(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5650846
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】燃焼エンジンからの排気ガスに液体媒体を導入する装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20141211BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20141211BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
F01N3/08 BZAB
F01N3/24 N
B01D53/36 101A
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-534857(P2013-534857)
(86)(22)【出願日】2011年10月13日
(65)【公表番号】特表2013-545009(P2013-545009A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】SE2011051222
(87)【国際公開番号】WO2012053960
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2013年4月19日
(31)【優先権主張番号】1051099-8
(32)【優先日】2010年10月22日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】594097848
【氏名又は名称】スカニア シーブイ アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロマン、ペテル
【審査官】
山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/128407(WO,A1)
【文献】
特開2010−090725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
B01D 53/94
F01N 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼エンジンからの排気ガスに、液体媒体を導入するための装置(1)であって、前記装置(1)は、
排気ガスがそれを通って流れるように意図されたライン(2)と、
上流端部(4)及び下流端部(5)を有し、管状壁(8)によって半径方向に囲まれ、排気ガスを受け入れる入口(9)を前記上流端部に有する噴射チャンバ(3)と、
前記液体媒体を前記噴射チャンバ(3)内に噴射する噴射手段(13)と、
前記ライン(2)の一部分を形成し、前記噴射チャンバ(3)の下流に配置された混合ダクト(14)であって、前記噴射チャンバ(3)が、前記下流端部(5)に排気ガスを前記混合ダクトへ放出する出口(10)を有する、混合ダクトと、
前記混合ダクト(14)の上流で前記ライン(2)内に配置され、前記混合ダクトにそれを介して接続される出口(17)を有するバイパス・ダクト(15)と
を備え、
それによって、前記噴射チャンバの前記入口(9)が、前記ライン(2)を流れる前記排気ガスの一部分を迂回させて、前記迂回排気ガスを前記噴射チャンバ(3)に流入させ、その後、前記噴射チャンバの前記出口(10)を通して前記混合ダクト(14)に流入させるように適合され、他方、前記バイパス・ダクト(15)が、前記ライン(2)を流れる前記排気ガスの別の一方の部分を、前記混合ダクト(14)に導き入れ、それによって前記迂回排気ガスとそこで混合させるように適合されている、
装置(1)において、
前記噴射チャンバ(3)が、それを前記混合ダクト(14)から仕切る端壁(7)を前記下流端部(5)に有し、
前記噴射チャンバの前記出口(10)が前記端壁(7)の外周に配置され、
前記バイパス・ダクトの前記出口(17)が、前記噴射チャンバの前記出口(10)に近接して配置され、それによって、前記噴射チャンバの前記出口(10)を通って前記混合ダクト(14)に流入する前記排気ガスが、前記バイパス・ダクトの前記出口(17)を通って前記混合ダクト(14)に流入する前記排気ガスと衝突し、
