(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、静電容量式の検出方式における静電容量Cは、C=ε0・εr・S/dに代表されるように、電極面積Sに比例し電極間距離dに反比例する。そのため、例えば北米などの寒冷地において手袋をしたままタッチスイッチを操作した場合、指(電極)とタッチスイッチ側の電極との間に手袋が介在するので、電極間距離dが大きくなり静電容量が小さくなる。その結果、タッチスイッチが反応しないということが起こる。そこで、小さい静電容量でも反応するように検出感度を上げると、隣接する他のタッチスイッチが反応してしまう(誤検出する)。また、静電容量式の検出方式では、電極に接続された配線パターンもセンサ化して(電極として機能してしまい)、その配線パターンに指が近づいたことによってタッチスイッチが反応してしまう(誤検出する)ことが起こり得る。
【0009】
さらに、タッチスイッチを車室に設ける場合には、車室に持ち込んだ飲料がこぼれたり、水分が付着した傘が車室に持ち込まれたりすることなどによって、タッチスイッチに水分が付着することがある。この場合、付着した水分によって指と電極との間の静電容量が影響を受けて、タッチスイッチがうまく反応しなかったり、反対に意図しないで反応してしまったりする。このように、静電容量式のタッチスイッチでは、手袋操作や水分付着に弱いという問題がある。
【0010】
この点、上記特許文献1〜3の技術は、入力ペンでのタッチ操作に関するものであるので、ユーザが直接タッチ操作するタッチスイッチには適用することができない。また、上記特許文献4、5の技術は、タッチ操作されたときに生じる上下の電極間の距離の変化による静電容量の変化に基づいてタッチ操作を検出しているので、手袋操作の検出はできると考えるが、水分付着に弱いという問題を解決したものとなっていない。すなわち、水分付着した場合には、その水分によって上下の電極間の誘電率が変化してしまい、タッチ操作をうまく検出できなくなってしまう。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、タッチ操作を検出する操作検出装置において、手袋をしたまま操作した場合や水分付着した場合であっても精度良くタッチ操作を検出できることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の操作検出装置は、金属体が付けられた、タッチ操作される板状の操作部と、
交流を発生する交流発生部と、
前記操作部の裏側の前記操作部から一定距離離れた位置にて前記操作部と対向する形で設けられ、前記交流発生部からの交流が入力されて前記金属体に向けて磁束を発生させるコイルが設置されたコイル設置部と、
前記コイルを含んで構成されたLC共振回路を有し、そのLC共振回路の共振周波数が反映された信号を検出する検出回路と、
前記LC共振回路の共振周波数が大きくなる方向に変化したことを前記検出回路が検出した場合には前記操作部がタッチ操作されたと判断する一方で、前記共振周波数が小さくなる方向に変化したことを前記検出回路が検出した場合には前記操作部がタッチ操作されていないと判断する操作判断手段と、
前記LC共振回路の共振周波数が小さくなる方向に変化したことを前記検出回路が検出した場合に、前記操作部にユーザの指が接近したと判断する指接近判断手段とを備え、
前記金属体が前記LC共振回路に接続されたことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、コイル設置部に設置されたコイルから発生された磁束によって、操作部に付けられた金属体に渦電流が発生する。その渦電流は金属体を貫く磁束に応じた値とされ、金属体を貫く磁束は、金属体(操作部)とコイル(コイル設置部)との距離に応じた値とされる。つまり、金属体には、操作部とコイル設置部との距離に応じた渦電流が発生する。渦電流が発生すると、その渦電流によってコイルからの磁束を相殺する磁束(逆磁束)が発生する。コイルのインダクタンスは、逆磁束による磁束の相殺を踏まえた値とされる。操作部がタッチ操作された場合、操作部が微小変形するので、一定距離離れた位置にて対向配置された操作部(金属体)とコイル設置部(コイル)との距離が減少する。その結果、コイルとの距離が近くなるので、金属体を貫く磁束が増加して、金属体に発生する渦電流(逆磁束)が大きくなる。その結果、渦電流による逆磁束が増加して、コイルのインダクタンスが減少する。そして、検出回路がコイルのインダクタンス変化を検出し、操作判断手段が検出回路の検出結果(コイルのインダクタンス変化)に基づいてタッチ操作されたか否かを判断する。
【0014】
これによって、ユーザが仮に手袋をしたまま操作部をタッチ操作した場合であっても、操作部とコイル設置部との距離が減少することになるので、そのタッチ操作を検出できる。また、水分は静電容量には影響を与えるもののインダクタンスには影響を与えないので、操作部やコイル設置部(コイル)に仮に水分が付着した場合であっても、コイルのインダクタンス変化を検出でき、その結果、操作部のタッチ操作を精度良く検出できる。
【0015】
また、本発明における検出回路は、前記コイルを含んで構成されたLC共振回路を有し、そのLC共振回路の共振周波数が反映された信号を検出する回路であることを特徴とする。
【0016】
これによれば、検出回路はコイル設置部のコイルを含んで構成されたLC共振回路を有している。そのLC共振回路のインダクタンス(コイルのインダクタンス)をL、コンデンサの静電容量をCとすると、LC共振回路の共振周波数は1/(2π√(LC))で表される。よって、操作部がタッチ操作されてコイルのインダクタンスLが減少した場合には、LC共振回路に共振周波数が大きくなる。よって、検出回路はその共振周波数が反映された信号を検出することで、コイルのインダクタンスが減少したことを検出できる。また、コイル設置部のコイルやLC共振回路(検出回路)に水分が付着した場合には、その水分に起因した静電容量がLC共振回路に発生する。この場合、LC共振回路の静電容量Cが大きくなるので、共振周波数は小さくなる。このように、タッチ操作された場合と水分が付着した場合とで、LC共振回路の共振周波数が逆方向に変化するので、タッチ操作と水分付着とを区別できる。よって、水分付着による誤検出を防止できる。
【0017】
また、本発明における検出回路は、前記交流発生部からの交流を入力信号とする前記LC共振回路から出力される出力信号を検出する回路であることを特徴とする。
【0018】
これによれば、検出回路のLC共振回路には交流発生部からの交流が入力される。つまり、LC共振回路は交流発生部からの交流で動作される。この場合、LC共振回路からはその入力信号に応じた出力信号が出力され、その出力信号の振幅は共振周波数が反映された値とされる。よって、その出力信号の振幅の大きさを見ることで、LC共振回路の共振周波数の変化を判断できる。
【0019】
また、本発明におけるLC共振回路は、前記入力信号による前記LC共振回路の動作点が、前記LC共振回路の共振点付近となるように、その回路定数が設定された回路であることを特徴とする。
【0020】
これによれば、共振点付近でLC共振回路が動作されるので、共振点付近の出力信号を得ることができる。LC共振回路の共振点付近では、共振周波数が少し変化しただけでも出力信号の振幅が大きく変化するので、共振周波数の変化(コイルのインダクタンスの変化)を感度良く検出できる。
【0021】
また、本発明における操作判断手段は、前記LC共振回路の共振周波数が大きくなる方向に変化したことを前記検出回路が検出した場合には前記操作部がタッチ操作されたと判断する一方で、前記共振周波数が小さくなる方向に変化したことを前記検出回路が検出した場合には前記操作部がタッチ操作されていないと判断することを特徴とする。
