(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
低温液化ガスが気化した気化ガス及び前記低温液化ガスよりも温度の高いガスが混合された混合ガスと前記低温液化ガスとを導入して互いに熱交換させることにより、前記混合ガスを低温ガス冷媒として排出するとともに、前記低温液化ガスを前記気化ガスとして排出する第一熱交換器と、
前記低温液化ガスよりも温度の高いガスと、前記第一熱交換器から排出された前記気化ガスとを混合して、前記第一熱交換器に導入される前記混合ガスを排出する混合手段と、
前記低温ガス冷媒について検出された温度と、その目標温度との差異に基づき、前記混合手段に導入される前記低温液化ガスよりも温度の高いガス及び前記気化ガスのそれぞれの量を調整して、前記低温ガス冷媒の温度を前記目標温度に制御する第一制御手段と、を備える低温ガス供給装置。
低温液化ガスが気化した気化ガス及び前記低温液化ガスよりも温度の高いガスが混合された混合ガスと前記低温液化ガスとを導入して互いに熱交換させることにより、前記混合ガスを低温ガス冷媒として排出するとともに、前記低温液化ガスを前記気化ガスとして排出する第一熱交換器と、
前記低温液化ガスよりも温度の高いガスと、前記第一熱交換器から排出された前記気化ガスとを混合して、前記第一熱交換器に導入される前記混合ガスを排出する混合手段と、
前記低温ガス冷媒について検出された温度と、その目標温度との差異に基づき、前記混合手段に導入される前記気化ガスの量を調整して、前記低温ガス冷媒の温度を前記目標温度に制御する第一制御手段と、
前記第一熱交換器から排出される、前記温度制御された前記低温ガス冷媒と、循環経路を巡廻する熱媒とを互いに熱交換させる第二熱交換器と、
前記熱媒について検出された温度と、その熱媒目標温度との差異に基づき、前記第一熱交換器に導入される前記低温液化ガスよりも温度の高いガスの量を調整して、前記熱媒の温度を前記熱媒目標温度に制御する第二制御手段とを備える熱媒冷却装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、正確に、かつ安定的に制御された低温ガス冷媒を供給することができる低温ガス供給装置と、その低温ガス冷媒を導入して、それとの熱交換により、凝固することなく、正確に、かつ安定的に制御された熱媒を排出することができる熱媒冷却装置と、その熱媒を利用して、幅広い温度域で安定制御を実現できる低温反応制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
(1)低温液化ガスが気化した気化ガス及び前記低温液化ガスよりも温度の高いガスが混合された混合ガスと前記低温液化ガスとを導入して互いに熱交換させることにより、前記混合ガスを低温ガス冷媒として排出するとともに、前記低温液化ガスを前記気化ガスとして排出する第一熱交換器と、
前記低温液化ガスよりも温度の高いガスと、前記第一熱交換器から排出された前記気化ガスとを混合して、前記第一熱交換器に導入される前記混合ガスを排出する混合手段と、
前記低温ガス冷媒について検出された温度と、その目標温度との差異に基づき、前記混合手段に導入される前記低温液化ガスよりも温度の高いガス及び前記気化ガスのそれぞれの量を調整して、前記低温ガス冷媒の温度を前記目標温度に制御する第一制御手段と、を備える低温ガス供給装置。
(
2)前記混合手段は、エゼクタである
(1)に記載の低温ガス供給装置。
(
3)(1)に記載の低温ガス供給装置
と、
前記低温ガス供給装置から排出される、前記温度制御された前記低温ガス冷媒と、循環経路を巡廻する熱媒とを互いに熱交換させる第二熱交換器と、
前記熱媒について検出された温度と、その熱媒目標温度との差異に基づき、前記第二熱交換器に導入される前記低温ガス冷媒の量を調整して、前記熱媒の温度を前記熱媒目標温度に制御する第二制御手段と、を備える熱媒冷却装置。
(
4)(
3)に記載の熱媒冷却装置と、
前記循環経路を循環する、前記温度制御された前記熱媒を導入して、反応槽内部の反応液を所望温度に冷却調整するように構成された低温反応槽と、を備える低温反応制御装置。
(
5)低温液化ガスが気化した気化ガス及び前記低温液化ガスよりも温度の高いガスが混合された混合ガスと前記低温液化ガスとを導入して互いに熱交換させることにより、前記混合ガスを低温ガス冷媒として排出するとともに、前記低温液化ガスを前記気化ガスとして排出する第一熱交換器と、
前記低温液化ガスよりも温度の高いガスと、前記第一熱交換器から排出された前記気化ガスとを混合して、前記第一熱交換器に導入される前記混合ガスを排出する混合手段と、
前記低温ガス冷媒について検出された温度と、その目標温度との差異に基づき、前記混合手段に導入される前記気化ガスの量を調整して、前記低温ガス冷媒の温度を前記目標温度に制御する第一制御手段と、
前記第一熱交換器から排出される、前記温度制御された前記低温ガス冷媒と、循環経路を巡廻する熱媒とを互いに熱交換させる第二熱交換器と、
前記熱媒について検出された温度と、その熱媒目標温度との差異に基づき、前記第一熱交換器に導入される前記低温液化ガスよりも温度の高いガスの量を調整して、前記熱媒の温度を前記熱媒目標温度に制御する第二制御手段とを備える熱媒冷却装置。
(
6)(
5)に記載の熱媒冷却装置
と、