前記バイパス・ダクトの前記出口(17)が、前記排気流を収縮するように構成され、その結果、前記バイパス・ダクト(15)の中を流れる前記排気ガスが、前記出口(17)を通過する際に加速されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記液体媒体が、尿素であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記噴射チャンバの前記出口(10)が、前記管状壁(8)と前記端壁(7)の外周との間に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記バイパス・ダクト(15)が、前記噴射チャンバ(3)を取り巻き、前記管状壁(8)によって前記噴射チャンバから仕切られることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記バイパス・ダクト(15)からの前記排気ガスが、前記バイパス・ダクトの前記出口(17)を通って、前記混合ダクトの中心線(18)に向かって半径方向で前記混合ダクト(14)に流入するように構成され、
前記噴射チャンバ(3)からの前記排気ガスが、前記噴射チャンバの出口(10)を通って、軸線方向で前記混合ダクト(14)に流入するように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記噴射チャンバ(3)の前記出口(10)が、前記排気流を収縮するように構成され、その結果、前記噴射チャンバの中を流れる前記排気ガスが、前記出口(10)を通過する際に加速されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記端壁(7)の、前記噴射チャンバ(3)の中へ向いた面が、凸形状であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記噴射チャンバの前記出口(10)が、環状であり、前記端壁(7)の周りに延在することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記バイパス・ダクトの前記出口(17)が、環状であり、前記混合ダクトの中心軸線(18)を中心として延在することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記噴射手段(13)が、前記噴射チャンバの前記上流端部(4)の中心に配置され、前記液体媒体を前記噴射チャンバの下流端部(5)に向けて噴射するように適合されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記噴射チャンバの前記入口(9)が、環状であり、前記噴射チャンバの中心線(12)を中心として延在することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼エンジンからの排気ガスに、例えば尿素などの液体媒体を導入するための請求項1のプリアンブルによる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の排気浄化要件を満足するために、今日の自動車は、通常、排気ライン内に触媒を備え、排気ガスの環境的に有害な成分を環境的により害の少ない物質に触媒変換を行う。効果的な触媒変換を達成するために用いられてきた方法は、触媒の上流で排気ガス内に還元剤を噴射することに基づいている。還元剤の一部分を形成する、又は還元剤によって形成される還元物質は、排気ガスによって触媒内に運ばれ、触媒の活性シートに吸着され、その結果、触媒内に還元物質が堆積される。堆積された還元物質は、次いで、排気物質と反応し、その結果、排気物質をより環境への影響の少ない物質に変換することができる。そのような還元触媒は、例えばSCR(選択触媒還元)タイプであり得る。以後、このタイプの触媒をSCR触媒と呼ぶ。SCR触媒は、排気ガス中のNOxを減少させる。SCR触媒の場合、尿素の形の還元剤が、通常、触媒の上流で排気ガス中に噴射される。排気ガス中に尿素を噴射することによって、アンモニアが生成され、次いで、そのアンモニアが、SCR触媒での触媒変換に役立つ還元物質として働く。アンモニアは、触媒内の活性シート上に吸着されることによって触媒内に堆積し、排気ガス中に存在するNOxが、触媒内で、触媒の活性シート上に堆積したアンモニアと接触させられると、窒素ガスと水とに変換される。
【0003】