【0022】
上記したように、操作部がタッチ操作されて操作部とコイル設置部との距離が減少した場合には、コイルのインダクタンスが減少して共振周波数が大きくなる。他方、水分が付着した場合には、LC共振回路の静電容量が大きくなって共振周波数が小さくなる。操作判断手段は、その共振周波数の特徴を踏まえてタッチ操作の有無を判断しているので、その判断を正確に行うことができる。
【0023】
また、本発明において、前記金属体が前記LC共振回路に接続され、
前記LC共振回路の共振周波数が小さくなる方向に変化したことを前記検出回路が検出した場合に、前記操作部にユーザの指が接近したと判断する指接近判断手段を備えることを特徴とする。
【0024】
これによれば、金属体がLC共振回路に接続されているので、ユーザの指が操作部の金属体に接近した場合には、指と金属体との間で発生する静電容量をLC共振回路に接続できる。この場合、その静電容量の分だけLC共振回路の共振周波数が小さくなる。この場合、指接近判断手段によって、ユーザの指が接近したと判断される。これによって、タッチ操作だけでなく、指の接近も検出できる。
【0025】
また、本発明において、前記操作部がタッチ操作されていないときの前記LC共振回路の共振周波数を基準共振周波数として、
前記操作判断手段は、前記指接近判断手段によりユーザの指が接近したと判断されたことに後続して、前記LC共振回路の共振周波数が前記基準共振周波数から大きくなる方向に変化したことを前記検出回路が検出した場合に、前記操作部がユーザによってタッチ操作されたと判断することを特徴とする。
【0026】
これによれば、操作判断手段は、指接近判断手段による指接近の判断を経て、タッチ操作されたことを判断しているので、より一層正確に、タッチ操作されたことを検出できる。また、指以外の棒などでタッチ操作された場合には、指接近判断手段による指接近の判断が得られないので、指以外の棒などによるタッチ操作とユーザの指によるタッチ操作とを区別できる。
【0027】
また、本発明において、前記操作部は、マトリックス状に配置された複数の操作領域が設けられるとともに、各操作領域に前記金属体が付けられており、
前記コイルは、前記マトリックスを構成する縦方向の各列に対向する位置に設けられた複数の縦方向コイルと、前記マトリックスを構成する横方向の各列に対向する位置に設けられた複数の横方向コイルとを含み、それら縦方向コイル、横方向コイルは、それぞれ、自身が対向する列に属する複数の前記操作領域に向けて磁束を発生させるものであり、
前記操作判断手段は、前記検出回路により前記共振周波数が大きくなる方向に変化したことを検出された前記縦方向コイルと前記横方向コイルとが交差する部分に対向する前記操作領域がタッチ操作されたと判断することを特徴とする。
【0028】
これによれば、マトリックス状に配置された複数の操作領域の操作を検出するためのコイルが、マトリックスの各列に対応させて設けられており、操作領域ごとには設けられていないので、コイル数を削減できる。また、操作領域が操作された場合には、その操作領域が属する縦方向の列に対向する縦方向コイル及び横方向の列に対向する横方向コイルのインダクタンスが減少する。この場合には、その縦方向コイルを含んで構成されるLC共振回路の共振周波数が大きくなる方向に変化し、その横方向コイルを含んで構成されるLC共振回路の共振周波数が大きくなる方向に変化する。よって、操作判断手段は、これら縦方向コイル、横方向コイルが交差する部分に対向する操作領域がタッチ操作されたと判断できる。これによって、複数の操作領域がある場合であっても、コイル数を削減しつつ、操作された操作領域を正確に検出できる。
【0029】
また、本発明における指接近判断手段は、前記検出回路により前記共振周波数が小さくなる方向に変化したことを検出された前記縦方向コイルと前記横方向コイルとが交差する部分に対向する前記操作領域に指が接近したと判断することを特徴とする。
【0030】
これによれば、指接近判断手段が、上記のタッチ操作の検出と同様の方法で指接近を判断するので、コイル数を削減しつつ、指接近された操作領域を正確に検出できる。
【0031】
また、本発明において、前記交流発生部及び前記検出回路と接続する前記コイルを前記複数の縦方向コイル、前記複数の横方向コイル間で順番に切り替える切替手段を備えることを特徴とする。
【0032】
これによれば、切替手段が、交流発生部及び検出回路と接続するコイルを複数の縦方向コイル、複数の横方向コイル間で順番に切り替えるので、交流発生部及び検出回路をコイルの数だけ設けなくても良く、構成を簡素できる。また、切替手段は順番に切り替えているので、各縦方向コイル、横方向コイルで構成された各LC共振回路の共振周波数の変化を順番に検出できる。よって、各操作領域がタッチ操作されたか否か、又は各操作領域に指が接近されたか否かを順に判断できる。
【0033】
また、本発明において、前記操作部は、車両の運転席と助手席の間の位置に設けられており、
前記指接近判断手段により指が接近したと判断された前記操作領域を指が接近した順序が分かるように記憶する指接近順序記憶手段と、
前記操作判断手段により前記操作部がタッチ操作されたと判断された場合に、前記指接近順序記憶手段に記憶されている前記操作領域の順序が、前記運転席側から前記助手席側に向かう順序か否かを判断することで、前記操作部の操作者が前記運転席側のユーザか前記助手席側のユーザかを判断する第一の操作者判断手段と、を備えることを特徴とする。
【0034】
これによれば、指接近判断手段により指が接近したと判断された場合には、その接近された操作領域の順序が指接近順序記憶手段に記憶される。ここで、操作部は車両の運転席と助手席の間の位置に設けられているので、運転席側のユーザが操作部をタッチ操作する場合には、運転席側にある操作領域から順に指が近づいていくと考えられる。つまり、指接近された操作領域の順序は、運転席側から助手席側に向かう順序であると考えられる。他方、助手席側のユーザが操作部をタッチ操作する場合には、指接近された操作領域の順序は、助手席側から運転席側に向かう順序であると考えられる。第一の操作者判断手段は、どちらの順序であるかに基づいて操作者を判断するので、正確にその判断を行うことができる。
【0035】
また、本発明において、前記操作部は、車両の運転席と助手席の間の位置に設けられており、
前記複数の操作領域のうち、運転席側にある所定の操作領域が運転席側操作領域として予め定められており、助手席側にある所定の操作領域が助手席側操作領域として予め定められており、
前記指接近判断手段により指が接近したと判断された前記操作領域を記憶する指接近領域記憶手段と、
前記操作判断手段により前記操作部がタッチ操作されたと判断された場合に、前記指接近領域記憶手段に記憶されている1又は複数の前記操作領域における前記運転席側操作領域の数と前記助手席側操作領域の数とを比較することで、前記操作部の操作者が前記運転席側のユーザか前記助手席側のユーザかを判断する第二の操作者判断手段と、を備えることを特徴とする。
【0036】
これによれば、指接近判断手段により指接近が判断された操作領域が、指接近領域記憶手段に記憶されていく。ここで、運転席側のユーザが操作部をタッチ操作する場合には、運転席側から手が伸びていくので、運転席側にある操作領域(運転席側操作領域)に指が接近する割合が高くなると考えられる。他方、助手席側のユーザが操作部をタッチ操作する場合には、助手席側にある操作領域(助手席側操作領域)に指が接近する割合が高くなると考えられる。第二の操作者判断手段は、どちらの割合が高いか(運転席側操作領域の数と助手席側操作領域の数との大小)に基づいて操作者を判断するので、正確にその判断を行うことができる。
