(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る種々の実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下、全ての図面において、同様の構造を有する構成要素には同一符号を付すものとする。
【0012】
図1は、本発明に係る一実施形態の画像形成装置1の主な構成を概略的に示す図である。この画像形成装置1は、電子写真方式で動作し、且つ中間転写方式で現像剤像を記録媒体に転写させる機能を有する。中間転写方式は、感光体ドラムなどの像担持体上に形成された現像剤像を中間転写体に1次転写した後に、この中間転写体から記録媒体へ当該現像剤像を2次転写する方式である。
【0013】
画像形成装置1は、
図1に示されるように、装置本体(フレーム)10と、シート状の記録媒体Paを積層状態で格納し得るトレイ100と、記録媒体Paとは別種のシート状の記録媒体Pbを積層状態で格納し得るMPT(多目的トレイ:Multi−Purpose Tray)110と、互いに異なる複数色の現像剤像を形成する画像形成部20K,20C,20M,20Yと、これら現像剤像を2次転写部まで搬送する中間転写ベルトユニット700と、2次転写部を構成する2次転写ローラ137と、2次転写された現像剤像を記録媒体Pa(またはPb)に定着させる定着器200と、画像形成装置1の全体動作を制御する制御部30とを備えている。記録媒体Pa,Pbとしては、たとえば、用紙、合成紙、厚紙、特殊用紙、プラスチックフィルムあるいは布などのシート状の媒体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
トレイ100は、装置本体10に着脱自在に装着されている。このトレイ100は、軸部の周りに回動自在に支持された板状の媒体積載部102と、リフトアップレバー103とを含む。シート状の記録媒体Paは、媒体積載部102上に載置される。リフトアップレバー103は、装置本体10内に配置された駆動モータ104と接離可能に接続されている。トレイ100が装置本体10に装着されると、制御部30は、トレイ100の装着状態を検知し、駆動モータ104を動作させる。リフトアップレバー103は、駆動モータ104から伝達された回転駆動力により回転し、これに応じてリフトアップレバー103の先端部が媒体積載部102の底部を持ち上げる。これにより、記録媒体Paの先端部が上昇してピックアップローラ122と当接する。上昇検出センサ121は、この状態を検出し、その検出結果を示す検出信号を制御部30に出力する。制御部30は、上昇検出センサ121から供給された検出信号に基づいて、記録媒体Paの先端部がピックアップローラ122と当接したことを検知すると、駆動モータ104の動作を停止させる。なお、ピックアップローラ122の近傍には、記録媒体Paの有無を検出する媒体検出センサ125と、記録媒体Paの残量検知のための残量検出センサ126とが設けられている。制御部30は、媒体検出センサ125の出力に基づいて記録媒体Paの有無を検知することができ、残量検出センサ126の出力に基づいてトレイ100内の記録媒体Paの残量を検知することもできる。
【0015】
ピックアップローラ122は、駆動モータ(図示せず)から伝達された回転駆動力に応じて反時計回りに矢印方向へ回転して、記録媒体Paをトレイ100から繰り出すことができる。ピックアップローラ122は、一方向のみに回転駆動力を伝達するワンウェイクラッチ機構を内蔵し、回転駆動力の供給が停止されたときでも反時計回りに矢印方向へ空転可能である。トレイ100から繰り出された記録媒体Paは、フィードローラ123とリタードローラ(retard roller)124との間のニップ部(フィードローラ123とリタードローラ124とが互いに当接する領域)に供給される。フィードローラ123は、駆動モータ(図示せず)から伝達された回転駆動力に応じて反時計回りに矢印方向へ回転し得る。フィードローラ123及びリタードローラ124は、記録媒体Paを1枚ずつ搬送経路に送り出すことができる。また、リタードローラ124は、フィードローラ123の回転に従動して回転しつつ、記録媒体Paの搬送方向とは逆方向のトルクを発生させるため、トレイ100から複数枚の記録媒体Paが同時に繰り出された場合でも、フィードローラ123及びリタードローラ124は、これら複数枚の記録媒体Paから1枚ずつ記録媒体Paを分離して搬送経路に送り出すことができる。なお、フィードローラ123は、ピックアップローラ122と同様に、ワンウェイクラッチ機構を内蔵し、回転駆動力の供給が停止されたときでも反時計回りに矢印方向へ空転可能である。
【0016】
フィードローラ123よりも搬送方向下流側には、記録媒体Paの搬送経路に沿って、第1の媒体センサ131と、一対の搬送ローラ132A,132Bと、第2の媒体センサ133と、一対の搬送ローラ134A,134Bと、一対の搬送ローラ135A,135Bと、第3の媒体センサ136とが設けられている。これら搬送ローラ132A,132B,134A,134B,135A,135Bは、搬送駆動モータ(図示せず)から伝達された回転駆動力に応じて矢印方向へ回転して記録媒体Paを搬送する。ここで、搬送ローラ132A,132Bは、供給された記録媒体Paの斜行(記録媒体Paが搬送方向に対して傾いている状態)を防止する機構を有する。
【0017】
第1乃至第3の媒体センサ131,133,136は、記録媒体Paの通過を接触式または非接触式で検出するセンサである。制御部30は、第1の媒体センサ131から供給された検出信号に基づいて搬送ローラ132A,132Bを回転させるタイミングを制御し、第2の媒体センサ133から供給された検出信号に基づいて搬送ローラ134A,134Bを回転させるタイミングを制御することができる。第3の媒体センサ(書き込みセンサ)136は、搬送ローラ135A,135Bと2次転写ローラ137との間に配置されている。制御部30は、この第3の媒体センサ136から供給された検出信号に基づいて、たとえば、画像形成部20K,20C,20M,20Yの各々の動作タイミング、及び、中間転写ベルト701の駆動速度を制御することができる。
【0018】
一方、MPT110は、装置本体10に着脱自在に装着される。このMPT110は、複数枚のシート状の記録媒体Pbを積載し得る媒体積載部114を含む。この媒体積載部114は、不定形サイズの用紙もしくは比較的厚い用紙を記録媒体Pbとして格納することができる。この媒体積載部114の先端部付近には、ピックローラ112と、一対のフィードローラ111及びリタードローラ113とが設けられている。ピックローラ112は、駆動モータ(図示せず)から伝達された回転駆動力に応じて時計回りに矢印方向へ回転して、記録媒体PbをMPT110から繰り出すことができる。繰り出された記録媒体Pbは、フィードローラ111とリタードローラ113とのニップ部(フィードローラ111とリタードローラ113とが互いに当接する領域)に供給される。フィードローラ111は、駆動モータ(図示せず)から伝達された回転駆動力に応じて反時計回りに矢印方向へ回転し得る。フィードローラ111及びリタードローラ113は、記録媒体Pbを1枚ずつ搬送経路に送り出すことができる。また、リタードローラ113は、フィードローラ111の回転に従動して回転しつつ、記録媒体Pbの搬送方向とは逆方向のトルクを発生させるので、MPT110から複数枚の記録媒体Pbが同時に繰り出された場合でも、フィードローラ111及びリタードローラ113は、これら複数枚の記録媒体Pbから1枚ずつ記録媒体Pbを分離して搬送ローラ134A,134Bに送り出すことが可能である。