尿素が還元剤として使用されるとき、尿素は、液体尿素溶液の形態で噴射手段を介して排気ライン中に噴射される。噴射手段はノズルを備え、そのノズルを介して、尿素溶液が加圧され微粒化された噴霧の形態で噴射手段中に噴射される。ディーゼル・エンジンの多くの作動状態で、排気ガスは、尿素溶液を蒸発させ、それによってアンモニアを生成し得るのに十分な高温である。しかし、供給された尿素の一部分が未蒸発状態で排気ラインの内壁表面に接触し付着することを回避するのは困難である。燃焼エンジンが、ある時間経過の間、一様な状態で作動するとき、即ち定常状態で作動している状態の間は、排気流内に顕著な変化は生じず、従って、排気ガス中に噴射された尿素溶液は、前記時間経過を通じて排気ラインの実質的に同じ領域に達する。比較的冷たい尿素溶液が、排気ラインのその領域の温度を100℃以下まで局部的に低下させる可能性があり、それが、その領域で尿素溶液の薄膜の形成を引き起こし、次いで、その薄膜が排気流によって運ばれる。この薄膜が排気ライン中をある距離を移動すると、尿素溶液中の水分が高温排気ガスの影響下で蒸発する。
【0004】
固体尿素が残り、排気ライン内の熱によって徐々に蒸発する。固体尿素の供給が蒸発を上回ると、固体尿素が排気ライン内に堆積する。その結果生じる尿素の層が十分に厚くなると、尿素及びその分解生成物が、互いに反応して尿素塊(urea lumps)として知られている尿素ベースの原始的な重合体を生成する。そのような尿素塊は、時間が経つと排気ラインを閉塞する。
【0005】
噴射された尿素溶液の蒸発を容易にするために、蒸発手段を噴射位置の下流で排気ライン内に設けることができる。最も簡単なこの蒸発手段は、金属板の形態をとり、金属板は、排気ガスによって加熱され、還元剤の液滴がそれに付着しその上で蒸発されるように意図されている。蒸発手段は、還元剤の蒸発を促進する触媒物質を含んでも含まなくてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、少なくともいくつかの態様において上記のタイプの装置に比較して利点をもたらす構成を有する装置を達成するために、上記のタイプの装置の更なる発展型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、前記目的は、請求項1に記載の特徴を示す装置を用いて達成される。
【0008】
本発明による装置は、
− 排気ガスがそれを通って流れるように意図されたラインと、
− 上流端部及び下流端部を有し、管状壁によって半径方向に囲まれ、排気ガスを受け入れる入口をその上流端部に有する噴射チャンバと、
− 液体媒体を噴射チャンバ内に噴射する噴射手段と、
− ラインの一部分を形成し、噴射チャンバの下流に配置された混合ダクトであって、チャンバがその下流端部に、排気ガスを混合ダクトへ放出する出口を有する、混合ダクトと、
− 混合ダクトの上流でライン内に配置され、混合ダクトにそれを介して接続される出口を有するバイパス・ダクトと
を備える。
【0009】
噴射チャンバの入口が、ラインを流れる排気ガスの一部分を迂回させて、その迂回排気ガスを噴射チャンバに流入させ、その後、噴射チャンバの入口を通して混合ダクトに流入させるように適合され、他方、バイパス・ダクトが、ラインを流れる排気ガスの別の一方の部分を、混合ダクトに導き入れ、それによって前記迂回排気ガスとそこで混合させるように適合されている。噴射チャンバが、それを混合ダクトから仕切る端壁をその下流端部に有し、噴射チャンバの出口が端壁の外周に配置されている。更に、バイパス・ダクトの出口が、噴射チャンバの出口に近接して配置され、それによって、噴射チャンバの出口を通って混合ダクトに流入する排気ガスが、バイパス・ダクトの出口を通って混合ダクトに流入する排気ガスと衝突する。
【0010】
噴射チャンバの管状壁まで広がらず、且つチャンバを通過している間に蒸発するに至らなかった噴射液体媒体の液滴は、チャンバの下流端部の端壁に達することになる。端壁に達した液体媒体の一部分は、高温排気ガスによって蒸発させられ、他方、液体媒体の残りの部分、即ち端壁に達した後も蒸発に至らなかった部分は、端壁に沿って流れた後、最終的に排気流に伴って噴射チャンバの出口から外へ押し流される。混合ダクト内で、この排気流は、バイパス・ダクトの出口からの排気流と衝突する。これらの排気流が衝突する場所で乱流が生じ、液体媒体を排気ガス内に拡散させるのに役立つ。乱流は、又、液体媒体の液滴が、より迅速に蒸発するより小さな液滴に分かれるのを助長する。
【0011】
本発明の実施例によれば、バイパス・ダクトは、噴射チャンバを取り巻き、チャンバの管状壁によって噴射チャンバから仕切られている。バイパス・ダクトの中を流れる排気ガスが、この管状壁に熱を放出し、その管状壁の内側が、噴射チャンバの内壁面として働く。従って、チャンバの内壁面の冷却が抑えられ、それによって、噴射媒体が蒸発せずにこの面に付着するのを防止する。
