、これらの構成材料はさらに、ポリイソシアネート樹脂、ポリエポキシド樹脂またはメラミン樹脂などの化学的に硬化可能な樹脂であるかまたは熱的に硬化可能な樹脂であり得る。熱的に硬化可能な樹脂の付随的な使用は、いわゆるハイブリッドシステム内で用いる場合に重要である。ハイブリッドシステムは、第1の工程において光重合され、この処理の後、第2の工程において熱によって架橋(crosslink)される。
【0017】
UV放射によって硬化可能なインクはさらに、少なくとも1つの光重合開始剤(photoinitiator)を含む。広い範囲の異なる光重合開始剤は、UV放射による硬化システムに現在利用し得る。これらの光重合開始剤は、ベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、ジアルコキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、アミノアセトフェノン、ハロアセトフェノンまたはアクリロキシホスフィン酸化物を含む。これらは、最大吸収率が異なる点が異なる。広い吸収範囲をカバーするには、2つ以上の光重合開始剤の混合物を用いることが可能である。UV放射による硬化可能な組成中の光重合開始剤の総量は、組成の全重量の約0.05%から約7%または10%の範囲内であり得る。好適には、組成は、その重量の約0.2%から5%の光重合開始剤を含む。
【0018】
アミンは、例えば、トリエタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、p−ジメチルアミノベンゾアートまたはミヒラーのケトンなどの光重合を促進するために加えられ得る。光重合は、スペクトル感度を変えるかまたは広げる光増感剤を加えることによってさらに促進され得る。これらの光増感剤は好適には、チオキサンテン(thioxanthone)、アントラキノンおよび3−アシル−クマリン誘導体、および3−(アロイルメチレン)−チアゾリンなどの芳香カルボニル化合物である。
【0019】
共安定剤として機能するヒンダードアミン光安定剤(hindered amine light stabilizer)(HALS)も、本発明で用いられるUV放射線によって硬化可能な印刷組成に加えられ得る。ヒンダードアミン光安定剤の例には、米国特許第5,112,890号および第4,636,408号に挙げられ、かつ、引用されたヒンダードアミン光安定剤が含まれる。同文献を本明細書において参考として援用する。印刷用インクで有用なヒンダードアミン光安定剤の特定の例はTinuvin292であり、これは、ビス(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートとして識別される。
【0020】
上述の結合剤材料および光重合開始剤に加え、本発明で用いられるUV放射により硬化可能なインクはさらに、従来技術において公知、そして用いられてきた有機顔料、無機顔料、ボディ顔料および染料から選択された着色剤も含み得る。有用な顔料の例は、二酸化チタン、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムマルーン、酸化鉄、カーボンブラック、クロムグリーン、金、銀、アルミニウムおよび銅を含む。染料の例は、アリザリンレッド、プルシアンブルー、オーラミンナフトール、マラカイトグリーンなどを含む。概して、インク中の顔料または染料の濃度は、重量の約0%から約70%であり、一実施形態においては、重量の約0.1%から約50%である。
【0021】
上述の着色剤に加え、本発明で用いられるUV放射による硬化可能なインクはさらに、フィラー、エキステンダーおよび界面活性剤も含み得る。これらは、当該技術において公知であり、かつ、用いられてきた。有用なフィラーおよびエキステンダーの例は、二酸化シリコン、ヒュームドシリカ、ガラスまたはセラミックの微小球、およびガラスまたはセラミックの泡を含む。概して、フィラーまたはエキステンダーの濃度は、重量の約0%から約70%であり、一実施形態において、重量の約0.5%から約50%である。
【0022】
