(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5650176
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】ターボ機械
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20141211BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20141211BHJP
F04D 29/70 20060101ALI20141211BHJP
H02K 11/00 20060101ALI20141211BHJP
H02K 5/20 20060101ALI20141211BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
H02K5/22
F04D29/00 B
F04D29/70 N
H02K11/00 X
H02K5/20
H02K7/14 B
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-199866(P2012-199866)
(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公開番号】特開2013-46569(P2013-46569A)
(43)【公開日】2013年3月4日
【審査請求日】2012年10月26日
(31)【優先権主張番号】1114788.1
(32)【優先日】2011年8月26日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー チャールトン クロージアー
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー マイケル ドウ
【審査官】
下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−300698(JP,A)
【文献】
実開昭61−065865(JP,U)
【文献】
特開2006−109575(JP,A)
【文献】
特開2007−202253(JP,A)
【文献】
特開2008−017656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
F04D 29/00
F04D 29/70
H02K 5/20
H02K 7/14
H02K 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング及び回路組立体を備えるターボ機械であって、前記ハウジングは、作動空気流を吸入する吸気口と、前記吸気口から延びるフランジを備え、前記回路組立体は、回路基板と、ヒートシンクを有する電気構成部品とを備え、前記回路組立体は、前記フランジが前記回路基板を超えて軸方向に延びると共に前記ヒートシンクが前記フランジを超えて軸方向に延びるように、前記ハウジング内に配置される、ターボ機械。
【請求項2】
前記フランジは環状であり、前記回路基板は前記フランジを取り囲むと共に前記フランジが貫通して延びる開口を備える、請求項1に記載のターボ機械。
【請求項3】
前記ターボ機械は、前記ハウジング内に配置されるロータ組立体を備え、前記ロータ組立体は、ロータコア及びインペラが取り付けられるシャフトを備え、前記ロータコアは吸気口の近位側にあり、前記インペラは吸気口の遠位側にある、請求項1又は2に記載のターボ機械。
【請求項4】
前記ターボ機械は電気機械を備え、前記構成部品は前記電気機械からの電力又は前記電気機械への電力を制御するパワースイッチである、請求項1から3のいずれかに記載のターボ機械。
【請求項5】
前記ターボ機械はステータ組立体を備え、前記吸気口は、吸気口を通して前記ステータ組立体を見ることができるように、前記ステータ組立体を覆っている、請求項1から4のいずれかに記載のターボ機械。
【請求項6】
前記ステータ組立体は、一対の対向するステータコアを備え、前記吸気口は細長い形状である、請求項5に記載のターボ機械。
【請求項7】
前記ヒートシンクは、前記ステータ組立体の側面に沿って軸方向に延びる、請求項5又は6に記載のターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械の回路組立体は、作動空気流に晒される位置に配置できる。従って、回路組立体の構成部品は、空気流によって冷却されるという利点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この配置は、偶発的に空気流によって運ばれる何らかの液体が回路組立体を短絡させて回復不能な損傷を与える場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ハウジング及び回路組立体を備えるターボ機械を提供し、ハウジングは、作動空気流を吸入する吸気口及び前記吸気口から延びるフランジを備え、回路組立体は、回路基板及びヒートシンクを有する電気構成部品を備え、回路組立体は、フランジが回路基板を超えて延びると共にヒートシンクがフランジを超えて延びるように、ハウジング内に配置される。