【0019】
図2は、本実施形態の画像形成部20K,20C,20M,20Yと中間転写ベルトユニット700とを概略的に示す図である。
【0020】
中間転写ベルトユニット700は、中間転写体をなす中間転写ベルト701と、この中間転写ベルト701を駆動する駆動ローラ702と、従動ローラであるテンションローラ703と、このテンションローラ703を所定方向に弾性付勢する弾性部材710と、補助ローラ711,712と、1次転写ローラ705K,705C,705M,705Yと、ベルトクリーニング部706とを備えて構成される。駆動ローラ702,テンションローラ703,バックアップローラ704及び補助ローラ711,712は、それぞれ図面に垂直な方向(Z軸方向)の回転軸の周りに回転自在となるように保持されている。
【0021】
中間転写ベルト701は、たとえばポリイミド樹脂などの樹脂材料からなる無端の弾性ベルトである。この中間転写ベルト701は、駆動ローラ702,テンションローラ703,バックアップローラ704及び補助ローラ711,712に張架されている。駆動ローラ702は、駆動モータ(図示せず)から伝達された動力に応じて時計回りに回転することにより、中間転写ベルト701を循環的に回転させることができる。弾性部材710は、たとえばコイルスプリングからなり、テンションローラ703を押圧付勢して中間転写ベルト701の全体に適正な張力を付与し、中間転写ベルト701の張力変動を低減させる機能を有している。なお、駆動ローラ702,テンションローラ703及び弾性部材710によって、中間転写ベルト701を駆動する駆動機構が構成される。
【0022】
画像形成部20K,20C,20M,20Yは、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の現像剤(粉体トナーを含む。)からなる画像すなわち現像剤像をそれぞれ形成する機能を有する。ブラック画像用の画像形成部20Kは、ブラックの現像剤を収容する現像剤収容部420Kと、ユニット保持部800Kに着脱自在に保持されるプロセスユニット400Kと、露光部としての露光ユニット500Kとを有する。現像剤収容部420Kは、装置本体(フレーム)10の一部をなすトッププレート16上に載置され、このトッププレート16の挿通孔とユニット保持部800Kの現像剤供給口とを介してプロセスユニット400Kにブラックの現像剤を供給する。
【0023】
プロセスユニット400Kは、像担持体である感光体ドラム401Kと、この感光体ドラム401Kの表面を一様に帯電させる帯電部としての帯電ローラ402Kと、現像剤担持体である現像ローラ(現像部)404Kと、現像剤収容部420Kから供給された現像剤を現像ローラ404Kの表面に付着させる供給ローラ403Kと、1次転写後に感光体ドラム401Kの表面に残留した現像剤を掻き落とすドラムクリーニング部405Kとを有する。感光体ドラム401Kは、円筒形状を有し、ドラムモータ(図示せず)から伝達された回転駆動力に応じて反時計回りに矢印方向へ回転する。感光体ドラム401Kは、たとえば、アルミニウムなどの金属パイプ(導電性基体)と、この金属パイプの周りに形成された有機感光体(OPC:Organic Photoconductor)などの光導電層とで構成される。なお、プロセスユニット400Kは、現像ローラ404Kの表面上の現像剤層(トナー層)を薄層化する現像ブレードも有しているが、この現像ブレードは図示されていない。
【0024】
露光ユニット500Kは、感光体ドラム401Kの表面と対向し且つ近接する位置に配置されている。露光ユニット500Kは、感光体ドラム401Kの長手方向(Z軸方向)に沿って配列された多数のLED素子(発光ダイオード素子)と、これらLED素子を駆動するLED駆動回路と、これらLED素子の出射光を感光体ドラム401Kの表面に導く光学レンズアレイとを有する。
【0025】
露光ユニット500Kは、制御部30による制御を受けて動作し、印刷画像に対応するパターン光を感光体ドラム401Kの表面に照射して当該感光体ドラム401K上に静電潜像を形成する。この感光体ドラム401Kの表面のうち静電潜像が形成された部分が現像ローラ404Kに到達すると、感光体ドラム401K上の静電潜像と現像ローラ404Kとの間の電位差により、ブラックの現像剤が当該静電潜像に移動して感光体ドラム401K上に現像剤像(トナー画像)を形成する。その後、感光体ドラム401K上の現像剤像は、1次転写位置まで搬送される。1次転写位置では、感光体ドラム401Kと1次転写ローラ705Kとの間に中間転写ベルト701がニップされ(挟み込まれ)ている。1次転写ローラ705Kに印加された転写バイアスにより、感光体ドラム401K上の現像剤像は、中間転写ベルト701の表面に転写される。
【0026】
他の画像形成部20C,20M,20Yの構成も、使用される現像剤の種類を除いて、画像形成部20Kの構成とほぼ同じである。すなわち、シアン画像用の画像形成部20Cは、シアンの現像剤を収容する現像剤収容部420Cと、ユニット保持部800Cに着脱自在に保持されるプロセスユニット400Cと、露光部としての露光ユニット500Cとを有する。現像剤収容部420Cは、装置本体10の一部をなすトッププレート16上に載置され、このトッププレート16の挿通孔とユニット保持部800Cの現像剤供給口とを介してプロセスユニット400Cにシアンの現像剤を供給する。プロセスユニット400Cは、像担持体である感光体ドラム401Cと、この感光体ドラム401Cの表面を一様に帯電させる帯電部としての帯電ローラ402Cと、現像剤担持体である現像ローラ(現像部)404Cと、現像剤収容部420Cから供給された現像剤を現像ローラ404Cの表面に付着させる供給ローラ403Cと、1次転写後に感光体ドラム401Cの表面に残留した現像剤を掻き落とすドラムクリーニング部405Cとを有する。
【0027】
また、マゼンタ画像用の画像形成部20Mは、マゼンタの現像剤を収容する現像剤収容部420Mと、ユニット保持部800Mに着脱自在に保持されるプロセスユニット400Mと、露光部としての露光ユニット500Mとを有する。現像剤収容部420Mは、装置本体10の一部をなすトッププレート16上に載置され、このトッププレート16の挿通孔とユニット保持部800Mの現像剤供給口とを介してプロセスユニット400Mにマゼンタの現像剤を供給する。プロセスユニット400Mは、像担持体である感光体ドラム401Mと、この感光体ドラム401Mの表面を一様に帯電させる帯電部としての帯電ローラ402Mと、現像剤担持体である現像ローラ(現像部)404Mと、現像剤収容部420Mから供給された現像剤を現像ローラ404Mの表面に付着させる供給ローラ403Mと、1次転写後に感光体ドラム401Mの表面に残留した現像剤を掻き落とすドラムクリーニング部405Mとを有する。
【0028】
そして、イエロー画像用の画像形成部20Yは、イエローの現像剤を収容する現像剤収容部420Yと、ユニット保持部800Yに着脱自在に保持されるプロセスユニット400Yと、露光部としての露光ユニット500Yとを有する。現像剤収容部420Yは、装置本体10の一部をなすトッププレート16上に載置され、このトッププレート16の挿通孔とユニット保持部800Yの現像剤供給口とを介してプロセスユニット400Yにイエローの現像剤を供給する。プロセスユニット400Yは、像担持体である感光体ドラム401Yと、この感光体ドラム401Yの表面を一様に帯電させる帯電部としての帯電ローラ402Yと、現像剤担持体である現像ローラ(現像部)404Yと、現像剤収容部420Yから供給された現像剤を現像ローラ404Yの表面に付着させる供給ローラ403Yと、1次転写後に感光体ドラム401Yの表面に残留した現像剤を掻き落とすドラムクリーニング部405Yとを有する。