印刷用インクは、風化防止を提供し、かつ、微小割れを防止することを助ける少なくとも1つのUV吸収体も含み得る。UV吸収体があると硬化速度が上がり得るため、UV放射によって硬化可能なインク中に含まれるUV吸収体の量は、実質的に最小限で保持される必要がある。種々のUV吸収体は公知であり、かつ、本発明において有用である。これらのUV吸収体は、光重合可能なヒドロキシベンゾフェノンおよび光重合可能なベンゾトリアゾールのグループに属するUV吸収体を含む。米国特許第5,369,140号は、放射により硬化可能なシステムのUV吸収体として有用な、あるクラスの2−ヒドロキシフェニル−s−トリアジンを記載する。トリアジンは、長時間にわたって直射日光に曝された場合に、硬化した膜を安定させる際に効果的である。これらの安定剤はインクのUV放射による硬化の妨げにならない。トリアジンUV吸収体は、量が重量の約0.1から約2%の場合に効果的である。UV吸収体を、立体的に嵩高い(sterically hindered)アミンなどの他の光重合安定剤と組み合わせて用いてもよい。このようなUV吸収体の組み合わせの開示に関して、’140の特許の開示を本明細書において参考として援用する。米国特許第5,559,163号および第5,162,390号も、本発明のインクに有用なUV吸収体を記載する。
【0023】
有用なUVにより硬化可能なインクの例には、Poly−Radプラスチックという商品名でDecochemから入手されるインク、およびAcheson
and Daw Chemical Companyから購入可能なUVにより硬化可能なインクを含む。
【0024】
本発明の一実施形態において、接着層上に非接着性材料を形成するために用いられるインクは凝集インク(coalescing ink)である。インクは、接着剤の表面上で効率的に水に浸されず、インクの面積が小さく凝集され高さが増加する。したがって、凝集の程度に依存して、印刷用インクの線は、より狭い線、または不揃いの小さい玉のように見えるインクでできた線、または組み合わせを形成し得、これらすべての高さが増加する。次いで、より狭い線、小さい玉、または組み合わせが接着剤に埋め込まれる。接着層の表面に塗布されたインクの厚さも、凝集の程度に影響を及ぼし得る。界面活性剤も凝集の程度を制御するためにインク組成に加えられ得る。
【0025】
本発明の一実施形態において、非接着性材料を形成するために用いられたインクは多孔性の非接着剤を含む。多孔性の非接着剤は、圧縮された場合に、元の形状に実質的に戻るように、エラストマーの特性を有し得る。例えば、多孔性の非接着剤は、インクを膨張させ、開いたセルまたは閉じたセル、またはこれらの組み合わせを形成する発泡剤を含むインクを含む。発泡剤は、例えば、インクに熱を付与することによって活性化される。多孔性の非接着剤の他の例は、気体および/または粒子が結合剤中にある懸濁液を含む。次いで、多孔性の非接着剤は、接着層内に埋め込まれる。多孔性の非接着剤は、埋め込み工程において生成されたへこみを埋める。この結果、端面材料層が滑らかな外観を有する。
【0026】
非接着性材料は概して、パターンになっている。パターンは、複数の点、線または接着物から脱気するパスを提供する任意の幾何学形状であり得る。線を用いた場合、パターンの少なくとも50%が接着物の端部にまで延びて、適格な脱気が行われる。脱気が維持されている場合、線および点はサイズが異なり得る。線および他のパターンは通常、平均の厚さが、約0.3μから約100μ、または約0.5μから約50μ、または約2μから約20μである。線の幅も広く変化し得る。線幅の有用な範囲の例は、約12μから約250μ、約25μから約125μ、または約50μから約75μである。パターンは、交差する線のグリッド、織目、ワッフル(waffle)模様、対角の直線および曲線、例えば、六角形、長方形、重なった円または三角形などのタイルのように並べてある幾何学形状、あるいはクロスハッチパターンになった線であり得る。例えば、不揃いまたはパターン化した点と交差する線のグリッドとして、パターンの組み合わせを用い得る。非接着性材料を任意の手段によって付与し得る。
【0027】