【0005】
フランジは、回路基板を作動空気流から遮るように作用する。結果的に、空気流によって何らかの流体が偶発的に運ばれたとしても、流体が回路基板上に入り込むリスクが低減される。ヒートシンクはフランジを超えて延びるので作動空気流に晒される。結果的に、回路基板を上手く保護しながら、作動空気流による構成部品の冷却を継続的に行うことができる。
【0006】
回路基板はフランジを取り囲むと共にフランジが貫通して延びる開口を備えることができる。これによりターボ機械の製造が容易になる。特に、回路組立体が多数の電気構成部品を備える場合、回路組立体に関して単一の回路基板を採用できる。更に、回路組立体は、利用可能な空間を有効利用できるので、全体的に更にコンパクトなターボ機械を実現できる。
【0007】
ターボ機械は、ハウジング内に配置されるロータ組立体を備えることができる。ロータ組立体は、ロータコア及びインペラが取り付けられるシャフトを備えることができる。更に、ロータコアは吸気口の近位側にあり、インペラは吸気口の遠位側にあることができる。従って、インペラは吸気口から離間する。その結果、作動空気流は、ハウジングを通って吸気口からインペラへ略軸方向に移動する。フランジが回路基板を超えて軸方向に延び、空気流が略軸方向に移動するので、回路基板の位置にデッドスペース領域が有効に生じる。
【0008】
ターボ機械は電気機械を備えることができ、構成部品は、電気機械への電力又は電気機械からの電力を制御するパワースイッチとすることができる。作動空気流に晒されるヒートシンクを設けることで、パワースイッチは、そうでなければパワースイッチを損傷する可能性があるスイッチング周波数で作動すること及び/又は電流を流すことができる。
【0009】
ターボ機械はステータ組立体を備えることができ、吸気口はステータ組立体を覆うことができ、吸気口を通してステータ組立体を見ることができるようなっている。その結果、ステータ組立体は作動空気流に晒され、このことはステータ組立体を冷却するように作用する。ステータ組立体は一対の対向するステータコアを備えることができ、吸気口は細長い形状とすることができる。細長い形状の吸気口を採用することで、作動空気流を上手くステータ組立体に向かわせることができる。
【0010】
ヒートシンクは、ステータ組立体の側面に沿って軸方向に延びることができる。これにより、作動空気流によるヒートシンク及びステータ組立体の冷却を保証しながら、よりコンパクトな構造が可能になる。
【0011】
本発明を容易に理解できるように本発明の実施形態を添付の図面を参照して以下に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び2のターボ機械は、ハウジング2、ロータ組立体3、ステータ組立体4、及び回路組立体5を備える。
ハウジング2は、本体6、上部カバー7、及び下部カバー8を備える。本体6は、ロータ組立体3、ステータ組立体4、及び回路組立体5を支持する内部フレームを備える。上部カバー7は、本体6の第1の端部に固定され、作動空気流が入る吸気口9及び吸気口9から内側に延びる環状フランジ10を備える。下部カバー8は、本体6の第2の端部に固定され、ディフューザ羽根11及び作動流体が排出される排気口12を備える。
【0014】
ロータ組立体3は、シャフト13、ロータコア14、ベアリング組立体15、インペラ16、及びシュラウド17を備える。ロータコア14、ベアリング組立体15、及びインペラ16の各々はシャフト13に取り付けられる。シュラウド17は、インペラ16を覆うようにベアリング組立体15に取り付けられる。ロータ組立体3は、ベアリング組立体15及びシュラウド17においてハウジング2の本体6に取り付けられる。詳細には、ロータ組立体3は、O−リング18によって各箇所においてソフトマウントされる。ロータ組立体3は、ハウジング2内においてロータコア14が吸気口9の近位側にありインペラ16が吸気口10の遠位側にあるように向きが定められる。
【0015】
ステータ組立体4は、ロータコア14の対向側に配置された一対のステータコア19を備える。導線20はステータコア19の周りに巻かれ、一緒になって相巻線を形成する。相巻線は、回路組立体5に電気的に結合される。吸気口9は、ステータ組立体4を覆っており、ステータ組立体4は吸気口9を通して見ることができる。以下に説明するように、これによって作動空気流は、吸気口9からインペラ16まで移動する際にステータ組立体4を確実に冷却するように作用する。
