特許第5651254号(P5651254)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝エレベータ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5651254-エレベータの保護線の取付構造 図000002
  • 特許5651254-エレベータの保護線の取付構造 図000003
  • 特許5651254-エレベータの保護線の取付構造 図000004
  • 特許5651254-エレベータの保護線の取付構造 図000005
  • 特許5651254-エレベータの保護線の取付構造 図000006
  • 特許5651254-エレベータの保護線の取付構造 図000007
  • 特許5651254-エレベータの保護線の取付構造 図000008
  • 特許5651254-エレベータの保護線の取付構造 図000009
  • 特許5651254-エレベータの保護線の取付構造 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5651254
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】エレベータの保護線の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/06 20060101AFI20141211BHJP
   B66B 7/00 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   B66B7/06 G
   B66B7/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-6091(P2014-6091)
(22)【出願日】2014年1月16日
【審査請求日】2014年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】葛 武 志
(72)【発明者】
【氏名】飯 島 智 樹
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−173712(JP,A)
【文献】 特開2007−276991(JP,A)
【文献】 特開2003−206082(JP,A)
【文献】 実開昭60−122772(JP,U)
【文献】 実開昭58−23870(JP,U)
【文献】 実開昭57−11176(JP,U)
【文献】 実開昭56−100467(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの昇降路に設けられた、長尺物の引っ掛り防止用の保護線と、
保護線の固定具とを備え、
固定具は固定板を有し、固定板に保護線が通過する開口が形成され、固定板の開口と固定板の縁部との間に保護線が挿入可能な切欠きが形成されていることを特徴とするエレベータの保護線取付構造。
【請求項2】
エレベータの昇降路に設けられた、長尺物の引っ掛り防止用の保護線と、
保護線の固定具とを備え、
固定具の固定板と、固定板の縁部に設けられた一対のC形部材とを有し、
一対のC形部材は上下方向に配置され、かつ各C形部材の開口は互いに逆向きとなり、各C形部材内を保護線が通過することを特徴とするエレベータの保護線取付構造。
【請求項3】
エレベータの昇降路に設けられた、長尺物の引っ掛り防止用の保護線と、
保護線の固定具とを備え、
固定具は固定板を有し、この固定板にU字開孔と、U字開孔の両端から直線状に延びる一対の直線開孔とが形成されていることを特徴とするエレベータの保護線取付構造。
【請求項4】
エレベータの昇降路に設けられた、長尺物の引っ掛り防止用の保護線と、
保護線の固定具とを備え、
固定具は固定開口が形成された固定板と、
固定開口内に挿入され、支持部と、支持部から延びる一対の脚部と、各脚部から拡がる折曲部とを有する2股の弾性ピンとを有し、
2股の弾性ピンの支持部内に保護線が通過することを特徴とするエレベータの保護線取付構造。
【請求項5】
固定具は固定板を着脱自在に支持する支持体を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載のエレベータの保護線取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ昇降路内の長尺物の引掛りを防止する保護線を取付けるためのエレベータの保護線取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベータは、昇降路と、その中を移動可能に設けられた乗りかご及びつり合いおもりとを備えている。乗りかごには、メインロープの一端が接続され、つり合いおもりには、メインロープの他端が接続されている。メインロープは、巻上機に巻きかけられている。そして、巻上機の回転によって、メインロープが移動し、乗りかご及びつり合いおもりが昇降する。また、乗りかごの下部には、給電や制御信号授受のためケーブルが垂れ下がっている。
【0003】
またエレベータには、昇降機耐震設計、施工指針に従って、昇降路内の長尺物の引掛りを防止するため保護線が設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−173712号公報
【特許文献2】特開2003−206082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来より、エレベータの保護線を容易かつ簡単に取付けるエレベータの保護線取付構造は開発されていないのが実情である。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、エレベータの保護線を容易かつ簡単に取付けることができるエレベータの保護線取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、エレベータの昇降路に設けられた、長尺物の引っ掛り防止用の保護線と、保護線の固定具とを備え、固定具は固定板を有し、固定板に保護線が通過する開口が形成され、固定板の開口と固定板縁部との間に保護線が挿入可能な切欠きが形成されていることを特徴とするエレベータの保護線取付構造である。