【0029】
プロセスユニット400K,400C,400M,400Yは、中間転写ベルト701の駆動方向(X軸方向)に沿って配列されている。これらプロセスユニット400Y,400M,400C,400Kで形成された4色の現像剤像は、中間転写ベルト701の表面に順次転写され、重ね合わされる。この結果、中間転写ベルト701上にカラー現像剤像が形成される。中間転写ベルト701は、このカラー現像剤像を自己の表面に担持しつつ、バックアップローラ704と2次転写ローラ137との間の2次転写位置まで搬送する。
【0030】
バックアップローラ704及び2次転写ローラ137は、中間転写ベルト701上のカラー現像剤像を記録媒体Pa(またはPb)に転写させる2次転写部を構成する。バックアップローラ704及び2次転写ローラ137は、互いに対向し且つ中間転写ベルト701を挟み込むように配置されている。2次転写ローラ137は、たとえば、金属製の芯材と、この芯材の外周面上に形成された弾性層(たとえば、発泡ゴム層)とで構成されればよい。
【0031】
ベルトクリーニング部706は、2次転写後に中間転写ベルト701上に残留した現像剤を除去する。ベルトクリーニング部706は、中間転写ベルト701の表面に一定の圧力で接触するクリーニング部材715を内蔵しており、このクリーニング部材715は、2次転写部から搬送された残留現像剤を中間転写ベルト701から掻き落とすことができる。
【0032】
図1に示されるように、定着器200は、2次転写部から供給された記録媒体Pa(またはPb)上のカラー現像剤像を当該記録媒体Pa(またはPb)に定着させる機能を有する。この定着器200は、
図1に示されるように、時計回りに回転する円管状の上部ローラ201と、反時計回りに回転する円管状の下部ローラ202とを有し、これら上部ローラ201と下部ローラ202とは互いに対向するように配置される。上部ローラ201の内部には、ハロゲンランプなどの熱源203Aが配置され、下部ローラ202の内部にも、ハロゲンランプなどの熱源203Bが配置されている。また、上部ローラ201及び下部ローラ202は、それぞれ、弾性体材料からなる表面層を有している。上部ローラ201と下部ローラ202とは、当該上部ローラ201と下部ローラ202との間にニップ(挟持)された記録媒体Pa(またはPb)に圧力及び熱を印加することにより、カラー現像剤像を溶かして記録媒体Pa(またはPb)に定着させることができる。
【0033】
定着器200から送り出された記録媒体Pa(またはPb)は、排出ローラ142A,142B,143A,143B,144A,144B,145A,145Bにより、装置本体10の外部のスタッカ部150に搬送される。なお、画像形成装置1は、排出ローラ142A,142B,143A,143B,144A,144B,145A,145Bを回転させるステッピングモータなどの駆動部品群(図示せず)を有する。制御部30は、この駆動部品群の動作を制御することができる。
【0034】
次に、上記画像形成装置1の詳細な構造について以下に説明する。
【0035】
図3及び
図4は、前面カバー部(フロントカバー)24を有する本実施形態の画像形成装置1の主要部を概略的に示す斜視図である。
図3は、前面カバー部24が閉状態にあるときの画像形成装置1の斜視図であり、
図4は、前面カバー部24が開状態にあるときの画像形成装置1の斜視図である。また、
図5(A)は、画像形成装置1の装置本体(フレーム)10の構造のみを示す斜視図であり、
図5(B),(C)は、装置本体10の構造の一部を示す拡大図である。
図3,
図4及び
図5(A)においては、説明の便宜上、
図1の上面プレート11は省略されている。
【0036】
図5に示されるように、装置本体10は、当該装置本体10の前面を構成するフロントプレート12と、その背面を構成するリアプレート13と、その右方側面を構成する右側プレート14と、その左方側面を構成する左側プレート15と、トッププレート16とを有する。これらプレート部材12〜16の各々は、金属材料または樹脂材料で構成され得る。
【0037】
フロントプレート12には、3つの前面開口部12a,12b,12dが形成されている。上部の前面開口部12aを通じて、
図4に示される現像剤収容部(現像剤カートリッジ)420K,420C,420M,420Yを個別に装置本体10から−Z軸方向へ取り出し、または装置本体10の内部に挿入させて装着することができる。
図4に示される現像剤収容部420K,420C,420M,420Yは、トッププレート16の取付孔16k,16c,16m,16y(
図5)にそれぞれ装着される。
【0038】
また、前面開口部12bを通じて、
図4に示されるプロセスユニット400K,400C,400M,400Yを個別に装置本体10から−Z軸方向へ取り出し、または装置本体10の内部に挿入させて装着することができる。そして、下部の前面開口部12dを通じて、中間転写ベルトユニット700を装置本体10から−Z軸方向へ取り出し、または装置本体10の内部に挿入させて装着することが可能である。
図4は、現像剤収容部420K,420C,420M,420Y、プロセスユニット400K,400C,400M,400Y及び中間転写ベルトユニット700が装置本体10の内部に装着された状態を示している。
【0039】
前面カバー部24は、
図4に示されるようにフロントプレート12の下端部に設けられた支点12e,12fに回動自在に軸支されている。
図3は、前面カバー部24が前面開口部12a,12b,12dを閉蓋する位置(以下、閉位置と呼ぶ。)にある状態を示し、
図4は、前面カバー部24が前面開口部12a,12b,12dを開放する位置(以下、開位置と呼ぶ。)にある状態を示している。
【0040】
プロセスユニット400K,400C,400M,400Yは、装置本体10の内部に配置されたユニット保持部800K,800C,800M,800Y(
図2)にそれぞれ着脱自在に装着される。本実施形態の画像形成装置1は、これらユニット保持部800K,800C,800M,800Yと前面カバー部24とを互いに連動させる連結機構を有する。
図6は、ユニット保持部800K,800C,800M,800Yと前面カバー部24とを互いに連動させる連結機構910R,910Lの具体例を示す斜視図である。この
図6では、装置本体10、現像剤収容部420K,420C,420M,420Y、プロセスユニット400K,400C,400M,400Y及び中間転写ベルトユニット700の図示が省略されている。
【0041】
右側プレート14の近傍に配置される連結機構910Rは、
図6に示されるように、アーム部材911R、レバー部材912R、従動レバー部材914R及びレバー連結部材913Rを有する。アーム部材911Rの一端部は、接続点911eで前面カバー部24の端部と回動自在に接続されており、アーム部材911Rの他端部は、接続点911gでレバー部材912Rと回動自在に接続されている。レバー部材912Rは、
図6に示されない右側プレート14の支点912gと回動自在に接続される。具体的には、