一実施形態において、非接着性材料は、UVによって硬化可能なアクリル組成またはポリウレタン組成などの、UVによって硬化可能なポリマー組成を含むインクである。加えた後、インクは印刷およびUV硬化の当業者に周知のように、UV露光装置内で照射によって硬化される。低圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプおよびガリウムランプなどのUV光源が有用である。照射の後に加熱することによってインクの硬化を向上させることも可能であるが、必ずしも必要ではない。
【0028】
一実施形態において、非接着性材料は、スクリーン印刷、ローラー塗布印刷、フレキソ印刷、リソグラフィック印刷、グラビア印刷、レーザー印刷、インクジェット印刷、ブラッシング、スプレーイング、ディッピングまたはコーティングなどの任意の適切な印刷技術によって印刷されることが可能なポリマー組成である。印刷の種類は、感圧接着剤上に印刷し得る任意の種類であり得る。1つの特に有用な印刷方法は、非接着性材料の印刷および埋め込みの両方を提供するフレキソ印刷の一改変である。
【0029】
一実施形態において、非接着層は、厚さが約0.3ミクロンから約100ミクロン、約0.5ミクロンから約50ミクロン、または約2ミクロンから約20ミクロンである印刷インクである。非接着性材料をさらに、パターン化された真空メタライゼーションまたはスパッタリングによって、感圧接着剤に付与し得る。この実施形態において、非接着層は通常、厚さが約30ナノメートルから約3000ナノメートル、約100ナノメートルから約2000ナノメートル、または約300ナノメートルから約1500ナノメートルである。
【0030】
上述したように、接着物は、端面材料、接着層、複数の非接着性材料を有し、そして必要に応じて、この構成は剥離ライナーを有する。端面材料は、装飾用またはグラフィックイメージの用途に有用な任意の接着物であり得る。端面材料は通常、厚さが約10ミクロンから約300ミクロン、約25ミクロンから約125ミクロンである。端面材料は、紙、ポリオレフィン(直線または分岐している)、ポリアミド、ポリスチレン、ナイロン、ポリエステル、ポリエステルコポリマー、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、スチレン無水マレイン酸コポリマー、スチレンアクリロニトリルコポリマー、エチレンメタクリル酸のナトリウムまたは亜鉛塩に基づいたイオノマー、ポリメチルメタクリレート、セルロース誘導体、フッ素樹脂、アクリルポリマーおよびコポリマー、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、およびエチレンビニルアセタートコポリマーを含む。このグループに含まれるのは、エチレンメタクリル酸、エチレンアクリル酸メチル、エチレンアクリル酸、およびエチレンアクリル酸エチルのようなアクリル酸塩である。さらに、このグループに含まれるのは、ポリマー、および、例えば、2個から約12個の炭素原子、そして一実施形態においては、2個から約8個の炭素原子を有するオレフィンモノマーのコポリマーである。これらは、分子あたり2個から約4個の炭素原子を有するアルファオレフィンのポリマーを含む。これらは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテンなどを含む。上述の定義内のコポリマーの例は、1−ブテンコモノマーの約1から約10重量パーセントがコポリマー分子中に組み込まれた、エチレンと1−ブテンとのコポリマーである。有用なポリエチレンは、低密度、中密度、および高密度の範囲を含む種々の密度を有する。低密度の範囲は約0.910から約0.925g/cm
3であり、中密度の範囲は約0.925から約0.940g/cm
3であり、高密度の範囲は約0.94から約0.965g/cm
3である。コポリマーの混成物、またはコポリマーとホモポリマーとの混成物から作製された膜も有用である。単一層膜または複数層膜として膜を押し出し形成し得る。
【0031】