【0012】
本発明の別の実施例によれば、バイパス・ダクトからの排気ガスが、バイパス・ダクトの出口を通って、混合ダクトの中心線に向かって実質的に半径方向で混合ダクトに流入するように構成され、他方、噴射チャンバからの前記排気ガスが、チャンバの出口を通って、実質的に軸線方向で混合ダクトに流入するように構成されている。従って、チャンバの出口からの排気流は、バイパス・ダクトの出口からの排気流と急角度で衝突し、これらの排気流が衝突した場所で強い乱流を引き起こす。
【0013】
本発明の別の実施例によれば、噴射チャンバの出口が、排気流を収縮するように構成され、その結果、噴射チャンバの中を流れる排気ガスが、この出口を通過する際に加速される。噴射チャンバの出口からの排気流の高い速度がこのように確保され、この排気流がバイパス・ダクトの出口からの排気流と衝突する場所で強い乱流を引き起こす。その質量により、液体媒体の液滴は、周囲の排気ガスより大きな慣性を有し、その結果、排気ガスは、噴射チャンバの出口を通過する際に液滴より素早く加速され、それによって、一時的に液滴より高い速度に達する。その結果生じる排気ガスと前記液滴との速度の差が、液滴を、より迅速に蒸発するより小さな液滴に分解するのに役立つ。速度の差は、又、排気ガスから液滴への熱伝達の向上に役立つ。
【0014】
本発明の別の実施例によれば、バイパス・ダクトの出口が、排気流を収縮するように構成され、その結果、バイパス・ダクトの中を流れる排気ガスが、この出口を通過する際に加速される。バイパス・ダクトの出口からの排気流の高い速度がこのように確保され、この排気流が噴射チャンバの出口からの排気流と衝突する場所で強い乱流を引き起こす。
【0015】
本発明の別の実施例によれば、端壁の、噴射チャンバの中へ向いた面が、凸形状である。これは、端壁に達した液体媒体が、端壁へ向かう排気流によって、端壁の外周に向かって半径方向外側へ、それにより噴射チャンバの出口へ向かって、押し流されることを意味する。
【0016】
本発明による装置の他の有利な特徴が、従属請求項及び以下に記述される説明によって示される。
【0017】
本発明が、添付図面を参照して、実施例実例に基づいてより詳細に以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例による装置の長手方向概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、燃焼エンジンからの排気ガス中に液体媒体を導入するための本発明による装置1を示す。装置は、例えば、尿素又はアンモニアの形態の液体還元剤をSCR触媒の上流で排気ライン中に導入するためにSCR触媒の上流で排気ライン中に配置してもよく、又は、排気後処理装置の一部分を形成するSCR触媒の上流で尿素又はアンモニアの形態の液体還元剤を導入するために排気後処理装置内に配置してもよい。
【0020】
装置1は、燃焼エンジンから排気ガスを受け入れ、その排気ガスを例えばSCR触媒の形態の排気後処理装置へ導くように意図されたライン2を備える。装置1は、上流端部4及び下流端部5を有する噴射チャンバ3を更に備える。チャンバ3は、その上流端部4で第1の端壁6により、その下流端部5で第2の端壁7によって、半径方向に囲まれている。チャンバ3は、又、その上流端部4と下流端部5との間に延在する管状壁8によって半径方向に囲まれている。チャンバ3は、その上流端部で排気ガスを受け入れる入口9と、その下流端部で排気ガスを放出する出口10とを有する。出口10は、第2の端壁7の外周、好ましくは第2の端壁の外周と管状壁8との間に配置されている。出口10は、有利には環状であり、第2の端壁7の周りに、噴射チャンバの中心線12を中心として延在するように配置されている。入口9は同様に、有利には、環状であり、噴射チャンバの中心線12を中心として延在するように配置されている。
【0021】
第2の端壁7の、噴射チャンバ3の中へ向いた面は、有利には、
図1に示すように凸形状である。図示の実例では、第2の端壁7はカップ形状になっている。
【0022】
液体媒体を噴射する噴射手段13が、噴射チャンバの上流端部4の中心に配置され、それによって、液体媒体をチャンバの下流端部5に向けて噴射する。図示の実例では、噴射手段13は、前述の第1の端壁6を貫通して噴射チャンバ3内に延出している。例えば噴射ノズルを備え得る噴射手段13は、液体媒体を加圧して微粒化噴霧の形態でチャンバ3内に噴射するように構成されている。
【0023】