図4に示されるように、レバー部材912Rは、取付部品916Rを用いて右側プレート14に回動自在に取り付けられている。このため、レバー部材912Rは、支点912gの周りに回転可能である。
【0042】
一方、従動レバー部材914Rは、
図6に示されない右側プレート14の支点914gと回動自在に接続される。具体的には、
図4に示されるように、従動レバー部材914Rは、取付部品917Rを用いて右側プレート14に回動自在に取り付けられている。このため、従動レバー部材914Rは、装置本体10の支点914gの周りに回転可能である。
【0043】
レバー連結部材913Rは、レバー部材912Rと従動レバー部材914Rとを連結し、レバー部材912Rから従動レバー部材914Rへの圧縮力または引張力を伝達する機能を有する。レバー連結部材913Rの一端部は、接続点912eでレバー部材912Rの端部と回動自在に接続され、レバー連結部材913Rの他端部は、接続点913eで従動レバー部材914Rの端部と回動自在に接続されている。このため、従動レバー部材914Rは、レバー部材912Rと連動して動作する。たとえば、レバー部材912Rが支点912gの周りを時計回りに回転すると、従動レバー部材914Rも、支点914gの周りを時計回りに同方向へ回転する。逆に、レバー部材912Rが支点912gの周りを反時計回りに回転すると、従動レバー部材914Rも、支点914gの周りを反時計回りに同方向へ回転することとなる。
【0044】
左側プレート15の近傍に配置される連結機構910Lは、
図6に示されるように、アーム部材911L、レバー部材912L、従動レバー部材914L及びレバー連結部材913Lを有する。アーム部材911Lの一端部は、接続点911fで前面カバー部24の端部と回動自在に接続されており、アーム部材911Lの他端部は、接続点911hでレバー部材912Lと回動自在に接続されている。レバー部材912Lは、
図6に示されない左側プレート15の支点912hと回動自在に接続される。このため、レバー部材912Lは、支点912hの周りに回転可能である。一方、従動レバー部材914Lは、
図6に示されない左側プレート15の支点914hと回動自在に接続される。このため、従動レバー部材914Lは、装置本体10の支点914hの周りに回転可能である。
【0045】
レバー連結部材913Lは、レバー部材912Lと従動レバー部材914Lとを連結し、レバー部材912Lから従動レバー部材914Lへの圧縮力または引張力を伝達する機能を有する。レバー連結部材913Lの一端部は、接続点912fでレバー部材912Lの端部と回動自在に接続され、レバー連結部材913Lの他端部は、接続点913fで従動レバー部材914Lの端部と回動自在に接続されている。このため、従動レバー部材914Lは、レバー部材912Lと連動して動作する。たとえば、レバー部材912Lが支点912hの周りを時計回りに回転すると、従動レバー部材914Lも、支点914hの周りを時計回りに同方向へ回転する。逆に、レバー部材912Lが支点912hの周りを反時計回りに回転すると、従動レバー部材914Lも、支点914hの周りを反時計回りに同方向へ回転することとなる。
【0046】
上記レバー部材912R,912Lには、X軸方向に延在するビームユニット920Fの両端部がそれぞれ取り付けられている。すなわち、前方のビームユニット920Fの一端部をなすキャップ部材952Rが右側のレバー部材912Rの挿通孔(支持孔)と係合し、ビームユニット920Fの他端部をなすキャップ部材952Lが左側のレバー部材912Rの挿通孔(支持孔)と係合している。よって、レバー部材912R,912Lは、前方のビームユニット920Fのキャップ部材952R,952Lを回動自在に支持している。
【0047】
また、上記従動レバー部材914R,914Lにも、X軸方向に延在するビームユニット920Rの両端部がそれぞれ取り付けられている。すなわち、後方のビームユニット920Rの一端部をなすキャップ部材952Rが右側の従動レバー部材914Rの挿通孔(支持孔)と係合し、ビームユニット920Rの他端部をなすキャップ部材952Lが左側の従動レバー部材914Lの挿通孔(支持孔)と係合している。よって、従動レバー部材914R,914Lは、後方のビームユニット920Rのキャップ部材952R,952Lを回動自在に支持している。
【0048】
さらに、前方のビームユニット920Fは、ユニット保持部800K,800C,800M,800Yの前部を吊り下げて支持している。また、後方のビームユニット920Rは、ユニット保持部800K,800C,800M,800Yの後部を吊り下げて支持している。
【0049】
上記した連結機構910R,910Lは、前面カバー部24の閉位置(
図3)から開位置(
図4)への回転移動動作(以下「開動作」とも呼ぶ。)に応じてユニット保持部800K,800C,800M,800Yを上方(+Y軸方向)へ変位させることができる。
図7(A)は、前面カバー部24が閉位置に配置されたときの連結機構910Rの右側面図であり、
図7(B)は、前面カバー部24が開位置に配置されたときの連結機構910Rの右側面図である。
【0050】
図7(A)の閉位置から
図7(B)の開位置へ前面カバー部24が回転移動すると、この開動作に応じて、アーム部材911Rと前面カバー部24との接続点911eが支点12eの周りを反時計回りに回転し、
図7(B)に示すように高さhだけ上昇する。このとき、前面カバー部24を回転させた力は、梃子の原理で支点12eを介して接続点911eに作用する。よって、前面カバー部24の回転移動に応じて、アーム部材911Rは、接続点911gを介してレバー部材912Rの端部を押し上げる。このとき、レバー部材912Rは、支点912gの周りを時計回りに回転する。また、レバー部材912Rの端部を押し上げる力は、梃子の原理で支点912gを介してキャップ部材952Rに作用する。
【0051】
左側の連結機構910Lでも、同様の原理により、閉位置から開位置への前面カバー部24の回転移動に応じてレバー部材912Lの端部を押し上げる力は、支点912hを介してキャップ部材952Lに作用する。それ故、レバー部材912R,912Lは、閉位置から開位置への前面カバー部24の回転移動に応じて前方のビームユニット920Rを上方に変位させる。
【0052】
同時に、従動レバー部材914R,914Lも、レバー部材912R,912Lと連動して支点914g,914hの周りをそれぞれ回転するので、後方のビームユニット920Rを上方に変位させる。したがって、ビームユニット920R,920Lに吊り下げられたユニット保持部800K,800C,800M,800Yは、前面カバー部24の開動作に応じて、
図4の中間転写ベルトユニット700から離間する方向に変位する。
【0053】
このように連結機構910R,910Lは、前面カバー部24の開動作に応じて、ユニット保持部800K,800C,800M,800Yを中間転写ベルトユニット700から離間させる。プロセスユニット400K,400C,400M,400Yは、ユニット保持部800K,800C,800M,800Yにそれぞれ装着されているため、連結機構910R,910Lは、前面カバー部24の開動作に応じて、プロセスユニット400K,400C,400M,400Yを中間転写ベルトユニット700から離間させる離間動作を実行することができる。逆に、前面カバー部24が
図7(B)の開位置から
図7(A)の閉位置へ回転移動したとき、連結機構910R,910Lは、この前面カバー部24の回転移動動作(以下「閉動作」とも呼ぶ。)に応じて、プロセスユニット400K,400C,400M,400Yを中間転写ベルトユニット700に近接させる近接動作を実行することができる。