一実施形態において、第1の端面材料は、移行性添加剤を含むポリマー端面材料である。端面材料は好適には、ポリ塩化ビニル端面材料である。添加剤は、可塑剤および酸化防止剤を含む。可塑剤は、高沸点溶媒または柔軟剤であり、通常、液体である。可塑剤は、無水物または酸、および通常、6個の炭素原子から13個の炭素原子を有する適切なアルコールからできたエステルである。可塑剤は、アジパート、リン酸、安息香酸またはフタル酸エステル、ポリアルキレン酸化物、スルホンアミドなどであり得る。可塑剤は、DOA可塑剤(ジオクチルアジペート)、TEG−EH可塑剤(トリエチレングリコール ダイ−2−ヘキサノン酸エチル)、TOTM可塑剤(トリオクチルトリメリテート)、トリアセチン可塑剤(グリセリルトリアセタート)、TXIB可塑剤(2、2、4−トリメチル−1、3−ペンタンジエンジイソブチレート)、DEP可塑剤(ジエチルフタレート)、DOTP可塑剤(ジオクチルテレフタレート)、DMP可塑剤(ジメチルフタレート)、DOP可塑剤(ジオクチルフタレート)、DBP可塑剤(ジブチルフタレート)、ポリ酸化エチレン、トルエンスルファニルアミド、およびジプロピレングリコール安息香酸などを含む。
【0032】
接着物は、連続した接着層(通常、感圧接着層)を有する。いくつかの用途において、接着剤は、感圧接着剤から区別される、熱により活性化される接着剤であり得る。接着層は通常、約10ミクロンから約125ミクロン、または約25ミクロンから約75ミクロン、または約10ミクロンから約50ミクロンの厚さを有する。一実施形態において、感圧接着剤のコーティング重量は、平方メートルあたり(gsm)約10グラムから約50グラム、そして一実施形態においては、約20から約35gsmの範囲内にある。感圧接着剤は、当該技術において公知の任意の感圧接着剤であり得る。これらは、ゴムベースの接着剤、アクリル接着剤、ビニルエーテル接着剤、シリコン接着剤、およびこれらのうちの2つ以上の混合物を含む。含まれるのは、「Adhesion and Bonding」、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、Vol.1(476〜546頁)Interscience Publishers、第2版、1985年に記載される感圧接着材料である。同文献の開示を本明細書において参考として援用する。有用な感圧接着材料は、主な構成成分として、アクリルタイプポリマー、ブロックコポリマー、天然ゴム、再生ゴム、またはスチレンブタジエンゴム、粘着性天然ゴムまたは合成ゴム、エチレンおよびビニルアセタートの不揃いのコポリマー、エチレン−ビニル−アクリルターポリマー、ポリイソブチレン、ポリ(ビニルエーテル)などの接着性ポリマーを含み得る。感圧接着材料は通常、約−70℃から約10℃の範囲のガラス転移温度を特徴とする。
【0033】
上述の樹脂に加え他の材料は、感圧接着材料に含まれ得る。これらは、固体の粘着性樹脂、液体の粘着付与剤(可塑剤とも呼ばれることが多い)、酸化防止剤、フィラー、顔料、ワックスなどを含む。接着材料は、固体の粘着性樹脂および液体の粘着性樹脂(または、液体の可塑剤)の混成物を含み得る。特に、有用な背着剤は、米国特許第5,192,612号および第5,346,766号に記載されている。同文献を本明細書において参考として援用する。
【0034】
感圧接着剤は、カーテンコーティング、グラビアコーティング、リバースグラビアコーティング、オフセットグラビアコーティング、ローラー塗布、ブラッシング、ナイフオーバーローラー塗布、エアナイフコーティングメータリングロッドコーティング(air knife coating metering rod coating)、リバースローラー塗布、ドクターナイフコーティング、ディッピング、ダイコーティング(die coating)およびスプレーイングなどの標準のコーティング技術を用いて適用され得る。これらのコーティング技術の適用は当該産業において周知であり、そして当業者によって効果的に実施され得る。コーティングを施す製造設備の知識および専門的知識は、好適な方法を決定する。コーティング方法に関するさらなる情報は、Edward Cohen and Edgar Gutoffによる「Modern Coating and Drying Technology」、VCH Publishers,Inc.(1992年)に見られ得る。
【0035】