【0008】
本発明は、エレベータの昇降路に設けられた、長尺物の引っ掛り防止用の保護線と、保護線の固定具とを備え、固定具の固定板と、固定板の縁部に設けられた一対のC形部材とを有し、一対のC形部材は上下方向に配置され、かつ各C形部材の開口は互いに逆向きとなり、各C形部材内を保護線が通過することを特徴とするエレベータの保護線取付構造である。
【0009】
本発明は、エレベータの昇降路に設けられた、長尺物の引っ掛り防止用の保護線と、保護線の固定具とを備え、固定具は固定板を有し、この固定板にU字開孔と、U字開孔の両端から直線状に延びる一対の直線開孔とが形成されていることを特徴とするエレベータの保護線取付構造である。
【0010】
本発明は、エレベータの昇降路に設けられた、長尺物の引っ掛り防止用の保護線と、保護線の固定具とを備え、固定具は固定開口が形成された固定板と、固定開口内に挿入され、支持部と、支持部から延びる一対の脚部と、各脚部から拡がる折曲部とを有する2股の弾性ピンとを有し、2股の弾性ピンの支持部内に保護線が通過することを特徴とするエレベータの保護線取付構造である。
【0011】
本発明は、固定具は固定板を着脱自在に支持する支持体を更に有することを特徴とするエレベータの保護線取付構造である。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本実施の形態によれば、エレベータの保護線を容易かつ簡単に固定具に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)は本実施の形態によるエレベータの保護線取付構造を示す図、図1(b)は図1(a)のI線方向矢視図。
図2図2(a)はエレベータの保護線取付構造の作用を示す図、図2(b)は図2(a)のII線方向矢視図。
図3図3はエレベータの保護線取付構造の固定具の他の構造を示す図。
図4図4はエレベータの保護線取付構造の変形例を示す図。
図5図5(a)はエレベータの保護線取付構造の他の変形例を示す図、図5(b)はその作用を示す図。
図6図6(a)はエレベータの保護線取付構造の他の変形例を示す図、図6(b)はその作用を示す図。
図7図7はエレベータの保護線取付構造の他の変形例を示す図。
図8図8はエレベータの全体構成を説明する図。
図9図9はエレベータの全体構成を説明する図であって図8と90°異なる向きからみた図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図3および図8および図9は、本発明の実施の形態を示す図である。まず図8により、エレベータの全体構成を説明する。図8に示すように、エレベータの昇降路1の上部機械室2に、巻上機(図示せず)が設置されており、この巻上機のメインシーブ3にメインロープ4が吊り下げられている。そして、メインロープ4の一端には乗りかご5が懸架されている。一方、メインロープ4の他端にはつり合いおもり6が懸架されている。
【0015】
また、乗りかご5及びつり合いおもり6の下側には、乗りかご5の位置によるメインロープ4の質量の変化を打ち消すために、コンペンロープ8が取付けられ、コンペンシーブ8には昇降路1の下部に位置するコンペンシーブ7が設けられている。さらに乗りかご5の下端に、給電や制御信号授受のためのケーブル9が吊り下げられている。ケーブル9の昇降路1の壁面側に建屋ビーム10がある場合には、ケーブル9と建屋ビーム10との間に、かごの昇降に伴い移動するケーブル9を保護するため、金網11が設けられている。
【0016】
また、図9に示すように、地震や風などによる建屋揺れによって、ロープ4、8やケーブル9等の長尺物が揺らされる。これらロープ4、8およびケーブル9が昇降路1内の機器突出物に引掛るのを防止するため、昇降路1内に昇降機耐震設計・施工指針に従い、保護線20が設置されている。ここで図9はエレベータの昇降路1を図8と90°異なる向きからみた図である。
【0017】
図9に示すように、昇降路1に向って、最下階の乗り場21aと、中間階の乗り場21b、21cが設置されている。
【0018】
そして昇降路1に設置された保護線20の下端は、ピット22に設けられた係止板25に引掛具26を介して係止されている。保護線20は係止板25から上方に延びるとともに、各乗り場21a、21b、21cに設置された固定具30により支持固定されている。
【0019】
そして保護線20と固定具30とによりエレベータの保護線取付構造が構成される。
【0020】
次に図1(a)(b)乃至図3により保護線20の固定具30について説明する。
図1(a)(b)および図2(a)(b)に示すように、固定具30は垂直方向に設置された固定板31を有し、固定板31に保護線20が通過する円形状の開口32が形成されている。また、固定板31の開口32と固定板31の縁部との間に、保護線20が挿入可能な切欠き33が形成されている。
【0021】
次に本実施の形態の作用について説明する。保護線20を固定具30に取付ける場合、まず固定板31の切欠き33を介して保護線20を固定板31の開口32内に挿入する。この場合、保護線20は緩んだ状態となっている(図1(a)(b)参照)。
【0022】
次に保護線20を上下方向へ強く引張る。このことにより、保護線20は開口32の縁部に引掛って、保護線20が開口32から外方へ外れることを防止できる(図2(a)(b)参照)。
【0023】
なお、上記実施の形態において、固定板31に円形状の開口32を設けた例を示したが、これに限らず円形状の開口32の代わりに、台形状の開口32を設けてもよい(図3参照)。
【0024】
図3に示すように、台形状の開口32の上辺および下線は上下方向に延び、このうち下辺は切欠き33側に位置している。
【0025】
以上のように本実施の形態によれば、エレベータの保護線20を容易かつ簡単に固定具30に取付けることができる。
【0026】
