特許第5651133号(P5651133)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5651133
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】液状化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20141211BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20141211BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20141211BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   A61K8/37
   A61K8/06
   A61K8/34
   A61K8/86
   A61K8/60
   A61K8/81
   A61Q19/00
   A61Q19/02
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-6911(P2012-6911)
(22)【出願日】2012年1月17日
(65)【公開番号】特開2013-147434(P2013-147434A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2012年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 京子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一伸
(72)【発明者】
【氏名】小野 昭則
【審査官】 川島 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−157129(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/016989(WO,A1)
【文献】 特開平11−049684(JP,A)
【文献】 特開2009−286757(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/044261(WO,A1)
【文献】 特開2009−234960(JP,A)
【文献】 新化粧品ハンドブック,2006年10月30日,pp.507-511
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ショ糖、ソルビトール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールを含むサッカロイド又はポリオール、分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコール母核に、プロピレンオキサイド2〜100モルと、エチレンオキサイド50モル以下とを付加重合したポリエーテル系化合物、エチルグルセス−10、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、胆汁酸モノ塩、dl−ピロリドンカルボン酸モノ塩、短鎖可溶性コラーゲン、イザヨイバラ抽出液、セイヨウノコギリソウ抽出物、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、それ以上の分子量のポリエチレングリコールを含むグリコール、グリセリン、ジグリセリン、それ以上の分子量のポリグリセリン、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトールを含む糖アルコール、フルクトース、グルコース、ガラクトース、マルトース、ラクトース、トレハロースを含む、ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体またはそのジメチルエーテルから選ばれる1種または2種以上の保湿剤を10〜40質量%、
(b)ツバキ油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、大豆油、茶実油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテルを含む天然油脂、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスを含む炭化水素系油脂、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル−2−エチルヘキサノエート、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、トリエチルヘキサノインを含む合成油性成分、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンを含む鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサンを含む環状ポリシロキサン、3次元網目構造を形成し得るシリコーン樹脂およびシリコーンゴムを含むシリコーンから選ばれる1種または2種以上の油分を0.01〜3質量%、
(c)親水性界面活性剤を0.01〜5質量%、及び
(d)数平均分子量が10,000〜250,000であるポリアクリル酸Naを0.001〜0.3質量%、
含有する化粧料であって、平均乳化粒子径が500nm以下であることを特徴とする液状化粧料。
【請求項2】
前記(a)保湿剤の配合量が15〜40質量%である、請求項1に記載の液状化粧料。
【請求項3】
前記(a)保湿剤に含まれるポリアルキレングリコールが化粧料全体に対して0.1〜3質量%である、請求項1又は2に記載の液状化粧料。
【請求項4】