本発明で用いられる剥離ライナーは当該技術において公知であり得る。通常、有用な剥離ライナーは、市販のシリコン剥離コーティングを用いてポリエチレンでコーティングされた紙、市販のシリコン剥離コーティングを用いてポリエチレンでコーティングされたポリエチレンテレフタレート膜、またはこのような膜を生成しつつ、パターン(単数または複数)でエンボスされ得、次いで、市販のシリコン剥離コーティングでコーティングされ得る、キャストポリプロピレン膜(cast polypropylene film)を含む。好適な剥離ライナーは、シリコン剥離コーティングで、前面が低密度のポリエチレンでコーティングされており、後面が高密度のポリエチレンでコーティングされているクラフト紙である。当該技術において公知の他の剥離ライナーも、本発明で用いるために選択された感圧接着剤に対して、その剥離の特徴に関して選択される限り適切である。本発明の一実施形態において、剥離ライナーは、剥離コーティングの下でポリマーの成形可能な層を有する。成形可能な層は通常、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィンである。剥離ライナーの剥離層表面は、型押し仕上げ、滑らかな仕上げ、またはパターン化された仕上げを有し得る。剥離層は、艶消仕上など不揃いに微細構造化された表面を有し得るか、または3次元微細構造のパターンを有し得る。微細構造は、剥離表面の表面に平行に断面を取った場合、円形、楕円形、ダイアモンド、正方形、長方形、三角形、多角形、線または不規則な形状でできた断面を有し得る。
【0036】
一実施形態において、剥離ライナーは両側に剥離コーティングを有し、一方は、他方の剥離コーティングより剥離値が高い剥離コーティングを有する。
【0037】
一実施形態において、物品の接着層は、シェフィールドの粗さが少なくとも約10、または少なくとも約75、または少なくとも約150である。接着層はそれ自体粗さを有し、接着層は接着剤が剥離ライナー上にコーティングされると形成され得る。剥離ライナーはシェフィールドの粗さが少なくとも約10、または少なくとも約50、または少なくとも約75または少なくとも約150であり得ることを理解されたい。接着剤は、剥離ライナーの補完的なテクスチャまたはパターンを複製する。あるいは、剥離ライナーは、接着物の構成に依存して相当粗くなり得る。シェフィールドの粗さは、TAPPI T538 om−88によって決定される。
【0038】
出願人は、接着層上または接着層中のいずれかに非接着性材料を加えると、脱気が向上することを発見した。非接着剤は、その外表面が粘着性表面の平面と同じ高さになるように、埋め込まれ得る。あるいは、非接着剤は、その外表面が接着表面の平面を越えて延びるように埋め込まれ得るか、またはその外表面が接着表面の平面より下である(すなわち、接着層内である)ように埋め込まれ得る。非接着性材料が接着層の平面と同じ高さのレベルに埋め込まれると、非接着性材料は界面に沿って脱気を提供する。これは、基板上に粘着性の構造物を配置した自然の結果として形成される小さい泡に特に当てはまる。適切に付与された場合であっても、小さい泡は依然形成される。これらの泡の中の空気は脱出するルートを必要とする。非接着性材料と基板との界面が、これが生じるエリアである。非接着性材料が接着層を越えて延びる場合、非接着性材料は、位置変えおよび/または位置ずらしおよび脱気を提供する。これは、接着物を室温より上の表面に付与する場合特に利点がある。接着層より下に延びる非接着性材料の量は、接着層が基板と接触することを防ぐに十分な量であればよい。
【0039】
図を参照して本発明をさらに説明する。
図1aを参照すると、物品10は接着層12と粘着接触している端面材料11を有する。接着層12は、その内部に非接着性材料13を埋め込んである。埋め込みは、圧力および/または加熱ローラーまたはプラテンを用いて実行され得る。それにより非接着性材料は接着層内に押し込まれる。あるいは、接着剤のパターン化された低表面が端面材料の前(上)表面と接触するように物品を巻くことによって、非接着性材料を接着層中に組み込む。端面材料は、その前表面上に剥離コーティングを有し得る。非接着性材料の少なくとも大部分は接着層12内に埋め込まれることを理解されたい。非接着性材料13の厚さの通常75%より多く、および85%より多くが接着層12中に埋め込まれる。
