【実施例】
【0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例は、立平葺き屋根1のハゼ部2に取り付け固定して、ソーラーパネル3やソーラーパネル取付用架台4や雪止め金具などの屋根上設置物5を立平葺き屋根1上に取り付けするための立平葺き屋根用取付金具に係るもので、前記ハゼ部2を挟持固定する一対の挟持部7を有する金具本体2は、
図1,
図2に示すように前記一対の挟持部7のうちの一方を備えた第一金具半体8と、一対の挟持部7のうちの他方を備えた第二金具半体9とから成り、一方の挟持部7と他方の挟持部7とが接離移動するように前記第一金具半体8と前記第二金具半体9とをスライド自在に連結した構成としている。尚、図示した立平葺き屋根1は、嵌合式の立平葺き屋根1を示しているが、巻きハゼ式の立平葺き屋根1に対しても本実施例は適用可能である。
【0027】
具体的には、本実施例の前記第一金具半体8は、
図1〜
図4に示すように、一枚の金属製帯板を略転コ字状に折曲して、前記屋根上設置物5を取り付け可能な水平方向に面方向を有する平板状の天板部10の左右両端部に垂下板部が垂設する構成とし、この天板部10の左右いずれか一端部(
図1〜
図4における左側端部)から一体的に垂設する垂下板部を前記一方の挟持部7とし、一方の挟持部7の反対側に存する垂設板部、即ち天板部10の他端部(
図1〜
図4における右側端部)から一体的に垂設する垂設板部を、挟持操作ネジ11が螺着される螺着孔部12を備えたネジ受板部13としている。
【0028】
更に詳しくは、前記天板部10は、
図1,
図2,
図5,
図6に示すように、中心部に取付ボルト26を挿通して立設状態に取り付け可能なボルト取付孔27を貫通形成し(
図7参照。)、
図8に示すようにこのボルト取付孔27に取り付けた取付ボルト26を利用して屋根上設置物5を立平葺き屋根1上に取り付け固定できる構成としている。尚、図面は、取付ボルト26に屋根上設置物5としてのソーラーパネル取付用架台4を取り付け固定し、このソーラーパネル取付用架台4にソーラーパネル3を固定した場合を示している。図中符号28は取付ボルト26に螺着する屋根上設置物5固定用のナットである。
【0029】
前記一方の挟持部7は、
図1〜
図4に示すように、前記天板部10の一側端部から直角に折曲垂下する平板状の鉛直板部22と、この鉛直板部22の下端から前記ネジ受板部13に向かって水平方向に直角に折曲突出する平板状の水平板部23とから成る正面視略L字板状に構成し、更にこの水平板部23の突出先端部をネジ受板部13に向かって斜め上方に折曲突出する挟着板部24に形成すると共に、その突出先端縁を前後部が凸となり中間部が凹となる凹凸縁形状に形成して、この凹凸縁25が前記ハゼ部2の根本部位に確固に当接係止する構成としている。
【0030】
前記ネジ受板部13は、前記天板部10の他端部から直角に平板状に折曲垂下する構成とし、このネジ受板部13の略中心部に水平方向に貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔に例えばバーリング加工を施して内側に突出する立ち上がり孔縁を形成すると共に、この立ち上がり孔縁の内面にネジ孔加工を施すことでこの貫通孔を前記螺着孔部12としている。
【0031】
また、このネジ受板部13の上部にして前記天板部10との連設角部に、前記第二金具半体9をスライド自在に挿通連結可能なスライド連結孔14を水平方向に貫通形成している。
【0032】
また、このスライド貫通孔14は、横長スリット状とし、このスライド連結孔14の水平方向に長さを有する下側孔縁部を、後述する第二金具半体9の挿入板部15の下面をスライド自在に支承する支承孔縁部21とすると共に、この支承孔縁部21に支承した挿入板部15の上面が前記天板部10に重合若しくは近接配設するように、スライド連結孔14の形状並びに形成位置を設定構成している。即ち、このスライド連結孔14に後述の挿入板部15を挿入することで第一金具半体8に第二金具半体9を挿通連結すると、挿入板部15の上面が前記天板部10の下面に重合若しくは近接配設し、これにより天板部10の下面が挿入板部15のスライドガイドとなって第一金具半体8と第二金具半体9とが互いにガタつきにくい状態でスムーズにスライド移動することになる構成としている。
【0033】
また、このスライド連結孔14は、ネジ受板部13の上部から天板部10の他端部に至るまで開口する孔形状に形成して、
図3に示すように、このスライド連結孔14に天板部10の他端部の上方から前記挿入板部15を挿入し得るように構成している(図面は天板部10の他端部の斜め上方からスライド連結孔14に挿入板部15を挿入した場合を示しているが、鉛直上方からスライド連結孔14に挿入板部15を挿入することも可能である。)。