【0054】
次に、ユニット保持部800K,800C,800M,800Yの構造について詳細に説明する。
図8及び
図9は、本実施形態におけるブラック画像用のユニット保持部800Kの斜視図である。
図8は、前方斜め下側から視たときのユニット保持部800Kの外観斜視図であり、
図9は、後方斜め上側から視たときのユニット保持部800Kの外観斜視図である。ユニット保持部800Kは、金属材料または樹脂材料で形成され得る。他のユニット保持部800C,800M,800Yも、ユニット保持部800Kと同一構造を有している。
【0055】
図8に示されるように、ユニット保持部800Kは、本体801と、この本体801の後端に結合された後側プレート803とを有する。本体801には、当該本体801の前端から後端に亘ってZ軸方向に延在するレール状の案内部(ガイドレール)801a,801bが形成されている。これら案内部801a,801bの前端には、ロックピース802R,802Lがそれぞれ取り付けられている。後述するように、これら案内部801a,801bには、プロセスユニット400Kのレール状の被案内部が着脱自在に装着される。
【0056】
図9に示されるように、ユニット保持部800Kの本体801は、その中央部に現像剤供給口808を有する。また、本体801には、各々がX軸方向の貫通孔を有する突出片(フック)804R,804L,805R,805Lが固定されている。これら突出片804R,804L,805R,805Lは、ユニット保持部800Kをビームユニット920F,920R(
図6)に懸架するために使用される。
図6に示されるように、前方の突出片804R,804Lの貫通孔には、ビームユニット920Fが挿通され、後方の突出片805R,805Lの貫通孔には、ビームユニット920Rが挿通される。
【0057】
図8及び
図9に示されるように、ユニット保持部800Kの後側プレート803には、Y軸方向に長い長孔(被係合孔)803rが形成されている。一方、本体801の前端面にも、Y軸方向に長い長孔801fが形成されている。これら長孔801f,803rは、後述する露光ユニット500KのX軸方向及びY軸方向の移動を規制するためのものである。
【0058】
また、後側プレート803には、略円形の挿通孔803a,803bも形成されている。挿通孔803aは、後述するようにプロセスユニット400Kの位置決めピン411(
図11)が係合する孔である。また、挿通孔803bは、後述するようにプロセスユニット400Kのスリーブ410(
図11)が挿通する孔である。さらに、
図8に示されるように、後側プレート803の内面には、接続端子806が付設されている。この接続端子806は、コイルスプリングなどの弾性部材(図示せず)によって−Z軸方向に弾性付勢されている。接続端子806は、後述するようにプロセスユニット400Kの電気接点413(
図11)と当接して電気的に接続するための端子である。
【0059】
次に、プロセスユニット400K,400C,400M,400Yの構造について詳細に説明する。
図10〜
図12は、本実施形態におけるブラック画像用のプロセスユニット400Kの斜視図である。
図10は、前方斜め上側から視たときのプロセスユニット400Kの斜視図であり、
図11は、後方斜め下側から視たときのプロセスユニット400Kの斜視図である。また、
図12は、
図10及び
図11に示したプロセスユニット400KのZ軸方向における概略断面図である。他のプロセスユニット400C,400M,400Yも、プロセスユニット400Kと同じ構造を有している。
【0060】
図10に示されるように、プロセスユニット400Kの前端には、このプロセスユニット400Kをユニット保持部800Kに着脱する際の操作に使用される取手部407が設けられている。ユーザは、この取手部407を把持してプロセスユニット400Kを操作することができる。
【0061】
また、
図10に示されるようにプロセスユニット400Kの右側面には、Z軸方向に延在するレール部408Rが形成されており、
図11に示されるようにプロセスユニット400Kの左側面には、前方レール部408LF及び後方レール部408LRが形成されている。プロセスユニット400Kがユニット保持部800Kに装着される際には、レール部408Rは、
図8のユニット保持部800Kの一方の案内部801aによって案内され、前方レール部408LF及び後方レール部408LRは、ユニット保持部800Kの他方の案内部801bによって案内される。
【0062】
図13は、ユニット保持部800Kに装着された状態のプロセスユニット400Kの一部を表す断面図である。
図13に示されるように、プロセスユニット400Kのレール部408Rは、ロックピース802Rを乗り越えて案内部801aに案内され、装着される。このとき、レール部408Rの先端面をなす突き当て面408Raは、ロックピース802Rの後端面と係合する。これにより、プロセスユニット400KのZ軸方向における位置決めを行うことができる。同様に、プロセスユニット400Kの前方レール部408LF及び後方レール部408LRは、ロックピース802Lを乗り越えて案内部801b(
図8)に案内され、装着される。このとき、前方レール部408LFの先端面をなす突き当て面408Laは、ロックピース802Lの後端面と係合するので、プロセスユニット400KのZ軸方向における位置決めを行うことができる。
【0063】
ユニット保持部800Kからプロセスユニット400Kを取り外す際には、ユーザは、プロセスユニット400Kを+Y軸方向に持ち上げて、レール部408Rとロックピース802Rとの係合を解除し、前方レール部408LFとロックピース802Lとの係合を解除すればよい。
【0064】
図10及び
図12に示されるように、プロセスユニット400Kは、+Z軸方向に突出する係合ピン414を有している。
図5(A)に示したように、装置本体10のフロントプレート12には、係合孔12k,12c,12m,12yが形成されている。
図5(B)は、プロセスユニット400K用の係合孔12kの拡大図である。プロセスユニット400Kの係合ピン414は、プロセスユニット400Kがユニット保持部800Kに装着される際に、フロントプレート12の係合孔12kと係合してプロセスユニット400KのX軸方向及びZ軸方向における位置決めのために使用される。
【0065】
また、
図12に示されるように、プロセスユニット400Kは、円筒形状の感光体ドラム401Kを内蔵している。感光体ドラム401Kの軸部401Kaは、回動自在に支持されている。また、軸部401Kaの一端は、継ぎ手412を介してプロセスユニット400Kのスリーブ410によって支持されている。
【0066】
継ぎ手412の先端部は、
図11に示されるように、ドラムモータ(図示せず)からの回転駆動力を感光体ドラム401Kの軸部401Kaに伝達し得る凹凸構造を有している。スリーブ410は、
図8及び
図9に示したユニット保持部800Kの挿通孔803bと係合し、ユニット保持部800Kとの位置決めのために使用される。また、プロセスユニット400Kの後端部には、位置決めピン411が形成されている。この位置決めピン411は、
図8及び
図9に示したユニット保持部800Kの挿通孔803aと係合して、装着時のプロセスユニット400Kの回転を防止するものである。
【0067】