【0037】
また、本発明は、前記操作部全体が前記金属体としての金属で構成され、
前記操作部の周縁部で前記金属が折り曲げられて、前記金属で構成された前記操作部及び前記金属の折り曲げられた部分で前記コイル設置部の周囲が覆われたことを特徴とする。
【0038】
これによれば、コイル設置部が金属で覆われることになるので、電磁ノイズ対策を強化できる。具体的には、金属によって、コイル設置部から発生された電磁ノイズが外部に漏れるのを抑制でき、反対に、外部からの電磁ノイズがコイル設置部に侵入されるのを抑制できる。よって、電磁ノイズによる本装置(操作検出装置)の誤動作や他の装置の誤動作を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(第一実施形態)
以下、本発明に係る操作検出装置の第一実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施形態では、車室に設けられたタッチスイッチのタッチ操作を検出する装置に本発明を適用した例について説明する。
図1は、車室100を示した図である。
図1に示すように、運転席300と助手席(図示外)との間に、車室100の前席領域に対向する形でフロントパネル10が設けられている。そのフロントパネル10には、平面状とされた表面に、各種のスイッチが設けられている。なお、
図1では、一つのスイッチ11のみを図示しているが、他にもスイッチが設けられている。それらスイッチは、例えば、エアコンの動作を指示するスイッチ(例えば、温度設定スイッチ、空調モード設定スイッチ、風向、風量設定スイッチなど)であったり、オーディオの動作を指示するスイッチ(例えば、音量設定スイッチ、CD、DVD、ラジオ等のソースを選択するソース選択スイッチなど)であったりする。より具体的には、フロントパネル10上には、各スイッチの外形となる外形線(例えば、四角状、丸状の外形線)が描かれ、各外形線の内側に、各スイッチの意味内容に応じたシンボル(例えば、温度設定スイッチであることが分かるシンボル)が描かれている。それら外形線、シンボルによって各スイッチの意匠が構成されている。また、それらスイッチは、タッチ操作によって反応するスイッチとされている。なお、フロントパネル10の上側には、ナビゲーション装置の液晶ディスプレイ501も設けられている。
【0041】
次に、各スイッチのタッチ操作を検出する操作検出装置の構成について、
図1のスイッチ11を例にとって説明する。
図2は、スイッチ11のタッチ操作を検出する操作検出装置1の構成を示している。なお、
図2では、
図1のA−A線でスイッチ11を切ったときの断面を示している。スイッチ11としての操作部11(フロントパネル10の一部)は、板状とされており、アクリル等の樹脂から構成されている。その操作部11の厚さは例えば1mm〜2mm程度とされる。操作部11の裏面には、シート状の金属体12が付着されている。その金属体12は、例えば銅、アルミ、金など、比較的導電率が高い金属から構成されている。金属体12は、予めシート状に形成されたものが接着剤で操作部11に接着され、又は蒸着によって形成される。
【0042】
操作部11の裏側周縁部にはスペーサ30が設けられている。そのスペーサ30は、後述する検出コイル基板20と操作部11とを一定距離離れさせるために、操作部11と検出コイル基板20との間に挿入されるものである。スペーサ30の一端は操作部11と固定され、他端は検出コイル基板20と固定されている。スペーサ30の厚さは例えば2mm程度とされている。したがって、操作部11がタッチ操作されていない状態においては、検出コイル基板20と操作部11とは2mm程度離れていることになる。また、スペーサ30はアクリル等の樹脂から構成されている。
【0043】
操作部11の裏側には、スペーサ30を介して、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁体から構成された検出コイル基板20が設けられている。その検出コイル基板20は、操作部11と平行に設けられている。検出コイル基板20には、金属体12と対向する位置でコイルパターン21が形成されている。そのコイルパターン21は、銅、アルミなどの導電材料で構成され、印刷技術を利用することで検出コイル基板20に形成されたものである。コイルパターン21はコイルとして機能するものであり、コイルパターン21に交流が流された場合には、そのインダクタンスに応じた磁束が発生される。なお、金属体12とコイルパターン21は対向しているので、コイルパターン21で発生された磁束は、金属体12を貫くことになる。なお、以下ではコイルパターン21を単にコイルと言う。
【0044】
操作検出装置1は、上記の操作部11周辺の構成に加えて、交流発生部40、検出回路50及びマイコン60を備えている。交流発生部40は、所定周波数の交流を発生する部分であり、本実施形態では約450kHzの交流を発生している。その交流発生部40は、コイル21で磁束を発生させるとともに、後述する検出回路50のLC共振回路51(
図3参照)の動作信号を与えるものである。したがって、交流発生部40は、コイル21に接続されるとともに、そのコイル21を介して検出回路50にも接続されている。
【0045】
検出回路50は、コイル21のインダクタンス変化を検出するための回路である。ここで、
図3は、検出回路50の詳細を示している。なお、
図3では、検出回路50に加えて交流発生部40も示している。
図3に示すように、検出回路50は、インダクタ(コイル)、キャパシタ(コンデンサ)から構成されたLC共振回路51を備えている。そのLC共振回路51は、検出コイル基板20に形成されたコイル21を含む形で構成されている。そのコイル21のインダクタンスLは、後述するように、検出コイル基板20(コイル21)と操作部11(金属体12)との距離に応じて変化する。また、LC共振回路51には、コイル21と並列にコンデンサ52が設けられている。そのコンデンサ52は、コイル21に寄生する静電容量Cを示したコンデンサである。つまり、コンデンサ52は、コイル21によって自動的に発生するものである。なお、これらコイル21、コンデンサ52で並列共振回路が構成されている。
【0046】
また、LC共振回路51には、コイル21と直列に、コンデンサ53、54が設けられている。直列コンデンサ53は、LC共振回路51の動作点(交流発生部40からの交流の周波数f0)がLC共振回路51の共振周波数付近になるように、その静電容量Coが定められたコンデンサである。また、コンデンサ54は、直列コンデンサ53と並列に設けられており、後述するように、水分付着によって発生するものである。つまり、コンデンサ54の静電容量Cwは、水分付着に基づく値とされており、水分付着が無ければゼロとされる。
【0047】
このように、LC共振回路51は、コイル21、コンデンサ52〜54から構成されているが、コンデンサ52、54は自動的に発生するものであるので、実質的にはコイル21と直列コンデンサ53との直列共振回路とされている。LC共振回路51の共振周波数fs2は、以下の式1で表すことができる。なお、式1において、静電容量Cbは、直列コンデンサ53の静電容量Coとコンデンサ54の静電容量Cwを加算したもの、つまりCb=Co+Cwである。なお、コイル21とコンデンサ52から構成される並列共振回路の共振周波数fs1は、以下の式2で表される。式1、式2から、LC共振回路51全体の共振周波数fs2は、直列コンデンサ53の静電容量Coの分だけ(厳密には、静電容量Coに水分付着に基づく静電容量Cwが加算された静電容量Cbの分だけ)式2の共振周波数fs1よりも小さくされている。なお、操作部11がタッチ操作されておらず且つ水分付着もされていない状態におけるLC共振回路51の共振周波数fs2を基準共振周波数としたとき、本実施形態では、その基準共振周波数fs2が約415kHzとなるように、LC共振回路51の回路定数(コイル21のインダクタンスL、直列コンデンサ53の静電容量Co等)が調整されている。なお、その回路定数の調整の考え方については、操作検出装置1の動作を説明した後に、詳細に説明する。