前記循環経路を循環する、前記温度制御された前記熱媒を導入して、反応槽内部の反応液を所望温度に冷却調整するように構成された低温反応槽と、を備える低温反応制御装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の低温ガス供給装置は、低温液化ガスとそれより高温のガスとを温度差を減らしてから混合しているので、均一な混合を実現するのに、混合手段の特殊性を回避でき、その選択の幅が広がる。また、温度の近い2つのガスとして混合しているので、混合前の各ガスの流量調整による低温ガス冷媒の温度制御が安定する。特に混合不良による温度の脈動的変化に起因する流量の脈動制御が回避されるので、制御が安定化する。また、低温ガス冷媒の目標温度が変わっても、適切にその値に追従できる。一方、低温液化ガスの冷熱を、効率よく低温ガス冷媒の生成に利用できる。
【0014】
また、混合手段としてエゼクタを選択した場合には、温度の近い2つのガスの圧力が互いに異なる場合でも混合が容易となる。また、一般の混合器を使用する場合と比較して装置を小型化できる。
【0015】
本発明の熱媒冷却装置は、温度が安定している低温ガス冷媒を第二熱交換器に導入することにより、循環経路を巡廻する熱媒の温度を正確に、かつ安定的に制御しているので、熱媒の凝固点を念頭においた熱媒の目標温度をより理想的に設定できる。つまり、第二熱交換器内で熱媒の凍結を発生させることなく、熱媒の目標温度をその凝固点近くに設定することができる。これにより、凍結による循環経路の閉塞とそれによる経路内の圧力損失を防止でき、過度の熱侵入を抑え、装置全体として省力化できる。
【0016】
本発明の低温反応制御装置は、その凝固点に近い低温に正確に安定的に制御された熱媒を使用して、反応槽を低温制御できるので、幅広い温度域での安定制御が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した一実施形態である低温ガス供給装置、熱媒冷却装置、及び低温反応制御装置について、図面を用いて詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0019】
<第1実施形態>
先ず、本発明を適用した第1実施形態に係る低温ガス供給装置100A、熱媒冷却装置200A、及び低温反応制御装置300Aの構成について説明する。
図1は、本発明の低温ガス供給装置、熱媒冷却装置、及び低温反応制御装置における第1実施形態の系統図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る低温ガス供給装置100Aは、後述する低温液化ガスより高温のガスとして常温窒素ガス(GN
2)NNGが一端から導入される常温経路1Aと、低温液化ガスとして液化窒素(LN
2)LN(例えば−196℃)が一端から導入される低温経路2Aと、後述する混合ガス及び低温窒素ガス冷媒が流れる混合経路3Aと、常温経路1Aの他端から導入される常温窒素ガスNNGと、低温経路2Aの他端から導入される、液化窒素LNが気化した結果のガス(以下、「液化窒素気化ガス」と称す)LNGとを混合して、混合ガスCGを生成するエゼクタ(混合手段)4Aと、低温経路2Aが貫通することにより上記液化窒素LNを導入して液化窒素気化ガスLNGとして排出する一方で、混合経路3Aが貫通することにより上記混合ガスCGを導入して低温窒素ガス冷媒CNGとして排出する第1熱交換器5Aと、混合経路3Aにおける第1熱交換器5Aの下流を流れる低温窒素ガス冷媒CNGの温度を検出する第1温度検出器6Aと、第1温度検出器6Aによる検出温度に基づき、第1制御信号CS1を出力する第1温度調節器(第一制御手段)7Aと、第1制御信号CS1に基づき、常温経路1Aに流れる常温窒素ガスNNGの流量を調整する流量調整弁8Aと、第1制御信号CS1に基づき、低温経路2Aにおける第1熱交換器5Aの下流を流れる液化窒素気化ガスLNGの流量を調整する第1流量調整弁9Aと、を備えている。
【0021】
なお、第1熱交換器5A内において、低温経路2Aと混合経路3Aとは並走しており、それぞれに流れる液化窒素LNと混合ガスCGとが互いに熱交換するように構成されている。特に、それらの液化窒素LNと混合ガスCGとが互いに逆方向に流れるように、つまり対向流となるように、低温経路2A及び混合経路3Aが配設されている。
【0022】
また、本発明の第1実施形態に係る熱媒冷却装置200Aは、上述のような構成の低温ガス供給装置100Aと、それに加えて、熱媒HMが循環する熱媒循環経路21と、混合経路3Aと熱媒循環経路21とが並走して貫通することにより、それぞれに流れる低温窒素ガス冷媒CNGと熱媒HMとが互いに熱交換するように構成された第2熱交換器22と、熱媒HMを熱媒循環経路21内で循環させる熱媒循環ポンプ23と、熱媒循環経路21内を循環する熱媒HMの温度を検出する第2温度検出器24と、第2温度検出器24による検出温度に基づき、第2制御信号CS2を出力する第2温度調節器25と、第2制御信号CS2に基づき、混合経路3Aを流れる低温窒素ガス冷媒CNGの流量を調整する第2流量調整弁26と、熱媒の温度変化に伴う膨張、収縮を吸収するためのリザーブタンク27と、で構成される。
【0023】
また、本発明の第1実施形態に係る低温反応制御装置300Aは、上述のような構成の熱媒冷却装置200Aと、それに加えて、低温反応槽31とで構成されている。ここで、低温反応槽31は、少なくとも、熱媒HMが流通可能なジャケット31aと、反応液を攪拌するための攪拌モータ31bとを備えている。
【0024】
次に、上述のように構成された第1実施形態に係る低温ガス供給装置100A、熱媒冷却装置200A、及び低温反応制御装置300Aの動作とその作用について説明する。
【0025】
液化窒素(LN
