(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5650115
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】車両の空圧式のブレーキ機構のブレーキ装置及び補助装置を制御するための弁アッセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60T 15/36 20060101AFI20141211BHJP
【FI】
B60T15/36 A
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-528239(P2011-528239)
(86)(22)【出願日】2009年9月23日
(65)【公表番号】特表2012-502852(P2012-502852A)
(43)【公表日】2012年2月2日
(86)【国際出願番号】EP2009006861
(87)【国際公開番号】WO2010034476
(87)【国際公開日】20100401
【審査請求日】2012年9月20日
(31)【優先権主張番号】102008048562.4
(32)【優先日】2008年9月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503159597
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Schienenfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ハートムート マン
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン クラッセルト
(72)【発明者】
【氏名】イェルク−ヨハネス ヴァッハ
【審査官】
莊司 英史
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−516844(JP,A)
【文献】
特開昭51−024920(JP,A)
【文献】
特開平11−170995(JP,A)
【文献】
特開平11−278231(JP,A)
【文献】
特開平08−085428(JP,A)
【文献】
特開2002−274349(JP,A)
【文献】
特開平06−238388(JP,A)
【文献】
特開2001−032956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 15/00−17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の空圧式のブレーキ機構のブレーキ装置及び補助装置を制御するための弁アッセンブリであって、圧縮空気通路(7)を備えた少なくとも1つの共通の支持モジュール(1a,1b)に取外し可能に取り付けられた、前記ブレーキ機構のブレーキ機能又はブレーキ補助機能を発揮する空圧式の制御弁(6a,6b)を備える、車両の空圧式のブレーキ機構のブレーキ装置及び補助装置の制御のための弁アッセンブリにおいて、
少なくとも同じ高さ寸法及び奥行き寸法を有する、複数の連設されているブロック状の支持モジュール(1a,1b)が設けられており、該支持モジュール(1a,1b)は通路区分(2)を有しており、該通路区分(2)は全支持モジュール(1a,1b)の連設により共通の長手方向通路(3)をもたらし、各支持モジュール(1a,1b)の正面(4)には、圧縮空気流を内部の通路の間において切り換えるために、カートリッジ弁として形成されている制御弁(6a,6b)を収容するための少なくとも1つの基準穴(5a,5b)が配置されており、
ブレーキ機能を発揮するために、マルチウェイ・切換弁若しくは逆止弁の形式、又は、ブレーキ補助機能を発揮するために、マルチウェイ・切換弁、圧力スイッチ又は減圧弁の形式の制御弁(6a,6b)が形成されていて、
ブロック状の前記支持モジュール(1a,1b)は、圧縮空気を案内するための標準的に加工された内部の通路を備えて構成されており、該内部の通路の経路は、前記制御弁(6a,6b)の選択的な装備に応じて所望のブレーキ機能又はブレーキ補助機能に合わせるために、栓体エレメント(8)を介して設定変更可能であることを特徴とする、車両の空圧式のブレーキ機構のブレーキ装置及び補機の制御のための弁アッセンブリ。
【請求項2】
前記支持モジュール(1a,1b)は軽金属鋳物から成っており、前記内部の通路(2,3,7)は穿孔加工により形成されていることを特徴とする、請求項1記載の弁アッセンブリ。
【請求項3】
連設されている前記支持モジュール(1a,1b)は長手方向に延在する複数のタイロッド(9)を介して互いに位置固定されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の弁アッセンブリ。
【請求項4】
連設されている前記支持モジュール(1a,1b)は、夫々横方向に延在する固定ねじ(10)を介して、前記正面(4)とは反対側の面において1つの共通の支持プレート(11)に取外し可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項記載の弁アッセンブリ。