噴射チャンバ3は、ライン2の一部分を形成し、噴射チャンバ3の下流に配置されている混合ダクト14に、チャンバの出口10を介して接続される。噴射チャンバ3は、前述の第2の端壁7によって混合ダクト14から仕切られている。
【0024】
バイパス・ダクト15が、混合ダクト14の上流でライン2の中に設けられ、それによって、排気ガスを、噴射チャンバ3を通さずに混合ダクト内に導く。バイパス・ダクト15は、その上流端部で排気ガスを受け入れる入口16と、その下流端部で排気ガスを放出する出口17とを有する。バイパス・ダクト15は、出口17を介して混合ダクト14に接続されている。出口17は、有利には、環状であり、混合ダクトの中心線18を中心として延在するように配置されている。
【0025】
図示の実例では、バイパス・ダクト15は、噴射チャンバ3を取り巻き、バイパス・ダクトと噴射チャンバとの間に配置された前述の管状壁8によって噴射チャンバから仕切られている。バイパス・ダクト15は、管状壁8を取り巻き、その外側に沿って延在する。従って、この場合、バイパス・ダクト15は、バイパス・ダクトを通る断面で見ると、環状である。図示の実例では、バイパス・ダクトの入口16は、環状であり、噴射チャンバの入口9の周囲外側に配置されている。
【0026】
噴射チャンバの入口9は、ライン2を流れる排気ガスの一部分を迂回させて、その迂回排気ガスを噴射チャンバ3に流入させ、その後、噴射チャンバの出口を通して混合ダクト14に流入させるように適合され、他方、バイパス・ダクト15は、ライン2を流れる排気ガスの別の一方の部分を直接混合ダクト14に導き入れ、それによって、前記迂回排気ガスとそこで混合させるように適合されている。
【0027】
噴射手段13を介して噴射チャンバ3内に噴射された液体媒体の噴霧は、チャンバ3内で、この噴霧を中心とする実質的に対称な流れ状態でチャンバ入口9を通ってチャンバに入る排気ガスと接触する。チャンバ3に流入した排気ガスは、液体媒体を噴射チャンバ内下流へ運ぶ。液体媒体がチャンバ3内を下流へ移動する間に、液体媒体は、排気ガス内に拡散し、その一部分が、排気ガスの熱によって蒸発する。噴射チャンバ3内で蒸発しない液体媒体は、チャンバの下流端部の端壁7に到達する。この端壁7に達する液体媒体の一部分は、高温排気ガスによって蒸発し、他方、この液体媒体の残部は、端壁7に沿って流れた後、最終的に排気流に伴って噴射チャンバの出口10から外へ押し流されて混合ダクト14に入り、その混合ダクト内で、液体媒体は、排気ガス内に拡散し、その熱によって蒸発する。
【0028】
バイパス・ダクトの出口17は、噴射チャンバの出口10に近接して、その直ぐ下流に配置され、それによって、チャンバの出口10を通って混合ダクト14に流入する排気ガスが、バイパス・ダクトの出口17を通って混合ダクト14に流入する排気ガスと衝突し、その結果、混合ダクト内に乱流排気流を生じる。バイパス・ダクトの出口17の近傍の形状は、バイパス・ダクト15からの排気ガスを、バイパス・ダクトの出口17を通して混合ダクトの中心線18に向けて実質的に半径方向で混合ダクト14に流入させるようになっており、噴射チャンバ3の出口10の近傍の形状は、チャンバからの排気ガスを、チャンバの出口10を通して実質的に軸線方向で混合ダクト14に流入させるようになっている。
【0029】
噴射チャンバの出口10は、噴射チャンバ3を通過する排気ガスの流れを収縮するように構成され、その結果、排気ガスは、この出口10を通過する際に加速される。更に、バイパス・ダクトの出口17は、バイパス・ダクト15を通過する排気ガスの流れを収縮するように構成され、その結果、排気ガスは、この出口17を通過する際に加速される。
【0030】
図1に示された実施例では、装置1は、ライン2内に延出する張出部分20を備え、その張出部分の最大張出面が、噴射チャンバ3の前述の第1の端壁6として働く。チャンバの入口9の上流で、ラインは、張出部分20の周りに延在する環状空間21を有する。噴射チャンバの入口9及びバイパス・ダクトの入口16は共に、この環状空間21に接続されている。図示の実例では、噴射チャンバの入口9は、張出部分20と管状壁8との間に配置されている。
【0031】
本発明による装置は、特に、例えばバス、トラクタ車、トラックなどの重量自動車に使用することを意図している。
【0032】
添付の特許請求の範囲に定義されているような本発明の基本概念から逸脱することなしに、上記の実施例を変更する多くの可能性が当業者にとって明らかであると見なせるので、本発明は、当然、上記の実施例に決して限定されない。