2)LNが低温経路2Aの一端から導入されて、第1熱交換器5Aに導入される。液化窒素LNは、第1熱交換器5A内における、混合経路3A内の混合ガスCGとの熱交換により、液化窒素気化ガスLNGとなる。第1熱交換器5Aから排出された液化窒素気化ガスLNGと、一方、常温経路1Aの一端から導入された常温窒素ガスNNGとは、エゼクタ4Aに導入され、それらの圧力差を利用されて混合される。エゼクタ4Aから排出された混合ガスCGは、第1熱交換器5Aに導入され、低温経路2A内の液化窒素LNとの熱交換が行われると共に、乱流効果により均温化され、低温窒素ガス冷媒CNGとして排出される。
【0026】
第1温度検出器6Aは、混合経路3Aにおける第1熱交換器5Aの下流を流れる低温窒素ガス冷媒CNGの温度を検出する。第1温度調節器7Aは、第1温度検出器6Aによる検出温度と低温窒素ガス冷媒CNGの所望の温度(目標温度)との差異に応じた第1制御信号CS1を出力する。流量調整弁8Aは、第1制御信号CS1に基づき、常温経路1Aに流れる常温窒素ガスNNGの流量を調整する。第1流量調整弁9Aは、第1制御信号CS1に基づき、低温経路2Aにおける第1熱交換器5Aの下流を流れる液化窒素気化ガスLNGの流量を調整する。このように、第1温度検出器6A、第1温度調節器7A、流量調整弁8A、及び第1流量調整弁9Aを構成としたフィードバック制御により、低温窒素ガス冷媒CNGは所望の温度に調整される。
【0027】
なお、エゼクタ4Aに導入される液化窒素気化ガスLNGの流量は第1熱交換器5Aの一次側で調整してもよいが、このように、第1熱交換器5Aの二次側、すなわち、液化窒素気化ガスLNG、すなわち気化した単一相としてのガスの流量を調整する構成としているので、第1熱交換器5Aの一次側、すなわち相変化を伴う液化窒素LNの流量を調節する場合と比較して、精密な流量調節が可能である。
【0028】
以上のように、所望の温度に調整された低温窒素ガス冷媒CNGは、第2熱交換器22に供給され、熱媒循環経路21を流れる熱媒HMを熱交換により冷却する。ここで、第2温度検出器24は、熱媒循環経路21内を循環する熱媒HMの温度を検出する。第2温度調節器25は、第2温度検出器24による検出温度と熱媒HMの所望の温度(目標温度)との差異に応じた第2制御信号CS2を出力する。第2流量調整弁26は、第2制御信号CS2に基づき、混合経路3Aを流れる低温窒素ガス冷媒CNGの流量を調整する。このように、第2温度検出器24、第2温度調節器25、及び第2流量調整弁26を構成としたフィードバック制御により、熱媒HMは所望の温度に調整される。
【0029】
以上のように、所望の温度に調整された熱媒HMは、熱媒循環ポンプ23の動作により、低温反応槽31のジャケット31aに供給される。これにより反応槽内部の反応液が一定温度に冷却調整される。
【0030】
以上のように、本発明の第1実施形態によれば、液化窒素LNを第1熱交換器5Aにより常温窒素ガスNNGに近い温度の液化窒素気化ガスLNGに変換し、それらを混合しているので、均一な混合が実現できる。また、その混合に、エゼクタ4Aを採用しているので、それらの圧力が互いに異なっていても、容易に混合が実現できるし、また、一般の混合器を使用する場合と比較して装置を小型化できる。
【0031】
また、液化窒素LNを第1熱交換器5Aにより常温窒素ガスNNGに近い温度の液化窒素気化ガスLNGに変換し、それらを混合しているので、常温窒素ガスNNG及び液化窒素気化ガスLNGの流量調整による低温窒素ガス冷媒CNGの温度制御が安定する。特に混合不良による温度の脈動的変化に起因する流量の脈動制御が回避されるので、制御が安定化する。また、低温窒素ガス冷媒CNGの目標温度が変わっても、適切にその値に追従できる。一方、液化窒素LNの冷熱を、効率よく低温窒素ガス冷媒CNGの生成に利用できる。
【0032】
また、温度が安定している低温窒素ガス冷媒CNGの流量を制御することにより、熱媒循環経路21を巡廻する熱媒HMの温度を正確に、かつ安定的に制御しているので、熱媒HMの凝固点を念頭においた熱媒HMの目標温度をより理想的に設定できる。つまり、第2熱交換器22内で熱媒HMの凍結を発生させることなく、熱媒HMの目標温度をその凝固点近くに設定することができる。これにより、凍結による熱媒循環経路21の閉塞とそれによる経路内の圧力損失を防止でき、過度の熱侵入を抑え、装置全体として省力化できる。
【0033】
また、その凝固点に近いまでの低温に正確に安定的に制御された熱媒HMを、低温反応槽31が使用すれば、反応槽をより低温で安定に制御でき、幅広い温度制御が可能となる。
【0034】
<第2実施形態>
次に、本発明における第2実施形態を説明する。
図2は、本発明の低温ガス供給装置、熱媒冷却装置、及び低温反応制御装置における第2実施形態の系統図である。
【0035】
図2に示すように、本発明の第2実施形態に係る低温ガス供給装置100Bは、常温窒素ガス(GN
2)NNGが一端から導入される常温経路1Bと、液化窒素(LN
2)LN(例えば−196℃)が一端から導入される低温経路2Bと、後述する低温窒素ガス冷媒が流れる混合経路3Bと、常温経路1Bから導入される常温窒素ガスNNGと、低温経路2Bから導入される液化窒素LNとを互いに熱交換させることにより、それぞれ熱交換後窒素ガスCNNGと液化窒素LNが気化した結果のガス(以下、「液化窒素気化ガス」と称す)LNGとして排出する第1熱交換器5Bと、第1熱交換器5Bから排出された熱交換後窒素ガスCNNGと液化窒素気化ガスLNGとを混合して、低温窒素ガス冷媒CNGを生成するエゼクタ4Bと、混合経路3Bを流れる低温窒素ガス冷媒CNGの温度を検出する第1温度検出器6Bと、第1温度検出器6Bによる検出温度に基づき、第1制御信号CS1を出力する第1温度調節器7Bと、第1制御信号CS1に基づき、常温経路1Bに流れる常温窒素ガスNNGの流量を調整する流量調整弁8Bと、第1制御信号CS1に基づき、低温経路2Bにおける第1熱交換器5Bの下流を流れる液化窒素気化ガスLNGの流量を調整する第1流量調整弁9Bと、を備えている。