【0040】
図1bを参照すると、接着物10は剥離ライナー14のさらなるエレメントを有する。剥離ライナー14は、接着層12と剥離可能に粘着接触しており、かつ、非接着性材料13と接触する。接着層12はさらに、端面材料11と粘着接触している。非接着性材料を接着層中に埋め込むことは、剥離ライナーを接着層に載置することによって実行され得る。剥離ライナーを載置する際に用いられる圧力は、非接着剤を接着層に埋め込む。
【0041】
別の実施形態において、接着物は接着層と粘着接触する第1の剥離ライナーを含む。接着層は、その露出表面中に非接着性材料のパターンを埋め込んである。第2の剥離ライナーは、パターン化された露出した接着表面に載置される。接着層と接触した第2の剥離ライナーの表面は、テクスチャード加工され得る。テクスチャは、不揃いなテクスチャまたはパターン化されたテクスチャであり得る。
【0042】
図2aを参照すると、物品20は接着層22と粘着接触した端面材料21を有する。接着層22は、接着層22内に埋め込まれた非接着性材料23と粘着接触している。接着層22はテクスチャー加工された表面24を有する。
図2bにおいて、物品は剥離ライナー25のさらなるエレメントを有する。剥離ライナー25は、接着層22と粘着接触しており、かつ、接着層22中に埋め込まれた非接着性材料23と接触している。本発明の剥離ライナーはテクスチャー加工され得ることに留意されたい。接着層のテクスチャー加工された表面は、埋め込み工程の間に生成され得る。あるいは、剥離ライナーのテキスチャーは、粘着コーティング処理の間、接着層に伝達(transfer)され得る。市販されているテクスチャー加工されたライナーを用いてもよい。
【0043】
図3aに示す別の実施形態において、脱気が向上した接着物30が、非粘着性エリア33のパターンを剥離ライナー34上の接着剤32の表面に、同時に印刷および埋め込むことによって提供される。フレキソ印刷技術を用いると、ダイアモンドなどのパターンが、剥離ライナー34上の接着剤32の露出表面中に印刷される。非接着性材料33は、非粘着性樹脂であり、これは、乾燥、冷却および/または硬化の際、その形状を維持する。印刷技術は、接着剤32の柔軟な表面中に印刷を埋め込み、チャネル35はチャネルの底面に印刷化合物のほとんどを有する。したがって、印刷化合物33の上面は、接着層32の上面の平面よりも下である。非接着性材料33は、接着剤が印刷プロセスによって生成されたチャネル35中に流れ込むことを防ぐ材料から選択される。このような非接着性材料の例は、堅い(hard)PMMA、または2つの構成材料のウレタンを含む。
図3bを参照すると、チャネル35を有する印刷された接着剤32は、ラミネーションによって端面材料31に伝達され、チャネルが接着剤を有する状態を維持する。剥離ライナー34を取り外し、そして圧力を用いて基板37の表面に露出した接着剤を付与すると、
図3cに示すように、チャネル35は崩壊または一部崩壊し、接着剤32と基板37との間の界面に空所36が形成され、閉じ込められた空気が露出した端部に移動することが可能になる。
【0044】
本発明の1実施形態において、非接着性材料を接着物の接着面に載置することによって接着物が製作される。非接着性材料は、完全に、または部分的に接着面に埋め込まれ得る。埋め込む工程は、圧力および/あるいは加熱されたローラまたはプラテンを用いて実行され得る。これにより、非接着性材料は接着面に圧入される。ローラはシリコンゴムローラであり得る。接着剤に埋め込む工程は、通常、約65°〜約200°F、または約100°〜約150°Fの温度で行なわれる。接着剤に埋め込むための埋め込み圧力は、通常、約15〜約100psi、または約25〜約50psiである。あるいは、剥離ライナーまたは端面材料(facestock)層といった別の層を、圧力により接着層の非接着性パターン面に載置することによって、非接着性材料が接着層に埋め込まれ得る。接着剤の露出面が端面材料または剥離ライナーの外面と接触する場合、端面材料または剥離ライナー上で層をなす接着層を巻き上げる(winding up)と、非接着性材料が接着層内に埋め込まれることにより、非接着性材料は、さらに、接着層内に埋め込まれ得る。非接着性材料は、一般に、非接着性材料の厚さの、少なくとも約50%、または少なくとも約75%、または少なくとも約85%のレベルで埋め込まれるか、または埋め込む媒体の面と等しいレベルに埋め込まれる。