【請求項5】
前記支持プレート(11)は前記全支持モジュール(1a,1b)への共通の圧縮空気供給のための中心的な空気接続部(12)を有していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項記載の弁アッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の圧縮空気通路を備えた少なくとも1つの共通の支持モジュールに取外し可能に取り付けられた、ブレーキ機構のブレーキ機能又はブレーキ補助機能を発揮するための空圧式の制御弁を備える、車両の空圧式のブレーキ機構のブレーキ装置及び補助装置を制御するための弁アッセンブリに関する。
【0002】
本発明の使用領域は主にレール車両構造にあり、空圧式のブレーキ機構が使用される。空圧式のブレーキ機構は、ブレーキシリンダといった通常のブレーキ装置の他に、パーキングブレーキ、エアサスペンション、砂まき装置等の補助装置を有している。優先される制御に基づきブレーキ装置に合せて補助装置を制御するために、主に空圧式の制御弁が使用される。
【0003】
ドイツ連邦共和国実用新案第1905561号において、ブレーキ装置及び補助装置を制御する冒頭で述べた形式の弁アッセンブリが公知になっている。支持モジュールにフランジ接続されている、主空気管路内の圧力によって制御されるブレーキ制御弁を備えた、レール車両のためのブレーキ機構が開示されている。ブレーキ制御弁は、補助空気タンク及びブレーキシリンダに接続している。主空気管路から他の分岐管路が、他の支持モジュールに通じている。他の支持モジュールは、他の管路を介して補助空気タンク内の圧力によって常に加圧されている、最初に述べた支持モジュールにおける管接続部及び供給管路に接続されている。他の支持モジュールに、圧縮空気ブレーキの全補助装置、例えば供給管路から補助空気タンクを充填するための遮断コック、減圧弁及び逆止弁を備えた監視装置と、電気的なブレーキ制御装置と、ブレーキ力増幅装置とがフランジ接続されている。支持モジュールには空気案内通路が設けられている。この空気案内通路は、支持モジュールにフランジ接続されている補助装置を、切換え機能を発揮するような一般的な形式で圧縮空気ブレーキに接続する。支持モジュールに補助装置を配置することにより補助装置を、主空気管路と、第1の支持モジュールと、ブレーキ制御弁と、補助空気タンクと、ブレーキシリンダと、適切な接続管路とを有する既存の圧縮空気ブレーキ内に小さな手間で組み込むことができる。
【0004】
上記技術的な構成における欠点は、内部に通路が備えられているようにした支持モジュールを、製造技術的な観点において手間のかかる穿孔加工又はフライ盤加工により製造する点にある。支持モジュールにフランジ接続されている空圧式の制御弁等の交換には、複数のねじ結合の手間のかかる取外しが必要である。一般的に設けられているフラットガスケットは、分解時に大抵新しくする必要がある。顧客の要望に応じて支持モジュールにフランジ接続された制御弁の構造に基づき、各支持モジュールを構成することができる。これにより、支持モジュールのバリエーションに多様性がもたらされる。
【0005】
本発明の目的は、空圧式のブレーキ機構のブレーキ装置及び補助装置を制御するための弁アッセンブリを改良して、個々の空圧式の制御弁が簡単に交換可能であり、かつ、汎用性を持って使用可能な支持モジュールと協働する弁アッセンブリを提供することである。
【0006】
上記目的は請求項1の上位概念部に記載の弁アッセンブリを起点にして、請求項1に記載の特徴を備えることにより達成される。従属請求項は、本発明の有利な構成を提供する。
【0007】
本発明が有する技術的思想は、少なくとも同じ高さ寸法及び同じ奥行き寸法の、連設されたブロック状の複数の支持モジュールが設けられており、これらの支持モジュールは全支持モジュールの連設により共通の長手方向通路をもたらす通路区分を有しており、各支持モジュールの正面に、カートリッジ弁として構成されている制御弁を収容するための少なくとも1つの基準穴が配置されており、制御弁は内部の通路間における圧縮空気流を切り換えることである。
【0008】
特に本発明に係る構成の利点は、カートリッジ弁として特別に構成されている複数の制御弁が同様の幾何学的な外側寸法において規格化されているので、これらの制御弁を互いに簡単に交換することができるという点にある。ブロック状の支持モジュールが互いに交換可能でもあり、全体として高いモジュール方式が達成される。カートリッジ弁を収容するために設けられている基準穴により、種々異なる弁機能を有するカートリッジ弁を、同じ支持モジュール内に挿入することができる。これにより、少ない支持モジュールによって最大の装備バリエーション、ひいては最大数の機能を発揮することができるようになる。同じ高さ寸法及び奥行き寸法により、ブロック形状をもたらす隙間のない連設を実現することができる。これに対して、支持モジュールの幅寸法は、小型又は大型のカートリッジ弁のための構成スペースを支持モジュールの幅に亘って提供するために少ないバリエーションにおいて変更することができる。これにより多様な流量に対応することができる。
【0009】