【0036】
なお、第1熱交換器5B内において、常温経路1Bと低温経路2Bとは並走しており、それぞれに流れる常温窒素ガスNNGと液化窒素LNとが互いに熱交換するように構成されている。特に、それらの常温窒素ガスNNGと液化窒素LNとが同方向に流れるように、常温経路1Bと低温経路2Bが配設されている。
【0037】
また、本発明の第2実施形態に係る熱媒冷却装置200Bは、上述のような構成の低温ガス供給装置100Bを含んでいる以外は、第1実施形態に係る熱媒冷却装置200Aと同じである。
【0038】
また、本発明の第2実施形態に係る低温反応制御装置300Bは、上述のような構成の熱媒冷却装置200Bを含んでいる以外は、第1実施形態に係る低温反応制御装置300Aと同じである。
【0039】
次に、上述のように構成された第1実施形態に係る低温ガス供給装置100B、熱媒冷却装置200B、及び低温反応制御装置300Bの動作とその作用について説明する。
【0040】
常温窒素ガスNNGが常温経路1Bの一端から導入されて、第1熱交換器5Bに導入される。また、液化窒素(LN
2)LNが低温経路2Bの一端から導入されて、第1熱交換器5Bに導入される。第1熱交換器5Bは、常温経路1Bから導入される常温窒素ガスNNGと、低温経路2Bから導入される液化窒素LNとを互いに熱交換させることにより、温度差の減少した熱交換後窒素ガスCNNGと、液化窒素LNが気化した結果のガス(以下、「液化窒素気化ガス」と称す)LNGとして排出する。エゼクタ4Bは、第1熱交換器5Bから排出された熱交換後窒素ガスCNNGと液化窒素気化ガスLNGとをそれらの圧力差を利用して混合し、低温窒素ガス冷媒CNGを生成する。
【0041】
第1温度検出器6Bは、混合経路3Bを流れる低温窒素ガス冷媒CNGの温度を検出する。第1温度調節器7Bは、第1温度検出器6Bによる検出温度と低温窒素ガス冷媒CNGの所望の温度(目標温度)との差異に応じた第1制御信号CS1を出力する。流量調整弁8Bは、第1制御信号CS1に基づき、常温経路1Bにおける第1熱交換器5Bの上流を流れる常温窒素ガスNNGの流量を調整する。第1流量調整弁9Bは、第1制御信号CS1に基づき、低温経路2Bにおける第1熱交換器5Bの下流を流れる液化窒素気化ガスLNGの流量を調整する。このように、第1温度検出器6B、第1温度調節器7B、流量調整弁8B、及び第1流量調整弁9Bを構成としたフィードバック制御により、低温窒素ガス冷媒CNGは所望の温度に調整される。
【0042】
なお、エゼクタ4Bに導入される気化ガス流量は第1熱交換器5Bの一次側で調整してもよいが、このように、第1熱交換器5Bの二次側、すなわち、液化窒素気化ガスLNG、すなわち気化した単一相としてのガス、の流量を調整する構成としているので、第1熱交換器5Bの一次側、すなわち相変化を伴う液化窒素LN、の流量を調節する場合と比較して、精密な流量調節が可能である。
【0043】
以上のように、所望の温度に調整された低温窒素ガス冷媒CNGは、第2熱交換器22に供給され、熱媒循環経路21を流れる熱媒HMを熱交換により冷却する。ここで、第2温度検出器24は、熱媒循環経路21内を循環する熱媒HMの温度を検出する。第2温度調節器25は、第2温度検出器24による検出温度と熱媒HMの所望の温度との差異に応じた第2制御信号CS2を出力する。第2流量調整弁26は、第2制御信号CS2に基づき、混合経路3Bを流れる低温窒素ガス冷媒CNGの流量を調整する。このように、第2温度検出器24、第2温度調節器25、及び第2流量調整弁26を構成としたフィードバック制御により、熱媒HMは所望の温度に調整される。
【0044】
以上のように、所望の温度に調整された熱媒HMは、熱媒循環ポンプ23の動作により、低温反応槽31のジャケット31aに供給される。これにより反応槽内部の反応液が一定温度に冷却調整される。
【0045】
以上のように、本発明の第2実施形態によれば、それらを混合しているので、均一な混合が実現できる。また、その混合に、エゼクタ4Bを採用しているので、それらの圧力が互いに異なっていても、容易に混合が実現できるし、また、一般の混合器を使用する場合と比較して装置を小型化できる。
【0046】
また、常温窒素ガスNNGと液化窒素LNを、第1熱交換器5Bにより、温度差の減少した熱交換後窒素ガスCNNGと液化窒素気化ガスLNGに変換し、それらを混合しているので、常温窒素ガスNNG及び液化窒素気化ガスLNGの流量調整による低温窒素ガス冷媒CNGの温度制御が安定する。特に混合不良による温度の脈動的変化に起因する流量の脈動制御が回避されるので、制御が安定化する。また、低温窒素ガス冷媒CNGの目標温度が変わっても、適切にその値に追従できる。一方、液化窒素LNの冷熱を、効率よく低温窒素ガス冷媒CNGの生成に利用できる。
【0047】