【0045】
図4a〜
図4bに示される本発明の別の実施形態において、端面材料上の接着剤の面に非接着性領域のパターンを印刷する工程と埋め込む工程とが同時に行なわれることにより、脱気(air egress)が改善された接着物が提供される。非接着性領域は、フレキソ印刷技術により印刷および埋め込みが行われ得る。端面材料は、例えば、鋳造または押出しされたビニル系樹脂であり得る。非接着性材料は、非接着性樹脂であり、乾燥、冷却、および/または硬化して、その形状を維持する。
図4aを参照して、端面材料41上の接着剤42の表面に43のパターンの印刷工程と埋め込む工程とが同時に行なわれることにより、脱気が改善された物品が提供される。印刷技術が接着剤42のソフトな表面にプリントを埋め込むと、チャンネルの底部にほとんどのプリント化合物を有するチャンネル45が製作される。非接着性材料は印刷プロセスにより生成されたチャンネルの中に接着材料が還流することを防ぐような材料から選択される。このような非接着性材料の例は、硬性PMMA、または2成分ウレタン(two component urethane)を含む。
図4bを参照して、剥離ライナー44が接着剤42の露出印刷面に積層され、チャンネル45を接着剤42内で維持する。剥離ライナー44を除去し、圧力により露出された接着剤を表面に載置すると、チャンネル45は、崩壊するかまたは部分的に崩壊し、閉じ込められた空気が露出した端部に移動することを可能にする。
【0046】
図5a〜
図5bは、別の実施形態を図示する。脱気が改善された特性、および端面材料の改善された平滑性を有する接着物は、非接着性材料のパターンを端面材料上の接着剤に印刷する工程と埋め込む工程とが同時に行なわれることにより提供される。非接着性材料のパターンは、フレキソ印刷技術を用いることにより、印刷および埋め込みが行なわれ得る。非接着性材料は、次に、発泡させられ、多孔性非接着剤を形成する。多孔性非接着剤は、接着剤内のチャンネルを部分的に、完全に、または過剰に満たす。
図5aを参照して、非接着性材料53のパターンは、端面材料51に隣接する接着剤52の露出面の中に印刷される。印刷技術が接着剤のソフトな表面に非接着性材料を圧入すると、チャンネルの底部にほとんどの非接着性材料を有するパターンが製作される。非接着性材料53は樹脂を含み、この樹脂は、乾燥、冷却および/または硬化により発泡させられ、部分的に、完全に、または過剰にチャンネルを満たして多孔性非接着剤を形成する。
図5bを参照して、多孔性非接着性チャンネルを有する接着剤は、積層されることによって、剥離ライナー54に伝達される。剥離ライナーを除去し、および圧力により露出接着剤を基板の表面に載置すると、チャンネル内の多孔性非接着剤は、わずかに崩壊し、閉じ込められた空気が露出された端部に移動することを可能にする。作用圧力の除去は、多孔性非接着剤が、圧縮されていない元の形状に戻ることを可能にし、端面材料の表面からテクスチャ(texture)を除去する。
【0047】
図6a〜
図6cは、別の実施形態を図示する。脱気が改善された特性、および改善された端面材料の平滑性を有する接着物が、非接着性材料のパターンを剥離ライナー上の接着剤に印刷する工程および埋め込む工程とが同時に行われることにより提供される。非接着性材料パターンは、フレキソ印刷技術を用いることにより印刷および埋め込みが行なわれ得る。非接着性材料は、次に、泡立てられ、多孔性非接着剤を形成する。多孔性非接着剤は、接着剤内のチャンネルを部分的に、完全に、または過剰に満たす。
図6aを参照して、非接着性材料63のパターンは、剥離ライナー64上の接着剤62の露出面の中に印刷される。印刷技術が非接着性材料63を接着材料62のソフトな表面に圧入すると、チャンネルの底部にほとんどの非接着性材料63を有するパターンが製作される。非接着性材料63は樹脂を含み、この樹脂は、乾燥、冷却および/または硬化により発泡させられ、チャンネルを部分的に、または完全に満たす。