(e)HLBが7以下である親油性界面活性剤を更に含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の液状化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保湿効果が高く、使用感にも優れた液状化粧料に関する。より詳しくは、保湿剤を高配合しながらも、べたつきがなく、さらりとした感触の液状化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧水等の低粘度液状化粧料においては、肌に塗布した際のみずみずしさやさっぱりした感触が求められる。
【0003】
例えば特許文献1においては、美白成分であるサリチル酸誘導体を配合した場合に生ずるべたつきやきしみを、少量の油分を配合したマイクロエマルション処方とすることにより抑制したことが記載されている。しかしながら、特許文献1の化粧料に配合されている保湿剤は多くとも10質量%前後であり、保湿効果を高めるために保湿剤の量をそれ以上に増加させると、それによるべたつきを十分に緩和することができず、コク感にも欠ける場合があった。
【0004】
一方、特許文献2には、茶エキス及び/又はカフェインを配合し、さらにポリアクリル酸ナトリウムを配合した化粧料を含浸したシート状化粧料が、肌に対する刺激性がなく、肌の引きしめ感、しっとり感、たるみ改善効果にすぐれていることが記載されている。即ち、カフェイン等の肌ひきしめ効果を有する従来の有効成分が有していた肌に対する刺激性がポリアクリル酸ナトリウムにより緩和されうることが教示されている。しかしながら、保湿剤によるべたつき等に対する効果は何ら検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−242326号公報
【特許文献2】特開2011−32193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって本発明の目的は、ポリアルキレングリコール等の保湿剤を高配合した場合であってもべたつきを生じず、コク感がありみずみずしい使用感触の液状化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明者等は鋭意研究を行った結果、保湿剤を高配合(10質量%以上)したマイクロエマルション処方にポリアクリル酸を更に配合することにより、保湿剤に起因するべたつきを抑制でき、コク感も付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち本発明は、(a)保湿剤を10〜40質量%、(b)油分を0.01〜3質量%、(c)親水性界面活性剤を0.01〜5質量%、及び(d)ポリアクリル酸又はその金属塩を0.001〜0.3質量%含有する化粧料であって、平均乳化粒子径が500nm以下であることを特徴とする液状化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液状化粧料は、保湿剤を高配合していても、それに起因するべたつきやきしみが抑制されるとともに、コク感及びみずみずしい感触があり、優れた使用感を有している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の液状化粧料に配合される保湿剤(成分a)は、化粧料等に通常使用されているものよく特に限定されない。例えば、ショ糖、ソルビトール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどのサッカロイド類又はポリオール類、分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコール母核に、プロピレンオキサイド2〜100モルと、エチレンオキサイド50モル以下とを付加重合したポリエーテル系化合物、エチルグルセス−10、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、胆汁酸モノ塩、dl−ピロリドンカルボン酸モノ塩、短鎖可溶性コラーゲン、イザヨイバラ抽出液、セイヨウノコギリソウ抽出物、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、それ以上の分子量のポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、それ以上の分子量のポリグリセリン類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール、フルクトース、グルコース、ガラクトース、マルトース、ラクトース、トレハロース等の糖類、ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体またはそのジメチルエーテル等を挙げることができる。
【0011】
本発明の液状化粧料における保湿剤の配合量は10〜40質量%、好ましくは15〜40質量%である。このような通常より多量の保湿剤を配合することにより特に保湿効果にすぐれた化粧料となる。
【0012】
なお、本発明の液状化粧料に配合される保湿剤がポリアルキレングリコールを含有する場合、その配合量は化粧料全体に対して0.1〜3質量%とするのが好ましい。ポリアルキレングリコールの配合量が3質量%を越えると、却ってべたつきを生ずる場合がある。
【0013】
本発明の液状化粧料で用いられる油分(成分b)としては、特に限定されないが、液状油分が好ましい。例えば、ツバキ油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、大豆油、茶実油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル等の天然油脂類、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系油脂類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル−2−エチルヘキサノエート、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、トリエチルヘキサノイン等の合成油性成分、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン等の環状ポリシロキサン、3次元網目構造を形成し得るシリコーン樹脂およびシリコーンゴム等のシリコーン類等が挙げられる。これらの中でも、炭化水素油、極性油、シリコーン油、炭素数12〜22の高級脂肪酸から選ばれる1種または2種以上の油分、特にトリエチルヘキサノインが好ましい。