また、温度が安定している低温窒素ガス冷媒CNGの流量を制御することにより、熱媒循環経路21を巡廻する熱媒HMの温度を正確に、かつ安定的に制御しているので、熱媒HMの凝固点を念頭においた熱媒HMの目標温度をより理想的に設定できる。つまり、第2熱交換器22内で熱媒HMの凍結を発生させることなく、熱媒HMの目標温度をその凝固点近くに設定することができる。これにより、凍結による熱媒循環経路21の閉塞とそれによる経路内の圧力損失を防止でき、過度の熱侵入を抑え、装置全体として省力化できる。
【0048】
また、その凝固点に近いまでの低温に正確に安定的に制御された熱媒HMを、低温反応槽31が使用すれば、反応槽をより低温で安定に制御でき、幅広い温度制御が可能となる。
【0049】
<第3実施形態>
次に、本発明における第3実施形態を説明する。
図3は、本発明の低温ガス供給装置、熱媒冷却装置、及び低温反応制御装置における第3実施形態の系統図である。
【0050】
図3に示すように、本発明の第3実施形態に係る低温ガス供給装置100Cは、後述する低温液化ガスより高温のガスとして常温窒素ガス(GN
2)NNGが一端から導入される常温経路1Cと、低温液化ガスとして液化窒素(LN
2)LN(例えば−196℃)が一端から導入される低温経路2Cと、後述する混合ガス及び低温窒素ガス冷媒が流れる混合経路3Cと、常温経路1Cの他端から導入される常温窒素ガスNNGと、低温経路2Cの他端から導入される、液化窒素LNが気化した結果のガス(以下、「液化窒素気化ガス」と称す)LNGとを混合して、混合ガスCGを生成するエゼクタ(混合手段)4Cと、低温経路2Cが貫通することにより上記液化窒素LNを導入して液化窒素気化ガスLNGとして排出する一方で、混合経路3Cが貫通することにより上記混合ガスCGを導入して低温窒素ガス冷媒CNGとして排出する第1熱交換器5Cと、混合経路3Cにおける第1熱交換器5Cの下流を流れる低温窒素ガス冷媒CNGの温度を検出する第1温度検出器6Cと、第1温度検出器6Cによる検出温度に基づき、第1制御信号CS1を出力する第1温度調節器(第一制御手段)7Cと、後述する第2温度調節器25から出力された第2制御信号CS2に基づき常温経路1Cに流れる常温窒素ガスNNGの流量を調整する流量調整弁8Cと、第1制御信号CS1に基づき、低温経路2Cにおける第1熱交換器5Cの下流を流れる液化窒素気化ガスLNGの流量を調整する第1流量調整弁9Cと、を備えている。
【0051】
なお、第1熱交換器5C内において、低温経路2Cと混合経路3Cとは並走しており、それぞれに流れる液化窒素LNと混合ガスCGとが互いに熱交換するように構成されている。特に、それらの液化窒素LNと混合ガスCGとが互いに逆方向に流れるように、つまり対向流となるように、低温経路2C及び混合経路3Cが配設されている。
【0052】
また、本発明の第3実施形態に係る熱媒冷却装置200Cは、上述のような構成の低温ガス供給装置100Cと、それに加えて、熱媒HMが循環する熱媒循環経路21と、混合経路3Cと熱媒循環経路21とが並走して貫通することにより、それぞれに流れる低温窒素ガス冷媒CNGと熱媒HMとが互いに熱交換するように構成された第2熱交換器22と、熱媒HMを熱媒循環経路21内で循環させる熱媒循環ポンプ23と、熱媒循環経路21内を循環する熱媒HMの温度を検出する第2温度検出器24と、第2温度検出器24による検出温度に基づき、第2制御信号CS2を出力する第2温度調節器25と、熱媒の温度変化に伴う膨張、収縮を吸収するためのリザーブタンク27と、で構成される。
【0053】
また、第3実施形態に係る低温反応制御装置300Cは、上述のような構成の熱媒冷却装置200Cを含んでいる以外は、第1及び第2実施形態に係る低温反応制御装置300A,300Bと同じである。
【0054】
次に、上述のように構成された第3実施形態に係る低温ガス供給装置100C、熱媒冷却装置200C、及び低温反応制御装置300Cの動作とその作用について説明する。
【0055】
液化窒素(LN
2)LNが低温経路2Cの一端から導入されて、第1熱交換器5Cに導入される。液化窒素LNは、第1熱交換器5C内における、混合経路3C内の混合ガスCGとの熱交換により、液化窒素気化ガスLNGとなる。第1熱交換器5Cから排出された液化窒素気化ガスLNGと、一方、常温経路1Cの一端から導入された常温窒素ガスNNGとは、エゼクタ4Cに導入され、それらの圧力差を利用されて混合される。エゼクタ4Cから排出された混合ガスCGは、第1熱交換器5Cに導入され、低温経路2C内の液化窒素LNとの熱交換が行われると共に、乱流効果により均温化され、低温窒素ガス冷媒CNGとして排出される。
【0056】
第1温度検出器6Cは、混合経路3Cにおける第1熱交換器5Cの下流を流れる低温窒素ガス冷媒CNGの温度を検出する。第1温度調節器7Cは、第1温度検出器6Cによる検出温度と低温窒素ガス冷媒CNGの所望の温度(目標温度)との差異に応じた第1制御信号CS1を出力する。流量調整弁8Cは、第2温度調節器25から出力された第2制御信号CS2に基づき、常温経路1Cに流れる常温窒素ガスNNGの流量を調整する。第1流量調整弁9Cは、第1制御信号CS1に基づき、低温経路2Cにおける第1熱交換器5Cの下流を流れる液化窒素気化ガスLNGの流量を調整する。
【0057】
なお、エゼクタ4Cに導入される液化窒素気化ガスLNGの流量は第1熱交換器5Cの一次側で調整してもよいが、このように、第1熱交換器5Cの二次側、すなわち、液化窒素気化ガスLNG、すなわち気化した単一相としてのガスの流量を調整する構成としているので、第1熱交換器5Cの一次側、すなわち相変化を伴う液化窒素LNの流量を調節する場合と比較して、精密な流量調節が可能である。
【0058】