プロセスユニット400Kの後端部には、電気接点413が付設されている。この電気接点413は、プロセスユニット400Kの装着時にユニット保持部800Kの接続端子806(
図8)と当接する。この電気接点413を介して画像形成プロセス用のバイアス電圧を供給することができる。接続端子806は、−Z軸方向に弾性付勢されているので、プロセスユニット400Kの装着時にこのプロセスユニット400Kを−Z軸方向に押圧する。これにより、レール部408Rの突き当て面408Raがユニット保持部800Kのロックピース802Rの後端面と突き当たり、前方レール部408LFの突き当て面408Laもユニット保持部800Kのロックピース802Lの後端面と突き当たるので、ユニット保持部800Kに対するプロセスユニット400Kの相対位置が定まる。
【0068】
図11及び
図12に示されるように、プロセスユニット400Kの底面には、突起部409R,409Lが形成されている。これら突起部409R,409Lは、後述する中間転写ベルトユニット700に対するプロセスユニット400Kの位置決めのために使用される。また、
図10及び
図12に示されるように、プロセスユニット400Kの側壁406とレール部408Rとの間に位置決めピン415F,415Rとヘッド突き当て部(ヘッド突き当てピース)416F,416Rとが設けられている。これら位置決めピン415F,415Rとヘッド突き当て部416F,416Rとは、後述する露光ユニット500Kに対するプロセスユニット400KのX軸方向及びZ軸方向における位置決めのために使用される。
【0069】
次に、
図14及び
図15は、中間転写ベルトユニット700の斜視図である。
図14は、前方斜め上側から視たときの中間転写ベルトユニット700の斜視図であり、
図15は、後方斜め下側から視たときの中間転写ベルトユニット700の斜視図である。
【0070】
中間転写ベルトユニット700は、金属製のフレーム708を有し、このフレーム708に回動自在に取り付けられた駆動ローラ702,テンションローラ703及びバックアップローラ704を有する。中間転写ベルト701は、これら駆動ローラ702,テンションローラ703及びバックアップローラ704に張架されている。
【0071】
フレーム708は、前面フレーム708Fと背面フレーム708Rとを含む。
図14に示されるように、前面フレーム708Fには、一対のハンドル721,722が付設されている。ユーザは、これらハンドル721,722を把持して中間転写ベルトユニット700を操作することができる。
【0072】
図15に示されるように、前面フレーム708Fの内面には、位置決めピン709R,709Lが付設され、背面フレーム708Rには、位置決めピン710R,710Lが付設されている。これら位置決めピン709R,709L,710R,710Lは、装置本体10に中間転写ベルトユニット700が装着される際の中間転写ベルトユニット700の位置決めのために使用される。たとえば、位置決めピン709R,709Lは、
図5に示されるフロントプレート12に形成された係合孔12h,12iとそれぞれ係合する。なお、位置決めピン710Lは、駆動ローラ702へ回転駆動力を伝達する駆動軸としても使用される。
【0073】
また、
図14に示されるように、前面フレーム708Fの上端には、V字状の受け溝708fK,708fC,708fM,708fYが形成され、背面フレーム708Rの上端にも、V字状の受け溝708rK,708rC,708rM,708rYが形成されている。受け溝708fK,708rKは、中間転写ベルトユニット700に対するプロセスユニット400Kの位置決めに使用される。同様に、受け溝708fC,708rCは、中間転写ベルトユニット700に対するプロセスユニット400Cの位置決めに使用され、受け溝708fM,708rMは、中間転写ベルトユニット700に対するプロセスユニット400Mの位置決めに使用され、受け溝708fY,708rYは、中間転写ベルトユニット700に対するプロセスユニット400Yの位置決めに使用される。
図16(A)は、中間転写ベルトユニット700とプロセスユニット400Kとの間の位置関係を示す斜視図であり、
図16(B),(C)は、中間転写ベルトユニット700とプロセスユニット400Kとの係合部の拡大図である。
図16(B),(C)に示されるように、プロセスユニット400Kの突起部409Rが,背面フレーム708Rの受け溝708rKと係合し、プロセスユニット400Kの突起部409Fが,前面フレーム708Fの受け溝708fKと係合する。
【0074】
次に、ユニット保持部800K,800C,800M,800Yを吊り下げて支持するビームユニット920F,920Rについて説明する。
図17は、前方のビームユニット920Fの外観斜視図である。後方のビームユニット920Rも、ビームユニット920Fと同じ構造を有している。
【0075】
図17に示されるように、ビームユニット920Fは、ビーム部材(フレーム)951と、このビーム部材951の両端に取り付けられたキャップ部材952R,952Lとを有する。一方のキャップ部材952Rは、円筒部952Raと、Y軸方向の溝を有する係合部952Rbとからなる。他方のキャップ部材952Lも、円筒部952Laと、Y軸方向の溝を有する係合部952Lbとからなる。これらキャップ部材952R,952Lは、
図6に示したように、レバー部材912R,912Lの挿通孔(支持孔)とそれぞれ係合し、レバー部材912R,912Lによって支持される。また、係合部952Rb,952Lbは、装置本体10の右側プレート14及び左側プレート15に形成された角孔の突起部とそれぞれY軸方向へスライド自在に係合する。たとえば、前方のビームユニット920Fの係合部952Rbは、
図5(A),(C)に示される右側プレート14に形成された角孔の突起部14eと係合する。同様に、後方のビームユニット920Rの係合部も、右側プレート14に形成された角孔の突起部14fと係合する。
【0076】
また、ビームユニット920Fは、スプリングコイルなどの弾性部材(図示せず)によって−Y軸方向に弾性付勢されたバイアスピース955A,955B,955C,955D,955E,955F,955G,955Hを有する。これらバイアスピース955A〜955Hは、ビームユニット920Fに懸架されたユニット保持部800K〜800Yと当接してこれらユニット保持部800K〜800Yを−Y軸方向に押圧付勢するものである。具体的には、バイアスピース955A,955Bがユニット保持部800Kの上面を−Y軸方向に押圧付勢し、バイアスピース955C,955Dがユニット保持部800Cの上面を−Y軸方向に押圧付勢し、バイアスピース955E,955Fがユニット保持部800Mの上面を−Y軸方向に押圧付勢し、バイアスピース955G,955Hがユニット保持部800Yの上面を−Y軸方向に押圧付勢する。
【0077】
ビームユニット920F,920Rの各々は、ユニット保持部800K,800C,800M,800Yと露光ユニット500K,500C,500M,500Yとを互いに連動させる4つの連結機構を有している。これら連結機構は、
図6に示した上記連結機構910R,910Lの動作と連動して、露光ユニット500K,500C,500M,500Yとユニット保持部800K,800C,800M,800Yとを互いに離間もしくは近接させる動作を実行する。
【0078】
図18は、ユニット保持部800K,800C,800M,800Yと露光ユニット500Kとを互いに連動させる連結機構の1つの構成を概略的に示す断面図である。