【0014】
本発明の化粧料に配合される油分は、0.01〜3質量%、好ましくは0.05〜2質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。配合量が0.01質量%未満であると、きしみ、べたつきといった使用感の改善効果が不充分となり、3質量%を越えて配合するとマイクロエマルションの安定性が悪くなる場合がある。
【0015】
本発明の化粧料に配合される親水性界面活性剤(成分c)としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEという)ソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタントリオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリンイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEジオレエート等のPOE脂肪酸エステル類、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POE2−ヘキシルデシルエーテル、POE2−ヘプチルウンデシルエーテル、POE2−デシルテトラデシルエーテル、POE2−デシルペンタデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、POE・POPブロックコポリマー類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP水添ラノリン等のPOE・POPアルキルエーテル類、POEヒマシ油等のPOEヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、POEフィトステロールエーテル、POEポリエーテル変性シリコーン界面活性剤類等が挙げられる。これらの中でも、HLB13以上であるポリオキシアルキレン付加型アルキルエーテル、ポリオキシアルキレン付加型アルキルエステル、ポリオキシアルキレン付加型ソルビタン、ポリオキシアルキレン付加型硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレン付加型フィトステロールから選ばれる親水性非イオン性界面活性剤、またはN−アシルグルタミン酸塩及びアシルアルキルタウリン塩から選ばれる親水性アニオン性界面活性剤が好ましい。特に、POE硬化ヒマシ油、POEフィトステロールエーテルが好ましい。
【0016】
本発明の化粧料に配合される親水性界面活性剤は、一般的には0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜3質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。配合量が0.01質量%未満であると乳化安定性が悪くなる場合があり、5質量%を越えて配合するとべたつくなど使用性が悪くなる場合がある。
【0017】
本発明の液状化粧料は、ポリアクリル酸又はその金属塩(成分d)を必須成分として更に含有している。
本発明で使用されるポリアクリル酸は、化粧品等に従来から増粘剤として用いられているものから選択することができ、特に限定されるものではなく、市販品を使用することもできる。
【0018】
本発明では、ポリアクリル酸の金属塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好ましい例として挙げられる。
ポリアクリル酸の数平均分子量は、特に限定されないが、通常は10,000〜250,000、好ましくは10,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜50,000程度のものが用いられる。
【0019】
本発明の液状化粧料に配合されるポリアクリル酸の配合量は、0.001〜0.3質量%であり、好ましくは0.002〜0.2質量%、さらに好ましくは0.003〜0.1質量%である。配合量が0.001質量%未満であると、べたつきの抑制効果が十分でなく、0.3質量%を越えて配合すると粘度が高くなり、液状化粧料特有のなじみのよさやみずみずしい感触が失われる場合がある。
【0020】
本発明の液状化粧料には、さらに、HLBが7以下である親油性界面活性剤(成分e)を配合するのが好ましい。本発明の化粧料に配合されるHLBが7以下である親油性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、脂肪酸ソルビタン、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコール脂肪酸エステル、アルカロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイドなどが挙げられ、特にジイソステアリン酸ポリグリセリル−2が好ましい。
【0021】
本発明の液状化粧料における親油性界面活性剤の配合量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。配合量が0.01質量%未満であると配合の効果(乳化安定性の向上など)が得られず、5質量%を超えて配合するとべたつくなどの使用性が悪くなる場合がある。
【0022】
本発明の液状化粧料は、配合した油性、水性及び両親媒性成分が透明又は半透明な一液相で熱力学的に安定した膨潤した大きなミセルが分散した系(狭義のマイクロエマルション)を形成しているのが好ましい。しかし本発明におけるマイクロエマルションは、熱力学的に不安定な分散系と透明あるいは半透明で経時的に安定な分散系を含む広義のマイクロエマルションも包含する。
本発明の化粧料を構成するマイクロエマルションは、その平均乳化粒子径が10〜500nmであり、その粘度は2000mPa・s以下(30℃)であり、特に300mPa・s以下が好ましい