熱交換器5Cから導出された低温窒素ガス冷媒CNGは、第2熱交換器22に供給され、熱媒循環経路21を流れる熱媒HMを熱交換により冷却する。ここで、第2温度検出器24は、熱媒循環経路21内を循環する熱媒HMの温度を検出する。第2温度調節器25は、第2温度検出器24による検出温度と熱媒HMの所望の温度(目標温度)との差異に応じた第2制御信号CS2を出力する。
【0059】
以上のように、第1温度検出器6C、第1温度調節器7C、流量調整弁8C、第1流量調整弁9C、第2温度検出器24、及び第2温度調節器25を構成としたフィードバック制御により、低温窒素ガス冷媒CNG及び熱媒HMは所望の温度に調整される。
【0060】
所望の温度に調整された熱媒HMは、熱媒循環ポンプ23の動作により、低温反応槽31のジャケット31aに供給される。これにより反応槽内部の反応液が一定温度に冷却調整される。
【0061】
以上のように、本発明の第3実施形態によれば、液化窒素LNを第1熱交換器5Cにより常温窒素ガスNNGに近い温度の液化窒素気化ガスLNGに変換し、それらを混合しているので、均一な混合が実現できる。また、その混合に、エゼクタ4Cを採用しているので、それらの圧力が互いに異なっていても、容易に混合が実現できるし、また、一般の混合器を使用する場合と比較して装置を小型化できる。
【0062】
また、液化窒素LNを第1熱交換器5Cにより常温窒素ガスNNGに近い温度の液化窒素気化ガスLNGに変換し、それらを混合しているので、常温窒素ガスNNG及び液化窒素気化ガスLNGの流量調整による低温窒素ガス冷媒CNGの温度制御が安定する。特に混合不良による温度の脈動的変化に起因する流量の脈動制御が回避されるので、制御が安定化する。また、低温窒素ガス冷媒CNGの目標温度が変わっても、適切にその値に追従できる。一方、液化窒素LNの冷熱を、効率よく低温窒素ガス冷媒CNGの生成に利用できる。
【0063】
また、温度が安定している低温窒素ガス冷媒CNGを第2熱交換器22に導入することにより、熱媒循環経路21を巡廻する熱媒HMの温度を正確に、かつ安定的に制御しているので、熱媒HMの凝固点を念頭においた熱媒HMの目標温度をより理想的に設定できる。つまり、第2熱交換器22内で熱媒HMの凍結を発生させることなく、熱媒HMの目標温度をその凝固点近くに設定することができる。これにより、凍結による熱媒循環経路21の閉塞とそれによる経路内の圧力損失を防止でき、過度の熱侵入を抑え、装置全体として省力化できる。
【0064】
また、その凝固点に近いまでの低温に正確に安定的に制御された熱媒HMを、低温反応槽31が使用すれば、反応槽をより低温で安定に制御でき、幅広い温度制御が可能となる。
【0065】
ところで、上述した第1実施形態の低温ガス供給装置100A、熱媒冷却装置200A、及び低温反応制御装置300Aは、温度検出器6Aで検出した低温窒素ガス冷媒CNGの温度(すなわち、混合経路3Aにおける第1熱交換器5Aの下流を流れる低温窒素ガス冷媒CNGの温度)に基づいて、常温経路1Aに導入する常温窒素ガスNNG及び低温経路2Aに導入する液化窒素気化ガスLNGの流量を調整する構成となっている。このため、温度検出器6Aで検出した低温窒素ガス冷媒CNGの温度が所望の範囲内となった後は、熱交換器5Aから導出される低温窒素ガス冷媒CNGの流量は変動することはなく安定するという利点がある。
【0066】
一方、低温反応制御装置300Aにおいて、低温反応槽31での負荷が増大することによって熱媒HMで必要な冷熱が増大した場合には、熱媒HMと熱交換させるための低温窒素ガス冷媒CNGの流量を増やす必要が生じる場合がある。第1実施形態の低温ガス供給装置100A、熱媒冷却装置200A、及び低温反応制御装置300Aでは、流量調整弁26の開度を最大にした場合に、低温窒素ガス冷媒CNGの流量が最大となる。
【0067】
これに対して、第3実施形態の低温ガス供給装置100C、熱媒冷却装置200C、及び低温反応制御装置300Cによれば、第2温度検出器24で検出した熱媒HMの温度(すなわち、熱媒循環経路21における第2熱交換器22の下流を流れる熱媒HMの温度)に基づいて、低温窒素ガス冷媒CNGの流量を増減させるためのベース流量となる常温窒素ガスNNGの流量を調整する構成となっている。このため、低温反応槽31での負荷が増大することによって熱媒HMで必要な冷熱が増大し、熱媒HMと熱交換させるための低温窒素ガス冷媒CNGの流量を増やす必要が生じる場合に、第1熱交換器5Cから導出される低温窒素ガス冷媒CNGの流量を、熱媒HMの温度に応じて所望の値に増減させることができる。したがって、熱媒HMの冷却に必要な冷熱を得るために低温窒素ガス冷媒CNGの温度及び流量の両方を調整し、熱媒HMのより安定な温度制御を実現できる。
【0068】
さらに、第1の実施形態で用いた流量調整弁26を省略することができるため、装置の小型化及び低コスト化が可能となる。
【0069】
<第4実施形態>
次に、本発明における第4実施形態を説明する。
図4は、本発明の低温ガス供給装置、熱媒冷却装置、及び低温反応制御装置における第4実施形態の系統図である。
【0070】
図4に示すように、本発明の第4実施形態に係る低温ガス供給装置100Dは、常温窒素ガス(GN
2)NNGが一端から導入される常温経路1Dと、液化窒素(LN