図6bを参照して、多孔性非接着チャンネルを有する印刷接着剤は、積層により端面材料61に伝達される。
図6cを参照して、剥離ライナー64を除去し、および圧力により基板の表面67に露出された接着剤62を載置すると、チャンネル内の多孔性非接着剤63は、わずかに崩壊し、接着剤62と基板67との間の界面に気孔(void)65を形成し、閉じ込められた空気が露出された端部に移動することを可能にする。作用圧力の除去は、発泡プリントが、圧縮されていない元の形状に戻ることを可能にし、端面材料61の表面からテクスチャを除去する。
【0048】
別の実施形態において、例えば、ガラスビーズ等の非接着性微粒子のランダムパターンが接着層の表面に載置され得、その後、接着層に部分的に、または完全に埋め込まれ得る。ガラスに加えて、非接着性微粒子は、有機粒子および無機粒子を含み得、ポリマーセラミックおよび金属を含むが、これに限定されない。非接着性微粒子は、球形状、方形状、不規則形状、固体、多孔性、中空、弾性または非弾性であり得る。あるいは、ランダムに分散した非接着性微粒子材料は、剥離ライナーに載置され得、その後、この剥離ライナーに部分的に、または完全に埋め込まれ得る。
【0049】
別の実施形態において、非接着性材料は、接着層の上面に載置され、かつ埋め込まれる。剥離ライナーは、その上に、印刷された非接着性材料のパターンも有する。印刷された非接着性材料は、剥離ライナー上に接着剤を載置する前に、その剥離ライナーの表面に埋め込まれ得る。接着剤から剥離ライナーが除去されると、非接着性材料は接着層に伝達される。
【0050】
さらに別の実施形態において、接着層の上面または下面に非接着性材料が載置され、かつこの中に埋め込まれる。剥離ライナーは、その剥離面に載置された、ランダムに分散した非接着性微粒子材料を有する。微粒子非接着性材料は、接着剤を剥離ライナー上に載置する前に、剥離ライナーの表面に埋め込まれ得る。剥離ライナーが接着剤から除去されると、非接着性材料は接着層に伝達される。
【0051】
本発明の接着物を製作する方法の別の実施形態は:(a)非接着性材料のパターンを、剥離ライナー上で層をなす接着層に載置する工程と、(b)非接着性材料を接着層の中に埋め込む工程と、(c)高次の剥離または低次の剥離を有する、さらなる剥離ライナーを接着層に載置する工程とを包含する。埋め込む工程および載置工程は組合され得る。最初の剥離ライナーが両方の面上に剥離手段を有する場合、さらなる剥離ライナーは省略され得る。これらの実施形態は、伝達接着剤(transfer adhesives)または接着サンドイッチ(adhesive sandwiches)として周知である。
【0052】
本発明の接着物を製作する方法の別の実施形態は、(a)端面材料の背面で層をなす接着層上に非接着性材料のパターンを載置する工程と、(b)接着層の中に非接着性材料を埋め込む工程と、(c)材料を巻き、その結果、接着剤が端面材料の前面と接着接触する工程とを包含する。埋め込む工程と載置工程は組合わされ得る。剥離手段は、適宜、端面材料の前面に付加され得る。この実施形態は、ライナーレス接着テープとして周知である。
【0053】
本発明の接着物を製作する方法の別の実施形態は、(a)端面材料の前面および背面上で層をなす2つの接着層の外面の各々の上に非接着性材料のパターンを載置する工程と、(b)接着層の中に非接着性材料を埋め込む工程と、(c)その2つの面の各々に、剥離面を有する剥離ライナーを、接着層のうちの1つの外面に載置し、材料を巻き、その結果、第2の接着層の外面が剥離ライナーの第2の表面と接着接触する工程とを包含する。埋め込む工程と載置工程は組合わされ得る。この実施形態は、両面接着テープとして周知である。
【0054】
本発明は、その好適な実施形態との関連で説明されたが、本明細書を読むことにより、その種々の改変が当業者に明らかになることが理解されるべきである。本明細書中に記載された接着物の種々の実施形態の特徴は、接着物の中に組合され得る。本明細書中に記載された本発明の接着物を製造する種々の方法は、さらに組合され得る。従って、本明細書中に記載された発明は、そのような改変が添付の請求項の範囲内に含まれることを意図することが理解されるべきである。