【0050】
図3に示すように、LC共振回路51の入力側には交流発生部40が接続されている。よって、LC共振回路51は、交流発生部40からの交流(周波数f0=約450kHzの交流)を入力信号として動作されることになる。また、LC共振回路51の出力側には、抵抗55(抵抗値Ro)が接続されている。その抵抗55は、LC共振回路51の出力信号Voを取り出すためのものである。LC共振回路51には約450kHzの交流が入力されるので、抵抗55には450kHzの交流の出力信号Voが現れることになる。その出力信号Voの振幅は、LC共振回路51の共振周波数fs2が反映された値、具体的には、共振周波数fs2とLC共振回路51の動作周波数f0との差に応じた値とされている。より具体的には、LC共振回路51の動作点が共振周波数fs2に近い程、出力信号の振幅が大きくなる。なお、
図2では検出回路50は検出コイル基板20の外に図示しているが、検出回路50は検出コイル基板20上に設けられたとしても良い。
【0051】
図2の説明に戻り、CPU、ROM、RAM等で構成されたマイコン60は、交流発生部40及び検出回路50と接続されており、CPUがROMに記憶されたプログラムにしたがった処理を実行することで、交流発生部40の動作を制御したり、検出回路50からの検出結果を受け取って、操作部11が操作されたか否かを判断したりするものである。マイコン60は、操作部11が操作されたと判断したときには、所定の車載機器(エアコン、オーディオ等)に所定の動作(温度設定、音量設定等)をするように指示する。また、マイコン60は、RAM等のメモリ601を有しており、各種情報をそのメモリ601に一時的に記憶しつつ、各種の処理を実行している。
【0052】
次に、操作検出装置1の動作(操作部11のタッチ操作の検出原理)について説明する。
図4は操作部11のタッチ操作の検出原理を説明する図であり、具体的には
図4(a)は、操作部11がタッチ操作されていないときにおける操作部11周辺の断面を示しており、
図4(b)は、操作部11がタッチ操作されたときにおける操作部11周辺の断面を示している。
【0053】
(i)操作されていない場合
先ず、
図4(a)を参照して、操作部11がタッチ操作されていないときの動作について説明する。マイコン60からの指示によって交流発生部40から周波数f0(f0=約450kHz)の交流が発生され、その交流がコイル21に入力される。すると、コイル21にはコイル21のインダクタンスLに応じた磁束71が発生される。その磁束71の一部は金属体12を貫き、金属体12にはその磁束71によって渦電流が発生する。すると、その渦電流によって、磁束71の向きと反対方向の磁束、すなわち磁束71を相殺する逆磁束が発生する。なお、
図4(a)では逆磁束を図示していない。結局、コイル21からは逆磁束による相殺が反映された磁束71が発生されることになる。
【0054】
この磁束71を発生させるコイル21のインダクタンスLをL=L0とすると、
図3のLC共振回路51の共振周波数fs2は、上記式1のLがL0とされた値となる。ここで、
図5は、LC共振回路51の出力特性を示しており、具体的には、横軸をLC共振回路51の動作周波数とし、縦軸を入力信号Viに対する出力信号Voの比(Vo/Vi)とした図を示している。また、
図5には、
図4(a)の場合、つまり操作部11がタッチ操作されていない場合における出力比(Vo/Vi)の曲線81(以下、共振曲線という)を示している。その共振曲線81では動作周波数が415kHzで最も出力が大きくなっている。その周波数415kHzがLC共振回路51の基準共振周波数fs2である。
【0055】
また、LC共振回路51の動作周波数f0が約450kHzとされているので、
図3の抵抗55には、
図5のf0=450kHzのラインと共振曲線81との交点811で示される値(=約3V)の振幅の出力信号Voが出力される。その出力信号Voはマイコン60に入力されて、マイコン60によって、その出力信号Voの振幅の大きさと、タッチ操作されていないときにおける振幅の大きさとして予め定められた基準値とが比較される。そして、その比較結果に基づいて、操作部11がタッチ操作されたか否かが判断される。この場合には、出力信号Voの振幅の大きさが基準値と同程度であるとして、操作部11はタッチ操作されていないと判断されることになる。
【0056】
(ii)操作された場合
次に、
図4(b)を参照して、操作部11がタッチ操作されたときの動作について説明する。
図4(b)に示すように、ユーザの指Fによって操作部11がタッチ操作されると、操作部11が微小変形し、それにともなって金属体12も微小変形する。なお、微小変形の度合いは操作部11を構成する材料によって変わってくるが、どの材料であっても微小変形することには変わりない。操作部11が微小変形すると、操作部11(金属体12)と検出コイル基板20(コイル21)との距離が縮まる。距離が縮まると、コイル21からの磁束71が金属体12に導通しやすくなるので、金属体12に発生する渦電流が増加する。渦電流が増加すると、渦電流による逆磁束72が大きくなって、その逆磁束72によってコイル21の磁束71が減少する。その結果、コイル21のインダクタンスLが、タッチ操作されていないときのインダクタンスL0から減少する。上記式1により、コイル21のインダクタンスLが減少するとLC共振回路51の共振周波数fs2が大きくなる。
【0057】
ここで、
図5には、
図4(b)の場合、つまり操作部11がタッチ操作された場合における共振曲線82を示している。共振曲線82は、共振周波数fs2が大きくなった分だけ、共振曲線81から右側にシフトしている。その結果、LC共振回路51の動作周波数f0と共振周波数fs2とが接近する。その結果、検出回路50から出力される出力信号Voの大きさ(
図5のf0=450kHzのラインと共振曲線82との交点821で示される値(=約4.2V))が、共振曲線81のときよりも大きくなる。そして、その出力信号Voの振幅の大きさ(=約4.2V)が基準値(=約3V)から一定以上大きくなったことに基づいて、マイコン60によって操作部11がタッチ操作されたと判断される。その後、所定の車載機器における所定の動作が行われる。なお、
図4(b)の場合では、指Fで操作された場合を示しているが、仮に手袋をしたまま操作した場合であっても、操作部11と検出コイル基板20との距離が縮まることには変わりないので、動作的には指Fの場合と同じである。
【0058】
(iii)水分付着の場合
次に、操作部11の内部に水分が侵入して、コイル21や検出回路50に水分が付着したときにおける動作について説明する。例えば、
図4(a)の状態で、コイル21や検出回路50に水分が付着した場合には、
図3のLC共振回路51におけるコンデンサ54の静電容量Cwが大きくなる(発生する)。その結果、上記式1により、LC共振回路51の共振周波数fs2が小さくなる。ここで、
図5には、水分付着した場合における共振曲線83を示している。共振曲線83は、共振周波数fs2が小さくなった分だけ、共振曲線81から左側にシフトしている。その結果、LC共振回路51の動作周波数f0と共振周波数fs2とが離れる。その結果、検出回路50から出力される出力信号Voの大きさ(
図5のf0=450kHzのラインと共振曲線83との交点831で示される値(=約2V))が、共振曲線81のときよりも小さくなる。