図18に示される連結機構は、
図6の連結機構910R,910Lと露光ユニット500Kとを互いに連動させる連結レバー部材954Kと、装置本体10に対する連結レバー部材954Kの一端部のY軸方向の相対移動を規制するピボットプレート(移動規制部材)953Kとを有する。
【0079】
連結レバー部材954Kの一端部は、ビーム部材951に設けられた支点954cに回動自在に接続されている。また、この支点954cには、ピボットプレート953Kの下端部も回動自在に接続されている。このピボットプレート953Kは、ビーム部材951の貫通孔951kから上方に突出し、ピボットプレート953Kの上端部は、装置本体10のトッププレート16に固定されている。一方、連結レバー部材954Kの他端部は、取付孔954aを有し、この取付孔954aには、後述する露光ユニット500Kの構成要素である接続片510が回動自在に接続される。さらに、連結レバー部材954Kは、支点954cと取付孔954aとの間に形成された長孔(係合孔)954hを有する。この長孔954hには、ビーム部材951に固定された支持ピン958Kが係合する。
【0080】
また、ビーム部材951は、バイアスピース955A,955Bを−Y軸方向に弾性付勢する弾性部材956A,956Bを内蔵している。上述したように、これらバイアスピース955A,955Bは、ビームユニット920Fに懸架されたユニット保持部800Kを−Y軸方向に押圧するものである。
【0081】
ビーム部材951がY軸方向(上方または下方)に上下動するとき、ビーム部材951を上下動させる力は支持ピン958Kに作用する。この支持ピン958Kに作用する力は、梃子の原理で、支点954cを介して取付孔(作用点)954aに作用する。この結果、連結レバー部材954Kは、支点954cの周りを時計回りまたは反時計回りに回転して、ビームユニット920Fに対して露光ユニット500Kの接続片510を上方または下方へ相対変位させることができる。
【0082】
図19は、ビーム部材951と連動する連結レバー部材954Kの状態を示す図である。前面カバー部24の開動作に応じてビーム部材951は上方に変位し、この変位と連動して、連結レバー部材954Kは、破線で示される位置から実線で示される位置へ回動する。逆に、前面カバー部24の閉動作に応じてビーム部材951は下方に変位し、この変位と連動して、連結レバー部材954Kは、実線で示される位置から破線で示される位置へ回動することとなる。
【0083】
図19に示されるように、支点954cから支持ピン958Kの中心までの横方向(X軸方向)距離をX1とし、支持ピン958Kの中心から取付孔954aの中心までの距離をX2とするとき、前面カバー部24の開閉動作に応じて支持ピン958Kが縦方向(Y軸方向)に移動する距離をY1とする。このとき、取付孔954aは、梃子の原理で、支点954cの周りを回動するので、支持ピン958Kの移動距離Y1よりも大きい距離Y2を移動することができる。このとき、Y2=Y1×(X2/X1)、との式が成立する。たとえば、X1=26mm、X2=50mm、Y1=14mmと設定すれば、Y2=26.9mmとなる。
【0084】
ビームユニット920Fは、他の露光ユニット500C,500M,500Yについても同様の連結機構を有する。
図17に示されるように、ビームユニット920Fは、露光ユニット500Cとユニット保持部800K〜800Yとを互いに連動させる連結機構の構成要素としてピボットプレート953C、連結レバー部材954C及び支持ピン958Cを有し、露光ユニット500Mとユニット保持部800K〜800Yとを互いに連動させる連結機構の構成要素としてピボットプレート953M、連結レバー部材954M及び支持ピン958Mを有し、さらに、露光ユニット500Yとユニット保持部800K〜800Yとを互いに連動させる連結機構の構成要素としてピボットプレート953Y、連結レバー部材954Y及び支持ピン958Yを有する。ピボットプレート953C,953M,953Yは、ビーム部材951に形成された貫通孔951c,951m,951yからそれぞれ上方に突出し、トッププレート16に固定される。
【0085】
後方のビームユニット920Rも、ビームユニット920Fの連結機構と同じ構造の連結機構を有している。
【0086】
次に、
図20は、本実施形態の露光ユニット500Kの外観斜視図である。また、
図21(A)は、
図20に示した露光ユニット500KのZ軸方向における概略断面図であり、
図21(B)は、
図20に示した露光ユニット500Kの底面図である。他の露光ユニット500C,500M,500Yも、露光ユニット500Kと同じ構造を有している。
【0087】
図20に示されるように、露光ユニット500Kは、Z軸方向に延在するホルダープレート501と、このホルダープレート501に取り付けられたLEDヘッド504とを有する。このLEDヘッド504は、長手方向(Z軸方向)に沿って配列された多数のLED素子と、これらLED素子の出射光を感光体ドラム401Kの表面に導く光学レンズアレイとを有している。このLEDヘッド504は、スプリングなどの弾性付勢部材505F,505Rによって−Y軸方向に弾性付勢されている。
【0088】
図21(A)に示されるように、ホルダープレート501の先端部502及び後端部503には、溝部502g,503gがそれぞれ形成されている。これら溝部502g,503gにLEDヘッド504の前後端の突起部504a,504bを係合させることで、ホルダープレート501は、LEDヘッド504を吊り下げるように保持することができる。
【0089】
また、露光ユニット500Kの先端部(ホルダ)502及び後端部(ホルダ)503には、軸部502a,503aがそれぞれ形成されている。これら軸部502a,503aは、
図8に示したユニット保持部800Kの長孔801f,803rとそれぞれ係合する。
【0090】
図21(A),(B)に示されるように、LEDヘッド504の長手方向両端部付近には、焦点調整部材506F,506Rが設けられている。これら焦点調整部材506F,506Rは、
図12に示したヘッド突き当て部(ヘッド突き当てピース)416F,416Rにそれぞれ当接する部材である。これら焦点調整部材506F,506Rの外径を適宜調整することで、LEDヘッド504と感光体ドラム401Kとの間の距離を調整してLEDヘッド504の出射光の焦点位置を最適化することができる。また、
図21(A),(B)に示されるように、露光ユニット500Kの底面は長孔504cを有する。この長孔504cには、
図12に示したプロセスユニット400Kの位置決めピン415Fが係合する。
【0091】
さらに、ホルダープレート501は、上方に突出する接続片510,511を有する。これら接続片510,511の先端部510t,511tは、上述したビームユニット920F,920Rの連結機構とそれぞれ回動自在に接続される。すなわち、
図22に示されるように、前側の接続片510の先端部510tは、ビームユニット920Fの連結機構の連結レバー部材954Kと回動自在に接続され、後側の接続片511の先端部511tは、ビームユニット920Rの連結機構の連結レバー部材954Kと回動自在に接続される。
【0092】
図23(A),(B)は、前面カバー部24が
図7(A)に示した閉位置に配置されたときのビームユニット920Fの連結機構の状態を概略的に示す断面図である。
図23(B)は、
図23(A)のXXIIIb−XXIIIb線における概略断面を示している。これに対し、