【0023】
本発明の液状化粧料は、例えば、第一段階として前記成分(b)及び(c)(場合によっては更に(e))を混合して70℃まで加熱し、一相マイクロエマルション組成物を調製した後、第二段階として水分を含む相(成分(a)及び(d)を含有する)に希釈する工程を経ることによって製造することができる。
【0024】
本発明の液状化粧料には、必要に応じて他の添加剤を配合してもよく、その種類及び配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択される。他の添加剤としては、例えば、香料、色素、緩衝剤、塩、美白剤、防腐剤、抗酸化香料、色剤その他粉末、薬剤、増粘剤、紫外線吸収剤、活性助剤等が挙げられる。
【0025】
本発明の液状化粧料は、好ましくは、透明乃至半透明の化粧水、エッセンス(美容液)などとして提供される。このような構成とすることにより、優れた保湿効果を活かしながら優れた使用感が達成されるのである。
【実施例】
【0026】
以下、具体例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明の技術的範囲を何ら限定するものではない。なお、以下の実施例、比較例及び処方例における処方量は全て質量%である。
【0027】
下記の表1〜3に掲げた組成を有する液状化粧料を調製した。
次に、これらの液状化粧料を用いて20名の専門パネルによる実使用試験を行った。試験項目は、べたつきのなさ、きしみのなさ、コク感、みずみずしさである。各試験項目について、以下の評価点基準に基づいて各専門パネルが評価し、その評価点の合計によって4段階にランク付けした。ランク付けした結果を表1〜3に併せて示す。
【0028】
評価点基準(べたつきのなさ、きしみのなさ、コク感、みずみずしさ):
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣っている。
1点:非常に劣っている。
評価ランク:
◎:合計点が80点以上
○:合計点が60点以上80点未満
△:合計点が40点以上60点未満
×:合計点が40点未満
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
表1に示した結果によれば、保湿剤を合計で17.5質量%配合した化粧料であっても、0.001〜0.3質量%のポリアクリル酸を配合することによりべたつきが抑制され、コク感及びみずみずしい感触が得られる(実施例1〜3)。これに対して油分を含まない比較例1及び油分を含んでいてもポリアクリル酸を含まない比較例2ではべたつきが感じられ、コク感も劣るものであった。なお、0.3質量%を越えるポリアクリル酸を配合した比較例3は、コク感は優れるもののべたつきがありみずみずしさに欠けるものとなった。
【0033】
表2の結果によると、油分量を0.01〜1質量%の間で変化させても、0.005質量%のポリアクリル酸の配合によりべたつきやきしみが抑制されるが(実施例4及び5)、油分を配合しない場合は効果が得られず(比較例4)、逆に油分量を5質量%とすると、それを乳化するために要する界面活性剤の量が増加するため、べたつきを生じ、みずみずしさが失われた(比較例5)。
【0034】
表3の結果では、合計で15.5質量%の保湿剤を配合した化粧料のべたつききしみがポリアクリル酸の添加によって抑制されることが示されている(実施例6及び7、比較例6)。なお、保湿剤に含まれるポリアルキレングリコールの量が3質量%を越えると、優れたコク感は得られるが、その量が3質量%以下の場合に比較すれば若干のべたつきが生じ得る(但し、実用上は問題ない)ことが示された(実施例8、9)。
【0035】
(処方例1)
化粧水:
配合成分 処方量(質量%)
(A)
POE硬化ヒマシ油(60) 0.2
ジイソステアリン酸ポリグリセル−2 0.2
トリエチルヘキサノイン 0.1
メチルグルセス−10 0.5
香料 適量
ブチレングリコール 6.0
(B)
グリセリン 8.0
ポリアクリル酸Na 0.005
フェノキシエタノール 0.3
水 残余
アルコキシサリチル酸塩 1.0
ポリエチレングリコール20000 1.0
エタノール 5.0
【0036】
製造方法:
Aを混合して70℃に溶解する。これをBの混合液に撹拌しながら添加して乳化し、化粧水を得た。平均粒子径200nm。
【0037】
(処方例2)
美白用白濁美容液:
配合成分 処方量(質量%)
(A)
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1.0
イソステアリン酸 0.2
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.3
ポリオキシエチレン(30)フィトステロール 0.09
セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.03
(B)
グリセリン 8.0
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
水酸化カリウム 適量
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
塩酸アルギニン 0.1
エタノール 1.0
ジプロピレングリコール 10.0
ポリエチレングリコール1000アルコシキサリチル酸塩 0.6
オウゴンエキス 1.0
ユキノシタエキス 0.1
オドリコソウエキス 0.1
トラネキサム酸 0.1
エデト酸三ナトリウム 1.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 0.05
ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
ポリアクリル酸Na 0.008
ポリエチレングリコール6000 1.0
パラベン 適量
海洋深層水 適量
精製水 残余
香料 適量
【0038】
製造方法:
攪拌溶解した水相(B)の中に、加熱溶解した界面活性剤〜油分層(A)を攪拌しながら添加して白濁美容液を得た。平均粒子径200nm。