2)LN(例えば−196℃)が一端から導入される低温経路2Dと、後述する低温窒素ガス冷媒が流れる混合経路3Dと、常温経路1Dから導入される常温窒素ガスNNGと、低温経路2Dから導入される液化窒素LNとを互いに熱交換させることにより、それぞれ熱交換後窒素ガスCNNGと液化窒素LNが気化した結果のガス(以下、「液化窒素気化ガス」と称す)LNGとして排出する第1熱交換器5Dと、第1熱交換器5Dから排出された熱交換後窒素ガスCNNGと液化窒素気化ガスLNGとを混合して、低温窒素ガス冷媒CNGを生成するエゼクタ4Dと、混合経路3Dを流れる低温窒素ガス冷媒CNGの温度を検出する第1温度検出器6Dと、第1温度検出器6Dによる検出温度に基づき、第1制御信号CS1を出力する第1温度調節器7Dと、後述する第2制御信号CS2に基づき、常温経路1Dに流れる常温窒素ガスNNGの流量を調整する流量調整弁8Dと、第1制御信号CS1に基づき、低温経路2Dにおける第1熱交換器5Dの下流を流れる液化窒素気化ガスLNGの流量を調整する第1流量調整弁9Dと、を備えている。
【0071】
なお、第1熱交換器5B内において、常温経路1Dと低温経路2Dとは並走しており、それぞれに流れる常温窒素ガスNNGと液化窒素LNとが互いに熱交換するように構成されている。特に、それらの常温窒素ガスNNGと液化窒素LNとが同方向に流れるように、常温経路1Dと低温経路2Dが配設されている。
【0072】
また、本発明の第4実施形態に係る熱媒冷却装置200Dは、上述のような構成の低温ガス供給装置100Dと、それに加えて、熱媒HMが循環する熱媒循環経路21と、混合経路3Aと熱媒循環経路21とが並走して貫通することにより、それぞれに流れる低温窒素ガス冷媒CNGと熱媒HMとが互いに熱交換するように構成された第2熱交換器22と、熱媒HMを熱媒循環経路21内で循環させる熱媒循環ポンプ23と、熱媒循環経路21内を循環する熱媒HMの温度を検出する第2温度検出器24と、第2温度検出器24による検出温度に基づき、第2制御信号CS2を出力する第2温度調節器25と、熱媒の温度変化に伴う膨張、収縮を吸収するためのリザーブタンク27と、で構成される。
【0073】
また、本発明の第4実施形態に係る低温反応制御装置300Dは、上述のような構成の熱媒冷却装置200Dを含んでいる以外は、第1乃至第3実施形態に係る低温反応制御装置300A,300B,300Cと同じである。
【0074】
次に、上述のように構成された第4実施形態に係る低温ガス供給装置100D、熱媒冷却装置200D、及び低温反応制御装置300Dの動作とその作用について説明する。
【0075】
常温窒素ガスNNGが常温経路1Dの一端から導入されて、第1熱交換器5Dに導入される。また、液化窒素(LN
2)LNが低温経路2Dの一端から導入されて、第1熱交換器5Dに導入される。第1熱交換器5Dは、常温経路1Dから導入される常温窒素ガスNNGと、低温経路2Dから導入される液化窒素LNとを互いに熱交換させることにより、温度差の減少した熱交換後窒素ガスCNNGと、液化窒素LNが気化した結果のガス(以下、「液化窒素気化ガス」と称す)LNGとして排出する。エゼクタ4Dは、第1熱交換器5Dから排出された熱交換後窒素ガスCNNGと液化窒素気化ガスLNGとをそれらの圧力差を利用して混合し、低温窒素ガス冷媒CNGを生成する。
【0076】
第1温度検出器6Dは、混合経路3Dを流れる低温窒素ガス冷媒CNGの温度を検出する。第1温度調節器7Dは、第1温度検出器6Dによる検出温度と低温窒素ガス冷媒CNGの所望の温度(目標温度)との差異に応じた第1制御信号CS1を出力する。流量調整弁8Dは、第2温度調節器25から出力された第2制御信号CS2に基づき、常温経路1Dにおける第1熱交換器5Dの上流を流れる常温窒素ガスNNGの流量を調整する。第1流量調整弁9Dは、第1制御信号CS1に基づき、低温経路2Dにおける第1熱交換器5Dの下流を流れる液化窒素気化ガスLNGの流量を調整する。
【0077】
なお、エゼクタ4Dに導入される気化ガス流量は第1熱交換器5Dの一次側で調整してもよいが、このように、第1熱交換器5Dの二次側、すなわち、液化窒素気化ガスLNG、すなわち気化した単一相としてのガス、の流量を調整する構成としているので、第1熱交換器5Dの一次側、すなわち相変化を伴う液化窒素LN、の流量を調節する場合と比較して、精密な流量調節が可能である。
【0078】
エゼクタ4Dから導出された低温窒素ガス冷媒CNGは、第2熱交換器22に供給され、熱媒循環経路21を流れる熱媒HMを熱交換により冷却する。ここで、第2温度検出器24は、熱媒循環経路21内を循環する熱媒HMの温度を検出する。第2温度調節器25は、第2温度検出器24による検出温度と熱媒HMの所望の温度との差異に応じた第2制御信号CS2を出力する。
【0079】
以上のように、第1温度検出器6D、第1温度調節器7D、流量調整弁8D、第1流量調整弁9D、第2温度検出器24、及び第2温度調節器25を構成としたフィードバック制御により、低温窒素ガス冷媒CNG及び熱媒HMは所望の温度に調整される。
【0080】
所望の温度に調整された熱媒HMは、熱媒循環ポンプ23の動作により、低温反応槽31のジャケット31aに供給される。これにより反応槽内部の反応液が一定温度に冷却調整される。
【0081】
以上のように、本発明の第4実施形態によれば、それらを混合しているので、均一な混合が実現できる。また、その混合に、エゼクタ4Dを採用しているので、それらの圧力が互いに異なっていても、容易に混合が実現できるし、また、一般の混合器を使用する場合と比較して装置を小型化できる。
【0082】