図24(A),(B)は、前面カバー部24が
図7(B)に示した開位置に配置されたときのビームユニット920Fの連結機構の状態を概略的に示す断面図である。
図24(B)は、
図24(A)のXXIVb−XXIVb線における概略断面を示している。
【0093】
前面カバー部24が閉位置に配置されたとき、
図23(A),(B)に示されるように、ビームユニット920Fに懸架されたユニット保持部800Kは、トッププレート16に対して所定距離だけ離間し、このユニット保持部800Kに吊り下げられたプロセスユニット400Kの感光体ドラム401Kは、中間転写ベルト701と近接した位置に配置される。同時に、LEDヘッド504は、感光体ドラム401Kの表面と近接した位置に配置されている。
【0094】
一方、前面カバー部24が閉位置から開位置に回動したとき、
図24(A),(B)に示されるように、ビームユニット920Fに懸架されたユニット保持部800Kは、上方に持ち上げられる。このユニット保持部800Kに吊り下げられたプロセスユニット400Kの感光体ドラム401Kは、中間転写ベルト701から離間した位置に配置される。同時に、LEDヘッド504は、連結レバー部材954Kの回動により、ビームユニット920Fの移動量Y1よりもさらに大きな距離Y2(
図19)を移動して、感光体ドラム401Kの表面から離間する。この状態で、ユーザは、フロントプレート12の前面開口部12bを通じて、プロセスユニット400Kを簡易に取り外すことができ、あるいは、プロセスユニット400Kを簡易に交換することができる。
【0095】
また、中間転写ベルト701から感光体ドラム401Kが離間するとともに、感光体ドラム401KからLEDヘッド504が離間するので、ユーザが装置本体10に対してプロセスユニット400Kを着脱する際に、プロセスユニット400KがLEDヘッド504に接触したり、中間転写ベルト701に接触したりすることを確実に回避することができる。
【0096】
以上に説明したように本実施形態の画像形成装置1では、
図6に示した第1の連結機構910R,910Lは、前面カバー部24の開閉動作に応じて、プロセスユニット400K,400C,400M,400Yと中間転写ベルトユニット700とを互いに離間もしくは近接させることができる。同時に、ビームユニット920F,920Rの第2の連結機構は、第1の連結機構910R,910Lの動作と連動して、露光ユニット500K,500C,500M,500Yとプロセスユニット400K,400C,400M,400Yとを互いに離間もしくは近接させることができる。したがって、ユーザは、前面カバー部24を開位置に移動させて、前面開口部12bを通じてプロセスユニット400K,400C,400M,400Yの取り外し操作または交換操作を簡易に行うことができる。特許文献1に開示されているようなトップカバーの開閉操作を行わずに、プロセスユニット400K,400C,400M,400Yの取り外しまたは交換を行うことができる。
【0097】
以上、図面を参照して本発明に係る実施形態について述べたが、これは本発明の例示であり、上記以外の様々な形態を採用することもできる。たとえば、画像形成装置1は、前面カバー部24の回転移動に対する抵抗力を発生する緩衝機構を備えていてもよい。
【0098】
図25は、アーム部材911Lと装置本体10のフロントプレート12との間に取り付けられた緩衝機構960を示す図である。この緩衝機構960は、シリンダ961と、このシリンダ961から延びるロッド962とを有するダンパである。シリンダ961の基端は、取付部品971を用いてフロントプレート12に回動自在に取り付けられている。また、ロッド962の先端部は、取付部品972を用いてアーム部材911Lに回動自在に取り付けられている。シリンダ961の内部には、オイルなどの流体が封入されている。この流体により、シリンダ961に対するロッド962の伸び縮みに対して抗力が発生する。
図26(A)は、前面カバー部24が閉位置に配置されたときの緩衝機構960の状態を示す図であり、
図26(B)は、前面カバー部24が開位置に配置されたときの緩衝機構960の状態を示す図である。前面カバー部24が閉位置から開位置へ回動するときに、ロッド962はシリンダ961に対して縮む。逆に、前面カバー部24が開位置から閉位置へ回動するときに、ロッド962はシリンダ961から伸びる。
【0099】
このような緩衝機構960により、ユーザは、前面カバー部24の開閉動作を緩やかに行うことができる。また、プロセスユニット400K,400C,400M,400Yの重量に合わせて緩衝機構960の抗力を調整することで、より適正な操作感を得ることができる。なお、ダンパに代えて、コイルスプリングなどの弾性部材を用いることも可能である。
【0100】
また、上記実施形態の第1及び第2の連結機構は、中間転写方式で現像剤像を記録媒体に転写させる画像形成装置1に好適なものであるが、これに限定されるものでもない。上記実施形態の連結機構を直接転写方式で動作する画像形成装置に適用してもよい。
【0101】
図27は、直接転写方式で動作する画像形成装置1Bの主な構成を概略的に示す図である。
図27に示される画像形成装置1Bの構成は、
図1の中間転写ベルトユニット700に代えて媒体搬送機構300を有する点と、トッププレート16Bの配置が異なる点とを除いて、
図1に示した画像形成装置1の構成とほぼ同じである。現像剤収容部420K,420C,420M,420Yは、装置本体(フレーム)10Bの一部をなすトッププレート16B上に載置されている。
【0102】
図27に示される画像形成装置1Bの媒体搬送機構300は、搬送ローラ134A,134Bから供給された記録媒体Pa(またはPb)を搬送する媒体搬送部材としての搬送ベルト301と、この搬送ベルト301を駆動する駆動ローラ302と、この駆動ローラ302に従動して回転するテンションローラ303と、このテンションローラ303を所定方向に弾性付勢する弾性部材310と、搬送ベルト301を介してプロセスユニット400K,400C,400M,400Yにそれぞれ対向する転写ローラ305K,305C,305M,305Yと、ベルトクリーニング部306とを有する。駆動ローラ302、テンションローラ303及び弾性部材310は、搬送ベルト301を駆動する駆動機構を構成している。転写ローラ305K,305C,305M,305Yは、搬送ベルト301上の記録媒体Pa(またはPb)に感光体ドラム401K,401C,401M,401Y上の現像剤像を転写させる。その後、搬送ベルト301は、記録媒体Pa(またはPb)を定着器200に送り出す。
【0103】
ベルトクリーニング部306は、現像剤像の記録媒体Pa(Pb)への転写後に搬送ベルト301上に残留した現像剤を除去する。ベルトクリーニング部306は、搬送ベルト301の表面に一定の圧力で接触するクリーニング部材315を内蔵しており、このクリーニング部材315は、残留現像剤を搬送ベルト301から掻き落とすことができる。
【0104】
上記実施形態の画像形成装置1は、カラー画像を形成するために4色画像形成用の画像形成部20K,20C,20M,20Yを有しているが、これに限定されるものでもない。上記実施形態の第1及び第2の連結機構を、単色画像形成用の1つの画像形成部を有する画像形成装置に適用することもできる。
【0105】
本発明は、複写機、ファクシミリ機器、プリンタ及びMFP(Multi Function Peripheral:複合機)などに適用され得る。