【0059】
そして、マイコン60によって、その出力信号Voの振幅の大きさ(=約2V)が基準値(=約3V)から一定以上小さくなったことが確認される。そして、操作部11内部に水分が付着した可能性があるとして、例えば警告が行われる。
【0060】
なお、
図5では、コイル21とその寄生コンデンサ52とで構成される並列共振回路の共振周波数fs1(=約650kHz)を示している。仮に、直列コンデンサ53が無いとした場合には、LC共振回路51の共振周波数は、その並列共振回路の共振周波数fs1となる。この場合には、共振周波数fs1から離れた動作点(f0=450kHz)で出力信号を得ることになる。そのため、タッチ操作や水分付着によって共振周波数fs1が変化したとしても、出力信号はほとんど変化しない。これに対して、直列コンデンサ53を設けた場合には、動作点を共振周波数fs2付近にできるので、共振周波数fs2の小さい変化(インダクタンスLの微小変化)であっても大きな出力信号の差になって現れる。よって、感度良く、タッチ操作、水分付着を検出できる。
【0061】
以上の各場合におけるLC共振回路51の動作を踏まえて、LC共振回路51の回路定数に考え方について説明する。
図5に示すように、LC共振回路51の共振点における出力信号Voが約5.5Vであるのに対し、タッチ操作、水分付着が無いときのLC共振回路51の動作点(交点811)における出力信号Voが約3Vとされている。つまり、動作点811は、3/5.5=約55%の位置に設定されている。また、タッチ操作されたときのLC共振回路51の動作点(交点821)における出力信号Voが約4.2Vとされている。この場合、動作点821は、基準の動作点811から約40%増加(4.2/3=1.4)したことになる。また、水分付着したときにおけるLC共振回路51の動作点(交点831)における出力信号Voが約2Vとされている。この場合、動作点831は、基準の動作点811から約33%減少(2/3=67%、100%−67%=33%)したことになる。
【0062】
また、共振周波数fs2の変化を見てみると、タッチ操作、水分付着が無いときのLC共振回路51の共振周波数fs2(共振曲線81参照)は約415kHzに設定されている。また、タッチ操作されたときのLC共振回路51の共振周波数fs2(共振曲線82参照)は約430kHzとされている。また、水分付着したときのLC共振回路51の共振周波数fs2は約400kHzとされている。
【0063】
以上より、LC共振回路51の各素子の回路定数は、例えば以下の事項を満たすように設定する。
(1)各場合(タッチ操作無し、水分付着無し、タッチ操作有り、水分付着有り)におけるLC共振回路51の動作点が、LC共振回路51の共振点付近にくる。共振点付近とは、共振点を基準として、LC共振回路51の共振曲線の傾きΔVo/Δf(周波数変化Δfに対する出力変化ΔVo)が一定以上の範囲を言う。
図5の例では、例えば、350kHz〜500kHzの範囲。
(2)タッチ操作、水分付着が無いときのLC共振回路51の動作点(基準の動作点)が、共振曲線のピーク点(共振点)の約半分の位置となる。
(3)タッチ操作されたとき又は水分付着したときの動作点が、基準の動作点から少なくとも30%以上変化した位置になる。
(4)上記(1)を共振周波数fs2の観点で言うと、各場合(タッチ操作無し、水分付着無し、タッチ操作有り、水分付着有り)の動作点が共振点付近から外れない範囲で、LC共振回路51の共振周波数fs2が変化する。
図5の例では、415kHzを基準に±15kHzの範囲で、共振周波数fs2が変化。
(5)各場合の動作点が、LC共振回路51の共振曲線において、共振点の右側の範囲と左側の範囲のいずれか一方で変動する。なお、
図5の例では、共振点より右側の範囲で動作点が変動しているが、共振点より左側の範囲で動作点が変動するようにしても良い。
【0064】
以上説明したように、本実施形態では、仮に手袋をしたまま操作した場合であってもその操作を正確に検出できるとともに、仮に水分付着した場合であってもLC共振回路51はタッチ操作時と逆方向に動作するので、タッチ操作の検出には影響を与えない。
【0065】
(第二実施形態)
次に、本発明に係る操作検出装置の第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心にして説明する。この第二実施形態は、操作検出装置に、ユーザの指が操作部に接近したことを検出する機能(ホバーリング機能)を備えさせた実施形態である。
図6は、本実施形態の操作検出装置2の構成を示している。なお、
図6において、第一実施形態の操作検出装置1(
図2参照)と変更が無い部分には同一符号を付している。
図6に示すように、操作検出装置2は、操作部11に付着された金属体12が検出回路50(LC共振回路51)に接続されている点が、
図2の操作検出装置1と異なっており、その他は操作検出装置1と同じとされている。
【0066】
金属体12が検出回路50に接続されることによって、検出回路50のLC共振回路51の動作が第一実施形態のそれと異なっている。ここで、
図7は、本実施形態の検出回路50の詳細を示している。なお、
図7において、第一実施形態の検出回路50(
図3参照)と変更が無い部分には同一符号を付している。
図7に示すように、直列コンデンサ53と並列に静電容量Cpのコンデンサ56が設けられる点が、
図3の検出回路50と異なっている。そのコンデンサ56は、ユーザの指が操作部11(金属体12)に接近したことに起因して発生するコンデンサとされている。つまり、操作部11に指が接近していないときにはコンデンサ56の静電容量Cpはほぼゼロとされ、指が接近したときには静電容量Cpは一定以上の大きさとされる。なお、本実施形態のLC共振回路51の共振周波数fs2は、上記式1において、静電容量Cwを静電容量Cpに代えたものとされる。
【0067】
次に、操作検出装置2の動作(指接近の検出原理)について説明する。
図8は、操作部11周辺の断面を示しており、詳細にはユーザの指Fが操作部11に接近したときの状態を示している。
図8に示すように、指Fが操作部11に接近すると、指Fと金属体12との間で静電容量Cpが発生する。上記したように金属体12はLC共振回路51に接続されているので、発生した静電容量CpはLC共振回路51にコンデンサ56として含まれる。その結果、LC共振回路51の共振周波数fs2は、静電容量Cpの分だけ小さくなる(式1参照)。
【0068】
ここで、
図9は、LC共振回路51の出力特性として指接近時における共振曲線84を示している。なお、
図9には、操作部11がタッチ操作されていないとき(且つ指接近もしていないとき)における共振曲線81及びタッチ操作されたときにおける共振曲線82も点線で示している。なお、これら共振曲線81、82は、
図5の共振曲線81、82と同じである。
図9に示すように、指接近時における共振曲線84は、共振周波数fs2が小さくなった分だけ、基準の共振曲線81から左側にシフトしている。その結果、LC共振回路51の動作周波数f0と共振周波数fs2とが離れる。その結果、検出回路50から出力される出力信号Voの大きさ(
図9のf0=450kHzのラインと共振曲線84との交点841で示される値(=約2V))が、基準値(共振曲線81のときにおける値)より小さくなる。そして、マイコン60によって、その出力信号Voの振幅の大きさが基準値から一定以上小さくなったことが確認されて、操作部11に指Fが接近したと判断される。その後、指接近に応じた制御(例えば操作部11をLED等で照明するなど)が行われる。
【0069】