また、常温窒素ガスNNGと液化窒素LNを、第1熱交換器5Dにより、温度差の減少した熱交換後窒素ガスCNNGと液化窒素気化ガスLNGに変換し、それらを混合しているので、常温窒素ガスNNG及び液化窒素気化ガスLNGの流量調整による低温窒素ガス冷媒CNGの温度制御が安定する。特に混合不良による温度の脈動的変化に起因する流量の脈動制御が回避されるので、制御が安定化する。また、低温窒素ガス冷媒CNGの目標温度が変わっても、適切にその値に追従できる。一方、液化窒素LNの冷熱を、効率よく低温窒素ガス冷媒CNGの生成に利用できる。
【0083】
また、温度が安定している低温窒素ガス冷媒CNGを第2熱交換器22に導入することにより、熱媒循環経路21を巡廻する熱媒HMの温度を正確に、かつ安定的に制御しているので、熱媒HMの凝固点を念頭においた熱媒HMの目標温度をより理想的に設定できる。つまり、第2熱交換器22内で熱媒HMの凍結を発生させることなく、熱媒HMの目標温度をその凝固点近くに設定することができる。これにより、凍結による熱媒循環経路21の閉塞とそれによる経路内の圧力損失を防止でき、過度の熱侵入を抑え、装置全体として省力化できる。
【0084】
また、その凝固点に近いまでの低温に正確に安定的に制御された熱媒HMを、低温反応槽31が使用すれば、反応槽をより低温で安定に制御でき、幅広い温度制御が可能となる。
【0085】
ところで、上述した第2実施形態の低温ガス供給装置100B、熱媒冷却装置200B、及び低温反応制御装置300Bは、温度検出器6Bで検出した低温窒素ガス冷媒CNGの温度(すなわち、混合経路3Bにおけるエゼクタ4Bの下流を流れる低温窒素ガス冷媒CNGの温度)に基づいて、常温経路1Bに導入する常温窒素ガスNNG及び低温経路2Bに導入する液化窒素気化ガスLNGの流量を調整する構成となっている。このため、温度検出器6Bで検出した低温窒素ガス冷媒CNGの温度が所望の範囲内となった後は、エゼクタ4Bから導出される低温窒素ガス冷媒CNGの流量は変動することはなく安定するという利点がある。
【0086】
一方、低温反応制御装置300Bにおいて、低温反応槽31での負荷が増大することによって熱媒HMで必要な冷熱が増大した場合には、熱媒HMと熱交換させるための低温窒素ガス冷媒CNGの流量を増やす必要が生じる場合がある。第2実施形態の低温ガス供給装置100B、熱媒冷却装置200B、及び低温反応制御装置300Bでは、流量調整弁26の開度を最大にした場合に、低温窒素ガス冷媒CNGの流量が最大となる。
【0087】
これに対して、第4の実施形態の低温ガス供給装置100D、熱媒冷却装置200D、及び低温反応制御装置300Dによれば、第2温度検出器24で検出した熱媒HMの温度(すなわち、熱媒循環経路21における第2熱交換器22の下流を流れる熱媒HMの温度)に基づいて、低温窒素ガス冷媒CNGの流量を増減させるためのベース流量となる常温窒素ガスNNGの流量を調整する構成となっている。このため、低温反応槽31での負荷が増大することによって熱媒HMで必要な冷熱が増大し、熱媒HMと熱交換させるための低温窒素ガス冷媒CNGの流量を増やす必要が生じる場合に、エゼクタ4Dから導出される低温窒素ガス冷媒CNGの流量を、熱媒HMの温度に応じて所望の値に増減させることができる。したがって、熱媒HMの冷却に必要な冷熱を得るために低温窒素ガス冷媒CNGの温度及び流量の両方を調整し、熱媒HMのより安定な温度制御を実現できる。
【0088】
さらに、第2の実施形態で用いた流量調整弁26を省略することができるため、装置の小型化及び低コスト化が可能となる。
【0089】
<各実施形態の変形例>
上述した第1〜第4の実施形態に係る低温ガス供給装置100A〜100Dは、熱媒冷却装置200A〜200Dの他に、以下の装置にも適用することができる。
【0090】
すなわち、食品凍結や金属熱処理を行う冷却槽に適用でき、予め温度調整された低温ガスを槽内に供給することで、攪拌ファンなどを必要とせず対象物を均一に冷却することができる。また、反応液を貯留する反応槽と、反応槽周囲のジャケット又は反応槽内に設置された熱交換器と有し、ジャケット又は熱交換器に低温ガスを供給する低温反応制御装置に適用でき、予め温度調整された低温ガスを供給することで伝熱面において反応液を凍結させることなく冷却することができる。更に、コイル管又はその他の熱交換器を使用して蒸気を冷却、凝縮又は凝固させるコールドトラップに適用でき、予め温度調整された低温ガスを熱交換器内部に通すことにより精度よく均一な温度で凝縮及び凝固させることができる。
【0091】
なお、以上の本発明の各実施形態の説明においては、常温窒素ガスNNGの流量調整手段及び液化窒素気化ガスLNGの流量調整手段として流量調整弁を示しているが、これに限られることはなく、たとえばマスフローコントローラ等、適宜他の流量調整手段を採用できる。
【0092】
また、第2熱交換器22としては、例えば、二重管式熱交換器、プレート式熱交換器、プレートフィン式熱交換器、シェル&チューブ式熱交換器、タンク&コイル式熱交換器を採用できる。特に、プレート式熱交換器が望ましい。高効率であり装置の小型化に貢献するからである。また、第1熱交換器としてはプレート式のような高効率な熱交換器が望ましい。温端温度差が小さくなるため、混合が容易となることと、小型化が可能であるからである。
【0093】
更に、上述の各実施形態においては、常温窒素ガスNNGと液化窒素LNを採用しているが、必ずしも同一種類である必要はなく、異種ガスを混合させてもよい。対象ガスとしては、窒素の他に、酸素、アルゴン、炭酸ガス、LNG、クロロフルオロカーボンやハイドロフルオロカーボン等のフッ素系冷媒等が使用可能である。また、低温液化ガスより高温であれば、常温に限らずいかなる温度のガスであっても低温液化ガスと混合させることができる。