次に図4により、エレベータの保護線取付構造の変形例について説明する。図4に示すエレベータの保護線取付構造は固定具30の構成が異なるのみであり、他の構成は図1(a)(b)乃至図3および図6および図7に示す実施の形態と略同一である。
【0027】
図4に示す変形例において、図1(a)(b)乃至図3および図6および図7に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0028】
図4に示すように、固定具30は固定板31と、固定板31の縁部に設けられた一対のC形部材35a、35bとを有している。一対のC形部材35a、35bは上下方向に設置され、かつ各C形部材35a、35bは開口を有するとともに、各C形部材35a、35bの開口は互いに逆向きとなっている。
【0029】
図4において、保護線20を予め緩めておき、各C形部材35a、35bの開口から保護線20を各C形部材35a、35b内に挿入する。次に保護線20を上下方向に強く引張ることにより、保護線20が各C形部材35a、35bから外方へ外れることはない。
【0030】
次に図5(a)(b)により、エレベータの保護線取付構造の他の変形例について説明する。図5(a)(b)に示すエレベータの保護線取付構造は固定具30の構成が異なるのみであり、他の構成は図1(a)(b)乃至図3および図6および図7に示す実施の形態と略同一である。
【0031】
図5(a)(b)に示す変形例において、図1(a)(b)乃至図3および図6および図7に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0032】
図5(a)(b)において、固定具30は固定板31を有し、固定板31にU字開孔37aと、U字開孔37aの上端および下端から上下方向に直線状に延びる一対の直線開孔37b、37bとが形成されている。
【0033】
図5(a)(b)に示すように、保護線20を予め緩めておき、U字開孔37aおよび一対の直線開孔37b、37bに沿って保護線20を挿入する。次に保護線20をU字開孔37aの裏面に通した後、上下方向に強く引張ることにより、保護線20が一対の直線開孔37b、37bから外方へ外れることはない(図5(b)参照)。
【0034】
次に図6(a)(b)により、エレベータの保護線取付構造の他の変形例について説明する。図6(a)(b)に示すエレベータの保護線取付構造は固定具30の構成が異なるのみであり、他の構成は図1(a)(b)乃至図3および図6および図7に示す実施の形態と略同一である。
【0035】
図6(a)(b)に示す変形例において、図1(a)(b)乃至図3および図6および図7に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0036】
図6(a)(b)に示すように、固定具30は固定開口38が形成された固定板31と、固定開口38内に挿入される2股の弾性ピン40とを有している。
【0037】
弾性ピン40は金属製材料からなり、支持部41と、支持部41から延びる一対の脚部42、42と、各脚部42、42から拡がって形成された折曲部43、43とを有している。
【0038】
そして弾性ピン40の支持部41内を保護線20が通過する。
【0039】
図6(a)(b)において、弾性ピン40の支持部41内に保護線20を通過させ、弾性ピン40の一対の脚部42、42を狭める(図6(a)参照)。次に折曲部43、43側から固定開口38内に弾性ピン40を挿入し、その後脚部42、42の折曲部43、43を固定部31の縁部で拡げる。
【0040】
このようにして固定板31に弾性ピン40を係止することができ、かつ弾性ピン40の支持部41内に保護線20を通すことができる。このようにして保護線20が弾性ピン40から外れることを効果的に防止することができる。
【0041】
次に図7により、エレベータの保護線取付構造の他の変形例について説明する。図7に示すエレベータの保護線取付構造は固定具30の構成が異なるのみであり、他の構成は図4に示す実施の形態と略同一である。
【0042】
図7に示す変形例において、図4に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0043】
図7に示すように、固定具30は固定板31と、固定板31の縁部に設けられた一対のC形部材35a、35bとを有している。一対のC形部材35a、35bは上下方向に配置され、かつ各C形部材35a、35bは開口を有するとともに、各C形部材35a、35bの開口は互いに逆向きとなっている。
【0044】
また固定板31は挿入口31Aを有する一対の部分31B、31Bからなり、固定板31は支持体45により着脱自在に支持されている。すなわち図7において、固定板31の挿入口31A内に支持板45が挿入されて、固定板31は支持体45により着脱自在に支持されている。
【0045】
図7において、保護線20を予め緩めておき、各C形部材35a、35bの開口側から保護線20を各C形部材35a、35b内に挿入する。次に保護線20を上下方向に強く引張ることにより、保護線20が各C形部材35a、35bから外方へ外れることはない。
【0046】
またこのように保護線20が挿通した固定板31を、乗り場21a、21b、21c側に設けられた支持体45に取付ける。このことにより固定板31を容易かつ簡単に支持体45により着脱自在に支持することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 昇降路
20 エレベータの保護線
30 固定具
31 固定板
31A 挿入口
32 開口
33 切欠き
35a、35b C形部材
37a U字開孔
37b 直線開孔
40 弾性ピン
41 支持部
42 脚部
43 折曲部
45 支持板
【要約】
【課題】エレベータの保護線を容易かつ簡単に固定具に取付ける。
【解決手段】エレベータの保護線取付構造は保護線20と、固定具30とを備えている。固定具30は固定板31を有し、固定板31に保護線20が通過する開口32が形成され、開口32と固定板31の縁部との間に切欠きが設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9