【0016】
回路組立体5は、回路基板21及び複数の電気構成部品22を備える。電気構成部品22の1つはトロイダルインダクタ23及び4つのパワースイッチ24(例えば、BJT、MOSFET、IGBT)である。インダクタ23はロータ組立体3を取り囲み、ステータ組立体4とインペラ16との間に配置される。インダクタ23の巻線は、ステータ組立体4を通り超えて軸方向に延び、回路基板21に電気的に結合される。4つのパワースイッチ24は、テータ組立体4の相巻線への電力の供給を制御する。詳細には、パワースイッチ24はHブリッジに配置されて相巻線に結合される。パワースイッチ24の各々はヒートシンク25を備える。
【0017】
回路組立体5は上部カバー7の近くに配置される。更に、回路基板21はフランジ10を取り囲みフランジ10が貫通して延びる開口26を含む。従って、フランジ10は、回路基板21を超えて軸方向に延びる。各パワースイッチ24のヒートシンク25は、フランジ10を超えて軸方向に延びる。詳細には、各ヒートシンク25は、ステータ組立体4の側面に沿って軸方向に延びる。
【0018】
ターボ機械1の作動時、インペラ16は、作動空気流を吸気口9からハウジング2に引き込む。ハウジング2内のインペラ16の位置によって、空気流は、ハウジング2を通って吸気口9からインペラ16へ略軸方向に移動する。空気流がハウジング2を通って移動するので、空気流はステータ組立体4及びヒートシンク25を通過する。従って、空気流は、ステータ組立体4及びパワースイッチ24を冷却するように作用する。
【0019】
ステータ組立体4を通過する際、空気流はステータ組立体4を冷却するように作用する。その結果、銅損が低減するので効率の良いターボ機械1を得ることができる。ステータ組立体4は、各々が略C形の一対の対向するステータコア19を備える。従って、ステータ組立体4の全体的形状は細長い形状である。従って、空気流が上手くステータ組立体4に向かうように、吸気口9も同様に細長い形状である。
【0020】
ヒートシンク25を通過する際、空気流はパワースイッチ24を冷却するように作用する。従って、パワースイッチ24は、そうでなければパワーロスに関連する過度の熱によってパワースイッチ24に損傷を与えるようなスイッチング周波数で作動すること及び/又は電流を流すことができる。ヒートシンク25は、ステータ組立体4の側面を軸方向に沿って延びる。これにより更にコンパクトな構造がもたらされるが、作動空気流はヒートシンク25及びステータ組立体4を確実に冷却できる。
【0021】
フランジ10は、回路基板21を作動空気流から遮るように作用する。フランジ10が回路基板21を超えて軸方向延び、空気流がハウジング2を通って略軸方向に移動するので、デッドスペース領域が回路基板21の表面に有効に生じる。従って、作動空気流によって何らかの流体が偶発的に運ばれたとしても、流体が回路基板21上に入り込むリスクは低い。回路基板21は作動空気流に直接的に晒されていないが、ヒートシンク25が晒されている。結果的に、回路基板21が良好に保護されるにもかかわらずパワースイッチ24は継続して冷却される。
【0022】
回路組立体5は、回路基板21上に取り付けられた多数の電気構成部品22を備える。回路基板21がフランジ10を取り囲むようにすることで、利用可能な空間の有効利用ができ、よりコンパクトなターボ機械1が可能になる。更に、フランジ10を取り囲む場合、回路組立体5に関して単一の回路基板21を採用できる。従って、ターボ機械1の製造及び組み立てが容易になる。対照的に、回路組立体5がフランジ10の対向側に配置される2枚の類似の回路基板を備える場合、2枚の回路基板の間の電気的な結合が必要となるはずである。
【0023】
ロータ組立体3のシャフト13及びロータコア14、並びにステータ組立体4及び回路組立体5は、まとめてインペラ16を駆動するモータと見なすことができる。もしくは、これらの構成部品は、まとめてインペラ16によって駆動される発電機の形態をとることができる。従って、一般的に、ターボ機械1は、インペラ16を駆動する又はこれにより駆動される電気機械を備えると言うことができる。回路組立体5は、電気機械への又は電気機械からの電力を制御する少なくとも1つのパワースイッチ24を備える。前述の特定の実施形態において、電気機械は、ブラシレス直流モータの形態をとることができる。もしくは、電気機械はブラシモータ及び/又は交流モータとすることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 ターボ機械
2 ハウジング
5 回路組立体
9 吸気口
10 フランジ
21 回路基板
25 ヒートシンク