なお、操作部11がタッチ操作されたときの動作は、第一実施形態と同じである。つまり、指接近時とタッチ操作時とで、LC共振回路51の共振周波数fs2は逆方向に変化する。よって、指接近とタッチ操作とを正確に区別できる。
【0070】
(第三実施形態)
次に、本発明に係る操作検出装置の第三実施形態について、上記実施形態と異なる部分を中心にして説明する。
図10は、本実施形態の操作部13の正面図を示している。その操作部13は、
図1のフロントパネル10の一部の領域に形成されている。
図10に示すように、操作部13には、複数の操作領域131a〜131pが設けられている。それら操作領域131a〜131pは、正方形状とされており、4×4のマトリックス状に配列されている。なお、以下では、操作領域131a〜131pを総称して言う場合や、任意の操作領域131a〜131pを指す場合には、符号131を使用して操作領域131と言う。各操作領域131は、数字を入力するためのタッチスイッチとされており、そのために、1〜16の数字のいずれかが割り当てられている。そして、各操作領域131には、自身が割り当てられた数字が記されている。
【0071】
各操作領域131のそれぞれの裏側は、第二実施形態における操作部11の裏側の構造(
図6参照)と同じとされている。すなわち、各操作領域131ごとに、金属体12及びコイル21が設けられている。そして、各操作領域131ごとに検出回路50が設けられている。また、各金属体12は、各検出回路50に接続されており、第二実施形態で説明したように、タッチ操作の検出に加えて、各操作領域131への指接近も検出可能に構成されている。なお、各コイル21に交流を入力する交流発生部40は、各コイル21の数だけ設けられたとしてもよく、一つのみ設けて、全てのコイル21で共通に使用されたとしても良い。また、各操作領域131のタッチ操作や指接近を判断する一つのマイコン60が設けられている。
【0072】
次に、本実施形態における各操作領域131へのタッチ操作の検出原理について説明する。ここで、
図11は、操作領域131と指との距離又は操作領域131と検出コイル基板20との距離に対する検出回路50の出力信号の変化を示したライン200を示している。なお、
図11の縦軸は、LC共振回路51の動作点(動作周波数f0)における出力信号の振幅とされている。また、
図11の横軸は、「タッチ」と記された点の右側の範囲では操作領域131と指との距離を示しており、左側の範囲では操作領域131と検出コイル基板20との距離を示している。以下、
図10の数字「7」の操作領域131gが操作される場合を例にとって、
図11の出力信号の変化(ライン200)について説明する。
【0073】
指Fが未だ操作領域131gから離れている段階(ライン200の第一の部分201参照)では、LC共振回路51の共振周波数fs2の変化は無いので、出力信号はある初期値となる。その後、指Fが徐々に操作領域131gに近づいていくと(ライン200の第二の部分202参照)、あるところで指Fと操作領域131gの金属体12との間で静電容量Cpが発生し、その静電容量Cpの分だけ共振周波数fs2が小さくなる。そして、それにともなって出力信号が小さくなる。指Fが操作領域131gにさらに近づくと、発生する静電容量Cpが大きくなっていくので、出力信号は徐々に減少していく。そして、あるところで出力信号が所定の閾値TH1よりも小さくなる。この場合に、マイコン60によって、指Fが操作領域131gに接近したと判断される。なお、以下では、出力信号が閾値TH1より小さくなった場合を「静電反応が生じている」と言う。
【0074】
出力信号は、指Fが操作領域131gにタッチされるまで減少していく。指Fが操作領域131gにタッチされた後は(ライン200の第三の部分203参照)、操作領域131gと検出コイル基板20との距離が縮んでいくので、操作領域131gに対応するコイル21のインダクタンスLが減少する。そして、それにともなって共振周波数fs2が大きくなり、出力信号が大きくなる。つまり、操作領域131gと検出コイル基板20との距離が小さくなるにしたがって、出力信号が徐々に大きくなっていく。その後、出力信号は、静電反応の閾値TH1よりも大きくなり、さらにその後、所定の閾値TH2よりも大きくなる。この場合に、マイコン60によって、操作領域131gがタッチ操作されたと判断される。なお、以下では、出力信号が閾値TH2よりも大きくなった場合を「磁気反応が生じている」と言う。
【0075】
このように、操作領域131が操作される場合には、先ず静電反応が生じ、その静電反応に後続して磁気反応が生ずることになる。その性質を考慮することで、より正確に、操作領域131が操作されたか否かを判断できる。以下、操作領域131が操作されたか否かを判断する手順について、
図12のフローチャートを参照しながら説明する。この
図12のフローチャートは、マイコン60によって、一定間隔おきに繰り返し実行され、各操作領域131ごとに実行される。先ず、検出回路50からの出力信号が静電反応の閾値TH1より小さくなったか否かが判断される(S11)。出力信号が閾値TH1以上の場合には(S11:No)、続いて、出力信号が磁気反応の閾値TH2より大きくなったか否かが判断される(S15)。閾値TH2以下の場合には(S15:No)、静電反応、磁気反応どちらも生じていないことになるので、操作領域131への指の接近(ホバーリング)、タッチ操作のいずれも無いと判断される(S17)。その後、
図12のフローチャートの処理が終了される。
【0076】
S15において、出力信号が閾値TH2より大きい場合には(S15:Yes)、指の接近を経ないで磁気反応のみが生じたことになるので、人体以外の物(棒など)で操作領域131が操作されたと判断される(S16)。その後、
図12のフローチャートの処理が終了される。一方、S11において、出力信号が閾値TH1より小さい場合には(S11:Yes)、続いて、閾値TH1より小さくなってから一定時間経過するまでに、出力信号が磁気反応の閾値TH2より大きくなったか否かが判断される(S12)。閾値TH2より大きくなった場合には(S12:Yes)、静電反応に後続して磁気反応が生じたことになるので、ユーザによって操作領域131が操作されたと判断される(S13)。その後、
図12のフローチャートの処理が終了される。
【0077】
S12において、一定時間経過するまでに、出力信号が閾値TH2より大きくならなかった場合には(S12:No)、静電反応のみが生じたことになるので、コイル21や検出回路50に水分が付着したと判断され又は指が操作領域131に接近したが操作されなかった(ホバーリングのみ)と判断される(S14)。その後、
図12のフローチャートの処理が終了される。
【0078】
以上説明したように、本実施形態では、
図11の性質を考慮することで、操作領域131の操作の有無、人体による操作か否か、ホバーリングのみ、水分付着かを判断できる。また、複数の操作領域131を有しているので、複数種類のタッチスイッチを構成できる。なお、本実施形態では、複数の操作領域が4×4のマトリックス状に配列された例について説明したが、操作領域は、どの列数のマトリックス(m×nのマトリックス)状に配列されたとしても良い。また、各操作領域の形状は正方形状でなくても良く、例えば長方形状、円状であっても良い。
【0079】
(第四実施形態)
次に、本発明に係る操作検出装置の第四実施形態について、上記実施形態と異なる部分を中心にして説明する。本実施形態の操作検出装置の構成は、第三実施形態の構成と同じである。すなわち、
図10に示すマトリックス状に配列された複数の操作領域131からなる操作部13を備えている。また、各操作領域131の金属体12は各検出回路50に接続されており、そのために、各操作領域131ごとに指接近及びタッチ操作を検出可能に構成されている。本実施形態は、操作部13(操作領域131)を操作した操作者が、ドライバーか助手席ユーザかを判別できるようにした実施形態とされる。以下、操作者判別の手順について説明する。ここで、