【0034】
また、このネジ受板部13の下端を水平外方へ略直角に折曲突設して、この折曲突出部をガイド片部31とし、このガイド片部31は、前記スライド連結孔14に前記挿入板部15を挿通連結した際に、その下面が第二金具半体9の前記水平板部23の上面に重合若しくは近接配設する構成として、このガイド片部31の下面が水平板部23のスライドガイドとなるように構成している。即ち、前記天板部10の下面とこのガイド片部31の下面とが第二金具半体9のスライドガイドとなって、第一金具半体8と第二金具半体9とが互いにガタつきにくい状態でスムーズにスライド移動することになる構成としている。
【0035】
本実施例の第二金具半体9は、
図1〜
図4に示すように、一枚の金属製帯板を略コ字状に折曲して、前記第一金具半体8のスライド連結孔14にスライド挿脱自在に挿通連結可能な水平方向に面方向を有する平板状の挿入板部15の基端部に、前記他方の挟持部7が垂設する構成とし、この第二金具半体9の前記挿入板部15を前記第一金具半体8のスライド連結孔14に挿通連結した際に他方の挟持部7が前記ネジ受板部13の外方に配設するように設けている。
【0036】
更に詳しくは、前記挿入板部15は、前記スライド連結孔14の左右開口幅よりやや小さい板幅を有し且つスライド連結孔14の上下開口幅よりやや小さい板厚を有する細帯板状であって、第二金具半体9の第一金具半体1に対するスライドストロークを確保できるだけの長さ(他方の挟持部7からの突出長)を有する構成としている。
【0037】
前記他方の挟持部7は、前記一方の挟持部7と左右対称形状に構成し(図面に一方の挟持部7と同符号を付すことで詳しく説明することは省略する。)、第二金具半体9の前記挿入板部15を前記第一金具半体8のスライド連結孔14に挿通連結した際には、この他方の挟持部7の鉛直板部22は前記ネジ受板部13の外方に配設するが、この他方の挟持部7の挟着板部24は、ネジ受板部13の下方に配設する水平板部23を介してネジ受板部13より第一金具半体8の内方に位置して前記一方の挟持部7の挟着板部24と左右対向状態に配設する構成としている。
【0038】
また、この他方の挟持部7の鉛直板部22の略中心部に、前記螺着孔部12と連通して前記挟持操作ネジ11を挿通可能且つ挟持操作ネジ11の頭部16は挿通不能な孔径寸法のネジ通し孔17を貫通形成した構成としている。
【0039】
上記のように構成した本実施例の第一金具半体8と第二金具半体9のスライド自在な連結構造は、第二金具半体9の前記挿入板部15を第一金具半体8の前記スライド連結孔14に挿通連結した上で、前記他方の挟持部7のネジ通し孔17から六角ボルト11を採用した挟持操作ネジ11を挿通して前記螺着孔部12に螺着した構成としている。即ち、挟持操作ネジ11の頭部16によって第一金具半体8(のスライド連結孔14)に対し第二金具半体9(の挿入板部15)が外方へ抜止状態に連結されると共に、この挟持操作ネジ11を螺入方向に螺動操作することで、前記他方の挟持部7が螺入方向(ネジ受板部13に接近する方向)に移動する頭部16に押圧されて一対の挟持部7が互いに接近方向にスライド移動する連結構造としている。そして、この挟持操作ネジ11の螺動操作により一対の挟持部7で前記ハゼ部2を締付挟持固定できる構成としている(
図6参照。)。
【0040】
本実施例では、前記第一金具半体8の前記天板部10に、立平葺き屋根1の棟部18の長さ方向の両外側に配設されるエプロン部材19(棟エプロン)を取り付け可能なエプロン取付板部20を、この天板部10から一体的に垂設している。
【0041】
具体的には、第一金具半体8の天板部の前後端部を夫々直角に折曲垂下し、この前後の平板状の垂下板部を前記エプロン取付板部20としている。
【0042】
また、このエプロン取付板部20は、前記ネジ受板部13の垂下長の1/3程度の垂下長を有するものとし、このエプロン取付板部20に、エプロン部材19両端部の上方に突設する取付片部29を重合してビスなどの止着具30により止着固定できる構成としている。
【0043】
従って、
図9,
図10に示すように、本取付金具を立平葺き屋根1の棟部18のエプロン部材19取付位置に前記一対の挟持部7で挟持固定すると、第一金具半体8の天板部10の少なくとも前側に垂設したエプロン取付板部20にエプロン部材19を取り付け可能である。また、天板部10の前後両側にエプロン取付板部20を設けたため、金具本体6を立平葺き屋根1に対し前後逆向きに取り付けてもエプロン部材19を取り付け可能である。
【0044】
図中符号32は屋根下地板、33は防水材である。
【0045】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。