本発明に係る支持モジュールは、共通の長手方向通路により唯一の圧力制御軸に接続することができる。本発明により、先行技術と比べて配管に関する手間はかからない。ブレーキ装置及び補助装置を制御するための弁は、同じ構成の支持モジュールを連設して接合することにより、極めてコンパクトな弁アッセンブリに形成することができる。
【0010】
本発明を改良する構成により、ブロック状の支持モジュールは基準穴以外に、圧縮空気案内のために標準加工されている内部の通路を備えて構成されていることも提案される。つまり、支持モジュールの通路案内部は常に同一であるか、又は単に少ないバリエーションにおいて変えられる。所望のブレーキ機能又はブレーキ補助機能に適合させるための経路を、選択された制御弁の用途に応じて栓体エレメントを介して達成することができる。栓体エレメントは遮断エレメント、分離エレメント等として内部の通路内に挿入することができる。栓体エレメントにより、同じ通路案内部を備えた支持モジュールを簡単に種々異なって設定変更可能である。
【0011】
3ポート/2位置制御弁又は3ポート/3位置制御弁といったマルチウェイ・切換弁の形式の制御弁又は逆止弁を備えた支持モジュールは、主にブレーキ機能を発揮するために使用される。ブレーキ補助機能を発揮するために、上記の弁の種類の他に圧力スイッチ(Druckschalter)又は減圧弁が、例えばフィルタモジュールの領域においても使用される。
【0012】
本発明に係る支持モジュールは、有利な構成において軽金属から、有利には軽金属鋳物から成っている。この構成において、内部の通路は穿孔により加工することができる。しかし、通路を少なくとも部分的に鋳造技術により製造することも可能である。この構成以外には、レール車両構造における要求及び基準を満たさなければならない特別なプラスチックを用いて、支持モジュールを射出成形により製造することも選択可能である。
【0013】
本発明を改良する別の構成によれば、連設された支持モジュールを長手方向に延在する複数のタイロッドを介して互いに位置固定するようになっている。これによりタイロッドを取り除いた後には、支持モジュールを簡単に分解することができる。
【0014】
連設された支持モジュールは、本発明を改良するさらに別の構成によれば、タイロッドに対して横方向に延在している各固定ねじを介して、正面とは反対側の面で1つの共通の支持プレートに取外し可能に取り付けることができる。支持プレートは、作業管路側の接続部の背後にブレーキ機構及び補助装置への接続管を有していてよい。その他に、全支持モジュールに同時に圧縮空気供給を行う、つまり全支持モジュールのうちの1つの長手方向通路に圧縮空気供給を行う中央の主要タンク接続部を支持プレートに備えることも考慮可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】複数の支持モジュールから成る弁アッセンブリの概略的な斜視図である。
【0016】
以下に、本発明を改良する他の手段を、本発明の有利な実施の形態と共に唯一の図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
弁アッセンブリは、本実施の形態においては、例示的な2つの支持モジュール1a,1bを有している。これらの支持モジュール1a,1bが同じ高さ寸法及び同じ奥行き寸法を有していることは看取可能であり、本実施の形態では同じ幅も有している。支持モジュール1a,1bは通路区分2を有しており、この通路区分2は並べて連設することにより共通の長手方向通路3を形成する。内部の通路(鎖線により概略的に示す)は、各支持モジュール1a,1bの正面4に加工されている基準穴5a,5bに接続している。2つの基準穴5a,5bは、内部の圧縮空気通路7の間において圧縮空気流を切り換えるために、カートリッジ弁として形成されている制御弁6a若しくは6bを収容するために使用される。
【0018】
2つの支持モジュール1a,1bは、標準的に加工された内部の通路を有している。これに対して、制御弁6a,6bは種々異なっている。栓体エレメント8が通路案内部の弁機能に適した構成を可能にする。
【0019】
支持モジュール1aが、マルチウェイ・切換弁の形式の制御弁6a,6bを備えている一方で、他の支持モジュール1bは、本実施の形態において、圧力スイッチの形式の制御弁6a′,6b′を備えている。
【0020】
連設されている支持モジュール1a,1bは、長手方向に延在している複数のタイロッド9を介して互いに固定されている。これに対して支持モジュール1a及び1bの正面4からねじ込まれている固定ねじ10は、正面4とは反対側にある支持プレート11との固定のために働く。さらに、支持プレート11は全ての支持モジュール1a,1bへ共通して圧縮空気を供給するための中心的な空気接続部12を有している。この点において、全支持モジュール1a,1bは支持プレート11に対する接触領域において、適切に密閉された開口を備えている。
【符号の説明】
【0021】
1 支持モジュール、 2 通路区分、 3 長手方向通路、 4 正面、 5 基準孔、 6 制御弁、 7 圧縮空気通路、 8 栓体エレメント、 9 タイロッド、 10 固定ねじ、 11 支持プレート、 12 空気接続部