図13は、マイコン60によって実行される、操作者判別の手順を示したフローチャートを示している。なお、
図13のフローチャートの処理は、所定のタイミングで開始され、その後、一定間隔おきに繰り返し実行される。なお、以下では、数字「7」の操作領域131(
図10参照)がドライバーによって操作された場合を例にとって、
図13のフローチャートの処理を説明する。
【0080】
先ず、新しく静電反応が生じた操作領域131が有るか否かが判断される(S21)。静電反応が生じた操作領域131が無い場合には(S21:No)、操作領域131への操作が無いと判断される(S24)。その後、
図13のフローチャートの処理が終了される。これに対して、静電反応が生じた操作領域131が有る場合には(S21:Yes)、続いて、その操作領域131(厳密には操作領域131を識別する識別情報)がメモリ601(
図6参照)に記憶される(S22)。この際、今回までにS22で記憶された各操作領域131間で、静電反応が生じた順序が分かるように記憶される(S22)。続いて、磁気反応が生じた操作領域131が有るか否かが判断される(S23)。磁気反応が生じていない場合には(S23:No)、S21の処理に戻って、次に新しく静電反応が生じた操作領域131が有るか否かが判断される(S21)。例えば、ドライバーが「7」の操作領域131gを操作するまでに、「16」の操作領域131p→「12」の操作領域131l→「11」の操作領域131k→「8」の操作領域131h→「7」の操作領域131gの順序で指Fが接近したとする。この場合、S21〜S23の処理が繰り返されて、S22では、「16」→「12」→「11」→「8」→「7」の順序がマイコン60のメモリ601に記憶されることになる。
【0081】
S23において、磁気反応が生じた操作領域131があると判断された場合、つまりタッチ操作された操作領域131が有ると判断された場合には(S23:Yes)、続いて、S22で記憶された静電反応の順序が、運転席側からの順序か否かが判断される(S25)。ドライバーが操作領域131を操作する場合には、
図10の正面方向から見て右側の操作領域131から順に静電反応が生じていくと考えられる。これに対して、助手席ユーザが操作領域131を操作する場合には、左側の操作領域131から順に静電反応が生じていくと考えられる。そこで、S25では、例えば、最初に静電反応した操作領域131から最後に静電反応した操作領域131に向かう方向が、
図10の正面方向から見て右側から左側に向かっているか否かが判断される。上記の「16」→「12」→「11」→「8」→「7」の順序の例では、最初に静電反応した「16」の操作領域131pは一番右の列に属しており、最後に静電反応した「7」の操作領域131gは右から2番目の列に属している。よって、「16」から「7」の方向は右側から左側に向かっているので、運転席側からの順序であると判断されることになる(S25)。なお、S25では、単純に、最初に静電反応が生じた操作領域131が一番右側の列に属している操作領域131(
図10の例では、「4」、「8」、「12」、「16」の操作領域131)の場合に、運転席側からの順序であると判断しても良い。
【0082】
S25で運転席側からの順序であると判断された場合には(S25:Yes)、続いて、現時点までに(タッチ操作されるまでに)に静電反応が生じた操作領域131における運転席側に位置する操作領域131(運転席側操作領域)の数と助手席側に位置する操作領域131(助手席側操作領域)の数とが比較される(S26)。ここで、現時点までに静電反応した操作領域131の情報として、先のS22で記憶された情報が使用される。また、運転席側に位置する操作領域131(運転席側操作領域)とは、具体的には
図10のマトリックスのうちの右半分側に位置する操作領域131(「3」、「4」、「7」、「8」、「11」、「12」、「15」、「16」)のことを言い、助手席側に位置する操作領域131(助手席側操作領域)とは、
図10のマトリックスのうちの左半分側に位置する操作領域131(「1」、「2」、「5」、「6」、「9」、「10」、「13」、「14」)のことを言う。上記の例では、S22において「7」、「8」、「11」、「12」、「16」の操作領域131が記憶されており、それら操作領域131の全てが右半分側に位置する操作領域131(運転席側操作領域)とされている。よって、この場合S26では、運転席側操作領域131の数のほうが多いと判断される(S26)。
【0083】
S26で運転席側操作領域131の数のほうが多いと判断された場合には(S26:Yes)、運転席側からの操作、すなわちドライバーによる操作と判断される(S27)。この場合には、その操作は無効とされ、操作に応じた動作、制御は実行されない(S28)。これは、運転中はドライバーによる操作はできるだけ避けたほうが良いためである。S28の処理の後、
図13のフローチャートの処理が終了される。
【0084】
S25において、静電反応の順序が運転席側からの順序ではないと判断された場合には(S25:No)、操作領域131を操作した操作者は助手席ユーザであると判断される(S29)。続いて、操作有効であるとして、操作された操作領域131に応じた動作、制御が実行される(S30)。その後、
図13のフローチャートの処理が終了される。
【0085】
また、S26において、静電反応した操作領域131のうち助手席側操作領域131のほうが運転席側操作領域131よりも多いと判断された場合にも(S26:No)、助手席ユーザの操作と判断されて(S29)、操作有効とされる(S30)。このように、本実施形態では、静電反応の順序と静電反応の数の一つでも運転席側ではないと判断された場合には、助手席ユーザの操作と判断されることになる。言い換えると、静電反応の順序と静電反応の数の両方が運転席側と判断された場合に、ドライバーの操作と判断されることになる。これによって、助手席ユーザの操作であるにもかかわらずドライバーの操作であると誤って判断されてしまうのを防止できる。
【0086】
以上、本実施形態では、操作部13を操作した操作者を判別できるので、判別した操作者に応じた処理を実行することができる。なお、本実施形態では、静電反応の順序及び静電反応の数に基づいて操作者を判別していたが、どちらか一方に基づいてその判別を行っても良い。また、静電反応の順序と静電反応の数の両方が運転席側の場合にドライバーの操作と判断していたが、一つでも運転席側の場合にはドライバーの操作と判断しても良い。
【0087】
(第五実施形態)
次に、本発明に係る操作検出装置の第五実施形態について、上記実施形態と異なる部分を中心にして説明する。
図14は、本実施形態の操作部13を正面方向から見た図を示している。
図14の操作部13は、
図10の操作部13と同じとされている。なお、
図14では、操作部13の裏側に設けられるコイル211〜218を透視して示している。
図14に示すように、本実施形態では、各操作領域131の一つずつコイルが設けられるのではなく、マトリックスを構成する各列ごとにコイル211〜218が設けられている。具体的には、マトリックスを構成する縦方向の列a〜dに対向する位置にそれぞれ縦長コイル211〜214が設けられている。また、マトリックスを構成する横方向の列A〜Dに対向する位置にそれぞれ横長コイル215〜218が設けられている。なお、
図10では、金属体、スペーサ、検出コイル基板等を図示していないが、操作部13の各操作領域131の裏側の構造は、
図2のA−A断面で示す構造と同じ構造とされている。
【0088】
各コイル211〜218は、自身が対向する列に属する複数の操作領域131に向けて磁束を発生させるコイルとされている。具体的には、例えば、
図14において一番左側に設けられ縦方向の縦長コイル211は、一番左側の縦方向の列aに属する操作領域131(「1」、「5」、「9」、「13」の操作領域131)に向けて磁束を発生させる。また、縦長コイル211〜214は検出コイル基板の一方の面に形成され、横長コイル215〜218は検出コイル基板の他方の面(縦長コイル211〜214が形成されていない側の面)に形成されている。なお、縦長コイル211〜214と横長コイル215〜218との間を絶縁させて、縦長コイル211〜214及び横長コイル215〜218を検出コイル基板の同じ面に形成しても良い。
【0089】
図15は、本実施形態の操作検出装置3の構成を示している。なお、
図15において、操作部13周辺の構成(操作部13、金属体、スペーサ、検出コイル基板)の図示を省略している。また、
図15では、上記実施形態と変更が無い部分には同一符号を付している。
図15に示すように、操作検出装置3は、上記実施形態と同じ機能を有する交流発生部40、検出回路50、マイコン60に加えて、第一の切替部61、第二の切替部62を備えている。第一の切替部61はマルチプレクサ等で構成され、第一端子611には交流発生部40が接続され、複数の第二端子612のそれぞれには各コイル211〜218の一端が接続されている。また、第一の切替部61には、複数の第二端子612間で接点を切り替えて、第一端子611と一つの第二端子612との間を接続するスイッチ613が設けられている。このように、第一の切替部61は、スイッチ613によって、交流発生部40からの交流の入力を複数のコイル211〜218間で切り替えるものである。
【0090】
第二の切替部62はマルチプレクサ等で構成され、第一端子621には検出回路50が接続され、複数の第二端子622のそれぞれには各コイル211〜218の他端(第一の切替部61が接続されていない側のコイル211〜218の端部)が接続されている。また、第二の切替部62には、複数の第二端子622間で接点を切り替えて、第一端子621と一つの第二端子622との間を接続するスイッチ623が設けられている。このように、第二の切替部62は、スイッチ623によって、検出回路50に接続するコイルを、複数のコイル211〜218間で切り替えるものである。
【0091】
第一の切替部61、第二の切替部62のスイッチ613、623は、マイコン60からの指令に基づいて第二端子612、622の接点を切り替えている。そのマイコン60は、第一の切替部61と第二の切替部62とで同じコイル211〜218が接続されるように、スイッチ613の切り替えとスイッチ623の切り替えとを同期させている。また、マイコン60は、一定間隔でスイッチ613、623を切り替えることで、交流発生部40と接続するコイル及び検出回路50と接続するコイルをコイル211〜218間で順番に切り替えている。このように、本実施形態では、第一、第二の切替部61、62で順番に切り替えることで、コイル211〜218を時分割で動作させている。
【0092】
次に、タッチ操作され、又は指が接近された操作領域を検出する方法について説明する。例えば
図14において「7」の操作領域131がタッチ操作されたとする。この場合に、その「7」が属する列cに対応するコイル213及び列Bに対応するコイル216のインダクタンスが減少するので、マイコン60には、それらコイル213、216のインダクタンスの減少を示した情報が検出回路50から入力される。そして、マイコン60によって、コイル213とコイル216とが交差する部分に対向する操作領域131(列cと列Bとが交差する操作領域)、すなわち「7」の操作領域131が操作された判断される。なお、指が操作領域に接近した場合は、タッチ操作の検出と同様に、静電反応が生じた2列が交差する操作領域が、指が接近した操作領域として検出される。このように本実施形態では、コイル数を削減できるとともに、交流発生部40及び検出回路50も一つだけで良いので構成を簡素にできる。
【0093】
(第六実施形態)
次に、本発明に係る操作検出装置の第六実施形態について、上記実施形態と異なる部分を中心にして説明する。
図16(a)は、本実施形態の操作部14を正面方向から見た図を示しており、
図16(b)は、操作部14の断面図を示している。なお、
図16(b)では、上記実施形態と変更が無い部分には同一符号を付している。
図16(a)に示すように、操作部14は、
図10の操作部13と同様に、複数の操作領域141が4×4のマトリックス状に配列されている。操作部14は全体が板状の金属16で構成されている。その金属16は、コイル21からの磁束によって渦電流を発生させる金属体としても機能し、銅、アルミ、金などで構成されている。
【0094】
操作部14を構成する金属16は、
図16(b)に示すように、操作部14の外周縁部で折り曲げられている。その折り曲げられた部分を側部15としたときに、その側部15が検出コイル基板20の外周縁部で接続されている。このように、本実施形態では、検出コイル基板20(コイル21)の周囲が金属16で覆われた構造となっている。これによって、検出コイル基板20から発生された電磁ノイズが外部に漏れるのを抑制でき、反対に、外部からの電磁ノイズが検出コイル基板20に侵入されるのを抑制できる。つまり、電磁ノイズ対策を強化できる。
【0095】
また、操作部14と検出コイル基板20の間には、各操作領域141ごとにスペーサ30が設けられている。よって、
図16(c)に示すように、操作された操作領域141のみを変形させることができる。なお、
図16(c)では、一つの操作領域141における断面図を示している。
【0096】
なお、本発明に係る操作検出装置は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限度で種々変更することができる。例えば、上記実施形態では、フロントパネル10(
図1参照)に設けられるスイッチに本発明を適用した例について説明したが、液晶ディスプレイ501(
図1参照)のタッチパネルにも本発明を適用することができる。この場合には、例えばITO(酸化インジウムスズ)で金属体やコイルを形成し、透明樹脂(PET、アクリル等)で操作部、スぺーサ、検出コイル基板を形成し、それらを液晶ディスプレイ501に貼り合わせれば良い。これによって、液晶ディスプレイ501に表示されたスイッチへのタッチ操作や指接近を検出できる。
【0097】
また、タッチパッドや特許文献1〜3のように専用のペンでタッチ入力するデータタブレットに本発明を適用しても良い。また、上記実施形態では、操作部と検出コイル基板の間にスペーサを設けることで、操作部と検出コイル基板とを一定距離離れさせていたが、操作部及び検出コイル基板が互いに一定距離離れた位置で支持されているのであれば、スペーサを設けなくても良い。また、操作部とスペーサとを同一材料で一体的に形成しても良い。
【0098】
なお、上記実施形態において、検出コイル基板20が本発明の「コイル設置部」に相当する。マイコン60が本発明の「操作判断手段」及び「指接近判断手段」に相当する。縦長コイル211〜214が本発明の「縦方向コイル」に相当する。横長コイル215〜218が本発明の「横方向コイル」に相当する。第一、第二の切替部61、62及びマイコン60が本発明の「切替手段」に相当する。
図13のS21〜S23の処理を実行するマイコン60及びメモリ601が本発明の「指接近順序記憶手段」及び「指接近領域記憶手段」に相当する。
図13のS25の処理を実行するマイコン60が本発明の「第一の操作者判断手段」に相当する。
図13のS26の処理を実行するマイコン60が本発明の「第二の操作者判断手段」に相当する。